押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システム
【課題】
感圧紙を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。
【解決手段】
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように被接続体の端子が配設された面に重ねあわせることにより、面接触部と端子を対向させ、被接続体読取書込装置の端子接触部により、面接触部を介して感圧部材を押圧する。
感圧紙を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。
【解決手段】
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように被接続体の端子が配設された面に重ねあわせることにより、面接触部と端子を対向させ、被接続体読取書込装置の端子接触部により、面接触部を介して感圧部材を押圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムに関し、特に、ICカードなどの被接続体の端子に対する押圧力を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、情報の記録や演算を行うためにIC(Integrated Circuit:集積回路)をカードに組み込んだICカードが広く使用されている。ICカードには、大きく分類して、ICカード上の端子に接触して情報の通信を行う接触型ICカードと、無線による情報の通信を行う非接触型ICカードがある。以降の説明において、「ICカード」とは接触型ICカードのことを指す。
【0003】
ICカードリーダライタ装置の製造やテストにおいて、ICカードの端子をICカードリーダライタ装置の端子接触部が押圧する力の大きさ(以降「押圧力」と称する)の測定が行われることがある。押圧力の測定方法の一つとして、圧力を受けることにより発色する感圧紙を使用するものがある。このような押圧力の測定方法の一例が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1は、ICカードに感圧紙を貼り付けてICカードリーダライタ装置に挿入し、感圧紙が押圧されることにより発色した部分を確認することにより、ICカードリーダライタ装置の押圧力を測定する方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−230397
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した押圧力の測定方法においては、ICカードリーダライタ装置の端子接触部がICカードの端子に点接触または線接触する場合、押圧する部分の面積が小さいため、正確な測定ができないという問題点がある。その理由は、圧力を受けることによって破壊されるマイクロカプセルを用いた感圧紙を使用した場合、マイクロカプセルが破壊されず、感圧紙が正しく発色しないことがあるためである。さらに、圧力を受けて発色する面積が小さいため、目視による測定が困難であるためである。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る押圧力測定方法は、
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、
面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように被接続体の端子が配設された面に重ねあわせることにより、面接触部と端子を対向させ、
被接続体読取書込装置の端子接触部により、面接触部を介して感圧部材を押圧する。
【0009】
本発明に係る押圧力測定用部材は、
所定の面積を有する面接触部と
面接触部を支持する支持部とを備え、
面接触部が、被接続体と重ねあわせたときに被接続体の端子と対向する位置に配設され、かつ、面接触するように形成され、
支持部が、面接触部が押圧されることに応じて可動であるように面接触部を支持する。
【0010】
本発明に係る押圧力測定システムは、
前述の押圧力測定用部材と、
端子を備える被接続体と、
感圧部材と、
端子接触部を備える被接続体読取書込装置とを備え、
押圧力測定用部材は、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように、被接続体の端子が配設された面に重ねあわされ、
押圧力測定用部材と被接続体が重ねあわされた状態において、面接触部が端子と対向し、
端子接触部が面接触部を介して感圧部材を押圧する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムは、感圧紙を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定用部材を示す平面図である。
【図2】図1においてAに示す部分の拡大図である。
