説明

押釦スイッチ用部材、キーパネル、電子機器および押釦スイッチ用部材の製造方法

【課題】背景部が白色系であっても、レーザ加工時の下層抜け欠陥および上層残り欠陥を抑制すること。
【解決手段】キートップの操作面22上に、着色層30、透明層40、吸光層50、白色層60がこの順に設けられ 着色層30の操作面22が設けられた側と反対側の面の一部の領域上には、少なくとも白色層60および吸光層50を貫通する貫通穴70が設けられ、かつ、貫通穴70の底面72が、透明層40の厚み方向において、透明層40の着色層30と接触する側の面42Tと、透明層40の吸光層50と接触する側の面42Bとの間に位置するように設けられた押釦スイッチ用部材、これを用いたキーパネルおよび電子機器、ならびに、当該押釦スイッチ用部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦スイッチ用部材、キーパネル、電子機器および押釦スイッチ用部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
押釦スイッチのキートップ部分の文字や記号等の表示部の形成方法としては、印刷によって形成される方法の他に、レーザ照射により形成される方法が知られている。たとえば、レーザ照射による材料の変性を利用した表示部の形成方法(層材料変性方式)として、アルミ粉が配合されたメタリック色調層にレーザ光を照射してアルミ粉を酸化させることで、透光性のある表示部パターンを形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、キートップ上に積層された層をレーザ照射により除去することで表示部を形成する方法(層材料除去方式)として、たとえば、キートップ上に透光性多重反射層と、遮光層とを積層した後に、遮光性の強い黒色等の色調の遮光層にレーザ光を照射して表示部としての型抜き部を形成する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242853号公報(請求項4等)
【特許文献2】特開2002−270059号公報(請求項5、段落番号0042等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、デザイン性の観点から、表示部以外の背景部を白色系の色とした押釦スイッチ用部材を層材料除去方式により製造しようとする場合、一般的に、押釦スイッチ用部材上に表示部の色を表示する着色層、レーザ光を効率的に吸収する吸光層、背景部である白色系の色を表示する白色層が、少なくともこの順に積層された半製品を用いて、レーザ加工を行う。なお、吸光層は、背景部や表示部の色を表現する上では不要な層であるが、着色層上に白色層を設けただけではレーザ光を吸収し難く、レーザ加工による表示部の形成が困難であるため、レーザ光の吸収を補助するために設けられる。この場合、レーザ照射により、白色層および吸光層が除去されると共に、この除去された部分に着色層が露出することで表示部が形成される。
【0006】
しかしながら、上述した押釦スイッチ用部材では、レーザ光を吸収し難い白色層が存在する。このため、レーザ加工に際しては、通常よりもレーザパワーを大きくする必要がある。しかし、この場合、着色層まで除去されてしまう欠陥(下層抜け欠陥)が生じ易くなった。一方、下層抜け欠陥を回避するためにレーザパワーを小さくすると、白色層や吸光層が十分に除去し切れない欠陥(上層残り欠陥)が生じ易かった。このため、最適なレーザ加工条件の幅が非常に狭く、レーザ加工時の歩留まりが低いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザ加工に際して、下層抜け欠陥および上層残り欠陥が生じにくい背景部が白色系の押釦スイッチ用部材、これを用いたキーパネルおよび電子機器、ならびに、当該押釦スイッチ用部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明の押釦スイッチ用部材は、キートップと、キートップの操作面上に積層された着色層、透明層、吸光層および白色層とを有し、着色層が、操作面の少なくとも一部を覆うように設けられ、透明層が、少なくとも着色層を覆うように設けられ、吸光層が、少なくとも透明層を覆うように設けられ、白色層が、吸光層上に配置されると共に操作面全面を覆うように設けられ、着色層の操作面が設けられた側と反対側の面の一部の領域上には、少なくとも白色層および吸光層を貫通する貫通穴が設けられ、かつ、貫通穴の底面が、透明層の厚み方向において、透明層の着色層と接触する側の面と、透明層の吸光層と接触する側の面との間に位置するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の押釦スイッチ用部材の一実施態様は、白色層および貫通穴の内壁面を覆う保護層が設けられていることが好ましい。
【0010】
本発明の押釦スイッチ用部材の他の実施態様は、白色層のみを覆う保護層が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明の押釦スイッチ用部材の他の実施態様は、貫通穴の底面の下方側に位置する着色層が透明層により被覆されていることが好ましい。
