説明

抽選装置

【課題】ボールなどの抽選用媒体を用いて物理的抽選ゲームを行う抽選装置において、全体構造の簡素化を図りつつ、多様な抽選ゲームを実行可能とする。
【解決手段】重力の作用により移動可能な抽選用媒体(ボールb2)を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置6であって、ボールb2を移動させる移動面611、およびボールb2を収容し得る入賞部613a、を有する抽選フィールド61と、水平面に対する上記移動面の傾きを変更させることにより、上記抽選用媒体を上記移動面の傾斜角度の低位側に向かって移動させる傾斜角度変更手段63と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームセンタなどに設置されるアーケード型のゲーム機に用いるのに適した抽選装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケード型のゲーム機としては、メダルを所定のメダルゲームフィールド内に投入してゲームを行わせるものがある。このようなゲーム機においては、メダルを用いて単純なゲームを進行させるだけではなく、メダルゲームの進行状況に応じて、たとえばボールを利用した抽選ゲームを行わせることにより、ゲームを複雑化し、その興趣を高めるようにしたものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたゲーム機においては、所定の条件を満たしたときに抽選ゲームを実行する抽選装置(ボーナスフィールド部BF)が設けられている。特許文献1の図4に表れているように、ボーナスフィールド部(BF)は、抽選用媒体としてのボール(B2)を移動させるためのすり鉢状のボーナスゲーム盤面(41)と、ボーナスゲーム盤面(41)に設けられた複数のバンパー(42)と、ボーナスゲーム盤面(41)の外周を囲むフェンス(43)とを有する。各バンパー(42)は、ボール(B2)の衝突を検知する検出部と、当該ボール(B2)を弾き飛ばす押出部材とを有する。上記検出部によってボール(B2)の衝突を検知すると、上記押出部材を駆動するためのソレノイドが作動し、ボール(B2)がバンパー(42)から弾き飛ばされる。なお、ボーナスゲーム盤面(41)の外周の所定部位には、アウトゾーン(A2)が設けられている。
【0004】
ボーナスフィールド部(BF)において抽選ゲームを行う際には、アウトゾーン(A2)に隣接するボール投入部(21)からボーナスゲーム盤面(41)にボール(B2)が投入される。投入されたボール(B2)がバンパー(42)への衝突を繰り返すと、当該衝突の度に所定の配当(特許文献1では所定枚数のメダルの払い出し)が発生する。このような配当の発生は、ボール(B2)がアウトゾーン(A2)に収容されるまでの間、継続する。ボーナスフィールド部(BF)において行われる抽選ゲームでは、バンパー(42)への不定回数のボール(B2)の衝突によって、配当が変動する。したがって、上記構成によれば、ボール(B2)の多様な動きによって、変化に富んだ抽選ゲームを行うことができる。
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、複数のバンパー(42)は、それぞれ、ボール検知用のセンサ部とボールを弾き飛ばすための機構とを有する。このため、抽選装置の全体構造が複雑となる傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−194200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、ボールなどの抽選用媒体を用いて物理的抽選ゲームを行う抽選装置において、全体構造の簡素化を図りつつ、多様な抽選ゲームを実行可能とすることをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
本発明によって提供される抽選装置は、重力の作用により移動可能な抽選用媒体を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置であって、上記抽選用媒体を移動させる移動面、および上記抽選用媒体を収容し得る少なくとも1つの入賞部、を有する抽選フィールドと、水平面に対する上記移動面の傾きを変更させることにより、上記抽選用媒体を上記移動面の傾斜角度の低位側に向かって移動させる傾斜角度変更手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記入賞部は、傾斜姿勢をとる上記移動面の低位側に設けられている。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記移動面上を移動する上記抽選用媒体の動きに変化を与える変化付与手段を備える。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記傾斜角度変更手段は、上記移動面を、第1方向の一方側が低位となるように傾斜する第1姿勢と上記第1方向の他方側が低位となるように傾斜する第2姿勢とをとらせるように構成される。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記入賞部は、上記移動面上に設けられている。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記入賞部は、上記移動面が上記第1姿勢をとるときに低位となる第1入賞部と、上記移動面が上記第2姿勢をとるときに低位となる第2入賞部と、を含む。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記変化付与手段は、上記移動面上に設けられ、かつ上記第1入賞部と上記第2入賞部とを結ぶ線分上に位置する突部または凹部を含む。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記変化付与手段は、上記入賞部の近傍に設けられ、上記移動面上を移動する上記抽選用媒体を上記移動面の高位に向けて弾き返すための抽選用媒体弾き返し機構を含む。