説明

押圧式入力装置

【課題】過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止すること。
【解決手段】操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサ(4)と、操作荷重が加わる一端側から荷重センサ(4)に当接する他端側に延在し、延在方向の途中部分を支点として荷重センサ(4)に対して操作荷重を伝える腕部材(3)と、腕部材(3)に対向して配置され、腕部材(3)を揺動可能に係止するベース部材(2)と、腕部材(3)の一端側を操作荷重の作用方向に対して逆方向に押圧し、支点を介して荷重センサ(4)に初期荷重を生じさせる片持バネ(22)とを備え、一端側において腕部材(3)に加えられた操作荷重は、支点を介して他端側において腕部材(3)に対し荷重センサ(4)の初期荷重を減少させる方向に力を作用させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧式入力装置に関し、特に、液晶ディスプレイを備えた電子機器の操作に用いられる押圧式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧式入力装置として、電子機器のタッチスクリーンに加わる押圧荷重によって、押圧位置を検出するものが知られている(特許文献1参照)。この種の押圧式入力装置は、例えば、タッチスクリーンの裏面の四隅に荷重センサを設けて構成される。押圧式入力装置は、タッチスクリーンに加わる荷重を各荷重センサで受け、各荷重センサで検出された圧力分布の変化により押圧位置を特定する。なお、このような入力装置に使用する荷重センサは、上記特許文献1ではタッチスクリーンの裏面の四隅に設けているが、1箇所でも検出可能なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−527620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の押圧式入力装置においては、タッチスクリーンの押圧荷重が直に荷重センサに加わるものなので、大きな荷重が加わると荷重センサが破損するおそれがあった。特に、荷重センサに圧電セラミックスが用いられる場合には破損し易いという問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができる押圧式入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の押圧式入力装置は、操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサと、前記操作荷重が加わる一端側から前記荷重センサに当接する他端側に延在し、延在方向の途中部分に設けた支点形成部を支点として前記荷重センサに対して前記操作荷重を伝える腕部材と、前記腕部材に対向して配置され、前記支点形成部を介して前記腕部材を揺動可能に係止するベース部材と、前記腕部材の一端側を前記操作荷重の作用方向に対して逆方向に押圧し、前記支点形成部を支点として前記荷重センサに初期荷重を生じさせる付勢部材とを備え、前記一端側において前記腕部材に加えられた前記操作荷重は、前記支点形成部を支点として前記他端側において前記腕部材に対し前記荷重センサの初期荷重を減少させる方向に力を作用させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、腕部材に加えられる操作荷重により荷重センサに作用する初期荷重が減少されるため、押圧式入力装置に過荷重が加えられても荷重センサが破損することが防止される。また、ベース部材に対して腕部材を被せるように配置して、腕部材の一端側に付勢部材を当接させ、腕部材の支点形成部をベース部材に係止させることで、容易に組み付けることができる。
【0008】
また本発明の上記押圧式入力装置において、前記支点形成部は、前記ベース部材に向って直線状に延在しており、前記ベース部材には、前記支点形成部が挿通される挿通孔が形成されており、前記挿通孔を突き抜けた前記支点形成部の先端側が折り曲げられることで、前記腕部材が前記ベース部材に揺動可能に係止される。この構成によれば、支点形成部の先端側の曲げ位置を可変することで、荷重センサ及び付勢部材のそれぞれに対して腕部材が高さ調整され、荷重センサに作用する初期荷重が調整される。よって、初期荷重を測定しながら支点形成部の先端側の曲げ位置を可変させることで、寸法誤差等による初期荷重のバラツキをキャンセルし、一定の測定品質を維持することができる。
【0009】
また本発明の上記押圧式入力装置において、前記付勢部材は、前記ベース部材に設けられた折り返し形状の片持バネとなっている。この構成によれば、簡易な構成により腕部材の一端側を付勢部材により付勢させることができる。
【0010】
