説明

押し潰し可能なタイプの容器を充填するための装置

本発明は、押し潰し可能なタイプの容器に粉末ないし液体の形態の製品を充填するための装置に関し、前記容器は、複数の可撓性の壁によって画成された隔室を有し、この隔室は、その容積が前記壁同士の位置関係によって決まると共に、前記容器の充填ダクトを介して周囲環境に通じており、当該装置は、充填管を伴った弁ハウジングであって、当該弁ハウジングとその充填管とで画成される製品通路を通じて前記容器の隔室へ製品を供給するために、前記充填管が前記容器の充填ダクト内へ挿入自在となっている、弁ハウジングと、前記製品通路内に配置され、弁体と、この弁体の下流側に配置される先端要素とを有したピストン要素と、前記充填管が前記充填ダクト内に挿入されたとき、前記充填管および前記充填ダクトを把持して、前記充填管と前記充填ダクトとの間に密封を確立するように構成された圧迫手段とを備え、前記ピストン要素は、前記弁ハウジングの弁座に対して前記弁体が当接して前記製品通路を閉塞すると共に、前記先端要素が、前記充填管の出口部分の内部に配置され、ないしは当該出口部分に近接して配置されて零れを阻止する第1の位置と、前記弁体が前記弁座から移動されて前記製品通路を開放すると共に、前記先端要素が前記出口部分と共に充填通路を画成する位置をとる第2の位置との間で可動となっており、前記充填管が剛性材料で出来ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し潰し可能なタイプ(collapsible type)の容器に粉末ないし液体の形態の製品を充填するための装置、具体的には、そのような装置において、容器の充填ダクト内へ挿入自在な充填管を備え、この充填管を通じて容器の隔室へ製品を供給するものに関する。
【背景技術】
【0002】
粉末ないし液体の形態の製品が充填される、多くの異なる種類の容器が現在、入手可能である。
【0003】
一つの典型的な容器は押し潰し可能であって、2つの可撓性側壁と、底壁とを備えている。それらの壁は連結部分に沿って互いに連結されて隔室を形成し、この隔室の容積は、それらの壁同士の位置関係によって決まる。
【0004】
この種の容器は、充填前には、平坦で密封された状態にすることができる。これにより、製造との関連において当該容器の隔室を滅菌し、また無菌状態を維持した状態で当該容器を乳製品製造所のような充填プラントへ配送することが可能となる。
【0005】
上述した種類の容器は国際公開パンフレットWO99/41155により知られているが、そこには当該容器を充填するための装置も開示されている。
【0006】
その装置は、容器の充填ダクト内へ挿入自在なノズルを備えている。当該充填ダクトは、容器の充填との関連において、切断ないし類似の操作によって開放される。
【0007】
従って、実際の充填プロセス中において、当該ノズルが充填ダクト内に挿入され、その後に製品用の弁が解放されて、当該ノズルを通じて所望の製品量を容器の隔室へ供給することとなる。そして隔室は、供給された製品の体積に実質的に対応した容積を得ることとなる。この充填プロセスは、隔室内への空気の侵入が防止され、あるいは少なくとも最小限にされることを確実なものとする。
【0008】
WO99/41155に開示された充填装置は、具体的には、シリコンゴムのような弾性材料で出来たノズルを備えている。このノズルは出口に向かって先細りとなった先端部を有しており、その出口は、当該先端部の下端面にある隙間の形をなしている。
【0009】
ノズルは自動閉鎖式であり、これは、外力が作用しない状態では上記隙間を画成する縁部同士が互いに係合することを意味している。
【0010】
充填プロセス中、上述したように、ノズルは容器の充填ダクト内へ挿入され、その後に当該ノズルを通じて隔室へと製品が供給される。製品の圧力が作用して、ノズルを解放すると同時に、充填ダクトの壁とノズルとの間に密封を確立することとなる。これにより、容器へ空気が入り込まないことを確実なものとする。
【0011】
上述した種類の充填装置の効率に対する要求、従って当該装置が個々の容器を充填可能な速度に対する要求も増大している。
【0012】
製品の流速を増大させることで、より迅速な充填を達成することは可能だが、これは製品の圧力を上昇させる結果を招くこととなる。製品圧力の増大は、場合によっては、充填ダクトの壁とノズルとの間から容器の隔室外へ製品が押し出される結果を招くかもしれない、ということが分かってきている。明白な理由で、これは充填装置における衛生環境の維持という点で問題を引き起こす。
【0013】
