説明

抽出剤としての磁性、イオン液体の使用

本発明は、液液抽出、液固抽出または液ガス抽出のために磁性イオン液体を使用する方法に関し、この方法では相の分離は磁場で起る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出のために、より具体的には液液抽出、液固抽出または液ガス抽出のために、イオン液体、より具体的には磁性イオン液体を使用する方法に関し、この方法では相の分離は磁場で起る。
【背景技術】
【0002】
イオン液体は、広く認められている文献(例えば、Wasserscheid,Peter;Welton,Tom(Eds.);“Ionic Liquids in Synthesis”,Verlag Wiley−VCH 2003年;ISBN 3−527−30515−7;Rogers,Robin D.;Seddon,Kenneth R.(Eds.);“Ionic Liquids−Industrial Applications to Green Chemistry”,ACS Symposium Series 818,2002年;ISBN 0841237891”)の意味の範囲内で、100℃未満の融点を有する、有機カチオンおよび有機または無機のアニオンからなる液体有機塩または液体有機塩混合物である。これらの塩は、その中に溶解した無機塩と、さらには分子アジュバントも付加的に含む場合がある。本願の目的において、イオン液体の融点の任意の100℃限界はもっと広く考えられており、したがって、100℃を超えるが200℃未満の融点を有する溶融塩も含むであろう。これは、溶融塩が別の点ではその特性が相違しないからである。
【0003】
イオン液体は、非常に低いまたはほとんど測定できない蒸気圧、非常に大きな液層領域、良好な電気伝導性および異常な溶媒和特性のような、極めて興味深い特性を有する。これらの特性は、イオン液体を種々の分野の工業的応用に使用することを予め定めるものである。例えば、それらは、溶媒(一般に有機および無機の合成において、遷移金属触媒、バイオ触媒、相転移触媒、多相反応において、光化学において、高分子合成およびナノテクノロジーにおいて)として、抽出剤(一般に液液抽出および液ガス抽出、原油の脱硫、排水からの重金属の除去、液体膜抽出において)として、電解質(蓄電池、燃料電池、コンデンサ、太陽電池、センサにおいて、エレクトロクロミズム、電気メッキにおいて、電気化学金属加工において、一般に電気化学合成において、電気有機合成ナノテクノロジーにおいて)として、潤滑剤として、熱伝達流体として、ゲルとして、有機合成の試薬として、「環境にやさしい」化学(揮発性有機化合物の代替)において、静電気防止剤として、特殊応用の分析(ガスクロマトグラフィー、質量分析、キャピラリーゾーン電気泳動)において、液晶として、等(列挙は完全ではない)として使用され得る。この点において、例えば、“Rogers,Robin D.;Seddon,Kenneth R.(Eds.);Ionic Liquids−Industrial Applications to Green Chemistry,ACS Symposium Series 818,2002年;ISBN 0841237891”および“Wasserscheid,Peter;Welton,Tom(Eds.);Ionic Liquids in Synthesis,Verlag Wiley−VCH 2003年;ISBN 3527305157”を参照することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“Wasserscheid,Peter;Welton,Tom(Eds.);Ionic Liquids in Synthesis,Verlag Wiley−VCH 2003年;ISBN 3527305157”
【非特許文献2】“Rogers,Robin D.;Seddon,Kenneth R.(Eds.);Ionic Liquids−Industrial Applications to Green Chemistry,ACS Symposium Series 818,2002年;ISBN 0841237891”
【非特許文献3】Freemantle,M.;Chem.Eng.News,78,2000年,37頁
【非特許文献4】Hayashi,Satoshi;Hamaguchi,Hiro−o.Chemistry Letters(2004年),33(12),1590〜1591頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、重力および/または遠心力の作用にかかわらず、2つの相の間の密度差にかかわらず、分離することができ、任意の所与の分離の問題に対して化学的および物理的特性において広範に適用することもできる、液体抽出媒体を提供するものとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この目的が、独立請求項の通り、イオン液体の使用、抽出するためのデバイス、抽出する方法および抽出媒体によって達成されることを見出した。さらなる例示的実施形態は、従属請求項に記載する。
【0007】
一例示的態様によれば、抽出のための抽出媒体としてイオン液体の使用が提供され、この抽出は、抽出媒体と磁場との相互作用に基づいて行われる。より具体的には、イオン液体は、200℃未満の融点を有することができる。イオン液体の融点は、好ましくは100℃未満であり、より好ましくは20℃未満である。
【0008】
一例示的態様によれば、供給物から成分を抽出する方法が提供され、この方法は、供給物とイオン液体を含む抽出媒体とを接触させることにより、成分と抽出媒体の抽出物を生成することと、抽出物を磁場によって分離することとを含む。
【0009】
一例示的態様によれば、供給物から成分を抽出するためのデバイスが提供され、このデバイスは、イオン液体を含む、供給物から成分を抽出するための抽出媒体と、抽出物を分離するための磁場を発生させるユニットとからなるデバイスである。より具体的には、イオン液体は常磁性液体であってよい。
【0010】
一例示的態様によれば、常磁性イオン液体を含む、供給物から成分を抽出するための抽出媒体が提供される。
【0011】
ここで、抽出媒体の使用の実施形態を説明する。しかし、実施形態の特徴は、抽出する方法にも、抽出のためのデバイスにも、抽出剤にも当てはまる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一例示的実施形態において、イオン液体は常磁性イオン液体である。
【0013】
常磁性イオン液体は、より具体的には、外部不均一磁場を印加すると、磁場に引き付けられる力を受けるという特性を付加的に有するイオン液体を意味するものとして理解することができ、したがって、常磁性イオン液体は1を越える磁化率を有する。
【0014】
イオン液体のそのような使用に関連して、特殊な抽出の使用に対する特性の最適化は、アニオンおよびカチオンおよび/または様々なこれらの組合せの構造による広い限度内で行われ得るものであり、さらにそれにより、イオン液体は、非常に一般的に「デザイナー溶媒(designer solvent)」という呼び名が付いた(例えば、Freemantle,M.;Chem.Eng.News,78,2000年,37頁参照)。
【0015】
一例示的実施形態において、抽出は、液液抽出または液固抽出または液ガス抽出である。
【0016】
一例示的実施形態において、常磁性イオン液体は、遷移金属化合物を含むアニオンを含む。
【0017】
一例示的実施形態において、常磁性イオン液体は、遷移金属および/または遷移金属化合物を含むカチオンを含む。
【0018】
完全性のために、ここで、IUPAC Rule 1.21によると、遷移金属は、より具体的には、原子番号21〜30、39〜48、57〜80、89〜103、104から仮想の112までの元素であることに留意されたい。
