説明

押釦スイッチ

【課題】 端子を小さくしても前端子の取付強度を確保することができ小型化を図ることのできる押釦スイッチを提供すること。
【解決手段】 接点部10を収容し基板50に取付けられるハウジング3と、ハウジング3の一側面4から露出し基板50の面と平行方向に操作可能な押釦2とからなり、ハウジング3は接点部10と導通した端子部15を側面4から導出させ、端子部15は基板50に対する半田付け面16を有してなる押釦スイッチ1において、端子部15は押釦2の操作方向に前後一対ずつハウジング3の側面4から導出され、押釦2から近い側に配置される前端子部15aは押釦2から遠い側に配置される後端子部15bよりも基板50に対する半田付け強度を大きくする端子補強部17を有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦スイッチに関し、特に基板に対し横方向から操作する小型の押釦スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やゲーム機、各種オーディオ機器等に使用される操作スイッチとしては、絶縁樹脂等で成形されたハウジング上に、中央固定接点と外側固定接点が設けられており、これら固定接点の上部には外側固定接点と当接するようにしてドーム状の可動接点が設けられている。また、各固定接点は両側方に延びる端子部と導通しており、この端子部を外部に導出して、基板に対する半田付け面を形成する。
【0003】
このような押釦スイッチは、ドーム状の可動接点を上方から押すことによって可動接点が中央固定接点に接触して導通し、スイッチの役割を果たす。また、押圧操作が行いやすくなるよう、可動接点の上部に所定の形状を有する操作釦が設けられる。このような押釦スイッチとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】実登録2572590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話、ゲーム機、ポータブルオーディオ機器等の小型化に伴い、これらに使用される押釦スイッチ等の面実装製品の実装面積の小型化要求が益々高まっている。しかし、横方向から押釦を操作するスイッチでは、操作力により半田付けした端子部が基板上から剥離してしまうため、端子部の小型化は困難である。特に、横押し操作による操作力は釦操作から近い側に配置される前側の端子部に大きな力がかかるので、端子部を小さくした場合には、前端子部の基板に対する半田付け強度を確保できない。このため、スイッチ及び実装面積の小型化が阻害されていた。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、端子部を小さくしても前端子部の取付強度を確保することができ小型化を図ることのできる押釦スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る押釦スイッチは、接点部を収容し基板に取付けられるハウジングと、該ハウジングの一側面から露出し上記基板の面と平行方向に操作可能な押釦とからなり、上記ハウジングは上記接点部と導通した端子部を側面から導出させ、該端子部は上記基板に対する半田付け面を有してなる押釦スイッチにおいて、
上記端子部は上記押釦の操作方向に前後一対ずつ上記ハウジングの側面から導出され、上記押釦から近い側に配置される前端子部は上記押釦から遠い側に配置される後端子部よりも上記基板に対する半田付け強度を大きくする端子補強部を有してなることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子補強部は上記前端子部の半田付け面を拡大してなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子部は上記ハウジング下面に露出面を有し、上記前端子部の露出面を上記後端子部の露出面より拡大することで半田付け面を拡大し上記端子補強部を形成してなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子部は上記ハウジング下面から段部を介して半田付け面を備え、上記前端子部の段部は上記後端子部の段部よりも内側に形成されて半田付け面を拡大し上記端子補強部を形成してなることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る押釦スイッチは、上記接点部は上記ハウジングの略中央に配置される中央固定接点と、該中央固定接点を挟んで上記端子部が導出されるハウジングの側面側に配置される周辺固定接点と、該周辺固定接点上に配置されて中央固定接点と接離自在な可動接点とからなり、上記前端子部は上記中央固定接点と導通し、上記後端子部は上記周辺固定接点と導通することを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子補強部は上記前端子部の上記ハウジング側面から導出された部分を上方に折り曲げた折り曲げ部により構成されてなることを特徴として構成されている。
【0012】
さらに、本発明に係る押釦スイッチは、上記折り曲げ部は上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴として構成されている。