【0012】
本発明のキーパネルは、本発明の押釦スイッチ用部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の電子機器は、本発明の押釦スイッチ用部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の電子機器の一実施態様は、携帯電話であることが好ましい。
【0015】
本発明の押釦スイッチ用部材の製造方法は、キートップの操作面上に、操作面の少なくとも一部を覆うように着色層を形成する着色層形成工程と、少なくとも着色層を覆うように透明層を形成する透明層形成工程と、少なくとも透明層を覆うように吸光層を形成する吸光層形成工程と、吸光層上に配置されると共に操作面全面を覆うように白色層を形成する白色層形成工程とを、少なくとも経た後に、レーザ照射により、着色層の操作面が設けられた側と反対側の面の一部の領域上に、少なくとも白色層および吸光層を貫通し、かつ、底面が、透明層の厚み方向において、透明層の着色層と接触する側の面と、透明層の吸光層と接触する側の面との間に位置するように設けられた貫通穴を形成する貫通穴形成工程を少なくとも経ることにより、押釦スイッチ用部材を製造することを特徴とする。
【0016】
本発明の押釦スイッチ用部材の製造方法の一実施態様は、白色層形成工程後、かつ、貫通穴形成工程前に、白色層全面を覆うように保護層を形成する保護層形成工程をさらに有することが好ましい。
【0017】
本発明の押釦スイッチ用部材の製造方法の他の実施態様は、レーザ照射が、YVOレーザを用いて行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように、本発明によれば、レーザ加工に際して、下層抜け欠陥および上層残り欠陥が生じにくい背景部が白色系の押釦スイッチ用部材、これを用いたキーパネルおよび電子機器、ならびに、当該押釦スイッチ用部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の押釦スイッチ用部材の一例を示す模式断面図である。
【図2】本実施形態の押釦スイッチ用部材の製造方法を説明するための模式説明図である。ここで、図2(A)は、着色層形成工程を説明する図であり、図2(B)は、透明層形成工程を説明する図であり、図2(C)は、吸光層形成工程を説明する図であり、図2(D)は、白色層形成工程を説明する図である。
【図3】本実施形態の押釦スイッチ用部材の他の例を示す模式断面図である。
【図4】本実施形態の押釦スイッチ用部材の他の例を示す模式断面図である。
【図5】本実施形態の電子機器の一例を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本実施形態の押釦スイッチ用部材の一例を示す模式断面図であり、具体的には本実施形態の押釦スイッチ用部材の最も基本的な層構成について示したものである。ここで、図1に示す押釦スイッチ用部材10A(10)は、キートップ20と、キートップ20の操作面22S、22T(22)上に積層された着色層30、透明層40、吸光層50および白色層60とを有する。
【0021】
ここで、着色層30が、操作面22の少なくとも一部を覆うように設けられ、透明層40が、少なくとも着色層30を覆うように設けられ、吸光層50が、少なくとも透明層40を覆うように設けられ、白色層60が、吸光層50上に配置されると共に操作面22の全面を覆うように設けられる。なお、図1に示す例では、操作面22の天面部分22Tの一部を覆うように着色層30が設けられているが、操作面22の側面部分22Sの一部を覆うように着色層30が設けられていてもよい。
【0022】
さらに、着色層30の操作面22が設けられた側と反対側の面の一部の領域上には、少なくとも白色層60および吸光層50を貫通する貫通穴70が設けられ、かつ、貫通穴70の底面72が、透明層40の厚み方向において、透明層40の着色層30と接触する側の面42Bと、透明層40の吸光層50と接触する側の面42Tとの間に位置するように設けられる。ここで、貫通穴70が設けられた部分が、白色層60とコントラストを成すことで、文字や記号等を表示する表示部を構成する。ここで、押釦スイッチ用部材10Aが、照光式の押釦スイッチ用部材である場合、着色層30およびキートップ20は透光性を有し、キートップ20の天面部分22Tと反対側の面(裏面24)側から照光させることができる。この場合、貫通穴70が設けられた部分が、発光可能であるため、暗所でも文字や記号等を明確に認識することができる。これに加えて、光源が白色光であれば、着色層30を透過した光は、着色層30と同色となるので、貫通穴70が設けられた部分を、着色層30の色に発光させることができる。
【0023】
