説明

押圧センサ

【課題】 特に、操作面上での押圧力の大きさによってスイッチ部からのスイッチ信号の分解能が変化する押圧センサを提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明では、押圧されたスイッチ部S1〜S5からのスイッチ信号に基づき、前記スイッチ部S1〜S5を入力状態に切り換えるとともに、押圧力の大きさによって前記スイッチ信号の分解能が変化するようにしたので、前記分解能の変化によって、本発明の押圧センサSが組み込まれる例えば携帯電話等の電子機器に、前記分解能の変化に基づく様々な機能を持たせることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話等の小型の電子機器に搭載される押圧センサに係り、特に、操作面上での押圧力の大きさによってスイッチ部からのスイッチ信号の分解能が変化する押圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1は、例えばこの文献の図1に示すようなリモコン送信機に関する発明であり、押されたボタン数が複数で且つ奇数であった場合にその中心のボタンが押されたこととみなすなど、特に複数のボタンが押されたときの処理について開示されている。
【特許文献1】特開2001−142615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図11に示すように、例えばボタン数が全部で「A」〜「E」までの5つあるとし、AのボタンからEのボタンまでを連続的に押圧すると、それぞれ押圧されたボタンからはスイッチ信号(デジタル信号)が出力されて押圧されたボタンがオン状態に切り換わる。
【0004】
しかし従来では、図11に示すように各ボタンからのスイッチ信号に基づき、各ボタンがオン状態か、オフ状態かを見ているだけであるから、ボタン上での押圧力を変えても出力波形は図11に示すものと変らなかった。すなわち単純にボタンのオン信号だけを出力するものであるから、特許文献1の押圧センサを用いて様々な機能を実現することが出来なかった。
【0005】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、操作面上での押圧力の大きさによってスイッチ部からのスイッチ信号の分解能が変化する押圧センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における押圧センサは、
表面が操作面である表面シートと、前記表面シートの下面側に前記表面シートと所定距離離れて設けられた複数個のスイッチ部を有する基板シートと、を有し、
前記操作面が押圧されると、前記表面シートが前記基板シート方向に向けて撓み変形されて、前記スイッチ部が入力状態に切り替わり、
前記操作面上での押圧力の大きさによって前記スイッチ部からのスイッチ信号の分解能が変化することを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、押圧されたスイッチ部からのスイッチ信号に基づき、前記スイッチ部を入力状態に切り換えるとともに、押圧力の大きさによって前記スイッチ信号の分解能が変化するようにしたので、前記分解能の変化によって、本発明の押圧センサが組み込まれる例えば携帯電話等の電子機器に、前記分解能の変化に基づく様々な機能を持たせることが可能になる。
【0008】
本発明では、前記基板シートは、下面に上部電極を有する上側シートと、前記上側シートと分離して形成されるとともに、前記上側シートと所定間隔を有して対向し、上面に下部電極を有する下側シートとを有して構成され、高さ方向で対となる上部電極部と下部電極部とでスイッチ部が構成され、
上部電極と下部電極のうちどちらか一方が、他方の電極よりも抵抗値が高い抵抗膜によって形成されていることが好ましい。かかる場合、前記抵抗膜はカーボン抵抗膜であることが好ましい。
【0009】
このように、上部電極と下部電極のうちどちらか一方を、他方の電極よりも抵抗値が高い抵抗膜によって形成することで、押圧力の変化による前記上部電極と下部電極と間の抵抗値の変動を大きくでき、これによってスイッチ信号の分解能を高めることができ、高分解能の押圧センサを提供することが可能になる。
【0010】
