説明

折返し片を有する搬送物の集積装置

【課題】折返し片を有することが原因で厚み方向に膨らみがあり、且つ、厚みが一定しない「のし袋」等を搬送物として、この搬送物を所定位置にて確実に積み重ねて段積み状態にし、整然と集積する作業を機械化できるものとし、もって、袋詰めなどの作業の機械化を実現できるようにする。
【解決手段】搬送物Wを1枚ずつ集積準備位置16へ搬送することを繰り返す搬入手段17と、集積準備位置16に搬送物Wが搬入されるたびに当該搬送物Wを上昇させて集積準備位置16に対して次ぎに搬入される搬送物Wの搬入スペースSを形成させる持ち上げ手段19と、集積準備位置16上へ上昇させられた集積単位で最初となる搬送物Wに対してその上面を下方へ押圧することで当該搬送物Wの本体片bと折返し片fとを重合状に当接させる均し手段18とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折返し片を有する搬送物の集積装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、紙を折り畳んで「のし袋」等として使用する袋Wでは、長方形状をした袋本体bの上下両短辺部から裏側に向けて一対の折返し片fが生じるようになっているが、これらの折返し片fは袋本体bに対する折り癖が弱く、元の平坦な角度に戻ろうとする力が残っている。そのため、この種の袋Wは、厚み方向(t寸法参照)に膨らみを有したものとなっている。
【0003】
ところで、この種の袋Wは、複数枚(例えば10枚)をセットにして樹脂フィルム製の包装袋へ袋詰めした状態で販売することがある。従来、この袋詰めをするための作業は、各袋Wに厚み方向の膨らみがあり、且つ、厚さtが一定しないこと等が要因となり、手作業で行わざるを得ないものであった。
なお、この種の袋Wとは異なり、厚みが薄い物品や厚みが一定の物品を袋詰めする場合、或いは単一の物品を個別に袋詰めする場合であれば、前記したような袋詰め作業を機械化することは実現されている。例えば、特許文献1には、包装袋の素材(フィルム)を巻いた原反からフィルムを帯状に巻き出し、フィルムの帯幅を略半減させるように二つ折りしながら、フィルムの巻き出し方向に沿って接着剤の塗布(袋蓋封止用の糊部を形成)、及び溶断(袋幅に合わせた切断と同時に袋幅に相当する側縁の溶着)を行い、その後に、袋口の開口、袋内への物品の押し込み、袋蓋の封止、をこの順番で行う装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4342089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように、厚み方向に膨らみがあり、且つ、厚さtが一定しない「のし袋」等の袋Wを、しかも複数枚をセットにして袋詰めする作業は、手作業で行わなければならなかったため、非効率的であり、またコストダウンの妨げとなっていた。殊に、包装袋の製袋工程と袋詰め作業とを別々で行うことになるため、途中に荷造りや輸送作業、荷ほどき等の作業が必要になる等の問題も生起していた。
【0006】
そこで、この袋詰め作業の機械化が希求されるところとなっていたが、この種の袋Wについては、そもそも袋詰め位置まで搬送して位置決め停止させること自体、非常に困難であるばかりか、所定枚数を確実に計数しつつ段積み状態にし、整然と集積することは更に困難なものとされていた。それ故、袋詰め作業の機械化は実質的に不可能か、又は可能であったとしても装置構成が複雑となって実現が難しいとされていた。
【0007】
なぜなら、前記袋Wでは、折返し片fが袋本体bに対して元の平坦な角度に戻ろうとするため、一枚ごとに厚さtが一定せず、しかも載置安定性に欠けたものとなっている(複数枚の袋Wを段積みすれば当然に不安定さも積算される)ことが大きなネックとなるからであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、折返し片を有することが原因で厚み方向に膨らみがあり、且つ、厚みが一定しない「のし袋」等を搬送物として、この搬送物を所定位置にて確実に積み重ねて段積み状態にし、整然と集積する作業を機械化できるものとし、もって、袋詰めなどの作業の機械化をも実現させることができる、折返し片を有する搬送物の集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る折返し片を有する搬送物の集積装置は、扁平な本体片の表側又は裏側に折返し片が設けられた搬送物を1枚ずつ集積準備位置へ搬送することを繰り返す搬入