図2は、本実施形態の押釦スイッチ用部材の製造方法を説明するための模式説明図であり、具体的には図1に示す押釦スイッチ用部材10Aの製造方法について説明する図である。図1に示す押釦スイッチ用部材10Aの作製に際しては、まず、キートップ10の操作面22上に、操作面22の少なくとも一部を覆うように着色層30を形成する着色層形成工程(図2(A))、少なくとも着色層30を覆うように透明層40を形成する透明層形成工程(図2(B))、少なくとも透明層40を覆うように吸光層50を形成する吸光層形成工程(図2(C))、および、吸光層50上に配置されると共に操作面22全面を覆うように白色層60を形成する白色層形成工程(図2(D))を、少なくとも経ることで、図2(D)に示されるような、キートップ20の操作面22上に、着色層30、透明層40、吸光層50および白色層60がこの順に順次積層された半製品を得ることができる。
【0024】
続いて、この半製品に対するレーザ照射により、着色層30の操作面22が設けられた側と反対側の面の一部の領域上に、少なくとも白色層60および吸光層50を貫通し、かつ、底面72が、透明層40の厚み方向において、透明層40の着色層30と接触する側の面42Bと、透明層40の吸光層50と接触する側の面42Tとの間に位置するように設けられた貫通穴70を形成する貫通穴形成工程(以下、単に「レーザ加工」と略す場合がある)を少なくとも経ることで、図1に示す押釦スイッチ用部材10Aを作製することができる。
【0025】
以上に説明したように、本実施形態の押釦スイッチ用部材10を作製する場合、レーザ照射により表示部に対応する貫通穴70を形成する際に、着色層30の上層側に位置する吸光層50および白色層60が完全に除去される。また、着色層30と吸光層50との間に設けられた透明層40は、レーザ照射によって、その照射エリア内の厚み方向において、(1)全て除去されてもよく、(2)図1に例示したように部分的に除去されていてもよく、あるいは、(3)全く除去されずに残留していてもよい。ここで、(1)〜(3)のいずれの態様においても、着色層30上には、有色または遮光性の層が存在しないので、所望の表示色の表示部が形成されることになる。
【0026】
なお、本実施形態の押釦スイッチ用部材10は、白色層60を有するため、従来の背景部が白色系の押釦スイッチ用部材と同様にレーザ加工が非常に難しく、着色層30上に設けられた層の除去深さにはばらつきが生じ易い。しかしながら、本実施形態の押釦スイッチ用部材10では、その製造に際して着色層30表面に透明層40が設けられる。そして、この透明層40は、表示部の形成という観点からは、レーザ照射により除去されても、除去されなくても影響が無い。すなわち、本実施形態の押釦スイッチ用部材10では、透明層40が、レーザ照射時の加工マージンとなるため、従来のような下層抜け欠陥や上層残り欠陥の発生を抑制できる。それゆえ、本実施形態の押釦スイッチ用部材10では、レーザ加工に起因する歩留まり低下を抑制できる。
【0027】
なお、本実施形態の押釦スイッチ用部材10の製造に際しては、貫通穴形成工程後に、白色層60および貫通穴70の内壁面(図1に示す底面72および側壁面74)を覆うように保護層を形成する保護層形成工程を実施してもよい。この場合、押釦スイッチ用部材10の操作面22全面が保護層により覆われることになる(以下、この態様の押釦スイッチ用部材を、「第一の実施態様の押釦スイッチ用部材」と称す場合がある)。このため、第一の実施態様の押釦スイッチ用部材では、機械的・化学的耐久性をより向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態の押釦スイッチ用部材の製造に際しては、白色層形成工程後、かつ、貫通穴形成工程前に、白色層60全面を覆うように保護層を形成する保護層形成工程を実施することもできる。この場合、本実施形態の押釦スイッチ用部材には、白色層60のみを覆う保護層がさらに設けられることになる(以下、この態様の押釦スイッチ用部材を、「第二の実施態様の押釦スイッチ用部材」と称す場合がある)。すなわち、第二の実施態様の押釦スイッチ用部材では、操作面のほぼ全面が保護層により覆われることになるため、機械的・化学的耐久性をより向上させることができる。
【0029】
図3および図4は、本実施形態の押釦スイッチ用部材の他の例を示す模式断面図であり、具体的には保護層を更に設けたタイプの本実施形態の押釦スイッチ用部材について示した図であり、図3および図4中、図1および図2に示すものと同様の機能・構成を有する部材については同じ符号が付してある。ここで、図3に示す第一の実施態様の押釦スイッチ用部材10B(10)は、白色層60および貫通穴70の内壁面を覆うように保護層80が設けられており、図4に示す第二の実施態様の押釦スイッチ用部材10C(10)は、白色層60のみを覆うように保護層80が設けられている。
【0030】
なお、図3に示す第一の実施態様の押釦スイッチ用部材10Bは、図1に示す押釦スイッチ用部材10Aに対してさらに保護層80を形成することで作製することができる。また、図4に示す第二の実施態様の押釦スイッチ用部材10Cは、以下の手順で作製される。まず最初に、図2(D)に示す半製品の白色層60の全面を被覆するようにさらに保護層80を形成する。続いて、着色層30の操作面22が設けられた側と反対側の面の一部の領域上に、少なくとも保護層80、白色層60および吸光層50を貫通し、かつ、底面72が、透明層40の厚み方向において、透明層40の着色層30と接触する側の面42Bと、透明層40の吸光層50と接触する側の面42Tとの間に位置するように設けられた貫通穴70を形成するレーザ加工を行う。これにより、第二の実施態様の押釦スイッチ用部材10Cが作製される。