【図3】図2のX−Y線に沿った面接触部11の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るICカードを示す平面図である。
【図5】押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされる様子を説明する斜視図である。
【図6】ICカード3が挿入されたICカードリーダライタ装置を示す断面図である。
【図7】押圧力測定用部材1および感圧紙2が重ねあわされたICカード3がICカードリーダライタ装置4に挿入された様子を示す断面図である。
【図8】端子接触部41が面接触部11を介して感圧紙2を押圧する様子を示す断面図である。
【図9】図8においてBに示す部分の拡大図である。
【図10】感圧紙2が発色した様子を示す図である。
【図11】感圧紙2の発色の濃度と圧力の関係の例を示す図である。
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るICカードを示す平面図である。ICカード3は、外部と電気的通信を行うための端子31を、4個×2列の配置で8つ備えている。なお、端子31の配置および個数はこれ以外でもよい。
【0015】
図6は、ICカード3が挿入されたICカードリーダライタ装置を示す断面図である。ICカードリーダライタ装置4は、バネ特性(弾性)を有する端子接触部41と、端子接触部41が組み込まれたIC接点モジュール42と、軸43を備えている。IC接点モジュール42は、軸43のまわりを回転自在に取り付けられている。軸43は、ICカードリーダライタ装置4に固定されている。ICカード3が挿入されると、不図示の機構によりIC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動することにより、端子接触部41がICカード3の端子31と接触する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定用部材を示す平面図である。また、図2は、図1においてAに示す部分の拡大図である。押圧力測定用部材1は、面接触部11と、支持部12とを備えている。
【0017】
面接触部11は、所定の面積を有し、押圧力測定用部材1が円形に切り抜かれたような形状を有している。また、面接触部11は、支持部12によって押圧力測定用部材1に固定されている。さらに、面接触部11は、押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされたとき、ICカード3の端子31と対向する位置に配設されている。
【0018】
支持部12は、面接触部11が押圧されることに応じて可動であるように面接触部11を支持している。例えば、押圧力測定用部材1が適度な弾性を有しており、かつ、支持部12が細長い形状を有していることにより、面接触部11が可動であってもよい。あるいは、支持部12は、弾性を有している素材により別途形成され、取り付けられてもよい。
【0019】
図3は、図2のX−Y線に沿った面接触部11の断面図である。図3からもわかるように、面接触部11は、その底面が平らな形状を有している。このことにより、面接触部11は、押圧力測定用部材1が何らかの部材に重ねあわされたとき、重ねあわされた部材と面接触する。面接触部11は、ICカードリーダライタ装置4の端子接触部41に押圧されてもたわまないように、適度の剛性を有している。面接触部11は、一体成型されてもよいし、別途形成され、取り付けられてもよい。
【0020】
図5は、押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされる様子を説明する斜視図である。押圧力測定用部材1は、感圧紙2を挟み込むように、ICカード3の端子31が配設された面に重ねあわされる。感圧紙2は、圧力を受けた部分が圧力に応じた色で発色する。面接触部11は、感圧紙2を挟んで、それぞれが端子31と対向している。
【0021】
図7は、押圧力測定用部材1および感圧紙2が重ねあわされたICカード3がICカードリーダライタ装置4に挿入された様子を示す断面図である。この状態でIC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動した場合、端子接触部41は、押圧力測定用部材1の面接触部11と接触する。そして、端子接触部41は、面接触部11を介して感圧紙2を押圧する。
【0022】
図8は、端子接触部41が面接触部11を介して感圧紙2を押圧する様子を示す断面図である。また、図9は、図8においてBに示す部分の拡大図である。
【0023】
次に、図5,7〜11を参照して、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法を、順を追って説明する。
【0024】
まず、図5に示すように、押圧力測定用部材1と感圧紙2を、面接触部11と端子31の位置が一致するようにICカード3に重ねあわせる。
【0025】
次に、図7に示すように、押圧力測定用部材1と感圧紙2が重ねあわされたICカード3を、ICカードリーダライタ装置4に挿入する。
