説明

抜け防止付倍力機構応用の杭

【課題】本発明は、屋外において、テントの設営、ネット、フェンス、立て看板などの固定用に供する、ハンマーで杭を地中に打ち込んで土中に突き出しピンを放射状に突出させる抜け防止付倍力機構応用の杭を提供する。
【解決手段】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、頭部2にフランジ部3を有し、足部4を円錐体に形成し、前記頭部2と前記足部4とを一体に連結する円筒体の胴体部5を備えた杭本体1である。杭本体1の上部に保護蓋(図示せず)を乗せ、ハンマーにて保護蓋(図示せず)を打ち、完全に地中に入ってから前記保護蓋(図示せず)を外し、押し棒20により打ち込み動作円錐体12を下降させ、動作円錐体12の円錐足部14の傾斜面により突き出しピン17を杭本体1の土中外側にクサビの原理による倍力機構により放射状に突き出させ、杭本体1を固く固着するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外において、テントの設営、ネット、フェンス、立て看板などの固定用に供する抜け防止付倍力機構応用の杭に関する
【背景技術】
【0002】
従来、テントの付属品として用いられるテント用の杭は、土中に打ち込まれ、ロープの一端が連繋されることでテントの支柱を安定に固定するもので、一般に鉄系金属によって丸棒状に製作され、頭部付近にロープの一端が連繋されるフックを有し、先端が円錐状に先鋭化されている(特許文献1を参照)。
しかし、このテント用の杭は、丸棒部分が直線形状のため、杭が抜け易いという欠点があった。
【0003】
また、他例の抜け難い杭として、地盤や岩盤に土木・建築構造物を定着錨止せしめるためのメカニカル・アンカーが知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、土留め壁の如き被支持体を地盤にアンカーで定着させるため、地盤にボーリングによって削孔してアンカーを挿入するか、アンカーをハンマー等で打設又は圧入するか、又はアンカーの足部にビットとしての機能を持たせて本体を回転させながらアンカー自体でボーリングを行わせながら地盤内に挿入せしめるもので、アンカーの挿入時には、打込カバーをねじ部に装着してロッドの移動を防止しながら挿入し、その後、打込カバーを取り外し、ロッドの上端を打ち込むと、ロッドに固定されているシリンダー部及びコーン部が可動爪を押し広げるように降下するので、下側にある可動爪はピンまわりに回転しながら開口部より突出して地盤に食い込む、この間アンカーはその軸方向に移動せず、鋭端を有する可動爪は地盤を切るようにして突出するものである。
【特許文献1】実開平04−2863号公報
【特許文献2】特開昭49−122106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、屋外において、テントの設営、ネット、フェンス、立て看板などの固定用に供する、ハンマーで杭を地中に打ち込んで土中に突き出しピンを放射状に突出させる抜け防止付倍力機構応用の杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、杭本体が頭部にフランジ部を有し、足部が外側に拡大した大径円筒部と該大径円筒部から徐々に先端方向へ向かって小径となる先鋭円錐体に形成し、前記頭部と前記足部とを一体に連結する円筒体の胴体部を備えてなり、前記胴体部は、円筒体の途中に外側に拡大した大径円筒部と該大径円筒部から徐々に先端方向へ向かって小径となる円錐部を形成した抜け止め段部を形成し、さらに前記胴体部の軸心方向には、前記頭部から前記足部大径円筒部へ至る同心円状に所定深さの空洞部を形成し、前記胴体部の大径円筒部及び足部の大径円筒部には、外周面から前記空洞部に鉛直に連通するピン嵌合孔を円周方向に等間隔に複数個形成し、前記ピン嵌合孔に嵌合する突き出しピンを設け、そして前記突き出しピンは前記胴体部の大径円筒部及び足部の大径円筒部の外周面から前記動作円錐体の小径の円筒胴部に当接する寸法に形成され、さらに別体に形成された動作円錐体は、前記空洞部に嵌合される外径の円筒胴部と該円筒胴部に連結された円錐足部と該円錐足部に連結された小径の円筒胴部からなり、前記動作円錐体が前記空洞部に複数個直列に嵌合挿入されるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、ハンマーで杭を地中に打ち込んで土中に突き出しピンを放射状に突出させるため、テントの設営、看板の設置、目かくしの板塀やフェンスの設置などに於いて、それらの固定用としての杭を打ち込んでそれらを風その他の外力に対処できるものである。