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記傾斜角度変更手段によって上記移動面の傾斜姿勢を変更することにより、複数のサテライトにおいて共用される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、傾斜角度変更手段によって、水平面に対する移動面の傾斜角度を変更することにより、抽選用媒体が抽選フィールドに投入されてからたとえば低位側に設けられた入賞部に収容されるまでの時間に長短の変化をつけることができ、当該時間の長短に応じて、抽選ゲームの結果に変化を与えることが可能となる。したがって、上記構成によれば、移動面の傾きを変更可能にするといった比較的に簡単な全体構造を採用しつつ、多様な抽選ゲームを実行することが可能である。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る抽選装置を備えたゲーム機の一実施形態の概観斜視図である。
【図2】図1に示すゲーム機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すゲーム機のサテライトの構成例を示す概略正面図である。
【図4】図1に示すゲーム機の要部斜視図である。
【図5】抽選装置の斜視図である。
【図6】図5に示す抽選装置の平面図である。
【図7】図5に示す抽選装置の右側面図であり、(a)は移動面が第1姿勢をとる状態を表し、(b)は移動面が第2姿勢をとる状態を表す。
【図8】図5に示す抽選装置の要部縦断面図であり、(a)は移動面が第1姿勢をとる状態を表し、(b)は移動面が第2姿勢をとる状態を表す。
【図9】抽選ゲーム実行中の画面表示の一例を示す図である。
【図10】抽選ゲーム実行中の画面表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る抽選装置の好ましい実施形態につき、いわゆるアーケード型のメダルゲーム機に備えられた構成を例に挙げ、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0022】
図1〜図8は、本発明に係る抽選装置を備えたゲーム機の一実施形態を示している。図1によく表れているように、本実施形態のゲーム機Aは、平面視矩形状の下部筐体10上に透明板等からなるショーケース11が載設された構成を有する。ショーケース11によって囲まれた空間部には、後述するサテライトSAやセンターユニットCUが設けられている。なお、理解の便宜上、図1においては、ゲーム機Aの上部、および側面部の一部を省略している。
【0023】
ゲーム機Aは、複数(本実施形態では4つ)のサテライトSAを有しており、複数のプレイヤ(たとえば4人)が同時にゲームを行うことができるようになっている。本実施形態では、図1に表れているように、サテライトSAは、手前側と奥側のそれぞれに、2つずつ並んで配置される。下部筐体10の外周面部には、複数の操作部12が設けられている。操作部12は、各サテライトSAに対応する位置に配されている。各操作部12には、後述する抽選ゲーム等に使用される操作ボタン12Aのほか、詳細な図示説明は省略するが、メダルを溜めておくためのメダル留置部、メダル投入口などが設けられている。操作部12の下方には、メダルを払い出すメダル払出口13も設けられている。また、各操部12の左右両側の下部筐体10内部には、メダル投入機構14が設けられている。メダル投入機構14は、ショーケース11の外側でプレイヤにより投入されたメダルを、左右において所望の方向に向けてショーケース11内のサテライトSAへと投出するように構成されている。
【0024】
ゲーム機Aには、図2に電気的な構成を示すように、後述する画像表示装置2やプッシャフィールド3、さらにはセンターユニットCU(キャッチャ抽選装置4、ボール振り分け装置5やメイン抽選装置6)などの各部の動作を制御するマイクロコンピュータ9が搭載されている。
【0025】
図3に表れているように、各サテライトSAには、液晶ディスプレイなどを用いた電子ゲーム実行用の画像表示装置2と、画像表示装置2の手前側下方に位置するプッシャフィールド3とが設けられている。
【0026】
メダル投入機構14は、メダルmを立てたまま後述のプッシャフィールド3の可動テーブル31上に転がすためのガイド部141を備えており、このガイド部141は、プレイヤの操作によって横方向に所定角度範囲内で揺動可能とされている。
【0027】
図3に表れているように、プッシャフィールド3は、たとえば固定テーブル30上に可動テーブル31が重ねられ、この可動テーブル31が図示しないモータの駆動によって一定のストロークで前後に往復動するように構成されたものである。
【0028】
可動テーブル31は平面視長矩形状とされており、この可動テーブル31の横方向両側には、固定壁32が隣接して設けられている。固定壁32は、固定テーブル30の上面に対して垂直に起立し、かつ前後方向に延びている。なお、可動テーブル31の横方向の両端部には、図示しない複数ずつのローラが設けられており、各ローラは、固定壁32の表面あるいは固定テーブル30の上面に対して転動自在とされている。可動テーブル31の横方向端部と固定壁32との間、および可動テーブル31の下面と固定テーブル30の上面との間は、それぞれ、僅かな隙間(たとえばメダルmの厚みの0.5倍程度)が設けられている。このような構成により、可動テーブル31は、固定テーブル30上においてスムーズな往復動が可能となっている。
【0029】
固定壁32には、規制部材33が設けられている。規制部材33は、可動テーブル31の横方向端部と固定壁32との間にメダルmが挟まれるのを防止するためのものである。規制部材33は、前後方向に延びるブロック状とされており、可動テーブル31の横方向端部に対してオーバーハングしている。規制部材33は、一定範囲で上下に自由移動可能とされており、通常、自重によって上下動範囲の下限位置にある。規制部材33が下限位置にあるとき、規制部材33の下面は、可動テーブル31の上面から離間している。
【0030】