【0026】
次に、IC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動する。このことにより、図8に示すように、端子接触部41が押圧力測定用部材1の面接触部11と接触して押圧する。そして、端子接触部41は、面接触部11を介して感圧紙2を押圧する。さらに、端子接触部41は、面接触部11と感圧紙2を介して端子31を押圧する。この状態を所定の時間維持する。維持する時間は、感圧紙2の特性等により決定される。
【0027】
図8,9に示すように、端子接触部41は面接触部11と点接触している。接触している点には押圧力(図8,9のF)が加えられている。そして、面接触部11は感圧紙2と面接触している。面接触部11は、押圧力Fに応じて、略面均一な圧力(図9のP)で感圧紙2を押圧する。押圧されることにより、感圧紙2は発色箇所(図8,9のC)を生ずる。
【0028】
次に、押圧力測定用部材1と感圧紙2が重ねあわされたICカード3をICカードリーダライタ装置4より取り出す。そして、押圧力測定用部材1と感圧紙2をICカード3より分離し、測定を行う者が、感圧紙2の発色箇所Cを確認する。
【0029】
図10は、感圧紙2が発色した様子を示す図である。感圧紙2は、端子接触部41が面接触部11を押圧することに応じて面接触部11が感圧紙2を押圧することにより、面接触部11の形状である円形の発色箇所Cを生じている。測定を行う者は、発色箇所Cの発色の濃度を目視等によって確認することにより、それぞれの発色箇所Cに加えられた圧力を測定することができる。
【0030】
図11は、感圧紙2の発色の濃度と圧力の関係の例を示す図である。図11は、発色の濃度が濃いほど、感圧紙2に加えられた圧力が大きいことを示している。このように、発色の濃度と圧力の関係は、使用する感圧紙ごとに設定されている。さらに、所定の押圧時間における、発色の濃度と圧力の値の関係が設定されていることもある。このような設定を参照しながら発色の濃度を確認することにより、測定を行う者は、感圧紙に加えられた圧力の値を測定することができる。
【0031】
なお、面接触での押圧においては、点接触での押圧に比べ、単位面積当たりの押圧力が小さくなる。例えば、下記の計算式によって、発色箇所Cより測定された圧力(面接触部11の押圧力)より、端子接触部41の押圧力が求められる。
【0032】
発色箇所Cより測定された圧力[Pa]×面接触部11の面積[平方m]=端子接触部41の押圧力[N]
以上により、最終的に、それぞれの端子接触部41の押圧力を求めることができる。
【0033】
このように、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、感圧紙2を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。なぜならば、端子接触部41が点接触する形状であっても、押圧力測定用部材1の面接触部11が感圧紙2に面接触するため、測定に好適な発色面積を得ることができるためである。このことにより、感圧紙2を好適に発色させることができる。また、目視等による発色箇所の測定を容易かつ正確に行うことができる。
【0034】
また、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、専用の測定器具を使用することなく、ICカードリーダライタ装置4が組み上げられた状態での測定を可能とする。なぜならば、ICカード3に押圧力測定用部材1と感圧紙2を重ねあわせてICカードリーダライタ装置4に挿入し、ICカードリーダライタ装置4を動作させるだけで、測定が完了するからである。このことにより、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、工場等においてだけでなく、市場に出荷された後のICカードリーダライタ装置4の端子接触部41の押圧力を容易に検査,確認することができる。
【0035】
感圧紙2は、感圧部材と呼ばれることもある。ICカード3は、被接続体と呼ばれることもある。ICカードリーダライタ装置4は、被接続体読取書込装置と呼ばれることもある。
【0036】
上記実施形態において、感圧紙2は、薄いシート状の部材であれば紙以外の素材でもよい。例えば、フィルム素材でもよい。
【0037】
上記実施形態に係る押圧力測定方法は、カード状の形状を有し、かつ、押圧される部分を有しているものであれば、ICカード以外にも適用可能である。
【0038】
面接触部11は、図2に示したような円形でなくともよい。例えば、三角形や四角形、台形等の多角形でもよいし、その他の形状でもよい。
【0039】
また、支持部12は、図2に示したようなフラット形状でなくともよい。例えば、段付きの形状であったり、らせん形状であったりしてもよいし、その他の形状でもよい。
【0040】
IC接点モジュール42は、軸43のまわりを回転自在に取り付けられていなくてもよい。例えば、IC接点モジュール42は、図面の上下方向に平行移動する機構であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 押圧力測定用部材
