折畳式簡易建物
【課題】折り畳んである各構成要素を展開するのみの簡単な作業で組み立てが殆ど完了し、かつ強度的にも十分であること。
【解決手段】両外端側の部位を屈曲部で立ち上げ可能に構成した床部材2と、最上部の屋根部材8と、その直下に配した、両外端側の部位を屈曲部で下方に屈曲可能に構成した天井部材5と、床部材2と天井部材5との間で、両外端と中央部近傍との間を移動可能に構成した可動壁3、3と、外端を各々その一方の可動壁3の側部側にヒンジ結合した二つの可動側壁7、7であって、その内端を天井部材5と床部材2の中央部を幅方向に移動可能に構成した可動側壁7、7と、外端を各々その他方の可動壁3の側部側にヒンジ結合した二つの可動側壁7、7であって、その内端を天井部材5と床部材2の中央部を幅方向に移動可能に構成した可動側壁7、7と、で構成する。
【解決手段】両外端側の部位を屈曲部で立ち上げ可能に構成した床部材2と、最上部の屋根部材8と、その直下に配した、両外端側の部位を屈曲部で下方に屈曲可能に構成した天井部材5と、床部材2と天井部材5との間で、両外端と中央部近傍との間を移動可能に構成した可動壁3、3と、外端を各々その一方の可動壁3の側部側にヒンジ結合した二つの可動側壁7、7であって、その内端を天井部材5と床部材2の中央部を幅方向に移動可能に構成した可動側壁7、7と、外端を各々その他方の可動壁3の側部側にヒンジ結合した二つの可動側壁7、7であって、その内端を天井部材5と床部材2の中央部を幅方向に移動可能に構成した可動側壁7、7と、で構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳んで運び、使用する場所で展開することにより、建物として立ち上げ組み立てることができる折畳式簡易建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一時的に使用される運搬や設置が容易な簡易な建物は、種々の工事現場やイベント会場等で使用されている。このような簡易な建物には設置が容易な組立式のものが提供されているが、その中で、折畳式ものものいくつかの提案がある。
【0003】
特許文献1は、その内の一つの例であり、床ユニットと梁ユニットと両ユニット間の4面を囲う各側壁板とからなる方形の建物に於いて、1方の相対向する側壁板を、その上下端部で床ユニットと屋根ユニットとに蝶着され、且つ中間の折線に従って内方に折りたたみ得るものに構成すると共に、他方の相対向する側壁板を、床ユニット又は屋根ユニットのいずれか1方に蝶着して内方に倒伏自在としてなる折畳式簡易建物を提案するものである。
【0004】
この特許文献1の折畳式簡易建物によれば、要設置位置に該折り畳み式簡易建物を運んで、屋根ユニットを引き上げれば、折線で折れていた二面の側壁が立ち上がり、それを保持するようにすると共に、他の二面の側壁も引き起こし、その状態を保持するようにすれば、簡単に建物は使用可能な状態になる。それ故そのような利点がある。しかし二面の側板は、高さ方向の途中の折線で折れていたものを伸ばしたものであり、その強度に若干の不安がある。
【0005】
特許文献2は、他の例であり、折り畳み式ユニットハウスの床を形成する床体と、前記床体に対して起伏可能に取り付けられる柱体と、前記柱体の起立によって支持される屋根と、前記柱体間に取り付け自在とされる複数の側壁とから構成され、前記柱体を倒伏させて屋根を積み重ねた際に床体と屋根との間に前記取り外された全ての側壁を収納できるスペースを有する折り畳み式ユニットハウスである。
【0006】
従ってこの特許文献2の折り畳み式ユニットハウスによれば、比較的簡単にこのユニットハウスを組み立てることが可能であるが、単純にその屋根を持ち上げるような作業で組み立てることが可能なわけではなく、柱体を起こして、これによって屋根を支持させ、柱体の間に別に用意してある側壁をはめ込んで行くような作業が必要である。また解体後は屋根と床体の間に側壁を装入するような作業も必要であり、それほど簡単でもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−100701号公報
【特許文献2】特開2008−101402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、折り畳んであった各構成要素を展開するのみの簡単な作業で組み立てが殆ど完了し、かつ強度的にも十分な強さを持つ折畳式簡易建物を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1は、一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した天井部材と、
該床部材の該他辺側及び該天井部材の他辺側の間に立ち上げて配した固定壁と、
該床部材の該固定壁の両端内側の位置に立ち上げた柱部材と、
該両柱部材の間の該床部材を構成する横架材上に配した下部レール溝及び該両柱部材の間の該天井部材を構成する横架材の下面に構成した上部レール溝と、
該下部レール溝に配した二つの下部可動部材であって、各々該下部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した下部可動部材及び該上部レール溝に配した二つの上部可動部材であって、各々該上部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した上部可動部材と、
該一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する該一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する可動壁の一端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する該他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する該可動側壁の他端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記床部材の下部レール溝及び前記天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた可動壁と、
前記両柱部材の上端に固定した屋根部材であって、前記天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した屋根部材と、
で構成した折畳式簡易建物である。
【0010】
本発明の2は、本発明の1の折畳式式簡易建物において、
前記固定壁を第二の可動壁に代え、
前記両柱部材の中心間をつなぐ平面を対称の中心面として対称状態に、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した前記床部材から対称他側に延長する第二の床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した第二床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した前記天井部材から対称他側に延長する第二の天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した第二の天井部材と、
前記一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する前記一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の一端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
前記他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する前記他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の他端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した前記固定壁から代えた第二の可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記第二の床部材の下部レール溝及び前記第二の天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた第二の可動壁と、
前記屋根部材から対称他側に延長する第二の屋根部材であって、前記第二の天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した第二の屋根部材と、
を構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1の折畳式簡易建物によれば、これを折り畳み状態にしておけば、コンパクトになり、トラック等の貨物自動車による運搬や倉庫での保管に極めて好都合である。