図3に表れているように、可動テーブル31の前端部には、傾斜部311が設けられており、この傾斜部311に複数のチャッカ312が横方向に所定の間隔を隔てて設けられている。各チャッカ312は、メダルmが通過しうる開口を有し、たとえば、マイクロスイッチなどを用いて構成された図示しないセンサによってメダルmの通過が検出されるように構成されている。可動テーブル31が奥側に後退したときに、この可動テーブル31上に載っている複数枚のメダルmどうしが奥方の壁に押されて可動テーブル31の手前に向けてうまく押し合うと、可動テーブル31の傾斜部311を滑ってその手前側に落下し、固定テーブル30上に載る。このとき、メダルmがチャッカ312を通過すると、マイクロコンピュータ9は、画像表示装置2で展開される電子ゲームやチャッカ312を利用した所定のゲームを実行する。チャッカ312を通過したメダルmおよびチャッカ312を通過しなかったメダルmのいずれも固定テーブル30上に落下する。
【0031】
固定テーブル30の前端部には、板状体301が設けられている。板状体301は、固定プレート30の前端部の略全域にわたって延びており、先端に向かうにつれて上方に変位する緩やかな傾斜がつけられている。可動テーブル31が手前側に前進したときに、固定テーブル30上に載っている複数枚のメダルmどうしが固定テーブル30の手前に向けてうまく押し合うと、押し出されたメダルmが板状体301上を通過し、この板状体301の先端縁301aからその手前の落下溝にメダルmが落下するようになっている。上記落下溝に落下したメダルmは、ホッパー装置等を有する周知のメダル払出機構(図示略)を介してメダル払出口13に払い出されるようになっている。固定テーブル30上には、たとえばゲームの進行状況に応じて、後述するキャッチャ抽選装置4によって獲得したボールb1が散在している。当該ボールb1は、固定テーブル30上のメダルmが手前に押されるのに伴って手前に移動し、いずれ上記落下溝に落下する。プッシャフィールド3の側方には、画像表示装置2において実行される電子ゲームやメイン抽選装置6における抽選ゲームで所定の結果となった場合に固定テーブル30ないし可動テーブル31上にメダルmを払い出すためのメダル払出口34が設けられている。なお、固定テーブル30の両側方には、メダル回収口302が設けられており、このメダル回収口302に入ったメダルmは、所定のメダル貯留部(図示略)に回収される。
【0032】
本実施形態においては、サテライトSAには、後述するキャッチャ抽選装置4によって獲得したボールb1を搬送してプッシャフィールド3に投入するための搬送レール35が設けられている。
【0033】
図1および図4に表れているように、センターユニットCUは、キャッチャ抽選装置4と、ボール振り分け装置5と、メイン抽選装置6とを具備して構成されている。
【0034】
キャッチャ抽選装置4は、プレイヤの入力操作によってボールb1を取る抽選を行うためのものであり、円形の回転テーブル41と、キャッチャ42とを含んで構成されている。回転テーブル41上には、複数のボールb1が載置されている。回転テーブル41は、下部筐体10に対して垂直軸周りに回転可能に支持されている。キャッチャ抽選装置4における抽選時には、回転テーブル41は、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって、回転させられる。
【0035】
図4に表れているように、キャッチャ42は、回転テーブル41の上方に設けられており、アーム421と、アーム421の先端に設けられた爪422とを有する。アーム421の基端部は、回転テーブル41の円周方向と平行な水平軸s1周りに回転可能に支持されている。爪422は、回転テーブル41上にあるボールb1を掻き取るためのものであり、上記水平軸s1と平行な方向において所定幅を有する。キャッチャ42は、図示しないモータの駆動によって回転させられる。キャッチャ42は、ゲームを実行していないときには、アーム421の先端が上を向いた姿勢で待機している。本実施形態では、キャッチャ42は、2つ設けられており、それぞれが隣接するサテライトSAの間に配置されている。
【0036】
キャッチャ42は、プレイヤによる操作ボタン12Aの操作に応じて作動するようになっている。たとえば、キャッチャ抽選装置4における抽選の権利が発生すると、プレイヤが任意のタイミングで操作ボタン12Aを押すことにより、キャッチャ42が回転する。ここで、キャッチャ42は、回転テーブル41上にあるボールb1を爪422によって当該回転テーブル41の外側に掻き出す方向に回転し、ちょうど1回転してもとの待機位置にて停止する。キャッチャ42が1回転する過程において、爪422は、水平軸s1の真下にあるときに回転テーブル41に接近する。そして、爪422の移動経路にあるボールb1が回転テーブル41の外側に掻き出される。掻き出されたボールb1は、スロープを通過して後述するボール振り分け装置5のボール貯留部51に導入される。なお、キャッチャ抽選装置4による1回の抽選で獲得可能なボールb1の数は、たとえば最大5個(最小は0個)である。
【0037】
ボール振り分け装置5は、キャッチャ抽選装置4によって獲得したボールb1を隣接するサテライトSAのいずれかに振り分けて投入するためのものである。ボール振り分け装置5は、2つ設けられており、それぞれが隣接するサテライトSAの間に配置されている。ボール振り分け装置5は、獲得したボールb1を一時的に貯留するためのボール貯留部51を備えている。詳細な図示説明は省略するが、ボール貯留部51に貯留された1以上のボールb1は、順次、ボールb1を獲得したプレイヤに対応するサテライトSAに振り分けられ、搬送レール35を通じて当該サテライトSAの固定テーブル30上に投入される。なお、搬送レール35を通過するボールb1は、図示しないセンサによって検知される。当該センサによるボールb1の検知情報はマイクロコンピュータ9に送られ、獲得したボールb1の数をカウントすることが可能となっている。
【0038】
固定テーブル30上にあるボールb1が手前側の落下溝に落下すると、落下溝の下部にある図示しないセンサによってボールb1の落下が検知される。その後、落下したボールb1は、リフト機構43を介して回転テーブル41上に戻される。
【0039】
