説明

担体組成物

本発明の担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物及び比較的高濃度の極性プロトン性溶媒を含む。生理活性化合物が、本発明の担体組成物とともに製剤化されて、製剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性化合物の送達のための担体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
文書、行為及び知識事項が参照されるか又は議論される本明細書においては、この参照又は議論は、該文書、行為又は知識事項或いはそれらのいかなる組み合わせも、優先日において、公然と利用可能であり、公知であり、一般常識の一部であり、又は本明細書が関係する任意の問題を解決するための試みに関係していることが知られていたことを承認するものではない。
【0003】
薬物送達は、ヒト及び動物において治療効果を達成するために、医薬化合物を投与する方法又は工程である。
【0004】
薬物送達技術は、医薬化合物のバイオアベイラビリティー、安全性、持続時間、作用発現又は放出を改善するために開発されてきた。
【0005】
薬物送達技術を開発する場合、遭遇しそうな問題は、薬物送達系と医薬化合物の適合性、適切かつ有効な持続時間の維持、副作用の可能性並びに患者の便宜及びコンプライアンスを満たすことを含む。結論として、多くの薬物送達技術が望まれる改善及び要求に及ばない。
【0006】
したがって、有効に薬物を送達する、代替的な薬物送達系がなお必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
要約
驚くべきことに、電子移動剤のホスフェート化合物及び比較的高濃度の極性プロトン性溶媒を含む担体組成物が生理活性化合物の送達を改善することができることが発見された。
【0008】
本発明の第一の側面によれば、電子移動剤のホスフェート化合物及び極性プロトン性溶媒を含む、生理活性化合物の送達のための担体組成物が提供され、ここで、極性プロトン性溶媒の濃度は、担体組成物の総濃度の50%w/w超である。
【0009】
電子移動剤のホスフェート化合物及び極性プロトン性溶媒の、担体組成物の製造における使用も提供される。
【0010】
電子移動剤のホスフェート化合物及び極性プロトン性溶媒を、完全な均一化が達成されるまで混合するステップを含む、担体組成物の調製方法もさらに提供される。
【0011】
極性プロトン性溶媒の濃度は、好ましくは、約60%w/w〜約90%w/w、より好ましくは、約65%w/w〜約85%w/w、最も好ましくは、約70%w/w〜約80%w/wの範囲内にある。いくつかの状況では、好適な範囲は、約50%w/w〜約60%w/w、約60%w/w〜約70%w/w又は約80%w/w〜約90%w/wであることができる。
【0012】
1つの実施態様においては、極性プロトン性溶媒は、非環式アルコールである。C2-C3非環式アルコールが好ましく、そして、エタノール及びプロパノールが最も好ましい。
【0013】
電子移動剤は、抗酸化剤又はその誘導体化化合物であることができる。好ましい実施態様においては、電子移動剤は、ヒドロキシクロマンであり、好ましくは、トコフェロール又はトコトリエノールなどのトコールである。
【0014】
トコフェロールのホスフェート化合物は、モノ−(トコフェリル)ホスフェート、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二カリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、又はそれらの混合物からなる群から選ばれることができる。
【0015】
担体組成物が、モノ−(トコフェリル)ホスフェート及びジ−(トコフェリル)ホスフェートの混合物を含む場合、その比率は、好ましくは少なくとも2:1であり、より好ましくは、約4:1〜約1:4の範囲内、最も好ましくは、約6:4〜約8:2の範囲内にある。好ましい実施態様においては、該比率は、約6:4または約8:2である。
【0016】
担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物を、担体組成物の総濃度の、好ましくは約0.01%w/w〜約20%w/w、より好ましくは約0.01%w/w〜約10%w/w、最も好ましくは、約0.01%w/w〜約5%w/w又は約0.01%w/w〜約1%w/wの範囲内の量で含む。1つの実施態様においては、担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物を、約0.01%w/w〜約2%w/wの範囲内、好ましくは、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約1%w/wの量で含む。さらなる実施態様においては、約5%w/w〜約10%w/w、又は約10%w/w〜約15%w/wの範囲が使用されることができる。
【0017】
本発明の第2の側面においては、担体組成物及び生理活性化合物を含む製剤が提供される。
【0018】
生理活性化合物を担体組成物に添加するステップを含む、製剤の調製方法も提供される。
【0019】
1つの実施態様においては、生理活性化合物は脂溶性であり、約1〜約5の範囲内のlogP値を有する。生理活性化合物は、比較的低い分子質量及び比較的低い融点を有することも好ましい。
【0020】
生理活性化合物は、担体組成物の総濃度の約30%w/w以下の量で存在することができる。
【0021】
本発明の第3の側面においては、担体組成物とともに製剤化された生理活性化合物の送達を改善するための担体組成物の使用が提供される。
【0022】
生理活性化合物のA.D.M.E.特性を変更するための担体組成物の使用も提供される。
【0023】
対象における生理活性化合物のバイオアベイラビリティーを改善するための担体組成物の使用がさらに提供される。
【0024】
本発明の第4の側面においては、病的状態に関して対象を治療する方法が提供され、該方法は、担体組成物中の有効量の生理活性化合物を投与することを含む。病的状態は、担体組成物とともに製剤化された生理活性化合物によって治療可能な状態を包含する。
【0025】
詳細な説明
本発明の担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物及び比較的高濃度の極性プロトン性溶媒を含む。生理活性化合物は、本発明の担体組成物とともに製剤化されて、製剤を提供することができる。
【0026】
本明細書においては、文脈がそうでないことを要求しない限り、「含む(comprise又はcomprises)」及び「含んでいる(comprising)」という語句は、「包含する(include又はincludes)」及び「包含している(including)」をそれぞれ意味し、すなわち、本発明が特定された特徴を含んでいると記載又は定義された場合、同発明の多様な実施態様が追加の特徴も包含してよい。
【0027】
電子移動剤のホスフェート化合物
「電子移動剤」という用語は、リン酸化されることができる化合物であって、かつ、非リン酸化形態においては、電子を受容して比較的安定な分子ラジカルを生成することができるか又は2つの電子を受容して該化合物が可逆的な還元系に参加することを可能とする化合物をさす。電子移動剤の例は、抗酸化剤及びその誘導体を包含する。
【0028】
「抗酸化剤」という用語は、他の分子の酸化を遅らせるか又は防止することのできる分子をさす。酸化は、ある物質から酸化剤へ電子を移動させる化学反応である。酸化反応は、細胞を損傷する連鎖反応を開始させるフリーラジカルを生成することができる。抗酸化剤は、フリーラジカル中間体を除去することによってこれらの連鎖反応を終結させ、そして、それら自身が酸化されることによって他の酸化反応を阻害する。結果として、抗酸化剤は、しばしば還元剤である。
