説明

押出し容器

【課題】部品点数が少なくローコストで、内容物の定量噴出を可能とする押出し容器を提供する。
【解決手段】目薬や水虫薬や化粧クリーム等の内容物を収納するとともに、その内容物の噴出口27を設ける容器10と、その容器に取り付けて外部操作可能に設け、押すことにより弾性変形して容器内の圧力を上昇し、その容器の内容物を噴出口から噴出する噴出釦20とを備える。そして、使用時には、容器に取り付ける噴出釦を押すことにより弾性変形して容器内の圧力を上昇し、その容器内に収納する内容物を噴出口から外部へと、例えば液滴として噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器内に、目薬、水虫薬、化粧用クリームなどの内容物を収納し、その内容物を押し出して容器の噴出口から外部へと噴出する、液滴容器などの押出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目薬、水虫薬などを収納する液滴容器は、容器外形をつぶすことにより容器内に収納する内容物を液滴として噴出口から噴出していた。ところが、このような液滴容器では、容器のつぶす方により液滴の大きさが相違し、常に一定量の内容物を噴出することは難しかった。
【0003】
また、従来の押出し容器の中には、例えば特許文献1に記載されるように、押しボタンを備え、その押しボタンを押すことにより容器内のピストンを移動し、容器の化粧用クリーム等の内容物を押し出して噴出口から外部へと噴出するものがあった。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−41357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のこのような押出し容器では、押しボタンやピストンの他に、戻しばね、シャフト、チャック、押え環などを備えなければならず、部品点数が多くなってコスト高となる問題もあった。
【0006】
そこで、この発明の第1の目的は、部品点数が少なくローコストで、内容物の定量噴出を可能とする押出し容器を提供することにある。
【0007】
この発明の第2の目的は、噴出口を通して外部の空気に触れないようにして雑菌を防ぎ、容器の内容物を常に衛生的に保持することにある。
【0008】
この発明の第3の目的は、噴出釦の弾性変形量を規制して、内容物の噴出量をなお一層一定に保つことにある。
【0009】
この発明の第4の目的は、誤って操作して容器の内容物を噴出口から外部へと噴出するおそれをなくすことにある。
【0010】
この発明の第5の目的は、例えば液滴を滴下して使用するときの操作性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため、この発明による液滴容器等の押出し容器は、目薬や水虫薬や化粧クリーム等の内容物を収納するとともに、その内容物の噴出口を設ける容器と、その容器に取り付けて外部操作可能に設け、押すことにより弾性変形して前記容器内の圧力を上昇し、その容器の内容物を前記噴出口から噴出する噴出釦とを備えるものである。そして、使用時には、容器に取り付ける噴出釦を押すことにより弾性変形して容器内の圧力を上昇し、その容器内に収納する内容物を噴出口から外部へと、例えば液滴として噴出する。
【0012】
前記噴出口に通ずる、前記容器内の噴出通路にシャッタ部を備え、そのシャッタ部にスリットを設けて可撓片を形成し、前記容器内の圧力を上昇したとき内容物で押すことにより前記可撓片を撓ませて前記噴出通路を開き、圧力を元に戻したとき前記可撓片の撓みを解消して前記噴出通路を閉じるようにするとよい。また、前記容器に、押すことにより弾性変形した前記噴出釦が押し当たる規制面を形成するとよく、前記噴出釦の周囲を囲うカバー部を備えるとよい。さらに、前記噴出釦を前記容器の底部位置に備えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、容器に取り付け、外部操作可能により弾性変形する噴出釦を備えるだけであるので、ピストンや戻しばね等の部品を不要として部品点数を少なくし、ローコストで、しかも外部操作による噴出釦の弾性変形量をほぼ等しくすることができるから、内容物の定量噴出を可能とした、特に液滴容器に適した押出し容器を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、噴出口に通ずる、容器内の噴出通路にシャッタ部を備えるので、シャッタ部で塞いで容器の内容物を外部から遮断し、噴出口を通して外部の空気に触れないようにして雑菌を防ぎ、容器の内容物を常に清潔に保ち、衛生的に保持することができる。使用時に、噴出釦を押すことにより容器内の圧力が上昇したときには、内容物で押すことにより可撓片を撓ませて噴出通路を開き、容器の内容物を噴出口から外部へと噴出することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、容器に、押すことにより弾性変形した前記噴出釦が押し当たる規制面を形成するので、噴出釦の弾性変形量を規制して内容物の噴出量をなお一層一定に保つことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、容器に、噴出釦の周囲を囲うカバー部を備えるので、カバー部で、噴出釦を不用意に押下することを防いで、容器の内容物を誤って噴出口から外部へと噴出することを防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、噴出釦を容器の底部位置に備えるので、例えば容器を逆さにして液滴を滴下して使用するときの操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、この発明による押出し容器の縦断面を示す。
【0019】
図中符号10は、プラスチック製の容器本体11と肩カバー12とからなり、目薬や水虫薬や化粧クリーム等の内容物を収納する容器である。容器本体11は、有底筒状で、その底面図を示す図2から判るとおり、底部13に、いくつでもよいが、図示例では4つの連通孔14を90度置きに設ける。
【0020】