また本発明では、前記分解能を演算する分解能演算手段があり、前記分解能演算手段は、前記スイッチ部からのスイッチ信号をアナログ信号として検出するためのアナログ出力検出手段と、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのデジタル変換手段とを有して構成され、前記分解能は、前記アナログ信号の出力レベルに応じて演算されることが好ましい。
【0011】
また本発明では、操作体により前記操作面上を押圧すると共に、複数のスイッチ部が並べられた方向に前記操作体を移動させることで、スイッチ信号の移動が検出されて所定モードへ移行するとともに、押圧力に基づくスイッチ信号の分解能の変化に合わせて前記モード内での処理を実行することが好ましい。
【0012】
例えば、前記モードはスクロールモードであり、前記スイッチ信号の分解能の変化に合わせて画像送りの粗密さを変える処理信号を画像処理部へ送ることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、押圧されたスイッチ部からのスイッチ信号に基づき、前記スイッチ部を入力状態に切り換えるとともに、押圧力の大きさによって前記スイッチ信号の分解能が変化するようにしたので、前記分解能の変化によって、本発明の押圧センサが組み込まれる例えば携帯電話等の電子機器に、前記分解能の変化に基づく様々な機能を持たせることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の押圧センサの部分断面図、図2,図3は使用状態を説明するための前記押圧センサの部分断面図、図4aは、図2の使用状態でのアナログ信号の出力波形図、図4bは、アナログ信号からデジタル信号に変換した出力波形図、図5aは図3の使用状態でのアナログ信号の出力波形図、図5bはアナログ信号からデジタル信号に変換した出力波形図、図6,図7は本発明における押圧センサの回路図の一例、図8は本発明における押圧センサのブロック図、図9は本発明の一例としてスクロールモードを起動させるときのフローチャート図、図10は、本発明の押圧センサが搭載された携帯電話の部分斜視図、である。
【0015】
図1に示すように、押圧センサSは、X1−X2方向に細長く延びる帯状の弾性部材(弾性体)6を有している。弾性部材6の裏面側には基板シート20が設けられる。
【0016】
押圧センサSは、小型の電子機器、例えば携帯電話、オーディオやエアコンなどのリモコン、PDA(Personal DigitalAssistance)などに搭載することができる。あるいはパソコン等の比較的大きな電子機器に搭載することも可能である。
【0017】
押圧センサSは、電子機器を構成する筐体から弾性部材6の表面の操作面10が露出するように配置される。
【0018】
弾性部材6は弾性変形可能な軟質な素材で形成され、操作面10は低摩擦抵抗の材料で形成されて弾性部材6の表面に重ねて形成されている。
【0019】
弾性部材6は、シリコーンゴムで形成されていることが好ましい。例えば、高密度ポリエチレンやポリプロピレンでは硬度が高く、低荷重で撓み変形できるものではない。また逆に、低密度ポリエチレンでは高温での特性が悪く使用に耐え得るものではない。一方、弾性部材6として、シリコーンゴムを使用すると、低加重で、かつ局部的に弾性部材6を撓み変形させることができる。なお、弾性部材6はシリコーンゴムに限定されず、その他のゴム系の弾性部材であってもよい。
【0020】
しかし、シリコーンゴムは柔らか過ぎて撚れたり、摩擦抵抗が大きく、操作性が損なわれるという問題がある。そこで、本発明では、シリコーンゴムで形成された弾性部材6の裏面にフィルム状の補強部材7を固定する。補強部材7は、PET樹脂やポリプロピレン樹脂などで形成することができ、補強部材7を弾性部材6の裏面に貼り付けることで、弾性部材6のZ1−Z2方向への撓み変形を損なわずに前記撚れを防止することができる。
【0021】
また、摩擦抵抗が大きく、操作性が損なわれる点についての対応方法は、たとえば、操作面10に無機フィラーを含有した、具体的にはシリカの粒子を含有したシリコーン樹脂を形成することである。このような樹脂を操作面10に塗布または印刷することで、操作面10の摩擦抵抗を低くでき、指等を操作面10上において滑らかに移動させることができる。ただし、操作面10を抵抗の小さい平滑な面にできるものであれば、上記したシリカを含むシリコーン樹脂に限定されず、他の部材からなるものであってもよい。
【0022】