11 面接触部
12 支持部
2 感圧紙
3 ICカード
31 端子
4 ICカードリーダライタ装置
41 端子接触部
42 IC接点モジュール
43 軸
C 発色箇所
F 押圧力
P 圧力
【技術分野】
【0001】
本発明は押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムに関し、特に、ICカードなどの被接続体の端子に対する押圧力を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、情報の記録や演算を行うためにIC(Integrated Circuit:集積回路)をカードに組み込んだICカードが広く使用されている。ICカードには、大きく分類して、ICカード上の端子に接触して情報の通信を行う接触型ICカードと、無線による情報の通信を行う非接触型ICカードがある。以降の説明において、「ICカード」とは接触型ICカードのことを指す。
【0003】
ICカードリーダライタ装置の製造やテストにおいて、ICカードの端子をICカードリーダライタ装置の端子接触部が押圧する力の大きさ(以降「押圧力」と称する)の測定が行われることがある。押圧力の測定方法の一つとして、圧力を受けることにより発色する感圧紙を使用するものがある。このような押圧力の測定方法の一例が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1は、ICカードに感圧紙を貼り付けてICカードリーダライタ装置に挿入し、感圧紙が押圧されることにより発色した部分を確認することにより、ICカードリーダライタ装置の押圧力を測定する方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−230397
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した押圧力の測定方法においては、ICカードリーダライタ装置の端子接触部がICカードの端子に点接触または線接触する場合、押圧する部分の面積が小さいため、正確な測定ができないという問題点がある。その理由は、圧力を受けることによって破壊されるマイクロカプセルを用いた感圧紙を使用した場合、マイクロカプセルが破壊されず、感圧紙が正しく発色しないことがあるためである。さらに、圧力を受けて発色する面積が小さいため、目視による測定が困難であるためである。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決する押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る押圧力測定方法は、
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、
面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように被接続体の端子が配設された面に重ねあわせることにより、面接触部と端子を対向させ、
被接続体読取書込装置の端子接触部により、面接触部を介して感圧部材を押圧する。
【0009】
本発明に係る押圧力測定用部材は、
所定の面積を有する面接触部と
面接触部を支持する支持部とを備え、
面接触部が、被接続体と重ねあわせたときに被接続体の端子と対向する位置に配設され、かつ、面接触するように形成され、
支持部が、面接触部が押圧されることに応じて可動であるように面接触部を支持する。
【0010】
本発明に係る押圧力測定システムは、
前述の押圧力測定用部材と、
端子を備える被接続体と、
感圧部材と、
端子接触部を備える被接続体読取書込装置とを備え、
押圧力測定用部材は、その押圧力測定用部材と被接続体とで感圧部材を挟み込むように、被接続体の端子が配設された面に重ねあわされ、
押圧力測定用部材と被接続体が重ねあわされた状態において、面接触部が端子と対向し、
端子接触部が面接触部を介して感圧部材を押圧する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る押圧力測定方法、押圧力測定用部材および押圧力測定システムは、感圧紙を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定用部材を示す平面図である。
【図2】図1においてAに示す部分の拡大図である。
【図3】図2のX−Y線に沿った面接触部11の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るICカードを示す平面図である。
【図5】押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされる様子を説明する斜視図である。
【図6】ICカード3が挿入されたICカードリーダライタ装置を示す断面図である。
【図7】押圧力測定用部材1および感圧紙2が重ねあわされたICカード3がICカードリーダライタ装置4に挿入された様子を示す断面図である。