これらの連通孔14を囲むように、底部13の外面外周には、環状の突部15を突出する。そして、その環状の突部15で囲んで、環状の突部15内の底部13の外面に、規制面16を形成する。一方、環状の突部15の外周には、短筒状のカバー部17を設け、環状の突部16との間に環状溝18を形成する。
【0021】
そして、その環状溝18に噴出釦20を取り付ける。噴出釦20は、内容物に侵されないゴム材料を用いて、椀状のボタン部21とその周縁に設ける鍔部22とからなる。その鍔部22を、環状溝18に入れ、カバー部17内周にはめ付けるプラスチック製の押えブッシュ23で押さえる。このようにして、カバー部17で周囲を囲って容器10に取り付け、容器10の底部14に噴出釦20を備える。そして、噴出釦20を外部操作可能に設けて、押すことにより弾性変形して前記規制面16に押し当て、容器10内の圧力を上昇可能とする。
【0022】
他方、肩カバー12は、プラスチック材料を用いて一体成形でつくり、容器本体12の上部開口にはめ込む筒状嵌入部24と、その上縁から外向きに突出する鍔部25と、筒状のカバー取付部26と、細筒状で先端に噴出口27を有するキャップ取付部28とを順に設け、内部に、内容物の噴出口27に通ずる噴出通路30を形成する。
【0023】
カバー取付部26には、上からはめ付けて筒状の化粧カバー32を被せ、鍔部25に突き当てて止める。また、カバー取付部26内には、下からはめ付けて内キャップ34を取り付ける。内キャップ34は、筒部35と、その下端に設ける鍔部36と、上端に設けて中心孔37を塞ぐ薄肉のシャッタ部38とからなる。その内キャップ34の平面図を示す図3から判るとおり、シャッタ部38は、中心に十字に交差してスリット40を設け、複数の可撓片41(図示例では4つ)を形成する。
【0024】
図1に示すように、キャップ取付部28の外周には、トップキャップ43を着脱可能に被せる。トップキャップ43内には、頂部から棒状の栓44を垂下し、先端を噴出口27にはめ込む。ところで、図示例では、化粧カバー32とトップキャップ43とは、いくつかの連結部46を介して連結してなる。
【0025】
そして、この押出し容器をはじめて使用するときは、化粧カバー32を押さえた状態でトップキャップ43を回転するなどして連結部46を切断し、肩カバー12からトップキャップ43を取り外して栓44をキャップ取付部28の噴出口から引き抜く。それから、図4に示すようにトップキャップ43を取り外して、逆さにし、噴出釦20を外部より押すことにより弾性変形して規制面16に押し当て、容器10内の圧力を上昇してシャッタ部38を外向きに膨らませ、内容物で押すことにより可撓片41を撓ませて開き、容器10の内容物を噴出通路30を通して押し出し、噴出口27から外部へと、例えば液滴として噴出する。
【0026】
噴出釦20から手を離すと、噴出釦20の弾性変形が解消して容器10内の圧力を元に戻し、可撓片41の撓みを解消してシャッタ部38の膨らみを戻し、噴出通路38を閉じて容器10内と外部とを遮断する。その後、取り外したトップキャップ43をキャップ取付部28に再び被せ、栓44の先端を噴出口27にはめ込み、互いの凹凸を係合してトップキャップ43をキャップ取付部28に着脱自在に取り付ける。
【0027】
再度使用するときは、凹凸47を外して肩カバー12からトップキャップ43を取り外し、キャップ取付部28の噴出口から栓44を引き抜き、逆さにして噴出釦20を規制面16に押し当てることにより、容器10の内容物を噴出通路30を通して押し出し、噴出口27から外部へと噴出する。使用後は、互いの凹凸を係合して、取り外したトップキャップ43を再びキャップ取付部28に被せる。
【0028】
図示例では、化粧カバー32とトップキャップ43とをいくつかの連結部46を介して連結して押出し容器をはじめて使用するときには、その連結部46を切断するバージンシール構造を有するので、連結部46が未だ切断されていないことから、押出し容器が未使用であることを消費者に知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明に係る押出し容器の縦断面図である。
【図2】その押出し容器に備える容器本体の底面図である。
【図3】その押出し容器に備える内キャップの平面図である。
【図4】その押出し容器の使用状態図である。
【符号の説明】
【0030】
10 容器
16 規制面
17 カバー部
20 噴出釦
27 噴出口
30 噴出通路
38 シャッタ部
40 スリット
41 可撓片



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納するとともに、その内容物の噴出口を設ける容器と、
その容器に取り付けて外部操作可能に設け、押すことにより弾性変形して前記容器内の圧力を上昇し、その容器の内容物を前記噴出口から噴出する噴出釦と、
を備えることを特徴とする、押出し容器。
【請求項2】
前記噴出口に通ずる、前記容器内の噴出通路に、スリットを設けて可撓片を形成し、前記容器内の圧力を上昇したとき内容物で押すことにより前記可撓片を撓ませて前記噴出通路を開き、圧力を元に戻したとき前記可撓片の撓みを解消して前記噴出通路を閉じるシャッタ部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の押出し容器。
【請求項3】
前記容器に、押すことにより弾性変形した前記噴出釦が押し当たる規制面を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の押出し容器。
【請求項4】
前記容器に、前記噴出釦の周囲を囲うカバー部を備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1に記載の押出し容器。
【請求項5】
前記噴出釦を前記容器の底部位置に備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の押出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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