手段と、前記搬入手段により集積準備位置に搬送物が搬入されるたびに当該搬送物を上昇させて集積準備位置に対して次ぎに搬入される搬送物の搬入スペースを形成させる持ち上げ手段と、前記持ち上げ手段により集積準備位置上へ上昇させられた集積単位で最初となる搬送物に対してその上面を下方へ押圧することで当該搬送物の本体片と折返し片とを重合状に当接させる均し手段と、を有していることを特徴とする。
【0009】
このように集積装置として均し手段を具備した構成にすることで、集積しようとする搬送物や、集積中の搬送物、或いは集積後の搬送物を、折返し片と本体片とが重合状に当接する状態に保持させることができる。すなわち、搬送物を折返し片をも含めて扁平に整形できるので、搬送物の厚さを一定させ、載置安定性を高めることができる。そのため、搬送物を集積準備位置にて段積み状態で整然と集積させることが可能となる。このような集積装置を用いれば、集積した複数の搬送物を後の工程で袋詰めすることも機械化できるようになる。
【0010】
前記均し手段は、集積準備位置の側部で長手方向を縦方向に向けて設けられた縦ガイドと、この縦ガイドに沿って上下動自在に設けられた昇降部材と、この昇降部材に設けられて集積準備位置に搬入された搬送物の上面へ向けて突出する押圧状態と搬送物から離反する退避状態とに切替動作する押圧部材とを有しており、昇降部材は押圧部材を含めた自荷重で縦ガイドに沿って落下する状態に保持されているものとすることができる。
【0011】
このような構成であると、搬送物に押圧負荷(搬送物の上面を下方へ押圧する力)を付与するための動力が不要となり、構成の簡潔化が図れる利点がある。
前記均し手段の押圧部材は、集積準備位置に搬入された搬送物の上方へロッドを伸縮させる流体圧シリンダのロッドにより構成されているものとするのが好適である。
前記均し手段は、集積準備位置を挟んだ両側部において互いに対向する配置で一対、設けられており、集積準備位置に搬入された集積単位で最初となる搬送物に対して片側の均し手段が択一的に押圧負荷を付与可能となっているものとすることができる。
【0012】
このような構成であると、片側の均し手段が押圧負荷を付与しているときに、他方側の均し手段を次ぎの集積作業に向けて準備させること(所定位置へ移動させる等)が可能になるので、集積装置としての作動効率を高めることができる。
前記持ち上げ手段は、集積準備位置に搬入された搬送物の対向二辺に下から当接する一対の係合片と、これら一対の係合片を同期させて上昇させる上昇機構とを有しているものとすることができる。
【0013】
前記持ち上げ手段の上昇機構は、一対の係合片が当接する搬送物の対向辺部に各々平行して設けられた一対の回動軸と、これら一対の回動軸を同期回動させる回動駆動部とを有しており、一対の回動軸にはそれらの軸心まわりに放射状配置で複数の係合片が突出して設けられ、回動駆動部は各回動軸から互いに向き合って突出する係合片同士が上方移動する方向で一対の回動軸を係合片の放射状配置ピッチに合わせて間欠回動可能とされたものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る集積装置では、折返し片を有することが原因で厚み方向に膨らみがあり、且つ、厚みが一定しない「のし袋」等を搬送物として、この搬送物を所定位置にて確実に積み重ねて段積み状態にし、整然と集積する作業を機械化できるものであり、これにより袋詰めなどの作業の機械化も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】均し手段の動作状況を示した側面図(図4のC−C線断面図に相当)である。
【図2】本発明に係る集積装置の第1実施形態を用いて構成した袋詰めラインの平面図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】持ち上げ手段の動作状況を示した斜視図である。
【図6】均し手段を示した斜視図である。
【図7】折返し片を有する搬送物の製作状況(折り畳みかた)を説明した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。図1乃至図6は、本発明に係る集積装置1の第1実施形態を示している。
本第1実施形では、図2に示すように、樹脂フィルム製の包装袋を製袋する製袋ライン2の出口部へ向けて、集積装置1により集積した搬送物が送り出されるようにこの集積装置1を設置してあり、これによって袋詰めライン3の構成を実現化させた場合を例示してある。すなわち、この袋詰めライン3では、所定枚数の搬送物を集積直後に、この集積搬送物を製袋直後の包装袋へ逐次、袋詰めしつつ、次工程へ向けて送り出すことができる。