【0031】
なお、通常、押釦スイッチ用部材の機械的・化学的耐久性を確保する観点からは、実用上、保護層80を形成した押釦スイッチ用部材のニーズは非常に大きい。このため、通常は、最上層として保護層80を設けた状態の押釦スイッチ用部材が、工場から世界各国のユーザへと出荷され、ユーザにおいてこの押釦スイッチ用部材を用いた各種電子機器などの最終製品が組み立てられる。一方、工場から世界各国のユーザへと押釦スイッチ用部材を出荷する場合、言語の違い等に対応させて押釦スイッチ用部材を使用する国ごとに、レーザ加工により表示部を形成する必要がある。それゆえ、世界各国のユーザからの受注を受けてから、短期間に押釦スイッチ用部材を出荷できるようにするためには、レーザ加工前の仕掛品をストックしておき、この仕掛品に対して各国の仕様に対応させるレーザ加工のみを行えば、直ぐに押釦スイッチ用部材を出荷できることが好ましい。
【0032】
したがって、以上に説明したような短納期の対応がより容易という点では、レーザ加工後に保護層80を形成することで作製される第一の実施態様の押釦スイッチ部材10Bよりも、保護層80の形成後にレーザ加工が実施されることで作製される第二の実施態様の押釦スイッチ用部材10Cがより好ましいといえる。
【0033】
しかし、第二の実施態様の押釦スイッチ用部材10Cは、上述したような短納期対応に優れるものの、保護層80の形成後にレーザ加工される。このため、貫通穴70の底面72部分には、保護層80が存在しないことになるため、表示部の機械的・化学的耐久性が不足する可能性がある。しかしながら、貫通穴70の底面72の下方側(キートップ20が配置された側)に位置する着色層30を透明層40により被覆させることで、上述したような問題を回避することができる。この場合、レーザ加工時の加工マージンである透明層40の膜厚を厚くすれば、レーザ加工によるばらつきが生じても、着色層30上にレーザ照射によって除去し切れなかった透明層40が必ず残存することになる。このため、貫通穴70の底面72の下方側に位置する着色層30が透明層40により確実に被覆されることになる。なお、図4に示す例は、着色層30上にレーザ照射によって除去し切れなかった透明層40が、貫通穴70部分において着色層30を被覆するように残存している場合を示したものである。
【0034】
次に、本実施形態の押釦スイッチ用部材10を構成する各層の部材や、本実施形態の押釦スイッチ用部材10を製造する際の各工程の詳細について説明する。
【0035】
−キートップ−
キートップ20は、図1等に例示したように1つのキーとして認識できる形状、または、複数のキーとして認識できる形状(1枚のシートに個々のキー部分に対応する複数の凸部等を設けた形状)を成すのであればその形状や材質は特に限定されないが、一般的には、断面形状が半円形や半楕円形、台形等などのブロック状樹脂が用いられ、このブロック状樹脂は、基材と一体を成すように、または、基材に接着等により固定することで、基材の片面に複数個設けられたものでもよい。キートップは、たとえば、射出成型や、UV硬化型樹脂を用いた型転写などにより作製することができる。キートップの作製に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂やABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、PA樹脂(ポリアミド樹脂)、また、UV硬化型樹脂としてはウレタンアクリレートなどが挙げられる。なお、本実施形態の押釦スイッチ用部材が、照光式の押釦スイッチ用部材である場合、キートップ20を構成する樹脂材料は、透明なものが用いられる。
【0036】
−着色層−
着色層30は、キートップ20の操作面22上に、操作面22の少なくとも一部を覆うように着色層30を形成する着色層形成工程を経て形成される。着色層30の形成方法は特に限定されないが、たとえば、オフセット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷などの公知の印刷方法が利用できる。ここで、着色層30は、主に色材成分および樹脂成分から構成され、これらの成分を溶媒に溶解させたインクを用いて形成される。ここで色材成分としては、公知の顔料や染料が利用でき、この他に、金属薄片、フレーク状ガラスの表面に金属および/または金属酸化物をコーティングした光輝性無機顔料なども利用できる。なお、着色層30の色調は、白色層60とコントラストを成すことができるのであれば、特に限定されないが、通常は、白色系以外の色であることが特に好ましい。なお、着色層30の厚みとしては、表示部の色濃度を確保してデザイン性、視認性を高める等の実用上の観点から、1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上が好ましい。