説明

担体タンパク質にコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌多糖類を含んでなる免疫原性組成物

本発明は、少なくとも2種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる免疫原性組成物であって、1種以上が還元的アミノ化以外の化学によって直接または間接のいずれかでタンパク質担体に結合される血清型1、3、19Aおよび19Fからなる第1の群から選択され、かつ1種以上の異なる糖類が還元的アミノ化によってタンパク質担体に結合される血清型4、5、6A、6B、7F、9V、14、18Cおよび23Fからなる第2の群から選択される、免疫原組成物に関する。肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防におけるこのような組成物の使用も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるコンジュゲーション化学が、免疫原性組成物またはワクチンの異なる成分に使用される、肺炎球菌コンジュゲート免疫原性組成物またはワクチンの分野に関する。還元的アミノ化が少なくとも1種の血清型のコンジュゲーションに使用され、還元的アミノ化以外のコンジュゲーションが異なる血清型のコンジュゲーションに使用される。本発明はまた、かかるワクチンを製造する方法および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2歳未満の子供は多くの多糖類ワクチンに対する免疫応答を高めないため、タンパク質担体への化学的コンジュゲーションにより多糖類を免疫原性にする必要があった。T依存的抗原であるタンパク質へのT非依存的抗原である多糖類の結合は、該多糖類に対して、アイソタイプスイッチング、親和性成熟、および記憶誘導などのT依存性の特性を付与する。
【0003】
肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)は、かなりの罹患率および死亡率(特に、若者および高齢者における)の原因となり、肺炎、菌血症および髄膜炎などの侵襲的疾患、ならびに急性中耳炎などのコロニー形成と関連する疾患を引き起こすグラム陽性細菌である。60歳を超える人に関する米国における肺炎球菌性肺炎の割合は、100,000人あたり3〜8人であると見積もられている。20%の事例において、これは菌血症、および髄膜炎などの他の兆候をもたらすが、抗生物質治療を行ってもその死亡率は30%に近い。
【0004】
肺炎球菌は、血清型特異性を付与する化学的に結合された多糖類の莢膜を有する。90種の公知の血清型の肺炎球菌が存在し、莢膜は補体から細菌の内部表面を防御するだけでなく、それ自身、免疫原性が低いため、それは肺炎球菌の主要なビルレンス決定因子である。多糖類はT非依存的抗原であり、MHC分子上で処理または提示されてT細胞と相互作用することができない。しかしながら、それらは、B細胞上の表面受容体の架橋を含む代替的な機構を介して免疫系を刺激することができる。
【0005】
侵襲性肺炎球菌疾患に対する防御は、莢膜に特異的な抗体と最も強く相関し、その防御は血清型特異的であることが、いくつかの実験において示された。
【0006】
肺炎連鎖球菌は、幼児および小児における侵襲性細菌疾患および中耳炎の最も一般的な原因である。同様に、高齢者は肺炎球菌ワクチンに対してあまり応答せず[Roghmannら(1987),J.Gerontol.42:265−270]、従って、この集団における細菌性肺炎の発生率の上昇をもたらす[VergheseおよびBerk,(1983)Medicine(Baltimore)62:271−285]。
【0007】
多価肺炎球菌コンジュゲートワクチンが開発されている。SynflorixがGlaxosmithkline Biological s.a.により市販されており、それはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)由来のタンパク質Dにコンジュゲートした肺炎球菌血清型1、4、5、6B、7F、9V、14および23F多糖類、破傷風トキソイドにコンジュゲートした18Cおよびシアニル化(CDAP)化学によりジフテリアトキソイドにコンジュゲートした19Fを含有する。PrevenarがPfizerにより市販されており、それは還元的アミノ化化学により無毒性のジフテリア毒素CRM197にコンジュゲートした肺炎球菌血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの全てを含有する(Prymula and Schuerman Expert Rev.vaccines8;1479−1500(2009))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Roghmannら(1987),J.Gerontol.42:265−270
【非特許文献2】VergheseおよびBerk,(1983)Medicine(Baltimore)62:271−285
【非特許文献3】Prymula and Schuerman Expert Rev.vaccines8;1479−1500(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、複数の血清型肺炎連鎖球菌多糖類コンジュゲートワクチンの改良された製剤を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、異なるコンジュゲーション法を用いてコンジュゲートされている異なる肺炎球菌血清型由来の糖類を組み合わせることによって達成され得る。このように、最適なコンジュゲーション法は、糖類エピトープの最適な提示を可能にするコンジュゲーション法を用いて各血清型が提示できる異なる血清型に関して選択される。いくつかの肺炎球菌糖類は、還元的アミノ化を用いて他の肺炎球菌糖類に十分にコンジュゲートするが、異なるコンジュゲーション法により、環構造を壊さないままにでき、より良い結果を提供することができる。還元的アミノ化またはより効果的な免疫原性組成物を開発できる他のコンジュゲーション法のいずれかを用いて、その糖類の選択を最適に実施する。
【0011】
したがって、少なくとも2種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む免疫原性組成物であって、1種以上が、還元的アミノ化以外の化学により直接または間接のいずれかでタンパク質担体に結合される血清型1、3、19Aおよび19Fからなる第1の群から選択され、かつ1種以上の異なる糖類が、還元的アミノ化によりタンパク質担体に結合される血清型4、5、6A、6B、7F、9V、14、18Cおよび23Fからなる第2の群から選択される、免疫原性組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多糖類−タンパク質コンジュゲートの調製。
【0013】
A)7vCRMにおいて、19F多糖類は還元的アミノ化により無毒性ジフテリアCRM197タンパク質にコンジュゲートされる。(1)過ヨウ素酸塩による酸化により末端反応性アルデヒドが導入される。(2)還元的アミノ化によるCRM197担体タンパク質に対する結合により六糖環が分解し、開裂する。(3)コンジュゲーヨン後、新規の免疫原性エピトープが六糖環に対する新規の基の結合に起因して生成され得る。
【0014】
B)PHiD−CVにおいて、19F多糖類はシアニル化化学によりジフテリアトキソイドにコンジュゲートされる。19Fは化学的に活性化されて、シアン酸塩基をヒドロキシル基に導入し、タンパク質成分の添加後にアミノまたはヒドラジド基に対する共有結合を形成する。シアニル化コンジュゲーション後、六糖環はインタクトなままであり、他の化学基は結合できない。
【図2】PHiD−CVまたは7vCRM一次免疫およびブースター免疫後の肺炎球菌血清型19Fに対するOPA力価≧8を達成する幼児の割合。明るいバーはPHiD−CVについての結果を示し、暗いバーは7vCRMについての結果を示す。エラーバーは95%信頼限界を表す。
【図3】PHiD−CVまたは7vCRM一次免疫およびブースター免疫後肺炎球菌血清型19Aに対するOPA力価≧8を達成する幼児の割合。明るいバーはPHiDC−CVについての結果を示し、暗いバーは7vCRMについての結果を示す。エラーバーは95%信頼区間を表す。
【図4】過ヨウ素酸塩処理後の23Fおよび6B多糖類のサイズ。三角で示したラインは10mMリン酸緩衝液中の6Bのサイズを示し、ダイヤモンドのラインマーカーは10mMリン酸緩衝液中の23Fのサイズを示し、四角で示したラインは100mMリン酸緩衝液中の23Fのサイズを示す。
【図5】CDAPまたは還元的アミノ化コンジュゲーションのいずれかを用いる23Fコンジュゲートの免疫原性の比較。
【図6】還元的アミノ化またはCDAPによって作製された6Bコンジュゲートのマウスにおける免疫原性の比較。グラフは、還元的アミノ化(PS06B−CRM122−125)によって作製された4種のコンジュゲートおよびCDAP(PS06B−CRM003およびPS06B−PD)によって作製された2種のELISA力価を示す。OPAの結果は以下に示す。
【図7】還元的アミノ化またはCDAPによって作製された6Bコンジュゲートのモルモットにおける免疫原性の比較。グラフは、還元的アミノ化(PS06B−CRM122−125)によって作製された4種のコンジュゲートおよびCDAP(PS06B−CRM003およびPS06B−PD)によって作製された2種のELISA力価を示す。OPAの結果は以下に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、免疫原性組成物であって、1種以上が、還元的アミノ化以外の化学により直接または間接のいずれかでタンパク質担体に結合される血清型1、3、19Aおよび19Fからなる第1の群から選択され、かつ1種以上の異なる糖類が、還元的アミノ化によりタンパク質担体に結合される血清型4、5、6A、6B、6C、7F、9V、14、18Cおよび23Fからなる第2の群から選択される、免疫原性組成物を提供する。
【0016】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、還元的アミノ化以外の化学によりタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型1または3または19Aまたは19F;1および3;1および19A;1および19F;3および19A;3および19F;19Aおよび19F;1、3および19A;1、3および19F、1、19Aおよび19F;3、19Aおよび19Fまたは1、3、19Aおよび19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる。一実施形態において、19Fは還元的アミノ化以外の化学により担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0017】
必要に応じて、血清型1、3、19Aまたは19F由来の莢膜糖は、この基のさらなるメンバーが還元的アミノ化以外の方法を用いてコンジュゲートしているならば、還元的アミノ化を用いてコンジュゲートされる。
【0018】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、CDAP化学などのシアニル化化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型1または3または19Aまたは19F;1および3;1および19A;1および19F;3および19A;3および19F;19Aおよび19F;1、3および19A;1、3および19F、1、19Aおよび19F;3、19Aおよび19Fまたは1、3、19Aおよび19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖を含んでなる。一実施形態において、19FはCDAP化学により担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0019】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、カルボジイミド、例えばEDAC化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型1または3または19Aまたは19F;1および3;1および19A;1および19F;3および19A;3および19F;19Aおよび19F;1、3および19A;1、3および19F、1、19Aおよび19F;3、19Aおよび19Fまたは1、3、19Aおよび19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖を含んでなる。
【0020】
本発明の一実施形態において、以下の肺炎連鎖球菌莢膜糖またはそれらの群は、担体タンパク質に還元的アミノ化によってコンジュゲートされる:血清型4、5、6A、6B、7F、9V、14、18Cまたは23F、4および5、4および6A、4および6B、4および7F、4および9V、4および14、4および18C、4および23F、5および6A、5および6B、5および7F、5および9V、5および14、5および18C、5および23F、6Aおよび6B、6Aおよび7F、6Aおよび9V、6Aおよび14、6Aおよび18C、6Aおよび23F、6Bおよび7F、6Bおよび9V、6Bおよび14、6Bおよび18C、6Bおよび23F、7Fおよび9V、7Fおよび14、7Fおよび18C、7Fおよび23F、9Vおよび14、9Vおよび18C、9Vおよび23F、14および18C、14および23Fまたは18Cおよび23F。一実施形態において、23Fは還元的アミノ化化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0021】
本発明の一実施形態において、血清型19F由来の肺炎球菌多糖は、シアニル化化学、例えばCDAP化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされるのに対して、血清型23由来の肺炎球菌多糖は、還元的アミノ化化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0022】
本発明の一実施形態において、血清型19F由来の肺炎球菌多糖は、シアニル化化学、例えばCDAP化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされるのに対して、血清型6B由来の肺炎球菌多糖は、還元的アミノ化化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0023】
本発明の一実施形態において、血清型19F由来の肺炎球菌多糖は、シアニル化化学、例えばCDAP化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされるのに対して、血清型6A由来の肺炎球菌多糖は、還元的アミノ化化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0024】
本発明の一実施形態において、血清型19F由来の肺炎球菌多糖は、シアニル化化学、例えばCDAP化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされるのに対して、血清型6C由来の肺炎球菌多糖は、還元的アミノ化化学によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0025】
本発明の一実施形態において、異なる血清型由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12種の肺炎連鎖球菌糖類は、還元的アミノ化化学を用いて担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0026】