【0029】
抗酸化剤は、一般に、それらが水に可溶であるか(親水性)又は脂質に可溶であるか(疎水性)によって、2つの広い区分に分類される。アスコルビン酸(ビタミンC)は、水溶性の抗酸化剤の例である。カロテン、トコフェロール(ビタミンE)、レチノール(ビタミンA)、ユビキノール(コエンザイムQの還元形態)及びカルシフェロール(ビタミンD)は、脂溶性の抗酸化剤の例である。
【0030】
カロテンは、酸素を含まないカロテノイドである。カロテノイドは、カロテンに基づき、1つ以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、及び/又はいくつかの水素原子の対が酸素原子で置換されている。「ヒドロキシカロテノイド」という用語は、1つ以上のヒドロキシル基で置換されたカロテンをさす。クリプトキサンチンは、ヒドロキシカロテノイドの一例であり:ヒドロキシル基の付加のみにより、ベータ−カロテンに密接に関連している。
【0031】
ビタミンEは、8つの異なる形態、すなわち、4つのトコフェロール及び4つのトコトリエノール、で存在する。そのすべてが、水素原子を供与してフリーラジカル及び疎水性側鎖を還元することができ、これが生体膜への浸透を可能とする、ヒドロキシル基を有するクロマン環を特徴とする。ビタミンEのかかる誘導体は、「ヒドロキシクロマン」として分類されうる。トコフェロール及びトコトリエノールはどちらも、クロマン環上のメチル基の数及び位置によって決定される、アルファ、ベータ、ガンマ及びデルタ形態で存在する。トコトリエノールは、類似するトコフェロールとは、疎水性側鎖中の3つの二重結合の存在によって異なる。ビタミンEの様々な形態が、以下の式(I)により示される。
【0032】
【化1】

【0033】
レチノールは、レチノイドとして知られる化合物のファミリーに属する。3つの世代のレチノイドがある。第一世代のレチノイドは、レチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸、Retin−A)、イソトレチノイン及びアリトレチノインを包含する。第二世代のレチノイドは、エトレチネート及びその代謝物アシトレチンを包含する。第三世代のレチノイドは、タザロテン、ベキサロテン及びアダパレンを包含する。
【0034】
ユビキノールは、ベンゾキノールであり、ユビキノン(コエンザイムQ10)の還元形態である。
【0035】
カルシフェロール(ビタミンD)には、数種の形態がある。2つの主要形態は、(エルゴカルシフェロールなどの)ビタミンD2及び(カルシトリオール、コレカルシフェロールなどの)ビタミンD3である。他の形態は、ビタミンD1(エルゴカルシフェロールとルミステロールの1:1の分子化合物)、ビタミンD4(22−ジヒドロエルゴカルシフェロール)及びビタミンD5(7−デヒドロシトステロールから製造されるシトカルシフェロール)を包含する。
【0036】
本明細書に記載の任意の抗酸化剤又はその誘導体が本発明のために好適である。好ましい抗酸化剤及びその誘導体は、カロテノイド、ヒドロキシクロマン、カロテノイド、レチノイド、ベンゾキノール及びカルシトリオールから成る群から選ばれる。ヒドロキシクロマンが好ましい。トコフェロールなどの任意の形態のトコールが最も好ましい。
【0037】
「ホスフェート化合物」という用語は、化合物の(典型的には、ヒドロキシル基に由来する)酸素原子とホスフェート基(PO4)のリン原子との間に共有結合が形成されている、リン酸化された化合物をさし、これに関連して、該化合物は電子移動剤である。
【0038】
ホスフェート化合物は、ホスフェートモノ−エステル、ホスフェートジ−エステル、ホスフェートトリ−エステル、ピロホスフェートモノ−エステル、ピロホスフェートジ−エステル、或いはその塩または誘導体、或いはその混合物である。ジ−及びトリ−エステルは、同じ電子移動剤又は異なる電子移動剤を含むことができる。
【0039】
「塩」は、アルカリ又はアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、及びカルシウム塩、などの金属塩を包含する。ナトリウム及びカリウム塩が好ましい。
【0040】
「誘導体」は、1つ以上のホスフェートプロトンが置換基によって置換されたホスフェート化合物を包含する。誘導体のいくつかの非制限的な例は、ホスフェートプロトンがアミノ−アルキル基により置換されたホスファチジル誘導体、ホスフェートプロトンがグルコースなどの糖で置換された糖誘導体を包含する。
【0041】
「アミノ−アルキル基」は、アミノ(-NH2)基及びアルキル基を含む基をさす。「アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基をさす。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、及びオクチルを包含する。ホスファチジルコリン誘導体が最も好ましい。
【0042】
例えば、電子移動剤が例えばトコフェロールである場合、トコフェロールのホスフェート化合物は、モノ−(トコフェリル)ホスフェート、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二カリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、又はそれらの混合物から成る群から選ばれることができる。これらのホスフェート化合物は、トコフェロールのアルファ、ベータ、ガンマ又はデルタ形態又はそれらの組み合わせに由来することができる。
【0043】
担体組成物が、モノ−(トコフェリル)ホスフェート及びジ−(トコフェリル)ホスフェートなどの、モノ−ホスフェートエステルとジ−ホスフェートエステルの混合物を含む場合、比率は好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは約4:1〜1:4の範囲内、最も好ましくは約6:4〜約8:2の範囲内にある。該比率は、約6:4又は約8:2であることができる。
【0044】
担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物を、担体組成物の総濃度の好ましくは約0.01%w/w〜約20%w/w、より好ましくは約0.01%w/w〜約10%w/w、最も好ましくは約0.01%w/w〜約5%w/w、又は約0.01%w/w〜約1%w/wの範囲内の量で含む。担体組成物は、電子移動剤のホスフェート化合物を、約0.01%w/w〜約2%w/wの範囲内、好ましくは約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約1%w/wの量で含む。更なる実施態様においては、約5%w/w〜約10%w/w、又は約10%w/w〜約15%w/wの範囲が好適であることができる。
【0045】
極性プロトン性溶媒
有機溶媒は、非極性又は極性非プロトン性溶媒、及び極性プロトン性溶媒としてグループ分けされることができる。
【0046】
本発明の有機溶媒は、極性プロトン性溶媒である。「プロトン性溶媒」は、ヒドロキシル基又はアミン基におけるように、それぞれ酸素原子又は窒素原子に結合した水素原子を有する溶媒である。より一般的には、解離可能な水素イオンを含む任意の分子溶媒を、プロトン性溶媒と考えることができる。逆に、「非プロトン性溶媒」は、水素イオンを供与することができない。
【0047】
極性プロトン性溶媒は、非環式アルコール、アルキルエステル、ケトン又はニトリルであることができる。非環式アルコールは、そのポリオール、ポリマー及び(エステル、アルキルエステル、エーテルなどの)誘導体を包含するC1−C4非環式アルコールからなる群から選らばれることができる。これらのいくつかの例は、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、(PEG400などの)ポリエチレングリコールなどのグリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び酢酸エチルを包含する。ケトンは、メチルイソブチルケトン及びアセトンからなる群から選ばれることができる。ニトリルは、アセトニトリルであることができる。