折り畳みは、前記二つの可動側壁を前記両柱部材間の下部レール溝及び上部レール溝に接してそれらと平行になる位置に移行させ、これによって、同時に、前記可動壁を、該下部レール溝及び上部レール溝に近接する位置にまで引き寄せ、この状態で、前記天井部材の前記一辺側を途中で屈曲垂下させ、かつ前記床部材の一辺側を途中で屈曲して立ち上げることで、容易にできる。こうして薄くコンパクトな状態に折り畳み、この状態をロックして保持することで、前記のように、トラック等の貨物自動車での運搬や、不使用時の倉庫等への保管が容易になる。
【0012】
他方、上記折り畳んだ状態で、上記のように、トラック等の貨物自動車に積んで所要の場所に移動し、クレーン等で適切に配置した上で、前記天井部材の前記一辺側を水平状態に引き起こし、床部材の一辺側を水平状態に倒した上で、その状態をロックし、更に前記可動壁を前記固定壁と反対側に移動させ、両可動側壁を前者と直交する両側に移動させることにより、容易にこの折り畳み式簡易建物を組み立てることができる。
【0013】
以上の可動壁の固定壁と反対側への移動は、同時に、両側の可動側壁の各々を対応する側部に移動させながら行う。各可動側壁は、その一端側は、該可動壁を以上のように移動させることにより、該可動壁に追従して固定壁と反対側に移動し、同時に他端側は天井部材と床部材の側辺側に移動しようとする。可動壁を固定壁と反対側に移動させるだけでは、可動側壁の他端側を容易には側辺側に移動させ難いので、同時に、そのような操作を行う。こうして、可動壁は、天井部材及び床部材の一辺側縁まで移動させ、両可動側壁はそれぞれ対応するその側辺側に移動させることができることになる。
【0014】
可動壁の天井部材及び床部材の一辺側への移動は、前者の従動部材を、該天井部材及び該床部材の両側辺に構成した下部レール溝及び上部レール溝に移動自在に装入してあることにより、容易に行い得られるものである。また両可動側壁の前記上部可動部材及び下部可動部材にヒンジ結合した端部は、該上部可動部材及び下部可動部材が、前記二つの柱部材の間の上部の天井部材及び下部の床部材を構成する横架材に配した上部レール溝及び下部レール溝の各々に移動自在に配されているため、同様に、容易に、天井部材及び床部材の対応する側辺に移動することができる。
【0015】
その後、それぞれを固定手段(ロック手段)で以上の状態に固定することにより、この折畳式簡易建物はその組み立て状態を維持することができる。以上の固定手段は、可動壁及び可動側壁を以上の展開組み立て状態又は折畳状態にそれぞれ固定できるどのような手段でも自由に採用することができる。
なお、窓又は出入口等は、可動壁、固定壁又は可動側壁のいずれか又はそれらの全部に構成することができる。
【0016】
本発明の2の折畳式簡易建物は、前記二つの柱部材の中心間を結ぶ面を挟んで全く面対称に構成されており、他方、本発明の1の構成は、該二つの柱部材の中心間を結ぶ面の一方側に位置する構成である。従って本発明の2では、以上に説明した本発明の1の操作を両面で行えば、それぞれ該面の両側で全く同様に折り畳み、全く同様に展開して組み立てることが可能になるものである。もちろん、折り畳んだ場合は、ほぼ二倍の厚さになり、展開して建物を組み立てた場合はほぼ2倍のサイズになる。折り畳んだ場合及び展開して組み立てた場合のそれぞれの効果も同じである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の折畳式簡易建物の折り畳み状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図2】実施例1の折畳式簡易建物の床部材を展開した状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図3】実施例1の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図4】実施例1の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図5】実施例1の折畳式簡易建物の折り畳み状態の側面説明図。
【図6】実施例1の折畳式簡易建物の床部材及び天井部材を展開した状態の側面説明図。
【図7】実施例1の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の側面説明図。
【図8】実施例1の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の側面説明図。
【図9】図1のA−A線断面説明図。
【図10】図1のB−B線拡大断面説明図。
【図11】実施例2の折畳式簡易建物の折り畳み状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図12】実施例2の折畳式簡易建物の床部材を展開した状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図13】実施例2の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図14】実施例2の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図15】実施例2の折畳式簡易建物の折り畳み状態の側面説明図。
【図16】実施例2の折畳式簡易建物の床部材及び天井部材を展開した状態の側面説明図。
【図17】実施例2の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の側面説明図。
【図18】実施例2の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の側面説明図。
【図19】図11のC−C線断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の折畳式簡易建物を実施するための形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
<実施例1>
この実施例1の折畳式簡易建物は、図1〜図10に示すように、基本的に、両側中央に立設した二つの柱部材1、1の中心軸間をつなぐ仮装平面を対称の中心面として対称状態に構成するものである。
上記二つの柱部材1、1は、それぞれ、床部材(床部材及び第二の床部材)2の側辺中央に立設する。
該床部材2は、前記仮装平面の一方側、図1〜図9中で、左側から説明すると、その外端辺(一辺側)と中央部側(他辺側)との途中、この実施例1では、概ね前記仮装平面から1/4程度の距離の部分で外端側と中央側とに分割し、その間にヒンジ2h、2hを配して外端側を中央側に対して起伏自在に結合した構成としたものである。また該床部材2は、その両側辺の上面上に平行な各々二本の下部レール溝2m、2mを構成してある。この下部レール溝2m、2mは、特に図10に示すように、組立時に床部材2の外端辺に配されることになる可動壁3の両端下部に転動自在に配してあるローラ3r、3rがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。
【0020】
該床部材2は、前記仮装平面の両側に延びる全体に関して説明すると、その四辺及び中央の仮装平面の下部に沿って角材が配してあり、上記下部レール溝2m、2mは、詳細には、その両側辺の角材上に各々構成されている。また前記二つの柱部材1、1は、該床部材2の中央部に配された角材(横架材)の両端上に立設されている。なお、該床部材2は、それらの角材をフレームとして床を構成する板材が配されて全体が構成されている。
【0021】
該床部材2上には、特に図1〜図3及び図9に示すように、更に前記柱部材1、1の間に他の下部レール溝1mを構成する。この下部レール溝1mはこの位置に位置する角材(横架材)上に溝を形成して構成するものである。この下部レール溝1mには、同図に示すように、二つの下部可動部材4a、4bを該下部レール溝1mに沿って移動自在であるように設置する。該二つの下部可動部材4a、4bは、それぞれ該下部レール溝1mの長さ方向に沿って前後二つの転動自在なローラ4ar、4ar(4br、4br)を備えた部材であり、これによってスムーズに該下部レール溝1m中を転動移動自在となっている。
【0022】
前記柱部材1、1の上部には、図5〜図9に示すように、天井部材(天井部材及び第二の天井部材)5が固設される。
該天井部材5は、前記仮装平面の一方側、同図中で、左側から説明すると、その外端辺(一辺側)と中央側(他辺側)との途中、この実施例1では、概ね前記仮装平面から1/4程度の距離の部分で外端側と中央側とに分割し、その間にヒンジ5h、5hを配して外端側を起伏垂下自在に結合した構成としたものである。また該天井部材5は、その両側辺の下面に、図示しない平行な各々二本の上部レール溝が構成してある。この上部レール溝は、前記下部レール溝2m、2mと同様に、建物の組立時に床部材2及び天井部材5の外端に配されることになる可動壁3の両端上部に転動自在に配してある図示しないローラがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。