図1に表れているように、メイン抽選装置6は、ボールb2(抽選用媒体)を用いて物理的抽選を行うためのものであり、本発明でいう抽選装置の一例に相当する。詳細は後述するが、メイン抽選装置6においては、ゲームの進行状況に応じて、複数種類の抽選ゲームが実行される。なお、抽選用のボールb2については、演出効果を高める観点から、光を透過ないし反射しうる半透明のアクリル製カラーボールが好適に用いられる。
【0040】
メイン抽選装置6は、本実施形態では2つ設けられており、それぞれが手前側と奥側とで対をなすサテライトSAの中間の上方空間に配置されている。詳細は後述するが、各メイン抽選装置6は、上記の対をなす2つのサテライトSAにおいて共用される。これら2つのメイン抽選装置6は、実質的に同一の構成を有しており、以下では1つのメイン抽選装置6について説明する。
【0041】
図5に表れているように、メイン抽選装置6は、フィールド61と、ボール弾き返し機構62と、傾斜角度変更手段63とを備えている。
【0042】
フィールド61は、ボールb2を移動させるための移動面611と、バウンド部612と、2つの入賞部613a,613bとを備えて構成されている。
【0043】
図5〜図7に表れているように、移動面611は、プレート614の上面部分からなり、平滑な平面状とされている。バウンド部612は、ボールb2が移動し得る領域を規制するものであり、たとえば、移動面611上に突出させられた一対の支持ピンによって、ボールb2を弾き得るゴム輪(弾性体)を張設した構成とされている。バウンド部612は、複数設けられており、移動面611の所定領域を囲むように配置されている。バウンド部612によって囲まれた領域は、図5および図6から理解されるように、手前側と奥側とで対をなすサテライトSAが並ぶ方向(図中に示すX方向)において、中央からX方向の一方側(X1側)および他方側(X2側)のそれぞれに向かうにつれて、幅が狭くなっている。
【0044】
入賞部613a,613bは、X方向に離間して設けられている。入賞部613aは、バウンド部612によって囲まれた領域のX方向における一方側(X1側)の端部に配置され、入賞部613bは、バウンド部612によって囲まれた領域のX方向における他方側(X2側)の端部に配置されている。入賞部613a,613bは、移動面611上に設けられ、コの字状の枠部に囲まれた構成とされている。これにより、ボールb2は、バウンド部612で囲まれた領域と各入賞部613a,613bとの間をスムーズに転動可能となっている。
【0045】
移動面611における各入賞部613a,613bに対応する部位には、当該入賞部613a,613bにボールb2が収容されたことを検知するセンサ615a,615bが設けられている。センサ615a,615bは、たとえばマイクロスイッチなどを用いて構成される。当該センサ615a,615bによるボールb2の検知情報はマイクロコンピュータ9に送られる。
【0046】
プレート614の下部は、支柱64によって所定の水平軸s2周りに回動可能に支持されており、水平軸s2はX方向における中央に位置する。これにより、プレート614の上面部分である移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となるように傾斜する第1姿勢(図7(a)参照)と、図7(b)に示すように、X方向の他方側(X2側)が低位となるように傾斜する第2姿勢とをとるように回動可能となっている。移動面611が第1姿勢をとるとき、入賞部613aは、移動面611の低位側に位置する。その一方、移動面611が第2姿勢をとるとき、入賞部613bは、移動面611の低位側に位置する。
【0047】
図5および図6に表れているように、移動面611上には、突部616が設けられている。突部616は、バウンド部612によって囲まれた領域(フィールド61)の中央に位置し、入賞部613a,613bを結ぶ線分上にある。本実施形態では、突部616は、中央に頂点を有するように曲面状に隆起している。
【0048】
ボール弾き返し機構62は、傾斜姿勢をとる移動面611上において移動するボールb2を移動面611の高位に向けて弾き返すものである。本実施形態では、ボール弾き返し機構62は、入賞部613a,613bの近傍に設けられた一対ずつの回転体621,622を備えて構成されている。
【0049】
各回転体621,622は、プレート614に支持されており、移動面611に対して垂直な回転軸s3周りに回転可能となっている。各回転体621,622は、プレート614の下面側に設けられた図示しないモータの駆動によって回転する。一対の回転体621,622は、回転方向が互いに異ならせられている。回転体621は、時計回りに回転し、回転体622は、反時計回りに回転する。これにより、ボールb2を、傾斜姿勢をとる移動面611の高位側に向けて適切に弾くことができる。
【0050】
傾斜角度変更手段63は、水平面に対する移動面611の傾きを変更するためのものである。図7および図8に表れているように、傾斜角度変更手段63は、リンク機構631と、駆動用のモータ632と、センサ633とを備えて構成されている。リンク機構631は、図8に表れているように、たとえば、モータ632によって回転させられる回転板631aと、回転板631aの偏心位置に設けられたローラ631bと、シャフト631cとを備える。シャフト631cは、プレート614の下部に固定され、このプレート614に対して垂直に延びている。シャフト631cには長手方向に沿う溝631dが形成されており、この溝631dにローラ631bが嵌まっている。このような構成により、モータ632が往復駆動すると、ローラ631bが溝631dに沿って転動し、シャフト631cが回動する。その結果、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となるように傾斜する第1姿勢(図8(a)参照)と、X方向の他方側(X2側)が低位となるように傾斜する第2姿勢(図8(b)参照)との間で回動しうる。
【0051】