このような低抵抗な操作面10が、弾性部材6に設けられていると、操作面10に対して指等をX1−X2方向へ滑らかに移動させることが可能となるため、操作性を向上させることができる。
【0023】
図1に示すように、弾性部材6のZ2側の面(裏面)には、補強部材7が重ねて形成されている。補強部材7は、フィルム状に形成されたものである。
【0024】
図1及び図3に示すように、補強部材7のZ2側の面には、例えば5個の断面が三角形状の突起6a,6b,6c,6d,6eが、X1−X2方向に沿って直線状に等ピッチ間隔で設けられている。前記突起の形状は図1以外の形状であってもよく例えば半円状等などであってもよい。ただし前記突起の先端が尖った形状でありしかも前記突起が弾性変形可能な材質で形成されていると、前記操作面10上を押圧する押圧力の変化に合わせて、前記突起と前記基板シート20との接触面積が大きく変化しやすく、ひいては接触面積の変化に基づく出力値の変化を大きくすることが出来るので好ましい。
【0025】
本発明では、第性部材6、操作面10、補強部材7及び突起6a〜6eを有して表面シートが構成されている。
【0026】
図1に示すように、前記突起6aと6eの外側には支持部11a,11bが形成されている。突起6a〜6fおよび支持部11a,11bは、例えば紫外線硬化型の樹脂で印刷によって同時に形成されている。
【0027】
次に基板シート20について説明する。基板シート20は、下面に上部電極21a〜21eを有する上側シート21と、上面に下部電極22a〜22eを有する下側シート22とを有して構成される。
【0028】
図1に示すように、上側シート21と下側シート22は、各シートに形成された電極が向き合うように対向させられ、シート21,22間には、前記電極と対向する位置に穴部24a〜24eが設けられたスペーサ24が介在する。スペーサ24は例えば接着材からなる。
【0029】
上側シート21に形成された上部電極21a〜21e、および下側シート22に形成された下部電極22a〜22eとで各スイッチ部S1〜S5が構成される。
【0030】
図8のブロック図について説明する。図8に示すように、本発明における押圧センサSには、各スイッチ部S1〜S5、制御部(CPU)30、分解能演算部33を有して構成され、さらに前記分解能演算部33は、アナログ出力検出部31、デジタル変換部(A/D変換部)32を有して構成されている。
【0031】
前記アナログ出力検出部31は、前記スイッチ部S1〜S5からのスイッチ信号をアナログ信号として検出する処理部で、デジタル変換部32は、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理部である。
【0032】
前記制御部30は、分解能演算部33,モード切換部34、描画処理部35などに接続されており、各処理部に様々な指令信号を出す。
【0033】
例えば前記モード切換部34には、前記デジタル変換部32から得られたデジタル信号に基づき、あるモードを起動せよとする指令信号が出力され、前記モード切換部34では、ある所定のモードが起動される。また前記描画処理部35では、前記制御部30からの信号に基づいて描画処理を行い、その描画処理に基づく表示が前記表示パネル36に表示される。
【0034】
図6に示すように、各スイッチ部S1〜S5は、それぞれ抵抗R1〜R5を介して入力端子(Vcc)に接続されている。入力端子(Vcc)と各スイッチ部S1〜S5間には、出力ラインL1〜L5が接続されており、出力ラインL1〜L5は、スイッチ切換部40を介して出力端子に接続されている。
【0035】
あるいは図7に示すように、出力ラインLは一本で、前記出力ラインLに各スイッチ部S1〜S5が並列に接続されている構成であってもよい。図7に示すように、各スイッチ部S1〜S5とグランドGd間には、スイッチ切換部41が設けられている。
【0036】
本発明では図1に示す上部電極21a〜21eと、下部電極22a〜22eのうちどちらか一方が、他方の電極よりも抵抗値が高い抵抗膜によって形成されている。前記抵抗膜はカーボン抵抗膜であることが好ましい。例えば図1の実施形態では、下部電極22a〜22eがカーボン抵抗膜で形成されている。
【0037】
今、図2のように、スイッチ部S1の上方の操作面10上を指等の操作体Fで押圧し、前記弾性体6を下方向(Z2方向)へ撓み変形させる。前記補強部材7の下側に形成されている突起6aが前記上側シート21を下方向へ押圧して前記上側シート21を下方向へ撓み変形させ、前記上側シート21の下面に設けられている上部電極21aが前記カーボン抵抗膜で形成された下部電極22aに接触すると、前記スイッチ部S1からスイッチ信号が出力される。