【0019】
一例示的実施形態において、常磁性イオン液体は、一般式[A][M+VV+1、([A][M+VV+22−または([A][M+VV+33−の1つに従い、式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンであり、M+Vは、酸化数+vを有する遷移金属原子であり、Xは、荷電数−1を有するイオンまたはリガンドである。R1’、R、RおよびRは、ここで、以下により具体的に記載する基であってよい。
【0020】
一例示的実施形態において、磁性イオン液体は、非常磁性イオン液体中の常磁性の無機塩および/または有機塩の溶液を含む。すなわち、常磁性イオン液体は、本質的に非常磁性のイオン液体に溶解されまたはそれと混合された常磁性無機塩または常磁性有機塩によって生成され得る。
【0021】
一例示的実施形態において、非常磁性イオン液体は、一般式([A][B]a−に従い、式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンである。R1’、R、RおよびRは、ここで、以下により具体的に記載する基であってよい。
【0022】
一例示的実施形態において、常磁性塩は、200℃未満の融点を有する。より具体的には、常磁性塩は、100℃未満の、好ましくは20℃未満の融点を有することができる。
【0023】
一例示的実施形態において、常磁性イオン液体は、イオン液体中の常磁性無機塩および/または常磁性有機塩の溶液を含み、前記常磁性イオン液体は200℃未満の融点を有する。より具体的には、常磁性液体は、100℃未満の、好ましくは20℃未満の融点を有することができる。すなわち、ここで抽出媒体として使用される常磁性イオン液体は、本質的に非常磁性のイオン液体または既に常磁性の液体に溶解されまたはそれらと混合された常磁性無機塩または常磁性有機塩によって生成され得る。
【0024】
常磁性塩は、より具体的には、不均一外部磁場に引き付けられる塩(および分子溶媒中のその溶液)であってよい。その例は、例えば、FeCl、ならびに希土類元素およびアクチニドの多くの化合物である。それらに共通するのは、例えば、「高スピン」錯体中の孤立電子の存在である。
【0025】
磁性液体の例として、いわゆる強磁性流体を挙げることができる。強磁性流体は、純粋の液体ではなく、種々の溶媒中の、ナノ微粒子まで粉砕された強磁性粒子、すなわち数ミクロンから数ナノメートルの範囲のサイズに粉砕された強磁性粒子(固体材料)の懸濁液である。それらは、外部磁場に対して強い応答を有する。
【0026】
磁性イオン液体の公知例は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェレート(III)(Hayashi,Satoshi;Hamaguchi,Hiro−o.Chemistry Letters(2004年),33(12),1590〜1591頁)である。この物質は、χ=40 10−6emu/g(電磁単位)の比較的大きな磁化率を有し、常磁性である。
【0027】
一例示的態様によれば、常磁性イオン液体は、液液抽出、または液固抽出、または液ガス抽出の抽出媒体として使用され、磁場で分離される。
【0028】
本発明の実施形態は、異なる発明主題を参照して記載されてきたし、以下に記載されるということに注意するべきである。より具体的には、本発明の実施形態のいくつかは、デバイスの請求項によって記載され、本発明の他の実施形態は、方法の請求項および使用の請求項によって記載されている。しかし、当業者は、本出願を読んで、別に明確に述べられていなければ、異なる型の発明主題に属する特徴の任意の所望の組合せが、1つの型の発明主題に属する特徴の組合せと同様に可能であることを、直ちに気づくであろう。
【0029】
磁場との常磁性相互作用のための基本的必要条件は、「孤立」電子を有する原子、分子またはイオンの存在である。その可能性は、原理的には、
a.)フリーラジカル
b.)または遷移金属(IUPAC Rule 1.21によると、原子番号21〜30、39〜48、57〜80、89〜103、104から仮想の112までの元素)の化合物である。
【0030】
常磁性イオン液体の例示的実施形態は、以下の構造的特徴を有する:
a.アニオンとしての遷移金属化合物、
b.またはカチオンとしての遷移金属または遷移金属化合物、
c.またはa.および/またはb.の構造的特徴を有するイオン液体中の、もしくは非常磁性イオン液体中の、常磁性の無機塩または有機塩の溶液(常磁性塩は、イオン液体と反応しようがしまいが重要ではない)、
d.またはa.〜c.の構造的特徴を有するイオン液体の任意の所望の混合物。
ここで、c.における非常磁性イオン液体は次の一般式Iに従い、
([A][B]a−(I)
式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンであり、
、R1’、R、Rは、それぞれ独立に水素、任意選択で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
または、R、R1’、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成し、ここでこの環は飽和または不飽和であり、置換または非置換であり、ここでこの鎖はO、S、NHおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく、
[B]a−は、負の荷電のaを有する任意の所望のアニオンであってよい。
【0031】
式の複素環式芳香族は、典型的には5員環または6員環の複素環式芳香族であり、それは少なくとも1つの窒素原子と、さらには酸素原子または硫黄原子を任意選択で含み、置換または非置換であり、および/または縮合し;好ましくは、式IIbの複素環式芳香族は、
【0032】
【化1】

からなる群から選択され、
式中、
Rは、水素、C〜C30−アルキル、C〜C12−シクロアルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C12−シクロアルケニル、C〜C30−アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、言及した最後の7つの基は、1つまたは複数のハロゲン基および/またはC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NRからなる群から選択された1つから3つの基を有することができ、ここでRとRはそれぞれ、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;
、R1’、R、Rはそれぞれ独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
またはR、R1’、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって、環を形成し、ここでこの環は飽和または不飽和であり、置換または非置換であり、ここでこの鎖はO、S、NHおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく;
、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、C〜C30−アルキル、C〜C12−シクロアルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、言及した最後の6つの基は、1つまたは複数のハロゲン基および/またはC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NRからなる群から選択された1つから3つの基を有することができ、ここでRとRはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;または
