抜去装置
【課題】抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供する。
【解決手段】回転駆動トルクが入力軸11に入力される。入力軸側ギヤ部12は、入力軸11に設けられて入力軸11とともに回転する。複数の出力軸13は、入力軸11と平行に入力軸11の周囲に設置される。出力軸側ギヤ部14は、出力軸13に設けられ、入力軸側ギヤ部12に噛み合うとともに入力軸側ギヤ部12から伝達された回転によって出力軸13とともに回転する。ギヤボックス15は、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を収納するとともに、入力軸11及び出力軸13を回転自在に保持する。チャック部16は、複数の出力軸13のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材19を保持する。
【解決手段】回転駆動トルクが入力軸11に入力される。入力軸側ギヤ部12は、入力軸11に設けられて入力軸11とともに回転する。複数の出力軸13は、入力軸11と平行に入力軸11の周囲に設置される。出力軸側ギヤ部14は、出力軸13に設けられ、入力軸側ギヤ部12に噛み合うとともに入力軸側ギヤ部12から伝達された回転によって出力軸13とともに回転する。ギヤボックス15は、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を収納するとともに、入力軸11及び出力軸13を回転自在に保持する。チャック部16は、複数の出力軸13のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材19を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、といった埋入体が、骨内に埋入された状態のまま、骨内で破折することがある。この場合、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業が行われることになる。
【0003】
上述した抜去作業において用いられる抜去装置として、特許文献1に開示された装置が知られている。特許文献1に開示された抜去装置は、円筒状のドリルビットを備えて構成されている。この円筒状ドリルビットは、先端側の末端部に開口が形成されており、開口の縁部分に切削歯が設けられている。そして、円筒状ドリルビットの内側には、上記の開口に連通するとともに末端部から基端部に向かって進むにつれ直径が減少する空所が形成されている。
【0004】
また、円筒状ドリルビットは、電動機によって駆動される電動ドリルのチャックに対して取り付けられる。そして、円筒状ドリルビットの開口に対して、破折した状態で骨内に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具が挿入されるとともに、円筒状ドリルビットが、電動ドリルによって回転駆動される。これにより、円筒状ドリルビットの切削歯によって骨が切削され、上記の固定器具が、基端部側に向かって直径が減少する空所内に挿入される。そして、円筒状ドリルビットが、その空所における固定器具の直径に対応する箇所において、固定器具に対して、摩擦による焼き付けによって接合される。これにより、固定器具の骨からの抜去が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−108236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された抜去装置によると、破折した状態で骨内に埋入された埋入体としての固定器具と円筒状ドリルビットとが、摩擦による焼き付けによって接合される。このため、固定器具が円筒状ドリルビットに接合される際に、円筒状ドリルビットの内面が損傷し、この円筒状ドリルビットが破折してしまう虞がある。また、摩擦による焼き付けを生じさせる程度に大きなトルクが円筒状ドリルビットに負荷される必要もあるため、この点においても、円筒状ドリルビットが破折してしまう虞がある。従って、抜去装置は、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができる構成であることが望まれる。
【0007】
尚、特許文献1に開示された抜去装置を用いる方法以外に、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業方法として、円筒リーマを用いる方法、又は、その円筒リーマに加えてキルシュナー鋼線も用いる方法が考えられる。前者の方法の場合、先端部に切削歯が設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマが、電動機等を備えたパワーツールによって回転駆動される。そして、埋入体の周囲の骨が切削されることで、埋入体の抜去が可能となる。しかしながら、この方法によると、円筒リーマにおける切削歯が設けられた先端部の厚みが薄いため、骨を切削するためのトルクが負荷された際に、円筒リーマが破折してしまう虞がある。
【0008】
後者の方法の場合、円筒リーマによる切削作業に先立って、軸状又は線状に設けられたキルシュナー鋼線が用いられる。この場合、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において順番に、キルシュナー鋼線が電動機等を備えたパワーツールで回転駆動されることで、骨に対する孔あけ加工が行われる。これにより、円筒リーマによる骨の切削の際に円筒リーマに作用する負荷が低減され、円筒リーマの破折を抑制することができる。しかしながら、キルシュナー鋼線による孔あけ作業が、必要な孔の数に応じて、繰り返し行われる必要があるため、作業時間の増大を招いてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1発明に係る抜去装置は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置に関する。そして、第1発明に係る抜去装置は、回転駆動トルクが入力される入力軸と、前記入力軸に設けられて当該入力軸とともに回転する入力軸側ギヤ部と、前記入力軸と平行に当該入力軸の周囲に設置される複数の出力軸と、前記出力軸に設けられ、前記入力軸側ギヤ部に噛み合うとともに当該入力軸側ギヤ部から伝達された回転によって前記出力軸とともに回転する出力軸側ギヤ部と、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納するとともに、前記入力軸及び前記出力軸を回転自在に保持するギヤボックスと、複数の前記出力軸のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材を保持するチャック部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明によると、各出力軸に対して各チャック部によって保持された各孔あけ部材が埋入体の周囲で骨に対して接触して配置された状態で、電動機等を備えたパワーツールによって入力軸に回転駆動トルクが入力される。そして、その回転駆動トルクが、入力軸、ギヤボックスに収納された入力軸側ギヤ部及び出力軸側ギヤ部、を介して、複数の出力軸に伝達され、複数の孔あけ部材が各出力軸とともに回転する。これにより、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われることになる。この孔あけ加工が終了すると、例えば、円筒リーマが、電動機等を備えたパワーツールで回転駆動されることで、埋入体の周囲の骨が切削され、次いで、埋入体の抜去が行われることになる。尚、孔あけ部材としては、例えば、キルシュナー鋼線が用いられる。また、埋入体としては、骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、等が挙げられる。
【0012】
また、本発明によると、入力軸の周囲に設置された複数の出力軸に保持された複数の孔あけ部材が同時に回転し、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われる。このため、一度の孔あけ作業で、複数の孔を同時に形成することができるため、抜去作業の作業時間が短縮されることになる。更に、孔あけ作業の後に、先端部に切削歯が設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマによる切削作業が行われる場合であっても、埋入体の周囲の骨に複数の孔が形成されているため、円筒リーマに作用する負荷が低減され、円筒リーマの破折を抑制することができる。このため、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折が抑制されることになる。尚、軸状又は線状に設けられたキルシュナー鋼線等の孔あけ部材は、弾性変形し易いため、孔あけ加工時の破折も抑制されることになる。
【0013】
従って、本発明によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することができる。
【0014】
第2発明に係る抜去装置は、第1発明の抜去装置において、前記孔あけ部材は、前記出力軸の内側において軸方向に延びるように設けられた挿通孔に対して挿通されることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、孔あけ部材は、出力軸の内側の挿通孔に挿通され、次いで、出力軸に対して、チャック部によって保持される。このため、抜去作業を行う術者は、出力軸に対する孔あけ部材の位置が所望する位置となるように調整する作業を容易に行うことができる。また、孔あけ部材の位置調整を容易に行うことを可能にする機構を、出力軸の内側に挿通孔を設けるという簡素な構造で実現することができる。
【0016】
第3発明に係る抜去装置は、第1発明又は第2発明の抜去装置において、前記ギヤボックスは、組み合わされた状態で前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1ハウジング及び第2ハウジングを有し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を前記入力軸及び前記出力軸の軸方向における両側から挟むように収納するとともに、前記入力軸が貫通する入力軸用貫通孔及び前記出力軸が貫通する出力軸用貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明によると、第1及び第2ハウジングのそれぞれに対して、入力軸が入力軸用貫通孔で挿通され、出力軸が出力軸用貫通孔で挿通される。次いで、入出力軸の軸方向の両側から入出力軸側ギヤ部を挟んで収納するように第1及び第2ハウジングが組み合わされることで、ギヤボックスの組立が完了し、抜去装置が完成することになる。よって、抜去装置を簡素な構造で実現でき、装置の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、装置の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0018】
第4発明に係る抜去装置は、第3発明の抜去装置において、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、当該第1ハウジング及び当該第2ハウジングを前記入力軸及び前記出力軸と平行な方向に沿って貫通する固定部材によって、互いに固定されることを特徴とする。
【0019】
この発明によると、第1及び第2ハウジングを入出力軸と平行な方向に貫通する固定部材によって第1及び第2ハウジングが固定される。このため、入出力軸の軸方向の両側から入出力軸側ギヤ部を挟んで収納するように第1及び第2ハウジングが組み合わされるギヤボックスの組立作業を更に容易に行うことができる。また、ギヤボックスの分解作業も更に容易に行うことができる。
【0020】