また本発明の上記押圧式入力装置において、前記支点形成部は、前記腕部材の延在方向に直交する幅方向の両側部にそれぞれ設けられている。この構成によれば、腕部材の幅方向の両端部に設けられた一対の支点形成部によって、腕部材をベース部材に安定的に係止させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過荷重が加えられる場合でも、荷重センサの破損を防止することができ、腕部材の支点形成部をベース部材に係止させることで、容易に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る押圧式入力装置の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る押圧式入力装置の分解斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る押圧式入力装置の動作説明図である。
【図4】本実施の形態に係る押圧式入力装置の組み付け構造の説明図である。
【図5】変形例に係る押圧式入力装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る押圧式入力装置は、液晶ディスプレイを備えた電子機器の操作に用いられるものであるが、これに限定されるものではない。
【0014】
図1および図2を参照して、押圧式入力装置の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の分解斜視図である。
【0015】
図1および図2に示す押圧式入力装置1は、電子機器に設けられた操作パネル6(図3参照)の背面の所定の場所に、少なくとも一ヶ所、あるいは四隅に配置され、操作パネル6からの操作荷重を受けるように構成されている。押圧式入力装置1は、荷重センサ4と、荷重センサ4に対して操作荷重を伝達するように組み立てられる腕部材3及びベース部材2とを備えている。ベース部材2は、ステンレス等の金属板等によって、上面を開放した溝型断面を有する長尺状に形成されている。
【0016】
ベース部材2の底板部21の一端部には、折り返し形状(U字状)の片持バネ22(付勢部材)が設けられている。片持バネ22は、底板部21の一端部から外方に延出し、先端側(自由端側)を内向きに折り返して形成されている。片持バネ22は、腕部材3の下面に当接して、腕部材3を押し上げるように付勢する。また、ベース部材2の底板部21の他端側には、フレキシブル基板5を介して荷重センサ4が取り付けられている。ベース部材2の延在方向の途中部分には、底板部21と一対の側板部25との角部23に、腕部材3の一対の棒状部33(支点形成部)が挿通される一対の挿通孔24が形成されている。
【0017】
腕部材3は、ステンレス等の金属板等によって、下面を開放した溝型断面を有する長尺状に形成されている。腕部材3は、ベース部材2の開放した上面を覆うように配置され、上板部31の一端側上面で操作パネル6に当接され、上板部31の他端側下面で荷重センサ4に当接される。また、上板部31の一端側下面は、片持バネ22に当接され、操作荷重の作用方向に対して逆方向に押し上げられている。腕部材3の一対の側板部32の外面間隔は、ベース部材2の一対の側板部25の内面間隔よりも小さく形成されている。このため、腕部材3の一対の側板部32は、ベース部材2の一対の側板部25の内側に配置され、ベース部材2の角部23に対向する。
【0018】
一対の側板部32には、各下端面から下方に向って直線状に延びる左右一対の棒状部33が設けられている。一対の棒状部33は、ベース部材2の一対の挿通孔24に対応して設けられており、ベース部材2に腕部材3が取り付けられると、挿通孔24を介して底板部21を突き抜ける。挿通孔24を突き抜けた一対の棒状部33は、先端側が外向きに折り曲げ(カシメ)られることで、腕部材3がベース部材2に対して揺動可能に係止される。また、棒状部33の外面は、丸面取り(R付け)が施されているため、挿通孔24の内周面に対して滑らかに摺接する。これにより、腕部材3の揺動時に、棒状部33に対して捻れ方向に作用する負荷を減らし、棒状部33の耐久性が向上される。
【0019】
腕部材3の他端側は、腕部材3の一端側が片持バネ22により押し上げられることで、折り曲げられた棒状部33を介して片持バネ22の付勢方向と逆向きに力が作用し、荷重センサ4に初期荷重を付与する。この初期荷重は、腕部材3の一端側において片持バネ22の付勢方向と逆向きに操作荷重が作用することで減少される。
【0020】
フレキシブル基板5は、荷重センサ4が設けられた基板であり、例えば、絶縁層としてのポリイミドフィルム上に導電パターンを形成して構成される。フレキシブル基板5は、ベース部材2の延在方向において、ベース部材2の他端側から外方に向って帯状に延出している。また、フレキシブル基板5は、電子機器の不図示のICに接続され、荷重センサ4からの出力値をICに入力する。荷重センサ4は、例えば、ピエゾ抵抗効果や圧電効果を利用したフォースセンサ等であり、突起41を有する検出面42を上側に向けて配置されている。荷重センサ4の突起41には、腕部材3の他端側が当接されている。
【0021】