【0017】
また、本第1実施形態において搬送物は、図7に示した「のし袋」等の袋Wとする場合を説明する。すなわち、この搬送物は、扁平な長方形状をした本体片の表側又は裏側に、その上下両短辺部から裏側に向けて一対の折返し片が生じたものである。以下では、搬送物に符号Wを、本体片に符号bを、また折返し片に符号fを適用して説明する。
なお、製袋ライン2は、フィルムの原反を保持させる原反保持部4、巻き出したフィルムの帯幅を略半減させるように二つ折りにする折り部5、フラップ等にする部品の取り付けを行う部品取付部6、印刷部7、吊り孔等を開ける加工部8、包装袋の袋幅に合わせた切断ピッチで切り出す溶断部9などが、この順番で連設されたものである。また、袋詰めライン3は、集積装置1の出口部から製袋ライン2の出口部(溶断部9の下流位置)へ向けて搬送物Wを集積単位(例えば10枚の搬送物Wを1単位とする)ごとに搬送する移送手段10、袋詰め装置11、袋詰め完了品を搬出する搬出手段12などが、この順番で連設されたものである。
【0018】
図3に示すように、集積装置1は、装置フレーム15内に設定した集積準備位置16へ向けて搬送物Wを搬送する搬入手段17と、集積準備位置16に搬入された搬送物Wを逐一、所定高さに上昇させながら段積み状に集積するための均し手段18及び持ち上げ手段19とを有している。
本第1実施形態において、集積準備位置16は、装置フレーム15内を貫通するように架け渡されたベルトコンベア等の中央コンベア20のうち、装置フレーム15内の略中央を通過する上部領域(搬送領域)で設定されている。この中央コンベア20は、連続的に搬送駆動されるものとしてもよいし、搬送物Wの集積単位に合わせて間欠的に搬送駆動されるものとしてもよい。中央コンベア20は、帯ベルトコンベアでも紐ベルト(断面がV形や丸形等のベルト)コンベアでもよい。或いは、中央コンベア20を用いず、搬送物Wを滑らすように支持するシュートやレール、テーブルなどの上部領域として設定することもできる。
【0019】
また図4に示すように、この集積準備位置16と前記した移送手段10との乗り継ぎ間には、集積準備位置16が下方で移送手段10が上方となる相当距離の高低差を生じさせてある。そのため、集積準備位置16の上部で集積された後の搬送物Wを移送手段10へ移載させるために、リフト手段21を設けてある。このリフト手段21の細部構造及びその付設構造については後述する。
【0020】
まず、搬入手段17について説明する。
この搬入手段17は、搬送物Wを1枚ずつ集積準備位置16へ搬送することを繰り返すように構成されたもので、図3に示すように、本第1実施形態では搬送物Wの搬送方向に沿って、装填台23と切り出し手段24と姿勢調整手段25と送出コンベア26とが、この順番で互いに連結されたものとなっている。
【0021】
装填台23は、作業者による手作業又は移載装置などにより、多数枚の搬送物Wを集積作業へ向けて装填する部分であって、駆動式又は非駆動式のベルトコンベアやシュート、テーブル等によって構成されている。この装填台23上に対し、搬送物Wは、折返し片fを互いに挟み込ませながら重ね合わせ、本体片bにおける一方の長辺部を下に向けるように起立させて載置する(図2参照)。また、折返し片fが搬送方向の下流側(集積準備位置16の方向)へ向くようにする。この装填台23には、載置された搬送物Wが上方や搬
送方向の左右側方へ位置ズレを生じさせないようにするガイド部材27,28が設けられている。
【0022】
切り出し手段24は、装填台23上に載置された多数枚の搬送物Wから1枚ずつを確実に切り出して送り出すようにする部分であって、装填台23上の最前位置(搬送方向において最も下流側)で起立する搬送物Wに当接して、当該搬送物Wに下向きの移動力を付与する縦送り型のベルトコンベア等によって構成されている。
姿勢調整手段25は、切り出し手段24によって1枚送りされた起立姿勢の搬送物Wを水平姿勢に姿勢変換させる部分であって、凸円弧形のベルト架け部が設けられた凸側ベルトコンベア30と、この凸側ベルトコンベア30における凸円弧形のベルト架け部に重合する凹円弧形のベルト架け部が設けられた凹側ベルトコンベア31とを有している。これら両ベルトコンベア30,31は、凸円弧形のベルト架け部と凹円弧形のベルト架け部との重合部分で搬送物Wを表裏両面側から挟持して搬送できるように、同速、同方向に駆動される。
【0023】
