説明

押ボタンスイッチ

【課題】スイッチ以外の別部品(例えばカバー)を必要とせず、スイッチの操作性を向上するようにした押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】押ボタンスイッチ1は、操作ボタン部5と、操作ボタン部5に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸6とを備える。また、押ボタンスイッチ1は、操作軸6が挿通する挿通孔を有する円筒状ケーシング10と、円筒状ケーシング10の上面に装着され、操作軸6が挿通する挿通孔を有するとともに、円筒状ケーシング10の軸回りに回動自在なロック操作部材14と、操作軸6が押し込まれた状態でロック操作部材14を所定位置まで回動させることにより、操作軸6とロック操作部材14とを係合し、操作軸6の軸方向への移動をロック状態とする係合手段(係合突起20と係合溝21)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常停止用押ボタンスイッチ等に好適に実施することができる押ボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工作機械の制御パネルには、安全装置として非常停止用の押ボタンスイッチが配設され、非常時にこの押ボタンスイッチを押し込み操作することによって機械の主回路への電源供給を遮断してその動作を停止できるようになっている。
このような非常停止用の押ボタンスイッチの従来技術としては、スイッチにカバーを取付けた構造のものが知られている(特開平9−19015号公報、実開昭60−115423号公報)。
【0003】
この種のスイッチにカバーを取付けた構造の非常停止用押ボタンスイッチのロック動作の原理について図11を参照して説明する。工作機械の運転動作中は、カバー100は開かれた状態であり(図11(1))、工作機械を停止する際は、押ボタン101を押し込み、その状態でカバー100を閉じて押ボタン101を覆う。そして、南京錠102でロックする(図11(2))。これにより、南京錠102を解除しない限り、工作機械が運転動作することはなく、不慮の災害の発生を防止できる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−19015号公報
【特許文献2】実開昭60−115423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の押ボタンスイッチでは、スイッチ以外の別部品(カバー)が必要となり、コスト高となる。
【0006】
また、非常時に機械の緊急停止のためスイッチを押す際に、スイッチの近傍にカバーがあると、カバーが邪魔をしてスイッチの操作性が劣る。このように操作性が劣ることにより、スイッチの動作タイミングが遅れると、大きな事故につながることから、スイッチの近傍には何もない状態が望ましい。
【0007】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、スイッチ以外の別部品を必要とせず、スイッチの操作性を向上するようにした押ボタンスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回りに回転自在なロック操作部材と、前記操作軸が押し込まれた状態で前記ロック操作部材を所定位置まで回転動作させることにより、操作軸とロック操作部材とを係合して、操作軸の軸方向への移動をロック状態とする係合手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記の如く、操作軸が押し込まれた状態で、ロック操作部材を所定位置まで回転動作させることにより、操作軸の軸方向への移動をロック状態とすることができる。従って、操作軸が押し込まれていない通常状態に復帰することが防止される。その結果、例えば、プルリセット方式の非常停止用スイッチのような場合に、誤って操作軸が復帰して工作機械等が運転状態になることが防止できる。なお、安全性をさらに向上するためには、錠等によってロック操作部材の回転を規制するようなしておけばよい。
【0010】
また、操作軸とロック操作部材とを係合手段によって係合して、操作軸の軸方向への移動をロック状態とするように構成されているので、従来例のようなカバー等の別部材を必要としない。従って、従来例に比べて、コストの低減を図ることができるとともに、非常停止時の操作性が良好となる。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回り回転自在なロック操作部材と、前記操作軸が押し込まれていない状態で、前記ロック操作部材を所定位置まで回転動作させることにより、操作軸とロック操作部材とを係合し、操作軸の軸方向への移動をロック状態とする係合手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