従って、押し潰し可能なタイプの容器の効率的かつ合理的な充填を可能とする充填装置に対しての要求が存在するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第99/41155号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したことを考慮して、本発明の目的は、押し潰し可能なタイプの容器を充填するための装置であって、衛生的な状況下での迅速な充填を可能とするものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、また以下の説明から明らかとなるであろう他の目的を達成するために、本発明によれば、請求項1で定義された特徴を有する装置が提供される。当該装置の実施形態は、請求項2〜20で定義されることとなる。
【0017】
具体的には本発明によれば、押し潰し可能なタイプの容器に粉末ないし液体の形態の製品を充填するための装置であって、前記容器は、複数の可撓性の壁によって画成された隔室を有し、この隔室は、その容積が前記壁同士の位置関係によって決まると共に、前記容器の充填ダクトを介して周囲環境に通じており、当該装置は、充填管を伴った弁ハウジングであって、当該弁ハウジングとその充填管とで画成される製品通路を通じて前記容器の隔室へ製品を供給するために、前記充填管が前記容器の充填ダクト内へ挿入自在となっている、弁ハウジングと、前記製品通路内に配置され、弁体と、この弁体の下流側に配置される先端要素とを有したピストン要素と、前記充填管が前記充填ダクト内に挿入されたとき、前記充填管および前記充填ダクトを把持して、前記充填管と前記充填ダクトとの間に密封を確立するように構成された圧迫手段とを備え、前記ピストン要素は、前記弁ハウジングの弁座に対して前記弁体が当接して前記製品通路を閉塞すると共に、前記先端要素が、前記充填管の出口部分の内部に配置され、ないしは当該出口部分に近接して配置されて零れ(dripping)を阻止する第1の位置と、前記弁体が前記弁座から移動されて前記製品通路を開放すると共に、前記先端要素が前記出口部分と共に充填通路を画成する位置をとる第2の位置との間で可動となっており、前記充填管が剛性材料で出来ている装置が提供される。
【0018】
本発明の装置は、押し潰し可能なタイプの容器から製品が出てゆく危険を伴うことなく、当該容器を短時間で充填することを確実なものとする。
【0019】
弁体を使用することにより、比較的大きな面積の充填通路を得ることができ、迅速な充填プロセスが可能となる。
【0020】
本発明装置の他の利点は、ピストン要素が第1の位置に配置されたときに先端要素によって零れを阻止できるということであり、これは弁体を出口部分の内部に配置し、あるいは出口部分に近接して配置する必要がないということを意味する。これにより、容器の充填中に弁体を充填管から突出させる必要がなく、従って弁体を損傷させるかもしれない部品(部分)との衝突の危険を冒す必要がないという利点も得られる。それは、零れを伴うことなく容器を充填できるという、より衛生的な利点が生じる結果ともなる。
【0021】
その他の利点は、充填管に対して圧迫手段が密封を行うことで、充填管を容器内へかなり奥まで挿入する必要がなく、これにより装置の濡れ(wetting)が低減されるということである。この濡れ(wetting)は、製品が装置の部品と接触することを意味する。
【0022】
前記ピストン要素は、前記弁体と前記先端要素とを支持するピストンロッドをさらに有していてもよい。その結果、ピストン要素を単純で費用のかからないやり方で製造できるという利点が得られる。また、その結果、弁体と先端要素を同時に動かすことを容易にできるという利点も得られる。
【0023】
ピストン要素の動きをより単純にするためには、前記ピストン要素が、当該ピストン要素の軸方向変位によって、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可動となっていてもよい。
【0024】
前記先端要素は、前記ピストン要素内に交換可能に配置され得る。その結果、先端要素が動く際に(例えば、何らかの他の部品との衝突によって)損傷したとしても、交換しなければならないのは先端要素だけであるという利点が得られる。先端要素が交換可能であるという事実によって、(装置の)停止中の休止時間を短縮できるという利点もまた、もたらされ、その結果これは大幅なコストの節約につながる。
【0025】
また、先端要素を弁体の下流側に配置することは、この先端要素が損傷を受ける危険性が最小限になるという利点をもたらす。
【0026】
前記弁体は、前記ピストン要素内に交換可能に配置されていてもよい。
【0027】
前記先端要素は、前記ピストン要素が前記第1の位置へ配置されたところで、前記充填管の出口部分内に受け入れられてもよい。これにより、作動中の他の機械部品との衝突や偶発的な噛み合いにより先端要素や装置の何らかの他の部品(部分)が損傷を受ける危険性が最小限になるという利点がもたらされる。