また、着色層30の厚みの上限は、特に限定されないが、実用上は10μm以下であることが好ましい。また、本実施形態の押釦スイッチ用部材10が、照光式の押釦スイッチ用部材である場合、着色層30は透光性を有する。この場合、着色層30の可視光域の光の透過率は、10%〜60%の範囲内が好ましい。なお、本実施形態の押釦スイッチ用部材10では、既述したように、透明層40がレーザ照射時の加工マージンとして機能する。しかしながら、この機能を、透明層40を設ける代わりに、着色層30をさらに厚膜化させることで代用させることもできる。しかしながら、レーザ加工に用いるレーザ光源には、個体差が存在する場合がある。このため、複数のレーザ光源を用いて同一種類の押釦スイッチ用部材を量産する場合、レーザ光源毎にエッチング深さがばらついてしまうのは避けがたい。それゆえ、着色層30をさらに厚膜化させた押釦スイッチ用部材では、着色層30の厚みばらつきが生じ、着色層30の厚みばらつきが生じる余地の無い透明層40を設けた本実施形態の押釦スイッチ用部材10と比べて、個々の押釦スイッチ用部材間で表示部の発色ばらつきが生じ易い。よって、以上の点を考慮すれば、着色層30を厚膜化した押釦スイッチ用部材を製造するよりも、本実施形態の押釦スイッチ用部材10を製造する方がより望ましいといえる。
【0037】
−透明層−
透明層40は、少なくとも着色層30を覆うように透明層40を形成する透明層形成工程を経て形成される。透明層40の形成方法は特に限定されないが、たとえば、オフセット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷などの公知の印刷方法、または、公知の塗装方法が利用できる。透明層40は、主に可視光に対して透光性を有する材料成分から構成され、この成分を溶媒に溶解させた溶液を用いて形成される。透明層40は、可視光域の波長に対して透明であればよく、その透過率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%に近いほど好ましい。透明層40を構成する材料は、可視光域の波長に対して透明であれば公知の材料を利用でき、たとえば、公知の透明な樹脂材料や、公知のハードコート剤などが利用できる。また、着色層30および/または吸光層50との密着性を高めるために、これらの層に含まれる樹脂成分と同一・類似の分子構造を有する透明な樹脂材料を用いることも好ましい。なお、第二の実施形態の押釦スイッチ用部材10Cのように、貫通穴70の底面72が保護層80で覆われない場合、透明層40は保護層80と同様の材料を用いて形成されることが特に好ましい。この場合、貫通穴70の底面72が保護層80で覆われなくても、保護層80を設けた場合と同様の機械的・化学的耐久性が、表示部においても確保できる。
【0038】
透明層40の厚みは特に限定されないが、透明層形成工程を実施した直後の透明層40の厚み、言い換えれば、押釦スイッチ用部材10における着色層30と吸光層50との間に挟まれる位置に存在する透明層40の厚みとしては、少なくとも1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。厚みを1.0μm以上とすることにより、レーザ照射時の加工マージンを十分に確保できるため下層抜け欠陥や上層残り欠陥の発生をより確実に抑制できる。なお、厚みの上限は特に限定されないが、実用上は10μm以下であることが好ましい。
【0039】
−吸光層−
吸光層50は、少なくとも透明層40を覆うように吸光層50を形成する吸光層形成工程を経て形成される。吸光層50の形成方法は特に限定されないが、たとえば、吸光層50を形成する材料を溶解・分散させた溶液を用いたオフセット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷などの公知の印刷方法、または、公知の塗装方法が利用できる。吸光層50は、レーザ加工に使用するレーザ光を効率的に吸収する機能を有するものであり、白色層60のみを設けた場合と比べて、白色層60と吸光層50とを組み合わせて設けることで、レーザ加工が容易となるのであれば、その構成は特に限定されない。なお、上述したような機能を達成する上で、吸光層50の色としては、一般的に黒色、シルバー色、あるいは、灰色等の色であることが好ましい。吸光層50を構成する材料としては、レーザ光の吸収を促進すると共に、層としての形態を維持する観点から、たとえば、カーボンブラックなどのカーボン系材料、アルミ粉などが、樹脂材料に分散して含まれていることが好ましい。なお、吸光層50の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。厚みを5μm以上とすることにより、レーザ光を効率的に吸収でき、白色層60が存在しても、表示部を形成するのに必要な深さを有する貫通穴70を形成することができる。なお、吸光層50の厚みの上限は特に限定されないが、実用上は、30μm以下であることが好ましい。
【0040】
−白色層−