【0023】
該天井部材5は、前記仮装平面の両側に延びる全体に関して説明すると、その両側辺び中央の仮装平面の上部に沿って角材が配してあり、前記上部レール溝はその両側辺の角材の下面に各々構成されている。なお該上部レール溝は、前記床部材2の両側辺に構成してある下部レール溝2m、2mと上下反転させた形状に構成したものであり、前記のように、可動壁3の両端上部に転動自在に配してあるローラがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。なお、該天井部材5は、それらの角材をフレームとして屋根の一部(両端側)を構成する板材が配してある。この板材は、外方に向かって下降傾斜するように角材に取り付けてある。
【0024】
前記二つの柱部材1、1の上端は、天井部材5の中央部に配された角材(横架材)の両端の下部に結合する。
該天井部材5の下面には、図5〜図9に示すように、更に前記柱部材1、1の間に上部レール溝1umを構成する。この上部レール溝1umはこの位置に位置する角材(横架材)の下面に溝を形成して構成するものである。この上部レール溝1umには、同図に示すように、二つの上部可動部材6a(6b)を該上部レール溝1umに沿って移動自在に設置する。該二つの上部可動部材6a(6b)は、それぞれ該上部レール溝1umの長さ方向に沿って前後二つの転動自在なローラ6ar、6ar(6br、6br)を備えた部材であり、これによってスムーズに該上部レール溝1um中を転動移動自在となっている。
【0025】
前記可動壁(可動壁又は第二の可動壁)3は、図1〜図9に示すように、前記床部材2及び天井部材5の下部レール溝2m、2m及び上部レール溝に、その両端の上部のローラ及び下部のローラ3r、3rが転動自在に装入され、その中央部近傍から外端まで転動移動自在に構成されているものである。該可動壁3自体は角材フレームとそれに貼り付けた板材で構成したものである。
【0026】
該可動壁3は、図1〜図8に示すように、その両側に各々可動側壁7と外ヒンジ3h、3hを介して接続する。また各可動側壁7、7は、それぞれ内ヒンジ7h、7hを介して前記下部可動部材4a、4b及び前記上部可動部材6a(6b)のそれぞれ一方ずつと接続する。
【0027】
該可動側壁(可動側壁又は第二の可動側壁)7、7は、特に図4及び図8に示すように、それぞれ建物の組立時に、床部材2及び天井部材5の両側辺に位置する。図1〜図9に示すように、可動壁3に接続する側の端部は、該可動壁3の端部近傍と、前記のように、上下の外ヒンジ3h、3hを介して接続し、前記下部可動部材4a、4b及び上部可動部材6a(6b)と接続する側の端部は、それぞれ該下部可動部材4a、4bと接続可能な最下部及び上部可動部材6a(6b)と接続可能な最上部でそれぞれと前記内ヒンジ7h、7hを介して接続したものである。従って、該下部可動部材4a、4b及び上部可動部材6a(6b)と接続した側の端部は前記下部レール溝1m及び上部レール溝1umに沿って移動可能であり、前記可動壁3の端部近傍の動きに従って床部材2及び天井部材5の側辺に沿って移動可能となっている。なお、該可動側壁7、7は、その四辺に角材を配し、両面に板材を張って構成したものである。
【0028】
前記下部可動部材4a、4bは、先に述べ、かつ図1〜図4及び図9に示すように、直方体状の部材で、その下部に、前後二つの転動自在なローラ4ar、4ar(4br、4br)を備えた部材である。該二つのローラ4ar、4ar(4br、4br)は、該下部可動部材4a、4bに、それぞれ前記下部レール溝1mの長さ方向に沿って並んだ状態に設置してある。該下部可動部材4a、4bは、前記のように、前記可動側壁7、7の一端の最下部に接続してあり、これによってそのローラ4ar、4ar(4br、4br)は下部レール溝1mから離脱しないようになっている。更にこれによって該下部可動部材4a、4bは、スムーズに該下部レール溝1mを移動可能となっている。
【0029】
前記上部可動部材6a(6b)は、以上の下部可動部材4a、4bと上下反転状態の構成であり、前記可動側壁7、7ともそのような反転状態の関係で接続しており、かつそのローラ6ar、6ar(6br、6br)も、そのような関係で、前記上部レール溝1umに配置されている。従って、これによって該上部可動部材6a(6b)は、スムーズに該上部レール溝1umを移動可能となっている。
【0030】
前記柱部材1、1の最上部には、図5〜図9に示すように、前記天井部材5の中央部の角材(横架材)を介して屋根部材(屋根部材及び第二の屋根部材)8を設置する。この屋根部材8は、以上のとおりであるから、前記仮装平面の直上に棟が位置する態様に構成し、その両側に延長する部分の外端は、前記天井部材5の外端辺側と中央側との境界を若干越えて外端辺側に若干被るところまで延長したものとする。
【0031】
なお、以上において、この実施例1の折畳式簡易建物は、その全ての構成が、前記仮装平面を対称中心面としてその両側で対称となる構成である。図中では、両側の同一構成物又は部位は同一符号を付してある。
【0032】
なおまた、この実施例1に於いて、特に材質をそれぞれ特定した説明をしなかったが、ヒンジやローラ等を除いては、木質である。もっとも、柱部材や角材は、これに代えて鉄骨を採用することもできる。材質は基本的に、必要な強度を確保できれば自由である。
【0033】
窓や出入り口などに関しては、説明しなかったが、前記可動壁3、3や可動側壁7、7…に既存の技法によって構成することが可能である。
【0034】
この実施例1の折畳式簡易建物によれば、これを容易にコンパクトに折り畳むことが可能であり、その結果、トラック等の貨物自動車での運搬や不使用時の倉庫等への保管に好都合である。
【0035】
折り畳みは、例えば、以下のように行う。
図4及び図8に示すように、組立状態から、図示しないロック手段によるロックを解除した上で、前記可動側壁7、7の中央部側の端部を、前記上部レール溝1um及び下部レール溝1mに沿って該上部レール溝1um及び下部レール溝1mの中央側に動かす。これは、前記したように、該可動側壁7、7の該当部位に結合し、かつ該上部レール溝1um又は下部レール溝1mに配された、上部可動部材6a(6b)及び下部可動部材4a、4bの作用によって容易に行うことができる。
【0036】
このように該可動側壁7、7を動かしながら、前記可動壁3を、床部材2及び天井部材5の外端の位置から前記仮装平面側に押す。そうすると、図3及び図7の過程を経て、図2及び図6に示すように、該可動側壁7、7が下部レール溝1m及び上部レール溝1umに接して、これと平行状態になり、該可動壁3も、該可動側壁7、7と接してこれと平行状態になる。このような該可動壁3の動きは、その両端上部及び下部のローラ3r、3r等が床部材2の両側の下部レール溝2m、2m及び天井部材5の両側の上部レール溝に転動自在に装入されて、そのとおりに動作するからである。
【0037】
この操作を、前記仮装平面の両側について行い、その後、図5及び図9に示すように、前記天井部材5の、該仮装平面の両側の前端辺側を、ロックを解除して屈曲垂下させ、更に、同図及び図1に示すように、前記床部材2の、該仮装平面の両側の前端辺側を起立させ、図示しないロック手段で、両者のその状態をロック保持状態とする。こうして折り畳み操作は完了である。このように折り畳めば、前記のように、運搬及び保管が容易に行えるようにになる。
【0038】
他方、以上のように、折り畳んだ状態で、前記のように、トラック等の貨物自動車に積んで所要の場所に移動し、クレーン等で適切な設置位置に配置した上で、容易に展開し、組み立てることができる。
【0039】
図1、図5及び図9の折り畳んだ状態から、図2及び図6に示すように、ロック手段を解除した上で、前記仮装平面の両側の天井部材5の外端側を引き起こし、かつ床部材2の外端側を倒す。またこの状態を保持するように、図示しないロック手段でロックする。
【0040】
この後、図3及び図7に示すように、前記可動壁3を天井部材5及び床部材2の外端側に引っ張る。同時に、その両側の前記可動側壁7、7の前記上部可動部材6a(6b)及び下部可動部材4a、4bと接続する側の端部をそれぞれ外側辺側(対応する柱部材1、1側)に移動させる。これを継続して行うと、図4及び図8に示すように、該可動壁3は、天井部材5及び床部材2の外端まで移動し、可動側壁7、7は、それぞれ、天井部材5及び床部材2の側辺に移動した状態になる。この段階で、この状態を保持すべく、図示しないロック手段でロックする。これを、前記仮装平面の両側について行えば、この実施例1の折畳式簡易建物の展開組立は完了である。
【0041】
こうして、この実施例1の折畳式簡易建物は、仮設の建物として有用に使用することができる。また建物の躯体構造部分に屈曲部がないので、構造が強固である利点がある。
【0042】