【0028】
製品通路の出口面積をより増大させるためには、前記先端要素が、前記ピストン要素が前記第2の位置へ配置されたときに、前記充填管の出口部分から突出してもよい。
【0029】
大きな出口面積をもたらすのに好適な手法は、前記充填通路が円周形隙間の形状を有している、ということかもしれない。
【0030】
前記弁体は、当該弁体が前記第1の位置に配置されたときに前記弁座に対して当接するシールを支持していてもよい。これは、ピストン要素が第1の位置にあるときに弁体が弁座と密封的に係合することを確実なものとする。
【0031】
前記先端要素は、先細りになった端部が出口から遠ざかる方を向いた円錐台の形状を有していてもよい。これにより、製品が先端要素に接触したときに、装置を通じて流れる製品の流れが方向を変えるという利点がもたらされる。具体的には、先端要素は次のような円錐台形状を与えられていてもよい。すなわち、流出する製品の流れが逸らされて、この流れが容器の両側の連結部分に向かって外側へと横方向に向けられるような円錐台形状である。そうすると、この流れは、壁に沿って進んで容器の底に集められることとなる。これにより、下から上方への充填がもたらされ、この流れが製品の泡立ちと乱流を低減させる。これは、製品の飛び散りや流出を伴うことなく、容器をより素早く充填できることを意味する。
【0032】
横方向への流れをさらに増大させ、また充填通路の面積をさらに増大させるためには、前記先端要素の円錐台形状の円周面(側面)が湾曲していてもよい。
【0033】
前記先端要素は、前記充填管から遠ざかる方向を向いた平坦面を有していてもよい。これにより、先端要素が何らかの他の部品(部分)と衝突する危険性をさらに最小限にするという利点がもたらされる。
【0034】
前記先端要素の平坦面は異形(profiled)(単純形状でない)表面構造を有していてもよい。異形表面構造の利点は、表面上に置かれた液体の毛管力が増大して、滴の形成と先端要素からの零れの危険性を低減させるということである。「異形表面構造」は、例えば瘤だらけの(ぎざぎざの)表面、荒い(ざらさらの)表面、凸凹な表面などの表面のつもりで用いており、これは完全に平坦な表面構造よりも大きい毛管力を生じさせる表面構造である、ということに言及すべきである。
【0035】
前記先端要素は丸い基部や凸レンズ形状の基部を有していてもよい。円錐台形状を有すると共に凸レンズ形状の基部を伴った先端要素は、上述した横方向へのフローパターン(流れの傾向)を促進させる。
【0036】
前記充填管は、ステンレス鋼で作ることができる。
【0037】
前記圧迫手段は、前記充填管および前記充填ダクトを把持するように構成された弾性係合面を有していてもよい。その結果、圧迫手段が前記充填管および充填ダクトを緩やかに把持できる一方で、同時に解放自在な密封が確立される、という利点が得られる。
【0038】
前記弁ハウジングとその充填管とが、前記容器へガスを供給するためのガスダクトをさらに有していてもよい。その結果、製品に加えてガス(例えば製品の寿命を延ばすように適合されたガス)をも、単純で費用のかからないやり方で容器に供給することができる、という利点が得られる。
【0039】
充填プロセスにおいてガスを正確な量で、且つ正確な時点で供給することを可能とするために、前記ガスの供給を前記ピストン要素の位置とは無関係に制御されるように構成することができる。
【0040】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態が例示的に記述されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明装置の実施形態を示す断面図。
【図2a】本発明装置によって容器を充填する方法を示す模式的な斜視図。
【図2b】本発明装置によって容器を充填する方法を示す模式的な斜視図。
【図3a】図2aおよび図2bに示す充填方法の過程における、本発明装置の弁要素の動作を示す模式的な断面図。
【図3b】図2aおよび図2bに示す充填方法の過程における、本発明装置の弁要素の動作を示す模式的な断面図。
【図4】本発明装置の第2の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、押し潰し可能な容器(押し潰し自在な容器)を充填するための装置に関する。
【0043】
この種の容器は、向かい合った2つの側壁と、底壁とを備えている。それらの壁は連結部分に沿って互いに連結されて隔室を画成し、この隔室の容積は、それらの壁同士の位置関係によって決まる。容器の充填ダクト(当該充填ダクトは、前記側壁によって画成することができる)が、容器の隔室を周囲環境に通じさせる。容器の非充填状態において充填ダクトを密封することができ、その場合、このダクトは充填前に開放される。これにより、無菌状態の隔室を有した容器が本発明の装置で使用されるのを、簡単なやり方で確実なものとすることができる。