【0013】
さらにまた、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子補強部は上記前端子部の先端近傍を当該前端子部のハウジング側面からの導出方向に対し傾斜する折り曲げ線で上方に折り曲げることで、上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴として構成されている。
【0014】
そして、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子補強部は上記前端子部をハウジング側面からの導出方向に対し平行な折り曲げ線で上方に折り曲げることで、上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴として構成されている。
【0015】
また、本発明に係る押釦スイッチは、上記端子補強部は上記前端子部の先端部を切欠いて上記半田付け面の端面長さを長くしてなることを特徴として構成されている。
【0016】
さらに、本発明に係る押釦スイッチは、上記前端子部は上記ハウジングの後側に幅広に形成され、上記後端子部は上記ハウジングの前側に幅広に形成されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る押釦スイッチによれば、端子部は押釦の操作方向に前後一対ずつハウジングの側面から導出され、押釦から近い側に配置される前端子部は押釦から遠い側に配置される後端子部よりも基板に対する半田付け強度を大きくする端子補強部を有してなることにより、押釦操作による荷重が大きい前端子部の基板に対する半田付け強度を向上させることができるので、端子部を小型化しても充分な半田付け強度を確保することができる。すなわち、押釦スイッチの小型化を図ることができる。
【0018】
また、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子補強部は前端子部の半田付け面を拡大してなることにより、前端子部の基板に対する半田付け強度を拡大された半田付け面の大きさに比例して向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子部はハウジング下面に露出面を有し、前端子部の露出面を後端子部の露出面より拡大することで半田付け面を拡大し端子補強部を形成してなることにより、端子部のハウジング側面からの導出量を変えずにスイッチ全体の基板に対する半田付け強度を向上させることができると共に、前端子部を後端子部よりも強固に取り付けることができる。
【0020】
さらにまた、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子部はハウジング下面から段部を介して半田付け面を備え、前端子部の段部は後端子部の段部よりも内側に形成されて半田付け面を拡大し端子補強部を形成してなることにより、段部の位置を変えることで半田付け面の大きさを変化させることができるので、容易に前端子部を後端子部よりも基板に対して強固に取り付けることができる。
【0021】
そして、本発明に係る押釦スイッチによれば、前端子部は中央固定接点と導通し、後端子部は周辺固定接点と導通することにより、半田付けされる端子の露出面を大きくしても固定接点に対する延面距離を確保できるので、半田付けの際にフラックスの浸入を抑えることができる。
【0022】
また、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子部はハウジング側面から導出された端子導出部を上方に折り曲げてなることにより、ハウジング側面からの導出方向に対する半田付け強度を確保しつつ、半田付けの目視確認が容易となる。
【0023】
さらに、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子補強部は前端子部の半田付け面の一部を押釦側に露出させてなることにより、前端子部のハウジング側面からの導出方向及びそれと直交する方向の両方の向きに対する半田付け強度を向上させることができるので、端子部を小型化しても充分な半田付け強度を確保することができる。すなわち、押釦スイッチの小型化を図ることができる。
【0024】
さらにまた、本発明に係る押釦スイッチによれば、前端子部の半田付け面は前端子部のハウジング側面からの導出方向に対し傾斜する、または平行な折り曲げ線で上方に折り曲げることで半田付け面の一部を押釦側に露出させて端子補強部を形成してなることにより、前端子部の半田付け面の一部を容易にハウジングの前面に露出させることができる。
【0025】
そして、本発明に係る押釦スイッチによれば、端子補強部は前端子部の先端部を切欠いて半田付け面の端面長さを長くしてなることにより、半田付け面の取付強度を向上させることができる。
【0026】