還元的アミノ化化学をコンジュゲートするために使用する場合、肺炎連鎖球菌莢膜糖類は、必要に応じて0.1〜1.2、0.1〜0.5、0.1〜0.2、0.5〜0.8、0.1〜0.8、0.3〜1.0または0.4〜0.9モル当量の過ヨウ素酸塩を用いて酸化されて活性化糖を形成する。必要に応じて過ヨウ素酸塩処理工程は、アミン基を含有しない緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液およびクエン酸塩緩衝液中で実施される。一実施形態において、緩衝液は無機緩衝液である。一実施形態において、緩衝液はリン酸塩緩衝液、例えばリン酸ナトリウム緩衝液またはリン酸カリウム緩衝液である。本発明者らは、還元的アミノ化プロセスの酸化工程の条件をコントロールすることによって、得られたコンジュゲートが糖のサイズおよび/または免疫原性を有利に保持し得ることを示している。
【0027】
一実施形態において、緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液は、1〜100mM、5〜80mM、1〜50mM、1〜25mM、10〜40mM、1〜10mM、5〜15mM、8〜12mM、10〜12mM、5〜20mM、10〜50mM、約10mMまたは約20mMの濃度を有する。一実施形態において、緩衝液のpHはpH5.0〜7.0、pH5.5〜6.5、pH5.8〜6.3または約pH6.0である。
【0028】
「過ヨウ素酸塩」という用語は過ヨウ素酸塩と過ヨウ素酸の両方を含む。この用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO)とオルト過ヨウ素酸塩(IO5−)の両方を含むが、しかしながら1つの特定の実施形態において、本発明の方法に使用される過ヨウ素酸塩はメタ過ヨウ素酸塩である。「過ヨウ素酸塩」という用語はまた、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウムを含む過ヨウ素酸塩の種々の塩を含む。抗原が過ヨウ素酸塩と反応する場合、過ヨウ素酸塩は近接のヒドロキシル基を酸化して、カルボニルまたはアルデヒド基を形成し、C−C結合の開裂を生じる。この理由のために、「抗原を過ヨウ素酸塩と反応させる」という用語は、過ヨウ素酸塩による近接のヒドロキシル基の酸化を含み、例えばその反応はシスまたはトランスの近接のジオールの酸化を含んでもよい。
【0029】
本発明の一実施形態において、異なる血清型由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類は、CDAP化学を用いて担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0030】
本発明の一実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類は、カルボジイミド、例えばEDAC化学を用いて担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0031】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、タンパク質D、肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質からなる群から選択される担体タンパク質を含有する。
【0032】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、少なくともまたは正確に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖血清型に別々にコンジュゲートされる2、3、4、5、6または7種の異なる担体タンパク質を含有する。必要に応じて、これらの担体タンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、タンパク質D、肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質からなる群から選択される。
【0033】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖1を含む。
【0034】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質D、CRM197、肺炎球菌溶血素またはPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖3を含む。
【0035】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖4を含む。
【0036】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖5を含む。
【0037】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖6Bを含む。
【0038】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖7Fを含む。
【0039】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖9Vを含む。
【0040】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖14を含む。
【0041】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖23Fを含む。
【0042】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、破傷風トキソイドまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖18Cを含む。
【0043】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、肺炎球菌溶血素またはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖19Aを含む。
【0044】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、CRM197またはPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖22Fを含む。
【0045】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、肺炎球菌溶血素またはインフルエンザ菌タンパク質、必要に応じてタンパク質DまたはPhtDまたはそれらの融合タンパク質またはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖6Aを含む。
【0046】
一実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、肺炎球菌溶血素またはインフルエンザ菌タンパク質、必要に応じてタンパク質DまたはPhtDまたはそれらの融合タンパク質またはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖6Cを含む。
【0047】
本明細書を通して用いられる用語「糖類」は、多糖類またはオリゴ糖を示し、その両方を含んでもよい。多糖類を細菌から単離し、公知の方法(例えば欧州特許第497524号および欧州特許第497525号)ならびに必要に応じて微小流動化によりある程度までサイズを変えることができる。多糖類をサイズ変更して、多糖類サンプル中での粘度を減少させ、および/または結合産物に関する濾過性を改善することができる。オリゴ糖は少数の反復単位(典型的には、5〜30個の反復単位)を有し、典型的には加水分解された多糖類である。
【0048】
肺炎連鎖球菌の莢膜多糖類は、最大で8個の糖残基を含んでもよい反復オリゴ糖単位を含む。重要な肺炎連鎖球菌血清型のオリゴ糖単位の概説については、JONES,Christopher.Vaccines based on the cell surface carbohydrates of pathogenic bacteria.An.Acad.Bras.Cienc.,June 2005,vol.77,no.2,p.293−324.Table II ISSN 0001−3765を参照のこと。一実施形態においては、莢膜糖類抗原は完全長多糖類であってよいが、他の実施形態においては、それは1個のオリゴ糖単位、または天然の長さの糖鎖の反復オリゴ糖単位よりも短いものであってよい。一実施形態においては、前記ワクチン中に存在する全ての糖類は多糖類である。完全長多糖類を「サイズ変更する」ことができる、すなわち、酸加水分解処理、過酸化水素処理、オリゴ糖断片を作製するためのemulsiflex(登録商標)、次いで過酸化水素処理によるサイズ変更または微小流動化などの様々な方法により、そのサイズを低下させることができる。
【0049】
本発明者らはまた、当業界の焦点はコンジュゲート製造を容易にするためにオリゴ糖を用いることであったことに留意した。本発明者らは、天然の、もしくはわずかにサイズ変更された多糖類コンジュゲートを用いることにより、1個以上の以下の利点を実現することができることを見出した:1)濾過可能である高い免疫原性を有するコンジュゲート、2)コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率を、コンジュゲート中の多糖類とタンパク質の比率(w/w)を増加させることができるように変化させることができる(担体抑制効果に対する効果を有し得る)、3)加水分解を受けやすい免疫原性コンジュゲートを、コンジュゲーションのためにより大きい糖類の使用により安定化することができる。より大きい多糖類の使用は、コンジュゲート担体とのより多い架橋をもたらし、コンジュゲートからの遊離糖類の遊離を低下させることができる。従来技術において記載されたコンジュゲートワクチンは、コンジュゲーションを改善するためにコンジュゲーションの前に多糖類を脱重合させる傾向がある。本発明者らは、より大きいサイズの糖類を保持する糖類コンジュゲートワクチンが、肺炎球菌疾患に対する良好な免疫応答を提供することができることを見出した。
【0050】
かくして、本発明の免疫原性組成物は、コンジュゲーション前の各糖類の平均サイズ(例えば、重量平均分子量;Mw)が、80kDa、100kDa、200kDa、300kDa、400kDa、500kDaまたは1000kDaを超えるものである、1種以上の糖類コンジュゲートを含んでもよい。一実施形態においては、コンジュゲーション後のコンジュゲートは、濾過前のサンプルと比較して、濾過後に50、60、70、80、90または95%を超える収率が得られるように、0.2μmのフィルターを通して容易に濾過可能であるべきである。
【0051】
本発明の目的のために、「天然多糖類」とは、その目的が糖類のサイズを低下させることであるプロセスにかけられていない糖類を指す。多糖類は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに低下することになってもよい。そのような糖類は依然として天然である。多糖類がサイズ変更技術にかけられた場合にのみ、この多糖類は天然でないと考えられる。天然多糖類のサイズは、例えば、250kDa〜2,000kDa、400〜1,500kDa、750kDa〜1,250kDa、300kDa〜600kDa、500〜1,000kDa、または1,000〜1,500kDaであり、当業者により理解されるように、異なる血清型は異なるサイズの天然多糖類を有する。
【0052】
本発明の目的のために、「最大でx2の因子によりサイズ変更される」とは、前記糖類が、該糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの半分を超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられることを意味する。x3、x4などは同じように解釈される、すなわち、前記糖類が、該多糖類のサイズを低下させるが、天然多糖類のサイズの1/3、1/4などを超えるサイズを保持するように意図されたプロセスにかけられると解釈される。
【0053】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種もしくはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が天然多糖類である、前記糖類を含む。
【0054】
本発明の一態様においては、前記免疫原性組成物は、担体タンパク質にコンジュゲートされた少なくとも10種の血清型に由来する肺炎連鎖球菌糖類であって、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれぞれの肺炎連鎖球菌糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される、前記糖類を含む。この態様の一実施形態においては、大部分の糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類が最大でx2、x3、x4、x5、x6、x7、x8、x9またはx10の因子によりサイズ変更される。
【0055】
本明細書に記載の糖類の分子量または平均分子量とは、コンジュゲーションの前に測定され、MALLSにより測定される糖類の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0056】
MALLS技術は当業界でよく知られており、典型的には、実施例2に記載のように実行される。肺炎球菌糖類のMALLS分析のためには、2個のカラム(TSKG6000および5000PWxl)を組合わせて使用し、糖類を水中に溶出させる。光散乱検出器(例えば、488nmの10mWのアルゴンレーザーを備えたWyatt Dawn DSP)および干渉屈折計(例えば、P100セルおよび498nmの赤色フィルターを備えたWyatt Otilab DSP)を用いて糖類を検出する。
【0057】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類は天然多糖類または通常の抽出プロセスの間にサイズが低下した天然多糖類である。
【0058】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、機械的切断により、例えば、微小流動化または超音波処理によりサイズ変更する。微小流動化および超音波処理は、濾過可能なコンジュゲートを提供するために、より大きい天然多糖類のサイズを十分に低下させる利点を有する。サイズ変更は、x20、x10、x8、x6、x5、x4、x3またはx2以下の因子による。
【0059】
一実施形態においては、前記免疫原性組成物は、天然多糖類と、x20以下の因子によりサイズ変更された糖類との混合物から作製された肺炎連鎖球菌コンジュゲートを含む。この実施形態の一態様においては、大部分の前記糖類、例えば、6、7、8種以上の糖類を、最大でx2、x3、x4、x5またはx6の因子によりサイズ変更する。
【0060】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、100kDaを超える、例えば110〜700kDa、110〜300、120〜200、130〜180、または140〜160kDaの平均サイズの19A糖類を含む。一実施形態においては、19Aを、微小流動化により、例えば最大x2、x3、x4またはx5以下の因子によりわずかにサイズ変更する。一実施形態においては、19Aコンジュゲートの糖類用量は、1〜10μg、1〜5μgまたは1〜3μgの糖類、必要に応じて3μgの糖類である。