【0044】
ここで図1を参照すると、同図は上述した容器を充填するための本発明装置の一実施形態を示している。
【0045】
当該装置1は主要な構成要素として、弁ハウジング2、圧迫手段3、およびピストン要素4を備えている。
【0046】
弁ハウジング2は、容器へ供給される製品のための供給源(図示せず)に連結されている。弁ハウジング2は、出口部分6を有する充填管5と、弁座7とを備えている。充填管5の出口部分6は、出口(吐出口)8を有している。弁ハウジング2と充填管5とが製品通路9を画成している。
【0047】
ピストン要素4は、弁体(弁胴)11を支持するピストンロッド10と、この弁体11の下流側に配置される先端要素12とを備えている。図示の実施形態において、弁体11は、製品の流れ方向へ先細りになった円錐に略対応した形状を有している。この弁体11の上端部には、ピストンロッド10の第1の部分がねじ込まれる螺子孔13が形成されている。ピストンロッド10の第2の部分は、弁体11と一体的に形成されている。ピストンロッドの第2の部分の下端部には、第2の螺子孔14が形成されている。先端要素12は、円錐台形状を有すると共に、中央貫通孔15を有している。先端要素12は、螺子16によって交換可能に、ピストンロッド10の第2の部分に接して配置されている。その螺子16は、中央貫通孔15を貫いて延びて、ピストンロッド10の第2の螺子孔14にねじ込まれている。
【0048】
ピストン要素4は、製品通路9内に配置されると共に、図1に示すような第1の位置と、第2の位置との間での間で可動となっている。その第1の位置においては、弁ハウジング2の弁座7に対して弁体11が当接して製品通路9を閉塞(ブロック)すると共に、先端要素12が、充填管5の出口部分6の内部に配置され、ないしは当該出口部分6に近接して配置されて、零れ(dripping)を阻止する。その第2の位置においては、弁体11が弁座7から移動されて製品通路9を開放すると共に、先端要素12が出口部分6と共に充填通路17を画成(当該通路17の外縁を画定)する位置をとる。
【0049】
弁体11は、Oリング18の形態のシール18を支持している。前記第1の位置においては、当該Oリング18が、弁ハウジング2の弁座7に対して当接して、この弁座7に対して弁体11が密封的に接続することを確実なものとする。
【0050】
ピストン要素4は、前記弁ハウジング2内に支持されると共に、適切に設計された構成によって軸方向に移動自在となっている。そして、このピストン要素4を軸方向に変位させることで、当該ピストン要素4が前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能となっている。
【0051】
第1の位置においては、先端要素12が充填管5内に受け入れられている。先端要素12は、充填管5の内径よりも僅かに小さな外径を有しており、従って充填管5に対しては当接しないようになっている。ピストン要素4が第1の位置にあるときにおいて弁体11と先端要素12との間に液体が存在する場合、装置1からの零れは、先端要素12と充填管5との間で生じる製品の毛管力によって阻止される。従って、先端要素12と充填管5の内径との間での適切な直径の差は、どの製品を容器に供給すべきかによる。充填管5の内側および先端要素12の形状は、円形状には限定されず、多くの適切な形状を有することができる、ということが強調されるべきである。
【0052】
図示の実施形態では、圧迫手段3が、充填管5を把持するように構成された一対の顎(挟持体)19を備えている。
【0053】
充填管5はステンレス鋼のような剛性材料(不撓性材料)で出来ており、一対の顎19は弾性係合面20を有している。
【0054】
ここで図2aおよび図2bを参照すると、これらの図は容器21を充填する方法を示している。
【0055】
図2aに示すように、まず本発明の装置1の下に容器21が位置決めされる。容器21の充填ダクト22は、切断ないし類似の操作によって開放されており、これによって容器21の隔室23が前記充填ダクト22を介して周囲環境に通じている。
【0056】
容器21の位置決めは様々なやり方で、例えば、容器を吊り下げて横方向に可動な把持手段の装置構成(図示せず)によって実行可能である。
【0057】