センサ633は、水平面に対する移動面611の傾斜角度を検出するためのものである。本実施形態では、図7に表れているように、たとえばフォトインタラプタなどからなる4つのセンサ633が支柱64に設けられ、プレート614には、センサ633によって検出される2つの被検出片634が水平軸s2周りに回動可能に固定されている。本実施形態では、2つの被検出片634がいずれのセンサ633に検出されるかによって、移動面611が第1姿勢および第2姿勢のそれぞれの傾斜姿勢をとるときに、移動面611の傾斜角度が5°の状態と10°の状態との2通りの傾きを検知することができる。センサ633による検出信号に基づいてマイクロコンピュータ9がモータ632の駆動を制御することによって、移動面611を、傾斜角度が5°または10°の傾斜姿勢で停止させることができる。また、モータ632の駆動を制御することによって、移動面611を、傾斜角度が5°〜10°の一定範囲内で往復回動させることができる。
【0052】
上記構成のメイン抽選装置6を用いて、たとえば、第1抽選ゲームおよび第2抽選ゲームが実行される。第1抽選ゲームおよび第2抽選ゲームにおいては、メイン抽選装置6におけるボールb2の動きに応じて、画像表示装置2に表示される抽選の結果を決定する。第1抽選ゲームは、たとえば、いずれかのサテライトSAの固定テーブル30から、所定数(たとえば累計3個)のボールb1が手前側の落下溝に落下したことを契機として実行される。
【0053】
第1抽選ゲームの実行時において、画像表示装置2には、たとえば図9に示すように、ルーレットが表示される。第1抽選ゲームにおける抽選は、最大数百枚のメダルが払い出される大当たり(以下、JP(ジャックポット)という)を獲得するチャンスのあるJP抽選である。図9に示す例では、ルーレットは、賞の内容が表された8個の絵柄21(21a〜21d)を有し、1個の絵柄21aがJP当選、4個の絵柄21bが所定枚数のメダル払い出し、1個の絵柄21cが第2抽選ゲームへ進むための権利獲得、2個の絵柄21dがはずれ、として割り当てられている。
【0054】
第1抽選ゲームの手順の一例について、説明する。
【0055】
まず、いずれかのサテライトSAに該当するプレイヤが第1抽選ゲームの権利を獲得すると、当該サテライトSAに対応するメイン抽選装置6において、第1抽選ゲームの準備動作が開始される。X方向の一方側(X1側)のサテライトSAで第1抽選ゲームの権利を獲得した場合には、メイン抽選装置6において、移動面611は、X方向の他方側(X2側)が低位となる第2姿勢をとる(図7(b)参照)。ここで、ボールb2は、重力の作用によって低位側に転がり、X方向の他方側(X2側)に位置する入賞部613bに収容され、センサ615bによって当該入賞部613bへのボールb2の収容が検知される。なお、画像表示装置2においては、図9を参照して上述したように、ルーレットが表示される。
【0056】
次に、第1抽選ゲームが開始すると、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となるように回動させられる。このとき、入賞部613bに収容されたボールb2は、低位から高位に変位する。これと同時に、入賞部613aの近傍にある回転体621,622が所定の回転速度で回転させられる。このとき、移動面611の傾斜角度は、たとえば10°とされる。移動面611のX1側が低位になると、高位側(X2側)の入賞部613bにあるボールb2は、重力の作用により低位側(X1側)に移動し、センサ615bによって検知されなくなる。このとき、画像表示装置2に表されたルーレットは、回転動作を開始し、ルーレットを構成する複数の絵柄21は、一定の回転速度で回転するように動的に表示される。
【0057】
上記のように入賞部613bに収容されたボールb2が低位から高位に変位すると、当該ボールb2は重力の作用により低位側に移動して入賞部613bから脱出し、フィールド61に投入される。ここで、入賞部613bからフィールド61に投入されたボールb2は、重力の作用によって低位側に向かって転動し、フィールド61の中央に位置する突部616に衝突する。この突部616への衝突によって、概して、ボールb2は、その動きに変化が与えられる。次いで、ボールb2は、重力の作用によって、低位側に向かって転がる。ここで、ボールb2は、バウンド部612に衝突すると、当該ボールb2の動きに変化が与えられる。また、ボールb2は、回転体621,622に衝突すると、高位側に弾き飛ばされ、その動きに変化が与えられる。このように、ボールb2は、バウンド部612や回転体621,622との衝突を繰り返し、やがて、フィールド61の低位側端部に位置する入賞部613aに収容される。
【0058】
ボールb2が入賞部613aに収容されると、当該ボールb2の収容がセンサ615aによって検知され、マイクロコンピュータ9は、センサ615aの検知情報に基づき、画像表示装置2のルーレットの表示を停止させる。このとき、ルーレットの上部中央位置にある停止絵柄に対応する賞が、抽選結果として決定される。すなわち、第1抽選ゲームにおいては、ボールb2が移動面611上を不規則に移動し、ボールb2が入賞部613aに収容されるタイミングによって、抽選結果が決定する。第1抽選ゲームの抽選結果がJP当選あるいは所定枚数のメダル払い出しの場合には、メダル払出口34を介してプッシャフィールド3上にメダルmが払い出され、その後、第1抽選ゲームは終了する。第1抽選ゲームの抽選結果がはずれの場合には、第1抽選ゲームは終了する。第1抽選ゲームの抽選結果が第2抽選ゲームの権利獲得の場合には、第2抽選ゲームに移行する。
【0059】
なお、X方向の他方側(X2側)のサテライトSAで第1抽選ゲームの権利を獲得した場合に実行される第1抽選ゲームは、上記したX方向の一方側(X1側)のサテライトSAで権利を獲得して実行される第1抽選ゲームと比べると、移動面611の傾く方向が反対とされるが、それ以外はX1側のサテライトSAで権利を獲得した場合と同様である。すなわち、まず、第1抽選ゲームの準備動作として、メイン抽選装置6において、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となる第1姿勢をとる(図7(a)参照)。ここで、ボールb2は、X1側に位置する入賞部613aに収容される。第1抽選ゲームが開始すると、移動面611は、X方向の他方側(X2側)が低位となる第2姿勢をとる(図7(b)参照)。そして、ボールb2がX2側に位置する入賞部613bに収容されると、抽選結果が決定する。このようなことから理解されるように、第1抽選ゲームを実行するのに際し、メイン抽選装置6は、X1側とX2側とで対をなすサテライトSAにおいて共用される。