白色層60は、吸光層50上に配置されると共に操作面22全面を覆うように白色層60を形成する白色層形成工程を経て形成される。白色層60の形成方法は特に限定されないが、たとえば、オフセット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷などの公知の印刷方法、または、公知の塗装方法が利用できる。ここで、白色層60は、主に白色系色材成分および樹脂成分から構成され、これらの成分を溶媒に溶解させたインクを用いて形成される。ここで色材成分としては、ピュアホワイトや、パールホワイトなどの公知の白色系顔料や白色系染料が利用できる。なお、非常に淡く着色したホワイト色としたい場合には、非白色系色材を必要に応じて少量併用してもよい。なお、白色層60に起因する押釦スイッチ用部材10の白色度は、特に限定されるものではないが、背景部の白さを基調としたデザイン性を確保する観点から60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。白色層60の厚みとしては、下地層である吸光層50の色合いを確実に隠蔽する観点から、5μm以上であることが好ましく、7μm以上であることが好ましい。また、白色層60の厚みの上限値は、レーザ光の反射が過剰になり、表示部の形成が困難となるのを防ぐ観点から、20μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。なお、本願明細書において、白色度とは、分光色彩計(日本電色株式会社製、SD−500)を用い、測定面積を直径換算で6mmとし、SCE(正反射成分を含まない)に設定して測定した値を意味する。
【0041】
−保護層−
保護層80は、既述したように、必要に応じて、白色層60および貫通穴70の内壁面を覆うように設けられるか、あるいは、白色層60のみを覆うように設けることができる。保護層80の形成方法は特に限定されないが、たとえば、オフセット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷などの公知の印刷方法、または、公知の塗装方法が利用できる。保護層80は、主に可視光に対して透光性を有する材料成分から構成され、この成分を溶媒に溶解させた溶液を用いて形成される。保護層80は、可視光域の波長に対して透明であればよく、その透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。保護層80を構成する材料は、可視光域の波長に対して透明であり、かつ、押釦スイッチ用部材10表面の機械的・化学的耐久性を向上させることができるものであれば公知の材料を利用でき、たとえば、ウレタンアクリレート等の透明な樹脂材料や、公知のハードコート剤などが利用できる。なお、保護層80の厚みとしては、機械的・化学的耐久性を向上の確保、レーザ照射による層の除去代の低減、材料コストの抑制等の実用上の観点から、5μm〜30μmの範囲内が好ましく、10μm〜25μmの範囲内がより好ましい。
【0042】
−レーザ加工(貫通穴形成工程)−
表示部を形成するために、白色層60または保護層80形成後にレーザ加工(貫通穴形成工程)を実施する。レーザ加工する際に利用するレーザ光源およびレーザ照射条件については、形成する貫通穴70の深さ・幅などに応じて適宜選択できる。そして、レーザ加工に際しては、レーザビームを白色層60または保護層80の略真上から走査することで所定の文字や記号等を表す表示部を形成する。レーザ光源としては、公知のレーザ光源が利用でき、紫外域、可視域、または、赤外域のいずれの波長域のレーザ光源でも利用できる。赤外域のレーザ光源を利用する場合、たとえば1064nmの中心波長を持つものとしては、YAGレーザや、YVOレーザなどを挙げることができる。
【0043】
なお、レーザを照射して表示部を形成する場合、レーザ出力が一定の上限値を超えると下層抜け欠陥が発生し、レーザ出力が一定の下限値を下回ると上層残り欠陥が発生する。そして、この上限値と下限値との間が、レーザ加工に適した出力範囲となる。一方、レーザ光は、中心波長を有する非常に狭い波長幅を有する光であるものの、レーザ光源の種類により、波長幅が異なる。そして、この波長幅の範囲内において、ある閾値以上の波長成分のエネルギーが、レーザ照射される領域に存在する材料の直接的な昇華による除去(昇華除去)に寄与する。一方、この閾値未満の波長成分のエネルギーは、レーザ照射される領域に存在する材料に熱エネルギーとして一旦吸収された上で、材料の熱分解・溶解(加熱除去)による除去に寄与する。ここで、昇華除去は、レーザが照射された領域の材料を選択的に除去するため、レーザ照射により形成される穴の形状精度が高く、結果的に貫通穴70深さのばらつきが生じにくい。これに対して、加熱除去は、一旦、レーザが直接照射された領域およびその近傍の材料に吸収された熱エネルギーが、これら領域に存在する材料を熱分解等して除去するため、レーザ照射により形成される穴の形状精度が低く、結果的に貫通穴70の深さのばらつきが生じやすい。以上の点を考慮すれば同じ中心波長を有するレーザ光であっても、波長幅が狭い方が、レーザ加工に適した出力範囲をより広く確保できるといえる。
【0044】