また、本発明に係る押釦スイッチによれば、前端子部はハウジングの後側に幅広に形成され、後端子部はハウジングの前側に幅広に形成されてなることにより、半田付け面を大きく確保できると共に、共通の帯状金属材から固定接点を含めた前端子部と後端子部を効率よく材料取りすることができるので、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施形態について図面に添って詳細に説明する。図1は本実施形態における押釦スイッチの平面図、図2は押釦スイッチの正面図、図3は押釦スイッチの底面図、図4は図1のA−A断面図である。これら各図に示すように、本実施形態における本実施形態における押釦スイッチ1は押釦2と接点部10とを収容するハウジング3と、接点部10に導通すると共にハウジング3の側面4から外方に導出する端子部15とを有し、押釦2の操作により、スイッチの切り替えを行うものである。本実施形態の押釦スイッチは、押釦2が基板に対して水平方向に操作可能な横押し型である。
【0028】
ハウジング3は、図1及び図2に示すように、略方形の箱状に形成され、樹脂等の絶縁材料から成形される。ハウジング3には、図3に示すように、押釦2と接点部10が収容されており、押釦2を前後方向に移動させることにより、各接点部10が当接又は離隔してオンオフの切り替えを行うことができる。ここで、ハウジング3の上面6には、中央部よりハウジング3内に切り下げられて、後述する可動接点14と対向する傾斜片7が形成される。
【0029】
傾斜片7は、図4に示すように、水平方向に操作可能な押釦2を下方に移動させるものであり、ハウジング3の上面6にU字状の切欠きを設け、この切欠きに囲まれた部分を下方に折り曲げることによって形成される。本実施形態では、傾斜片7をハウジング3の上面6を折り曲げて形成したが、例えばハウジング3の上面6からぶら下げるように取付ける等、本実施形態には限定されない。
【0030】
スイッチ操作を行う押釦2は樹脂材料から成形され、ハウジング3の上部に配置される。そして、先端に後述する可動接点14と接触する接触部2aを有し、作動部2bを介してハウジング3の前面から外方に露出した押圧部2cを有する。押圧部2cをハウジング3の内方に押圧することによって、接触部2aが傾斜片7と摺動して下方に案内され、後述するクリックばねを兼用する可動接点14を下方に押圧し反転させることで各接点部が当接してクリック感触の発生とスイッチの切り替えを行う構成とする。
【0031】
ハウジング3に収容される接点部10は、図3に示すように固定接点11と可動接点14とから構成される。固定接点11は、上面が凸状に形成された略円形状の中央接触部12aを有する中央固定接点12と、中央固定接点12を左右方向に挟む対称位置に、上面が凸状に形成された略矩形状の周辺接触部13a、13aを有する周辺固定接点13とからなる。図5は本実施形態における固定接点11の形状について示した正面図である。
【0032】
中央固定接点12は金属等の導電性材料から板状に形成され、図4及び図5に示すように、中央接触部12aと導通し、ハウジング3の前面に向かって直線的に延びる中央連結部12bと、中央連結部12bに略直交して導通し、ハウジング3の左右両側方へ直線的に延びる前接続片12cとを有する。
【0033】
同様に周辺固定接点13は金属等の導電性材料から形成され、各周辺接触部13cと導通し、中央連結部12bとは反対方向に延びる周辺連結部13bと、周辺連結部13bと導通し、ハウジング3の左右両側方へ直線的に延びる後接続片13cとを有する。すなわち、前接続片12cと後接続片13cは互いに略平行に設けられる。
【0034】
各固定接点11は、ハウジング3の内底面に中央接触部12aと周辺接触部13a、13aとを露出させてインサート成形されて固定されることにより、ハウジング3に内包されて固定される。そして、各接続片12c、13cの両端にはそれぞれ、ハウジング3の左右両側面4、4から突出して露出する端子部15、15が設けられる。すなわち、ハウジング3の両側面4、4からは中央固定接点12と導通する前端子部15a、15aと、周辺固定接点と導通する後端子部15b、15bが前後一対ずつ導出される。図6に端子部15周辺の拡大底面図を示す。
【0035】
図5及び図6に示すように、端子部15は両接続片12c、13cとの端部に段部23をそれぞれ有しており、段部23によって一端曲げ下げられて、その先はハウジング3の下面5と略平行となっている。すなわち、端子部15はそれぞれハウジング3下面5に露出する露出面24を有しており、ハウジング3下面5に沿ってハウジング3側面5から導出される。本実施形態では、前端子部15aの段部23をハウジング3の内部の所定位置とし、後端子部15bの段部23をハウジング3の側面4近傍とした。すなわち、前端子部15aは後端子部15bよりもハウジング3の内側から導出される。
【0036】
ハウジング3から導出される端子部15の下面は、基板50上に取付けられる半田付け面16であり、押釦スイッチ1全体が基板50と半田付け部16との接合により固定される。すなわち、ハウジング3の下面5に露出する露出面24も基板50に対する半田付け面16である。また、前端子部15aはハウジング3の後側に幅広に、後端子部15bはハウジング3の前側に幅広に、それぞれ形成されており、半田付け面16の拡大が図られている。
【0037】