【0060】
第2抽選ゲームにおける抽選は、プレイヤ側に付与される配当が無制限で増える可能性のある特別抽選である。第2抽選ゲームの実行時には、たとえば、移動面611を所定の傾斜角度に傾斜させ、マイクロコンピュータ9は、ボールb2がフィールド61に投入されてから低位側の入賞部613aに収容されるまでの時間を計時する。この計時された時間に応じて、配当が決定される。配当の内容としては、たとえば、メダルmの払い出しであり、たとえば上記の計時時間について、1秒間あたり3枚の割合でメダルmの払い出し枚数が加算される。本実施形態では、第2抽選ゲームにおいて、ボールb2が低位側の入賞部613aに収容されるタイミングによって、上記のようにして決定された配当が付与されるか否かを決定する抽選も同時に行う。
【0061】
第2抽選ゲームの実行時において、画像表示装置2には、たとえば、図10に示すように、配当としてのメダル払い出し枚数がカウンタに表示される。また、画像表示装置2には、ルーレットが併せて表示される。図10に示す例では、ルーレットは、上記配当が付与されることを示す絵柄22(「GET」と表示)と、上記配当が付与されないことを示す絵柄23(「OUT」と表示)とが、交互に配列されている。
【0062】
次に、第2抽選ゲームの手順の一例について、説明する。
【0063】
第1抽選ゲームにおいて第2抽選ゲームの権利を獲得すると、メイン抽選装置6において、第2抽選ゲームの準備動作が開始される。X方向の一方側(X1側)のサテライトSAで第2抽選ゲームの権利を獲得した場合には、メイン抽選装置6において、移動面611は、X方向の他方側(X2側)が低位となる第2姿勢をとる(図7(b)参照)。ここで、ボールb2は、重力の作用によって低位側に転がり、X方向の他方側(X2側)に位置する入賞部613bに収容され、センサ615bによって当該入賞部613bへのボールb2の収容が検知される。なお、画像表示装置2においては、図10を参照して上述したように、ルーレット、および配当としてのメダル払い出し枚数が表示される。
【0064】
次に、第2抽選ゲームが開始すると、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となるように回動させられる。このとき、入賞部613bに収容されたボールb2は、低位から高位に変位する。これと同時に、入賞部613aの近傍にある回転体621,622が所定の回転速度で回転させられる。第2抽選ゲーム実行時における移動面611の傾斜角度は、たとえば5°または10°のいずれかとされる。この移動面611の傾斜角度は、たとえば、あらかじめ抽選によって決定される。移動面611のX1側が低位になると、高位側(X2側)の入賞部613bにあるボールb2は、重力の作用により低位側(X1側)に移動し、センサ615bによって検知されなくなる。ここで、画像表示装置2に表示されたメダル払い出し枚数のカウンタは、センサ615bによってボールb2が非検知となった時点から、1秒経過毎に3枚の割合で増加する。また、画像表示装置2に表されたルーレットは、動作を開始する。ルーレットを構成する絵柄22,23は、たとえば、一定の移動速度で左側にスクロールするように動的に表示される。
【0065】
上記のように入賞部613bに収容されたボールb2が低位から高位に変位すると、当該ボールb2は重力の作用により低位側に移動して入賞部613bから脱出し、フィールド61に投入される。ここで、入賞部613bからフィールド61に投入されたボールb2は、重力の作用によって低位側に向かって転動し、フィールド61の中央に位置する突部616に衝突する。この突部616への衝突よって、概して、ボールb2は、その動きに変化が与えられる。次いで、ボールb2は、重力の作用によって、低位側に向かって転がる。ここで、ボールb2は、バウンド部612に衝突すると、当該ボールb2の動きに変化が与えられる。また、ボールb2は、回転体621,622に衝突すると、高位側に弾き飛ばされ、その動きに変化が与えられる。このように、ボールb2は、バウンド部612や回転体621,622との衝突を繰り返し、やがて、フィールド61の低位側端部に位置する入賞部613aに収容される。
【0066】
ボールb2が入賞部613aに収容されると、当該ボールb2の収容がセンサ615aによって検知され、マイクロコンピュータ9は、センサ615aの検知情報に基づき、画像表示装置2に表示されたメダル払い出し枚数のカウンタを停止させる。ここでカウンタに表示された数値が、配当(メダル払い出し枚数)として決定される。また、マイクロコンピュータ9は、センサ615aの上記検知情報に基づき、画像表示装置2のルーレットの表示を停止させる。このとき、ルーレットの中央位置にある停止絵柄によって、上記の配当が付与されるか否かが決定される。
【0067】
すなわち、第2抽選ゲームにおいては、ボールb2が移動面611上を不規則に移動し、ボールb2がフィールド61に投入されてから入賞部613aに収容されるまでの時間に応じて、配当の内容が決定する。
【0068】
なお、ボールb2が投入されてから入賞部613aに収容されるまでの時間(以下、適宜、ボール移動時間という)は、移動面611の傾斜角度によって変化する。回転体621,622の回転速度が同じ場合において、移動面611の傾斜角度が相対的に小さい5°のとき、重力の作用によるボールb2の低位側への移動速度が遅くなり、ボール移動時間(平均値)は相対的に長くなる。その一方、移動面611の傾斜角度が相対的に大きい10°のとき、重力の作用によるボールb2の低位側への移動速度が速くなり、ボール移動時間(平均値)は相対的に短くなる。
【0069】
また、第2抽選ゲームにおいては、ボールb2が入賞部613aに収容されるタイミングによって、配当が付与されるか否かの抽選結果が決定する。
【0070】