送出コンベア26は、姿勢調整手段25によって水平姿勢に姿勢変換された搬送物Wを集積準備位置16へ送り出す部分であって、搬送物Wの上面側及び下面側に同時に当接するように設けられた上下一対のベルトコンベア32,33と、下側のベルトコンベア33から搬送物Wを乗り移らせて集積準備位置16まで搬送する前記中央コンベア20とによって構成されている。下側のベルトコンベア33と中央コンベア20とは一体的に(一連に)構成させることもできる。
【0024】
なお、このような構成の搬入手段17において、姿勢調整手段25の両ベルトコンベア30,31による重合部分や、送出コンベア26の両ベルトコンベア32,33による重合部分では、搬送物Wをその表裏両側から挟持する構成であり、搬送物Wは本体片bと折返し片fとが重合状に当接した扁平状態を保持し、また搬送中の位置ズレが防止されるようになっている。
【0025】
次に、持ち上げ手段19について説明する。
図4及び図5に示すように、この持ち上げ手段19は、搬入手段17によって集積準備位置16に搬送物Wが搬入されるたびに、この集積準備位置16の搬送物Wを所定高さに上昇させる部分である。持ち上げ手段19が搬送物Wを上昇させる高さは、上昇後の搬送物Wが、次ぎに集積準備位置16に搬入される搬送物Wと接触しないようになる高さとする。すなわち、この持ち上げ手段19は、集積準備位置16を開放して空きスペースにする、言い換えれば、次の搬送物Wを受け入れるための搬入スペースS(図5(B)参照)を形成させるようにする。
【0026】
この持ち上げ手段19は、集積準備位置16の両側(中央コンベア20の両脇であって中央コンベア20とは接触しない位置)に振り分けて設けられた一対の係合片37,37と、これら一対の係合片37,37を同期させて上昇させる上昇機構38とを有している。
一対の係合片37,37は、集積準備位置16に搬入された搬送物Wに対し、その対向二辺に下から当接するように設けられている。本第1実施形態において、係合片37,37は板状に形成されたものとしてあり、また、集積準備位置16に搬入されて折返し片fが上側へ向けられた搬送物Wに対し、略水平状態となって折返し片f側の辺部(短辺部)の下面に面接触するようにしてある。
【0027】
上昇機構38は、一対の係合片37,37を、搬送物Wと当接する辺部とは反対側となる辺部側でそれぞれ回動軸40,40により支持する構造にして、これら回動軸40,40を回動させることにより、係合片37,37の搬送物Wと当接する辺部(回動軸40から見た突端部)を上昇させるようになっている。すなわち、回動軸40,40は、係合片37,37が当接する搬送物Wの辺部と軸心方向を平行させて設けられており、係合片37,37は、このような回動軸40,40から径方向へ突出する状態で設けられたものと言える。
【0028】
回動軸40,40は、回動駆動部41によって相対逆方向へ同期回動される。回動駆動部41において、回動軸40,40を回動させる方向は、係合片37,37が当接する(
支持する)搬送物Wを上昇させる方向であることは言うまでもない。
また、回動駆動部41による回動軸40,40の回動角度は、係合片37,37が搬送物Wを上昇させることのできる範囲内(90°未満)に制限されている。すなわち、回動軸40,40を90°以上回動させると、係合片37,37の突端部間は相互離反して搬送物Wが落下してしまうので、90°未満に制限する必要がある。
【0029】
具体的には、図5(A)に示すように、一対の係合片3、37は当初、略水平状態で待機しており、集積準備位置16に搬送物Wが搬入されると回動軸40,40が25°〜45°程度回動し、係合片37,37の突端部を上方へ向けて同じ角度で周移動させるものとしてある。回動駆動部41は、回動軸40,40の回動角度を細かく設定できるようにするために、動作角度を高精度に制御可能なパルスモータやサーボモータ等を駆動源43(図4参照)として、歯付きベルト等の伝動手段44で回動軸40,40へ動力を伝える構成とするのが好適である。
【0030】
また、本第1実施形態では、各回動軸40のまわりに均等間隔の放射状配置となるようにして複数の係合片37を設けてある。回動軸40,40間において、それらのまわりに係合片37を設ける枚数及び放射状配置ピッチは同じに揃えてあり、また、回動軸40,40から集積準備位置16へ向けて対向突出するようになる係合片37,37同士が互いに対を成すものとして、水平状態で面一になる関係を保つようにしてある。
【0031】
具体的には、係合片37の放射状配置ピッチを36°として、1本の回動軸40に合計10枚の係合片37が設けられるようにしている。従って、回動駆動部41は、各回動軸40,40を36°間隔で、相対逆方向に間欠回動させることになる。