【0038】
図6,図7は、スイッチ部S1が接続された状態を示している。スイッチ切換部40,41は常にセンシングして、接続されたスイッチ部を検知しており、図6ではスイッチ部S1と接続される出力ラインL1と出力端子間が繋がり、出力端子からスイッチ部S1からの出力が得られ、また図7では、スイッチ部S1とグランドGd間が接続され、出力端子からは、出力ラインLを通して前記スイッチ部S1からの出力が得られる。
【0039】
上記したように、下部電極22aがカーボン抵抗膜であるため、図2の状態から図3のように、前記操作体Fを下方向(Z2方向)へ強く押圧し、前記上部電極21aと下部電極22aとの接触面積が大きくなると抵抗値が大きく変動し、その結果、出力値も大きく変動する。
【0040】
本発明では図8で説明したように、前記出力値を前記アナログ出力検出部31でアナログ信号として検知している。このため図2のように操作面10上を弱く押圧したときは、図4aに示すように、出力値の小さいアナログ信号の出力波形を得ることができ、一方、図3のように操作面10上を強く押圧したときは図5aにように、出力値の大きいアナログ信号の出力波形を得ることが出来る。
【0041】
図2ないし図5を用いて、本発明の特徴的部分を詳しく説明する。
図2のように、今、スイッチ部S1上の操作面10上を操作体Fで下方向(図示Z2方向)へ軽く押圧し、そのときのアナログ信号が図4aに示すような出力波形を得たとき、デジタル変換部32では、比較器によって、前記出力値がある所定レベルの閾値以上の大きさであるか否かを判断する。
【0042】
前記比較器では、図4aに示す出力値がレベル1以上でレベル2よりも小さい閾値レベル(1)か、レベル2以上でレベル3よりも小さい閾値レベル(2)か、レベル3以上でレベル4よりも小さい閾値レベル(3)か、レベル4以上でレベル5よりも小さい閾値レベル(4)か、レベル5以上の閾値レベル(5)かを判断する。そしてそれぞれの閾値レベルを越えるごとに、デジタル信号に変換したときに出力オン信号を出す。
【0043】
図4aでは、スイッチ部S1を押圧したときの出力値は前記閾値レベル(1)であり、閾値レベル(2)〜閾値レベル(5)までの出力レベルは得られないので、閾値レベル(1)に基づき、デジタル変換部32では、スイッチ部S1を押圧したときに、一つの出力オン信号を生成する(図4b)。
【0044】
本発明では、各スイッチ部を押圧したときに得られるデジタル信号の出力オン信号数を「分解能」と呼んでいる。すなわち図4bに示す状態ではスイッチ部S1を押圧したときのスイッチ信号の分解能は1である。
【0045】
分解能が1以上であると、制御部30ではスイッチ部S1を入力状態にし、前記スイッチ部S1からのスイッチ信号に基づき、モード変換部34や描画処理部35に所定の指令信号を与える。
【0046】
図2に示すように、操作体Fを5つのスイッチ部S1〜S5が並べられた方向(図示X2方向)に前記操作面10上で摺動させる。このとき前記操作体Fからの押圧力が一定であった場合、図4aに示すように、各スイッチ部S1〜S5からは、常に同じ大きさのアナログ信号の出力値が得られるので、すなわち各スイッチ部を押圧したときの出力値は全て前記閾値レベル(1)であり、それ以上の閾値レベルの出力は得られない。よって、デジタル信号に変換したとき、各スイッチ部S1〜S5を押圧したときのスイッチ信号の分解能はそれぞれ1であり(図4b)、各スイッチ部S1〜S5からは分解能1のスイッチ信号が操作体Fの移動に伴って次々に出力される。
【0047】
次に図3に示すように、図2の状態よりも操作体Fを操作面10上で下方向(図示Z2方向)へ強く押圧する。今、スイッチ部S1上での操作面10上を前記操作体Fで押圧しているとする。
【0048】
図5aに示すように、そのときのアナログ信号の出力値はレベル5を超えているため、デジタル変換部32で、前記アナログ信号をデジタル信号に変換したとき、各閾値レベル(1)〜(5)ごとに出力オン信号が生成される。よって図5bに示すように、スイッチ部S1を押圧したときのデジタル信号は5つの出力オン信号からなり、スイッチ部S1を押圧したときのスイッチ信号の分解能は5となる。
【0049】