ルーレットの抽選結果が「配当を付与する」である場合には、カウンタに表示された枚数のメダルmがメダル払出口34を介してプッシャフィールド3上に払い出され、その後、第2抽選ゲームは終了する。ルーレットの抽選結果が「配当を付与しない」である場合には、プッシャフィールド3上へのメダルmの払い出しは行われず、第2抽選ゲームは終了する。
【0071】
なお、X方向の他方側(X2側)のサテライトSAで第2抽選ゲームの権利を獲得した場合に実行される第2抽選ゲームは、上記したX方向の一方側(X1側)のサテライトSAで権利を獲得して実行される第2抽選ゲームと比べると、移動面611の傾く方向が反対とされるが、それ以外はX1側のサテライトSAで権利を獲得した場合と同様である。すなわち、まず、第2抽選ゲームの準備動作として、メイン抽選装置6において、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位となる第1姿勢をとる(図7(a)参照)。ここで、ボールb2は、X1側に位置する入賞部613aに収容される。第2抽選ゲームが開始すると、移動面611は、X方向の他方側(X2側)が低位となる第2姿勢をとる(図7(b)参照)。そして、ボールb2がX2側に位置する入賞部613bに収容されると、配当および抽選結果が決定する。このようなことから理解されるように、第2抽選ゲームを実行するのに際し、メイン抽選装置6は、X1側とX2側とで対をなすサテライトSAにおいて共用される。
【0072】
次に、ゲーム機Aの作用について説明する。
【0073】
本実施形態では、メイン抽選装置6は、ボールb2を移動させるための移動面611が傾斜可能に構成されている。移動面611は、傾斜角度変更手段63によって、水平面に対する傾きが変更可能とされている。傾斜姿勢をとる移動面611の低位側には、入賞部613a(613b)が設けられている。これにより、第2抽選ゲームについて上述したように、移動面611の傾斜角度が相対的に小さい場合と相対的に大きい場合とで、ボール移動時間(ボールb2が投入されてから入賞部613a(613b)に収容されるまでの時間)に長短の変化をつけることができる。そして、ボール移動時間の長短に応じて、抽選ゲームの結果に変化(上述の第2抽選ゲームの場合、配当の多寡、即ち、プレイヤに有利な状況とプレイヤに不利な状況)を与えることが可能となる。したがって、上記構成によれば、移動面611の傾きを変更可能にするといった比較的に簡単な全体構造を採用しつつ、多様な抽選ゲームを実行することが可能となる。
【0074】
メイン抽選装置6が傾斜角度変更手段63を備える構成によれば、たとえばメイン抽選装置6において複数種類の抽選ゲームを実行する場合において、各抽選ゲームの目的に応じて移動面611の傾きを設定することが可能である。上記した第1抽選ゲームおよび第2抽選ゲームを実行する場合、第1抽選ゲームでは、ボールb2が入賞部613a(613b)に収容されるタイミングによって抽選結果が決定する。このため、第1抽選ゲーム実行時の移動面611の傾斜角度を相対的に大とすることで、ボール移動時間が比較的に短くなり、第1抽選ゲームは、プレイヤが飽きない程度に比較的速やかに終了する。その一方、第2抽選ゲームでは、ボールb2が入賞部613a(613b)に収容されるまでの時間(ボール移動時間)に応じて配当が決定されるため、移動面611の傾斜角度を変更することにより、プレイヤに有利な状況と不利な状況とを作り出すことができる。このように、各抽選ゲームの目的に応じて移動面611の傾きを設定することにより、変化に富んだ多様な抽選ゲームを実行することが可能である。
【0075】
本実施形態において、メイン抽選装置6での抽選時には、たとえばバウンド部612やボール弾き返し機構62(回転体621,622)によってボールb2の動きに変化が与えられる。このため、抽選ゲームの際、ボールb2の動きを予測することが困難であり、ボール移動時間にばらつきが生じ得る。したがって、変化に富んだ抽選ゲームを行うことが可能となり、当該抽選ゲームの興趣を高めることができる。
【0076】
また、回転体621,622は、入賞部613a(613b)の近傍に設けられており、移動面611を移動するボールb2が回転体621,622に衝突すると、当該ボールb2は移動面611の高位側に向けて弾かれる。これにより、ボールb2の動きがより予測し難くなり、ボールb2を用いた抽選ゲームの興趣をより高めることができる。
【0077】
傾斜角度変更手段63は、移動面611を、X方向の一方側(X1側)が低位となるように傾斜する第1姿勢(図7(a)参照)と、X方向の他方側(X2側)が低位となるように傾斜する第2姿勢(図7(b)参照)とをとらせるように構成されている。すなわち、移動面611は、第1姿勢と第2姿勢との間でシーソー状に姿勢変更することが可能となっている。このため、上述したように、移動面611上(フィールド61)のボールb2を移動面611のX1側に設けられた入賞部613aに収容するように構成された抽選ゲームを行う場合、まず、移動面611に第2姿勢をとらせてボールb2をX2側に移動させる(図7(b)参照)。その後、図7(a)に表れているように、移動面611が第1姿勢をとるように姿勢変更することにより、移動面611上(フィールド61)にボールb2を投入することができる。したがって、上記構成によれば、ボールb2を投入するための機構を別途設ける必要がない。
【0078】
本実施形態においては、移動面611が第1姿勢をとるときに低位となる入賞部613aと、移動面611が第2姿勢をとるときに低位となる入賞部613bとを有する。このような構成のメイン抽選装置6は、X方向において対をなす2つのサテライトSAにおいて共用することができる。
【0079】
本実施形態では、移動面611上に突部616が設けられており、この突部616は、入賞部613a,613bを結ぶ線上に位置する。これにより、移動面611を第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更する際、入賞部613a(613b)から移動面611上に投入されたボールb2は突部616に衝突し、ボールb2の動きに変化が与えられる。したがって、一方の入賞部613a(613b)から移動面611上に投入されたボールb2が他方の入賞部613b(613a)にストレートに収容されることを防止することができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る抽選装置の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【0081】