第5発明に係る抜去装置は、第3発明又は第4発明の抜去装置において、前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1本体部と、前記第1本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第1蓋部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第2本体部と、前記第2本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第2蓋部と、を有し、前記第1本体部と前記第1蓋部との間において、前記入力軸の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリングと、前記出力軸の一端側を回転自在に保持する第1出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置され、前記第2本体部と前記第2蓋部との間において、前記入力軸の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリングと、前記出力軸の他端側を回転自在に保持する第2出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によると、入力軸が、第1ハウジングの第1本体部及び第1蓋部の間に設置される第1入力側ベアリングで一端側が回転自在に保持され、第2ハウジングの第2本体部及び第2蓋部の間に設置される第2入力側ベアリングで他端側が回転自在に保持される構成を構築することが可能となる。そして、出力軸が、第1ハウジングの第1本体部及び第1蓋部の間に設置される第1出力側ベアリングで一端側が回転自在に保持され、第2ハウジングの第2本体部及び第2蓋部の間に設置される第2出力側ベアリングで他端側が回転自在に保持される構成を構築することが可能となる。即ち、各ハウジングが、各本体部と各蓋部との間に設置される各ベアリングで入出力軸の少なくとも一方を回転自在に保持する構成を構築可能となる。このため、入出力軸をギヤボックスにて回転自在に保持する機構を簡素な構造で実現でき、ベアリングが設けられたギヤボックスの分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、ベアリングが設けられたギヤボックスの洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0022】
第6発明に係る抜去装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかの抜去装置において、リング状又は筒状に設けられ、外周が円形の前記ギヤボックスの周囲に設置されて当該ギヤボックスに対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられた回転部材、を更に備え、前記回転部材は、前記ギヤボックスに対する相対回転方向の角度位置を指標するマークが設けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、抜去作業を行う術者は、回転部材に対してギヤボックスを相対回転させた際に、回転部材に設けられたマークによって、回転部材に対するギヤボックスの相対回転位置を容易に把握することができる。このため、術者は、一旦孔あけ作業を行った後に、ギヤボックスの周方向の角度位置を変更し、周方向に孔あけ位置をずらして再度孔あけ作業を行う際に、孔あけ位置の周方向にずらす角度を容易に把握することができる。
【0024】
第7発明に係る抜去装置は、第1発明乃至第6発明のいずれかの抜去装置において、前記チャック部は、前記出力軸に対して、前記孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部と前記ギヤボックスを介して反対側において取り付けられていることを特徴とする。
【0025】
この発明によると、チャック部が、出力軸に対して、骨に対向する端部と反対側において取り付けられているため、術者は、出力軸及びギヤボックスを骨に接近させた状態で、孔あけ作業を行うことができる。これにより、孔あけ部材のストロークをより効率よく使用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る抜去装置がパワーツールに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す抜去装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示す抜去装置の正面図である。
【図4】図3に示す抜去装置の平面図である。
【図5】図3に示す抜去装置の底面図である。
【図6】図4のA−A線矢視位置から見た断面図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】孔あけ部材によって骨への孔あけ加工が行われている状態を一部切り欠き断面で示す斜視図である。
【図9】抜去作業に用いられる円筒リーマについての斜視図及び一部切り欠き断面を含む正面図である。
【図10】変形例に係る抜去装置を示す斜視図である。
【図11】変形例に係る抜去装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置として、広く適用することができるものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態に係る抜去装置1がパワーツール100に取り付けられた状態を示す斜視図である。抜去装置1は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる。そして、抜去装置1は、例えば、電動モータを備えて構成された電動ドリル等のパワーツール100によって回転駆動トルクが入力される。これにより、後述するように、骨に対する孔あけ加工が行われることになる。
【0030】
パワーツール100は、抜去作業を行う術者によって操作される。そして、術者が、操作ハンドル部100aを把持した状態で操作スイッチ100bの押圧操作を行うことで、パワーツール100に内蔵された電動モータが回転し、回転駆動力が出力される。尚、パワーツール100は、電動モータによって駆動される形態に限られず、例えば、空圧モータによって駆動される形態であってもよい。
【0031】
図2は、抜去装置1の斜視図である。図3は、抜去装置1の正面図である。図4は、抜去装置1の平面図である。図5は、抜去装置1の底面図である。図6は、図4のA−A線矢視位置から見た抜去装置1の断面図である。図7は、図6の一部を拡大して示す図である。
【0032】
図1乃至図7に示す抜去装置1は、入力軸11、入力軸側ギヤ部12、複数の出力軸13、複数の出力軸側ギヤ部14、ギヤボックス15、複数のチャック部16、複数のキルシュナー鋼線19、等を備えて構成されている。入力軸11、入力軸側ギヤ部12、出力軸13、出力軸側ギヤ部14、ギヤボックス15、チャック部16は、医療機器の素材としての認可承認を得たチタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼などの金属材料により形成されている。尚、複数のキルシュナー鋼線19が構成要素として含まれていない状態で抜去装置1の構成要素が定義されてもよい。また、パワーツール100が構成要素として含まれた状態で抜去装置1の構成要素が定義されてもよい。
【0033】
入力軸11は、円形断面で丸棒状に延びる軸部材として設けられている。また、入力軸11は、その一方の端部において、パワーツール100の出力端部に対して取り付けられる取付部20が固定されている。そして、入力軸11は、取付部20においてパワーツール100の出力端部に取り付けられた状態で、パワーツール100が術者によって操作されることで、パワーツール100の出力端部とともに回転することになる。このように、入力軸11は、パワーツール100からの回転駆動トルクが入力される。
【0034】
入力軸側ギヤ部12は、入力軸11の軸方向における中途部分に設けられ、入力軸11における径方向に拡径した部分として設けられている。そして、この入力軸側ギヤ部12は、外周に外歯が形成されている。尚、入力軸側ギヤ部12は、入力軸11に対して一体に設けられていてもよく、また、入力軸11に対して固定されていてもよい。これにより、入力軸側ギヤ部12は、入力軸11とともに回転するように構成されている。
【0035】
複数の出力軸13は、入力軸11と平行な状態でこの入力軸11の周囲に設置され、円形断面で丸棒状に延びる軸部材として設けられている。そして、複数の出力軸13は、入力軸11とともに後述するギヤボックス15に対して回転自在に保持されている。また、複数の出力軸13は、入力軸11を中心として、周方向に等角度間隔で設置されている。本実施形態では、出力軸13が4つ設けられており、入力軸11を中心として、周方向に90度間隔で各出力軸13が設置されている。また、各出力軸13の内側には、各キルシュナー鋼線19が挿通される挿通孔13aが、各出力軸13の軸方向に沿って直線状に延びるように設けられている。尚、本実施系形態では、挿通孔13aが出力軸13を軸方向に貫通する貫通孔として設けられている形態が例示されている。
【0036】
出力軸側ギヤ部14は、複数設けられ、それぞれ出力軸13に設けられている。そして、各出力軸側ギヤ部14は、各出力軸13の軸方向における中途部分に設けられ、各出力軸13における径方向に拡径した部分として設けられている。更に、各出力軸側ギヤ部14は、外周に外歯が形成され、入力軸側ギヤ部12の外歯に噛み合うとともに入力軸側ギヤ部12から伝達された回転によって出力軸13とともに回転するように構成されている。
【0037】
ギヤボックス15は、入力軸11及び複数の出力軸13を回転自在に保持する構造体として設けられている。そして、ギヤボックス15は、内側に、入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する収納空間15aが設けられている(図6及び図7を参照)。
【0038】
また、ギヤボックス15は、組み合わされた状態で入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する第1ハウジング21及び第2ハウジング22を備えて構成されている。そして、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を入力軸11及び複数の出力軸13の軸方向における両側から挟むように収納するように構成されている。
【0039】
また、図7によく示すように、第1ハウジング21には、入力軸11が貫通する入力軸用貫通孔27及び複数の出力軸13のそれぞれが個別に貫通する複数の出力軸用貫通孔28が貫通形成されて設けられている。一方、第2ハウジング22には、入力軸11が貫通する入力軸用貫通孔29及び複数の出力軸13のそれぞれが個別に貫通する複数の出力軸用貫通孔30が貫通形成されて設けられている。第1ハウジング21の入力軸用貫通孔27と第2ハウジング22の入力軸用貫通孔29とは、収納空間15aを介して対向するように設けられている。第1ハウジング21の各出力軸用貫通孔28と第2ハウジング22の各出力軸用貫通孔30とは、収納空間15aを介して対向するように設けられている。
【0040】
また、第1ハウジング21は、第1本体部21aと第1蓋部21bとを有している。第1本体部21aは、第2ハウジング22とともに入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する低背の円柱状の部材として設けられている。そして、第1本体部21aの内側には、収納空間15aの半分の領域を区画する凹み部分が設けられている。また、第1本体部21aの内側には、更に、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された入力軸用貫通孔27の一部と、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された複数の出力軸用貫通孔28のそれぞれの一部と、が設けられている。
【0041】
第1蓋部21bは、第1本体部21aに対して、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14と反対側で、即ち、収納空間15aを区画する凹み部分が設けられる側と反対側で取り付けられる部材として設けられている。そして、本実施形態では、第1蓋部21bは、第1本体部21aの円柱状の部分の直径寸法と略同一の直径寸法の円盤状の部材として設けられている。
【0042】
また、第2ハウジング22は、第2本体部22aと第2蓋部22bとを有している。第2本体部22aは、第1ハウジング21とともに入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する低背の円柱状の部材として設けられている。そして、第2本体部22aの内側には、収納空間15aの半分の領域を区画する凹み部分が設けられている。また、第2本体部22aの内側には、更に、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された入力軸用貫通孔29の一部と、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された複数の出力軸用貫通孔30のそれぞれの一部と、が設けられている。
【0043】