図5(B)に示すように、集積準備位置16に搬送物Wが搬入されるたびに、回動軸40,40の間欠回動によって集積準備位置16の搬送物Wが上昇されるということが繰り返されると、集積準備位置16(水平位置)の上方36°の位置で停止する係合片37,37の突端部間では、搬送物Wが次々に下側へ補充されて(積み重ねられて)ゆき、その結果として、集積単位を形成する枚数の搬送物Wが段積み状態に集積されるようになる。なお、36°の位置で停止する係合片37,37は、回動軸40,40が間欠回動するたびに、それぞれの回動軸40,40のまわりで次々に入れ替わるものであることは言うまでもない。
【0032】
次に、均し手段18について説明する。
図1及び図6に示すように、均し手段18は、集積準備位置16に搬入された集積単位で最初となる搬送物W(集積が開始される最初の搬送物W)に対してその上面を下方へ押圧することで、この搬送物Wの本体片bと折返し片fとを重合状に当接させる部分である。
【0033】
この均し手段18が、実際に搬送物Wに対して押圧を開始するタイミングは、特に限定されるものではない。例えば、前記持ち上げ手段19が、集積単位の最初となる搬送物Wを持ち上げるときから既に、この搬送物Wを押圧開始するものとしてもよいし、集積単位を形成させる枚数の搬送物Wについて集積が完了したときに、最も上の搬送物Wを押圧開始するものとしてもよい。勿論、集積の途中から、最も上の搬送物Wを押圧開始するものとしてもよい。但し、集積が完了したときには、必ず、最も上の搬送物W(この搬送物Wは「集積単位の最初となる搬送物W」である)を押圧した状態にする。本第1実施形態では、集積の途中から押圧開始する構造を採用した。
【0034】
いずれにしても、この均し手段18は、集積単位の最初となる搬送物Wに対して下向きに押圧負荷を付与するようになっているので、集積された全ての搬送物Wが下方への押圧負荷を受けることとなり、いずれの搬送物Wも、本体片bと折返し片fとを重合状に当接させた扁平な状態に整形されるものである。
この均し手段18は、集積準備位置16の側部で長手方向を縦方向に向けて設けられた縦ガイド47と、この縦ガイド47に沿って上下動自在に設けられた昇降部材48と、この昇降部材48に設けられた押圧部材49とを有している。
【0035】
本第1実施形態において、縦ガイド47は複数本(図例では2本)の丸棒を平行に起立させたものとしてあり、昇降部材48は、これら複数本の丸棒が上下方向に貫通されるブ
ロック体により形成されたものとしてある。また、昇降部材48には、集積準備位置16へ搬入された搬送物Wへ向く側面にブラケット50が設けられ、このブラケット50を介して押圧部材49が設けられたものとしてある。
【0036】
昇降部材48は、押圧部材49を含めた自荷重で縦ガイド47に沿って落下する状態に保持されている。縦ガイド47に沿った昇降部材48の上下動を摺動抵抗や振動の少ない状態に保持させるために、昇降部材48に対して軟質金属製又は樹脂製の滑りガイド部材や回動自在なガイド輪などを設けるのが好適となる。
縦ガイド47が複数本の丸棒を有していることにより、昇降部材48は水平面に沿った旋回が阻止される(回り止めされる)ようになっている。なお、縦ガイド47は角棒やH断面の条材等によって形成することもでき、縦ガイド47をこれらの断面形にする場合には、昇降部材48との係合状態で昇降部材48が水平旋回をすることがないので、1本だけで構成させることも可能である。
【0037】
押圧部材49は、集積準備位置16に搬入された搬送物Wの上面へ向けて突出する押圧状態と、搬送物Wから離反する退避状態とに切替動作するようになったもので、具体的には、搬送物Wの上方へロッド51aを伸縮させる流体圧シリンダ51のロッド51aにより構成されている。
なお、本第1実施形態では、搬送物Wの個々の折返し片fに各別に対応させるように、搬送物Wの長辺部で、互いに所定間隔をおいて2本の押圧部材49を設けてあり(即ち、押圧部材49は一対ある)、従って各押圧部材49に対応させるように、昇降部材48や縦ガイド47も2組設けられたものとしてある。
【0038】
ただ、このように押圧部材49を一対設けることが限定されるものではなく、搬送物Wの長辺部に相当する長さの押圧部材49を採用して両方の折返し片f,fを一度に押圧できるようにする場合には、搬送物Wの短辺部に向けて1本の押圧部材49を設けるようにしてもよく、当然に、昇降部材48や縦ガイド47も1組でよいことになる。