なお、窓や出入り口は、前記したように、可動壁3、3又は可動側壁7、7…のいずれかに設けておくことにより、人や物の出入りは、当然、可能であり、明かりを入れることも当然可能である。電気設備や、水道設備等も当然設置可能である。
【0043】
<実施例2>
実施例2の折畳式簡易建物は、図11〜図19に示すように、基本的に、実施例1の仮装平面の一方側だけからなる構成である。同図中では、実施例1と同一構成の部分に関しては同一の符号が付してある。実施例1と同一の部分は簡略に説明し、異なる部分に関してのみ詳しく説明する。
【0044】
この実施例2の折畳式簡易建物は、同図に示すように、かつ前記のように、前記仮装平面の一方側、同図中では、左側の構成は、実施例1のそれと全く同様である。境界である該仮装平面の直下及び直上並びに該境界から若干右側までは、右側を閉じる構成の都合上実施例1の該当する部位までと同様の構成が採用されている。
【0045】
前記床部材2は、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成であり、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。前記天井部材5も同様で、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成で、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。また屋根部材8も、同様であり、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成で、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。
【0046】
柱部材1、1は、前記仮装平面の両側にまたがった位置に位置するが、これは、実施例1のそれと全く同様の構成である。また、この位置の内側上下に位置する、下部レール溝1m、上部レール溝1um、下部可動部材4a、4b、上部可動部材6a(6b)もまた実施例1のそれらと全く同様の構成である。なお、該下部可動部材4a、4b及び該上部可動部材6a(6b)は、それらの右側に可動側壁7、7がないので、それらとの接続関係がない点は実施例1のそれらと異なる。
【0047】
前記仮装平面の左側に位置する、可動壁3及び可動側壁7、7並びにそれらに付属する種々の部材も又先に述べたとおり、実施例1のそれらと全く同様の構成である。
【0048】
この実施例2では、実施例1とは異なる新しい部材が一つあり、これは、固定壁9である。この固定壁9は、図11〜図19に示すように、両側の前記柱部材1、1の右側に当接させ、右側に突出している床部材2の端部上に載せ、かつ右側に突出している天井部材5の端部下面に接して配し、その状態で固定し、建物の右側を閉じたものである。窓等の開口部や各部の材質その他に関しては、実施例1と同様である。
【0049】
実施例2の折畳式簡易建物は、基本的に、前記仮装平面を中心平面として対称に構成した実施例1の片側(左側)だけの構成であるから、その用法も、片側だけの操作が行われるのみで、操作方法自体は同じである。
【0050】
図11、図15及び図19に示すように、折り畳めば、トラック等の貨物自動車での運搬や倉庫での保管に好都合であり、展開して組み立てれば、仮設の建物として安全且つ有用に使用することができる。小型になるのみで、実施例1の折畳式簡易建物と同様に有用に使用できる。
【0051】
展開組立は、当然、所定の使用場所に運んだ上で行うものであるが、まず図12及び図16に示すように、床部材2の外端側を倒し、天井部材5の外端側を引き起こし、それぞれ図示しないロック手段でその状態にロックする。次いで、図13及び図17に示すように、可動壁3を床部材2及び天井部材5の外端側に引っ張り、同時に両可動側壁7、7の内端側をそれぞれ対応する柱部材1、1側に動かす。これらを必要なだけ継続し、図14及び図18に示すように、可動壁3を該床部材2及び天井部材5の外端まで移動させ、可動側壁7、7を床部材2及び天井部材5の両側に平行になるまで移動させ、それらの状態を図示しないロック手段でロックすると、展開組立は完了である。
【0052】
折畳操作は、以上の逆の手順で行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
折畳式簡易建物の製造の分野で有用に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 柱部材
1m 二つの柱部材の間の床部材に配した下部レール溝
1um 二つの柱部材の間の天井部材の下面に配した上部レール溝
2 床部材
2h 床部材の外端側と中央側との境界のヒンジ
2m 床部材の側辺の下部レール溝
3 可動壁
3h 可動壁と可動側壁とを接続する外ヒンジ
3r 可動壁の両端下部のローラ
4a、4b 下部可動部材
4ar、4br 下部可動部材のローラ
5 天井部材
5h 天井部材の外端側と中央側の境界に配したヒンジ
6a(6b) 上部可動部材
6ar(6br) 上部可動部材のローラ
7 可動側壁
7h 可動側壁と下部可動部材及び上部可動部材とを接続する内ヒンジ
8 屋根部材
9 固定壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳んで運び、使用する場所で展開することにより、建物として立ち上げ組み立てることができる折畳式簡易建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一時的に使用される運搬や設置が容易な簡易な建物は、種々の工事現場やイベント会場等で使用されている。このような簡易な建物には設置が容易な組立式のものが提供されているが、その中で、折畳式ものものいくつかの提案がある。
【0003】
特許文献1は、その内の一つの例であり、床ユニットと梁ユニットと両ユニット間の4面を囲う各側壁板とからなる方形の建物に於いて、1方の相対向する側壁板を、その上下端部で床ユニットと屋根ユニットとに蝶着され、且つ中間の折線に従って内方に折りたたみ得るものに構成すると共に、他方の相対向する側壁板を、床ユニット又は屋根ユニットのいずれか1方に蝶着して内方に倒伏自在としてなる折畳式簡易建物を提案するものである。
【0004】
この特許文献1の折畳式簡易建物によれば、要設置位置に該折り畳み式簡易建物を運んで、屋根ユニットを引き上げれば、折線で折れていた二面の側壁が立ち上がり、それを保持するようにすると共に、他の二面の側壁も引き起こし、その状態を保持するようにすれば、簡単に建物は使用可能な状態になる。それ故そのような利点がある。しかし二面の側板は、高さ方向の途中の折線で折れていたものを伸ばしたものであり、その強度に若干の不安がある。
【0005】
特許文献2は、他の例であり、折り畳み式ユニットハウスの床を形成する床体と、前記床体に対して起伏可能に取り付けられる柱体と、前記柱体の起立によって支持される屋根と、前記柱体間に取り付け自在とされる複数の側壁とから構成され、前記柱体を倒伏させて屋根を積み重ねた際に床体と屋根との間に前記取り外された全ての側壁を収納できるスペースを有する折り畳み式ユニットハウスである。
【0006】
従ってこの特許文献2の折り畳み式ユニットハウスによれば、比較的簡単にこのユニットハウスを組み立てることが可能であるが、単純にその屋根を持ち上げるような作業で組み立てることが可能なわけではなく、柱体を起こして、これによって屋根を支持させ、柱体の間に別に用意してある側壁をはめ込んで行くような作業が必要である。また解体後は屋根と床体の間に側壁を装入するような作業も必要であり、それほど簡単でもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−100701号公報
【特許文献2】特開2008−101402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決し、折り畳んであった各構成要素を展開するのみの簡単な作業で組み立てが殆ど完了し、かつ強度的にも十分な強さを持つ折畳式簡易建物を提供することを解決の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1は、一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した天井部材と、
該床部材の該他辺側及び該天井部材の他辺側の間に立ち上げて配した固定壁と、
該床部材の該固定壁の両端内側の位置に立ち上げた柱部材と、
該両柱部材の間の該床部材を構成する横架材上に配した下部レール溝及び該両柱部材の間の該天井部材を構成する横架材の下面に構成した上部レール溝と、
該下部レール溝に配した二つの下部可動部材であって、各々該下部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した下部可動部材及び該上部レール溝に配した二つの上部可動部材であって、各々該上部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した上部可動部材と、