第2蓋部22bは、第2本体部22aに対して、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14と反対側で、即ち、収納空間15aを区画する凹み部分が設けられる側と反対側で取り付けられる部材として設けられている。そして、本実施形態では、第2蓋部22bは、第2本体部22aの円柱状の部分の直径寸法よりも大きい直径寸法の円盤状の部材として設けられている。
【0044】
また、第1本体部21aと第1蓋部21bとの間には、複数の出力軸13の一端側のそれぞれを個別に回転自在に保持する複数の第1出力側ベアリング24が設置されている。本実施形態では、各第1出力側ベアリング24は、第1本体部21aにおける各出力軸用貫通孔28の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された各出力軸13を第1本体部21aに対して回転自在に保持している。
【0045】
一方、入力軸11の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリング23は、第1本体部21aにおける入力軸用貫通孔27の収納空間15a側の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された入力軸11を第1本体部21aに対して回転自在に保持している。また、第1入力側ベアリング23は、入力軸11において拡径するように設けられた段部にて、入力軸11に対する軸方向の位置が位置決めされている。尚、第1入力側ベアリング23が、第1出力側ベアリング24とともに、第1本体部21aと第1蓋部21bとの間に設置される形態が実施されてもよい。或いは、第1入力側ベアリング23が第1本体部21aと第1蓋部21bとの間に設置され、第1出力側ベアリング24が収納空間15a側に設置される形態が実施されてもよい。
【0046】
また、第2本体部22aと第2蓋部22bとの間には、複数の出力軸13の他端側のそれぞれを個別に回転自在に保持する複数の第2出力側ベアリング26が設置されている。本実施形態では、各第2出力側ベアリング26は、第2本体部22aにおける各出力軸用貫通孔30の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された各出力軸13を第2本体部22aに対して回転自在に保持している。
【0047】
一方、入力軸11の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリング25は、第2本体部22aにおける入力軸用貫通孔29の収納空間15a側の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された入力軸11を第2本体部22aに対して回転自在に保持している。また、第2入力側ベアリング25は、入力軸11において拡径するように設けられた段部にて、入力軸11に対する軸方向の位置が位置決めされている。尚、第2入力側ベアリング25が、第2出力側ベアリング26とともに、第2本体部22aと第2蓋部22bとの間に設置される形態が実施されてもよい。或いは、第2入力側ベアリング25が第2本体部22aと第2蓋部22bとの間に設置され、第2出力側ベアリング26が収納空間15a側に設置される形態が実施されてもよい。
【0048】
尚、各第1出力側ベアリング24と各第2出力側ベアリング26とは、各出力軸13に対して、各出力軸側ギヤ部14を介して互いに反対側において設置されている。また、第1入力側ベアリング23と第2入力側ベアリング25とは、入力軸11に対して、入力軸側ギヤ部12を介して互いに反対側において設置されている。
【0049】
固定部材17は、複数設けられ、本実施形態では、5つ設けられている。そして、各固定部材17は、おねじ部材としてのボルト17aとめねじ部材としてのナット17bとを備えて構成されている。各ボルト17aは、六角レンチによって操作される六角穴が設けられたボルト頭部が第2蓋部22bに設けられた凹み部分に係合するように構成されている。更に、各ボルト17aは、第2蓋部22b、第2本体部22a、第1本体部21a、第1蓋部21bに亘って、ギヤボックス15に貫通形成されたボルト孔15bを貫通するように設置される。
【0050】
そして、各ボルト17aにおけるボルト頭部と反対側の端部は、第1蓋部21bに設けられた凹み部分の内側において、ナット17bに螺合するように構成されている。これにより、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、第1ハウジング21及び第2ハウジング22を入力軸11及び出力軸13と平行な方向に沿って貫通する複数の固定部材17によって、互いに固定されることになる。尚、固定部材17は、ギヤボックス15の周方向において等角度間隔で設置されている。
【0051】
キルシュナー鋼線19は、出力軸13に対応して複数設けられ、本実施形態では、4つ設けられている。そして、各キルシュナー鋼線19は、軸状又は線状に設けられて、骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材として構成されている。各キルシュナー鋼線19の先端部には、孔あけ加工のためのドリル状の切削歯が設けられている。そして、各キルシュナー鋼線19は、各出力軸13の挿通孔13aに対して挿通される。尚、本実施形態では、各キルシュナー鋼線19が各出力軸13の挿通孔13aを貫通して各出力軸13の両端側に突出した状態で設置された形態が例示されている。
【0052】
チャック部16は、複数(本実施形態では、4つ)設けられ、複数の出力軸13のそれぞれに取り付けられている。そして、各チャック部16は、各出力軸13に挿通された各キルシュナー鋼線19を保持する把持機構を備えた部材として構成されている。把持機構としては各種形態が利用できる。例えば、キルシュナー鋼線19の端部がチャック本体に対して幅狭の爪部又は幅広のコレット部によって締め付けられることで、キルシュナー鋼線19を把持する把持機構を有するチャック部16が、実施されてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、各チャック部16は、各出力軸13に対して、キルシュナー鋼線19による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部とギヤボックス15を介して反対側において取り付けられている。即ち、各チャック部16は、ギヤボックス15に対して、入力軸11が突出して取付部20が設けられている側である第1蓋部21b側で対向するように、各出力軸13の端部において固定されている。また、各チャック部16には、各出力軸13の挿通孔13aに連通してキルシュナー鋼線19が挿通される貫通孔が設けられている。
【0054】
回転部材18は、リング状又は筒状の部材として設けられている。そして、回転部材18は、外周が円形のギヤボックス15の第2本体部22aの周囲に設置され、ギヤボックス15に対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられている。そして、回転部材18は、第2本体部22aの周囲に回転自在に装着された状態で、第2蓋部22bに当接することによって、一方の端面の軸方向の位置が位置決めされている。
【0055】
また、回転部材18は、第2本体部22aに対して、周方向の複数個所において係止して位置決め可能なプランジャー機構又はラチェット機構として構成された位置決め機構が内蔵されている。この位置決め機構は、径方向の内側に向かって突出可能にバネで付勢された係止部材を備えて構成されている。そして、この係止部材が、第2本体部22aの外周において等角度間隔に設けられるとともに凹み形成された位置決め用凹み穴22cに対して係止することで、回転部材18が、ギヤボックス15に対して、複数の所定箇所において、個別に位置決め可能に構成されている。
【0056】
また、回転部材18は、ギヤボックス15に対する相対回転方向の角度位置を指標するマーク18aが設けられている。本実施形態では、回転部材18において、この回転部材18に対するギヤボックス15の相対回転角度を60°毎に指標する、「0°」、「60°」、「120°」、「180°」、「240°」、「300°」の6つのマーク18aが設けられた形態が例示されている。
【0057】
次に、骨内に埋入された埋入体が骨内で破折したときに、上述した抜去装置1を用いることで埋入体を骨から抜去する抜去作業について説明する。図8は、キルシュナー鋼線19によって骨への孔あけ加工が行われている状態を一部切り欠き断面で示す斜視図である。破折した状態で骨内に埋入されて抜去対象となる埋入体としては、骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、等が挙げられる。
【0058】
図8では、大腿骨101として構成された骨の髄腔に埋入されて破折した状態の人工関節用コンポーネントとしてのステム102が例示されている。また、図8では、大腿骨101に埋入されたステム102が、側方から大腿骨101を貫通してステム102に螺合するサイドボルトによっても固定される形態が、例示されている。以下、図8に例示されているように大腿骨101からステム102を抜去する形態を例にとって抜去作業について説明する。
【0059】
図8に示すステム102の骨101からの抜去作業においては、まず、ステム102を固定しているサイドボルトが、抜き取られて取り除かれる。そして、大腿骨101において、ステム102における破折した端部の周囲の骨が削られ、取り除かれる。更に、術者は、所定の骨切り器具を用いて、ステム102における破折した端面の近傍まで、大腿骨101に対する骨切りを行う。
【0060】
次いで、術者は、大腿骨101内に埋入されているステム102の埋入深さを測定する。この埋入深さは、例えば、破折して大腿骨101内に埋入されているステム102に対して破折した相手側の部分であって外部にとりだされた部分(図示を省略)の長さを破折前のステム102の全長から差し引くことで測定される。
【0061】
術者は、大腿骨101内に埋入されているステム102の埋入深さの測定が完了すると、その測定結果に応じて、各キルシュナー鋼線19が各出力軸13の端部から突出する長さを所望の長さに調整した状態で、各キルシュナー鋼線19を各チャック部16によって固定する。また、術者は、抜去装置1をパワーツール100に取り付ける(図1を参照)。このとき、抜去装置1は、入力軸11の端部の取付部20において、パワーツール100の出力端部に取り付けられる。
【0062】
そして、各出力軸13に対して各チャック部16によって保持された各キルシュナー鋼線19の先端側の切削歯が、ステム102の周囲で大腿骨101に接触した状態となるように、抜去装置1が配置される。この状態で、パワーツール100の操作スイッチ100bが術者によって操作され、回転駆動トルクが入力軸11に入力される。
【0063】
パワーツール100からの回転駆動トルクが入力軸11に入力されると、入力軸11が回転し、この入力軸11とともに入力軸側ギヤ部12が回転する。そして、ギヤボックス15内において、入力軸側ギヤ部12に噛み合う出力軸側ギヤ部14に回転が伝達される。これにより、入力軸11の回転が、入力軸側ギヤ部12及び各出力軸側ギヤ部14を介して、各出力軸13に伝達される。そして、各出力軸13とともに、各キルシュナー鋼線19が回転する。これにより、図8に示すように、ステム102の周囲の大腿骨101に対して、複数個所において(本実施形態では、4箇所において)、同時に、孔あけ加工が行われることになる。
【0064】
上記の孔あけ加工が終了すると、キルシュナー鋼線19が大腿骨101から抜き出され、パワーツール100の運転が停止される。そして、ステム102の周囲において、周方向にずれた位置で更に追加の孔あけが必要と術者が判断した場合は、術者は、回転部材18に対してギヤボックス15を必要な角度分だけ相対的に回転させる。このとき、回転部材18に対するギヤボックス15の相対的な回転角度量は、マーク18aに対するギヤボックス15の相対的な位置の変化によって術者に把握される。上記の回転操作が終了すると、術者は、前述した孔あけ作業を再び行うことになる。そして、必要な回数孔あけ作業が繰り返された段階で、抜去作業における全ての孔あけ作業が終了することになる。
【0065】
孔あけ作業が全て終了すると、次いで、図9に示すような円筒リーマ103が用いられ、大腿骨101におけるステム102の周囲の骨の切除作業が行われる。尚、図9では、円筒リーマ103についての斜視図(図9(a))及び一部切り欠き断面を含む正面図(図9(b))が示されている。円筒リーマ103は、先端部に切削歯103aが設けられた薄肉円筒状の切削器具として設けられている。そして、円筒リーマ103における切削歯103aが設けられる側と反対側の端部には、パワーツール100の出力端部に取り付けられるための取付部103bが設けられている。
【0066】