図2bにおいては、ピストン要素4がその第1の位置にある状態で、容器21の充填ダクト22内に充填管5が挿入されている。圧迫手段3が作動して、その一対の顎19が充填管5を、従って充填ダクト22をも把持することとなっている。充填管5は剛性材料で出来ているが、一対の顎の係合面は弾性的である。このため、前記充填ダクト22と充填管5との間に、当該充填ダクト22を画成している容器21の側壁を損傷する危険を生じさせない、解放可能な密封が確立される。
【0058】
上述したように、容器21の充填ダクト22内に充填管5が挿入されるときには、ピストン要素4がその第1の位置にあり、これが図3aに一層明確に示されている。
【0059】
圧迫手段3が作動して、その一対の顎19が充填ダクト22と充填管5を把持することとなったときに、ピストン要素4とそのピストンロッド10とを、その第2の位置(図3bに部分的に示す)に移動させることができ、弁体11が製品通路を開放する。すると製品は、こうして画成された充填通路17から流出して、容器21の隔室23内へ流入することとなる。充填の間、容器21の隔室23は、風船が膨らまされるように、製品の進入に応じて膨張していくこととなる。圧迫手段3でもたらされる密封は、充填ダクト22と充填管5との間で容器21から製品が圧し出され得ないことを確実なものとする。
【0060】
図示の実施形態では、先端要素12の形状が、装置1から流出して容器へ流入する製品が容器の各側壁へと横方向に流れるのを助ける。製品が容器の各側壁に接触すると、その方向がもう一度変化して、製品が今度は各側壁に沿って容器の底へと下方に流れる。最終的に、製品が容器の底に集められ、容器は下方から充填されていく。この流れは、押し潰し可能な容器を充填する際に有利であるということが分かってきている。この流れは製品内の泡立ちと乱流を低減させ、これが結果として容器の濡れ(wetting)をより少なくし、飛び散りをより少なくすることとなる。容器の各側壁への流れをより一層促進するために、先端要素12の円錐形状は湾曲した円周面(側面)を有することができる。
【0061】
湾曲した円周面を伴った円錐形状を有する先端要素12は、装置1の充填通路がより大きくなることになる、という利点も有している。これは、充填管5の出口部分6と先端要素との間の距離が増大するからである。
【0062】
ピストン要素4を再びその第1の位置へと移動させることで充填プロセスが終了する。その後、圧迫手段3の一対の顎19が開放され、容器21の充填ダクト22から充填管5が引き抜かれる。充填プロセス終了時の圧力低下と泡立ちの危険性を減らすために、ピストン要素4の第1の位置への移動を、当該要素4が段階的に、ないしは比較的ゆっくり移動されるように制御することができる。それから、充填ダクト22を都合のよいやり方で、例えばヒートシール(加熱密封)プロセスによって密封することができる。
【0063】
ピストン要素4がその第1の位置にあるとき弁体11と先端要素12との間に位置する製品は、装置から零れ出ることを毛管力によって防止されている。この毛管力は、先端要素12および充填管5が互いに製品にとって適切な距離を置いて、当該要素12と充填管5の内側との間に隙間が形成されるように配置されている、という理由によって増大する。本発明は毛管力で零れを防止するものには限定されない、ということにも言及すべきである。例えば、先端要素は、前記第1の位置において出口部分6に対して密封的に当接するように構成することができる。
【0064】
充填管5全体を充填ダクト内へ挿入する必要はなく、その出口部分6を充填ダクト22内へ挿入すれば十分である、ということを認識されたい。これにより、装置の濡れを最小限にできるという利点がもたらされ、このことは衛生的な観点から有利である。
【0065】
容器21を当該製品で充填するのに要する時間は、一方では製品の流速、他方では充填通路と弁体による、ということを認識されたい。ピストン要素4が前記第1の位置と前記第2の位置との間で可動であることによって、ピストン要素4の弁体11を前記第1の位置と前記第2の位置との間の適切な位置に移動させることで、前記面積を望むように調節することができる。特に本発明の装置1は、明白な理由で容器21の充填時間にプラスの効果(時間短縮の効果)を有する、比較的大きな充填通路17の面積をもたらすことを可能とする。その状況では、容器21の隔室23から製品を流出させることなく容器21の迅速な充填をもたらすことのできることを、圧迫手段3が確実なものとする、ということに留意されたい。
【0066】
弁体11は、様々なやり方で設計することができ、充填管5内に配置されるものには限定されないので、充填管5の寸法には制限されない。
【0067】
先端要素12もまた、様々なやり方で設計することができる。図1に示す先端要素12は、円錐台形状の上方部分を備えている。この先端要素12はさらに、前記弁体11に対して螺子によって交換可能に取り付けられるように、中央貫通孔15を有している。
【0068】