【図8】端子接触部41が面接触部11を介して感圧紙2を押圧する様子を示す断面図である。
【図9】図8においてBに示す部分の拡大図である。
【図10】感圧紙2が発色した様子を示す図である。
【図11】感圧紙2の発色の濃度と圧力の関係の例を示す図である。
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るICカードを示す平面図である。ICカード3は、外部と電気的通信を行うための端子31を、4個×2列の配置で8つ備えている。なお、端子31の配置および個数はこれ以外でもよい。
【0015】
図6は、ICカード3が挿入されたICカードリーダライタ装置を示す断面図である。ICカードリーダライタ装置4は、バネ特性(弾性)を有する端子接触部41と、端子接触部41が組み込まれたIC接点モジュール42と、軸43を備えている。IC接点モジュール42は、軸43のまわりを回転自在に取り付けられている。軸43は、ICカードリーダライタ装置4に固定されている。ICカード3が挿入されると、不図示の機構によりIC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動することにより、端子接触部41がICカード3の端子31と接触する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定用部材を示す平面図である。また、図2は、図1においてAに示す部分の拡大図である。押圧力測定用部材1は、面接触部11と、支持部12とを備えている。
【0017】
面接触部11は、所定の面積を有し、押圧力測定用部材1が円形に切り抜かれたような形状を有している。また、面接触部11は、支持部12によって押圧力測定用部材1に固定されている。さらに、面接触部11は、押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされたとき、ICカード3の端子31と対向する位置に配設されている。
【0018】
支持部12は、面接触部11が押圧されることに応じて可動であるように面接触部11を支持している。例えば、押圧力測定用部材1が適度な弾性を有しており、かつ、支持部12が細長い形状を有していることにより、面接触部11が可動であってもよい。あるいは、支持部12は、弾性を有している素材により別途形成され、取り付けられてもよい。
【0019】
図3は、図2のX−Y線に沿った面接触部11の断面図である。図3からもわかるように、面接触部11は、その底面が平らな形状を有している。このことにより、面接触部11は、押圧力測定用部材1が何らかの部材に重ねあわされたとき、重ねあわされた部材と面接触する。面接触部11は、ICカードリーダライタ装置4の端子接触部41に押圧されてもたわまないように、適度の剛性を有している。面接触部11は、一体成型されてもよいし、別途形成され、取り付けられてもよい。
【0020】
図5は、押圧力測定用部材1がICカード3に重ねあわされる様子を説明する斜視図である。押圧力測定用部材1は、感圧紙2を挟み込むように、ICカード3の端子31が配設された面に重ねあわされる。感圧紙2は、圧力を受けた部分が圧力に応じた色で発色する。面接触部11は、感圧紙2を挟んで、それぞれが端子31と対向している。
【0021】
図7は、押圧力測定用部材1および感圧紙2が重ねあわされたICカード3がICカードリーダライタ装置4に挿入された様子を示す断面図である。この状態でIC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動した場合、端子接触部41は、押圧力測定用部材1の面接触部11と接触する。そして、端子接触部41は、面接触部11を介して感圧紙2を押圧する。
【0022】
図8は、端子接触部41が面接触部11を介して感圧紙2を押圧する様子を示す断面図である。また、図9は、図8においてBに示す部分の拡大図である。
【0023】
次に、図5,7〜11を参照して、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法を、順を追って説明する。
【0024】
まず、図5に示すように、押圧力測定用部材1と感圧紙2を、面接触部11と端子31の位置が一致するようにICカード3に重ねあわせる。
【0025】
次に、図7に示すように、押圧力測定用部材1と感圧紙2が重ねあわされたICカード3を、ICカードリーダライタ装置4に挿入する。
【0026】
次に、IC接点モジュール42が軸43のまわりを回転して図面の下方に移動する。このことにより、図8に示すように、端子接触部41が押圧力測定用部材1の面接触部11と接触して押圧する。そして、端子接触部41は、面接触部11を介して感圧紙2を押圧する。さらに、端子接触部41は、面接触部11と感圧紙2を介して端子31を押圧する。この状態を所定の時間維持する。維持する時間は、感圧紙2の特性等により決定される。
【0027】