押釦2に近い側に配置された前端子部15aは、押釦2操作により後端子部15bよりも大きな荷重がかかる。このため、前端子部15aには、後端子部15bよりも基板50に対する半田付け強度を大きくする端子補強部17が形成される。
【0038】
半田付け強度は半田付け面16の大きさに比例する。すなわち、端子補強部17は前端子部15aの露出面16aのうち、後端子部15bよりハウジング3の内側に有する部分である。図7は本実施形態における端子部15を基板50に取り付けた状態を示す断面図であり、図7(a)は前端子部15aと基板50との関係を示した断面図、図7(b)は後端子部15bと基板50との関係を示した断面図である。
【0039】
図7に示すように、前端子部15aは半田付け面16が後端子15bの半田付け面16よりもハウジング3下面5の内側から形成されて端子補強部17が形成されるので、後端子部15bに対して端子補強部17の分だけ基板50に強固に取り付けることができる。
【0040】
また、前端子部15aと後端子部15bのハウジング3の側面4からの導出量は同じであるから、ハウジング3からの導出量を大きくすることなく、前端子15aの基板50に対する半田付け強度を向上させることができる。すなわち、端子部15自体を小型化しても、押釦2による操作荷重が特にかかる前端子部15aの半田付け強度を確保することができ、押釦スイッチ1全体を小型化することができる。また、段部23はプレス加工により容易に形成することができる。
【0041】
前端子部15aはハウジング3の略中央に配置される中央固定接点12に導通し、後端子部15bは中央固定接点12をハウジング3の左右方向に挟むように配置される周辺固定接点13に導通する。すなわち、中央固定接点12は周辺固定接点13よりも端子部15に対して離れた位置に配置されているので、中央固定接点12と導通する前端子部15aを後端子部15bに比べ、よりハウジング3の内方まで半田付け面16を形成することができる。
【0042】
これにより、前端子部15aを後端子部15bよりもハウジング3下面5の内側から導出させて端子補強部17を形成しても、中央固定接点12までの距離を確保することができる。すなわち、前端子部15aの基板50に対する半田付け強度を向上させることができると共に、固定接点11へのフラックスの侵入を防止することができる。
【0043】
本実施形態では端子部15は、ハウジング3側面4から直線的に導出させる形状としたが、図8に示すように、端子部15の先端を上方に折り曲げる形状としてもよい。これにより、端子部15の基板50に対する半田付け強度を確保しつつ、半田付けの目視確認が容易となる。
【0044】
また、ハウジング3は、図3及び図4に示すように、周辺固定接点13の周辺接触部13aに外周下端を当接させて配置された可動接点14を備えている。可動接点14は金属等の導電性材料からなり、弾性を有する円形ドーム状に形成される。可動接点14の上部には、下面に粘着剤が塗布された可撓性を有する略円形の絶縁フィルム30が固着されている。この絶縁フィルム30は可動接点14の中央頂点部14aにも固着されており、円形ドーム状の可動接点14をハウジング3内の所定位置に保持すると共に、スイッチ接点部分に対する粉塵、フラックス等の侵入を防止する。
【0045】
そして、この絶縁フィルム30の上部に押釦2が配置され、押釦2の操作によって絶縁フィルム30を介して可動接点14を押圧する。なお、本実施形態では可動接点14の形状を円形としているが、特にこれに限られるものではなく、例えば八角形、方形等、他の形状でもよい。
【0046】
次に第2の実施形態について説明する。図9は本実施形態における押釦スイッチ1の平面図である。本実施形態における押釦スイッチ1は、第1の実施形態と同様、押釦2と接点部10とを収容するハウジング3と、接点部10に導通すると共にハウジング3の側面4から外方に向かって導出する端子部15とから構成されており、前端子部15aを後端子部15bよりも基板50に対する半田付け強度を大きくする端子補強部17の形状が第1の実施形態とは異なる。
【0047】
図9に示すように、本実施形態におけるハウジング3の側面4から導出された前後一対の端子部15、15のうち前端子部15aには、その先端に端子補強部17が形成される。端子補強部17は、前端子部15aの先端角部20を上方に折り曲げることによって形成される。すなわち、前端子部15aの先端角部20が上方に曲げ起こされて、半田付け面16が押釦2側に露出した状態となる。
【0048】
図10は端子補強部17の形成について示した図であり、図10(a)は端子補強部17の形成前、図10(b)は端子補強部17の形成後について示した平面図、図11は図10(b)のB−B断面図である。端子補強部17は、前端子部15aの先端角部20において図10(a)に示す折り曲げ線18で上方に折り曲げることによって形成される。折り曲げ線18は、前端子部15aのハウジング3からの導出方向に対して傾斜する方向とし、この折り曲げ線18に沿って前端子部15a先端を上方に曲げ起こすことによって、図10(b)に示すように端子補強部17が形成される。
【0049】