円筒リーマ103は、取付部103bにてパワーツール100の出力端部に取り付けられた状態で、切削歯103aがステム102の周囲の大腿骨101に接触した状態となるように、配置される。そして、この状態で、パワーツール100の操作スイッチ100bが術者によって操作され、回転駆動トルクが円筒リーマ103に入力される。これにより、大腿骨101におけるステム102の周囲の骨が切削される。そして、円筒リーマ103による切削作業が終了すると、円筒リーマ103が大腿骨101から抜き出される。そして、術者は、所定のクランプ器具等を用いてステム102を大腿骨101の髄腔から抜き出し、抜去することになる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によると、入力軸11の周囲に設置された複数の出力軸13に保持された複数のキルシュナー鋼線19が同時に回転し、ステム102の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われる。このため、一度の孔あけ作業で、複数の孔を同時に形成することができるため、抜去作業の作業時間が短縮されることになる。更に、孔あけ作業の後に、先端部に切削歯103aが設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマ103による切削作業が行われる場合であっても、ステム102の周囲の骨に複数の孔が形成されているため、円筒リーマ103に作用する負荷が低減され、円筒リーマ103の破折を抑制することができる。このため、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折が抑制されることになる。
【0068】
従って、本実施形態によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置1を提供することができる。
【0069】
また、本実施形態によると、キルシュナー鋼線19は、出力軸13の内側の挿通孔13aに挿通され、次いで、出力軸13に対して、チャック部16によって保持される。このため、抜去作業を行う術者は、出力軸13に対するキルシュナー鋼線19の位置が所望する位置となるように調整する作業を容易に行うことができる。また、キルシュナー鋼線19の位置調整を容易に行うことを可能にする機構を、出力軸13の内側に挿通孔13aを設けるという簡素な構造で実現することができる。
【0070】
また、本実施形態によると、第1ハウジング21及び第2ハウジング22のそれぞれに対して、入力軸11が入力軸用貫通孔(27、29)で挿通され、出力軸13が出力軸用貫通孔(28、30)で挿通される。次いで、入力軸11及び出力軸13の軸方向の両側から入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を挟んで収納するように第1ハウジング21及び第2ハウジング22が組み合わされることで、ギヤボックス15の組立が完了し、抜去装置1が完成することになる。よって、抜去装置1を簡素な構造で実現でき、装置の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、装置の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態によると、第1ハウジング21及び第2ハウジング22を入力軸11及び出力軸13と平行な方向に貫通する固定部材17によって第1ハウジング21及び第2ハウジング22が固定される。このため、入力軸11及び出力軸13の軸方向の両側から入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を挟んで収納するように第1ハウジング21及び第2ハウジング22が組み合わされるギヤボックス15の組立作業を更に容易に行うことができる。また、ギヤボックス15の分解作業も更に容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態によると、出力軸13が、第1ハウジング21の第1本体部21a及び第1蓋部21bの間に設置される第1出力側ベアリング24で一端側が回転自在に保持され、第2ハウジング22の第2本体部22a及び第2蓋部22bの間に設置される第2出力側ベアリング26で他端側が回転自在に保持される。また、入力軸11を回転自在に保持する第1入力側ベアリング23及び第2入力側ベアリング25は、第1本体部21a及び第2本体部22aに嵌め込まれて設置されている。このため、入力軸11及び出力軸13をギヤボックス15にて回転自在に保持する機構を簡素な構造で実現でき、ベアリング(23、24、25、26)が設けられたギヤボックス15の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、ベアリング(23、24、25、26)が設けられたギヤボックス15の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態によると、抜去作業を行う術者は、回転部材18に対してギヤボックス15を相対回転させた際に、回転部材18に設けられたマーク18aによって、回転部材18に対するギヤボックス15の相対回転位置を容易に把握することができる。このため、術者は、一旦孔あけ作業を行った後に、ギヤボックス15の周方向の角度位置を変更し、周方向に孔あけ位置をずらして再度孔あけ作業を行う際に、孔あけ位置の周方向にずらす角度を容易に把握することができる。
【0074】
また、本実施形態によると、チャック部16が、出力軸13に対して、骨に対向する端部と反対側に取り付けられているため、術者は、出力軸13及びギヤボックス15を骨に接近させた状態で、孔あけ作業を行うことができる。これにより、キルシュナー鋼線19のストロークをより効率よく使用することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0076】
(1)前述の実施形態では、孔あけ部材がチャック本体に対して幅狭の爪部又は幅広のコレット部によって締め付けられることで、孔あけ部材を把持する把持機構を有するチャック部を例にとって説明したが、この例に限らず、チャック部の形態は、種々変更して実施してもよい。図10は、変形例に係る抜去装置2を示す斜視図である。図10に示す抜去装置2は、チャック部31の構成において、前述の実施形態の抜去装置1とは異なっている。尚、変形例に係る抜去装置2は、チャック部31以外の構成要素については、抜去装置1と同様に構成されているため、図面において同一の符号を付すことで、チャック部31以外の構成についての説明を省略する。
【0077】
チャック部31は、出力軸13の端部に固定されるとともに、孔あけ部材としてのキルシュナー鋼線19が挿通される貫通孔が設けられている。そして、チャック部31には、側方から螺合するとともに内側の貫通孔まで貫通可能なネジ28が取り付けられている。チャック部31の貫通孔にキルシュナー鋼線19が挿通された状態で、チャック部31においてネジ28が締め付けられ、ネジ28の先端部がキルシュナー鋼線19に当接してキルシュナー鋼線19を固定することで、キルシュナー鋼線19がチャック部31に保持される。このようなチャック部31が設けられた抜去装置2が実施されてもよい。
【0078】
(2)前述の実施形態では、チャック部が、出力軸に対して、孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部とギヤボックスを介して反対側において取り付けられている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図11は、変形例に係る抜去装置3を示す斜視図である。図11に示す抜去装置3は、チャック部32の設置位置の構成において、前述の実施形態の抜去装置1とは異なっている。尚、変形例に係る抜去装置3は、チャック部32以外の構成要素については、抜去装置1と同様に構成されているため、図面において同一の符号を付すことで、チャック部32以外の構成についての説明を省略する。
【0079】
チャック部32は、前述の実施形態におけるチャック部16と同様の構造を備えて構成されている。しかし、チャック部32は、出力軸13に対して、孔あけ部材であるキルシュナー鋼線19による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部側において取り付けられている。このようなチャック部32が設けられた抜去装置3が実施されてもよい。
【0080】
(3)出力軸、出力軸側ギヤ部、チャック部、孔あけ部材の数については、前述の実施形態で例示した数に限らず、種々変更して実施してもよい。また、ギヤボックスの形状についても、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 抜去装置
11 入力軸
12 入力軸側ギヤ部
13 出力軸
14 出力軸側ギヤ部
15 ギヤボックス
16 チャック部
19 キルシュナー鋼線(孔あけ部材)
101 大腿骨(骨)
102 ステム(埋入体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、といった埋入体が、骨内に埋入された状態のまま、骨内で破折することがある。この場合、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業が行われることになる。
【0003】
上述した抜去作業において用いられる抜去装置として、特許文献1に開示された装置が知られている。特許文献1に開示された抜去装置は、円筒状のドリルビットを備えて構成されている。この円筒状ドリルビットは、先端側の末端部に開口が形成されており、開口の縁部分に切削歯が設けられている。そして、円筒状ドリルビットの内側には、上記の開口に連通するとともに末端部から基端部に向かって進むにつれ直径が減少する空所が形成されている。
【0004】
また、円筒状ドリルビットは、電動機によって駆動される電動ドリルのチャックに対して取り付けられる。そして、円筒状ドリルビットの開口に対して、破折した状態で骨内に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具が挿入されるとともに、円筒状ドリルビットが、電動ドリルによって回転駆動される。これにより、円筒状ドリルビットの切削歯によって骨が切削され、上記の固定器具が、基端部側に向かって直径が減少する空所内に挿入される。そして、円筒状ドリルビットが、その空所における固定器具の直径に対応する箇所において、固定器具に対して、摩擦による焼き付けによって接合される。これにより、固定器具の骨からの抜去が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−108236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された抜去装置によると、破折した状態で骨内に埋入された埋入体としての固定器具と円筒状ドリルビットとが、摩擦による焼き付けによって接合される。このため、固定器具が円筒状ドリルビットに接合される際に、円筒状ドリルビットの内面が損傷し、この円筒状ドリルビットが破折してしまう虞がある。また、摩擦による焼き付けを生じさせる程度に大きなトルクが円筒状ドリルビットに負荷される必要もあるため、この点においても、円筒状ドリルビットが破折してしまう虞がある。従って、抜去装置は、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができる構成であることが望まれる。
【0007】
尚、特許文献1に開示された抜去装置を用いる方法以外に、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業方法として、円筒リーマを用いる方法、又は、その円筒リーマに加えてキルシュナー鋼線も用いる方法が考えられる。前者の方法の場合、先端部に切削歯が設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマが、電動機等を備えたパワーツールによって回転駆動される。そして、埋入体の周囲の骨が切削されることで、埋入体の抜去が可能となる。しかしながら、この方法によると、円筒リーマにおける切削歯が設けられた先端部の厚みが薄いため、骨を切削するためのトルクが負荷された際に、円筒リーマが破折してしまう虞がある。
【0008】