一方、1064nmの中心波長を持つYAGレーザと、YVOレーザとを比較すると、YAGレーザよりもYVOレーザの方が、波長幅がより狭い。そして、YAGレーザよりもYVOレーザの方が、レーザ光のエネルギー成分のうち、加熱除去に寄与する成分よりも昇華除去に寄与する成分がより大きい。以上の点を考慮すれば、1064nmの中心波長を持つYAGレーザおよびYVOレーザの中でも、YVOレーザを用いる方がより好ましいといえる。この場合、下層抜け欠陥および上層残り欠陥をより一層抑制でき、歩留まりを向上させることができる。
【0045】
−キーパネルおよび電子機器−
本実施形態のキーパネルは、少なくとも本実施形態の押釦スイッチ用部材10を備えたものである。ここで、本願明細書において、「キーパネル」とは操作スイッチを有する操作盤のことである。キーパネルは、スイッチ操作による操作対象となる電子機器本体と一体に設けられたものであってもよいし、スイッチ操作による操作対象となる電子機器本体と物理的に分離して設けられたものであってもよい。なお、後者の場合は、キーパネルと電子機器とが、有線接続されるタイプであってもよいし、キーパネルと電子機器とが赤外線通信などによって信号のやり取りが可能なワイヤレスタイプであってもよい。代表的な例としては、エアーコンディショナ、インターホン、テレビ等のリモートコントローラ、デスクトップタイプのパーソナルコンピューターのキーボードなどに用いられる操作盤が挙げられる。また、キーパネルを備えた電子機器(キーパネルが電子機器本体と一体化した電子機器)としては、電子辞書、携帯電話、電卓、ノートタイプのパーソナルコンピューター、パーソナルディジタルアシスタンス(PDA)、MP3プレーヤ等の音楽再生機能を持つ携帯型プレーヤなどが挙げられる。
【0046】
本実施形態の押釦スイッチ用部材10が、照光式の押釦スイッチ用部材である場合には、キーパネルには、本実施形態の押釦スイッチ用部材10以外にも、押釦スイッチ用部材10の裏面24側に光源または導光板が更に設けられる。ここで、「光源」とは、裏面側を照射するために自らが発光する光源を意味する。なお、裏面24側に導光板を設ける場合は、導光板の端部側に光源が配置される。また、光源としては、たとえば、LEDやエレクトロルミネッセンスシート(ELシート)等が利用できる。
【0047】
本実施形態の電子機器は、上述したキーパネルを電子機器本体と一体的に有するものであればその用途は特に限定されないが、携帯型の電子機器;例えば、携帯電話、電子辞書、PDA、ノートタイプのパーソナルコンピューターなどであることが好ましく、特に携帯電話であることが最も好ましい。図5は、本実施形態の電子機器の一例を示す外観図であり、具体的には携帯電話について示す図である。図5に示す携帯電話90は、ディスプレイ部分92と本実施形態の押釦スイッチ用部材10を備えたキーパネルを有する本体部分94とから構成されている。
【実施例】
【0048】
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0049】
<サンプルA1>
サンプルA1として、図2(D)に示す半製品と同様の層構成を有する半製品を準備した。ここで、このサンプルA1の各層の概要は以下の通りである。なお、サンプルA1および後述するサンプルA2、サンプルB1およびサンプルB2の色は、いずれも純白色である。
(1)着色層30は、赤色インク(赤色顔料を配合した溶剤希釈型アクリルインク)を用いてスクリーン印刷により形成した。厚みは5μmである。
(2)透明層40は、着色層30の顔料成分を除いた溶剤希釈型アクリルインクを用いてスクリーン印刷により形成した。厚みは5μmである。
(3)吸光層50は、カーボンブラック粒子を10質量部、アルミ粉を30質量部、バインダー樹脂(ウレタンアクリレート)20質量部をトルエンに溶解・分散させたインクを用いて塗装により形成した。厚みは12μmである。
(4)白色層60は、白色インク(ウレタンアクリレート)を用いて塗装により形成した。厚みは10μmである。
【0050】
<サンプルA2>
サンプルA1の白色層60の表面全面を覆うように保護層80を形成したサンプルA2を準備した。なお、保護層80は、紫外線硬化型アクリル系樹脂を用いて塗装により形成した。厚みは12μmである。
【0051】
<サンプルB1>
サンプルA1の作製に際して透明層40を設けなかったものを作製し、これをサンプルB1とした。
【0052】
<サンプルB2>
サンプルA2の作製に際して透明層40を設けなかったものを作製し、これをサンプルB1とした。
【0053】
<レーザ加工条件>
各サンプルのレーザ加工による表示部の形成に際しては、レーザ光源として、YVOレーザ(波長1064nm)を用いて、以下のA〜Gに示す条件で実施した。
(1)レーザ加工条件A
・レーザパワー:4w
(2)レーザ加工条件B
・レーザパワー:6w
(3)レーザ加工条件C
・レーザパワー:8w
(4)レーザ加工条件D
・レーザパワー:5w
(5)レーザ加工条件E
・レーザパワー:7w
(6)レーザ加工条件F
・レーザパワー:9w
【0054】