該一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する該一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する可動壁の一端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する該他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する該可動側壁の他端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記床部材の下部レール溝及び前記天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた可動壁と、
前記両柱部材の上端に固定した屋根部材であって、前記天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した屋根部材と、
で構成した折畳式簡易建物である。
【0010】
本発明の2は、本発明の1の折畳式式簡易建物において、
前記固定壁を第二の可動壁に代え、
前記両柱部材の中心間をつなぐ平面を対称の中心面として対称状態に、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した前記床部材から対称他側に延長する第二の床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した第二床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した前記天井部材から対称他側に延長する第二の天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した第二の天井部材と、
前記一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する前記一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の一端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
前記他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する前記他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の他端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した前記固定壁から代えた第二の可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記第二の床部材の下部レール溝及び前記第二の天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた第二の可動壁と、
前記屋根部材から対称他側に延長する第二の屋根部材であって、前記第二の天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した第二の屋根部材と、
を構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1の折畳式簡易建物によれば、これを折り畳み状態にしておけば、コンパクトになり、トラック等の貨物自動車による運搬や倉庫での保管に極めて好都合である。
折り畳みは、前記二つの可動側壁を前記両柱部材間の下部レール溝及び上部レール溝に接してそれらと平行になる位置に移行させ、これによって、同時に、前記可動壁を、該下部レール溝及び上部レール溝に近接する位置にまで引き寄せ、この状態で、前記天井部材の前記一辺側を途中で屈曲垂下させ、かつ前記床部材の一辺側を途中で屈曲して立ち上げることで、容易にできる。こうして薄くコンパクトな状態に折り畳み、この状態をロックして保持することで、前記のように、トラック等の貨物自動車での運搬や、不使用時の倉庫等への保管が容易になる。
【0012】
他方、上記折り畳んだ状態で、上記のように、トラック等の貨物自動車に積んで所要の場所に移動し、クレーン等で適切に配置した上で、前記天井部材の前記一辺側を水平状態に引き起こし、床部材の一辺側を水平状態に倒した上で、その状態をロックし、更に前記可動壁を前記固定壁と反対側に移動させ、両可動側壁を前者と直交する両側に移動させることにより、容易にこの折り畳み式簡易建物を組み立てることができる。
【0013】
以上の可動壁の固定壁と反対側への移動は、同時に、両側の可動側壁の各々を対応する側部に移動させながら行う。各可動側壁は、その一端側は、該可動壁を以上のように移動させることにより、該可動壁に追従して固定壁と反対側に移動し、同時に他端側は天井部材と床部材の側辺側に移動しようとする。可動壁を固定壁と反対側に移動させるだけでは、可動側壁の他端側を容易には側辺側に移動させ難いので、同時に、そのような操作を行う。こうして、可動壁は、天井部材及び床部材の一辺側縁まで移動させ、両可動側壁はそれぞれ対応するその側辺側に移動させることができることになる。
【0014】
可動壁の天井部材及び床部材の一辺側への移動は、前者の従動部材を、該天井部材及び該床部材の両側辺に構成した下部レール溝及び上部レール溝に移動自在に装入してあることにより、容易に行い得られるものである。また両可動側壁の前記上部可動部材及び下部可動部材にヒンジ結合した端部は、該上部可動部材及び下部可動部材が、前記二つの柱部材の間の上部の天井部材及び下部の床部材を構成する横架材に配した上部レール溝及び下部レール溝の各々に移動自在に配されているため、同様に、容易に、天井部材及び床部材の対応する側辺に移動することができる。
【0015】
その後、それぞれを固定手段(ロック手段)で以上の状態に固定することにより、この折畳式簡易建物はその組み立て状態を維持することができる。以上の固定手段は、可動壁及び可動側壁を以上の展開組み立て状態又は折畳状態にそれぞれ固定できるどのような手段でも自由に採用することができる。
なお、窓又は出入口等は、可動壁、固定壁又は可動側壁のいずれか又はそれらの全部に構成することができる。
【0016】
本発明の2の折畳式簡易建物は、前記二つの柱部材の中心間を結ぶ面を挟んで全く面対称に構成されており、他方、本発明の1の構成は、該二つの柱部材の中心間を結ぶ面の一方側に位置する構成である。従って本発明の2では、以上に説明した本発明の1の操作を両面で行えば、それぞれ該面の両側で全く同様に折り畳み、全く同様に展開して組み立てることが可能になるものである。もちろん、折り畳んだ場合は、ほぼ二倍の厚さになり、展開して建物を組み立てた場合はほぼ2倍のサイズになる。折り畳んだ場合及び展開して組み立てた場合のそれぞれの効果も同じである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の折畳式簡易建物の折り畳み状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図2】実施例1の折畳式簡易建物の床部材を展開した状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図3】実施例1の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図4】実施例1の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図5】実施例1の折畳式簡易建物の折り畳み状態の側面説明図。
【図6】実施例1の折畳式簡易建物の床部材及び天井部材を展開した状態の側面説明図。
【図7】実施例1の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の側面説明図。
【図8】実施例1の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の側面説明図。
【図9】図1のA−A線断面説明図。
【図10】図1のB−B線拡大断面説明図。
【図11】実施例2の折畳式簡易建物の折り畳み状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図12】実施例2の折畳式簡易建物の床部材を展開した状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図13】実施例2の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図14】実施例2の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の平面説明図(天井部材以上は省略)。
【図15】実施例2の折畳式簡易建物の折り畳み状態の側面説明図。