後者の方法の場合、円筒リーマによる切削作業に先立って、軸状又は線状に設けられたキルシュナー鋼線が用いられる。この場合、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において順番に、キルシュナー鋼線が電動機等を備えたパワーツールで回転駆動されることで、骨に対する孔あけ加工が行われる。これにより、円筒リーマによる骨の切削の際に円筒リーマに作用する負荷が低減され、円筒リーマの破折を抑制することができる。しかしながら、キルシュナー鋼線による孔あけ作業が、必要な孔の数に応じて、繰り返し行われる必要があるため、作業時間の増大を招いてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための第1発明に係る抜去装置は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置に関する。そして、第1発明に係る抜去装置は、回転駆動トルクが入力される入力軸と、前記入力軸に設けられて当該入力軸とともに回転する入力軸側ギヤ部と、前記入力軸と平行に当該入力軸の周囲に設置される複数の出力軸と、前記出力軸に設けられ、前記入力軸側ギヤ部に噛み合うとともに当該入力軸側ギヤ部から伝達された回転によって前記出力軸とともに回転する出力軸側ギヤ部と、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納するとともに、前記入力軸及び前記出力軸を回転自在に保持するギヤボックスと、複数の前記出力軸のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材を保持するチャック部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明によると、各出力軸に対して各チャック部によって保持された各孔あけ部材が埋入体の周囲で骨に対して接触して配置された状態で、電動機等を備えたパワーツールによって入力軸に回転駆動トルクが入力される。そして、その回転駆動トルクが、入力軸、ギヤボックスに収納された入力軸側ギヤ部及び出力軸側ギヤ部、を介して、複数の出力軸に伝達され、複数の孔あけ部材が各出力軸とともに回転する。これにより、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われることになる。この孔あけ加工が終了すると、例えば、円筒リーマが、電動機等を備えたパワーツールで回転駆動されることで、埋入体の周囲の骨が切削され、次いで、埋入体の抜去が行われることになる。尚、孔あけ部材としては、例えば、キルシュナー鋼線が用いられる。また、埋入体としては、骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、等が挙げられる。
【0012】
また、本発明によると、入力軸の周囲に設置された複数の出力軸に保持された複数の孔あけ部材が同時に回転し、埋入体の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われる。このため、一度の孔あけ作業で、複数の孔を同時に形成することができるため、抜去作業の作業時間が短縮されることになる。更に、孔あけ作業の後に、先端部に切削歯が設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマによる切削作業が行われる場合であっても、埋入体の周囲の骨に複数の孔が形成されているため、円筒リーマに作用する負荷が低減され、円筒リーマの破折を抑制することができる。このため、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折が抑制されることになる。尚、軸状又は線状に設けられたキルシュナー鋼線等の孔あけ部材は、弾性変形し易いため、孔あけ加工時の破折も抑制されることになる。
【0013】
従って、本発明によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することができる。
【0014】
第2発明に係る抜去装置は、第1発明の抜去装置において、前記孔あけ部材は、前記出力軸の内側において軸方向に延びるように設けられた挿通孔に対して挿通されることを特徴とする。
【0015】
この発明によると、孔あけ部材は、出力軸の内側の挿通孔に挿通され、次いで、出力軸に対して、チャック部によって保持される。このため、抜去作業を行う術者は、出力軸に対する孔あけ部材の位置が所望する位置となるように調整する作業を容易に行うことができる。また、孔あけ部材の位置調整を容易に行うことを可能にする機構を、出力軸の内側に挿通孔を設けるという簡素な構造で実現することができる。
【0016】
第3発明に係る抜去装置は、第1発明又は第2発明の抜去装置において、前記ギヤボックスは、組み合わされた状態で前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1ハウジング及び第2ハウジングを有し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を前記入力軸及び前記出力軸の軸方向における両側から挟むように収納するとともに、前記入力軸が貫通する入力軸用貫通孔及び前記出力軸が貫通する出力軸用貫通孔が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明によると、第1及び第2ハウジングのそれぞれに対して、入力軸が入力軸用貫通孔で挿通され、出力軸が出力軸用貫通孔で挿通される。次いで、入出力軸の軸方向の両側から入出力軸側ギヤ部を挟んで収納するように第1及び第2ハウジングが組み合わされることで、ギヤボックスの組立が完了し、抜去装置が完成することになる。よって、抜去装置を簡素な構造で実現でき、装置の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、装置の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0018】
第4発明に係る抜去装置は、第3発明の抜去装置において、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、当該第1ハウジング及び当該第2ハウジングを前記入力軸及び前記出力軸と平行な方向に沿って貫通する固定部材によって、互いに固定されることを特徴とする。
【0019】
この発明によると、第1及び第2ハウジングを入出力軸と平行な方向に貫通する固定部材によって第1及び第2ハウジングが固定される。このため、入出力軸の軸方向の両側から入出力軸側ギヤ部を挟んで収納するように第1及び第2ハウジングが組み合わされるギヤボックスの組立作業を更に容易に行うことができる。また、ギヤボックスの分解作業も更に容易に行うことができる。
【0020】
第5発明に係る抜去装置は、第3発明又は第4発明の抜去装置において、前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1本体部と、前記第1本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第1蓋部と、を有し、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第2本体部と、前記第2本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第2蓋部と、を有し、前記第1本体部と前記第1蓋部との間において、前記入力軸の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリングと、前記出力軸の一端側を回転自在に保持する第1出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置され、前記第2本体部と前記第2蓋部との間において、前記入力軸の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリングと、前記出力軸の他端側を回転自在に保持する第2出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によると、入力軸が、第1ハウジングの第1本体部及び第1蓋部の間に設置される第1入力側ベアリングで一端側が回転自在に保持され、第2ハウジングの第2本体部及び第2蓋部の間に設置される第2入力側ベアリングで他端側が回転自在に保持される構成を構築することが可能となる。そして、出力軸が、第1ハウジングの第1本体部及び第1蓋部の間に設置される第1出力側ベアリングで一端側が回転自在に保持され、第2ハウジングの第2本体部及び第2蓋部の間に設置される第2出力側ベアリングで他端側が回転自在に保持される構成を構築することが可能となる。即ち、各ハウジングが、各本体部と各蓋部との間に設置される各ベアリングで入出力軸の少なくとも一方を回転自在に保持する構成を構築可能となる。このため、入出力軸をギヤボックスにて回転自在に保持する機構を簡素な構造で実現でき、ベアリングが設けられたギヤボックスの分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、ベアリングが設けられたギヤボックスの洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0022】
第6発明に係る抜去装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかの抜去装置において、リング状又は筒状に設けられ、外周が円形の前記ギヤボックスの周囲に設置されて当該ギヤボックスに対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられた回転部材、を更に備え、前記回転部材は、前記ギヤボックスに対する相対回転方向の角度位置を指標するマークが設けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、抜去作業を行う術者は、回転部材に対してギヤボックスを相対回転させた際に、回転部材に設けられたマークによって、回転部材に対するギヤボックスの相対回転位置を容易に把握することができる。このため、術者は、一旦孔あけ作業を行った後に、ギヤボックスの周方向の角度位置を変更し、周方向に孔あけ位置をずらして再度孔あけ作業を行う際に、孔あけ位置の周方向にずらす角度を容易に把握することができる。
【0024】
第7発明に係る抜去装置は、第1発明乃至第6発明のいずれかの抜去装置において、前記チャック部は、前記出力軸に対して、前記孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部と前記ギヤボックスを介して反対側において取り付けられていることを特徴とする。
【0025】
この発明によると、チャック部が、出力軸に対して、骨に対向する端部と反対側において取り付けられているため、術者は、出力軸及びギヤボックスを骨に接近させた状態で、孔あけ作業を行うことができる。これにより、孔あけ部材のストロークをより効率よく使用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る抜去装置がパワーツールに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す抜去装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示す抜去装置の正面図である。
【図4】図3に示す抜去装置の平面図である。
【図5】図3に示す抜去装置の底面図である。
【図6】図4のA−A線矢視位置から見た断面図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】孔あけ部材によって骨への孔あけ加工が行われている状態を一部切り欠き断面で示す斜視図である。
【図9】抜去作業に用いられる円筒リーマについての斜視図及び一部切り欠き断面を含む正面図である。
【図10】変形例に係る抜去装置を示す斜視図である。
【図11】変形例に係る抜去装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置として、広く適用することができるものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施の形態に係る抜去装置1がパワーツール100に取り付けられた状態を示す斜視図である。抜去装置1は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる。そして、抜去装置1は、例えば、電動モータを備えて構成された電動ドリル等のパワーツール100によって回転駆動トルクが入力される。これにより、後述するように、骨に対する孔あけ加工が行われることになる。
【0030】
パワーツール100は、抜去作業を行う術者によって操作される。そして、術者が、操作ハンドル部100aを把持した状態で操作スイッチ100bの押圧操作を行うことで、パワーツール100に内蔵された電動モータが回転し、回転駆動力が出力される。尚、パワーツール100は、電動モータによって駆動される形態に限られず、例えば、空圧モータによって駆動される形態であってもよい。
【0031】
