説明

折畳式携帯電話装置

【課題】 筐体を閉じた状態でユーザが着信音になかなか気づかないといった問題を回避する。
【解決手段】 着信があり(S1ステップ)、制御回路が筐体が開いた状態であると判定すると(S2ステップのY)、スピーカから着信音の音量を徐々に大きくして鳴動させ(S3ステップ)、一方、筐体が閉じた状態であると判定すると(S2ステップのN)、予め設定した音量でスピーカから着信音を鳴動させる(S4ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳式携帯電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音楽を再生中に着信があると着信音の音量を設定された音量よりも低い音量から徐々に上げる技術が記載されている。
【0003】
この技術を例えば折畳式携帯電話装置に搭載させた場合、特に通話時に使用するスピーカと着信音を鳴動する為のスピーカとが近接した構造である場合や、通話時に使用するスピーカと着信音を鳴動する為のスピーカとを兼用させた構造である場合には、年齢の小さい子供が筐体を開き通話のまねをしている際に着信があると、着信音の音量が徐々に上がる為、大音量の着信音が鳴動されるために子供の耳の鼓膜が損傷するといった問題を回避することができる。
【特許文献1】特願2006−135841号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような携帯電話装置において着信がある度に着信音の音量が徐々に大きくなるようであれば、ユーザが直ちに着信に気づくことができない。例えば折畳式携帯電話装置を閉じている状態においても、着信があると着信音の音量を徐々に大きくするような構成であれば、ユーザが着信音になかなか気づくことができず、非常に使い勝手が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、このような課題を解決する為のものであり、請求項1記載の折畳式携帯電話装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、筐体を閉じた状態と開いた状態とで、着信時に鳴動させる着信音の音量を異ならせることを特徴とする。
請求項2記載の折畳式携帯電話装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、筐体を閉じた状態では、予め設定した第1の音量で着信音を鳴動させ、筐体を開いた状態では、予め設定した第2の音量を着信音鳴動開始時の音量として着信音の音量を徐々に大きくして鳴動させることを特徴とする。
請求項3記載の折畳式携帯電話装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、筐体を閉じた状態では、予め設定した第1の音量で着信音を鳴動させ、筐体を開いた状態では、前記第1の音量よりも小さい音量である予め設定した第2の音量を、着信音鳴動開始時の音量として、着信音の音量を徐々に大きくして鳴動させることを特徴とする。
請求項4記載の折畳式携帯電話装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、前記第1の筐体には、通話用のスピーカである第1スピーカと着信音鳴動用の第2スピーカとが近接して配置され、筐体の開閉を検出する筐体開閉検出手段と、着信を検出する着信検出手段と、第1の着信音量と、当該第1の着信音量よりも小さい音量である第2の着信音量を設定する音量設定手段と、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が開いた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第2の着信音量を基準として徐々に着信音量を大きくして前記第2スピーカから着信音を鳴動させ、一方、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が閉じた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第1の着信音量で前記第2スピーカから着信音を鳴動させるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項5記載の折畳式携帯電話装置は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、前記第1の筐体には、通話用のスピーカであり着信音鳴動用のスピーカであるスピーカが配置され、筐体の開閉を検出する筐体開閉検出手段と、着信を検出する着信検出手段と、第1の着信音量と、当該第1の着信音量よりも小さい音量である第2の着信音量を設定する音量設定手段と、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が開いた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第2の着信音量を基準として徐々に着信音量を大きくして前記スピーカから着信音を鳴動させ、一方、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が閉じた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第1の着信音量で前記スピーカから着信音を鳴動させるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、筐体を閉じた状態では着信音の音量が徐々に大きくなるのではなく、予め設定した値で鳴動されるため、ユーザが着信音になかなか気づくことができないという従来技術の問題点を回避することが可能であるだけでなく、筐体を開いた状態では着信音の音量が徐々に大きくなる為、子供が筐体を開いて通話のまねをしている際に子供の耳にダメージを与えるといった問題も回避することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施例装置である携帯電話装置の斜視図である。図1において、携帯電話装置1は、第1の筐体2と第2の筐体3がヒンジ部4を介して連結された、所謂、折畳式の携帯電話装置である。