隣接するR、R、R、R、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成し、ここでこの環は不飽和または芳香族であり、置換または非置換であり、ここでこの基によって形成された鎖は、O、S、N、HおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく、
、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COOR、CO−NRまたはCORであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;好ましくは水素、ハロゲンまたはC〜C−アルキルであり、さらに特定すると、水素またはC〜C−アルキルであり;
[B]a−は、好ましくは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン;ヘキサフルオロリン酸イオン;ヘキサフルオロヒ酸イオン;ヘキサフルオロアンチモン酸イオン;トリフルオロヒ酸イオン;亜硝酸イオン;硝酸イオン;硫酸イオン;硫酸水素イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;アルキル炭酸イオン;アリール炭酸イオン;リン酸イオン;リン酸水素イオン;リン酸二水素イオン;一般式(Va)[BRのテトラ置換ホウ酸イオン(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、フッ素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティック(araliphatic)の炭素含有有機基であり、この基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことができ、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vb)[R−SOの有機スルホン酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vc)[R−OSOの有機硫酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vd)[R−COO]のカルボン酸イオン(式中、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Ve)[PF(C2y+1−z6−xの(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(式中、1=x=6、1=y=8、および0=z=2y+1である);または一般式(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rのイミド(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい)である。
【0033】
一般式(Vi)[R−OPO2−または(Vj)[R−OPO−ORの有機リン酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよく、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことができ、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい)。
【0034】
アニオン[B]a−の荷電「a−」は、「1−」、「2−」または「3−」である。硫酸イオン、リン酸水素イオンおよび炭酸イオンは、負に荷電した2価のアニオンの例として挙げられる。リン酸イオンは、負に荷電した3価のアニオンの例として挙げられる。
【0035】
1〜30の炭素原子を有する、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基の意味を有する場合、テトラ置換ホウ酸イオン(Va)における基R〜R、有機スルホン酸イオン(Vb)および硫酸イオン(Vc)における基R、カルボン酸イオン(Vd)における基Rおよびイミド(Vf)、(Vg)および(Vh)における基R〜Rは、好ましくはそれぞれ独立に、
〜C30−アルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−CO、−CO−Oまたは−CO−N置換成分、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチルまたはC2(n−a)+(1−b)2a+b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である)(例えば、CF、C、CHCH2−(n−2)2(n−2)+l、C13、C17、C1021、C1225);
〜C12−シクロアルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、シクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C30−アルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−CO、−CO−O置換成分、例えば、2−プロペニル、3−ブテニル、cis−2−ブテニル、trans−2−ブテニルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C12−シクロアルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−CO、または−CO−O置換成分、例えば、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロ−ヘキサジエニル、またはCnF2(n−a)−3(1−b)2a−3b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);および
2〜30の炭素原子を有するアリールまたはヘテロアリールおよびそれらのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、フェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC6F(5−a)(式中、0=a=5である)である。
【0036】
アニオン[B]a−がテトラ置換ホウ酸イオン(Va)[BRを含む場合、すべての4つの基R〜Rは好ましくはその中で同一であり、これらの基はそれぞれ、好ましくはフッ素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。特に好ましいテトラ置換ホウ酸イオン(Va)は、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオンおよびテトラ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸イオンである。
【0037】
アニオン[B]a−が有機スルホン酸イオン(Vb)[R−SOまたは有機硫酸イオン(Vc)[R−OSOを含む場合、基Rは、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、p−トリルまたはC19である。特に好ましい有機スルホン酸イオン(Vb)は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフレート)、メタンスルホン酸イオン、ノナデカフルオロノナンスルホン酸イオン(ノナフレート)およびp−トルエンスルホン酸イオンであり;特に好ましい有機硫酸イオン(Vc)は、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、n−プロピル硫酸イオン、i−プロピル硫酸イオン、ブチル硫酸イオン、ペンチル硫酸イオン、ヘキシル硫酸イオン、ヘプチル硫酸イオン、オクチル硫酸イオン、ノニル硫酸イオンおよびデシル硫酸イオンであり、より長い鎖のn−アルキル硫酸イオン;ベンジル硫酸イオン、アルキルアリール硫酸イオンも好ましい。