図2は、抜去装置1の斜視図である。図3は、抜去装置1の正面図である。図4は、抜去装置1の平面図である。図5は、抜去装置1の底面図である。図6は、図4のA−A線矢視位置から見た抜去装置1の断面図である。図7は、図6の一部を拡大して示す図である。
【0032】
図1乃至図7に示す抜去装置1は、入力軸11、入力軸側ギヤ部12、複数の出力軸13、複数の出力軸側ギヤ部14、ギヤボックス15、複数のチャック部16、複数のキルシュナー鋼線19、等を備えて構成されている。入力軸11、入力軸側ギヤ部12、出力軸13、出力軸側ギヤ部14、ギヤボックス15、チャック部16は、医療機器の素材としての認可承認を得たチタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼などの金属材料により形成されている。尚、複数のキルシュナー鋼線19が構成要素として含まれていない状態で抜去装置1の構成要素が定義されてもよい。また、パワーツール100が構成要素として含まれた状態で抜去装置1の構成要素が定義されてもよい。
【0033】
入力軸11は、円形断面で丸棒状に延びる軸部材として設けられている。また、入力軸11は、その一方の端部において、パワーツール100の出力端部に対して取り付けられる取付部20が固定されている。そして、入力軸11は、取付部20においてパワーツール100の出力端部に取り付けられた状態で、パワーツール100が術者によって操作されることで、パワーツール100の出力端部とともに回転することになる。このように、入力軸11は、パワーツール100からの回転駆動トルクが入力される。
【0034】
入力軸側ギヤ部12は、入力軸11の軸方向における中途部分に設けられ、入力軸11における径方向に拡径した部分として設けられている。そして、この入力軸側ギヤ部12は、外周に外歯が形成されている。尚、入力軸側ギヤ部12は、入力軸11に対して一体に設けられていてもよく、また、入力軸11に対して固定されていてもよい。これにより、入力軸側ギヤ部12は、入力軸11とともに回転するように構成されている。
【0035】
複数の出力軸13は、入力軸11と平行な状態でこの入力軸11の周囲に設置され、円形断面で丸棒状に延びる軸部材として設けられている。そして、複数の出力軸13は、入力軸11とともに後述するギヤボックス15に対して回転自在に保持されている。また、複数の出力軸13は、入力軸11を中心として、周方向に等角度間隔で設置されている。本実施形態では、出力軸13が4つ設けられており、入力軸11を中心として、周方向に90度間隔で各出力軸13が設置されている。また、各出力軸13の内側には、各キルシュナー鋼線19が挿通される挿通孔13aが、各出力軸13の軸方向に沿って直線状に延びるように設けられている。尚、本実施系形態では、挿通孔13aが出力軸13を軸方向に貫通する貫通孔として設けられている形態が例示されている。
【0036】
出力軸側ギヤ部14は、複数設けられ、それぞれ出力軸13に設けられている。そして、各出力軸側ギヤ部14は、各出力軸13の軸方向における中途部分に設けられ、各出力軸13における径方向に拡径した部分として設けられている。更に、各出力軸側ギヤ部14は、外周に外歯が形成され、入力軸側ギヤ部12の外歯に噛み合うとともに入力軸側ギヤ部12から伝達された回転によって出力軸13とともに回転するように構成されている。
【0037】
ギヤボックス15は、入力軸11及び複数の出力軸13を回転自在に保持する構造体として設けられている。そして、ギヤボックス15は、内側に、入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する収納空間15aが設けられている(図6及び図7を参照)。
【0038】
また、ギヤボックス15は、組み合わされた状態で入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する第1ハウジング21及び第2ハウジング22を備えて構成されている。そして、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を入力軸11及び複数の出力軸13の軸方向における両側から挟むように収納するように構成されている。
【0039】
また、図7によく示すように、第1ハウジング21には、入力軸11が貫通する入力軸用貫通孔27及び複数の出力軸13のそれぞれが個別に貫通する複数の出力軸用貫通孔28が貫通形成されて設けられている。一方、第2ハウジング22には、入力軸11が貫通する入力軸用貫通孔29及び複数の出力軸13のそれぞれが個別に貫通する複数の出力軸用貫通孔30が貫通形成されて設けられている。第1ハウジング21の入力軸用貫通孔27と第2ハウジング22の入力軸用貫通孔29とは、収納空間15aを介して対向するように設けられている。第1ハウジング21の各出力軸用貫通孔28と第2ハウジング22の各出力軸用貫通孔30とは、収納空間15aを介して対向するように設けられている。
【0040】
また、第1ハウジング21は、第1本体部21aと第1蓋部21bとを有している。第1本体部21aは、第2ハウジング22とともに入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する低背の円柱状の部材として設けられている。そして、第1本体部21aの内側には、収納空間15aの半分の領域を区画する凹み部分が設けられている。また、第1本体部21aの内側には、更に、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された入力軸用貫通孔27の一部と、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された複数の出力軸用貫通孔28のそれぞれの一部と、が設けられている。
【0041】
第1蓋部21bは、第1本体部21aに対して、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14と反対側で、即ち、収納空間15aを区画する凹み部分が設けられる側と反対側で取り付けられる部材として設けられている。そして、本実施形態では、第1蓋部21bは、第1本体部21aの円柱状の部分の直径寸法と略同一の直径寸法の円盤状の部材として設けられている。
【0042】
また、第2ハウジング22は、第2本体部22aと第2蓋部22bとを有している。第2本体部22aは、第1ハウジング21とともに入力軸側ギヤ部12及び複数の出力軸側ギヤ部14を収納する低背の円柱状の部材として設けられている。そして、第2本体部22aの内側には、収納空間15aの半分の領域を区画する凹み部分が設けられている。また、第2本体部22aの内側には、更に、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された入力軸用貫通孔29の一部と、収納空間15aに連通する貫通孔として形成された複数の出力軸用貫通孔30のそれぞれの一部と、が設けられている。
【0043】
第2蓋部22bは、第2本体部22aに対して、入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14と反対側で、即ち、収納空間15aを区画する凹み部分が設けられる側と反対側で取り付けられる部材として設けられている。そして、本実施形態では、第2蓋部22bは、第2本体部22aの円柱状の部分の直径寸法よりも大きい直径寸法の円盤状の部材として設けられている。
【0044】
また、第1本体部21aと第1蓋部21bとの間には、複数の出力軸13の一端側のそれぞれを個別に回転自在に保持する複数の第1出力側ベアリング24が設置されている。本実施形態では、各第1出力側ベアリング24は、第1本体部21aにおける各出力軸用貫通孔28の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された各出力軸13を第1本体部21aに対して回転自在に保持している。
【0045】
一方、入力軸11の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリング23は、第1本体部21aにおける入力軸用貫通孔27の収納空間15a側の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された入力軸11を第1本体部21aに対して回転自在に保持している。また、第1入力側ベアリング23は、入力軸11において拡径するように設けられた段部にて、入力軸11に対する軸方向の位置が位置決めされている。尚、第1入力側ベアリング23が、第1出力側ベアリング24とともに、第1本体部21aと第1蓋部21bとの間に設置される形態が実施されてもよい。或いは、第1入力側ベアリング23が第1本体部21aと第1蓋部21bとの間に設置され、第1出力側ベアリング24が収納空間15a側に設置される形態が実施されてもよい。
【0046】
また、第2本体部22aと第2蓋部22bとの間には、複数の出力軸13の他端側のそれぞれを個別に回転自在に保持する複数の第2出力側ベアリング26が設置されている。本実施形態では、各第2出力側ベアリング26は、第2本体部22aにおける各出力軸用貫通孔30の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された各出力軸13を第2本体部22aに対して回転自在に保持している。
【0047】
一方、入力軸11の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリング25は、第2本体部22aにおける入力軸用貫通孔29の収納空間15a側の開口の縁部に形成された環状空間を区画する凹み部分に嵌め込まれた状態で、内側に挿通された入力軸11を第2本体部22aに対して回転自在に保持している。また、第2入力側ベアリング25は、入力軸11において拡径するように設けられた段部にて、入力軸11に対する軸方向の位置が位置決めされている。尚、第2入力側ベアリング25が、第2出力側ベアリング26とともに、第2本体部22aと第2蓋部22bとの間に設置される形態が実施されてもよい。或いは、第2入力側ベアリング25が第2本体部22aと第2蓋部22bとの間に設置され、第2出力側ベアリング26が収納空間15a側に設置される形態が実施されてもよい。
【0048】
尚、各第1出力側ベアリング24と各第2出力側ベアリング26とは、各出力軸13に対して、各出力軸側ギヤ部14を介して互いに反対側において設置されている。また、第1入力側ベアリング23と第2入力側ベアリング25とは、入力軸11に対して、入力軸側ギヤ部12を介して互いに反対側において設置されている。
【0049】
固定部材17は、複数設けられ、本実施形態では、5つ設けられている。そして、各固定部材17は、おねじ部材としてのボルト17aとめねじ部材としてのナット17bとを備えて構成されている。各ボルト17aは、六角レンチによって操作される六角穴が設けられたボルト頭部が第2蓋部22bに設けられた凹み部分に係合するように構成されている。更に、各ボルト17aは、第2蓋部22b、第2本体部22a、第1本体部21a、第1蓋部21bに亘って、ギヤボックス15に貫通形成されたボルト孔15bを貫通するように設置される。
【0050】
そして、各ボルト17aにおけるボルト頭部と反対側の端部は、第1蓋部21bに設けられた凹み部分の内側において、ナット17bに螺合するように構成されている。これにより、第1ハウジング21及び第2ハウジング22は、第1ハウジング21及び第2ハウジング22を入力軸11及び出力軸13と平行な方向に沿って貫通する複数の固定部材17によって、互いに固定されることになる。尚、固定部材17は、ギヤボックス15の周方向において等角度間隔で設置されている。
【0051】
キルシュナー鋼線19は、出力軸13に対応して複数設けられ、本実施形態では、4つ設けられている。そして、各キルシュナー鋼線19は、軸状又は線状に設けられて、骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材として構成されている。各キルシュナー鋼線19の先端部には、孔あけ加工のためのドリル状の切削歯が設けられている。そして、各キルシュナー鋼線19は、各出力軸13の挿通孔13aに対して挿通される。尚、本実施形態では、各キルシュナー鋼線19が各出力軸13の挿通孔13aを貫通して各出力軸13の両端側に突出した状態で設置された形態が例示されている。
【0052】