上述したやり方で設計された、突出しない先端要素であるピストン要素4は、それゆえ、充填管5が容器の充填ダクトへ繰り返し出入りするように動く際に、ある一つの部分(部品)が動作中にもう一つの機械部分(部品)に衝突して損傷を受ける危険性を最小限にするような形状を有している。充填ダクト22の壁同士をはじめに分離するための開放手段(図示せず)を配置することができる。この開放手段は、それぞれのダクト壁に貼り付いてから、それらのダクト壁同士を分離させるように互いに引き離される吸引カップを備えていてもよい。
【0069】
図示の実施形態における先端要素12の円錐台形状は、充填管5から出て充填通路17を通じて流れる製品が、先端要素12上を流線的に流れることができることを確実なものとする。このことは、製品が先端要素12の上側に接触するように流出して上方へ逸らされる傾向を消し去り、ないしは少なくとも減少させる。
【0070】
ここで図4を参照して、本発明装置の第2の実施形態について述べることとする。図4の装置は、図1の装置に含まれるものに加えて、ガスダクト24、ガス弁25、およびガス供給装置26を備えている。
【0071】
ガスダクト24は、充填管5と弁ハウジング2の壁を貫いて延びている。ガスダクト24の上端部は、ガス供給装置26に接続されている。ガスダクト24の下端部は、充填管5の出口8に近接して開口している。ガス供給装置26はガス弁25に接続されており、従って、ガス弁25、ガス供給装置26、およびガスダクト24を通じてガスを流せるようになっている。
【0072】
従って、充填管5が容器の充填ダクト内へ挿入されているときには、ガスダクト24の下方開口も充填ダクト内に挿入されることになる。容器への製品の充填中、当該充填前、および/または、当該充填後において、ガス弁25を開放するとき、このガス弁25からガス供給装置26およびガスダクト24を通じて容器内へとガスが流れる。容器へガスを供給する理由は、例えば製品の寿命を延ばすためであってもよい。
【0073】
本発明は図示された実施形態には限定されない、ということを認識されたい。
【0074】
充填管5の取り外しとの関係で充填ダクトの壁に製品が付着するのを防止するためには、この充填管5を代替的に、当該充填ダクトの壁と接触せずに取り外せるように充填ダクトに対して寸法設定することができる。
【0075】
また、先端要素12に異なる形状を与えるということも考えられる。
【0076】
先端要素は、螺子によってピストン要素に固定されるものには限定されず、多くの異なるやり方で取り付けることが可能である。
【0077】
従って、いくつもの改変やバリエーションが可能であり、これは本発明が専ら添付の特許請求の範囲によって定義されるということを意味するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し潰し可能なタイプの容器(21)に粉末ないし液体の形態の製品を充填するための装置(1)であって、前記容器(21)が、複数の可撓性の壁によって画成された隔室(23)を有し、この隔室(23)は、その容積が前記壁同士の位置関係によって決まると共に、前記容器(21)の充填ダクト(22)を介して周囲環境に通じているものにおいて、
前記装置(1)は、
充填管(5)を有する弁ハウジング(2)であって、当該弁ハウジング(2)とその充填管(5)とで画成される製品通路(9)を通じて前記容器(21)の隔室(23)へ製品を供給するために、前記充填管(5)が前記容器(21)の充填ダクト(22)内へ挿入可能となっている、弁ハウジング(2)と、
前記製品通路(9)内に配置され、弁体(11)と、この弁体(11)の下流側に配置される先端要素(12)とを有したピストン要素(4)と、
前記充填管(5)が前記充填ダクト(22)内に挿入されたとき、前記充填管(5)および前記充填ダクト(22)を把持して、前記充填管(5)と前記充填ダクト(22)との間に密封を確立するように構成された圧迫手段(3)と、
を備え、
前記ピストン要素(4)は、
前記弁ハウジング(2)の弁座(7)に対して前記弁体(11)が当接して前記製品通路(9)を閉塞すると共に、前記先端要素が、前記充填管(5)の出口部分(6)の内部に配置されるか或いは当該出口部分(6)に近接して配置されて零れを阻止する、第1の位置と、
前記弁体(11)が前記弁座(7)から移動されて前記製品通路(9)を開放すると共に、前記先端要素(12)が前記出口部分(6)と共に充填通路(17)を画成する位置をとる、第2の位置と、
の間で可動となっており、
前記充填管(5)が剛性材料で出来ている、装置(1)。
【請求項2】