図8,9に示すように、端子接触部41は面接触部11と点接触している。接触している点には押圧力(図8,9のF)が加えられている。そして、面接触部11は感圧紙2と面接触している。面接触部11は、押圧力Fに応じて、略面均一な圧力(図9のP)で感圧紙2を押圧する。押圧されることにより、感圧紙2は発色箇所(図8,9のC)を生ずる。
【0028】
次に、押圧力測定用部材1と感圧紙2が重ねあわされたICカード3をICカードリーダライタ装置4より取り出す。そして、押圧力測定用部材1と感圧紙2をICカード3より分離し、測定を行う者が、感圧紙2の発色箇所Cを確認する。
【0029】
図10は、感圧紙2が発色した様子を示す図である。感圧紙2は、端子接触部41が面接触部11を押圧することに応じて面接触部11が感圧紙2を押圧することにより、面接触部11の形状である円形の発色箇所Cを生じている。測定を行う者は、発色箇所Cの発色の濃度を目視等によって確認することにより、それぞれの発色箇所Cに加えられた圧力を測定することができる。
【0030】
図11は、感圧紙2の発色の濃度と圧力の関係の例を示す図である。図11は、発色の濃度が濃いほど、感圧紙2に加えられた圧力が大きいことを示している。このように、発色の濃度と圧力の関係は、使用する感圧紙ごとに設定されている。さらに、所定の押圧時間における、発色の濃度と圧力の値の関係が設定されていることもある。このような設定を参照しながら発色の濃度を確認することにより、測定を行う者は、感圧紙に加えられた圧力の値を測定することができる。
【0031】
なお、面接触での押圧においては、点接触での押圧に比べ、単位面積当たりの押圧力が小さくなる。例えば、下記の計算式によって、発色箇所Cより測定された圧力(面接触部11の押圧力)より、端子接触部41の押圧力が求められる。
【0032】
発色箇所Cより測定された圧力[Pa]×面接触部11の面積[平方m]=端子接触部41の押圧力[N]
以上により、最終的に、それぞれの端子接触部41の押圧力を求めることができる。
【0033】
このように、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、感圧紙2を用いた正確な押圧力の測定を可能とする。なぜならば、端子接触部41が点接触する形状であっても、押圧力測定用部材1の面接触部11が感圧紙2に面接触するため、測定に好適な発色面積を得ることができるためである。このことにより、感圧紙2を好適に発色させることができる。また、目視等による発色箇所の測定を容易かつ正確に行うことができる。
【0034】
また、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、専用の測定器具を使用することなく、ICカードリーダライタ装置4が組み上げられた状態での測定を可能とする。なぜならば、ICカード3に押圧力測定用部材1と感圧紙2を重ねあわせてICカードリーダライタ装置4に挿入し、ICカードリーダライタ装置4を動作させるだけで、測定が完了するからである。このことにより、本発明の第1の実施形態に係る押圧力測定方法は、工場等においてだけでなく、市場に出荷された後のICカードリーダライタ装置4の端子接触部41の押圧力を容易に検査,確認することができる。
【0035】
感圧紙2は、感圧部材と呼ばれることもある。ICカード3は、被接続体と呼ばれることもある。ICカードリーダライタ装置4は、被接続体読取書込装置と呼ばれることもある。
【0036】
上記実施形態において、感圧紙2は、薄いシート状の部材であれば紙以外の素材でもよい。例えば、フィルム素材でもよい。
【0037】
上記実施形態に係る押圧力測定方法は、カード状の形状を有し、かつ、押圧される部分を有しているものであれば、ICカード以外にも適用可能である。
【0038】
面接触部11は、図2に示したような円形でなくともよい。例えば、三角形や四角形、台形等の多角形でもよいし、その他の形状でもよい。
【0039】
また、支持部12は、図2に示したようなフラット形状でなくともよい。例えば、段付きの形状であったり、らせん形状であったりしてもよいし、その他の形状でもよい。
【0040】
IC接点モジュール42は、軸43のまわりを回転自在に取り付けられていなくてもよい。例えば、IC接点モジュール42は、図面の上下方向に平行移動する機構であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 押圧力測定用部材
11 面接触部
12 支持部
2 感圧紙
3 ICカード
31 端子
4 ICカードリーダライタ装置
41 端子接触部
42 IC接点モジュール
43 軸
C 発色箇所
F 押圧力
P 圧力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、
面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と前記被接続体とで前記感圧部材を挟み込むように前記被接続体の前記端子が配設された面に重ねあわせることにより、前記面接触部と前記端子を対向させ、
被接続体読取書込装置の端子接触部により、前記面接触部を介して前記感圧部材を押圧する押圧力測定方法。