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、ハンマーで杭を地中に打ち込んで土中に突き出しピンを放射状に突出させるため、地中に打ち込んでテントの設営、看板の設置、目かくしの板塀やフェンスの設置に従来の杭より強固で容易に抜けないようにできるものである。
【0007】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、杭本体の内部より倍力機構応用の突き出しピンが放射状に突出し、杭本体が地中に固く固着するもので、隣家のトイレ、浴室の窓等の目隠し用塀の固定用杭、又は庭の樹木保護用の寄木及び雪吊りの縄の固定杭としても使用可能で、その他従来必要とする総ての屋外の設置物の固定に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示すように、本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、頭部2にフランジ部3を有し、足部4を円錐体に形成し、前記頭部2と前記足部4とを一体に連結する円筒体の胴体部5を備えた杭本体1である。
前記フランジ部3は、前記杭本体1を土中に打ち込む際の打撃面となり、打ち込まれた杭本体1は前記フランジ部3が地表面に接触することにより係止され、ストッパーの役目をする。
前記足部4は、前記胴体部5の円筒体より外側に拡大した大径円筒部6と該大径円筒部6から徐々に先端方向へ向かって小径となる先鋭円錐体7となっているので、前記杭本体1を土中に打ち込む作業を容易にさせる。
【0009】
前記胴体部5は、前記頭部2と前記足部4とを一体に連結し、円筒体の途中に外側に拡大した大径円筒部8と該大径円筒部8から徐々に先端方向へ向かって小径となる円錐部9を形成した抜け止め段部10を形成する。
そして、前記胴体部5の軸心方向には、前記頭部2から前記足部4へ至る同心円状に所定深さの空洞部11を形成し、該空洞部11には、別体に形成された動作円錐体12が複数個嵌合挿入される。
図5(a)、(b)に示すように、前記動作円錐体12は、前記空洞部11に嵌合される外径の円筒胴部13と該円筒胴部13に連続した円錐足部14と、該円錐足部14に連結された小径の円筒胴部15からなる。図5((b)に示す最下部へ挿入される前記動作円錐体12は、前記円筒胴体15の先端に嵌合ストッパー22を設けて動作円錐体12の破壊を防止している。強度が十分と考えら得る場合にはこの嵌合ストッパー22を設ける必要はない。
そして、図4に示すように、前記胴体部5の大径円筒部8及び足部4の大径円筒部6には、外周面から前記空洞部11に鉛直に連通するピン嵌合孔16を等間隔に複数個、例えば図1においては4等分する角度90°で4個形成する。前記ピン嵌合孔16は上下の位置で重ならないように45°ずらして設けると良い。
【0010】
前記ピン嵌合孔16に嵌合する突き出しピン17は、前記胴体部5の大径円筒部8及び足部4の大径円筒部6の外周面から前記動作円錐体12の小径の円筒胴部15に当接するまでの寸法で、かつ前記突き出しピン17は前記動作円錐体12の円錐足部14に接触して円滑に滑動できるように両端を円弧状に形成するとよい。
なお、図2に示すように、前記杭本体1の空洞部11内には、同心円状に中心軸となる中心軸棒18を立設固定し、図5に示すように前記動作円錐体12の中心軸にも前記中心軸棒18が嵌合挿入できる貫通孔19を形成し、この貫通孔19は前記動作円錐体12の軸方向中央の空気孔ともなる。
すなわち、前記動作円錐体12を前記空洞部11に挿入すると、前記動作円錐体12の貫通孔19が前記中心軸棒18に挿入され、前記動作円錐体12の移動により押圧された空気は前記貫通孔19を経て外部へ排出される。