【0038】
アニオン[B]a−がカルボン酸イオン(Vd)[R−COO]を含む場合、基Rは、好ましくは水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、ヒドロキシフェニルメチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいカルボン酸イオン(Vc)は、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、安息香酸イオン、マンデル酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、フルオロ酢酸イオンである。
【0039】
アニオン[B]a−が(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)[PF(C2y+l−z6−xを含む場合、zは好ましくは0である。z=0、x=3および1=y=4の(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)、具体的には[PF(CF、[PF(C、[PF(Cおよび[PF(Cが特に好ましい。
【0040】
アニオン[B]a−がイミド(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rを含む場合、基R〜Rは好ましくは、それぞれ独立に、水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいイミド(Vf)、(Vg)および(Vh)は、[FC−SO−N−SO−CF、[FC−SO−N−CO−CF、[FC−CO−N−CO−CFおよび基R〜Rがそれぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルであるものである。
【0041】
ここで、常磁性の無機塩または有機塩は、好ましくは、CeS、CeCl、CeF、Ce、CeO、CsO、CrCl、CrCl、CrF、Cr、Cr(SO、CrO、CoBr、CoCl、CoCl2・6O、Co(CN)、CoF、CoI、CoSO、CoS、Co、CoF、Co、CuBr、CuCl、CuCl2・2HO、CuF、CuF2・2O、Cu(OH)、Cu(NO2・3HO、Cu(NO2・6HO、CuO、CuSO、CuSO4・5HO、Dy、Dy、Er、Er(SO3・8HO、Er、EuBr、EuCl、EuF、EuI、EuS、Eu、Eu(SO、GdCl、Gd、Gd(SO3・8HO、Gd、Ho、IrO、FeBr、FeCO、FeCl、FeCl2・4HO、FeF、FeI、FeO、FeSO、FeSO4・O、FeSO4・7O、FeS、FeCl、FeCl3・6HO、FeF、FeF3・3HO、Fe(NO3・9HO、MnBr、MnCO、MnCl、MnCl2・4HO、MnF、Mn(OH)、MnI、MnO、MnSO、MnSO4・O、MnSO4・4O、MnS(a)、MnS(b)、Mn、MnF、Mn、MnO、MoBr、MoCl、MoBr、MoCl、MoO、MoCl、NdF、Nd、Nd(SO、Nd、NiBr、NiCl、NiCl2・6HO、NiF、Ni(OH)、NiI、Ni(NO2・6HO、NiO、NiSO、NiS、Ni、PtF、PuF、PuO、PuF、KFe(CN)、KO、Pr、Pr、ReO、ReS、ReCl、ReO、Rh、RbO、RuCl、RuO、SmBr、SmBr、Sm、Sm(SO3・8HO、Sm、NaCr、TaCl、Tb、Tm、TiBr、TiCl、TiI、TiS、TiBr、TiCl、TiF、Ti、WS、WBr、WCl、UBr、UCl、UH、UI、UBr、UCl、UF、UO、UF、UO、VBr、VCl、VBr、VCl、VF、V、V、VCl、VO、V、Y、Yから、または類似のカチオンおよびアニオン[B]a−を有する無機または有機の遷移金属塩から選択され、これは好ましくは、ヘキサフルオロリン酸イオン;ヘキサフルオロヒ酸イオン;ヘキサフルオロアンチモン酸イオン;トリフルオロヒ酸イオン;亜硝酸イオン;硝酸イオン;硫酸イオン;硫酸水素イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;アルキル炭酸イオン;アリール炭酸イオン;リン酸イオン;リン酸水素イオン;リン酸二水素イオン;一般式(Va)[BRのテトラ置換ホウ酸イオン(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、フッ素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vb)[R−SOの有機スルホン酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vc)[R−OSOの有機硫酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vd)[R−COO]のカルボン酸イオン(式中、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Ve)[PF(C2y+1−z6−xの(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(式中、1=x=6、1=y=8、および0=z=2y+1である);または
一般式(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rのイミド(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい)から選択される。
【0042】
一般式(Vi)[R−OPO2−または(Vj)[R−OPO−ORの有機リン酸イオン(式中、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよく、Rは水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい)。
【0043】
アニオン[B]a−の荷電「a−」は、「1−」、「2−」または「3−」である。硫酸イオン、リン酸水素イオンおよび炭酸イオンは、負に荷電した2価のアニオンの例として挙げられる。リン酸イオンは、負に荷電した3価のアニオンの例として挙げられる。
【0044】
1〜30の炭素原子を有する、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基の意味を有する場合、テトラ置換ホウ酸イオン(Va)における基R〜R、有機スルホン酸イオン(Vb)および硫酸イオン(Vc)における基R、カルボン酸イオン(Vd)における基Rおよびイミド(Vf)、(Vg)、(Vh)における基R〜Rは、好ましくはそれぞれ独立に
〜C30−アルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−CO、−CO−Oまたは−CO−N置換成分、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチルまたはC2(n−a)+(1−b)2a+b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である)(例えば、CF、C、CHCH2−(n−2)2(n−2)+l、C13、C17、C1021、C1225);