チャック部16は、複数(本実施形態では、4つ)設けられ、複数の出力軸13のそれぞれに取り付けられている。そして、各チャック部16は、各出力軸13に挿通された各キルシュナー鋼線19を保持する把持機構を備えた部材として構成されている。把持機構としては各種形態が利用できる。例えば、キルシュナー鋼線19の端部がチャック本体に対して幅狭の爪部又は幅広のコレット部によって締め付けられることで、キルシュナー鋼線19を把持する把持機構を有するチャック部16が、実施されてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、各チャック部16は、各出力軸13に対して、キルシュナー鋼線19による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部とギヤボックス15を介して反対側において取り付けられている。即ち、各チャック部16は、ギヤボックス15に対して、入力軸11が突出して取付部20が設けられている側である第1蓋部21b側で対向するように、各出力軸13の端部において固定されている。また、各チャック部16には、各出力軸13の挿通孔13aに連通してキルシュナー鋼線19が挿通される貫通孔が設けられている。
【0054】
回転部材18は、リング状又は筒状の部材として設けられている。そして、回転部材18は、外周が円形のギヤボックス15の第2本体部22aの周囲に設置され、ギヤボックス15に対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられている。そして、回転部材18は、第2本体部22aの周囲に回転自在に装着された状態で、第2蓋部22bに当接することによって、一方の端面の軸方向の位置が位置決めされている。
【0055】
また、回転部材18は、第2本体部22aに対して、周方向の複数個所において係止して位置決め可能なプランジャー機構又はラチェット機構として構成された位置決め機構が内蔵されている。この位置決め機構は、径方向の内側に向かって突出可能にバネで付勢された係止部材を備えて構成されている。そして、この係止部材が、第2本体部22aの外周において等角度間隔に設けられるとともに凹み形成された位置決め用凹み穴22cに対して係止することで、回転部材18が、ギヤボックス15に対して、複数の所定箇所において、個別に位置決め可能に構成されている。
【0056】
また、回転部材18は、ギヤボックス15に対する相対回転方向の角度位置を指標するマーク18aが設けられている。本実施形態では、回転部材18において、この回転部材18に対するギヤボックス15の相対回転角度を60°毎に指標する、「0°」、「60°」、「120°」、「180°」、「240°」、「300°」の6つのマーク18aが設けられた形態が例示されている。
【0057】
次に、骨内に埋入された埋入体が骨内で破折したときに、上述した抜去装置1を用いることで埋入体を骨から抜去する抜去作業について説明する。図8は、キルシュナー鋼線19によって骨への孔あけ加工が行われている状態を一部切り欠き断面で示す斜視図である。破折した状態で骨内に埋入されて抜去対象となる埋入体としては、骨に埋入されたステム状の人工関節用コンポーネント、或いは、骨に埋入されたスクリュー状又はピン状の固定器具、等が挙げられる。
【0058】
図8では、大腿骨101として構成された骨の髄腔に埋入されて破折した状態の人工関節用コンポーネントとしてのステム102が例示されている。また、図8では、大腿骨101に埋入されたステム102が、側方から大腿骨101を貫通してステム102に螺合するサイドボルトによっても固定される形態が、例示されている。以下、図8に例示されているように大腿骨101からステム102を抜去する形態を例にとって抜去作業について説明する。
【0059】
図8に示すステム102の骨101からの抜去作業においては、まず、ステム102を固定しているサイドボルトが、抜き取られて取り除かれる。そして、大腿骨101において、ステム102における破折した端部の周囲の骨が削られ、取り除かれる。更に、術者は、所定の骨切り器具を用いて、ステム102における破折した端面の近傍まで、大腿骨101に対する骨切りを行う。
【0060】
次いで、術者は、大腿骨101内に埋入されているステム102の埋入深さを測定する。この埋入深さは、例えば、破折して大腿骨101内に埋入されているステム102に対して破折した相手側の部分であって外部にとりだされた部分(図示を省略)の長さを破折前のステム102の全長から差し引くことで測定される。
【0061】
術者は、大腿骨101内に埋入されているステム102の埋入深さの測定が完了すると、その測定結果に応じて、各キルシュナー鋼線19が各出力軸13の端部から突出する長さを所望の長さに調整した状態で、各キルシュナー鋼線19を各チャック部16によって固定する。また、術者は、抜去装置1をパワーツール100に取り付ける(図1を参照)。このとき、抜去装置1は、入力軸11の端部の取付部20において、パワーツール100の出力端部に取り付けられる。
【0062】
そして、各出力軸13に対して各チャック部16によって保持された各キルシュナー鋼線19の先端側の切削歯が、ステム102の周囲で大腿骨101に接触した状態となるように、抜去装置1が配置される。この状態で、パワーツール100の操作スイッチ100bが術者によって操作され、回転駆動トルクが入力軸11に入力される。
【0063】
パワーツール100からの回転駆動トルクが入力軸11に入力されると、入力軸11が回転し、この入力軸11とともに入力軸側ギヤ部12が回転する。そして、ギヤボックス15内において、入力軸側ギヤ部12に噛み合う出力軸側ギヤ部14に回転が伝達される。これにより、入力軸11の回転が、入力軸側ギヤ部12及び各出力軸側ギヤ部14を介して、各出力軸13に伝達される。そして、各出力軸13とともに、各キルシュナー鋼線19が回転する。これにより、図8に示すように、ステム102の周囲の大腿骨101に対して、複数個所において(本実施形態では、4箇所において)、同時に、孔あけ加工が行われることになる。
【0064】
上記の孔あけ加工が終了すると、キルシュナー鋼線19が大腿骨101から抜き出され、パワーツール100の運転が停止される。そして、ステム102の周囲において、周方向にずれた位置で更に追加の孔あけが必要と術者が判断した場合は、術者は、回転部材18に対してギヤボックス15を必要な角度分だけ相対的に回転させる。このとき、回転部材18に対するギヤボックス15の相対的な回転角度量は、マーク18aに対するギヤボックス15の相対的な位置の変化によって術者に把握される。上記の回転操作が終了すると、術者は、前述した孔あけ作業を再び行うことになる。そして、必要な回数孔あけ作業が繰り返された段階で、抜去作業における全ての孔あけ作業が終了することになる。
【0065】
孔あけ作業が全て終了すると、次いで、図9に示すような円筒リーマ103が用いられ、大腿骨101におけるステム102の周囲の骨の切除作業が行われる。尚、図9では、円筒リーマ103についての斜視図(図9(a))及び一部切り欠き断面を含む正面図(図9(b))が示されている。円筒リーマ103は、先端部に切削歯103aが設けられた薄肉円筒状の切削器具として設けられている。そして、円筒リーマ103における切削歯103aが設けられる側と反対側の端部には、パワーツール100の出力端部に取り付けられるための取付部103bが設けられている。
【0066】
円筒リーマ103は、取付部103bにてパワーツール100の出力端部に取り付けられた状態で、切削歯103aがステム102の周囲の大腿骨101に接触した状態となるように、配置される。そして、この状態で、パワーツール100の操作スイッチ100bが術者によって操作され、回転駆動トルクが円筒リーマ103に入力される。これにより、大腿骨101におけるステム102の周囲の骨が切削される。そして、円筒リーマ103による切削作業が終了すると、円筒リーマ103が大腿骨101から抜き出される。そして、術者は、所定のクランプ器具等を用いてステム102を大腿骨101の髄腔から抜き出し、抜去することになる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によると、入力軸11の周囲に設置された複数の出力軸13に保持された複数のキルシュナー鋼線19が同時に回転し、ステム102の周囲の骨に対して、複数個所において、同時に、孔あけ加工が行われる。このため、一度の孔あけ作業で、複数の孔を同時に形成することができるため、抜去作業の作業時間が短縮されることになる。更に、孔あけ作業の後に、先端部に切削歯103aが設けられて薄肉円筒状に形成された円筒リーマ103による切削作業が行われる場合であっても、ステム102の周囲の骨に複数の孔が形成されているため、円筒リーマ103に作用する負荷が低減され、円筒リーマ103の破折を抑制することができる。このため、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折が抑制されることになる。
【0068】
従って、本実施形態によると、抜去作業に用いられる装置或いは器具の破折を抑制することができるとともに作業時間を短縮することができる抜去装置1を提供することができる。
【0069】
また、本実施形態によると、キルシュナー鋼線19は、出力軸13の内側の挿通孔13aに挿通され、次いで、出力軸13に対して、チャック部16によって保持される。このため、抜去作業を行う術者は、出力軸13に対するキルシュナー鋼線19の位置が所望する位置となるように調整する作業を容易に行うことができる。また、キルシュナー鋼線19の位置調整を容易に行うことを可能にする機構を、出力軸13の内側に挿通孔13aを設けるという簡素な構造で実現することができる。
【0070】
また、本実施形態によると、第1ハウジング21及び第2ハウジング22のそれぞれに対して、入力軸11が入力軸用貫通孔(27、29)で挿通され、出力軸13が出力軸用貫通孔(28、30)で挿通される。次いで、入力軸11及び出力軸13の軸方向の両側から入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を挟んで収納するように第1ハウジング21及び第2ハウジング22が組み合わされることで、ギヤボックス15の組立が完了し、抜去装置1が完成することになる。よって、抜去装置1を簡素な構造で実現でき、装置の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、装置の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態によると、第1ハウジング21及び第2ハウジング22を入力軸11及び出力軸13と平行な方向に貫通する固定部材17によって第1ハウジング21及び第2ハウジング22が固定される。このため、入力軸11及び出力軸13の軸方向の両側から入力軸側ギヤ部12及び出力軸側ギヤ部14を挟んで収納するように第1ハウジング21及び第2ハウジング22が組み合わされるギヤボックス15の組立作業を更に容易に行うことができる。また、ギヤボックス15の分解作業も更に容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態によると、出力軸13が、第1ハウジング21の第1本体部21a及び第1蓋部21bの間に設置される第1出力側ベアリング24で一端側が回転自在に保持され、第2ハウジング22の第2本体部22a及び第2蓋部22bの間に設置される第2出力側ベアリング26で他端側が回転自在に保持される。また、入力軸11を回転自在に保持する第1入力側ベアリング23及び第2入力側ベアリング25は、第1本体部21a及び第2本体部22aに嵌め込まれて設置されている。このため、入力軸11及び出力軸13をギヤボックス15にて回転自在に保持する機構を簡素な構造で実現でき、ベアリング(23、24、25、26)が設けられたギヤボックス15の分解及び組立作業も容易に行うことができる。また、これにより、ベアリング(23、24、25、26)が設けられたギヤボックス15の洗浄及び滅菌作業も容易に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態によると、抜去作業を行う術者は、回転部材18に対してギヤボックス15を相対回転させた際に、回転部材18に設けられたマーク18aによって、回転部材18に対するギヤボックス15の相対回転位置を容易に把握することができる。このため、術者は、一旦孔あけ作業を行った後に、ギヤボックス15の周方向の角度位置を変更し、周方向に孔あけ位置をずらして再度孔あけ作業を行う際に、孔あけ位置の周方向にずらす角度を容易に把握することができる。
【0074】
また、本実施形態によると、チャック部16が、出力軸13に対して、骨に対向する端部と反対側に取り付けられているため、術者は、出力軸13及びギヤボックス15を骨に接近させた状態で、孔あけ作業を行うことができる。これにより、キルシュナー鋼線19のストロークをより効率よく使用することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0076】