上記実施形態においては、移動面611の水平面に対する傾斜角度が5°と10°の2段階で変更する場合を例に挙げて説明したが、移動面の傾斜角度としては上記の5°と10°の組み合わせ以外の角度を設定することが可能である。また、移動面の傾斜角度について、3段階以上に変更可能に構成してもよい。抽選ゲームの実行中に移動面の傾斜角度を適宜変更するようにしてもよく、また、抽選ゲームの実行中に、所定の範囲内で傾斜角度が連続的に変更するように移動面を回動させてもよい。抽選ゲームの開始から所定時間経過後に移動面の傾きを変更してもよい。たとえば、抽選ゲームが所定時間を越えて長引く場合、移動面の傾斜角度が相対的に大となるように移動面の傾きを変更することにより、抽選用媒体が入賞部に収容されやすくすることができる。さらに、抽選ゲームの実行中に、プレイヤの操作によって、移動面の傾斜角度を変更できるようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態において、プレート614が支柱64によって水平軸s2周りに回動可能に支持されることにより、移動面611は、X方向の一方側(X1側)が低位になる第1姿勢と、X方向の他方側(X2側)が低位になる第2姿勢とをとるように構成されていたが、これに限定されない。たとえば、上記構造に加えて、プレート614を支持する支柱64を、他の支持体によって、水平軸s2に垂直な他の水平軸周りに回動可能に構成してもよい。この場合、移動面は、水平軸s2と他の水平軸(2軸)周りにそれぞれ回動可能であることから、水平面内における種々な方向が低位となるように傾斜姿勢を変更することができる。このように移動面が姿勢変更可能な構成によれば、たとえば、本発明に係る抽選装置を、4つのサテライトあるいはそれを越える数のサテライトにおいて共用することが可能となる。この場合、サテライトの数に対応する複数の入賞部が設けられ、各入賞部は、各々のサテライトに対応する位置に配置される。
【0083】
また、抽選フィールドが互いに離間する3点で支持された構成とすることもでき、この場合、支持点の高さを変更することにより、移動面は、いかなる傾斜角度にも変更可能である。すなわち、移動面の傾斜角度を変更させる手段(傾斜角度変更手段)としては、軸周りの回転以外の構成を採用することが可能である。
【0084】
上記実施形態では、移動面611が平面状である場合を例に挙げて説明したが、移動面については、曲面状あるいは凹凸を有する形状としてもよい。
【0085】
上記実施形態では、移動面611上に設けられた突部616は、曲面状に隆起する構成としたが、突部としては、たとえば棒状などの他の形状を採用してもよい。また、突部に代えて、凹部を設けてもよい。
【0086】
抽選用媒体としては、球形のボールに限定されるものではなく、多面体などの、移動面を転がって移動しうる他の形状の転動体であってもよい。また、メダルやコインなど移動面を滑って移動するものであってもよい。
【0087】
本発明の抽選装置は、メダルゲーム機に限らず、その他各種のゲーム機に装備することができる。さらに、抽選装置単独でゲーム機を構成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
A ゲーム機
b2 ボール(抽選用媒体)
m メダル
s2 水平軸
X 方向(第1方向)
X1 (第1方向の)一方
X2 (第1方向の)他方
2 画像表示装置
3 プッシャフィールド
4 キャッチャ抽選装置
5 ボール振り分け装置
6 メイン抽選装置(抽選装置)
9 マイクロコンピュータ(傾斜角度変更手段)
61 フィールド(抽選フィールド)
611 移動面
612 バウンド部
613a 入賞部(第1入賞部)
613b 入賞部(第2入賞部)
615a,615b センサ
62 ボール弾き返し機構
621,622 回転体
63 傾斜角度変更手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力の作用により移動可能な抽選用媒体を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置であって、
上記抽選用媒体を移動させる移動面、および上記抽選用媒体を収容し得る少なくとも1つの入賞部、を有する抽選フィールドと、
水平面に対する上記移動面の傾きを変更させることにより、上記抽選用媒体を上記移動面の傾斜角度の低位側に向かって移動させる傾斜角度変更手段と、を備えることを特徴とする、抽選装置。
【請求項2】
上記入賞部は、傾斜姿勢をとる上記移動面の低位側に設けられている、請求項1に記載の抽選装置。
【請求項3】
上記移動面上を移動する上記抽選用媒体の動きに変化を与える変化付与手段を備える、請求項2に記載の抽選装置。
【請求項4】
上記傾斜角度変更手段は、上記移動面を、第1方向の一方側が低位となるように傾斜する第1姿勢と上記第1方向の他方側が低位となるように傾斜する第2姿勢とをとらせるように構成される、請求項3に記載の抽選装置。
【請求項5】
上記入賞部は、上記移動面が上記第1姿勢をとるときに低位となる第1入賞部と、上記移動面が上記第2姿勢をとるときに低位となる第2入賞部と、を含む、請求項4に記載の抽選装置。
【請求項6】
上記傾斜角度変更手段によって上記移動面の傾斜姿勢を変更することにより、複数のサテライトにおいて共用される、請求項1ないし5のいずれかに記載の抽選装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−48830(P2013−48830A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189719(P2011−189719)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)