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、杭本体1が頭部2にフランジ部3を有し、足部4が外側に拡大した大径円筒部6と該大径円筒部6から徐々に先端方向へ向かって小径となる先鋭円錐体7に形成し、前記頭部2と前記足部4とを一体に連結する円筒体の胴体部5を備えてなり、前記胴体部5は円筒体の途中に外側に拡大した大径円筒部8と該大径円筒部8から徐々に先端方向へ向かって小径となる円錐部9を形成した抜け止め段部10を形成し、さらに前記胴体部5の軸心方向には前記頭部2から前記足部4へ至る同心円状に所定長さの空洞部11を形成し、そして前記胴体部5の大径円筒部8及び足部4の大径円筒部6には、外周面から前記空洞部11に鉛直に連通するピン嵌合孔16を等間隔に複数個形成し、前記ピン嵌合孔16に嵌合する突き出しピン17を設け、該突き出しピン17は前記胴体部5の大径円筒部8及び足部4の大径円筒部7の外周面から前記動作円錐体12の小径の円筒胴部15に当接するまでの長さに形成したものである。
また、別体に形成された動作円錐体12は、前記空洞部11に嵌合される外径の円筒胴部13と該円筒胴部13に連結された円錐足部14と該円錐足部14に連結された小径の円筒胴部15からなり、前記動作円錐体12が前記杭本体1の空洞部11に複数個直列に嵌合挿入されるものである。
【0011】
次に、本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭の動作操作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
まず、杭本体1を地中に打ち込む前の準備として動作円錐体12及び突き出しピン17を定位置に保持する必要がある。
その準備作業のため、あらかじめ杭本体1を貫通する丸孔(図示せず)を2個開けておき、これに位置決め棒(図示せず)を通し動作円錐体12を落下させ、図1に示す位置に動作円錐体12の円筒胴部15の下面が位置決め棒(図示せず)に当たって停止する。
次に、突き出しピン17を杭本体1の外周壁に開けられたピン嵌合孔16へ挿入し、突き出しピン17の内部の端面が円筒胴部15へ当たって突き出しピン17の位置が決まる。該突き出しピン17は、図3に示すように円筒胴部15から外側へ放射状に配列される。
そして、突き出しピン17が脱落しないように、粘着テープ(図示せず)を杭本体1に巻きつけた後、位置決め棒(図示せず)を外す、これで最下段の動作円錐体12の設定ができるので、以下繰り返し次段の動作円錐体12を挿入して杭本体1の打ち込み準備完了である。
【0012】
打ち込み準備が完了したら、杭本体1の上部に保護蓋(図示せず)を乗せ、杭本体1をハンマーで打ち込んで土中に杭本体1を完全に打ち込み、仮固定する。
仮固定が終了したら、図2に示すように固定補助用具である押し棒20を使用して杭本体1の空洞部11をスライド可能な動作円錐体12をハンマーで打ち込み、前記動作円錐体12の円錐足部14の円錐面によって図4に示すように突き出しピン17を杭本体1の外側地中に放射状にクサビの原理の倍力機構により強大な力で突出させ、杭本体1を地中に固着せしめる。
なお、前記押し棒20は中心部に前記中心軸棒18が嵌合する挿入孔21が形成されている。
杭本体1を土中に打ち込む場所が地上に設置するものの種類や大きさに応じて動作円錐体12が1個の一段式のものと、動作円錐体12が2個以上の多段式のものとがある。
杭本体1を地中に固着せしめたら、図6に示すように杭本体1にテントのロープを固定する。
【0013】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、杭本体1の空洞部11中に動作円錐体12をゆるく嵌合せしめ、動作円錐体12の円錐面の下端に円筒状の円筒胴部15を設け、その円錐面の下端に接するよう突き出しピン17を設け、動作円錐体12を押し棒20で下方に打ち込むことにより、突き出しピン17を杭本体1に開けられたピン嵌合孔16から放射状に土中外側に強大な力により突き出させ、杭本体1を土中に固く固定せしめて抜け難くするものである。
全ての突き出しピン17が完全に杭本体1の土中外側に突出したら、動作円錐体12は空洞部11の底部に当たって総て打ち込みを完了する。
この打ち込み作業は、杭本体1の上部に保護蓋(図示せず)を乗せ、ハンマーにて保護蓋(図示せず)を打ち、完全に地中に入ってから前記保護蓋(図示せず)を外し、押し棒20により打ち込み動作円錐体12を下降させ、動作円錐体12の円錐足部14の傾斜面により突き出しピン17を杭本体1の土中外側にクサビの原理による倍力機構により放射状に突き出させ、杭本体1を固く固着するものである。