【0061】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は22F糖類コンジュゲートを含み、22F糖類の平均サイズは100kDaを超え、必要に応じて110〜700kDa、110〜300、120〜200、130〜180、または150〜170kDaである。一実施形態においては、22F糖類を、微小流動化により、例えば最大x2、x3、x4またはx5以下の因子によりサイズ変更する。一実施形態においては、19Aコンジュゲートの糖類用量は、1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類、必要に応じて3μgの糖類である。
【0062】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は複数の糖類コンジュゲートを含み、該糖類の平均サイズは50kDaを超える。一実施形態においては、血清型1糖類の平均サイズは300〜400kDaである。一実施形態においては、血清型4糖類の平均サイズは75〜125kDaである。一実施形態においては、血清型5糖類の平均サイズは350〜450kDaである。一実施形態においては、血清型6B糖類の平均サイズは1000〜1400kDaである。一実施形態においては、血清型7F糖類の平均サイズは200〜300kDaである。一実施形態においては、血清型9V糖類の平均サイズは250〜300kDaである。一実施形態においては、血清型14糖類の平均サイズは200〜250kDaである。一実施形態においては、血清型23F糖類の平均サイズは900〜1000kDaである。一実施形態においては、血清型5;6A、6B;23F;5および6A;5および6B、5および23F、6Aおよび6B、6Aおよび23F;6Bおよび23F;5、6Aおよび6B;5、6Aおよび23F;5、6Bおよび23Fまたは5、6A、6Bおよび23Fは、天然サイズの糖類としてコンジュゲートされる、すなわちプロセスに含まれる特定用途のサイズ変更工程を有さない。
【0063】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物の莢膜糖類コンジュゲートの糖類用量は1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類/コンジュゲートである。例えば、該組成物は3μgの糖類/コンジュゲートの用量で血清型4、18C、19Fおよび22F(および必要に応じて19A)のコンジュゲートを含む。例えば、本発明の免疫原性組成物は1μgの糖類/コンジュゲートの用量で血清型1、5、6B、7F、9V、14および23F(ならびに必要に応じて6Aおよび/または3)のコンジュゲートを含む。
【0064】
一実施形態においては、肺炎連鎖球菌糖類を、リンカー、例えば、二官能性リンカーを介して担体タンパク質にコンジュゲートさせる。このリンカーは必要に応じて、例えば、1個の反応性アミノ基および1個の反応性カルボン酸基、2個の反応性アミノ基または2個の反応性カルボン酸基を有する、ヘテロ二官能性またはホモ二官能性である。前記リンカーは、例えば、4〜20、4〜12、5〜10個の炭素原子を有する。可能性のあるリンカーは、ADHである。他のリンカーとしては、B−プロピオンアミド(国際公開第00/10599)、ニトロフェニル−エチルアミン(Geverら(1979)Med.Microbiol.Immunol.165;171−288)、ハロゲン化ハロアルキル(米国特許第4057685号)、グリコシド結合(米国特許第4,673,574号、米国特許第4,808,700号)、ヘキサンジアミンおよび6−アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)が挙げられる。一実施形態においては、血清型18Cに由来する糖類をコンジュゲートさせるためのリンカーとしてADHを用いる。
【0065】
本発明の免疫原性組成物中に存在する糖類コンジュゲートを、任意の公知のカップリング技術により調製することができる。コンジュゲーション方法は、シアン酸エステルを形成する1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(CDAP)による糖類の活性化に依存し得る。かくして、活性化された糖類を、担体タンパク質上のアミノ基に、直接的に、またはスペーサー(リンカー)基を介して結合させることができる。例えば、スペーサーは、マレイミドにより活性化される担体タンパク質(例えば、GMBSを用いる)またはハロアセチル化担体タンパク質(例えば、ヨードアセトイミド[例えば、エチルヨードアセトイミドHCl]もしくはN−スクシンイミジルブロモアセテートもしくはSIAB、もしくはSIA、もしくはSBAPを用いる)との反応後に得られるチオエーテル結合を介して担体に結合させることができるチオール化多糖類を与えるシスタミンまたはシステアミンであってよい。必要に応じて、シアン酸エステル(必要に応じて、CDAP化学により作製される)を、ヘキサンジアミンまたはADHと結合させ、アミノ誘導体化された糖類を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介するカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学を用いて担体タンパク質に結合させる。そのようなコンジュゲートはPCT公開出願である国際公開第93/15760号 Uniformed Services Universityならびに国際公開第95/08348号および国際公開第96/29094号に記載されている。
【0066】
他の好適な技術は、カルボジイミド、カルビイニド(carbiinide)、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを用いる。多くが国際公開第98/42721号に記載されている。コンジュゲーションは、糖類の遊離ヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethellら、J.Biol.Chem.1979,254;2572−4,Hearnら、J.Chromatogr.1981.218;509−18)、次いで、タンパク質との反応によりカルバメート結合を形成させることにより形成することができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、一次ヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、必要に応じて、CDIカルバメート中間体を形成する一次ヒドロキシル基とCDIとの一次ヒドロキシル基の反応の保護/脱保護およびCDIカルバメート中間体とタンパク質上のアミノ基とのカップリングを含んでもよい。
【0067】
前記コンジュゲートを、米国特許第4,365,170号(Jennings)および米国特許第4,673,574号(Anderson)に記載の直接的還元的アミノ化方法により調製することもできる。他の方法は、EP−0−161−188、EP−208375およびEP−0−477508に記載されている。
【0068】
さらなる方法は、例えば、EDACを用いる、カルボジイミド縮合(Chu C.ら、Infect.Immunity,1983 245 256)による、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)で誘導体化されたシアノゲンブロミド(もしくはCDAP)活性化糖類の、タンパク質担体へのカップリングを含む。
【0069】
一実施形態においては、糖類上のヒドロキシル基(必要に応じて、活性化されたヒドロキシル基、例えば、シアン酸エステルを作るために活性化された[例えば、CDAPを用いて]ヒドロキシル基)を、タンパク質上のアミノ基またはカルボキシル基に、直接的または間接的(リンカーを介して)に連結する。リンカーが存在する場合、必要に応じて、糖類上のヒドロキシル基を、例えば、CDAPコンジュゲーションを用いることにより、リンカー上のアミノ基に連結する。リンカー(例えば、ADH)中のさらなるアミノ基を、例えば、カルボジイミド化学を用いることにより、例えば、EDACを用いることにより、タンパク質上のカルボン酸基に結合させることができる。一実施形態においては、肺炎球菌莢膜糖類を、最初にリンカーに結合させた後、リンカーを担体タンパク質に結合させる。あるいは、リンカーを担体に結合させた後、糖類に結合させることができる。
【0070】
いくつかの糖類−タンパク質コンジュゲートをCDAPにより、およびいくつかを還元的アミノ化により調製する、技術の組合せを用いてもよい。
【0071】
一般的には、タンパク質担体上の以下の型の化学基をカップリング/コンジュゲーションに用いることができる。
【0072】
A)カルボキシル基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸を介する)。一実施形態においては、この基を糖類上のアミノ基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のアミノ基に連結する。
【0073】
B)アミノ基(例えば、リジンを介する)。一実施形態においては、この基を、糖類上のカルボキシル基に直接的に、またはカルボジイミド化学、例えば、EDACを用いてリンカー上のカルボキシル基に連結する。別の実施形態においては、この基を、糖類上のCDAPもしくはCNBrで活性化されたヒドロキシル基に直接的に、またはリンカー上のそのような基に;アルデヒド基を有する糖類もしくはリンカーに;スクシンイミドエステル基を有する糖類もしくはリンカーに連結する。
【0074】
C)スルフヒドリル基(例えば、システインを介する)。一実施形態においては、この基を、マレイミド化学を用いて、ブロモもしくはクロロアセチル化糖類またはリンカーに連結する。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0075】
D)ヒドロキシル基(例えば、チロシンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0076】
E)イミダゾリル基(例えば、ヒスチジンを介する)。一実施形態においては、この基を、ビスジアゾベンズイジンを用いて活性化/改変する。
【0077】
F)グアニジル基(例えば、アルギニンを介する)。
【0078】
G)インドリル基(例えば、トリプトファンを介する)。
【0079】
糖類上で、一般的には以下の基をカップリングのために用いることができる:OH、COOHまたはNH2。アルデヒド基を、過ヨウ素酸塩、酸加水分解、過酸化水素などの当業界で公知の様々な処理の後に生成することができる。
【0080】
直接的カップリング手法:
糖類−OH+CNBrまたはCDAP−−−−−>シアン酸エステル+NH2−Prot −−−−>コンジュゲート
糖類−アルデヒド+NH2−Prot−−−−>Schiff塩基+NaCNBH3−−−−>コンジュゲート
糖類−COOH+NH2−Prot+EDAC−−−−>コンジュゲート
糖類−NH2+COOH−Prot+EDAC−−−−>コンジュゲート。
【0081】
スペーサー(リンカー)を介する間接的カップリング手法:
糖類−OH+CNBrまたはCDAP−−−>シアン酸エステル+NH2−−−−NH2−−−−>糖類−−−−NH2+COOH−Prot+EDAC−−−−−>コンジュゲート
糖類−OH+CNBrまたはCDAP−−−−>シアン酸エステル+NH2−−−−−SH−−−−−>糖類−−−−SH+SH−Prot(システインが露出した天然タンパク質、または、例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質)−−−−−>糖類−S−S−Prot
糖類−OH+CNBrまたはCDAP−−−>シアン酸エステル+NH2−−−−SH−−−−−−−>糖類−−−−SH+マレイミド−Prot(アミノ基の改変)−−−−>コンジュゲート
糖類−OH+CNBrまたはCDAP−−−>シアン酸エステル+NH2−−−−−SH−−−>糖類−SH+ハロアセチル化−Prot−−−−>コンジュゲート
糖類−COOH+EDAC+NH2−−−−−NH2−−−>糖類−−−−−−NH2+EDAC+COOH−Prot−−−−>コンジュゲート
糖類−COOH+EDAC+NH2−−−−SH−−−−−>糖類−−−−SH+SH−Prot(システインが露出した天然タンパク質、または例えばSPDPによるタンパク質のアミノ基の改変後に得られる天然タンパク質)−−−−−>糖類−S−S−Prot
糖類−COOH+EDAC+NH2−−−−SH−−−−−>糖類−−−−SH+マレイミド−Prot(アミノ基の改変)−−−−>コンジュゲート
糖類−COOH+EDAC+NH2−−−−SH−−−>糖類−SH+ハロアセチル化−Prot−−−−>コンジュゲート
糖類−アルデヒド+NH2−−−−−NH2−−−−>糖類−−−NH2+EDAC+COOH−Prot−−−−>コンジュゲート。
【0082】
注記:上記のEDACの代わりに、任意の好適なカルボジイミドを用いることができる。
【0083】
まとめると、糖類とのカップリングに一般的に用いることができるタンパク質担体化学基の型は、アミノ基(例えば、リジン残基上の)、COOH基(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上の)ならびにSH基(利用可能である場合)(例えば、システイン残基上の)である。
【0084】
必要に応じて、担体タンパク質と肺炎連鎖球菌糖類の比率は、1:5〜5:1、1:2〜2.5:1、1:1〜2:1(w/w)である。一実施形態においては、多数のコンジュゲート、例えば、6、7、8、9種以上のコンジュゲートは、1:1より大きい、例えば、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1または1.6:1(w/w)である担体タンパク質と糖類の比率を有する。
【0085】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌糖類を、CDAPおよびEDACを用いてリンカーを介して担体タンパク質に結合させる。例えば、18Cを、上記のようにCDAPおよびEDACを用いてリンカー(例えば、ADHなどのその末端に2個のヒドラジノ基を有するもの)を介してタンパク質に結合させることができる。リンカーを用いる場合、CDAPを用いて、リンカーに糖類を結合させた後、EDACを用いてリンカーをタンパク質に結合させるか、またはあるいは、EDACを用いて最初にリンカーをタンパク質に結合させた後、CDAPを用いてリンカーを糖類に結合させることができる。
【0086】
一般的には、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg、1〜10μgまたは1〜3μgの糖類の各糖類コンジュゲートの用量を含んでもよい。
【0087】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、0.1〜20μg;0.5〜10μg;0.5〜5μgまたは1〜3μgの糖類の用量のそれぞれの肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含む。一実施形態においては、莢膜糖類は、様々な用量で存在してもよく、例えば、いくつかの莢膜糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在してもよく、またはいくつかの莢膜糖類は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在してもよい。一実施形態においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)に由来する糖類は、他の糖類よりも高い用量で存在する。この実施形態の一態様においては、血清型3、18Cおよび19F(または4、18Cおよび19F)は約3μgもしくは正確に3μgの用量で存在するが、免疫原性組成物中の他の糖類は約1μgもしくは正確に1μgの用量で存在する。