また、図11に示すように、端子補強部17の曲げ角度θは90度より小さい角度とする。曲げ角度θを90度より小さい角度としたことで、端子補強部17と基板50との間に空間部19を形成することができる。このため、図12に示すように、この空間部19に半田40を充填することによって、端子補強部17の基板50に対する半田付け強度を充分に確保することができる。
【0050】
折り曲げ線18をハウジング3からの導出方向に対して傾斜する方向として、端子補強部17を形成することにより、端子補強部17の半田付け面16は、端子部15のハウジング3からの導出方向及びそれと直交する方向である押釦側を向いた形状となる。このため、前端子部15aの端子補強部17を基板50に半田付けすることで、前端子部15aのハウジング3からの導出方向及びそれと直交する方向の両方の向きに対して半田付けすることができる。
【0051】
すなわち、前端子部15aに端子補強部17を形成することによって、前端子部15aのハウジング3からの導出方向及びそれと直交するハウジング3の前後方向の向きに対する半田付け強度を向上させることができ、前端子部15aの基板50に対する取付強度を向上させることができる。このため、端子部15自体を小型化しても、押釦2操作による操作荷重が大きくかかる前端子部15aの基板50に対する半田付け強度を充分に確保することができ、スイッチ1全体の小型化を図ることができる。
【0052】
次に第3の実施形態について説明する。図13は本実施形態における押釦スイッチ1の平面図である。本実施形態における押釦スイッチ1は、第2の実施形態と同様、押釦2と接点部10とを収容するハウジング3と、接点部10に導通すると共にハウジング3の側面4から外方に向かって導出する端子部15とから構成されており、前端子部15aに形成される端子補強部17の形状が第2の実施形態とは異なるものである。
【0053】
図13に示すように、本実施形態における前端子部15aには、押釦2側の側部21から上方に延出した端子補強部17が形成される。すなわち、前端子部15aの半田付け面16の一部が押釦2側に露出した状態となる。
【0054】
図14は端子補強部17の形成について示した図であり、図14(a)は端子補強部17の形成前、図14(b)は端子補強部17の形成後について示した平面図である。前端子部15aは、押釦2側の側部21に側板22を有しており、この側部21を折り曲げ線18として側板22を上方に折り曲げることによって端子補強部17が形成される。すなわち、折り曲げ線18は前端子部15aの導出方向と平行となる。また、端子補強部17の曲げ角度を90度より小さい角度とすることで、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
折り曲げ線18をハウジング3からの導出方向に対して平行な方向として、端子補強部17を形成することにより、端子補強部17の半田付け面16は、押釦2側を向いた形状となる。このため、前端子部15aを基板50に半田付けすると、端子補強部17により押釦2の操作方向に対して半田付けすることができ、前端子部15aの基板50に対する半田付け強度を向上させることができる。すなわち、端子部15自体を小型化しても、押釦2操作による操作荷重が大きくかかる前端子部15aの基板50に対する半田付け強度を充分に確保することができ、スイッチ1全体の小型化を図ることができる。
【0056】
次に第4の実施形態について説明する。図15は本実施形態おける押釦スイッチ1の端子部15の拡大平面図である。本実施形態における押釦スイッチ1は、第2又は第3の実施形態と同様、押釦2と接点部10とを収容するハウジング3と、接点部10に導通すると共にハウジング3の側面4から外方に向かって導出する端子部15とから構成されており、前端子部15aに形成される端子補強部17の構成が第2又は第3の実施形態とは異なるものである。
【0057】
図15に示すように、本実施形態では、端子補強部17を前端子部15aの先端部に形成する。端子補強部17は前端子部15aの先端略中央部が切欠状に形成される。これにより、半田付け面16の端面を長くすることができ、端面方向に対する取付強度を大きくすることができる。端子補強部17の端面形状は、押釦2の操作方向及びハウジング3の外方に向いた形状であるため、端子補強部17を基板50に半田付けすることによって、これら各方向に対して半田付け強度を向上させることができる。すなわち、端子部15自体を小型化しても、押釦2操作による操作荷重が大きくかかる前端子部15aの基板50に対する半田付け強度を充分に確保することができ、スイッチ1全体の小型化を図ることができる。本実施形態では、端子補強部17の切欠形状を略半円形状としたが、例えば、三角形状ないし多角形状とするなど、様々な形状に形成することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態におけるハウジング3の形状については略方形状としたが、各接点部10を収容できる形状であれば、底部を略円形状とする等、本実施形態には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態における押釦スイッチの平面図である。
【図2】押釦スイッチの正面図である。
【図3】押釦スイッチの底面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】本実施形態における固定接点の形状を示す正面図である。