上記構成により、操作ボタン部を押し込んでいない通常状態で、操作軸の軸方向への移動をロック状態とすることができる。従って、操作ボタン部を押し込んでいない通常状態でロックする必要がある起動スイッチ等に適用することができる。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回りに回転自在なロック操作部材と、を有し、前記ロック操作部材及び前記筒状ケーシングには、ロック用穴を有するフランジがそれぞれ形成されており、前記操作軸が押し込まれた状態で、前記ロック操作部材を、ロック操作部材及び筒状ケーシングの各ロック用穴同士が重なり合う所定位置まで回転動作させ、この状態でロック用穴同士に錠を取付けることにより、操作軸の、前記回転方向とは反対方向への回転動作をロック状態とすることを特徴とする押ボタンスイッチ。
【0014】
上記の如く、ロック用穴同士に錠を取付けることにより、操作軸の、前記回転方向とは反対方向への回転動作をロック状態とすることができるので、ターンリセット方式の非常停止用スイッチ等にも適用することができる。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項1又は3記載の押ボタンスイッチであって、前記係合手段は、ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか一方に形成される係合突起と、ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか他方に形成され、前記係合突起が嵌り込む係合溝であって、縦溝部と、縦溝部の上部から周方向に延びる横溝部とから構成される、そのような係合溝と、を有し、前記操作軸が押し込まれていない状態では、係合突起が縦溝部に位置し、操作軸が押し込まれた状態では、係合突起が横溝部と同一高さ位置となることを特徴とする。
【0016】
上記構成により、操作軸が押し込まれていない状態で、操作軸を押し込むことにより、係合突起が横溝部と同一高さ位置になるので、ロック操作部材の所定位置までの回転が許容状態となる。従って、ロック操作部材を所定位置まで回転操作し、係合突起を横溝部に嵌り込ませて、操作軸の軸方向の移動をロックすることが可能となる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項2記載の押ボタンスイッチであって、前記係合手段は、ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか一方に形成される係合突起と、ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか他方に形成され、前記係合突起が嵌り込む係合溝であって、縦溝部と、縦溝部の下部から周方向に延びる横溝部とから構成される、そのような係合溝と、を有し、前記操作軸が押し込まれていない状態では、係合突起が横溝部と同一高さ位置にあり、ロック操作部材を所定位置から反対方向に回転動作させ、且つ、操作軸が押し込まれた状態では、係合突起が縦溝部に位置することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、操作軸が押し込まれていない状態で、係合突起が横溝部と同一高さ位置にあるので、ロック操作部材の所定位置までの回転が許容状態となる。従って、ロック操作部材を所定位置まで回転操作し、係合突起を横溝部に嵌り込ませて、操作軸の軸方向の移動をロックすることが可能となる。なお、操作ボタン部の押し込みに際しては、ロック操作部材を所定位置から反対方向に回転動作させることにより、操作軸のロック状態が解除される。これにより、操作ボタン部を押し込み操作することが可能となる。
【0019】
また、請求項6記載の発明は、請求項1、2、4、5の何れかに記載の押ボタンスイッチであって、前記ロック操作部材及び前記筒状ケーシングには、ロック用穴を有するフランジがそれぞれ形成され、このロック操作部材のフランジと筒状ケーシングのフランジとは、ロック操作部材が前記所定位置に回転されたときに、その所定位置で前記ロック用穴同士が重なり合うような位置に予め配設されているとともに、前記所定位置でロック用穴同士に錠が取付けられていることを特徴とする。
【0020】
上記の如く、ロック用穴同士に錠を取付けることにより、ロック操作部材の回転が規制され、これにより、押ボタンスイッチのロック状態がより完全になり、安全性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、操作軸とロック操作部材とを係合手段によって係合して、操作軸の軸方向への移動をロック状態とするように構成されているので、従来例のようなカバー等の別部材を必要としない。従って、従来例に比べて、コストの低減を図ることができるとともに、非常停止時の操作性が良好となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る押ボタンスイッチを実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る押ボタンスイッチの全体構成を示す正面図であり、図2はその平面図であり、図3は図1の矢視A−A断面図であり、図4は押ボタンスイッチに備えられる操作軸の周方向展開図であり、図5は押ボタンスイッチの縦断面図であり、図6は押ボタンスイッチの分解斜視図である。なお、以下の説明では、押ボタンスイッチは、非常停止用押ボタンスイッチであって、ターンリセット方式のものを一例として挙げる。
【0024】