【0088】
「約」または「ほぼ」は、本発明の目的のためには、与えられた数値の10%多いまたは少ない範囲内と定義される。
【0089】
一実施形態においては、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、担体タンパク質に直接結合させる。必要に応じて、少なくとも1種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を、CDAPにより直接結合させる。一実施形態においては、多数の莢膜糖類、例えば、5、6、7、8、9種以上の莢膜糖類を、CDAPにより担体タンパク質に直接連結する(国際公開第95/08348号および国際公開第96/29094号を参照されたい)。
【0090】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、1種以上のコンジュゲートされていないまたはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌タンパク質を含む。一実施形態においては、肺炎連鎖球菌タンパク質は、コンジュゲートされていない形態で付加される。例えばそれは組成物中の遊離タンパク質として存在する。
【0091】
一実施形態においては、本発明の免疫原性組成物は、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート−LytXトランケートキメラタンパク質、解毒した肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133からなる群より選択される。例えば、その組成物は解毒した肺炎球菌溶血素および/またはPhtDを含有する。例えば、その組成物は解毒した肺炎球菌溶血素およびPhtDおよびSp128を含有する。例えば、その組成物は解毒した肺炎球菌溶血素およびPhtDおよびSp130を含有する。
【0092】
Pht(ポリヒスチジントライアド)ファミリーは、タンパク質PhtA、PhtB、PhtD、およびPhtEを含む。このファミリーは、脂質化配列、プロリンに富む領域により分離された2つのドメインおよびおそらく、金属もしくはヌクレオシド結合または酵素活性に関与する、いくつかのヒスチジントライアド、(3−5)コイルドコイル領域、保存されたN末端ならびに異種性C末端を特徴とする。それは試験した全ての株の肺炎球菌に存在する。他の連鎖球菌およびナイセリア菌においては、相同タンパク質も見出された。本発明の一実施形態においては、本発明のPhtタンパク質はPhtDである。しかしながら、用語「PhtA、B、DおよびE」は、以下に記載の引用物に開示された配列を有するタンパク質ならびに参照タンパク質と少なくとも90%同一である配列相同性を有するその天然の(および人工の)変異体を指すことが理解される。必要に応じて、それは少なくとも95%同一であり、または少なくとも97%同一である。
【0093】
PhtXタンパク質に関して、PhtAは国際公開第98/18930号に開示されており、Sp36とも呼ばれる。それはポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、LXXCのII型シグナルモチーフを有する。PhtDは国際公開第00/37105号に開示されており、Sp036Dとも呼ばれる。上記のように、それもポリヒスチジントライアドファミリーに由来するタンパク質であり、II型LXXCシグナルモチーフを有する。PhtBは国際公開第00/37105号に開示されており、Sp036Bとも呼ばれる。PhtBファミリーの別のメンバーは、国際公開第00/17370号に開示されたC3−分解ポリペプチドである。このタンパク質もポリヒスチジントライアドファミリーに由来し、II型LXXCシグナルモチーフを有する。例えば免疫学的に機能的な等価物は、国際公開第98/18930号に開示されたタンパク質Sp42である。PhtBトランケート(約79kD)は国際公開第99/15675号に開示されており、PhtXファミリーのメンバーであるとも考えられる。PhtEは国際公開第00/30299号に開示されており、BVH−3とも呼ばれる。本明細書で任意のPhtタンパク質に言及する場合、それはPhtタンパク質の免疫原性断片またはその融合物を用いることができることを意味する。例えば、PhtXに対する参照は、任意のPhtタンパク質に由来する免疫原性断片またはその融合物を含む。PhtDまたはPhtBに対する参照はまた、例えば、国際公開第0198334号に見出されるように、PhtDEまたはPhtBE融合体に対する参照でもある。
【0094】
肺炎球菌溶血素は、異なる細胞溶解活性(溶血活性)および補体活性化活性を有する多機能毒素である(Rubinsら、Am.Respi.Cit Care Med,153:1339−1346(1996))。この毒素は肺炎球菌によって分泌されないが、それは自己溶解素の影響下での肺炎球菌の溶解の際に放出される。その効果としては、例えば、ヒト単球による炎症性サイトカインの産生、ヒト気道上皮上での繊毛の脈動の阻害、ならびに好中球の殺菌活性および移動の低下が挙げられる。肺炎球菌溶血素の最も明らかな効果は、赤血球の溶解におけるものであり、それはコレステロールへの結合を含む。それは毒素であるため、それを解毒する必要があり(すなわち、防御にとって好適な用量で提供された場合、ヒトに対して非毒性的である)、その後、インビボで投与することができる。野生型または天然の肺炎球菌溶血素の発現およびクローニングは当業界で公知である。例えば、Walkerら(Infect Immun,55:1184−1189(1987))、Mitchellら(Biochim Biophys Acta,1007:67−72(1989))およびMitchellら(NAR,18:4010(1990))を参照されたい。plyの解毒を、化学的手段により、例えば、ホルマリンもしくはグルタルアルデヒド処理または両方の組合せにかけることにより行うことができる(国際公開第04081515号、PCT/EP2005/010258)。そのような方法は、様々な毒素について当業界でよく知られている。あるいは、plyを遺伝的に解毒することができる。かくして、本発明は、例えば、突然変異タンパク質であってよい、肺炎球菌タンパク質の誘導体を包含する。本明細書で用いられる用語「突然変異された」とは、例えば、部位特異的突然変異誘発などのよく知られた技術または任意の他の従来方法を用いて、1個以上のアミノ酸の欠失、付加または置換を受けた分子を意味する。例えば、上記のように、突然変異plyタンパク質を、それがその免疫原性エピトープを維持しながら、生物学的に不活性であるように変化させることができ、例えば、国際公開第90/06951号、Berryら(Infect Immun,67:981−985(1999))、国際公開第99/03884号および国際公開第10/71986号を参照されたい。遺伝子的に解毒した肺炎球菌溶血素は、国際公開第10/71986号に記載されているようにアミノ酸65(スレオニン)、293(グリシン)および/または428(システイン)において点突然変異を含有し得る。
【0095】
本明細書で用いられる場合、用語「Ply」とは医学的使用にとって好適な突然変異されるか、または解毒された(すなわち、非毒性的である)肺炎球菌溶血素を指すことが理解される。
【0096】
コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)に関しては、そのファミリーのメンバーは元々、コリンアフィニティクロマトグラフィーにより精製することができる肺炎球菌タンパク質として同定されたものである。コリン結合タンパク質は全部、細胞壁のテイコ酸および膜に結合したリポテイコ酸のホスホリルコリン部分に非共有結合している。構造的に、それらはファミリー全体に渡って一般的にいくつかの領域を有するが、このタンパク質の正確な性質(アミノ酸配列、長さなど)は変化してもよい。一般的には、コリン結合タンパク質は、N末端領域(N)、保存された反復領域(R1および/もしくはR2)、プロリンに富む領域(P)ならびに該タンパク質の約半分を含む、複数の反復からなる、保存されたコリン結合領域(C)を含む。本明細書で用いられるように、用語「コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)」は、国際公開第97/41151号に同定されたコリン結合タンパク質、PbcA、SpsA、PspC、CbpA、CbpDおよびCbpGからなる群より選択される。CbpAは国際公開第97/41151号に開示されている。CbpDおよびCbpGは国際公開第00/29434号に開示されている。PspCは国際公開第97/09994号に開示されている。PbcAは国際公開第98/21337号に開示されている。SpsAは国際公開第98/39450号に開示されたコリン結合タンパク質である。必要に応じて、コリン結合タンパク質を、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。
【0097】
本発明の実施形態は、「CbpX」が上記に定義されたものであり、「トランケート」がコリン結合領域(C)の50%以上を欠くCbpXタンパク質を指す、CbpXトランケートを含む。必要に応じて、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。必要に応じて、そのようなタンパク質トランケートは、(i)コリン結合領域および(ii)該タンパク質のN末端の半分の部分を欠き、ならびに少なくとも1個の反復領域(R1またはR2)を保持する。必要に応じて、該トランケートは、2個の反復領域(R1およびR2)を有する。そのような実施形態の例は、国際公開第99/51266号または国際公開第99/51188号に例示されたNR1xR2およびR1xR2であるが、同様のコリン結合領域を欠く他のコリン結合タンパク質も本発明の範囲内に意図される。
【0098】
LytXファミリーは、細胞溶解に関連する膜結合タンパク質である。そのN末端ドメインはコリン結合ドメインを含むが、LytXファミリーは上記のCbpAファミリーに認められる全ての特徴を有さず、かくして、本発明については、LytXファミリーはCbpXファミリーとは異なると考えられる。CbpXファミリーとは対照的に、C末端ドメインは、LytXタンパク質ファミリーの触媒ドメインを含む。前記ファミリーは、LytA、BおよびCを含む。LytXファミリーに関して、LytAはRondaら、Eur J Biochem,164:621−624(1987)に開示されている。LytBは国際公開第98/18930号に開示されており、Sp46とも呼ばれる。LytCも国際公開第98/18930号に開示されており、Sp91とも呼ばれる。本発明の実施形態はLytCを含む。
【0099】
別の実施形態は、「LytX」が上記に定義され、「トランケート」がコリン結合領域の50%以上を欠くLytXタンパク質を指す、LytXトランケートを含む。必要に応じて、そのようなタンパク質は、コリン結合領域全体を欠く。本発明のさらに別の実施形態は、CbpXトランケート−LytXトランケートキメラタンパク質(または融合物)を含む。必要に応じて、これはCbpXのNR1xR2(またはR1xR2)およびLytX(例えば、LytCCtermまたはSp91Cterm)のC末端部分(Cterm、すなわち、コリン結合ドメインを欠く)を含む。必要に応じて、CbpXを、CbpA、PbcA、SpsAおよびPspCからなる群より選択する。必要に応じて、それはCbpAである。必要に応じて、LytXはLytC(Sp91とも呼ばれる)である。本発明の別の実施形態は、コリン結合ドメイン(C)を欠くPspAまたはPsaAトランケートであり、LytXとの融合タンパク質として発現される。必要に応じて、LytXはLytCである。
【0100】
PsaAおよびPspAに関しては、両方とも当業界で公知である。例えば、PsaAおよびその膜貫通欠失変異体は、Berry & Paton,Infect Immun 1996Dec;64(12):5255−62により記載されている。PspAおよびその膜貫通欠失変異体は、例えば、米国特許第5,804,193号、国際公開第92/14488号、および国際公開第99/53940号に開示されている。
【0101】
Sp128およびSp130は、国際公開第00/76540号に開示されている。Sp125は、LPXTG(式中、Xは任意のアミノ酸である)の細胞壁固定モチーフを有する肺炎球菌表面タンパク質の例である。このモチーフを有するこのクラスの肺炎球菌表面タンパク質内の任意のタンパク質は、本発明の状況内で有用であることがわかっており、従って、本発明のさらなるタンパク質であると考えられる。Sp125自体は、国際公開第98/18930号に開示されており、ZmpB(亜鉛メタロプロテイナーゼ)としても知られる。Sp101は国際公開第98/06734号に開示されている(それは参照番号y85993を有する)。それはI型シグナル配列を特徴とする。Sp133は国際公開第98/06734号に開示されている(それは参照番号y85992を有する)。それもI型シグナル配列を特徴とする。
【0102】
組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができるモラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)タンパク質抗原の例は、OMP106[国際公開第97/41731号(Antex)および国際公開第96/34960号(PMC)];OMP21またはその断片(国際公開第0018910号);LbpAおよび/またはLbpB[国際公開第98/55606号(PMC)];TbpAおよび/またはTbpB[国際公開第97/13785号および国際公開第97/32980号(PMC)];CopB[Helminen MEら(1993)Infect.Immun.61:2003−2010];UspA1および/またはUspA2[国際公開第93/03761号(University of Texas)];OmpCD;HasR(PCT/EP99/03824);PilQ(PCT/EP99/03823);OMP85(PCT/EP00/01468);lipo06(GB9917977.2);lipo10(GB9918208.1);lipo11(GB9918302.2);lipo18(GB9918038.2);P6(PCT/EP99/03038);D15(PCT/EP99/03822);OmplA1(PCT/EP99/06781);Hly3(PCT/EP99/03257);ならびにOmpEである。組合せワクチン(特に、中耳炎の予防のための)に含有させることができる非分類性インフルエンザ菌抗原またはその断片の例としては、フィンブリンタンパク質[(米国特許第5,766,608号−Ohio State Research Foundation)]およびそれに由来するペプチドを含む融合物[例えば、LB1(f)ペプチド融合物;米国特許第5,843,464号(OSU)もしくは国際公開第99/64067];OMP26[国際公開第97/01638(Cortecs)];P6[EP281673(State University of New York)];TbpAおよび/またはTbpB;Hia;Hsf;Hin47;Hif;Hmw1;Hmw2;Hmw3;Hmw4;Hap;D15(国際公開第94/12641号);P2;ならびにP5(国際公開第94/26304号)が挙げられる。
【0103】