【0048】
担体組成物は、1つのみの極性プロトン性溶媒を含むことができるが、極性プロトン性溶媒の組み合わせも使用されることができる。いかなる誤解も避けるために、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、本明細書中で任意の特徴について使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形を含むと解釈されるべきであることは留意されたい。
【0049】
担体組成物は、比較的高い極性プロトン性溶媒濃度を有する。極性プロトン性溶媒濃度は、好ましくは約60%w/w〜約90%w/w、より好ましくは約65%w/w〜約85%w/w、最も好ましくは約70%w/w〜約80%w/wの範囲内にある。極性プロトン性溶媒濃度は、約70%w/w又は約80%w/wであることができる。いくつかの状況においては、極性プロトン性溶媒濃度の好適な範囲は、約50%w/w〜約60%w/w、約60%w/w〜約70%w/w又は約80%w/w〜約90%w/wであることができる。
【0050】
生理活性化合物
「生理活性化合物」という用語は、医学的、治療的、美容的及び獣医学的目的のための、ヒト又は動物における生物学的効果を有する任意の化学物質をさし、かつ、薬物、薬用化粧品、栄養補助食品(nutraceuticals)、及び栄養剤を包含する医薬品を含む。いくつかの生理活性化合物がこれらのクラスの1つ以上に分類可能であることは理解されるであろう。
【0051】
本発明の担体組成物とともに、広範囲の生理活性化合物が送達されることができる。好ましくは、生理活性化合物は、脂溶性であり、かつ、比較的低い分子質量及び比較的低い融点を有する。
【0052】
「脂溶性」という用語は、脂肪、油、脂質及びヘキサン又はトルエンなどの非極性溶媒に溶解する化合物の能力をさす。生理活性化合物の脂溶性は、そのオクタノール/水分配係数(logP値)により評価されることができ、これは、膜透過性に近似すると考えられる。
【0053】
皮膚透過性の生理活性化合物は、約2.5〜約3.5のlogP値を有する可能性が高い。本発明の担体組成物とともに製剤された、この範囲内のlogP値を有する生理活性化合物及びこの範囲外(より高いか又はより低い)のlogP値を有する生理活性化合物、すなわち、約1〜約5の範囲内のlogP値を有する生理活性化合物、は、より皮膚透過性であることが発見された。したがって、生理活性化合物は、約1〜約2.5の範囲内のlogP値、約2.5〜約3.5の範囲内のlogP値、及び約3.5〜約5の範囲内のlogP値を有することができる。
【0054】
理論にとらわれることを望まないが、本発明の担体組成物が、生理活性化合物の1つ以上のA.D.M.E.(吸収、分布、代謝及び排泄)特性を変更して、生理活性化合物の送達を改善することができると考えられる。有効な生理活性化合物であるためには、生理活性化合物は、標的に対して活性でなければならないだけでなく、それを生理活性化合物としての使用に好適なものとするのに必要な適切なA.D.M.E.特性も有さなければならない。
【0055】
「比較的低い分子質量」は、約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満、より好ましくは約200ダルトン〜約300ダルトンの範囲内の分子質量をさす。
【0056】
「比較的低い融点」は、約400℃未満の融点をさす。
【0057】
広範囲の生理活性化合物が、本発明の担体組成物とともに送達されることができる。その例は、心臓脈管薬、特に(カルシウムチャンネルブロッカー(又はカルシウムアンタゴニスト)などの)抗高血圧薬及び抗不整脈薬;うっ血性心不全薬;強心薬;血管拡張薬;ACE阻害剤;利尿薬;カルボニックアンヒドラーゼ阻害剤;強心配糖体;ホスホジエステラーゼ阻害剤;αブロッカー;βブロッカー;ナトリウムチャンネルブロッカー;カリウムチャンネルブロッカー;βアドレナリンアゴニスト;血小板阻害剤;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;抗凝固薬;血栓溶解薬;出血治療薬;貧血治療薬;トロンビン阻害剤;駆虫薬;抗菌薬;抗炎症薬、特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、より特別にはCOX−2阻害薬;ステロイド性抗炎症薬;予防的抗炎症薬;抗緑内障薬;肥満細胞安定化薬;散睡薬;呼吸系に影響を及ぼす薬;アレルギー性鼻炎薬;α−アドレナリンアゴニスト;コルチコステロイド;慢性閉鎖性肺疾患薬;キサンチンオキシダーゼ阻害薬;抗関節炎薬;痛風治療薬;オータコイド及びオータコイドアンタゴニスト;抗マイコバクテリア薬;抗真菌薬;抗原虫薬;駆虫薬;特に、呼吸器の、ヘルペス、サイトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス及び肝炎感染症のための、抗ウイルス薬;白血病及びカポシ肉腫のための治療薬;疼痛管理薬、特に、麻酔薬及び鎮痛薬;オピオイド受容体アゴニスト、オピオイド受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト又はオピオイド受容体アゴニスト−アンタゴニスト混合薬を含むオピオイド;神経弛緩薬;交感神経様作用薬;アドレナリンアゴニスト;神経伝達物質の取り込み及び放出に影響する薬物;抗コリン作用薬;痔核治療薬;放射線療法又は化学療法の影響を予防又は治療する薬物;脂質生合成薬;脂肪低減薬;リパーゼ阻害薬などの抗肥満薬;交感神経様作用薬;プロトンポンプ阻害薬などの胃の潰瘍及び炎症のための治療薬;プロスタグランジン;VEGF阻害薬;抗高脂血症薬、特にスタチン;抗精神病薬、抗てんかん薬及び抗けいれん薬、向精神薬、興奮薬、抗不安薬及び催眠薬、抗うつ薬などの中枢神経系(CNS)に影響する薬物;抗パーキンソン病薬;性ホルモンなどのホルモン及びその断片;成長ホルモンアンタゴニスト;ゴナドトロピン放出ホルモン及びそれらの類似体;ステロイドホルモン及びそれらのアンタゴニスト;選択的エストロゲン調節薬;成長因子;血糖低下薬などの抗糖尿病薬;H1、H2、H3及びH4抗ヒスタミン薬;偏頭痛の治療に使用される薬剤;喘息薬;抗コリン薬;グルココルチコイド;アンドロゲン;抗アンドロゲン薬;アドレノコルチコイド生合成阻害薬;ビホスホネートなどの骨粗しょう症治療薬;抗甲状腺薬;日焼け止め剤、日焼け保護剤(sun protectant)及びフィルター;サイトカインアゴニスト;サイトカインアンタゴニスト;抗癌薬;抗アルツハイマー病薬;HMGCoAレダクターゼ阻害薬;フィブレート;コレステロール吸収阻害薬;HDLコレステロール上昇薬;トリグリセリド低下薬;抗老化又は抗しわ薬;抗菌薬;抗ニキビ薬;抗酸化剤;ヘアトリートメント及び皮膚美白薬;アレルギー/喘息、関節炎、癌、糖尿病、成長障害、心臓血管疾患、炎症、免疫不全、はげ頭、疼痛、眼科疾患、てんかん、婦人科疾患、CNS疾患、ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染、GI疾患、肥満及び血液疾患などの、ヒト及び動物の疾患の治療又は予防のための低分子治療薬を含むが、これらに限定されない。
【0058】
当業者は、特別な生理活性化合物が本発明の担体組成物とともに使用されるのに好適であるか否かを決定することができるであろう。好適な生理活性化合物のいくつかの特定の非制限的な例は、以下のものを包含する。
【0059】
麻酔薬:
ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、レセルピン、グアネチジン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ラロカイン、プロポキシカイン、プロカイン/ノボカイン、プロパラカイン、テトラカイン/アメトカイン、アルチカイン、ブピバカイン、カルチカイン、シンコカイン/ジブカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン/リグノカイン、メピバカイン、ピペロカイン、プリロカイン、ロピバカイン、トリメカイン、プロポフォール、ハロタン、エンフルランバルビツレート、ベンゾジアゼピン、ネオスチグミン及びケタミンなどのアミノエステル型及びアミノアミド型麻酔薬を包含する。
【0060】
アルキル化剤:
カルムスチン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ストレプトゾトシン及びメクロレタミンを包含する。
【0061】
カルシウムチャンネルブロッカー:
アムロジピン、アラニジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、クレビジピン、クロニジピン、ダロジピン、デクスニグルジピン、エホニジピン、エルナジピン、エルゴジピン、フェロジピン(felodipine)、フロルジピン、フルニジピン、イガニジピン、イスラジピン、ラシジピン、レミルジピン、レルカニジピン、マニジピン、メスルジピン(mesuldipine)、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、オルラジピン、オキソジピン、パロニジピン、プラニジピン、サガンジピン、ソルニジピン、テルジピン、チアムジピン、トロンボジピン(trombodipine)、ワタニジピン、ベラパミル、ガロパミル、ベンゾチアゼピン、ジルチアゼム、ミベフラジル、ベプリジル、フルスピリレン及びフェンジリンを包含する。
【0062】
抗不整脈薬及び抗狭心症薬:
アミオダロン、ジソピラミド、酢酸フレカイニド、キニジン硫酸塩、ニトログリセリン、ラノラジン、アミオダロン、イソソルビド及びアルテプラーゼを包含する。
【0063】
抗菌薬、抗生物質及び抗ニキビ薬
アモキシシリン、アンピシリン、アジスロマイシン、ベネタミンペニシリン、ブレオマイシン、過酸化ベンゾイル、シノキサシン、クロラムフェニコール、ダウノルビシン、プリカマイシン、フルオロキノロン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クリンデッセ(clindesse)、クロファジミン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロキサシリン、デメクロシクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、エチオナミド、イミペネム、インドメタシン、リモサイクリン(lymocycline)、ミノサイクリン、ナリジクス酸、ニトロフラントイン、ペニシリン、リファンピシン、スピラマイシン、スルファセタミドナトリウム、スルファベンズアミド(sulphabenzamide)、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファフラゾール、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、テトラサイクリン、セファレキシン、セフジニル、トリクロサン、オフロキサシン、バンコシン、グリブリド、ムピロシン、セフプロジル、セフロキシム・アキセチル、ノルフロキサシン、イソニアジド、ルプロン、D-ペニシラミン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、及びトリメトプリムを包含する。
【0064】
抗癌薬:
ドキソルビシン、6−チオグアニン、パクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシン、酢酸メゲストロール、ナベルビン、シタラビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、シスプラチン、コルヒチン、カルボプラチン、プロカルバジン及びエトポシドを包含する。
【0065】
抗うつ薬、抗精神病薬及び抗不安薬:
アルプラゾラム、アモキサピン、ベンタゼパム、ブロマゼパム、クロラジピン、クロバザム、クロチアゼパム、ジアゼパム、ロラゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロルメタゼパム、メダゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、マプロチリン、ミアンセリン、ノルトリプチリン、リスペリドン、セルトラリン、トラゾドン、バロペリドール、マレイン酸トリミプラミン、フルオキセチン、オンダンセトロン、ミダゾラム、クロルプロマジン、ハロペリドール、トリアゾラム、クロザピン、フルオプロマジン、フルフェナジンデカノエート、フルアニソン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、スルピリド、チオリダジン、パロキセチン、シタロプラム、ブプロピオン、フェネルジン、オランザピン、ジバルプロエクスナトリウム、及びベンラファキシンを包含する。
【0066】
オピオイド:
モルヒネ、デポモルヒネ(depomorphine)、エトルフィン、ジアセチルモルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、メタドン、レボメタジル、メペリジン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、テバイン、デソモルヒネ、ニコモルフィン、ジプロパノイルモルフィン、ベンジルモルフィン、エチルモルフィン、ペチジン、メタドン、トラマドール、デクストロプロポキシフェン;ナロキソン及びナルトレキソン;ブプレノルフィン、ナルブフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン及びエチルケトシクラゾシンを含む、オピオイド受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、アゴニスト/アンタゴニスト混合薬活性を示す化合物及び部分アゴニスト活性を示す化合物を包含する。
【0067】
トリサイクリック:
アゾチオピン(azothiopine)、アミトリプチリン、ファモチジン、プロメタジン、パロキサチン(paroxatine)、オクスカルバザピン(oxcarbazapine)及びメルタザピン(mertazapine)を包含する。
【0068】
抗糖尿病薬:
アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラレード(glibenclaraide)、グリクラジド、グリピジド、メトホルミン、トラザミド、グリブリド、グリメピリド及びトルブタミドを包含する。
【0069】
抗てんかん薬:
ベクラミド、カルバマゼピン、ガパペンチン(gapapentin)、チアガビン、ビガバトリン、トピラマート、クロナゼパム、エトトイン、メトイン、メトスクシミド、メチルフェノバルビトン、オキスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェノバルビトン、フェニロイン(phenyloin)、フェンスクシミド、プリミドン、スルチアミン、フェニトインナトリウム、ニロフラントインモノハイドレート(nirofurantoin monohydrate)、ガバペンチン、ラモトリジン、ゾニサミド、エトスクシミド及びバルプロ酸を包含する。
【0070】
催眠薬/鎮静薬及び筋弛緩薬:
酒石酸ゾルピデム、アミロバルビトン、バルビトン、ブトバルビトン、ペントバルビトン、ブロチゾラム、カルブロマール、クロルジアゼポキシド、クロルメチアゾール、エチナメート、メプロバメート、メタカロム(methaqualome)、シクロベンザプレン(cyclobenzaprene)、シクロベンザプリン、チザニジン、バクロフェン、ブタルビタール、ゾピクロン、アトラクリウム、ツボクラリン及びフェノバルビタールを包含する。
【0071】
抗真菌薬、抗原虫薬及び抗寄生虫薬:
アンフォテリシン、硝酸ブトコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、ナイスタチン、硝酸スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール及びウンデカン酸;ベンズニダゾール、クリオキノール、デコキネート、ジヨードヒドロキシキノリン、ジロキサニドフロエート、ジニトルミド、フラゾリドン(furzolidone)、メトロニダゾール、ニモラゾール、ニトロフラゾン、オルニダゾール、テルビナフィン、クロトリマゾール、クロロキン、メフロキン、イトラコナゾール、ピリメタミン、プラジカンテル、キナクリン、メベンダゾール及びチニダゾールを包含する。
【0072】
抗高血圧薬及び心臓治療薬:
カンデサルタン、ヒドララジン、クロニジン、トリアムテレン、フェロジピン、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ニフェジカル(nifedical)、プラゾシン、メカミラミン、ドキサゾシン、ドブタミン及びシレキセチルを包含する。
【0073】
抗偏頭痛薬:
メシル酸ジヒドロエルゴタミン、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸メチセルギド、マレイン酸ピゾチフェン及びコハク酸スマトリプタンを包含する。
【0074】
抗ムスカリン薬:
アトロピン、ベンズヘキソール、ビペリデン、エトプロパジン、ヒヨスチアミン、臭化メペンゾラート、オキシブチニン、オキシフェンサイクリミン(oxyfencylcimine)及びトロピカミドを包含する。
【0075】
抗新生物薬(又は免疫抑制剤):
アミノグルテチミド、アムサクリン、アザチオプリン、ブスルファン、クロラムブシル、シクロスポリン、ダカルバジン、エストラムスチン、エトポシド、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン(mitozantrone)、プロカルバジン、クエン酸タモキシフェン、テストラクトン、タクロリムス、メルカプトプリン及びシロリムスを包含する。
【0076】
抗パーキンソン病薬:
メシル酸ブロモクリプチン、レボドーパ、トルカポン、ロピニロール、ブロモクリプチン、及びスルホニルウレア、ビグアナイド、α−グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジンジオンなどの血糖低下薬、カベルゴリン、カルビドーパ及びマレイン酸リスリドを包含する。
【0077】
抗甲状腺薬:
カルビマゾール及びプロピルチオウラシルを包含する。
【0078】
抗ウイルス薬:
アマンタジン、レチノビル、シドフォビル、アシクロビル、ファムシクロビル、リバビリン、アムプレナビル、インジナビル、リマンタジン及びエファビレンツ、ペンシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、アバカビル、アデフォビル、アンプレナビル、デラビルジン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、エンフビルチド及びインターフェロンを包含する。
【0079】
強心薬:
アムリノン、ミルリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、エノキシモン、ラナトシドC及びメジゴキシンを含む。
【0080】
低脂血症薬及び高脂血症薬:
フェノフィブレート、クロフィブレート、プロブコール、エゼチミベ及びトルセトラピブを包含する。
【0081】
抗炎症薬:
メオキシカム(meoxicam)、トリアムシノロン、クロモリン、ネドクロミル、ヒドロキシクロロキン、モンテルカスト、ジレウトン、ザフィルルカスト及びメロキシカムを包含する。
【0082】
抗ヒスタミン薬:
フェキソフェナジン、抱水クロラール、ヒドロキシジン、プロメタジン、セチラジン(cetirazine)、シメチジン、シクリジン、メクリジン、ジメンヒドリナート、ロラタジン、ニザタジン及びプロメタジンを包含する。
【0083】
抗潰瘍薬:
オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール及びラニチジンを包含する。
【0084】
利尿薬:
ヒドロクロロチアジド、アミロリド、アセタゾラミド、フロセミド及びトルセミドを包含する。
【0085】
NSAID:
ジクロフェナック、アセクロフェナック、アセメタシン、アルクロフェナック、ブロムフェナック、エトドラック、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、ナブメトン、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダック及びトルメチンを包含するアリールアルカン酸亜群;アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック(ketrolac)、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、スプロフェン、タレンフルルビル(tarenflurbil)及びチアプロフェン酸を包含する2−アリールプロピオン酸(プロフェン)亜群;並びに、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸及びトルフェナム酸を包含するN−アリールアンスラニル酸(フェナム酸)亜群;トロメタミン、セレコキシブ、ネパフェナック、アスピリン、ロフェコキシブ、ナプロキセン、スリンダック、ピロキシカム、フェニルブタゾン、トルメチン、インドメタシン、アセトミノフェン(acetominophen)(パラセタモール)、トラマドール及びプロポキシフェンを包含する。
【0086】
レチノイド:
レチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸、Retin-A)、イソトレチノイン及びアリトレチノインなどの第一世代レチノイド;エトレチネート及びその代謝物アシトレチンなどの第二世代レチノイド;タザロテン、ベキサロテン及びアダパレンなどの第三世代レチノイドを包含する。
【0087】
ホルモン及びステロイド:
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、抗利尿ホルモン(バソプレッシン)、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、ベクロメタゾン、コルチゾン、スコポラミン、ドパミン、エピネフリン、カテコールアミン、コレシストキニン、クエン酸クロミフェン、ダナゾール、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール(DES)、エチニルエストラジオール、フルドロコルチゾン、フィナステリド、卵胞刺激ホルモン、ガストリン、ヒドロキシプロゲステロン、レプチン、黄体形成ホルモン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、キネストロール、メチルテストステロン、ナンドロロン、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルゲストレル、エストラジオール、接合エストロゲン、オキサンドロロン、オキシトシン、プレドニソン、プロゲステロン、プロラクチン、プロトガルンジン(protogalndins)、ソマトスタチン、スタノゾロール、スチベストロール、チロキシン、リン酸プレドニソロン、トリアムシノロン、ミフェプリストンアセトニド、ブデソニド、レボチロキシン、テストステロン、テストステロンシピオネート、フルオキシメステロン、フルタミド、フランカルボン酸モメタゾン、シプロテロン、フルロメタロン(fluromethalone)、ゴセレリン、ロイプロリド、カルシトニン、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾール及びチボロンを包含する。