図3に示すように、操作体Fを5つのスイッチ部S1〜S5が並べられた方向(図示X2方向)に前記操作面10上で摺動させる。このとき前記操作体Fからの押圧力が一定であった場合、図5aに示すように、各スイッチ部S1〜S5からは、常に同じ大きさのアナログ信号の出力値が得られるので、すなわち各スイッチ部を押圧したときの出力値は全て前記閾値レベル(5)である。よって、デジタル信号に変換したとき、各スイッチ部S1〜S5を押圧したときのスイッチ信号の分解能はそれぞれ5であり(図5b)、各スイッチ部S1〜S5からは分解能5のスイッチ信号が操作体Fの移動に伴って次々に出力される。
【0050】
このように、本発明では、操作面10上での前記操作体Fによる押圧力の大きさによって前記スイッチ部S1〜S5からのスイッチ信号の分解能を変化させることが出来る。
【0051】
例えば本発明では、前記押圧力の大きさによって変化するスイッチ信号の分解能を利用して、スクロールモードでの画像処理を次のように行なうことが出来る。図9に示すフローチャートを主に用いて説明する。
【0052】
まずステップST1では、いずれかのスイッチ部S1〜S5が押圧されてスイッチ信号(アナログ出力信号)が検出されたか否かを判断し、スイッチ信号が出力されている場合は、図8に示す分解能演算部33のデジタル変換部32でアナログ信号がデジタル信号に変換される。
【0053】
次にステップST2では、変換されたデジタル信号の分解能が1以上であるか否かが判断され、分解能が1以上であると、その押圧されたスイッチ部S1のスイッチが入力状態に切り替わる(ステップST3)。
【0054】
例えば図2のように、操作体Fをスイッチ部S1上での操作面10上からスイッチ部S5上での操作面10上まで移動させることによって、各スイッチ部S1〜S5から分解能1以上のスイッチ信号が次々に出力されると、操作体Fが移動していることが検出され(ステップST4)、制御部30からモード切換部34にスクロールモードを起動せよとする指令信号が出され、例えば図10に示す表示パネル36に表示された地図が、例えば矢印(点線)方向に向けてスクロールする(ステップST5)。
【0055】
このスクロールモードの最中、各スイッチ部S1〜S5から出力されるスイッチ信号の分解能に変化があると(ステップST6)、ステップST8か、あるいはステップST9に移行する。
【0056】
例えば図2の状態から図3の状態のように各スイッチ部S1〜S5から出力されるスイッチ信号の分解能が1から5に高くなったとき(ステップST7)、描画処理部35では、図10に示す表示パネル36に表示された地図表示の画像の分解能を高めて密に画像送りするように処理し、表示パネル36に例えば細かい道や建物等が新たに表示されて地図表示をスクロールさせる(ステップST9)。
【0057】
あるいは図3の状態から図2の状態のように各スイッチ部S1〜S5から出力されるスイッチ信号の分解能が5から1に低くなったとき(ステップST8)描画処理部35では、図10に示す表示パネル36に表示された地図表示の画像の分解能を低くして粗く画像送りするように処理し、表示パネル36に例えば主要な道路(国道等)のみが表示されて地図表示をスクロールさせる(ステップST10)。
【0058】
なお上記ではスイッチ信号の分解能が1と5の場合だけを説明したが、当然、分解能が1→2→3→4→5と高くなるにつれて、徐々に密な画像を送るように制御し、一方、分解能が5→4→3→2→1と低くなるにつれて、徐々に粗い画像を送るように制御する。
【0059】
このように、スイッチ信号の分解能の大きさにより画像送りの粗密さを変化させることが出来る。
【0060】
またステップST4で、ある固有のスイッチ部からのスイッチ信号のみが検出された場合(すなわち操作体Fが移動していることが検出されない場合)、スクロールモードには移行せず、ある別のモードに移行させることも出来る(ステップST11)。
【0061】
例えば図10に示す表示パネル36には、複数のアイコンが並べられたメニュー画面が表示されているとき、例えばスイッチ部S1からのスイッチ信号の分解能が図2の1の状態から、図3の5の状態に高くなったとき、制御部30では、アイコンを開くとする確定信号を出し、描画処理部35で、前記アイコンを開く描画処理を行なうことも出来る。
【0062】