本発明のタンパク質を有益に混合することもできる。混合するとは、免疫原性組成物が、担体タンパク質として、または遊離タンパク質として、または2つの混合物として、以下の組合せ内に由来する全てのタンパク質を含むことを意味する。例えば、本明細書の以後に記載する2つのタンパク質の組合せにおいては、両タンパク質を担体タンパク質として用いるか、または両タンパク質を遊離タンパク質として存在させるか、または両方を担体として、および遊離タンパク質として存在させるか、または一方を担体タンパク質および遊離タンパク質として存在させるが、他方を担体タンパク質としてのみ、もしくは遊離タンパク質としてのみ存在させるか、または一方を担体タンパク質として存在させ、他方を遊離タンパク質として存在させることができる。3種のタンパク質の組合せを与える場合、同様の可能性が存在する。組合せとしては、限定されるものではないが、PhtD+NR1xR2、PhtD+NR1xR2−Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtD+Ply、PhtD+Sp128、PhtD+PsaA、PhtD+PspA、PhtA+NR1xR2、PhtA+NR1xR2−Sp91Ctermキメラもしくは融合タンパク質、PhtA+Ply、PhtA+Sp128、PhtA+PsaA、PhtA+PspA、NR1xR2+LytC、NR1xR2+PspA、NR1xR2+PsaA、NR1xR2+Sp128、R1xR2+LytC、R1xR2+PspA、R1xR2+PsaA、R1xR2+Sp128、R1xR2+PhtD、R1xR2+PhtAが挙げられる。必要に応じて、NR1xR2(またはR1xR2)はCbpAまたはPspCに由来する。必要に応じて、それはCbpAに由来するものである。他の組合せとしては、PhtD+NR1xR2+Ply、およびPhtA+NR1xR2+PhtDなどの3種のタンパク質の組合せが挙げられる。一実施形態においては、前記ワクチン組成物は、担体タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。さらなる実施形態においては、前記ワクチン組成物は、遊離タンパク質として解毒された肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはPhtDEを含む。
【0104】
本発明はさらに、本発明の免疫原性組成物と薬学上許容される賦形剤とを含んでなるワクチンを提供する。
【0105】
本発明のワクチンを、特に、幼児集団における使用だけでなく、高齢者集団における使用について意図される場合、アジュバント化してもよい。好適なアジュバントとしては、水酸化アルミニウムゲルもしくはリン酸アルミニウムもしくはミョウバンなどのアルミニウム塩が挙げられるが、カルシウム、マグネシウム、鉄もしくは亜鉛のものなどの他の金属塩であってもよく、またはアシル化チロシン、もしくはアシル化糖、陽イオン的もしくは陰イオン的に誘導体化された糖類、もしくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
【0106】
前記アジュバントをTH1型の応答の優先的な誘導因子であるように選択する。そのような高レベルのTh1型サイトカインは所与の抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を好む傾向があるが、高レベルのTh2型サイトカインは該抗原に対する体液性免疫応答の誘導を好む傾向がある。
【0107】
Th1およびTh2型免疫応答の区別は絶対的ではない。現実には、個体は主にTh1または主にTh2であると記載される免疫応答を支援するであろう。しかしながら、MosmannおよびCoffman(Mosmann,T.R.およびCoffman,R.L.(1989)TH1 and TH2 cells:different patterns of lymphokine secretion lead to different functional properties.(Annual Review of Immunology,7,p145−173))によりマウスCD4+veT細胞クローンにおいて記載されたことに関してサイトカインのファミリーを考慮することが都合がよいことが多い。伝統的には、Th1型応答は、Tリンパ球によるINFγおよびIL−2サイトカインの産生と関連する。Th1型免疫応答の誘導と直接関連することが多い他のサイトカイン、例えば、IL−12などは、T細胞によっては産生されない。対照的に、Th2型応答はIL−4、IL−5、IL−6、IL−10の分泌と関連する。主にTh1応答を促進する好適なアジュバント系としては、モノホスホリルリピドAもしくはその誘導体(もしくは一般的には解毒されたリピドA−例えば、国際公開第2005107798号を参照されたい)、特に、3−脱−O−アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)(その調製については、GB2220211 Aを参照されたい);ならびにモノホスホリルリピドA、必要に応じて、3−脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAと、アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウムもしくは水酸化アルミニウム)または水中油乳濁液との組合せが挙げられる。そのような組合せにおいては、抗原と3D−MPLを、同じ粒子状構造中に含有させ、抗原および免疫刺激シグナルのより効率的な送達を可能にする。3D−MPLがミョウバンに吸着された抗原の免疫原性をさらに増強することができることが研究により示された[Thoelenら、Vaccine(1998)16:708−14;EP689454−B1]。
【0108】
増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体の組合せ、特に、国際公開第94/00153号に開示されたQS21と3D−MPLの組合せ、またはQS21が国際公開第96/33739号に開示されたコレステロールでクエンチされた反応性の低い組成物を含む。水中油乳濁液中にQS21、3D−MPLおよびトコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤が、国際公開第95/17210号に記載されている。一実施形態においては、前記免疫原性組成物はさらに、QS21であってよいサポニンを含む。前記製剤はまた、水中油乳濁液およびトコフェロールを含んでもよい(国際公開第95/17210号)。非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチド(国際公開第96/02555号)および他の免疫調節オリゴヌクレオチド(国際公開第0226757号および国際公開第03507822号)も、TH1応答の優先的な誘導因子であり、本発明における使用にとって好適である。
【0109】
本発明の免疫原性組成物を含むワクチン調製物を用いて、全身または粘膜経路を介して該ワクチンを投与することにより、感染に罹りやすい哺乳動物を防御または治療することができる。これらの投与としては、筋肉内(IM)、腹腔内(IP)、皮内(ID)もしくは皮下(SC)経路を介する注入;または経口/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与が挙げられる。肺炎または中耳炎の治療のためのワクチンの鼻内(IN)投与が可能である(肺炎球菌の鼻咽頭運搬をより効率的に防止し、かくして、その最も早い段階で感染を弱めることができる)。本発明のワクチンを単回投与として投与することができるが、その成分を同時に、または異なる時点で一緒に同時投与することもできる(例えば、肺炎球菌糖類コンジュゲートを、別々に、同時に、または互いに関して免疫応答の最適な協調のためにワクチンの任意の細菌タンパク質成分の投与の1〜2週間後に投与することができる)。同時投与のためには、最適なTh1アジュバントは、異なる投与のいずれか、または全部に存在してもよい。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を用いてもよい。例えば、糖類または糖類コンジュゲートをIM(またはID)投与し、細菌タンパク質をIN(またはID)投与することができる。さらに、本発明のワクチンを、初回用量についてはIMで、追加用量についてはINで投与することができる。
【0110】
ワクチン中のタンパク質抗原の含量は、典型的には、1〜100μg、必要に応じて、5〜50μgの範囲、例えば、5〜25μgの範囲にあるであろう。初回のワクチン接種後、被験体は十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0111】
ワクチン調製物はVaccine Design(「The subunit and adjuvant approach」(Powell M.F.&Newman M.J.(編))(1995)Plenum Press New York)に一般的に記載されている。リポソーム内への封入は、Fullertonの米国特許第4,235,877号により記載されている。
【0112】
本発明のワクチンまたは免疫原性組成物を、溶液中で保存するか、または凍結乾燥することができる。一実施形態において、溶液を、無定形の溶解保護剤(lyoprotectant)として作用する糖(例えば、スクロース、トレハロース、グルコース、マンノース、マルトースまたはラクトース)の存在下で凍結乾燥する。一実施形態において、溶液を、無定形の溶解保護剤として作用する糖および改善されたケーキ構造を提供する充填剤(グリシンまたはマンニトール)の存在下で凍結乾燥する。結晶性充填剤の存在により、高塩濃度の存在下で凍結乾燥サイクルを短縮することができる。本発明の免疫原性組成物またはワクチンの凍結乾燥に使用するためのこのような混合物の例としては、スクロース/グリシン、トレハロース/グリシン、グルコース/グリシン、マンノース/グリシン、マルトース/グリシン、スクロース/マンニトール、トレハロース/マンニトール、グルコース/マンニトール、マンノース/マンニトール、およびマルトース/マンニトールが挙げられる。典型的には、2つの成分のモル比は、必要に応じて1:1、1:2、1:3、1:4、1:5または1:6である。本発明の免疫原性組成物は、必要に応じて上記の凍結乾燥試薬を含む。
【0113】
上記安定化剤および安定化剤の混合物は、さらに製剤のガラス転移温度(Tg’)を増大させることができるポリマー、例えば、ポリ(ビニル−ピロリドン)(PVP)、ヒドロキシエチルスターチもしくはデキストラン、または結晶性充填剤として作用するポリマー、例えば1500〜6000の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)およびデキストランを含むことができる。
【0114】
本発明の免疫原性組成物を、必要に応じて凍結乾燥し、使用前に即席に再構成させる。凍結乾燥はより安定な組成物(ワクチン)をもたらし、3D−MPLの存在下およびアルミニウムに基づくアジュバントの非存在下ではおそらくより高い抗体力価をもたらし得る。
【0115】
本発明の一態様においては、必要に応じて、凍結乾燥形態の本発明の免疫原性組成物を含むバイアルを含み、および本明細書に記載のアジュバントを含むバイアルをさらに含むワクチンキットを提供する。本発明のこの態様においては、前記アジュバントを用いて、凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成することが想定される。
【0116】
本発明はさらに、インフルエンザ菌タンパク質、例えば、コンジュゲートされた形態のタンパク質Dの添加により、インフルエンザ菌により引き起こされる中耳炎の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。さらに、本発明はさらに、本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物に、遊離タンパク質として、またはコンジュゲートされたタンパク質として1種または2種の肺炎球菌タンパク質を添加することによる、幼児における肺炎球菌感染(例えば、中耳炎)の予防または軽減のための改良されたワクチンを提供する。前記肺炎球菌を含まないタンパク質は、担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じであるか、または異なっていてもよい。1種以上のモラクセラ・カタラリスタンパク質抗原を、遊離形態またはコンジュゲートされた形態で組合せワクチン中に含有させることもできる。かくして、本発明は、幼児における中耳炎に対する(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0117】
別の実施形態においては、本発明は、安全かつ有効な量の本発明のワクチン[小児用ワクチン]を投与することにより、幼児(本発明の文脈においては0〜2歳の年齢と定義される)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。本発明のさらなる実施形態は、医学における使用のための本発明の抗原性肺炎連鎖球菌コンジュゲート組成物の提供および肺炎球菌疾患の予防(または治療)のための医薬の製造における本発明の肺炎連鎖球菌コンジュゲートの使用を含む。
【0118】
別の実施形態においては、本発明は、必要に応じて、遊離肺炎連鎖球菌タンパク質が担体タンパク質として用いられる任意の肺炎連鎖球菌タンパク質と同じか、または異なるものであってよい、遊離タンパク質またはコンジュゲートされたタンパク質として存在する1種または2種の肺炎連鎖球菌タンパク質と結合させた、安全かつ有効な量の本発明のワクチンを投与することにより、高齢者集団(本発明の文脈においては、患者が50歳以上の年齢であり、典型的には、55歳を超える年齢であり、より一般的には、60歳を超える年齢である場合、高齢者であると考えられる)における(防御)免疫応答を誘起するための改良された方法である。
【0119】
本発明のさらなる態様は、免疫防御用量の本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットを宿主に投与することを含む、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患に対してヒト宿主を免疫する方法である。
【0120】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防における使用のための本発明の免疫原性組成物である。
【0121】
本発明のさらなる態様は、肺炎連鎖球菌および必要に応じて、インフルエンザ菌の感染により引き起こされる疾患の治療または予防のための医薬の製造における、本発明の免疫原性組成物またはワクチンまたはキットの使用である。
【0122】
本明細書に記載の用語「含む(comprising)」、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、全ての例において、それぞれ、必要に応じて用語「からなる(consisting of)」、「からなる(consist of)」および「からなる(consists of)」と置換可能であると本発明者らにより意図される。
【0123】
本発明の「ワクチン組成物」に関する本明細書に記載の実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態にも適用可能であり、その逆も可能である。
【0124】
本特許明細書内で引用される全ての参考文献または特許出願は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0125】
本発明をより良好に理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示のみのためであり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0126】
実施例1 コンジュゲーションプロセス