押ボタンスイッチ1は、例えば制御パネル2に取付けられている。この押ボタンスイッチ1は、スッイチ接点を備えたスイッチ本体3と、操作部4とを備える。操作部4は、操作ボタン部5と、操作ボタン部5に一体的に形成されスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸6とを備える。なお、本実施の形態では、操作ボタン部5と操作軸6とは一体的に形成されているけれども、別部材であってもよい。要は、操作軸6が、操作ボタン部5の押圧操作に連動するような構成であればよい。
【0025】
制御パネル2上に形成されている円筒状ケーシング10は、操作軸6が挿通する挿通孔11を有するとともに、ロック用穴12を備えたフランジ13が形成されている。なお、本実施の形態では、ケーシング10は円筒状であるけれども、角筒状、若しくは楕円筒状であってもよい。この円筒状ケーシング10の上面には、操作軸6をロックするロック操作部材14が円筒状ケーシング10の軸回りに回転自在に装着されている。このロック操作部材14は、操作軸6が挿通する挿通孔15を有する円板状の本体部16と、本体部16の外周から外方に突出したフランジ17とからなる。フランジ17には、円筒状ケーシング10のロック用穴12と同様なロック用穴18が形成されている。この本体部16の内周面には、周方向に180度間隔をあけて一対の係合突起20,20が形成されている。
【0026】
一方、操作軸6の外周面には、係合突起20,20に対応して周方向に180度間隔をあけて一対の係合溝21,21が形成されている。係合溝21は、略逆L字状に形成されており、縦溝部21Aと、縦溝部21Aの上部から周方向に延びる横溝部21Bとから構成されている。縦溝部21Aの幅長(周方向に沿った長さ)は、係合突起20の幅長(周方向に沿った長さ)に、リセット時の操作ボタン部5(操作軸6)の回転角度分が加わった長さに設定されている。従って、係合突起20が縦溝部21Aの下部に位置している場合は、操作軸6は軸方向(上下方向)への移動は許容されており、また、ロック操作部材14のY1方向への所定位置までの回転は規制されている。また、操作軸6が軸方向に押し込まれて、係合突起20が横溝部21Bと同一高さ位置になった場合は、ロック操作部材14のY1方向への所定位置までの回転が許容される。
【0027】
なお、ロック操作部材14をY1方向へ回転操作して、係合突起20が横溝部21Bに位置する状態となった場合は、ロック用穴12とロック用穴18とが重なるように、フランジ13と操作部17との配置位置が予め設定されている。
【0028】
また、円筒状ケーシング10には上方に開口した収納溝25が形成されており、この収納溝25にはねじりコイルバネ26が配設されている。このねじりコイルバネ26の一端はロック操作部材14に固定され、他端は収納溝25の底面に固定されており、これにより、ロック操作部材14はY1方向とは反対方向に付勢されている。
【0029】
図7は押ボタンスイッチの動作を説明するための図であり、そのうち、図7(1)は通常時、操作時、及びロック時における平面図、図7(2)はその正面図、図7(3)は図7(2)の矢視A−A断面図、図7(4)は係合突起20と係合溝21との係合状態を示す図である。
【0030】
操作ボタン部5が押し込まれていない通常状態(例えば工作機械の運転動作中)では、係合突起20が縦溝部21Aに位置しているので、ロック操作部材14のY1方向への所定位置までの回動は阻止されているが、操作軸6の軸方向への移動は許容されている。このような状態で、工作機械の運転を停止するため、操作ボタン部5を押し込むと、工作機械の主回路への電源供給が遮断されその動作が停止する。そして、この操作ボタン部5の押し込みによって、係合突起20と横溝部21Bとは同一高さ位置となり、ロック操作部材14のY1方向への所定位置までの回転が許容状態となる。
【0031】
そして、ロック操作部材14をねじりコイルバネ26による回転力に逆らってY1方向に回転操作すると、係合突起20が横溝部21Bに嵌まり込む。このとき、ロック用穴12とロック用穴18とが重なるようになっているので、図8に示すように南京錠30をロック用穴12,18に掛けてロックする。これにより、ロック操作部材14及び操作軸6は、Y1方向とは反対方向の回転が規制される。この結果、工作機械の停止状態が安全に保持されることになる。なお、南京錠30に代えて、掛け金(HASP)を用いてもよい。また、南京錠30を取り外せば、ねじりコイルバネ26の回転力により自動的にロック操作部材14が縦溝部21Aまで戻るとともに、操作ボタン部5(操作軸6)がY1方向とは反対方向に回転動作してリセットし、通常状態にすることができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、係合突起20及び係合溝21は、周方向に180度間隔をあけて一対配置されているので、例えば、ロック状態において意図しない操作等がされても、確実にロック状態を維持することができる。
【0033】
また、上記構成の押ボタンスイッチ1では、通常状態(工作機械等の運転中)において、非常停止する必要が生じた場合、操作ボタン部5(操作軸6)を押し込むことにより、機械の主回路への電源供給が遮断されその動作が停止する。この非常停止の際に、操作ボタン部5の近傍にカバー等の部品が存在しないので、操作性が良好となり、操作の遅れによる大きな災害の発生を防止することが可能となる。