なお、レーザ加工条件A〜Fにおいて、その他の条件は全て同じとし、具体的には、パルス幅:200ns、繰り返し周波数:20kHz、レーザビーム径:70μm、レーザ光の走査速度:500mm/sに設定した。
【0055】
<評価結果>
表1に示すように、各サンプルを3水準の条件でレーザ加工した。そして、レーザ加工後の表示部について、上層残り欠陥、下層抜け欠陥および表示部の色について目視で評価した。結果を表1に示す。なお、レーザ加工した後の各実施例の押釦スイッチ用部材の表示部の断面を電子顕微鏡で観察したところ、全ての実施例において、貫通穴70の底面72は、キートップ20上に形成された多層膜のうち、透明層40中に存在していることが確認された。
【0056】
【表1】

【符号の説明】
【0057】
10、10A、10B、10C 押釦スイッチ用部材
20 キートップ
22 操作面
22S 操作面(側面部分)
22T 操作面(天面部分)
30 着色層
40 透明層
42B 透明層40の着色層30と接触する側の面
42T 透明層40の吸光層50と接触する側の面
50 吸光層
60 白色層
70 貫通穴
72 底面
74 側壁面
80 保護層
90 携帯電話(電子機器の一例)
92 ディスプレイ部分
94 本体部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
該キートップの操作面上に積層された着色層、透明層、吸光層および白色層とを有し、
上記着色層が、上記操作面の少なくとも一部を覆うように設けられ、
上記透明層が、少なくとも上記着色層を覆うように設けられ、
上記吸光層が、少なくとも上記透明層を覆うように設けられ、
上記白色層が、上記吸光層上に配置されると共に上記操作面全面を覆うように設けられ、
上記着色層の上記操作面が設けられた側と反対側の面の一部の領域上には、少なくとも上記白色層および上記吸光層を貫通する貫通穴が設けられ、かつ、
上記貫通穴の底面が、上記透明層の厚み方向において、上記透明層の上記着色層と接触する側の面と、上記透明層の上記吸光層と接触する側の面との間に位置するように設けられていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。
【請求項2】
請求項1に記載の押釦スイッチ用部材において、
上記白色層および上記貫通穴の内壁面を覆う保護層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ用部材。
【請求項3】
請求項1に記載の押釦スイッチ用部材において、
上記白色層のみを覆う保護層が設けられていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。
【請求項4】
請求項3に記載の押釦スイッチ用部材において、
前記貫通穴の底面の下方側に位置する前記着色層が前記透明層により被覆されていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材を備えたことを特徴とするキーパネル。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
電子機器が携帯電話であることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
キートップの操作面上に、上記操作面の少なくとも一部を覆うように着色層を形成する着色層形成工程と、
少なくとも上記着色層を覆うように透明層を形成する透明層形成工程と、
少なくとも上記透明層を覆うように吸光層を形成する吸光層形成工程と、
上記吸光層上に配置されると共に上記操作面全面を覆うように白色層を形成する白色層形成工程とを、少なくとも経た後に、
レーザ照射により、
上記着色層の上記操作面が設けられた側と反対側の面の一部の領域上に、少なくとも上記白色層および上記吸光層を貫通し、かつ、底面が、上記透明層の厚み方向において、上記透明層の上記着色層と接触する側の面と、上記透明層の上記吸光層と接触する側の面との間に位置するように設けられた貫通穴を形成する貫通穴形成工程を少なくとも経ることにより、押釦スイッチ用部材を製造することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法
【請求項9】
請求項8に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法において、
前記白色層形成工程後、かつ、前記貫通穴形成工程前に、上記白色層全面を覆うように保護層を形成する保護層形成工程をさらに有することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法において、
前記レーザ照射が、YVOレーザを用いて行われることを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228193(P2011−228193A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98466(P2010−98466)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】