【請求項2】
前記感圧部材は押圧されることにより発色する感圧紙であり、前記感圧紙の発色状態に基づいて押圧力を測定する請求項1に記載の押圧力測定方法。
【請求項3】
前記被接続体はICカードである請求項1または2に記載の押圧力測定方法。
【請求項4】
前記押圧力測定用部材が、前記面接触部を支持する支持部をさらに備え、
前記面接触部が、前記被接続体と重ねあわせたときに前記端子と対向する位置に配設され、かつ、前記被接続体と面接触するように形成され、
前記支持部が、前記面接触部が押圧されることに応じて可動であるように前記面接触部を支持する請求項1乃至3のいずれかに記載の押圧力測定方法。
【請求項5】
所定の面積を有する面接触部と
前記面接触部を支持する支持部とを備え、
前記面接触部が、被接続体と重ねあわせたときに前記被接続体の端子と対向する位置に配設され、かつ、面接触するように形成され、
前記支持部が、前記面接触部が押圧されることに応じて可動であるように前記面接触部を支持する押圧力測定用部材。
【請求項6】
前記支持部が弾性を有する請求項5に記載の押圧力測定用部材。
【請求項7】
前記被接続体はICカードである請求項5または6に記載の押圧力測定部材。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の押圧力測定用部材と、
端子を備える被接続体と、
感圧部材と、
端子接触部を備える被接続体読取書込装置とを備え、
前記押圧力測定用部材は、その押圧力測定用部材と前記被接続体とで前記感圧部材を挟み込むように、前記被接続体の前記端子が配設された面に重ねあわされ、
前記押圧力測定用部材と前記被接続体が重ねあわされた状態において、前記面接触部が前記端子と対向し、
前記端子接触部が前記面接触部を介して前記感圧部材を押圧する押圧力測定システム。
【請求項9】
前記感圧部材は押圧されることにより発色する感圧紙である請求項8に記載の押圧力測定システム。
【請求項10】
前記被接続体はICカードである請求項8または9に記載の押圧力測定システム。
【請求項1】
被接続体に設けられた端子が配設された面に感圧部材を重ねあわせ、
面接触部が設けられた押圧力測定用部材を、その押圧力測定用部材と前記被接続体とで前記感圧部材を挟み込むように前記被接続体の前記端子が配設された面に重ねあわせることにより、前記面接触部と前記端子を対向させ、
被接続体読取書込装置の端子接触部により、前記面接触部を介して前記感圧部材を押圧する押圧力測定方法。
【請求項2】
前記感圧部材は押圧されることにより発色する感圧紙であり、前記感圧紙の発色状態に基づいて押圧力を測定する請求項1に記載の押圧力測定方法。
【請求項3】
前記被接続体はICカードである請求項1または2に記載の押圧力測定方法。
【請求項4】
前記押圧力測定用部材が、前記面接触部を支持する支持部をさらに備え、
前記面接触部が、前記被接続体と重ねあわせたときに前記端子と対向する位置に配設され、かつ、前記被接続体と面接触するように形成され、
前記支持部が、前記面接触部が押圧されることに応じて可動であるように前記面接触部を支持する請求項1乃至3のいずれかに記載の押圧力測定方法。
【請求項5】
所定の面積を有する面接触部と
前記面接触部を支持する支持部とを備え、
前記面接触部が、被接続体と重ねあわせたときに前記被接続体の端子と対向する位置に配設され、かつ、面接触するように形成され、
前記支持部が、前記面接触部が押圧されることに応じて可動であるように前記面接触部を支持する押圧力測定用部材。
【請求項6】
前記支持部が弾性を有する請求項5に記載の押圧力測定用部材。
【請求項7】
前記被接続体はICカードである請求項5または6に記載の押圧力測定部材。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の押圧力測定用部材と、
端子を備える被接続体と、
感圧部材と、
端子接触部を備える被接続体読取書込装置とを備え、
前記押圧力測定用部材は、その押圧力測定用部材と前記被接続体とで前記感圧部材を挟み込むように、前記被接続体の前記端子が配設された面に重ねあわされ、
前記押圧力測定用部材と前記被接続体が重ねあわされた状態において、前記面接触部が前記端子と対向し、
前記端子接触部が前記面接触部を介して前記感圧部材を押圧する押圧力測定システム。
【請求項9】
前記感圧部材は押圧されることにより発色する感圧紙である請求項8に記載の押圧力測定システム。
【請求項10】
前記被接続体はICカードである請求項8または9に記載の押圧力測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−172984(P2012−172984A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31929(P2011−31929)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
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