以上のように、本発明では、押圧されたスイッチ部S1〜S5からのスイッチ信号に基づき、前記スイッチ部S1〜S5を入力状態に切り換えるとともに、押圧力の大きさによって前記スイッチ信号の分解能が変化するようにしたので、前記分解能の変化によって、本発明の押圧センサSが組み込まれる例えば携帯電話等の電子機器に、前記分解能の変化に基づく様々な機能を持たせることが可能になる。
【0063】
「分解能の変化に基づく様々な機能」は、上記した画像送りの粗密さの変化のみならず、例えば画像送りのスピード等、他の機能であってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の押圧センサの部分断面図、
【図2】使用状態を説明するための前記押圧センサの部分断面図、
【図3】使用状態を説明するための前記押圧センサの部分断面図、
【図4a】図2の使用状態でのアナログ信号の出力波形図、
【図4b】アナログ信号からデジタル信号に変換した出力波形図、
【図5a】図3の使用状態でのアナログ信号の出力波形図、
【図5b】アナログ信号からデジタル信号に変換した出力波形図、
【図6】本発明における押圧センサの回路図の一例、
【図7】本発明における押圧センサの回路図の一例、
【図8】本発明における押圧センサのブロック図、
【図9】本発明の一例としてスクロールモードを起動させるときのフローチャート図、
【図10】本発明の押圧センサが搭載された携帯電話の部分斜視図、
【図11】従来の押圧センサの出力波形図(デジタル信号)、
【符号の説明】
【0065】
6 弾性部材
7 補強部材
6a,6b,6c,6d,6e 突起
10 操作面
20 基板シート
21 上側シート
21a,21b,21c,21d,21e 上部電極
22 下側シート
22a,22b,22c,22d,22e 下部電極
30 制御部
31 アナログ出力検出部
32 デジタル変換部
33 分解能演算部
34 モード切換部
35 描画処理部
36 表示パネル
40,41 スイッチ切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が操作面である表面シートと、前記表面シートの下面側に前記表面シートと所定距離離れて設けられた複数個のスイッチ部を有する基板シートと、を有し、
前記操作面が押圧されると、前記表面シートが前記基板シート方向に向けて撓み変形されて、前記スイッチ部が入力状態に切り替わり、
前記操作面上での押圧力の大きさによって前記スイッチ部からのスイッチ信号の分解能が変化することを特徴とする押圧センサ。
【請求項2】
前記基板シートは、下面に上部電極を有する上側シートと、前記上側シートと分離して形成されるとともに、前記上側シートと所定間隔を有して対向し、上面に下部電極を有する下側シートとを有して構成され、高さ方向で対となる上部電極部と下部電極部とでスイッチ部が構成され、
上部電極と下部電極のうちどちらか一方が、他方の電極よりも抵抗値が高い抵抗膜によって形成されている請求項1記載の押圧センサ。
【請求項3】
前記抵抗膜はカーボン抵抗膜である請求項2記載の押圧センサ。
【請求項4】
前記分解能を演算する分解能演算手段があり、前記分解能演算手段は、前記スイッチ部からのスイッチ信号をアナログ信号として検出するためのアナログ出力検出手段と、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのデジタル変換手段とを有して構成され、前記分解能は、前記アナログ信号の出力レベルに応じて演算される請求項1ないし3のいずれかに記載の押圧センサ。
【請求項5】
操作体により前記操作面上を押圧すると共に、複数のスイッチ部が並べられた方向に前記操作体を移動させることで、スイッチ信号の移動が検出されて所定モードへ移行するとともに、押圧力に基づくスイッチ信号の分解能の変化に合わせて前記モード内での処理を実行する請求項1ないし4のいずれかに記載の押圧センサ。
【請求項6】
前記モードはスクロールモードであり、前記スイッチ信号の分解能の変化に合わせて画像送りの粗密さを変える処理信号を画像処理部へ送る請求項5記載の押圧センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−11578(P2006−11578A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184512(P2004−184512)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】