このように構成された押圧式入力装置1では、片持バネ22による押し上げ力の向きが折り曲げられた棒状部33を介して逆向きに変換され、荷重センサ4に初期荷重が付与される。そして、腕部材3の一端側で操作パネル6からの操作荷重を受けると、操作荷重が棒状部33を介して初期荷重を減少させる方向に作用する。すなわち、操作荷重は、片持バネ22を押し戻すように作用し、腕部材3の他端側で荷重センサ4に作用する初期荷重が減少される。
【0022】
よって、操作パネル6に対して過荷重が加えられても、荷重センサ4に初期荷重以上の荷重が作用しないため、荷重センサ4の破損が防止される。そして、電子機器のICにおいて、操作パネル6の背面の少なくとも1ヶ所の各押圧式入力装置1からの入力に基づいて、操作パネル6に対する操作位置や操作荷重が算出される。
【0023】
この押圧式入力装置1の組み立て時には、荷重センサ4が配置されたフレキシブル基板5をベース部材2の底板部21に取り付け、ベース部材2の上面を覆うように荷重センサ4の突起41及び片持バネ22の支持面に腕部材3を載置する。このとき、腕部材3の一対の棒状部33がベース部材2に設けられた一対の挿通孔24に差し込まれ、一対の棒状部33の先端側がベース部材2を突き抜ける。この状態で、荷重センサ4に作用する初期荷重を測定しつつ、棒状部33の突き抜け量を調整する。そして、所望の初期荷重が得られたところで、一対の棒状部33を不図示の治具によって側方に折り曲げて、腕部材3をベース部材2に係止させる。
【0024】
このように本実施の形態に係る押圧式入力装置1は、一対の棒状部33の折り曲げ位置を可変することで、上板部31の高さ位置を変えて、荷重センサ4に作用する初期荷重を調整している。これにより、片持バネ22の形成時に生じる寸法誤差によるバネ定数(初期荷重)のバラツキをキャンセルして、荷重センサ4の測定品質を一定に保つことが可能となっている。
【0025】
図3を参照して、押圧式入力装置の動作について説明する。図3は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の動作説明図である。なお、図3Aは操作パネルの非操作状態、図3Bは操作パネルの操作状態をそれぞれ示す。
【0026】
図3Aに示すように、腕部材3は、一端側においてベース部材2に設けられた片持バネ22によって上方に持ち上げられ、他端側において荷重センサ4の突起41に当接されている。また、腕部材3は、延在方向の途中部分に設けた一対の棒状部33によってベース部材2の挿通孔24に係止されている。さらに、腕部材3の一端側の上面は、押し子61を介して操作パネル6に当接されている。すなわち、腕部材3は、ベース部材2の挿通孔24に係止された係止位置を支点P1、押し子61が設けられた操作荷重の入力位置を力点P2、荷重センサ4の突起41に当接する当接位置を作用点P3とした梃子として機能する。
【0027】
この操作パネル6の非操作状態では、片持バネ22の付勢力F1によって腕部材3の一端側が押し上げられている。この片持バネ22の付勢力F1は、一対の棒状部33を支点P1として、腕部材3の他端側において荷重センサ4を押圧する方向に作用する。このとき、操作パネル6には操作荷重が加わっていないため、片持バネ22の付勢力F1が腕部材を介して荷重センサ4に初期荷重F2として付与される。
【0028】
図3Bに示すように、この非操作状態から操作パネル6が操作荷重F3で押圧されると、操作荷重が一対の棒状部33を支点P1として腕部材3の作用点P3に伝達される。この際、操作荷重F3の大きさは、支点P1と力点P2との距離、支点P1と作用点P3との距離の割合に応じて可変される。本実施の形態では、支点P1と力点P2との距離、支点P1と作用点P3との距離が約1:1に設定されるため、操作荷重F3の大きさがほぼ変化することなく、操作荷重の向きだけが逆向きに変換されて作用点P3に伝達される。
【0029】
この結果、操作荷重F3が初期荷重F2に対して逆向きに作用し、初期荷重が減少されて荷重センサ4に荷重F4が作用する。言い換えると、操作荷重F3が片持バネ22の付勢力に対して逆向きに作用することで、片持バネ22の押し上げ方向の付勢力が緩められる。そして、この緩められた片持バネ22の付勢力が、一対の棒状部33を支点P1として腕部材3の作用点P3に伝達され、荷重センサ4に荷重F4として付与される。
【0030】
このように、操作パネル6に対する操作荷重が大きくなるにつれて、荷重センサ4に作用する荷重が小さくなるため、荷重センサ4に対して初期荷重F2以上の荷重が作用することがない。よって、荷重センサ4に定格荷重以上の荷重が加わることがなく、荷重センサ4の破損を防止できる。
【0031】
荷重センサ4は、腕部材3の他端側から受ける荷重を、操作荷重に応じた信号として電子機器のICに出力する。電子機器のICは、荷重センサ4からの出力値に応じて、操作パネル6に対する操作位置及び操作荷重を算出する。例えば、ICは、操作パネル6の四隅に配置された複数の押圧式入力装置1の荷重センサ4からの出力値の割合に基づいて、操作パネル6における操作位置及び操作荷重を特定する。
【0032】