【0008】
図1において第1の筐体2には、ディスプレイ42が搭載されているだけでなく、通話用のスピーカ26と着信音鳴動用のスピーカ34とが近接して搭載されており、一方、第2の筐体3には、テンキーや通話キー等からなる入力部44が搭載されている。
【0009】
図2は本実施例装置のブロック図である。図2に示すように、携帯電話装置10は、アンテナ16と接続された通信部12を備えている。この通信部12は、後述のベースバンド部14からの信号をアンテナ16を介して基地局へ発信し、あるいはアンテナ16を介して基地局からの電波を受信する。
【0010】
また、通信部12は、ベースバンド部14と接続されている。ベースバンド部14は、CDMA処理回路18と、音声コーデック20と、を有している。ここで、CDMA処理回路18は、符号分割多元接続、スクランブル、誤り制御、タイミング検出を行う。また、音声コーデック20は、音声を圧縮(符号化)、伸張(復号化)したり、アナログとデジタルの変換を行ったり、内部の増幅回路(図示省略)により受話音量やマイクロホンの感度を変更する。
【0011】
また、ベースバンド部14には、切替回路22が接続されている。この切替回路22には、増幅回路24を介して第1スピーカ26が接続されている。この第1スピーカ26は、増幅回路24で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第1スピーカ26は、ユーザの耳にあてて通話に使用される。
【0012】
また、切替回路22には、増幅回路28を介してマイクロホン30が接続されている。このマイクロホン30は、通話に使用され、音声を電気信号に変換する。マイクロホン30により出力された電気信号は、増幅回路28で増幅されてベースバンド部14に出力される。
【0013】
また、切替回路22には、増幅回路32を介して第2スピーカ34が接続されている。この第2スピーカ34は、増幅回路32で増幅されたベースバンド部14の電気信号を音声に変換する。この第2スピーカ34は、受話音を周囲の人にも聞かせるための拡声用のスピーカである。また、第2スピーカ34は、着信報知の鳴動も行う。なお、これらの3つの増幅回路24、28、32は、ゲインを固定しており、第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度を変更することはできないようになっている。
【0014】
この切替回路22は、ベースバンド部14との接続を、第1スピーカ26用の増幅回路24とマイクロホン30用の増幅回路28側にするか、あるいは拡声用の第2スピーカ34用の増幅回路32とマイクロホン30用の増幅回路28側にするかを切り替える。
【0015】
また、通信部12、ベースバンド部14、切替回路22には、制御回路(制御部)36がそれぞれ接続されている。この制御回路36の制御により上述した切替回路22による切り替えが行われる。また、制御回路36によりベースバンド部14の音声コーデック20が制御され、音声コーデック20により第1スピーカ26及び第2スピーカ34の音量やマイクロホン30の感度が変更される。制御回路36には、ROM38が接続されており、ROM38に格納されているシステムプログラムに基づき各部を制御する。
【0016】
また、制御回路36には、入力部44が接続されている。この入力部44は、図示していないが、テンキー、通話キー、切キー、カーソル移動等に用いられる十字キー、決定キー、クリアキー、防犯ブザーを鳴動させるためのキー等を有している。
【0017】
RAM40には、相手側の電話番号と名称等の情報が対で複数格納され、又、アラームの鳴動時刻の情報やメール本文等の情報が格納される。
【0018】
開閉検出部48は、筐体の開閉を検出する。この開閉検出部48は、例えば第2の筐体に設けられたスイッチであり、第1の筐体に設けられた突起がこのスイッチを押下することにより、筐体が閉じられたことを検出するものである。
【0019】
次に、本実施例装置の動作について、図3を用いて説明する。図3は本実施例装置の動作を示すフロー図である。
【0020】
S1ステップでは、制御回路36は通信部12から着信を示す信号を検出すると、着信があると判定しS2ステップへ処理を進める。
【0021】
S2ステップでは、制御回路36は、開閉検出部48から筐体が開いた状態であることを示す信号を検出するとS3ステップへ処理を進め、そうでなければ(筐体が閉じた状態であれば)S4ステップへ処理を進める。
【0022】
S3ステップでは、制御回路36は、スピーカ34から着信音の音量を予め設定した値から徐々に上げて鳴動させる。
【0023】
S4ステップでは、制御回路36は、スピーカ34から着信音を予め設定した音量で鳴動させる。