【0088】
スタチン及び誘導体:
アトルバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ニスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、オルリスタット及びシンバスタチンを包含する。
【0089】
興奮剤:
アンフェタミン、フェンテルミン、チラミン、エフェドリン、メタラミノール、フェニレフリン、デクスアンフェタミン、デクスフェンフルラミン、フェンフルラミン、ニコチン、カフェイン及びマジンドールを包含する。
【0090】
血管収縮薬:
デスモプレシンを包含する。
【0091】
血管拡張薬:
カルベジロール、テラゾシン、フェントラミン及びメントールを包含する。
【0092】
抗アルツハイマー病薬:
レベチラセタム、レビチラセタム(levitiracetam)及びドネペジルを包含する。
【0093】
ACE阻害薬:
ベンザプリル、エナラプリル、ラミプリル、フォシノプリルナトリウム、リシノプリル、ミノキシジル、イソソルビド、ラムプリル(rampril)及びキナプリルを包含する。
【0094】
ベータアドレナリン受容体アンタゴニスト:
アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロパノロールハイドロクロライド(propanolol hydrochloride)、ビソプロロール、エスモロール、コハク酸メトプロロール、メトプロロール及び酒石酸メトプロロールを包含する。
【0095】
アンギオテンシンIIアンタゴニスト:
ロサルタンを包含する。
【0096】
血小板阻害薬:
アブシキシマブ、クロピドロゲル(clopidrogel)、チロフィバン及びアスピリンを包含する。
【0097】
アルコール及びフェノール:
トラマドール、トラマドール塩酸塩、アロプリノール、カルシトリオール、シロスタゾール、ソルタロール、ウラソジオール(urasodiol)ブロムペリドール(bromperidol)、ドロペリドール、デカン酸フルペンチキソール(flupenthixol)、アルブテロール、硫酸アルブテロール、カリソプロドール、クロベタソール、ロピニロール、ラベタロール及びメトカルバモールを包含する。
【0098】
ケトン及びエステル:
アミオデロン(amioderone)、フルチカゾン(fluticasone)、スピロノラクトン、プレドニゾン、トリアゾドン、デスオキシメタゾン、メチルプレドニスドン(methyl perdnisdone)、ベンゾナテート(benzonatate)、ナブメトン及びブスピロンを包含する。
【0099】
鎮吐薬:
メトクロプラミドを包含する。
【0100】
眼科治療薬:
ドルゾラミド、ブリモニジン、オロパタジン、シクロペントレート、ピロカルピン及びエコチオフェートを包含する。
【0101】
抗凝固薬及び抗血栓薬:
ワーファリン、エノキサパリン及びレピルジンを包含する。
【0102】
痛風治療薬:
プロベネシド及びスルフィンピラゾンを包含する。
【0103】
COPD及び喘息治療薬:
イプラトロピウムを包含する。
【0104】
骨粗しょう症治療薬:
ラロキシフェン、パミドロネート及びリセドロネートを包含する。
【0105】
特に好ましい生理活性化合物は、リドカイン、ジクロフェナック、ケトララック、プリロカイン、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾール、及びそれらの組み合わせを包含する。
【0106】
生理活性化合物の医薬として許容可能な誘導体が本発明の範囲内に含まれることは理解される。
【0107】
「医薬として許容可能な誘導体」という用語は、それを必要とする対象に投与されて、本明細書中で別記された生理活性化合物を直接的又は間接的に提供可能な、医薬として許容可能な塩、エステル、そのようなエステルの塩、エーテル又はプロドラッグ及び代謝物を含む任意の他の誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0108】
本明細書で使用される「医薬として許容可能な塩」という用語は、確実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わない、ヒト及び下等動物の組織に接触する使用に好適な塩をさし、合理的なリスク対効果比に相応するものである。医薬として許容可能な塩は、本分野で周知である。例えば、S.M.Berge et alは、J. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19, 1977において、医薬として許容可能な塩を詳細に記載している。医薬として許容可能な無毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸とともに、或いは酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸とともに、或いはイオン交換などの本分野で使用される他の方法を用いることにより形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容可能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブチル酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを包含する。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを包含する。さらなる医薬として許容可能な塩は、適切な場合、無毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、及びハライド、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンを包含する。
【0109】
「医薬として許容可能なエステル」という用語は、インビボで加水分解されるエステルをさし、ヒト体内で容易に分解して、親化合物又はその塩を残すものを包含する。好適なエステル群は、例えば、医薬として許容可能な脂肪族カルボン酸、特に、アルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカンジオン酸に由来し、有利には、その中で各アルキル又はアルケニル部分が6超の炭素原子を有さないものを包含する。具体的なエステルの例は、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、ブチル酸エステル、アクリル酸エステル及びエチルコハク酸エステルを包含する。
【0110】
本明細書中で使用される「医薬として許容可能なプロドラッグ」という用語は、確実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わない、対象の組織に接触する使用に好適な生理活性化合物のプロドラッグをさし、合理的なリスク対効果比に相応し、かつ、それらの目的の用途のために有効であるもの、並びに、可能な場合には、本発明の化合物の両性イオン形態である。「プロドラッグ」という用語は、インビボで迅速に変換されて上記式の親化合物を生じさせる化合物をさす。A.C.S. Symposium SeriesのT.Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14及びEdward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987中に詳細な検討が提供されている。
【0111】
生理活性化合物は、担体組成物の総濃度の約30%w/w以下の量で存在することができる。生理活性化合物の量は、好ましくは約10%w/w以下、より好ましくは約6%w/w以下、最も好ましくは約0.1%w/w〜約5%w/wの範囲内にある。
【0112】
担体組成物は、生理活性化合物のA.D.M.E.特性を変更することによって生理活性化合物の送達を改善する。理論にとらわれることを望まないが、電子移動剤のホスフェート化合物と比較的高濃度の極性プロトン性溶媒の組み合わせが(皮膚、粘膜、筋肉などの)異なる障壁中の生理活性化合物の溶解度を変化させるので、生理活性化合物のA.D.M.E.特性が変更されると考えられる。この溶解度の変化は、これら組織中の薬物の滞留時間に影響し、薬物が排せつ相に導かれる時間を遅らせるか又は短縮する。したがって、本発明の担体組成物は、以下の利益:
−低下した副作用(すなわち、不必要な全身的作用を最小化すること);
−生理活性化合物の分布を特定の領域へ限定すること(例えば、薬物ターゲティング);
−患者のコンプライアンスの改善(例えば、より少量の使用、より少ない適用);
−美的感覚の改善(例えば、迅速な乾燥):及び
−作用の持続時間の増加及び/又は作用発現の短縮
を提供することができる。
【0113】
本発明の担体組成物は、生理活性化合物の対象におけるバイオアベイラビリティーを改善することもできる。
【0114】
本発明は、病的状態に関して対象を治療するための方法においても使用することができ、該方法は、本発明の担体組成物中の有効量の生理活性化合物を投与することを含む。病的状態は、担体組成物とともに製剤化される生理活性化合物で治療可能なものを包含する。
【0115】
本明細書中で使用される「対象」という用語は、病的状態に伴う又はそれにより引き起こされた症状を有する任意の動物であって、生理活性化合物による治療を必要とするものをさす。動物は、哺乳動物、好ましくはヒトであることができ、又は、動物モデル試験で使用されるような非ヒト霊長類又は非霊長類であることができる。本発明の製剤がヒトの医学的治療において好適であることが特に考慮されるが、それは、イヌ及びネコなどのペット動物、並びにウマ、ポニー、ロバ、ラバ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウシ及びヒツジなどの家畜、又は霊長類、ネコ科の動物、イヌ科の動物、ウシ科の動物及び有蹄動物などの動物園の動物の治療を包含する、獣医学的治療にも応用可能である。
【0116】
一般に、「治療すること」、「治療」などの用語は、本明細書において、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得るために、対象、組織又は細胞に影響を与えることを意味する。該効果は、1つ以上の病的状態を完全に又は部分的に防止する観点から予防的であることができ、及び/又は1つ以上の病的状態の部分的又は完全な治癒の観点から治療的であることができる。
【0117】
投与経路
投与経路は、効果によって広く3つのカテゴリー、すなわち、所望の効果が局部的であり、その作用が望まれるところに直接物質が適用される「局所」、所望の効果が全身性(非局部的)であり、消化管を介して物質が与えられる「腸内」、そして、所望の効果が全身性であり、消化管以外の経路によって物質が与えられる「腸管外」に分割されることができる。
【0118】
米国の食品医薬品局は、111の異なる投与経路を認めている。以下は、投与経路の例の非制限的なリストである。
【0119】
局部効果を有する局所投与経路の例は、経皮(皮膚上へ)及び硝子体内(目へ)を包含する。
【0120】
全身性(非局部的)の効果を有する腸内投与経路の例は、経口(口の中へ)、鼻腔内(鼻の中へ)、直腸内(直腸の中へ)、及び膣内(膣の中へ)などの胃腸管の任意の部分を含む任意の投与形態を包含する。
【0121】
全身的な効果を有する、注射、輸注又は拡散による腸管外投与経路の例は、(静脈中への)静脈内、(動脈中への)動脈内、(筋肉中への)筋肉内、(心臓中への)心臓内、(皮膚の下への)皮下、(皮膚中への針穿刺を介する)経皮、(皮膚自体の中への)皮内、(脊柱管中への)髄腔内、(腹膜内への輸注又は注射である)腹腔内、(膀胱中への輸注である)膀胱内輸注、(硬膜上腔中への注射又は輸注である)硬膜外、(無傷の皮膚を通した拡散である)経皮(transdermal又はtranscutaneous)、(粘膜を通した拡散である)経粘膜、(鼻を通した拡散である)吹送、(口を通した拡散である)吸入、(舌の下への)舌下、及び(歯肉線近くの頬を通した吸収である)頬側を包含する。
【0122】
本発明の製剤は、任意の好適な投与形態であることができる(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J.B. Lippincott Company, Philadelphia, Pa., Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)を参照のこと)。好適な投与形態の例は、溶液、液体、懸濁液、ゲル、湿布、リザーバー型パッチ及びクリームを包含するが、これらに限定されない。製剤は、1つの形態で調製され、貯蔵され、そして他の形態で送達されることもでき、例えば、製剤は液体形態で貯蔵され、そして泡の形態で送達されることができる。製剤は、Remington J.P., The Science and Practice of Pharmacy, ed. A.R. Gennaro, 20th edition, Lippincott, Williams and Wilkins Baltimore, Md. (2000)に記載されたような、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製されることができる。そのような方法は、生理活性化合物と担体を併せて、そして、必要に応じて、所望の製品に製剤を形作るステップを含む。
【0123】
担体組成物の調製
本発明の担体組成物は、様々な技術によって調製されることができる。
【0124】
担体組成物の1つの調製方法は、担体組成物の成分を好適な量で、完全な均一化が達成されるまで攪拌しながら混合することを含む。
【0125】
好ましい方法においては、電子移動剤のホスフェート化合物が極性のプロトン性溶媒と混合され、そして溶液が形成されるまで40℃で加温される。通常は低容量の水性相が40℃まで加熱され、そして溶液に滴下して添加されて担体組成物を形成する。或いは、いくつかの状況では、極性のプロトン性溶媒と混合された電子移動剤のホスフェート化合物が、水性相に滴下して添加されることができる。担体組成物の最終pHは、安定性を改善するために、水酸化ナトリウムの添加などによって調整されることができる。担体組成物は、通常、清澄〜透明な溶液である。
【0126】
生理活性化合物は、その溶解度及び安定性に依存して、水性相又は溶媒相のいずれかに溶解されることができる。
【0127】