本第1実施形態では、均し手段18(一対の押圧部材49,49とこれらを上下動自在に保持する構造)は、集積準備位置16を挟んだ両側部において互いに対向する配置で一対、設けられたものとしている。
【0039】
これら一対の均し手段18,18は、集積準備位置16に搬入された集積単位で最初となる搬送物Wに対して、片側の均し手段18が択一的に押圧負荷を付与可能となっている。すなわち、片側の均し手段18(搬送物Wの一方の長辺部に対応する側に並んだ一対の押圧部材49,49)が搬送物Wに対して押圧負荷を付与している間に、他方側の均し手段18(搬送物Wの他方の長辺部に対応する側に並んだ一対の押圧部材49,49)は搬送物Wから離反して接触しない位置へ退避するようになっている。
【0040】
退避した均し手段18は、集積準備位置16に対応する下方の位置まで落下移動して、次ぎの集積作業に向けて準備することができる。
なお、前記したように集積準備位置16の上部で集積された後の搬送物Wは、この上方に距離をおいて設けられた移送手段10へ移載させる必要があり、このために集積準備位置16の上方にはリフト手段21が設けられている。
【0041】
図1に示すように、このリフト手段21は、集積準備位置16で集積されたうち、最も下位の搬送物Wに対し、その両側下面に当接して掬い上げるように設けられた一対のリフトコンベア60,60を有している。
各リフトコンベア60は、移送手段10よりも上方となる位置(図4参照)に設けられた上側の巻掛けローラ62と、中央コンベア20の上面、即ち、集積準備位置16よりも若干高い位置(図4参照)に設けられた下側の巻掛けローラ63と、これら上下2本の巻掛けローラ62,63に架け渡されたエンドレスの伝動部材64とを有し、伝動部材64の外向き面に、掬い片65が外方突出して設けられたものとなっている。
【0042】
掬い片65は、下側の巻掛けローラ63のまわりで伝動部材64をUターン状に移動させたとき、持ち上げ手段19の一対の係合片37,37とは接触干渉しないが、これら係合片37,37の突端部間で搬送物Wが保持されているとき(図1(A)及び図5(B)に示した状態)には、この搬送物Wの下面と係合するように、その大きさが設定されてい
る。
【0043】
掬い片65は、伝動部材64の周方向で単一的に設けてもよいし、複数設けてもよい。図例では、伝動部材64の周方向に沿って互いに均等間隔をおいて3つの掬い片65を設けてある。一対のリフトコンベア60,60間において、掬い片65の設けられる数や複数設けられる場合の相互間隔は同じとされていることは言うまでもない。また、一対のリフトコンベア60,60間において、互いの掬い片65が集積準備位置16を介して面一に対向する関係を保持するものであり、且つ、互いに同期して上昇するように駆動されることも、当然である(図4中に、上側の巻掛けローラ62に連結した駆動用モータ66を示す)。
【0044】
掬い片65を複数設けておけば、先行する掬い片65によって集積後の搬送物Wを上方の移送手段10まで上昇させるのと同時に、後行する掬い片65を、次に集積される搬送物Wへ向けた待機位置へ移動させておくことが可能となり、稼働効率を高めることに繋がる利点がある。
図4に示すように、リフト手段21には、上昇させた集積後の搬送物Wを移送手段10へ乗り移らせるための押し込み手段70が設けられている。この押し込み手段70は、流体圧シリンダ71により押し板72を前進させる構造とするのが、構造簡潔となり、好適である。
【0045】
更に、このリフト手段21には、集積後の搬送物Wを移送手段10へ乗り移らせる高さまで上昇させるときに、集積後の搬送物Wが水平方向で位置ズレを生じることがないようにする整列枠75を設けてある(図6参照)。この整列枠75は、搬送物Wの四隅部(長辺部の両端寄り)に近接させた複数箇所(図例では4箇所としたが3箇所以下又は5箇所以上でもよい)で、長手方向を上下方向へ向けて棒材(図例ではL型アングル材)を立設させたものであって、搬送物Wが位置ズレを起こそうとすると直ちに接触する配置として、その位置ズレを防止する。
【0046】
次に、本発明に係る集積装置1の動作状況を説明する。
図2及び図3に示すように、搬入手段17の装填台23へ多数の搬送物Wを載せると、切り出し手段24、姿勢調整手段25及び送出コンベア26を介して、搬送物Wが1枚ずつ、水平姿勢(本体片bにおける一方の長辺部が搬送方向の前方へ向けられ、この本体片bにおける両側の短辺部から上側へ折返し片f,fが向けられている姿勢)とされながら集積準備位置16へ搬送されるようになる。
【0047】