【0014】
本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭は、杭本体1の内部より倍力機構応用の突き出しピン17が放射状に突出し、杭本体1が地中に固く固着するもので、屋外にテントの設営、ネット、フェンス、立て看板などの固定用に供するものであるが、隣家のトイレ、浴室の窓等の目隠し用塀の固定用杭又は、庭の樹木保護用の寄木及び雪吊りの縄の固定杭としても使用可能で、その他従来必要とする総ての屋外の設置物の固定に供するものである。
そのため、屋外に設置、設営されたものを固定するために供された杭本体1を抜け難いものとする手段として中空状の杭本体1の中心から放射状に突き出しピン17が複数個配列されるピン嵌合孔16を杭本体1の大径円筒部8に等間隔で開けるものである。
杭本体1の空洞部11をスムーズに直下する動作円錐体12を設け、動作円錐体12の円錐足部14の傾斜面に前記突き出しピン17の内側先端を当て、ハンマーで押し棒20を打ち込み動作円錐体12を降下させる。
その打ち込んだ力の何倍の力、即ちクサビ作用の倍力機構による強大なる力で突き出しピン17の外側先端が杭本体1の外面と接する地中に突出される。
このとき、突き出しピン17の内側先端が大径円筒部8の外周壁内に残存することで杭本体1は地中に保持され、抜け難い杭となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭を打ち込む前の断面図である。
【図2】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭を打ち込んだ後の断面図である。
【図3】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭を打ち込む前の平面図である。
【図4】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭を打ち込んだ後の平面図である。
【図5】動作円錐体の断面図である。
【図6】本発明の抜け防止付倍力機構応用の杭を使用したテントの外観図である。
【符号の説明】
【0016】
1 杭本体
2 頭部
3 フランジ部
4 足部
5 胴体部
6 大径円筒部
7 先鋭円錐体
8 大径円筒部
9 円錐部
10 抜け止め段部
11 空洞部
12 動作円錐体
13 円筒胴部
14 円錐足部
15 円筒胴部
16 ピン嵌合孔
17 突き出しピン
18 中心軸棒
19 貫通孔
20 押し棒
21 挿入孔
22 嵌合ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭本体が頭部にフランジ部を有し、足部が外側に拡大した大径円筒部と該大径円筒部から徐々に先端方向へ向かって小径となる先鋭円錐体に形成し、前記頭部と前記足部とを一体に連結する円筒体の胴体部を備えてなり、前記胴体部は、円筒体の途中に外側に拡大した大径円筒部と該大径円筒部から徐々に先端方向へ向かって小径となる円錐部を形成した抜け止め段部を形成し、さらに前記胴体部の軸心方向には、前記頭部から前記足部大径円筒部へ至る同心円状に所定深さの空洞部を形成し、前記胴体部の大径円筒部及び足部の大径円筒部には、外周面から前記空洞部に鉛直に連通するピン嵌合孔を円周方向に等間隔に複数個形成し、前記ピン嵌合孔に嵌合する突き出しピンを設け、そして前記突き出しピンは前記胴体部の大径円筒部及び足部の大径円筒部の外周面から前記動作円錐体の小径の円筒胴部に当接する寸法に形成され、さらに別体に形成された動作円錐体は、前記空洞部に嵌合される外径の円筒胴部と該円筒胴部に連結された円錐足部と該円錐足部に連結された小径の円筒胴部からなり、前記動作円錐体が前記空洞部に複数個直列に嵌合挿入されることを特徴とする抜け防止付倍力機構応用の杭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48022(P2010−48022A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214325(P2008−214325)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(599018550)株式会社秋田石材 (5)
【Fターム(参考)】