【図16】実施例2の折畳式簡易建物の床部材及び天井部材を展開した状態の側面説明図。
【図17】実施例2の折畳式簡易建物の、更に可動壁及び可動側壁を途中まで展開している状態の側面説明図。
【図18】実施例2の折畳式簡易建物の、展開完了(組み立て完了)時点の状態の側面説明図。
【図19】図11のC−C線断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の折畳式簡易建物を実施するための形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
<実施例1>
この実施例1の折畳式簡易建物は、図1〜図10に示すように、基本的に、両側中央に立設した二つの柱部材1、1の中心軸間をつなぐ仮装平面を対称の中心面として対称状態に構成するものである。
上記二つの柱部材1、1は、それぞれ、床部材(床部材及び第二の床部材)2の側辺中央に立設する。
該床部材2は、前記仮装平面の一方側、図1〜図9中で、左側から説明すると、その外端辺(一辺側)と中央部側(他辺側)との途中、この実施例1では、概ね前記仮装平面から1/4程度の距離の部分で外端側と中央側とに分割し、その間にヒンジ2h、2hを配して外端側を中央側に対して起伏自在に結合した構成としたものである。また該床部材2は、その両側辺の上面上に平行な各々二本の下部レール溝2m、2mを構成してある。この下部レール溝2m、2mは、特に図10に示すように、組立時に床部材2の外端辺に配されることになる可動壁3の両端下部に転動自在に配してあるローラ3r、3rがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。
【0020】
該床部材2は、前記仮装平面の両側に延びる全体に関して説明すると、その四辺及び中央の仮装平面の下部に沿って角材が配してあり、上記下部レール溝2m、2mは、詳細には、その両側辺の角材上に各々構成されている。また前記二つの柱部材1、1は、該床部材2の中央部に配された角材(横架材)の両端上に立設されている。なお、該床部材2は、それらの角材をフレームとして床を構成する板材が配されて全体が構成されている。
【0021】
該床部材2上には、特に図1〜図3及び図9に示すように、更に前記柱部材1、1の間に他の下部レール溝1mを構成する。この下部レール溝1mはこの位置に位置する角材(横架材)上に溝を形成して構成するものである。この下部レール溝1mには、同図に示すように、二つの下部可動部材4a、4bを該下部レール溝1mに沿って移動自在であるように設置する。該二つの下部可動部材4a、4bは、それぞれ該下部レール溝1mの長さ方向に沿って前後二つの転動自在なローラ4ar、4ar(4br、4br)を備えた部材であり、これによってスムーズに該下部レール溝1m中を転動移動自在となっている。
【0022】
前記柱部材1、1の上部には、図5〜図9に示すように、天井部材(天井部材及び第二の天井部材)5が固設される。
該天井部材5は、前記仮装平面の一方側、同図中で、左側から説明すると、その外端辺(一辺側)と中央側(他辺側)との途中、この実施例1では、概ね前記仮装平面から1/4程度の距離の部分で外端側と中央側とに分割し、その間にヒンジ5h、5hを配して外端側を起伏垂下自在に結合した構成としたものである。また該天井部材5は、その両側辺の下面に、図示しない平行な各々二本の上部レール溝が構成してある。この上部レール溝は、前記下部レール溝2m、2mと同様に、建物の組立時に床部材2及び天井部材5の外端に配されることになる可動壁3の両端上部に転動自在に配してある図示しないローラがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。
【0023】
該天井部材5は、前記仮装平面の両側に延びる全体に関して説明すると、その両側辺び中央の仮装平面の上部に沿って角材が配してあり、前記上部レール溝はその両側辺の角材の下面に各々構成されている。なお該上部レール溝は、前記床部材2の両側辺に構成してある下部レール溝2m、2mと上下反転させた形状に構成したものであり、前記のように、可動壁3の両端上部に転動自在に配してあるローラがその中に転動移動自在に装入されるようになっている。なお、該天井部材5は、それらの角材をフレームとして屋根の一部(両端側)を構成する板材が配してある。この板材は、外方に向かって下降傾斜するように角材に取り付けてある。
【0024】
前記二つの柱部材1、1の上端は、天井部材5の中央部に配された角材(横架材)の両端の下部に結合する。
該天井部材5の下面には、図5〜図9に示すように、更に前記柱部材1、1の間に上部レール溝1umを構成する。この上部レール溝1umはこの位置に位置する角材(横架材)の下面に溝を形成して構成するものである。この上部レール溝1umには、同図に示すように、二つの上部可動部材6a(6b)を該上部レール溝1umに沿って移動自在に設置する。該二つの上部可動部材6a(6b)は、それぞれ該上部レール溝1umの長さ方向に沿って前後二つの転動自在なローラ6ar、6ar(6br、6br)を備えた部材であり、これによってスムーズに該上部レール溝1um中を転動移動自在となっている。
【0025】
前記可動壁(可動壁又は第二の可動壁)3は、図1〜図9に示すように、前記床部材2及び天井部材5の下部レール溝2m、2m及び上部レール溝に、その両端の上部のローラ及び下部のローラ3r、3rが転動自在に装入され、その中央部近傍から外端まで転動移動自在に構成されているものである。該可動壁3自体は角材フレームとそれに貼り付けた板材で構成したものである。
【0026】
該可動壁3は、図1〜図8に示すように、その両側に各々可動側壁7と外ヒンジ3h、3hを介して接続する。また各可動側壁7、7は、それぞれ内ヒンジ7h、7hを介して前記下部可動部材4a、4b及び前記上部可動部材6a(6b)のそれぞれ一方ずつと接続する。
【0027】
該可動側壁(可動側壁又は第二の可動側壁)7、7は、特に図4及び図8に示すように、それぞれ建物の組立時に、床部材2及び天井部材5の両側辺に位置する。図1〜図9に示すように、可動壁3に接続する側の端部は、該可動壁3の端部近傍と、前記のように、上下の外ヒンジ3h、3hを介して接続し、前記下部可動部材4a、4b及び上部可動部材6a(6b)と接続する側の端部は、それぞれ該下部可動部材4a、4bと接続可能な最下部及び上部可動部材6a(6b)と接続可能な最上部でそれぞれと前記内ヒンジ7h、7hを介して接続したものである。従って、該下部可動部材4a、4b及び上部可動部材6a(6b)と接続した側の端部は前記下部レール溝1m及び上部レール溝1umに沿って移動可能であり、前記可動壁3の端部近傍の動きに従って床部材2及び天井部材5の側辺に沿って移動可能となっている。なお、該可動側壁7、7は、その四辺に角材を配し、両面に板材を張って構成したものである。
【0028】
前記下部可動部材4a、4bは、先に述べ、かつ図1〜図4及び図9に示すように、直方体状の部材で、その下部に、前後二つの転動自在なローラ4ar、4ar(4br、4br)を備えた部材である。該二つのローラ4ar、4ar(4br、4br)は、該下部可動部材4a、4bに、それぞれ前記下部レール溝1mの長さ方向に沿って並んだ状態に設置してある。該下部可動部材4a、4bは、前記のように、前記可動側壁7、7の一端の最下部に接続してあり、これによってそのローラ4ar、4ar(4br、4br)は下部レール溝1mから離脱しないようになっている。更にこれによって該下部可動部材4a、4bは、スムーズに該下部レール溝1mを移動可能となっている。
【0029】
前記上部可動部材6a(6b)は、以上の下部可動部材4a、4bと上下反転状態の構成であり、前記可動側壁7、7ともそのような反転状態の関係で接続しており、かつそのローラ6ar、6ar(6br、6br)も、そのような関係で、前記上部レール溝1umに配置されている。従って、これによって該上部可動部材6a(6b)は、スムーズに該上部レール溝1umを移動可能となっている。
【0030】
前記柱部材1、1の最上部には、図5〜図9に示すように、前記天井部材5の中央部の角材(横架材)を介して屋根部材(屋根部材及び第二の屋根部材)8を設置する。この屋根部材8は、以上のとおりであるから、前記仮装平面の直上に棟が位置する態様に構成し、その両側に延長する部分の外端は、前記天井部材5の外端辺側と中央側との境界を若干越えて外端辺側に若干被るところまで延長したものとする。
【0031】
なお、以上において、この実施例1の折畳式簡易建物は、その全ての構成が、前記仮装平面を対称中心面としてその両側で対称となる構成である。図中では、両側の同一構成物又は部位は同一符号を付してある。
【0032】
なおまた、この実施例1に於いて、特に材質をそれぞれ特定した説明をしなかったが、ヒンジやローラ等を除いては、木質である。もっとも、柱部材や角材は、これに代えて鉄骨を採用することもできる。材質は基本的に、必要な強度を確保できれば自由である。
【0033】