図5(A)及び(B)に示すように、集積準備位置16に1枚の搬送物Wが搬入されると、持ち上げ手段19が一対の係合片37,37を搬送物Wの下面に係合させ、そのまま係合片37,37を上昇させて搬送物Wを集積準備位置16の上方へ上昇させる。持ち上げ手段19は、この段階で一旦、停止(間欠停止)する。
従って、上昇後の搬送物Wは、上昇した係合片37,37の突端部によって保持され、また集積準備位置16上は開放されて、次の搬送物Wを受け入れるための搬入スペースSが形成される。
【0048】
この状態で、搬入手段17による集積準備位置16への搬送物Wの搬入と、持ち上げ手段19による係合片37,37の上昇とが交互に繰り返される。かくして、上昇した係合片37,37の突端部間では、搬送物Wが次々に下側へ補充されて(積み重ねられて)ゆき、その結果として、集積単位を形成する枚数(例えば10枚)の搬送物Wが段積み状態に集積されるようになる。
【0049】
搬送物Wの集積枚数は、例えば、集積準備位置16の下方に接触型又は非接触型のセンサ(図示略)を上向きに設けておき、このセンサで集積準備位置16を通過する搬送物Wを検出させて、計数することで、把握することができる。
持ち上げ手段19が搬送物Wの集積を行っている途中で、最も上の搬送物Wが所定の高さとなると、図1(A)及び図6に示すように、次に、均し手段18が一対の押圧部材49,49を集積準備位置16の上部へ進出させた状態として、この押圧部材49,49及び昇降部材48,48を下降させる。従って、最も上の搬送物Wの上面を、押圧部材49,49によって下方へ押圧することになる(この搬送物Wは集積単位で最初となる搬送物
である)。そのため、搬送物Wは折返し片fと本体片bとが重合状に当接する状態となって、折返し片fをも含めて扁平に整形されることになる。これにより搬送物Wは、厚さが一定化され、載置安定性が高まる。
【0050】
なお、押圧部材49が最も上の搬送物Wの上面を押圧した後、持ち上げ手段19が更に搬送物Wを上昇させるようになったとしても、均し手段18は上昇する搬送物Wと一緒に上昇するようになり、機械的に何ら問題はない。
むしろ、集積中又は集積完了後の全ての搬送物Wに対し、この均し手段18による下方への押圧負荷が常に付与された状態となるので、いずれの搬送物Wも、本体片bと折返し片fとを重合状に当接させた扁平な状態に整形され、また位置ズレを起こし難い状態を保持されるという利点がある。
【0051】
図1(B)に示すように、集積単位を形成する枚数の搬送物Wの集積が終わると、リフト手段21が作動して、集積準備位置16で集積されたうち、最も下の搬送物Wを掬い上げるようにしつつ、搬送物Wを上方の移送手段10の高さまで上昇させる。その後、押し込み手段70が作動して、上昇後の搬送物Wを移送手段10へ乗り移らせる。
このようにして移送手段10に乗り移った集積後の搬送物Wは、図2に示すように、製袋ライン2によって製袋された樹脂フィルム製の包装袋へ向けて、袋詰め装置11により押し込められ、袋詰めされる。そして、この袋詰め後の袋詰め完了品が搬出手段12により、次工程へ向けて送り出される。
【0052】
以上説明した各部の動作流れを1サイクルとして、以後、このサイクル動作が繰り返される。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、搬送物Wの集積単位は10枚に限らず、2〜9枚又は11枚以上としてもよい。
【0053】
搬送物Wは、「のし袋」等の袋に限定されるものではなく、本体片bの表側又は裏側に折返し片fが設けられたものであれば何でもよく、例えば、フラップ片付きの箱を扁平にしたものなどとしてもよい。当然に、搬送物Wの材質として、ボール紙や布、樹脂などとしてもよい。また、本体片bは長方形以外にも、正方形やその他の多角形などとすることができる。
【0054】
搬送物Wは、折返し片fが上向きになる状態で集積することを説明したが、折返し片fが下向きになる状態で集積することも可能である。
集積準備位置16の上方で搬送物Wを集積した後、この高さ位置を保持させたまま、下流側の移送手段10へ乗り移らせるように、移送手段10を低く設置する、或いは集積準備位置16を高く設置することは可能である。この場合、リフト手段21は不要である。
【0055】
持ち上げ手段19において、係合片37,37は、各回動軸40,40に1枚ずつ(即ち、一対だけ)設けるものとしてもよい。
持ち上げ手段19において、上昇機構38は、回動軸40による係合片37の回動方式を採用する以外に、例えば、縦送り型のベルトコンベアのようなもので係合片37を上下動させる方式を採用することができる。
【0056】