〜C12−シクロアルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、シクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C30−アルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、2−プロペニル、3−ブテニル、cis−2−ブテニル、trans−2−ブテニルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C12−シクロアルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロ−ヘキサジエニル、またはCnF2(n−a)−3(1−b)2a−3b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);および
2〜30の炭素原子を有するアリールまたはヘテロアリールおよびそれらのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、フェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC(5−a)(式中、0=a=5である)。
【0045】
アニオン[B]a−がテトラ置換ホウ酸イオン(Va)[BRを含む場合、すべての4つの基R〜Rは好ましくはその中で同一であり、これらの基は、好ましくはフッ素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。特に好ましいテトラ置換ホウ酸イオン(Va)は、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオンおよびテトラ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸イオンである。
【0046】
アニオン[B]a−が有機スルホン酸イオン(Vb)[R−SOまたは有機硫酸イオン(Vc)[R−OSOを含む場合、基Rは、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、p−トリルまたはC19である。特に好ましい有機スルホン酸イオン(Vb)は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフレート)、メタンスルホン酸イオン、ノナデカフルオロノナンスルホン酸イオン(ノナフレート)およびp−トルエンスルホン酸イオンであり;特に好ましい有機硫酸イオン(Vc)は、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、n−プロピル硫酸イオン、i−プロピル硫酸イオン、ブチル硫酸イオン、ペンチル硫酸イオン、ヘキシル硫酸イオン、ヘプチル硫酸イオン、オクチル硫酸イオン、ノニル硫酸イオンおよびデシル硫酸イオンであり、より長い鎖のn−アルキル硫酸イオン;ベンジル硫酸イオン、アルキルアリール硫酸イオンも好ましい。
【0047】
アニオン[B]a−がカルボン酸イオン(Vd)[R−COO]を含む場合、基Rは、好ましくは水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、ヒドロキシフェニルメチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいカルボン酸イオン(Vc)は、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、安息香酸イオン、マンデル酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、フルオロ酢酸イオンである。
【0048】
アニオン[B]a−が(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)[PF(C2y+l−z6−xを含む場合、zは好ましくは0である。z=0、x=3および1=y=4の(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)、具体的には[PF(CF、[PF(C、[PF(Cおよび[PF(Cが特に好ましい。
【0049】
アニオン[B]a−がイミド(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rを含む場合、基R〜Rは好ましくは、それぞれ独立に、水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルまたは分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいイミド(Vf)、(Vg)および(Vh)は、[FC−SO−N−SO−CF、[FC−SO−N−CO−CF、[FC−CO−N−CO−CFであり、基R〜Rがそれぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルであるもの、
またはカチオンおよびアニオン[B]a−に類似の中心原子を有する無機もしくは有機錯体の遷移金属塩、またはF、Cl、Br、I、CN、SCNシクロペンタジエニル、芳香族、キレート剤、またはリガンドとしての他のアニオンもしくは分子、またはこれまで記載したすべての遷移金属塩の混合物であり、例えば
【0050】
【化2】

の場合のような遷移金属塩が反応して錯体を形成するか、または例えば
【0051】
【化3】

の場合のような遷移金属塩が単に物理的に溶解するかは重要ではなく、
ここで、a.における常磁性イオン液体は次の一般式に従い、
[A][M+VV+1または([A][M+VV+22−または([A][M+VV+33−
式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンであり、
、R1’、R、Rは、それぞれ独立に水素、任意選択で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり;
または
、R1’、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成し、ここでこの環は飽和または不飽和であり、置換または非置換であり、ここでこの鎖はO、S、NHおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく、
+vは、酸化数+vを有する遷移金属原子であり、
Xは、荷電数−1を有するイオンもしくはリガンドである。
【0052】
式の複素環式芳香族は、典型的には5員環または6員環の複素環式芳香族であり、それは少なくとも1つの窒素原子と、さらには酸素原子または硫黄原子を任意選択で含み、置換または非置換であり、および/または縮合し;好ましくは、複素環式芳香族は、
【0053】
【化4】

からなる群から選択され、
式中、
Rは、水素、C〜C30−アルキル、C〜C12−シクロアルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C12−シクロアルケニル、C〜C30−アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、言及した最後の7つの基は、1つまたは複数のハロゲン基および/またはC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NRからなる群から選択された1つから3つの基を有することができ、ここでRとRはそれぞれ、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;