なお、本実施の形態では、電子機器のICによって操作位置及び操作荷重が算出されたが、フレキシブル基板5にICを設けて押圧式入力装置1側で操作位置及び操作荷重が算出されてもよい。また、押圧式入力装置1は操作パネル6に例えば一つ設けられていても良く、操作パネル6の操作位置検出手段から得られた操作位置の出力値と荷重センサ4より得られた操作荷重の出力値とを電子機器のICに出力する。
【0033】
図3Bに示す操作状態から操作パネル6に対する押圧が解除されると、腕部材3の一端側において初期荷重に対して逆向きに作用する操作荷重が除かれる。そして、片持バネ22の付勢力が、腕部材3を介して荷重センサ4に対して初期荷重F2として再び付与される。
【0034】
図4を参照して、押圧式入力装置の特徴部分について詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る押圧式入力装置の組み付け構造の説明図である。なお、ここでは腕部材の他端側において、片持バネによって腕部材を荷重センサに引き付ける比較例と比較しつつ説明する。なお、図4Aは比較例に係る押圧式入力装置、図4Bは本実施の形態に係る押圧式入力装置をそれぞれ示す。
【0035】
図4Aに示すように、比較例に係る押圧式入力装置71では、腕部材73に突設された支持部75によって、腕部材73がベース部材72に揺動可能に支持されている。また、腕部材73の延在方向の他端側に設けられた係止片76には、ベース部材72から切り起こされた片持バネ77が係止されている。これにより、片持バネ77の付勢力によって腕部材73の他端側が荷重センサ74に引き付けられ、荷重センサ74に対して初期荷重が付与される。そして、比較例に係る押圧式入力装置71では、操作荷重を腕部材73の一端側で受けることで、支持部75を中心として荷重センサ74に作用する初期荷重に対して逆向きに力を作用させる。これによって、初期荷重の減少に応じて操作荷重を特定可能としている。
【0036】
しかしながら、比較例に係る押圧式入力装置71は、ベース部材72の片持バネ77を起こして、腕部材73の係止片76に係止させなければならない。このベース部材72から起こされた片持バネ77を係止片76に係止させる作業は、自動機で行うことが難しく、組み付け作業の作業性が悪化するおそれがある。また、片持バネ77のバネ定数は、ベース部材72からの起こし具合や寸法誤差によって左右されるため、荷重センサ74に対する初期荷重にバラツキが生じるおそれがある。この場合、比較例に係る押圧式入力装置71は、ベース部材72と腕部材73との位置関係が固定されているため、バラツキを補正することができない。
【0037】
一方、図4Bに示すように、本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、上記したように腕部材3の一端側が片持バネ22によって押し上げられることで、腕部材3の他端側の荷重センサ4に初期荷重を付与している。このように、本実施の形態に係る片持バネ22は、腕部材3の一端側下面に当接して、これを押し上げるように構成されている。よって、比較例のように、ベース部材72から起こされた片持バネ77を係止片76に係止させるといった煩雑な作業が発生しない。このため、自動機で組み立て作業を行うことができ、作業性を向上することが可能である。
【0038】
また、本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、腕部材3の一対の棒状部33がベース部材2の一対の挿通孔24に差し込まれ、突き抜けた棒状部33の先端側を折り曲げることで、腕部材3をベース部材2に係止させている。この場合、棒状部33の突き抜け量を調整して曲げ位置を変えることで、腕部材3とベース部材2との間隔(腕部材の高さ位置)を可変することができる。このため、荷重センサ4に作用する初期荷重を測定しつつ、棒状部33の曲げ位置を決定することで、初期荷重を調整することができる。このように、本実施の形態に係る押圧式入力装置1では、寸法誤差等による片持バネ22等のバネ定数のバラツキをキャンセルし、一定の測定品質を維持することができる。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係る押圧式入力装置1によれば、腕部材3に加えられる操作荷重により荷重センサ4に作用する初期荷重が減少されるため、押圧式入力装置1に過荷重が加えられても荷重センサ4が破損することが防止される。また、ベース部材2に対して腕部材3を被せるように配置して、腕部材3の一端側に片持バネ22を当接させ、腕部材3をベース部材2に係止させることで、容易に組み付けることができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0041】
例えば、上記した実施の形態では、支点P1、力点P2、作用点P3の位置関係が固定されたが、この構成に限定されない。支点P1から力点P2までの距離と、支点P1から作用点P3までの距離との割合を可変できるようにしてもよい。例えば、押し子の位置、一対の棒状部の位置、一対の挿通孔の位置、荷重センサの設置位置を変更可能にする。これにより、支点P1から力点P2までの距離をXとし、支点P1から作用点P3までの距離をYとした場合、操作荷重をX/Y倍して作用点P3に伝達することができる。