窓や出入り口などに関しては、説明しなかったが、前記可動壁3、3や可動側壁7、7…に既存の技法によって構成することが可能である。
【0034】
この実施例1の折畳式簡易建物によれば、これを容易にコンパクトに折り畳むことが可能であり、その結果、トラック等の貨物自動車での運搬や不使用時の倉庫等への保管に好都合である。
【0035】
折り畳みは、例えば、以下のように行う。
図4及び図8に示すように、組立状態から、図示しないロック手段によるロックを解除した上で、前記可動側壁7、7の中央部側の端部を、前記上部レール溝1um及び下部レール溝1mに沿って該上部レール溝1um及び下部レール溝1mの中央側に動かす。これは、前記したように、該可動側壁7、7の該当部位に結合し、かつ該上部レール溝1um又は下部レール溝1mに配された、上部可動部材6a(6b)及び下部可動部材4a、4bの作用によって容易に行うことができる。
【0036】
このように該可動側壁7、7を動かしながら、前記可動壁3を、床部材2及び天井部材5の外端の位置から前記仮装平面側に押す。そうすると、図3及び図7の過程を経て、図2及び図6に示すように、該可動側壁7、7が下部レール溝1m及び上部レール溝1umに接して、これと平行状態になり、該可動壁3も、該可動側壁7、7と接してこれと平行状態になる。このような該可動壁3の動きは、その両端上部及び下部のローラ3r、3r等が床部材2の両側の下部レール溝2m、2m及び天井部材5の両側の上部レール溝に転動自在に装入されて、そのとおりに動作するからである。
【0037】
この操作を、前記仮装平面の両側について行い、その後、図5及び図9に示すように、前記天井部材5の、該仮装平面の両側の前端辺側を、ロックを解除して屈曲垂下させ、更に、同図及び図1に示すように、前記床部材2の、該仮装平面の両側の前端辺側を起立させ、図示しないロック手段で、両者のその状態をロック保持状態とする。こうして折り畳み操作は完了である。このように折り畳めば、前記のように、運搬及び保管が容易に行えるようにになる。
【0038】
他方、以上のように、折り畳んだ状態で、前記のように、トラック等の貨物自動車に積んで所要の場所に移動し、クレーン等で適切な設置位置に配置した上で、容易に展開し、組み立てることができる。
【0039】
図1、図5及び図9の折り畳んだ状態から、図2及び図6に示すように、ロック手段を解除した上で、前記仮装平面の両側の天井部材5の外端側を引き起こし、かつ床部材2の外端側を倒す。またこの状態を保持するように、図示しないロック手段でロックする。
【0040】
この後、図3及び図7に示すように、前記可動壁3を天井部材5及び床部材2の外端側に引っ張る。同時に、その両側の前記可動側壁7、7の前記上部可動部材6a(6b)及び下部可動部材4a、4bと接続する側の端部をそれぞれ外側辺側(対応する柱部材1、1側)に移動させる。これを継続して行うと、図4及び図8に示すように、該可動壁3は、天井部材5及び床部材2の外端まで移動し、可動側壁7、7は、それぞれ、天井部材5及び床部材2の側辺に移動した状態になる。この段階で、この状態を保持すべく、図示しないロック手段でロックする。これを、前記仮装平面の両側について行えば、この実施例1の折畳式簡易建物の展開組立は完了である。
【0041】
こうして、この実施例1の折畳式簡易建物は、仮設の建物として有用に使用することができる。また建物の躯体構造部分に屈曲部がないので、構造が強固である利点がある。
【0042】
なお、窓や出入り口は、前記したように、可動壁3、3又は可動側壁7、7…のいずれかに設けておくことにより、人や物の出入りは、当然、可能であり、明かりを入れることも当然可能である。電気設備や、水道設備等も当然設置可能である。
【0043】
<実施例2>
実施例2の折畳式簡易建物は、図11〜図19に示すように、基本的に、実施例1の仮装平面の一方側だけからなる構成である。同図中では、実施例1と同一構成の部分に関しては同一の符号が付してある。実施例1と同一の部分は簡略に説明し、異なる部分に関してのみ詳しく説明する。
【0044】
この実施例2の折畳式簡易建物は、同図に示すように、かつ前記のように、前記仮装平面の一方側、同図中では、左側の構成は、実施例1のそれと全く同様である。境界である該仮装平面の直下及び直上並びに該境界から若干右側までは、右側を閉じる構成の都合上実施例1の該当する部位までと同様の構成が採用されている。
【0045】
前記床部材2は、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成であり、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。前記天井部材5も同様で、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成で、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。また屋根部材8も、同様であり、前記仮装平面の左側は実施例1のそれと全く同様の構成で、右側は柱部材1、1を僅かに越える部位まで延長状態となっている。
【0046】
柱部材1、1は、前記仮装平面の両側にまたがった位置に位置するが、これは、実施例1のそれと全く同様の構成である。また、この位置の内側上下に位置する、下部レール溝1m、上部レール溝1um、下部可動部材4a、4b、上部可動部材6a(6b)もまた実施例1のそれらと全く同様の構成である。なお、該下部可動部材4a、4b及び該上部可動部材6a(6b)は、それらの右側に可動側壁7、7がないので、それらとの接続関係がない点は実施例1のそれらと異なる。
【0047】
前記仮装平面の左側に位置する、可動壁3及び可動側壁7、7並びにそれらに付属する種々の部材も又先に述べたとおり、実施例1のそれらと全く同様の構成である。
【0048】
この実施例2では、実施例1とは異なる新しい部材が一つあり、これは、固定壁9である。この固定壁9は、図11〜図19に示すように、両側の前記柱部材1、1の右側に当接させ、右側に突出している床部材2の端部上に載せ、かつ右側に突出している天井部材5の端部下面に接して配し、その状態で固定し、建物の右側を閉じたものである。窓等の開口部や各部の材質その他に関しては、実施例1と同様である。
【0049】
実施例2の折畳式簡易建物は、基本的に、前記仮装平面を中心平面として対称に構成した実施例1の片側(左側)だけの構成であるから、その用法も、片側だけの操作が行われるのみで、操作方法自体は同じである。
【0050】
図11、図15及び図19に示すように、折り畳めば、トラック等の貨物自動車での運搬や倉庫での保管に好都合であり、展開して組み立てれば、仮設の建物として安全且つ有用に使用することができる。小型になるのみで、実施例1の折畳式簡易建物と同様に有用に使用できる。
【0051】
展開組立は、当然、所定の使用場所に運んだ上で行うものであるが、まず図12及び図16に示すように、床部材2の外端側を倒し、天井部材5の外端側を引き起こし、それぞれ図示しないロック手段でその状態にロックする。次いで、図13及び図17に示すように、可動壁3を床部材2及び天井部材5の外端側に引っ張り、同時に両可動側壁7、7の内端側をそれぞれ対応する柱部材1、1側に動かす。これらを必要なだけ継続し、図14及び図18に示すように、可動壁3を該床部材2及び天井部材5の外端まで移動させ、可動側壁7、7を床部材2及び天井部材5の両側に平行になるまで移動させ、それらの状態を図示しないロック手段でロックすると、展開組立は完了である。
【0052】
折畳操作は、以上の逆の手順で行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
折畳式簡易建物の製造の分野で有用に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 柱部材
1m 二つの柱部材の間の床部材に配した下部レール溝
1um 二つの柱部材の間の天井部材の下面に配した上部レール溝
2 床部材
2h 床部材の外端側と中央側との境界のヒンジ
2m 床部材の側辺の下部レール溝
3 可動壁
3h 可動壁と可動側壁とを接続する外ヒンジ
3r 可動壁の両端下部のローラ
4a、4b 下部可動部材
4ar、4br 下部可動部材のローラ
5 天井部材
5h 天井部材の外端側と中央側の境界に配したヒンジ
6a(6b) 上部可動部材
6ar(6br) 上部可動部材のローラ
7 可動側壁
7h 可動側壁と下部可動部材及び上部可動部材とを接続する内ヒンジ
8 屋根部材
9 固定壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した天井部材と、
該床部材の該他辺側及び該天井部材の他辺側の間に立ち上げて配した固定壁と、
該床部材の該固定壁の両端内側の位置に立ち上げた柱部材と、
該両柱部材の間の該床部材を構成する横架材上に配した下部レール溝及び該両柱部材の間の該天井部材を構成する横架材の下面に構成した上部レール溝と、