前記ピストン要素(4)は、前記弁体(11)と前記先端要素(12)とを支持するピストンロッド(10)をさらに有している、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記ピストン要素(4)は、当該ピストン要素(4)の軸方向変位によって、前記第1の位置と前記第2の位置との間で可動となっている、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記先端要素(12)は、前記ピストン要素(4)内に交換可能に配置されている、請求項2または3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記弁体(11)は、前記ピストン要素(4)内に交換可能に配置されている、請求項2から4のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記先端要素(12)は、前記ピストン要素(4)が前記第1の位置へ配置されたときに、前記充填管(5)の出口部分(6)内に受け入れられる、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記先端要素(12)は、前記ピストン要素(4)が前記第2の位置へ配置されたときに、前記充填管(5)の出口部分(6)から突出する、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記充填通路(17)は円周形隙間の形状を有している、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記先端要素(12)の外径は、前記充填管(5)の内径よりも小さい、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記弁体(11)は、当該弁体(11)が前記第1の位置に配置されたときに前記弁座(7)に対して当接するシール(18)を支持している、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記先端要素(12)は円錐台の形状を有している、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記先端要素(12)の円錐台形状の円周面が湾曲している、請求項11記載の装置(1)。
【請求項13】
前記先端要素(12)は、前記充填管(5)から遠ざかる方向を向いた平坦面を有している、請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記平坦面は異形表面構造を有している、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記先端要素(12)は丸い基部を有している、請求項1から14のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記先端要素(12)は凸レンズ形状の基部を有している、請求項1から14のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記材料はステンレス鋼である、請求項1から16のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記圧迫手段(3)は、前記充填管(5)および前記充填ダクト(22)を把持するように構成された弾性係合面(20)を有している、請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記弁ハウジング(2)と前記充填管(5)とが、前記容器(21)へガスを供給するためのガスダクト(24)をさらに有している、請求項1から18のうちのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項20】
前記ガスの供給が、前記ピストン要素(4)の位置とは無関係に制御されるように構成されている、請求項19に記載の装置(1)。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−507542(P2010−507542A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534541(P2009−534541)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000940
【国際公開番号】WO2008/051151
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(502367502)エコ、レーン、リサーチ、アンド、デベロップメント、アクティーゼルスカブ (11)
【氏名又は名称原語表記】ECO LEAN RESEARCH & DEVELOPMENT A/S
【Fターム(参考)】