7価Prevnarワクチンを構成する肺炎球菌コンジュゲーションを、国際公開第06/110381号に開示されるものと同様の還元的アミノ化プロセスによって各血清型多糖類をCRM197担体タンパク質にコンジュゲーションすることで作製する。CRM197にコンジュゲートされた肺炎球菌血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの全ては7vCRMワクチンに存在する。
【0127】
Synflorixは、同じ血清型を7vCRMとして含有し、同様に、追加の血清型1、5および7Fを含有する。血清型1、4、5、6B、7F、9V、14および23Fの多糖類を分類不可能なインフルエンザ菌由来のタンパク質Dにコンジュゲートし、18C多糖類を破傷風トキソイドにコンジュゲートし、19F多糖類をジフテリアトキソイドにコンジュゲートする。コンジュゲーション反応では、国際公開第09/00824号に実質的に記載されたシアニル化試薬CDAPを使用する。
【0128】
血清型18Cを、カルボジイミド化学(EDAC)を使用してADHリンカーによりコンジュゲートして、ADHおよびCDAP化学を用いて破傷風トキソイドを活性化させて、多糖類18CをTT−ADHと結合させた。この反応は国際公開第09/00824号に実質的に記載されている。
【0129】
実施例1a CDAPによる肺炎連鎖球菌血清型のコンジュゲーション
200mgの微小流動化PS23Fを、10mg/mlの濃度を得るまで、水中に溶解した。NaClをこの溶液に最終濃度2Mで加えた。十分なCDAP溶液(5/50v/vのアセトニトリル/WFI中で新たに調製した100mg/ml)を、0.75mg/mgのPSのCDAP:PS比に到達するまで加えた。90秒後、pHを0.1MのNaOHを添加することでpH9.5まで上昇させた。3分後、十分なCRM197(0.15MのNaCL中の10mg/ml)を加え、1.5の比(CRM197:PS(w/w))まで到達させ、pHをpH9.5に維持した。この溶液を1時間pH9.5でインキュベートした。この結合工程の後、10mlの2Mグリシン溶液を混合物に加え、pHをpH9.0(クエンチングpH)に調整した。その溶液を30分室温にて攪拌した。コンジュゲートを、5μmフィルターを用いて精製し、その後、小分子およびコンジュゲートされていない多糖類およびタンパク質を除去するSephacryl S400HR(XK50/100)を用いて精製した。流速を150ml/時間に固定した。溶出を150mMのNaclを用いて達成した。対象の画分をプールし、Milipack20を用いて濾過した。得られたコンジュゲートは、1.35/1(w/w)の最終CRM197/PS比(w/w)を有した。
【0130】
実施例2 7vCRM197(Prevnar)ワクチンとPHiD−CV(Synflorix)ワクチンとを比較する臨床試験データ
7vCRM197およびPHiD−CVにより肺炎連鎖球菌19Fおよび19Aに対して誘発された免疫応答で比較した。両方のワクチンは19Fコンジュゲーションを含有し、その19Fコンジュゲーションは、7vCRM197において還元的アミノ化により非毒性ジフテリア毒素CRM197にコンジュゲーションされ、PHiD−CVにおいてシアニル化試薬CDAPを用いてジフテリアトキソイドとコンジュゲートされる。どちらのワクチンも19Aコンジュゲートを含有しないが、19Aと19Fとの間の類似する構造により、19Fでの免疫付与後に、19Aに対する交差反応性抗体のいくらかの生成を可能にする。
【0131】
血清サンプル
3回投与の一次シリーズにおいて幼児に対して投与した7vCRMおよびPHiD−CVを比較する3つの一次ワクチン研究(001、011および012)8−10からのデータを評価した(一次研究の詳細に関する表1を参照のこと)。各一次研究に関連する追加免疫研究からのデータもまた分析した(007,017および018)(追加免疫研究の詳細に関する表2を参照のこと)。全ての研究において、血液サンプルを、3回投与の1ヶ月後(一次研究)および追加免疫投与の1ヶ月後(追加投与研究)に回収した。
【0132】
免疫アッセイ
血清型19Fおよび関連する血清型19Aに対する抗体反応を、GSK Biologicalsにより開発された22Fプレインキュベーション工程を用いるELISAを使用して評価した(GSK−22F−ELISAにおいて、異種血清型22F多糖類を加えて、非血清型特異的抗体および非オプソニン抗体を除去した)6,7。22F阻害ELISAに関するアッセイ感度は、0.05μg/mL lgGであった。機能的抗体反応を、HL−60細胞WHO参照法の改変を用いるGSKおよびTHL OPAアッセイを使用して評価した2,4。OPA力価を、コントロールウェルと比較して≧50%の細菌細胞死を誘導する最低血清希釈の逆数として定義し、≧8の力価(1:8の血清希釈)をこのアッセイの閾値として使用した2,4。加えて、血清型19F(Dr.David Goldblatt,Institute of Child Health,UKから取得)に対する≧2.0μg/mLの抗体濃度を有し、予防接種を受けていない健康な成人(National Institutes of Health blood bank,Bethesda,Marylandから取得)からの血清を、異なる形態の血清型19F抗原による結合および阻害に使用した(還元的アミノ化およびシアニル化を用いるコンジュゲートされていない天然多糖類およびコンジュゲートされた19F)。
【0133】
統計的分析
ELISA IgG抗体濃度≧0.2μg/mLを有する血清サンプルの割合およびOPA力価≧8を有する血清サンプルの割合を、95%信頼区間で計算した。幾何平均OPA力価(GMT)および幾何平均OPA/ELISA比(GMR)を計算して、抗体力価値のみと比較して機能活性を評価した。架橋GSKおよびTHL OPAアッセイを実施して、異なる研究所でのOPA応答における信頼度を評価した。
【0134】
結果
少なくとも1つの血清型(19Aまたは19Fのいずれか)に関するデータは、PHiD−CVで抗原刺激した709人の幼児および7vCRMで抗原刺激した331人の幼児の合計(表1)、ならびにPHiD−CVで追加免疫した690人の幼児および7vCRMで追加免疫した292人の幼児の合計(表2)について利用可能であった。
【0135】
免疫原性
血清型19F−一次ワクチン接種
3つの一次研究にわたって、血清型19Fに対するOPA力価≧8を、7vCRMを受けた91.3−92.1%の幼児と比較して、PHiD−CVを受けた87.7−99.3%の幼児において達成した(図2)。血清型19Fに関するOPA GMTおよびOPA/ELISA GMRは、PHiD−CVを受けた幼児よりも高かった(表1)。
【0136】
血清型19F−追加免疫ワクチン接種
追加免疫研究において、血清型19Fに対するOPA力価≧8を、7vCRMを受けた92.5−98.5%の幼児と比較して、PHiD−CVを受けた94.9−100.0%の幼児において達成した(図2)。血清型19Fに関するOPA GMTは、PHiD−CVを受けた幼児よりも高く、OPA/ELISA GMRは、両方のワクチンとも同じ範囲であった(表2)。
【0137】
血清型19A−一次ワクチン接種
交差反応性血清型19Aに対するOPA力価≧8を、7vCRMを受けた0.0−3.4%の幼児と比較して、PHiD−CVを受けた19.6−28.7%の幼児において達成した(図3)。血清型19Aに関するOPA GMTはまた、PHiD−CVを受けた幼児において高かった(表1)。
【0138】
血清型19A−追加免疫ワクチン接種
交差反応性血清型19Aに対するOPA力価≧8を、7vCRMを受けた24.0−37.5%の幼児と比較して、PHiD−CVを受けた37.7−69.2%の幼児において達成した(図3)。血清型19Aに関するOPA GMTは、概してPHiD−CVを受けた幼児において高かった(表2)。
【0139】
架橋OPAアッセイ
19F OPA結果は、架橋研究において評価する場合、GSKとTHLとの間で比較可能であるが、GSKでの19A OPAアッセイは反応を過小評価しているように見える。19Fコンジュゲートを免疫付与した子供の有意な割合は、GSKでは血清反応陰性であるが、THLで19A OPAに対して血清反応陽性に変わった。
【0140】
結論
シアニル化コンジュゲーション化学により調製された19F−DTを含有するPHiD−CVは、OPAアッセイにより測定されるように、還元的アミノ化により調製された19F−CRM197を含有する7vCRMワクチン接種と比較して、血清型19Fに対する機能的抗体の高いレベルを誘導した。シアニル化−コンジュゲーションを用いて達成された血清型19Fに対する高いOPA反応もまた、7vCRMと比較してPHiD−CVについて交差反応性血清型19Aに対するOPA反応を改善させた。架橋データは、GSK 19A OPAアッセイが血清型19A OPA反応を過小評価していることを示唆している。
【表1】

【表2】

【0141】
実施例3 過ヨード酸塩を使用する23Fおよび6Bの酸化
多糖類(PS)23Fまたは6Bを100mMのKHPO(pH7.4)、10mMのKHPOまたはWFI中に溶解して、2mgPS/mlの溶液を形成した。溶液を2時間攪拌しながら室温にてインキュベートした。この時間の後、pHを1MHClでpH6.0に調整した。過ヨード酸塩を粉末形態または液体形態(WFI中の10mg/ml)として種々の量で加えて、モル比の範囲を達成した(表3)。その溶液を17時間室温(20〜25℃)にてインキュベートし、この時間の後、サンプルをWFIに対して透析またはジアフィルター(diafiltered)した。
【0142】
屈折率および多角度光錯乱(MALLS−Dawn EOS)の検出器と結合された高性能ゲル濾過クロマトグラフィーを使用して、Zimmモデルを適用して分子量およびサンプル濃度を測定した。サイズ排除媒体(TSK5000PWXL−Tosoh)を使用して、多糖類の分子サイズ分配をプロファイルした(NaCl 0.2M−NaN3 0.02%中で溶出0.5ml/分)。
【0143】
表3および図4はこれらの実験の結果を示している。これらは、23F糖類の十分なサイズ変更が、100mMのリン酸緩衝液中の高モル当量の過ヨード酸塩を用いる酸化で起こることを示している。このサイズ変更の影響は、リン酸緩衝液の濃度を減少させるかまたは用いる過ヨード酸塩のモル当量るを低減させることで低減させることができる。
【表3】

【0144】
還元的アミノ化
1gのPS23Fを500mlの10mMのKHPO、pH7.15に溶解した。この溶液を2時間室温にてインキュベートした。pHを1MのHClで6.0Mに調整した。111mgの過ヨード酸塩(NaIO、0.4モル当量の過ヨード酸塩)をPS23F溶液に加え、この溶液を暗所で室温にて17時間インキュベートして、PS23Fを酸化させた。次いでこの溶液をWFI(Pellicon 2,1000cm)に対してジアフィルターした。
【0145】
酸化PS23Fを、3%スクロース(w/v)の存在下でCRM197タンパク質(CRM/PS比(w/w):0.625にて)とともに凍結乾燥させた。
【0146】
900mgの凍結乾燥PS23F/CRM197混合物を、350mlのDMSO溶媒を添加し、20℃にて2時間インキュベートすることで可溶化した。PS23F/CRM197混合物を減少されるために、1モル当量のNaBHCNを加えた(100mg/mlのWFI中の735μlの溶液)。その溶液を更に40時間室温にて攪拌しながらインキュベートした。この時間の後、2モル当量のNaBH(WFI中の100mg/ml)を加え、この溶液を4時間室温にてインキュベートした。2200mlの150mMのNaClを加え、その後ジアフィルター(100kDaをカットオフ)し、DEAE(XK50)で精製した。対象の画分をプールし、0.22μmフィルターで濾過した。
【0147】
実施例4 還元的アミノ化を用いてコンジュゲートされたPS23F−CRMコンジュゲートの免疫原性と、CDAP化学を用いてコンジュゲートされたPS23F−CRMコンジュゲートの免疫原性との比較
モルモットモデルで測定した免疫原性
雌のモルモットに、0.25μgのPS23F−CRM197コンジュゲートを筋肉内に3回(0日目、14日目、および28日目にて)免疫付与した。動物を42日目に出血させ、PS23Fに対する抗体反応をELISAおよびOPAにより測定した。結果を図5に示す。
【0148】
図5に見られるように、CDAP化学によりコンジュゲートされたPS23F−CRM197よりも還元的アミノ化によりコンジュゲートされたPS23F−CRM197で免疫付与した後に、有意に高い抗体反応がモルモットにおいて誘導された。
【0149】
実施例5 還元的アミノ化を用いてコンジュゲートされたPS6B−CRMコンジュゲートの免疫原性と、CDAP化学を用いてコンジュゲートされたPS6B−CRMまたはPS6B−PDコンジュゲートの免疫原性との比較
前臨床研究
40匹の雌のBalb/cマウス(4週齢)の群に、AlPO4で製剤化された還元的アミノ化またはCDAP化学によって生成された0.1μgのPS6Bコンジュゲートを用いて、0日目、14日目および28日目にて筋肉内に3回免疫付与した。PS6B−PDをベンチマークとして使用した。マウスを42日目に出血させ、各抗原に対する抗体反応をELISAおよびOPAにより測定した。
【0150】
20匹の雌のモルモット(Hartleyから150gr)の群に、AlPO4にで製剤化された還元的アミノ化またはCDAP化学によって生成された0.25μgのPS6Bコンジュゲートを用いて、0日目、14日目および28日目にて筋肉内に3回免疫付与した。PS6B−PDをベンチマークとして使用した。モルモットを42日目に出血させ、各抗原に対する抗体反応をELISAおよびOPAにより測定した。
【0151】
還元的アミノ化により作製した4種の異なるコンジュゲートのPS6B−CRMと、CDAPを用いて作製した1つを使用した。多糖類を微小流動化して、2つの異なる分子量にした。コンジュゲートの特性は以下のとおりであった:
コンジュゲート PSサイズ CRM/PS比(w/w)
PS06B−CRM 122 84kDa 1.09/1
PS06B−CRM 123 84kDa 3/1
PS06B−CRM 124 350kDa 1.6/1
PS06B−CRM 125 350kDa 2.9/1
マウスおよびモルモットOPA
血清サンプルを45分間56℃にて加熱して、あらゆる残留する内因性補体を不活性化した。各々の1:2で希釈した血清サンプルの25マイクロリットルのアリコートを、96ウェル丸底マイクロタイタープレートのウェル当り25μlのOPA緩衝液(HBSS−14.4%の不活性化FBS)で2倍連続希釈した。続いて、例えば、4/2/1の比(v/v/v)で活性化HL−60細胞(1×10細胞/ml)、新たに解凍した肺炎球菌作業種および新たに解凍したベビーウサギの補体の25μlの混合物を、希釈した血清に加えて最終濃度を50μlとした。アッセイプレートを、軌道振とう(210rpm)しながら2時間37℃でインキュベートして、食作用過程を促進させた。反応を、マイクロプレートを氷上に少なくとも1分間置くことで停止した。次いで、プレートの各ウェルの20μlのアリコートを、96ウェル平底マイクロプレートの対応するウェルに移し、50μlのTodd−Hewitt Broth−0.9%寒天を各ウェルに加えた。一晩37℃、5% CO2にてインキュベートした後、寒天上に現れた肺炎球菌コロニーを、自動化画像分析システム(KS400,Zeiss,Oberkochen,Germany)を用いてカウントした。血清サンプル無しの8個のウェルを、細菌コントロールとして用いて、ウェル当りの肺炎球菌数を決定した。コントロールウェルのCFUの平均数を決定し、各血清サンプルの殺活性の計算に使用した。血清サンプルについてのOPA力価を、肺炎球菌数の50%殺傷を促進できる血清の希釈率の逆数により決定した。オプソニン作用力価を、4パラメータ曲線フィッティング分析を用いて計算した。
【表4】