、R1’、R、Rはそれぞれ独立に、水素、任意選択で置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはヘテロアリールであり;
またはR、R1’、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって、環を形成し、ここでこの環は飽和または不飽和であり、置換または非置換であり、ここでこの鎖はO、S、NHおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく;
、R、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、C〜C30−アルキル、C〜C12−シクロアルキル、C〜C30−アルケニル、C〜C12−シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、言及した最後の6つの基は、1つまたは複数のハロゲン基および/またはC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NRからなる群から選択された1つから3つの基をすることができ、ここでRとRはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;または
隣接するR、R、R、R、R、Rのうちの2つは、それらが結合しているヘテロ原子と一緒になって環を形成し、ここでこの環は不飽和または芳香族であり、置換または非置換であり、ここで当該基によって形成された鎖は、O、S、N、NHおよびN−C〜C−アルキルからなる群から選択された1つまたは複数のへテロ原子によって割り込まれてよく、
、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COOR、CO−NRまたはCORであり、ここでRおよびRはそれぞれ独立に、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルまたはベンジルであり;
好ましくは、水素、ハロゲンまたはC〜C−アルキルであり、さらに特定すると、水素またはC〜C−アルキルであり;
+vは、遷移金属元素から選択され、好ましくは、元素Ce、Cs、Cr、Co、Cu、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、Ir、Fe、Mn、Mo、Nd、Ni、Pt、Pu、Pr、Re、Rh、Rb、Ru、Sm、Ta、Tb、Tm、Ti、W、U、V、およびYから、より好ましくは酸化物の状態で、Ce+2、Ce+3、Ce+4、Cs+1、Cr+2、Cr+3、Cr+6、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Dy+3、Er+2、Eu+3、Eu+3、Gd+2、Gd+3、Ho+2、Ho+3、Ir+4、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Mo+2、Mo+3、Mo+4、Mo+5、Nd+2、Nd+3、Ni+2、Ni+3、Pt+4、Pu+4、Pu+6、Pr+2、Pr+3、Re+4、Re+5、Re+6、Rh+2、Rh+3、Rb+4、Ru+3、Ru+4、Sm+2、Sm+3、Ta+5、Tb+3、Tm+3、Ti+2、Ti+3、W+4、W+5、U+3、U+4、U+6、V+2、V+3、V+4、V+5、Y+2およびY+3から選択される。
【0054】
v+1、v+2およびv+3のイオンまたはリガンドXの1つ1つは、好ましくは
フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン;ヘキサフルオロヒ酸イオン;ヘキサフルオロアンチモン酸イオン;トリフルオロヒ酸イオン;亜硝酸イオン;硝酸イオン;硫酸イオン;硫酸水素イオン;炭酸イオン;炭酸水素イオン;アルキル炭酸イオン;アリール炭酸イオン;リン酸イオン;リン酸水素イオン;リン酸二水素イオン;一般式(Va)[BRのテトラ置換ホウ酸イオン(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、フッ素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vb)[R−SOの有機スルホン酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vc)[R−OSOの有機硫酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vd)[R−COO]のカルボン酸イオン(式中、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Ve)[PF(C2y+1−z6−xの(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(式中、1=x=6、1=y=8、および0=z=2y+1である);または
一般式(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rのイミド(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい);
一般式(Vi)[R−OPO2−または(Vj)[R−OPO−ORの有機リン酸イオン(式中、Rは、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよく、Rは、水素、または飽和もしくは不飽和、非環式もしくは環式、脂肪族、芳香族もしくはアラリファティックの炭素含有有機基であり、その基は、1〜30の炭素原子を有し、1つまたは複数のヘテロ原子を含むことでき、および/または1つまたは複数の官能基またはハロゲンによって置換されていてよい)
から互いに独立して選択され、
1〜30の炭素原子を有する、飽和または不飽和、非環式または環式、脂肪族、芳香族またはアラリファティックの炭素含有有機基の意味を有する場合、テトラ置換ホウ酸イオン(Va)における基R〜R、有機スルホン酸イオン(Vb)および硫酸イオン(Vc)における基R、カルボン酸イオン(Vd)における基Rおよびイミド(Vf)、(Vg)および(Vh)における基R〜Rは、好ましくはそれぞれ独立に、
〜C30−アルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−CO、−CO−Oまたは−CO−N置換成分、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチルまたはC2(n−a)+(1−b)2a+b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である)(例えば、CF、C、CHCH2−(n−2)2(n−2)+l、C13、C17、C1021、C1225);
〜C12−シクロアルキルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、シクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C30−アルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、2−プロペニル、3−ブテニル、cisー2ブテニル、trans−2−ブテニルまたはCnF2(n−a)−(1−b)2a−b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);
〜C12−シクロアルケニルおよびそれらのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロ−ヘキサジエニル、またはC2(n−a)−3(1−b)2a−3b(式中、n=30、0=a=nおよびb=0または1である);および