【0034】
なお、上記の例では、ターンリセット方式の非常停止用スイッチについて説明したけれども、プルリセット方式の非常停止用スイッチにも適用することができ、その場合には、図4に示すように、係合溝21における縦溝部21Aの幅長を、係合突起20の幅長よりも充分に大きくとるようにしてよく、また、ターンリセット方式において必要とされる操作ボタン部5(操作軸6)の回転角度分を考慮する必要がないので、係合溝21における縦溝部21Aの幅長を、係合突起20の幅長とほぼ同一とするようにしてもよい。
【0035】
なお、このようなプルリセット方式の非常停止用スイッチにおけるロック動作においては、上記のターンリセット方式の非常停止用スイッチとでは以下の点で異なる。即ち、ロック操作部材14をY1方向へ回転操作して、係合突起20が横溝部21Bに位置する状態となった場合は、プルリセット方式では係合突起20の横溝部21Bへの係合によって操作軸6の軸方向への移動が規制された状態となるのに対して、ターンリセット方式では係合突起20の横溝部21Bへの係合に関係なく、スイッチ本体の構造によって操作軸6の軸方向への移動が規制されることである。
【0036】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2に係る押ボタンスイッチの正面図であり、図10は係合突起と係合溝との係合状態を示す図である。本実施の形態における押ボタンスイッチ1は起動スイッチであり、従って、安全対策のために、操作ボタン部5が押し込まれていない通常時に、ロック状態とするものである。そのため、本実施の形態では、係合溝21が略L字状に形成されている。そして、通常時には、図10(1)に示すように、係合突起20が係合溝21の縦溝部21Aに位置している。従って、押ボタンスイッチ1のロックのためには、ロック操作部材14をY1方向に回転操作して、係合溝21を横溝部21Bに嵌り込ませる。そして、南京錠30によってロックする。
【0037】
起動のため、押ボタンの押し込み操作に際しては、南京錠30を解錠し、ロック操作部材14をY1方向とは反対方向へ回転操作する。これにより、係合突起20が縦溝部21Aに位置することになり、操作軸6の軸方向の移動が許容状態となる。次いで、操作ボタン部5(操作軸6)を押し込むことにより、工作機械等の起動状態が得られることになる。なお、この押し込み状態では、係合突起20が縦溝部21Aの上部に位置する(図10(2))する。
【0038】
このような起動スイッチであっても、押し込み時に、操作ボタン部5の近傍にカバー等の部品が存在しないので、操作性が良好となる。
【0039】
なお、上記の例では、図9に示すように、係合溝21における縦溝部21Aの幅長を、係合突起20の幅長よりも充分に大きくとるようにしているが、プルリセット方式の非常停止用スイッチと同様に、係合溝21における縦溝部21Aの幅長を、係合突起20の幅長とほぼ同一とするようにしてもよい。
【0040】
(その他の事項)
(1)上記実施の形態では、係合突起20はロック操作部材14の内周面に形成し、係合溝21は操作軸6の外周面に形成されていたけれども、係合突起20は操作軸6の外周面に形成され、係合溝21はロック操作部材14の内周面に形成してもよい。
【0041】
(2)押ボタンスイッチは、非常停止用スイッチ、起動スイッチに限らず、セレクタスイッチにも適用できる。また、非常停止用スイッチとしては、ターンリセット方式、プルリセット方式、ターン・プル兼用リセット方式のいずれのものであってもよい。なお、セレクタスイッチの場合は、係合溝21の形状は、I字状の溝でも可能である。
【0042】
(3)ねじりコイルバネ26の付勢方向を逆にしてもよく、そのようにすれば押し込み時に自動ロック可能な構成となる。
【0043】
(4)上記実施の形態では、ロック用穴12を備えるフランジ13と、ロック用穴18を備えるフランジ17とは、それぞれ1個ずつ形成されていたけれども、フランジ13,17を周方向に複数設けて、複数の操作者がそれぞれ南京錠30によってロックするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、非常停止用押ボタンスイッチ等に好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は実施の形態1に係る押ボタンスイッチの全体構成を示す正面図である。
【図2】図2は実施の形態1に係る押ボタンスイッチの平面図である。
【図3】図1の矢視A−A断面図である。
【図4】実施の形態1に備えられる操作軸の周方向展開図である。
【図5】実施の形態1に係る押ボタンスイッチの縦断面図である。
【図6】実施の形態1に係る押ボタンスイッチの分解斜視図である。
【図7】押ボタンスイッチの動作を説明するための図であり、そのうち、図7(1)は通常時、操作時、及びロック時における平面図、図7(2)は正面図、図7(3)は図7(2)の矢視A−A断面図、図7(4)は係合突起20と係合溝21との係合状態を示す図である。
【図8】南京錠30がロック用穴12,18に掛けられた状態を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る押ボタンスイッチの正面図である。