(1)前述の実施形態では、孔あけ部材がチャック本体に対して幅狭の爪部又は幅広のコレット部によって締め付けられることで、孔あけ部材を把持する把持機構を有するチャック部を例にとって説明したが、この例に限らず、チャック部の形態は、種々変更して実施してもよい。図10は、変形例に係る抜去装置2を示す斜視図である。図10に示す抜去装置2は、チャック部31の構成において、前述の実施形態の抜去装置1とは異なっている。尚、変形例に係る抜去装置2は、チャック部31以外の構成要素については、抜去装置1と同様に構成されているため、図面において同一の符号を付すことで、チャック部31以外の構成についての説明を省略する。
【0077】
チャック部31は、出力軸13の端部に固定されるとともに、孔あけ部材としてのキルシュナー鋼線19が挿通される貫通孔が設けられている。そして、チャック部31には、側方から螺合するとともに内側の貫通孔まで貫通可能なネジ28が取り付けられている。チャック部31の貫通孔にキルシュナー鋼線19が挿通された状態で、チャック部31においてネジ28が締め付けられ、ネジ28の先端部がキルシュナー鋼線19に当接してキルシュナー鋼線19を固定することで、キルシュナー鋼線19がチャック部31に保持される。このようなチャック部31が設けられた抜去装置2が実施されてもよい。
【0078】
(2)前述の実施形態では、チャック部が、出力軸に対して、孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部とギヤボックスを介して反対側において取り付けられている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。図11は、変形例に係る抜去装置3を示す斜視図である。図11に示す抜去装置3は、チャック部32の設置位置の構成において、前述の実施形態の抜去装置1とは異なっている。尚、変形例に係る抜去装置3は、チャック部32以外の構成要素については、抜去装置1と同様に構成されているため、図面において同一の符号を付すことで、チャック部32以外の構成についての説明を省略する。
【0079】
チャック部32は、前述の実施形態におけるチャック部16と同様の構造を備えて構成されている。しかし、チャック部32は、出力軸13に対して、孔あけ部材であるキルシュナー鋼線19による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部側において取り付けられている。このようなチャック部32が設けられた抜去装置3が実施されてもよい。
【0080】
(3)出力軸、出力軸側ギヤ部、チャック部、孔あけ部材の数については、前述の実施形態で例示した数に限らず、種々変更して実施してもよい。また、ギヤボックスの形状についても、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0082】
1 抜去装置
11 入力軸
12 入力軸側ギヤ部
13 出力軸
14 出力軸側ギヤ部
15 ギヤボックス
16 チャック部
19 キルシュナー鋼線(孔あけ部材)
101 大腿骨(骨)
102 ステム(埋入体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置であって、
回転駆動トルクが入力される入力軸と、
前記入力軸に設けられて当該入力軸とともに回転する入力軸側ギヤ部と、
前記入力軸と平行に当該入力軸の周囲に設置される複数の出力軸と、
前記出力軸に設けられ、前記入力軸側ギヤ部に噛み合うとともに当該入力軸側ギヤ部から伝達された回転によって前記出力軸とともに回転する出力軸側ギヤ部と、
前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納するとともに、前記入力軸及び前記出力軸を回転自在に保持するギヤボックスと、
複数の前記出力軸のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材を保持するチャック部と、
を備えていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の抜去装置であって、
前記孔あけ部材は、前記出力軸の内側において軸方向に延びるように設けられた挿通孔に対して挿通されることを特徴とする、抜去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の抜去装置であって、
前記ギヤボックスは、組み合わされた状態で前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1ハウジング及び第2ハウジングを有し、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を前記入力軸及び前記出力軸の軸方向における両側から挟むように収納するとともに、前記入力軸が貫通する入力軸用貫通孔及び前記出力軸が貫通する出力軸用貫通孔が設けられていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の抜去装置であって、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、当該第1ハウジング及び当該第2ハウジングを前記入力軸及び前記出力軸と平行な方向に沿って貫通する固定部材によって、互いに固定されることを特徴とする、抜去装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の抜去装置であって、
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1本体部と、前記第1本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第1蓋部と、を有し、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第2本体部と、前記第2本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第2蓋部と、を有し、
前記第1本体部と前記第1蓋部との間において、前記入力軸の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリングと、前記出力軸の一端側を回転自在に保持する第1出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置され、
前記第2本体部と前記第2蓋部との間において、前記入力軸の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリングと、前記出力軸の他端側を回転自在に保持する第2出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置されていることを特徴とする、抜去装置、
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の抜去装置であって、
リング状又は筒状に設けられ、外周が円形の前記ギヤボックスの周囲に設置されて当該ギヤボックスに対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられた回転部材、を更に備え、
前記回転部材は、前記ギヤボックスに対する相対回転方向の角度位置を指標するマークが設けられていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の抜去装置であって、
前記チャック部は、前記出力軸に対して、前記孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部と前記ギヤボックスを介して反対側において取り付けられていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項1】
破折した状態で骨内に埋入された埋入体を抜去する抜去作業において用いられる抜去装置であって、
回転駆動トルクが入力される入力軸と、
前記入力軸に設けられて当該入力軸とともに回転する入力軸側ギヤ部と、
前記入力軸と平行に当該入力軸の周囲に設置される複数の出力軸と、
前記出力軸に設けられ、前記入力軸側ギヤ部に噛み合うとともに当該入力軸側ギヤ部から伝達された回転によって前記出力軸とともに回転する出力軸側ギヤ部と、
前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納するとともに、前記入力軸及び前記出力軸を回転自在に保持するギヤボックスと、
複数の前記出力軸のそれぞれに取り付けられ、軸状又は線状に設けられて骨に対する孔あけ加工を行うための孔あけ部材を保持するチャック部と、
を備えていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の抜去装置であって、
前記孔あけ部材は、前記出力軸の内側において軸方向に延びるように設けられた挿通孔に対して挿通されることを特徴とする、抜去装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の抜去装置であって、
前記ギヤボックスは、組み合わされた状態で前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1ハウジング及び第2ハウジングを有し、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を前記入力軸及び前記出力軸の軸方向における両側から挟むように収納するとともに、前記入力軸が貫通する入力軸用貫通孔及び前記出力軸が貫通する出力軸用貫通孔が設けられていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項4】
請求項3に記載の抜去装置であって、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは、当該第1ハウジング及び当該第2ハウジングを前記入力軸及び前記出力軸と平行な方向に沿って貫通する固定部材によって、互いに固定されることを特徴とする、抜去装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の抜去装置であって、
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第1本体部と、前記第1本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第1蓋部と、を有し、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングとともに前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部を収納する第2本体部と、前記第2本体部に対して前記入力軸側ギヤ部及び前記出力軸側ギヤ部と反対側で取り付けられる第2蓋部と、を有し、
前記第1本体部と前記第1蓋部との間において、前記入力軸の一端側を回転自在に保持する第1入力側ベアリングと、前記出力軸の一端側を回転自在に保持する第1出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置され、
前記第2本体部と前記第2蓋部との間において、前記入力軸の他端側を回転自在に保持する第2入力側ベアリングと、前記出力軸の他端側を回転自在に保持する第2出力側ベアリングと、のうちの少なくとも一方が設置されていることを特徴とする、抜去装置、
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の抜去装置であって、
リング状又は筒状に設けられ、外周が円形の前記ギヤボックスの周囲に設置されて当該ギヤボックスに対して周方向に相対的に回転自在に取り付けられた回転部材、を更に備え、
前記回転部材は、前記ギヤボックスに対する相対回転方向の角度位置を指標するマークが設けられていることを特徴とする、抜去装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の抜去装置であって、
前記チャック部は、前記出力軸に対して、前記孔あけ部材による骨に対する孔あけ加工が行われる際に骨に対向する端部と前記ギヤボックスを介して反対側において取り付けられていることを特徴とする、抜去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66562(P2013−66562A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206426(P2011−206426)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(504418084)京セラメディカル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(504418084)京セラメディカル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]