該下部レール溝に配した二つの下部可動部材であって、各々該下部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した下部可動部材及び該上部レール溝に配した二つの上部可動部材であって、各々該上部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した上部可動部材と、
該一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する該一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する可動壁の一端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する該他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する該可動側壁の他端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記床部材の下部レール溝及び前記天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた可動壁と、
前記両柱部材の上端に固定した屋根部材であって、前記天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した屋根部材と、
で構成した折畳式簡易建物。
【請求項2】
前記固定壁を第二の可動壁に代え、
前記両柱部材の中心間をつなぐ平面を対称の中心面として対称状態に、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した、前記床部材から対称他側に延長する第二の床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した第二床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した、前記天井部材から対称他側に延長する第二の天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した第二の天井部材と、
前記一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する前記一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の一端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
前記他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する前記他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の他端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した前記固定壁から代えた第二の可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記第二の床部材の下部レール溝及び前記第二の天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた第二の可動壁と、
前記屋根部材から対称他側に延長する第二の屋根部材であって、前記第二の天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した第二の屋根部材と、
を構成した請求項1の折畳式簡易建物。
【請求項1】
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した天井部材と、
該床部材の該他辺側及び該天井部材の他辺側の間に立ち上げて配した固定壁と、
該床部材の該固定壁の両端内側の位置に立ち上げた柱部材と、
該両柱部材の間の該床部材を構成する横架材上に配した下部レール溝及び該両柱部材の間の該天井部材を構成する横架材の下面に構成した上部レール溝と、
該下部レール溝に配した二つの下部可動部材であって、各々該下部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した下部可動部材及び該上部レール溝に配した二つの上部可動部材であって、各々該上部レール溝に沿ってその中央部から対応する柱部材までの間を移動自在であるように構成した上部可動部材と、
該一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する該一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する可動壁の一端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する該他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記固定壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される可動側壁であって、他端を前記固定壁に対面する該可動側壁の他端側にヒンジ結合した可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記床部材の下部レール溝及び前記天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた可動壁と、
前記両柱部材の上端に固定した屋根部材であって、前記天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した屋根部材と、
で構成した折畳式簡易建物。
【請求項2】
前記固定壁を第二の可動壁に代え、
前記両柱部材の中心間をつなぐ平面を対称の中心面として対称状態に、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲起立可能に構成した、前記床部材から対称他側に延長する第二の床部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺上面に下部レール溝を構成した第二床部材と、
一辺側と他辺側の途中で該一辺側を屈曲垂下可能に構成した、前記天井部材から対称他側に延長する第二の天井部材であって、該一辺側及び他辺側に直交する両側辺下面に上部レール溝を構成した第二の天井部材と、
前記一方の下部可動部材にその一端下部を、該一方の下部可動部材と上下対応する前記一方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の一方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の一端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
前記他方の下部可動部材にその一端下部を、該他方の下部可動部材と上下対応する前記他方の上部可動部材にその一端上部を、各々ヒンジ結合した、前記可動壁に直交する他の他方の側辺に移動して配される第二の可動側壁であって、他端を前記可動壁に対面する前記固定壁から代えた第二の可動壁の他端側にヒンジ結合した第二の可動側壁と、
該両可動側壁とヒンジ結合した前記固定壁から代えた第二の可動壁であって、その両端下部及び両端上部に、それぞれ前記第二の床部材の下部レール溝及び前記第二の天井部材の上部レール溝に移動自在に装入する従動部材を備えた第二の可動壁と、
前記屋根部材から対称他側に延長する第二の屋根部材であって、前記第二の天井部材の一辺側と他辺側の途中の該一辺側を屈曲垂下可能にした部位より外方までその先端を延長した第二の屋根部材と、
を構成した請求項1の折畳式簡易建物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−137353(P2011−137353A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86(P2010−86)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【特許番号】特許第4522491号(P4522491)
【特許公報発行日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(510005247)前田工業株式会社 (2)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【特許番号】特許第4522491号(P4522491)
【特許公報発行日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(510005247)前田工業株式会社 (2)
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