【図10】実施の形態2に係る押ボタンスイッチにおける係合突起と係合溝との係合状態を示す図である。
【図11】従来のスイッチにカバーを取付けた構造の非常停止用押ボタンスイッチのロック動作の原理を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1:押ボタンスイッチ 2:制御パネル
3:スイッチ本体 4:操作部
5:操作ボタン部 6:操作軸
10:円筒状ケーシング 11,15:挿通孔
12,18:ロック用穴 13,17:フランジ
14:ロック操作部材 16:本体部
20:係合突起 21:係合溝
21A:縦溝部 21B:横溝部
30:南京錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、
前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、
前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回りに回転自在なロック操作部材と、
前記操作軸が押し込まれた状態で前記ロック操作部材を所定位置まで回転動作させることにより、操作軸とロック操作部材とを係合して、操作軸の軸方向への移動をロック状態とする係合手段と、
を有することを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項2】
操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、
前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、
前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回り回転自在なロック操作部材と、
前記操作軸が押し込まれていない状態で、前記ロック操作部材を所定位置まで回転動作させることにより、操作軸とロック操作部材とを係合し、操作軸の軸方向への移動をロック状態とする係合手段と、
を有することを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項3】
操作ボタン部と、操作ボタン部に連動してスイッチ接点の開閉操作を行う操作軸とを備えた押ボタンスイッチであって、
前記操作軸が挿通する挿通孔を有する筒状ケーシングと、
前記筒状ケーシングの上面に装着され、操作軸が挿通する挿通孔を有するとともに、筒状ケーシングの軸回りに回転自在なロック操作部材と、
を有し、
前記ロック操作部材及び前記筒状ケーシングには、ロック用穴を有するフランジがそれぞれ形成されており、
前記操作軸が押し込まれた状態で、前記ロック操作部材を、ロック操作部材及び筒状ケーシングの各ロック用穴同士が重なり合う所定位置まで回転動作させ、この状態でロック用穴同士に錠を取付けることにより、操作軸の、前記回転方向とは反対方向への回転動作をロック状態とすることを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項4】
前記係合手段は、
ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか一方に形成される係合突起と、
ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか他方に形成され、前記係合突起が嵌り込む係合溝であって、縦溝部と、縦溝部の上部から周方向に延びる横溝部とから構成される、そのような係合溝と、
を有し、
前記操作軸が押し込まれていない状態では、係合突起が縦溝部に位置し、操作軸が押し込まれた状態では、係合突起が横溝部と同一高さ位置となる、請求項1又は3記載の押ボタンスイッチ。
【請求項5】
前記係合手段は、
ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか一方に形成される係合突起と、
ロック操作部材の内周面又は操作軸の外周面の何れか他方に形成され、前記係合突起が嵌り込む係合溝であって、縦溝部と、縦溝部の下部から周方向に延びる横溝部とから構成される、そのような係合溝と、
を有し、
前記操作軸が押し込まれていない状態では、係合突起が横溝部と同一高さ位置にあり、ロック操作部材を所定位置から反対方向に回転動作させ、且つ、操作軸が押し込まれた状態では、係合突起が縦溝部に位置する、請求項2記載の押ボタンスイッチ。
【請求項6】
前記ロック操作部材及び前記筒状ケーシングには、ロック用穴を有するフランジがそれぞれ形成され、
このロック操作部材のフランジと筒状ケーシングのフランジとは、ロック操作部材が前記所定位置に回転されたときに、その所定位置で前記ロック用穴同士が重なり合うような位置に予め配設されているとともに、前記所定位置でロック用穴同士に錠が取付けられている、請求項1、2、4、5の何れかに記載の押ボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−59696(P2006−59696A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240928(P2004−240928)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】