【図6】図3の端子部周辺を示す拡大図である。
【図7】端子を基板に取り付けた状態を示す断面図である。
【図8】本実施形態の異なる端子形状の適用について示す断面図である。
【図9】第2の実施形態における押釦スイッチの平面図である。
【図10】第2の実施形態における端子補強部の形成について示す平面図である。
【図11】端子補強部が形成された前端子の断面図である。
【図12】端子補強部が形成された前端子を基板に取り付けた状態を示す断面図である。
【図13】第3の実施形態における押釦スイッチの平面図である。
【図14】第3の実施形態における端子補強部の形成について示す平面図である。
【図15】第4の実施形態における押釦スイッチの端子部の拡大平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 押釦スイッチ
2 押釦
2a 接触部
3 ハウジング
4 側面
5 下面
10 接点部
11 固定接点
12 中央固定接点
12c 前接続片
13 周辺固定接点
13c 後接続片
14 可動接点
15 端子部
15a 前端子部
15b 後端子部
16 半田付け面
17 端子補強部
18 折り曲げ線
19 空間部
20 先端角部
21 側部
22 側板
23 段部
24 露出面
40 半田
50 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点部を収容し基板に取付けられるハウジングと、該ハウジングの一側面から露出し上記基板の面と平行方向に操作可能な押釦とからなり、上記ハウジングは上記接点部と導通した端子部を側面から導出させ、該端子部は上記基板に対する半田付け面を有してなる押釦スイッチにおいて、
上記端子部は上記押釦の操作方向に前後一対ずつ上記ハウジングの側面から導出され、上記押釦から近い側に配置される前端子部は上記押釦から遠い側に配置される後端子部よりも上記基板に対する半田付け強度を大きくする端子補強部を有してなることを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
上記端子補強部は上記前端子部の半田付け面を拡大してなることを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項3】
上記端子部は上記ハウジング下面に露出面を有し、上記前端子部の露出面を上記後端子部の露出面より拡大することで半田付け面を拡大し上記端子補強部を形成してなることを特徴とする請求項2記載の押釦スイッチ。
【請求項4】
上記端子部は上記ハウジング下面から段部を介して半田付け面を備え、上記前端子部の段部は上記後端子部の段部よりも内側に形成されて半田付け面を拡大し上記端子補強部を形成してなることを特徴とする請求項2記載の押釦スイッチ。
【請求項5】
上記接点部は上記ハウジングの略中央に配置される中央固定接点と、該中央固定接点を挟んで上記端子部が導出されるハウジングの側面側に配置される周辺固定接点と、該周辺固定接点上に配置されて中央固定接点と接離自在な可動接点とからなり、上記前端子部は上記中央固定接点と導通し、上記後端子部は上記周辺固定接点と導通することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
【請求項6】
上記端子補強部は上記前端子部の上記ハウジング側面から導出された部分を上方に折り曲げた折り曲げ部により構成されてなることを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項7】
上記折り曲げ部は上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴とする請求項6記載の押釦スイッチ。
【請求項8】
上記端子補強部は上記前端子部の先端近傍を当該前端子部のハウジング側面からの導出方向に対し傾斜する折り曲げ線で上方に折り曲げることで、上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項9】
上記端子補強部は上記前端子部をハウジング側面からの導出方向に対し平行な折り曲げ線で上方に折り曲げることで、上記半田付け面の一部を上記押釦側の外方に露出させてなることを特徴とする請求項1記載の押釦スイッチ。
【請求項10】
上記端子補強部は上記前端子部の先端部を切欠いて上記半田付け面の端面長さを長くしてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
【請求項11】
上記前端子部は上記ハウジングの後側に幅広に形成され、上記後端子部は上記ハウジングの前側に幅広に形成されてなることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−210195(P2006−210195A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22087(P2005−22087)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】