【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる免疫原性組成物であって、1種以上が、還元的アミノ化以外の化学によって直接または間接のいずれかでタンパク質担体に結合される血清型1、3、19Aおよび19Fからなる第1の群から選択され、かつ1種以上の異なる糖類が、還元的アミノ化によりタンパク質担体に結合される血清型4、5、6A、6B、7F、9V、14、18Cおよび23Fからなる第2の群から選択される、免疫原性組成物。
【請求項2】
還元的アミノ化以外の化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型1由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
血清型1由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、シアニル化化学、例えばCDAP化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
血清型1由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、カルボジイミド化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項2に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
還元的アミノ化以外の化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型3由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
血清型3由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、シアニル化化学、例えばCDAP化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
血清型3由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、カルボジイミド化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
還元的アミノ化以外の化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型19A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
血清型19A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、シアニル化化学、例えばCDAP化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
血清型19A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、カルボジイミド化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
還元的アミノ化以外の化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
血清型19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、シアニル化化学、例えばCDAP化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
血清型19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類が、カルボジイミド化学によってタンパク質担体にコンジュゲートされる、請求項11に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型4由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型5由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型6A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型6B由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型7F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型9V由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型14由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型18C由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
還元的アミノ化によってタンパク質担体にコンジュゲートされる血清型23F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
還元的アミノ化以外のコンジュゲーションプロセスによって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類と、還元的アミノ化によって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型23F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類とを含んでなる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
還元的アミノ化以外のコンジュゲーションプロセスによって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型19A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類と、還元的アミノ化によって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型23F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類とを含んでなる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項25】
還元的アミノ化以外のコンジュゲーションプロセスによって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型19F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類と、還元的アミノ化によって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型6Bおよび23F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類とを含んでなる、請求項1〜24のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項26】
還元的アミノ化以外のコンジュゲーションプロセスによって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型19A由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類と、還元的アミノ化によって担体タンパク質にコンジュゲートされる血清型6Bおよび23F由来の肺炎連鎖球菌莢膜糖類とを含んでなる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
前記還元的アミノ化以外のコンジュゲーションプロセスが、シアニル化反応、例えばCDAP化学である、請求項23〜26のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
前記担体タンパク質が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、タンパク質D、肺炎球菌溶血素およびPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質からなる群から選択される、請求項1〜27のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
2種の異なる担体タンパク質が、少なくとも2種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートされる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
3種の異なる担体タンパク質が、少なくとも3種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートされる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
4種の異なる担体タンパク質が、少なくとも4種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートされる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項32】
5種の異なる担体タンパク質が、少なくとも5種の異なる肺炎連鎖球菌莢膜糖類血清型に別々にコンジュゲートされる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項33】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類1を含んでなる、請求項1〜32のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項34】
タンパク質D、CRM197、肺炎球菌溶血素もしくはPhtDまたはそれらの断片もしくは融合タンパク質にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類3を含んでなる、請求項1〜33のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項35】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類4を含んでなる、請求項1〜34のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項36】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類5を含んでなる、請求項1〜35のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項37】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類6Bを含んでなる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項38】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類7Fを含んでなる、請求項1〜37のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項39】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類9Vを含んでなる、請求項1〜38のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項40】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類14をさらに含んでなる、請求項1〜39のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項41】
タンパク質DまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類23Fを含んでなる、請求項1〜40のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項42】
破傷風トキソイドまたはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類18Cを含んでなる、請求項1〜41のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項43】
肺炎球菌溶血素またはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類19Aを含んでなる、請求項1〜42のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項44】
CRM197もしくはPhtDまたはそれらの融合タンパク質の断片にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類22Fを含んでなる、請求項1〜43のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項45】
肺炎球菌溶血素またはインフルエンザ菌タンパク質、必要に応じてタンパク質DもしくはPhtDまたはそれらの融合タンパク質またはCRM197にコンジュゲートされる肺炎連鎖球菌莢膜糖類6Aを含んでなる、請求項1〜44のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項46】
血清型1莢膜糖類が担体タンパク質に直接コンジュゲートされる、請求項1〜45のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項47】
血清型1莢膜糖類がリンカーによって担体タンパク質にコンジュゲートされる、請求項1〜46のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項48】
前記リンカーがマレイミドを含有する、請求項47に記載の免疫原性組成物。
【請求項49】
前記リンカーが、必要に応じてEDACを用いるカルボジイミド化学によって糖類に結合される、請求項47または48に記載の免疫原性組成物。
【請求項50】
前記血清型1糖類が、マレイミド化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートされる、請求項47〜49のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項51】
担体タンパク質対血清型1糖類の比が、5:1〜1:5、4:1〜1:1または3.5:1〜2.5:1(w/w)である、請求項1〜50のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項52】
血清型3莢膜糖類が担体タンパク質に直接コンジュゲートされる、請求項1〜51のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項53】
血清型3莢膜糖類がリンカーによって担体タンパク質にコンジュゲートされる、請求項1〜51のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
前記リンカーがADHである、請求項53に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
前記リンカーが、必要に応じてEDACを用いるカルボジイミド化学によって担体タンパク質に結合される、請求項53または54に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