【0042】
これにより、支点P1と作用点P3との距離を近付けることで荷重センサからの出力を高くして、センサ感度を高くできる。また、支点P1と作用点P3との距離を遠ざけることで荷重センサからの出力を低くして、センサ感度を低くできる。よって、電子機器の製品仕様や電子機器に対する取付位置に応じて、荷重センサのセンサ感度を調整することも可能である。
【0043】
また、上記した実施の形態において、ベース部材の一対の側板部の内側に腕部材が収まるように組み付けられる構成としたが、この構成に限定されない。図5A、Bに示すように、ベース部材82の一対の側板部87の外側を腕部材83が覆うように組み付けられる構成としてもよい。この場合、ベース部材82の側板部87に一対の挿通孔85を形成し、腕部材83に設けた一対の棒状部86を内向きに折り曲げて、ベース部材82に腕部材83を係止させる。
【0044】
また、上記した各実施の形態において、片持バネに対向した位置に操作荷重が加わる構成としたが、この構成に限定されない。操作荷重は、片持バネの付勢方向に対して逆方向に作用されればよく、例えば、腕部材において片持バネよりも一端寄り又は他端寄りに加わる構成としてもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態において、支点形成部としての左右一対の棒状部によって腕部材がベース部材に揺動可能に係止される構成としたが、この構成に限定されない。腕部材は、ベース部材に対して揺動可能に係止されればよく、例えば、単一の棒状部によって腕部材がベース部材に係止されてもよい。また、支点形成部は、棒状に形成される構成に限定されず、腕部材がベース部材に係止される場合に支点を形成する構成であれば、どのような構成でもよい。
【0046】
また、上記した実施の形態において、付勢部材として片持バネによって腕部材を押し上げる構成としたが、この構成に限定されない。付勢部材は、腕部材を押し上げるものであればよく、例えば、ベース部材と別体に形成されたスプリングでもよいし、ベース部材と一体に形成された両持バネでもよい。
【0047】
また、上記した実施の形態において、腕部材は、直線状に延在する構成としたが、これに限定されない。腕部材は、操作荷重が入力される入力位置と荷重センサに当接する当接位置とを含むように延在すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 押圧式入力装置
2 ベース部材
3 腕部材
4 荷重センサ
5 フレキシブル基板
6 操作パネル
22 片持バネ(付勢部材)
24 挿通孔
33 棒状部(支点形成部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作荷重に応じた信号を出力する荷重センサと、
前記操作荷重が加わる一端側から前記荷重センサに当接する他端側に延在し、延在方向の途中部分に設けた支点形成部を支点として前記荷重センサに対して前記操作荷重を伝える腕部材と、
前記腕部材に対向して配置され、前記支点形成部を介して前記腕部材を揺動可能に係止するベース部材と、
前記腕部材の一端側を前記操作荷重の作用方向に対して逆方向に押圧し、前記支点形成部を支点として前記荷重センサに初期荷重を生じさせる付勢部材とを備え、
前記一端側において前記腕部材に加えられた前記操作荷重は、前記支点形成部を支点として前記他端側において前記腕部材に対し前記荷重センサの初期荷重を減少させる方向に力を作用させることを特徴とする押圧式入力装置。
【請求項2】
前記支点形成部は、前記ベース部材に向って直線状に延在しており、
前記ベース部材には、前記支点形成部が挿通される挿通孔が形成されており、
前記挿通孔を突き抜けた前記支点形成部の先端側が折り曲げられることで、前記腕部材が前記ベース部材に揺動可能に係止されることを特徴とする請求項1に記載の押圧式入力装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記ベース部材に設けられた折り返し形状の片持バネであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押圧式入力装置。
【請求項4】
前記支点形成部は、前記腕部材の延在方向に直交する幅方向の両側部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の押圧式入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−229979(P2012−229979A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98053(P2011−98053)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】