2〜30の炭素原子を有するアリールまたはヘテロアリールおよびそれらのアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、ホルミル、−O、−COまたは−CO−O置換成分、例えば、フェニル、2−メチルフェニル(2−トリル)、3−メチルフェニル(3−トリル)、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−フェニルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC(5−a)(式中、0=a=5である)から互いに独立して選択される。
【0055】
Xがテトラ置換ホウ酸イオン(Va)[BRを含む場合、すべての4つの基R〜Rは好ましくはその中で同一であり、これらの基はそれぞれ、好ましくはフッ素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルである。特に好ましいテトラ置換ホウ酸イオン(Va)は、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオンおよびテトラ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル] ホウ酸イオンである。
【0056】
Xが有機スルフォネート(Vb)[R−SOまたは有機スルホン酸イオン(Vc)[R−OSOを含む場合、基Rは、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、p−トリルまたはC19である。特に好ましい有機スルホン酸イオン(Vb)は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフレート)、メタンスルホン酸イオン、ノナデカフルオロノナンスルホン酸イオン(ノナフレート)およびp−トルエンスルホン酸イオンであり;特に好ましい有機硫酸イオン(Vc)は、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、n−プロピル硫酸イオン、i−プロピル硫酸イオン、ブチル硫酸イオン、ペンチル硫酸イオン、ヘキシル硫酸イオン、ヘプチル硫酸イオン、オクチル硫酸イオン、ノニル硫酸イオンおよびデシル硫酸イオンであり、より長い鎖のn−アルキル硫酸イオン;ベンジル硫酸イオン、アルキルアリール硫酸イオンも好ましい。
【0057】
Xがカルボン酸イオン(Vd)[R−COO]を含む場合、基Rは、好ましくは水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、ヒドロキシフェニルメチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいカルボン酸イオン(Vc)は、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、酸イオン(Vc)は、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、マンデル酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、フルオロ酢酸イオンである。
【0058】
Xが(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)[PF(C2y+l−z6−xを含む場合、zは好ましくは0である。z=0、x=3および1=y=4の(フルオロアルキル)フルオロリン酸イオン(Ve)、具体的には[PF(CF、[PF(C、[PF(Cおよび[PF(Cが特に好ましい。
【0059】
Xがイミド(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−Rまたは(Vh)[R−CO−N−CO−Rを含む場合、基R〜Rは好ましくは、それぞれ独立に、水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルまたは分岐もしくは非分岐のC〜C12−アルキルであり、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。特に好ましいイミド(Vf)、(Vg)および(Vh)は、[FC−SO−N−SO−CF、[FC−SO−N−CO−CF、[FC−CO−N−CO−CFであり、基R〜Rがそれぞれ独立に水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルであるイミドである。
【0060】
Xはそれぞれ、次の錯体リガンドの群:
アセチルアセトン;アシル;アデニン;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;アラニン;アリル;アリルオキシカルボニル;水;アリール;アルギニン;アスパラギン;アスパルテート;BIABN;ビオチニル;2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル;2,2’−ビナフチルジフェニルジホスフィン;1,2−ビス[4,5−ジヒドロ−3H−ビナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ]ベンゼン;1,1’−ビス{4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ}フェロセン;4,4’−ジ−tert−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビス−3H−ジナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピン;BINAL;4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフェピン;2,2’−ビナフチルジオール;ビス−tert−ブチル−ビピリジン;ベンジルメチルフェニルホスフィン;ベンジル;tertブトキシカルボニル;ビス(2−((S)−4−イソプロピル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;ビス(2−((S)−4−tert−ブチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;1,2−ビス(2,5−ジエチルホスホラノ)エタン;ブトキシカルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−ジフェニルホスフィノメチルピロリジン;2,2’−ビピリジン;ベンゾイル;ベンジルオキシカルボニル;CO;シクロヘプタトリエニル;シトルリン;シトレート;シアニド;シクロオクタジエン;シクロオクタテトラエン;シクロペンタジエニル;ペンタメチルシクロペンタジエニル;シクロヘキシル;シチジン;システイン;シトシン;ジベンジリデンアセトン;O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;(1R,2R)−ビス[(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィノ]エタン;4−ジメチルアミノピリジン;ジメチルグリオキシムジピバロイルメタネート;デス−マーチンペリオジナン;1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラアセテート;ジフェニルホスフェニルエタン;ジフェニルホスフェニルメタン;ジフェニルホスフェニルプロパン;デオキシリボース;ジエチレントリアミンペンタアセテート;ビス(2,5−ジメチルホスフォラノ)ベンゼン;エチレンジアミンテトラアセテート;エチレンジアミン;フルオレニルメトキシカルボニル;7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロオクタン−4,6−ジオナト;ガラクトース;ガラクトサミン;N−アセチルガラクトサミン、グリコリル;グルコース;グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルタミン、グルタメート、グリシン、グアニン;グアノシン;ヘモグロビン;ヘキサフルオロアセチルアセトネート;ヒスチジン;ヘキサメチルホスホルアミド;ヒドロキシプロリン;イソロイシン;ロイシン;リジン;2,2’−ビス[(N,N−ジメチルアミノ)(フェニル)メチル]−1,1’−ビスジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン;ミオグロビン;メチオニン;メテモグロビン;メトミオグロビン;3,5−ジオキサ−4−ホスファシクロヘプタ[2,1−a:3,4−a’]ジナフタレン−4−イル)ジメチル−アミン;メチルフェニルン−プロピルホスフィン;メチルスルフォン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−;ノイラミン酸;N−アセチルノイラミン酸;N−グリコリルノイラミン酸;2,3−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン;ニトリロ三酢酸;オルニチン;サクシネート;オキサレート;フェニルo−アニシルメチルホスフィン;フタロシアニン;フェニルアラニン;フェナンスロリン;ピコリルアミン;ピペリジン;p−ニトロ安息香酸;ポルフィリン;プロリン;ピリジル;PYBOX;ピログルタメート;ピラジン;リボース;サルコシン;サレン;セリン;スクシニル;1,4,7−トリアザシクロノナン;tert−ブチルジメチルシリル;タルトレート;テルピリジン;チミジン;トレオニン;チミン;テトラメチルエチレンジアミン;トリメシン酸;トリス(ピラゾリル)ボレート;トリフェニルホスファン;トリプトファン;チロシン;テトラゾール;ユビキチン;ウラシル;ウリジン;バリンから独立に選択することもでき、ここで、遷移金属カチオンを有するb.に記載した常磁性イオン液体と、c.に記載した常磁性塩が、200℃未満の、好ましくは100℃未満の、より好ましくは20℃未満の融点を有するならば、それらは本質的に一致する。なぜなら、さもなければ、cに記載されているように、高い融点は溶解することによってのみ補償され得るからである。
【0061】
これらの構造的特徴は、常磁性挙動、すなわち外部磁場との求引性の相互作用に対する必要な基本的前提であるが、十分ではない:遷移金属化合物は、そうではなく必ずしも常磁性でないことも可能である。なぜなら、孤立した電子によって占められている遷移金属原子の軌道は、例えば錯体リガンド電子によって完全に占められ得るので、常磁性は消失する(「低スピン錯体」)からである。
【0062】
さらに、これらの常磁性イオン液体には、さらなる官能基を付与することもでき、および/または特殊な抽出問題に対してその物理化学特性を適合させるために、それに添加物を混合することもできる。
【0063】
磁場は、永久磁石または電磁石で導入することができ、この場合超電導電磁石を使用することもできる。導入した場の形状は、相分離の空間条件を正確に規定するのに使用することができ、場の強さは、速度を調節するのに使用することができる。
【0064】
液液抽出の場合、2つの相の間の密度差がゼロに等しいときにでもまだ抽出は可能である。このことは、ゼロ重力空間における航空宇宙応用も許容する。
【0065】
固液抽出の場合、密度が同じときでもろ過を使用せずに同様に分離が達成され得る。液ガス抽出の場合、相分離は加速することができ、エアロゾルでも有効に分離可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出のための抽出媒体としてのイオン液体の使用であって、抽出物が抽出媒体と磁場との相互作用に基づいて分離される使用。
【請求項2】
前記イオン液体が常磁性イオン液体である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抽出が液液抽出または液固抽出または液ガス抽出である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記常磁性イオン液体が遷移金属化合物を含むアニオンを含む、請求項2または3に記載の使用。
【請求項5】
前記常磁性イオン液体が、遷移金属および/または遷移金属化合物を含むカチオンを含む、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記常磁性イオン液体が以下の一般式の1つに従い、
[A][M+VV+1
([A][M+VV+22−または
([A][M+VV+33−
式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンであり、
+Vは酸化数+vを有する遷移金属原子であり、Xは荷電数−1を有するイオンまたはリガンドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記常磁性イオン液体が、非常磁性イオン液体中の常磁性の無機塩および/または有機塩の溶液を含む、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記非常磁性イオン液体が次の一般式に従い、
([A][B]a−
式中、[A]は、第4級アンモニウムカチオン[R1’N]、ホスホニウムカチオン[R1’P]、スルホニウムカチオン[R1’S]または複素環式芳香族カチオンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記常磁性塩が、200℃未満の融点を有する、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
前記常磁性イオン液体が、イオン液体中の常磁性無機塩および/または常磁性有機塩の溶液を含み、前記常磁性イオン液体が、200℃未満の融点を有する、請求項2乃至6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
供給物から成分を抽出する方法であって、
前記供給物とイオン液体を含む抽出媒体とを接触させることにより、前記成分と前記抽出媒体の抽出物を生成すること、および
前記抽出物を磁場によって分離すること
からなる方法。
【請求項12】
供給物から成分を抽出するためのデバイスであって、
イオン液体を含む、供給物から成分を抽出するための抽出媒体、および
抽出物を分離するための磁場を発生させるユニット
からなるデバイス。
【請求項13】
前記イオン液体が常磁性液体である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
常磁性イオン液体を含む、供給物から成分を抽出するための抽出媒体。

【公表番号】特表2011−506088(P2011−506088A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538701(P2010−538701)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067731
【国際公開番号】WO2009/080648
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(510171829)プロイオニック プロダクション オブ イオニック サブスタンシス ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (1)
【Fターム(参考)】