例えば、このS4ステップでは着信音の音量が10段階中の5であるとすると、S3ステップでは10段階中の1から徐々に2、3、4・・・と上げていく。これら着信音の設定値はユーザが予め設定可能である。より具体的には、例えばRAM40に、第1の着信音量と第2の着信音量のデータを格納しておき、第2の着信音量は第1の着信音量よりも必ず小さい音量となるように設定可能であるとし、着信があった際に筐体が閉じていれば、第2の着信音量を基準として着信音量を段階的に徐々に上げていき、一方、筐体が開いていれば第1の着信音量で着信音を鳴動させるようにする。
【0024】
このように、本実施例装置では、筐体を閉じた状態では着信音の音量が徐々に大きくなるのではなく、予め設定した値で鳴動されるため、ユーザが着信音になかなか気づくことができないという従来技術の問題点を回避することが可能であるだけでなく、筐体を開いた状態では着信音の音量が徐々に大きくなる為、子供が筐体を開いて通話のまねをしている際に子供の耳にダメージを与えるといった問題も回避することが可能である。
【0025】
尚、本実施例では、通話用のスピーカ26と着信音鳴動用のスピーカ34とが近接した構造であるが、通話用のスピーカ26と着信音鳴動用のスピーカ34とを兼用させた構造としても良い。このような構造とした場合においても本実施例装置の効果は発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置の斜視図である。
【図2】本実施例装置のブロック図である。
【図3】本実施例装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0027】
10 携帯電話装置
36 制御回路
40 ROM
44 入力部
48 開閉検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、
筐体を閉じた状態と開いた状態とで、着信時に鳴動させる着信音の音量を異ならせることを特徴とする折畳式携帯電話装置。
【請求項2】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、
筐体を閉じた状態では、予め設定した第1の音量で着信音を鳴動させ、筐体を開いた状態では、予め設定した第2の音量を着信音鳴動開始時の音量として着信音の音量を徐々に大きくして鳴動させることを特徴とする折畳式携帯電話装置。
【請求項3】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、
筐体を閉じた状態では、予め設定した第1の音量で着信音を鳴動させ、筐体を開いた状態では、前記第1の音量よりも小さい音量である予め設定した第2の音量を、着信音鳴動開始時の音量として、着信音の音量を徐々に大きくして鳴動させることを特徴とする折畳式携帯電話装置。
【請求項4】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、
前記第1の筐体には、通話用のスピーカである第1スピーカと着信音鳴動用の第2スピーカとが近接して配置され、
筐体の開閉を検出する筐体開閉検出手段と、着信を検出する着信検出手段と、第1の着信音量と、当該第1の着信音量よりも小さい音量である第2の着信音量を設定する音量設定手段と、
前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が開いた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第2の着信音量を基準として徐々に着信音量を大きくして前記第2スピーカから着信音を鳴動させ、一方、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が閉じた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第1の着信音量で前記第2スピーカから着信音を鳴動させるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする折畳式携帯電話装置。
【請求項5】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して接続された折畳式の携帯電話装置であり、
前記第1の筐体には、通話用のスピーカであり着信音鳴動用のスピーカであるスピーカが配置され、
筐体の開閉を検出する筐体開閉検出手段と、着信を検出する着信検出手段と、第1の着信音量と、当該第1の着信音量よりも小さい音量である第2の着信音量を設定する音量設定手段と、
前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が開いた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第2の着信音量を基準として徐々に着信音量を大きくして前記スピーカから着信音を鳴動させ、一方、前記着信検出手段が着信を検出した際に、前記筐体開閉検出手段が筐体が閉じた状態であることを検出すると、前記音量設定手段で設定された第1の着信音量で前記スピーカから着信音を鳴動させるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする折畳式携帯電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−154179(P2008−154179A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342842(P2006−342842)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】