前記血清型3糖類が、EDAC化学を用いて担体タンパク質またはリンカーにコンジュゲートされる、請求項53〜55のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
担体タンパク質対血清型3糖類の比が、5:1〜1:5、4:1〜1:1または2:1〜1:1(w/w)である、請求項1〜56のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項58】
血清型6B糖類がタンパク質担体にコンジュゲートされ、担体タンパク質対血清型6B糖類の比が、5:1〜1:5、4:1〜1:1、3.5:1〜2:1または2:1〜1:1である、請求項1〜57のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項59】
19A糖類の平均サイズが、100kDa超、または110〜700kDa、110〜300、120〜200、130〜180、または140〜160kDaである、請求項1〜58のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項60】
前記19A糖類が天然多糖類であるか、またはx5以下の因子によりサイズ変更される、請求項59に記載の免疫原性組成物。
【請求項61】
前記19A糖類が微小流動化によりサイズ変更される、請求項59または60に記載の免疫原性組成物。
【請求項62】
19A糖類コンジュゲートの用量が1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類である、請求項1〜61のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項63】
19A糖類コンジュゲートの用量が3μgの糖類である、請求項62に記載の免疫原性組成物。
【請求項64】
糖類の平均サイズが50kDa超である、請求項1〜63のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項65】
300〜400kDaの平均糖類サイズを有する血清型1を含んでなる、請求項64に記載の免疫原性組成物。
【請求項66】
75〜125kDaの平均糖類サイズを有する血清型4を含んでなる、請求項64または65に記載の免疫原性組成物。
【請求項67】
350〜450kDaの平均糖類サイズを有する血清型5を含んでなる、請求項64、65または66に記載の免疫原性組成物。
【請求項68】
1000〜1400kDaまたは500〜50kDaまたは400〜200kDaまたは400〜300kDaまたは50〜100kDaの平均糖類サイズを有する血清型6Bを含んでなる、請求項64〜67のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項69】
200〜300kDaの平均糖類サイズを有する血清型7Fを含んでなる、請求項64〜68のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項70】
250〜300kDaの平均糖類サイズを有する血清型9Vを含んでなる、請求項64〜69のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項71】
200〜250kDaの平均糖類サイズを有する血清型14を含んでなる、請求項64〜70のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項72】
900〜1000kDaの平均糖類サイズを有する血清型23Fを含んでなる、請求項64〜71のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項73】
天然糖類として血清型5、6Bおよび23F(および必要に応じて6A)を含んでなる、請求項1〜72のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項74】
莢膜糖類コンジュゲートの用量が、コンジュゲートあたり1〜10μg、1〜5μg、または1〜3μgの糖類である、請求項1〜73のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項75】
血清型4、18C、19Fおよび22F(および必要に応じて19A)のコンジュゲートを、コンジュゲートあたり3μgの糖類の用量で含んでなる、請求項1〜74のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項76】
血清型1、5、6B、7F、9V、14および23F(ならびに必要に応じて6Aおよび/または3)のコンジュゲートを、コンジュゲートあたり1μgの糖類の用量で含んでなる、請求項1〜75のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項77】
コンジュゲートされた糖類血清型とコンジュゲートされていない糖類血清型の数が23以下となるように、コンジュゲートされたものとは異なる血清型のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌糖類をさらに含んでなる、請求項1〜76のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項78】
1種以上のコンジュゲートされていないまたはコンジュゲートされた肺炎連鎖球菌タンパク質をさらに含んでなる、請求項1〜77のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項79】
1種以上のコンジュゲートされていない肺炎連鎖球菌タンパク質を含んでなる、請求項78に記載の免疫原性組成物。
【請求項80】
前記1種以上の肺炎連鎖球菌タンパク質が、ポリヒスチジントライアドファミリー(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpXトランケート、LytXファミリー、LytXトランケート、CbpXトランケート−LytXトランケートキメラタンパク質、解毒した肺炎球菌溶血素(Ply)、PspA、PsaA、Sp128、Sp101、Sp130、Sp125およびSp133から選択される、請求項78または79に記載の免疫原性組成物。
【請求項81】
肺炎球菌溶血素を含んでなる、請求項78、79または80に記載の免疫原性組成物。
【請求項82】
PhtXタンパク質を含んでなる、請求項78〜81のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項83】
遊離または担体タンパク質として肺炎球菌溶血素を含んでなる、請求項1〜82のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項84】
遊離または担体タンパク質としてPhtXタンパク質を含んでなる、請求項1〜83のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項85】
前記PhtXタンパク質がPhtDまたはPhtBDまたはPhtDE融合タンパク質である、請求項84に記載の免疫原性組成物。
【請求項86】
アジュバントをさらに含んでなる、請求項1〜85のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項87】
少なくともまたは正確に10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20種の肺炎連鎖球菌莢膜糖類を含んでなる、請求項1〜86のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項88】
請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物と、薬学上許容される賦形剤とを含んでなる、ワクチン。
【請求項89】
請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を薬学上許容される賦形剤と混合する工程を含んでなる、請求項88に記載のワクチンを製造する方法。
【請求項90】
ヒト宿主を肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患に対して免疫感作する方法であって、該宿主に請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物または請求項88に記載のワクチンの免疫防御用量を投与する工程を含んでなる、方法。
【請求項91】
前記ヒト宿主が高齢者であり、前記疾患が肺炎または侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記ヒト宿主が高齢者であり、前記疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
前記ヒト宿主が幼児であり、前記疾患が中耳炎である、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記ヒト宿主が幼児であり、前記疾患が髄膜炎および/または菌血症である、請求項90または93に記載の方法。
【請求項95】
前記ヒト宿主が幼児であり、前記疾患が肺炎および/または結膜炎である、請求項90、93または94に記載の方法。
【請求項96】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患の治療または予防に使用するための、請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物または請求項88に記載のワクチン。
【請求項97】
肺炎連鎖球菌感染により引き起こされる疾患を治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物または請求項88に記載のワクチン。
【請求項98】
前記疾患が、ヒト高齢者の肺炎または侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)のいずれかまたは両方である、請求項97に記載の使用。
【請求項99】
前記疾患が、ヒト高齢者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪化である、請求項97または98に記載の使用。
【請求項100】
前記疾患が、ヒト幼児の中耳炎である、請求項97に記載の使用。
【請求項101】
前記疾患が、ヒト幼児の髄膜炎および/または菌血症である、請求項97または100に記載の使用。
【請求項102】
前記疾患が、ヒト幼児の肺炎および/または結膜炎である、請求項97、100または101に記載の使用。
【請求項103】
幼児に中耳炎に対する防御免疫応答を誘起する方法であって、別々のまたは組合わせた成分として、連続してまたは同時に、(i)請求項1〜103のいずれか一項に記載の免疫原性組成物またはワクチンと、(ii)タンパク質Dが遊離しているか、および/またはコンジュゲートされていてもよいインフルエンザ菌由来のタンパク質Dとの投与を含んでなる、方法。
【請求項104】
請求項1〜103のいずれか一項に記載の免疫原性組成物またはワクチンを投与することにより幼児に肺炎連鎖球菌に対する防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項105】
連続してまたは同時に、(i)請求項1〜104のいずれか一項に記載の免疫原性組成物またはワクチンと、(ii)PhtXファミリーおよび肺炎球菌溶血素からなる群から選択される1種以上の肺炎連鎖球菌表面タンパク質とを組合わせて投与することにより、高齢者に肺炎連鎖球菌に対する防御免疫応答を誘起する方法。
【請求項106】
以下の血清型:4、6B、9V、14、18C、19F、23F、1、5、7Fの少なくとも全てに由来する糖類コンジュゲートを含んでなり、ワクチン成分4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fのうちの1種以上に対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるGMC抗体力価より有意に低くない、請求項1〜87のいずれか一項に記載の免疫原性組成物または請求項88に記載のワクチン。
【請求項107】
血清型4に対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106に記載の免疫原性組成物。
【請求項108】
血清型6Bに対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106または107に記載の免疫原性組成物。
【請求項109】
血清型9Vに対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106〜108のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項110】
血清型14に対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106〜109のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項111】
血清型18Cに対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106〜110のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項112】
血清型19Fに対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106〜111のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項113】
血清型23Fに対して誘発されるGMC抗体力価が、ヒトワクチン被接種者においてPrevnar(登録商標)ワクチンにより誘発されるものより有意に低くない、請求項106〜112のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項114】
血清型3の糖類コンジュゲートを含んでなる、請求項106〜113のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項115】
血清型6Aの糖類コンジュゲートを含んでなる、請求項106〜114のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項116】
血清型19Aの糖類コンジュゲートを含んでなる、請求項106〜115のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項117】
血清型22Fの糖類コンジュゲートを含んでなる、請求項106〜116のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項118】
結晶性充填剤、必要に応じてマンニトールを含んでなる、請求項1〜117のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項119】
糖、必要に応じてスクロースを含んでなる、請求項118に記載の免疫原性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−521315(P2013−521315A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556393(P2012−556393)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061963
【国際公開番号】WO2011/110241
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】