均し手段18において、押圧部材49は流体圧シリンダ51のロッド51aとする以外にも、例えば、モータ駆動で棒材を水平進退させるような構造とするときの進退する棒材で実施することができる。
均し手段18において、昇降部材48は、流体圧や電動による駆動装置によってその上下動を駆動させるものとしてもよい。この場合は、搬送物Wに対する押圧負荷の程度を制御することも可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 集積装置
2 製袋ライン
3 袋詰めライン
3 係合片
4 原反保持部
5 折り部
6 部品取付部
7 印刷部
8 加工部
9 溶断部
10 移送手段
11 袋詰め装置
12 搬出手段
15 装置フレーム
16 集積準備位置
17 搬入手段
18 均し手段
19 持ち上げ手段
20 中央コンベア
21 リフト手段
23 装填台
24 切り出し手段
25 姿勢調整手段
26 送出コンベア
27 ガイド部材
30 凸側ベルトコンベア
31 凹側ベルトコンベア
32 ベルトコンベア
33 ベルトコンベア
37 係合片
38 上昇機構
40 回動軸
41 回動駆動部
43 駆動源
44 伝動手段
47 縦ガイド
48 昇降部材
49 押圧部材
50 ブラケット
51 流体圧シリンダ
51a ロッド
60 リフトコンベア
62 ローラ
63 ローラ
64 伝動部材
65 掬い片
66 駆動用モータ
70 押し込み手段
71 流体圧シリンダ
72 押し板
75 整列枠
S 搬入スペース
W 搬送物
b 本体片
f 折返し片
t 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な本体片の表側又は裏側に折返し片が設けられた搬送物を1枚ずつ集積準備位置へ搬送することを繰り返す搬入手段と、
前記搬入手段により集積準備位置に搬送物が搬入されるたびに当該搬送物を上昇させて集積準備位置に対して次ぎに搬入される搬送物の搬入スペースを形成させる持ち上げ手段と、
前記持ち上げ手段により集積準備位置上へ上昇させられた集積単位で最初となる搬送物に対してその上面を下方へ押圧することで当該搬送物の本体片と折返し片とを重合状に当接させる均し手段と、
を有していることを特徴とする折返し片を有する搬送物の集積装置。
【請求項2】
前記均し手段は、集積準備位置の側部で長手方向を縦方向に向けて設けられた縦ガイドと、
この縦ガイドに沿って上下動自在に設けられた昇降部材と、
この昇降部材に設けられて集積準備位置に搬入された搬送物の上面へ向けて突出する押圧状態と搬送物から離反する退避状態とに切替動作する押圧部材とを有しており、
昇降部材は押圧部材を含めた自荷重で縦ガイドに沿って落下する状態に保持されている
ことを特徴とする請求項1記載の折返し片を有する搬送物の集積装置。
【請求項3】
前記均し手段の押圧部材は、集積準備位置に搬入された搬送物の上方へロッドを伸縮させる流体圧シリンダのロッドにより構成されていることを特徴とする請求項2記載の折返し片を有する搬送物の集積装置。
【請求項4】
前記均し手段は、集積準備位置を挟んだ両側部において互いに対向する配置で一対、設けられており、集積準備位置に搬入された集積単位で最初となる搬送物に対して片側の均し手段が択一的に押圧負荷を付与可能となっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の折返し片を有する搬送物の集積装置。
【請求項5】
前記持ち上げ手段は、集積準備位置に搬入された搬送物の対向二辺に下から当接する一対の係合片と、これら一対の係合片を同期させて上昇させる上昇機構とを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の折返し片を有する搬送物の集積装置。
【請求項6】
前記持ち上げ手段の上昇機構は、一対の係合片が当接する搬送物の対向辺部に各々平行して設けられた一対の回動軸と、これら一対の回動軸を同期回動させる回動駆動部とを有しており、一対の回動軸にはそれらの軸心まわりに放射状配置で複数の係合片が突出して設けられ、回動駆動部は各回動軸から互いに向き合って突出する係合片同士が上方移動する方向で一対の回動軸を係合片の放射状配置ピッチに合わせて間欠回動可能とされていることを特徴とする請求項5に記載の折返し片を有する搬送物の集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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