担体組成物は、場合により、1つ以上の賦形剤をさらに含むことができる。本発明の分野の当業者は、本発明の担体組成物又は製剤とともに含まれうる好適な賦形剤を認識している。他の賦形剤の選択は、生理活性化合物の特性及び使用される投与形態に依存するだろう。他の賦形剤の例は、水などの追加の溶媒、増粘剤又はゲル化剤、界面活性剤、緩衝剤、保湿剤、甘味料、崩壊剤、風味剤、着色剤、香料、電解質、外観調整剤(appearance modifiers)、フィルムフォーミングポリマー(film foaming polymers)、噴射剤などを包含する。好適な甘味料は、シュークロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム又はサッカリンを包含する。好適な崩壊剤は、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸又は寒天を包含する。好適なゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びカルボポール(carbopol)を包含する。好適な風味剤は、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、チェリー、オレンジ又はラズベリー風味剤を包含する。好適な噴射剤は、ブタン、二酸化炭素、エタン、ヒドロクロロフルオロカーボン、イソブタン、窒素、窒素酸化物、プロパン、ジメチルエーテル、イソペンタノール、ペンタン及びPropellant A-46(20%プロパン及び80%イソブタン)などのそれらの混合物を含む。比較的高濃度の有機溶媒が、更なる保存剤が添加される必要性を回避することができるが、必要に応じて添加されることのできる好適な保存剤は、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン及び亜硫酸水素ナトリウムを包含する。
【0128】
存在する場合、賦形剤の量は、担体組成物の総濃度の、好ましくは約10%w/w以下、より好ましくは約5%w/w以下、最も好ましくは約3%w/w以下、そして、さらにより好ましくは、0.01〜3%w/w又は0.1〜1%w/wのいずれかである。
【0129】
本発明の担体組成物及び製剤は、物理的に安定であり、300nmより大きな粒子サイズを有さないことがわかっている。自然発生的なゾル−ゲル転換もない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
実施例は、付随する図面に関連して記載される。
【図1】図1は、オキシコドンを含む製剤のフランツセルにおけるインビトロでの経皮送達を示す。
【図2】図2A及び2Bは、オキシコドンを含む製剤の用量に応じた相対的挙動を示す。
【図3】図3は、リドカインを含む製剤の皮膚沈着結果の比較を示す。
【図4】図4は、ジクロフェナックを含む製剤の皮膚沈着結果の比較を示す。
【図5】図5は、ケトロラックを含む製剤の皮膚沈着結果の比較を示す。
【実施例】
【0131】
本発明の様々な実施態様/側面が、以下の非制限的な実施例を参照してここに記載される。
【0132】
実施例1
担体組成物を上記の好ましい方法にしたがって調製した。
5つの担体組成物のそれぞれが、1%w/wのモノ−(トコフェリル)ホスフェート及びジ−(トコフェリル)ホスフェートの8:2の比率の混合物及び水、並びに以下の極性プロトン性溶媒濃度を含んだ。
【0133】
【表1】

【0134】
温度サイクリングのための方法
担体組成物を、3サイクルの、約12時間約5℃での冷蔵そして約12時間約30℃の温度、に供した。各温度変化の間では、担体組成物を室温に3時間放置し、任意の濁り及び沈澱について観察した。
【0135】
【表2】

【0136】
実施例2
この実施例は、本発明の製剤(製剤2A)及び低濃度の極性プロトン性溶媒を含む製剤(製剤2B)を用いて、インビトロでのオキシコドン経皮送達を比較する。各製剤の詳細は以下のとおりである。
【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
方法
製剤2Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤2Bを同様に調製した。
完全な厚さのラット腹部皮膚を、12ml垂直フランツ拡散セル(PermeGear、PA)中で使用した。CO2ガスを用いる窒息によってラットを殺し、そして、腹部領域を注意深く毛を剃って切除した。すべての皮下脂肪及び結合組織を除去した。皮膚を、アルミニウムホイルのシートの間に平らにして凍結し、実験の朝まで−20℃で保存した。
【0140】
レセプター溶液(12ml)として、PBSをフランツセル中で使用し、フランツセルは1.77cm2の表面積を有した。実験の間、セルを32℃に維持した。インビボで使用される条件を近似するために、有限用量(40μl)を使用した。レシーバー溶液を定期的に4時間にわたってサンプリングして、HPLCを用いてオキシコドンの経皮吸収を決定し、分析した。結果を図1に示す。結果は、離れた2日間で実施したn=8〜10の拡散セルの平均である。バーは、SEMを表す。
【0141】
結果
極性プロトン性溶媒の濃度が70%w/wである製剤2Aが、5%w/wのオキシコドンの濃度を維持できたことがわかった。一方、極性プロトン性溶媒の濃度が20%w/wである製剤2Bは、1.5%w/wのオキシコドンの最高濃度を維持したにすぎなかった。
【0142】
両製剤がオキシコドンを経皮送達することができたが、結果は、4時間後に、約130μgのオキシコドンが製剤2Aにより送達されたのに比べて、約18μgが製剤2Bにより送達されたことを示した。
【0143】
製剤2Aのための乾燥時間は、総量の増加に加えて、送達の迅速な速度(すなわち、フラックス)をもたらした。製剤2Aについてのオキシコドン経皮吸収の線形化フラックス(linear flux)(J)は、40μg.h/cm2であったが、製剤2Bは、5.54μg.h/cm2のフラックスを有した。
【0144】
送達されたオキシコドンの増加したフラックス及び量は、増加したオキシコドン濃度(及びその後の用量)に部分的によるかもしれないが、結果は、製剤2Aがより高いバイオアベイラビリティーも有したことを示した。全投与量から送達されたオキシコドンのパーセンテージは、製剤2Aで約8%であったのに対して、製剤2Bではわずかに約3%であった。
【0145】
結論
本発明の製剤(製剤2A)は、製剤2Bに比べて増加したオキシコドン濃度を可能とした。製剤2Aは、速度及び総オキシコドン送達量の両方に関するオキシコドンのより良好な経皮吸収、並びに優れたバイオアベイラビリティーも示した。
【0146】
実施例3
この実施例は、本発明の製剤(製剤3A)及び水性製剤(製剤3B)の性能を比較して、それらの用量に応じた相対的挙動を決定する、用量応答試験である。各製剤の詳細は以下のとおりである:
【0147】
【表5】

【0148】
【表6】

【0149】
方法
製剤3Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤3Bを、同様に調製した。
完全な厚さのラット腹部皮膚を、12ml垂直フランツ拡散セル(PermeGear、PA)中で使用した。CO2ガスを用いる窒息によってラットを殺し、そして、腹部領域を注意深く毛を剃って切除した。すべての皮下脂肪及び結合組織を除去した。皮膚を、アルミニウムホイルのシートの間に平らにして凍結し、実験の朝まで−20℃で保存した。
【0150】
レセプター溶液(12ml)として、PBSをフランツセル中で使用し、フランツセルは1.77cm2の表面積を有した。実験の間、セルを32℃に維持した。インビボで使用される条件を近似するために、有限用量(20〜60μl)を使用した。レシーバー溶液を定期的に4時間にわたってサンプリングして、HPLCを用いてオキシコドンの経皮吸収を決定し、分析した。結果を図2A及び2Bに示す。
【0151】
結果
製剤3Aは、製剤3Bに比較して増加した経皮フラックスを有した。高濃度の極性プロトン性溶媒の使用(製剤3A)は、同等量の好ましい形態のオキシコドン(塩基;5%w/w)が製剤されることを可能とした。
【0152】
10〜20μl/cm2の間の同等用量により、製剤3Aは、製剤3Bの2倍のオキシコドンを送達し、両製剤とも良い用量応答を示した。製剤3Bでは、30μl/cm2の用量において経皮送達のさらなる増加は見られなかった。最高用量30μl/cm2においても、製剤3Aについての用量応答は持続した。
【0153】
結論
この用量応答試験は、特に、本発明の製剤(製剤3A)が、用量応答においてより広いダイナミックレンジを可能とすることを示している。
【0154】
実施例4
この実施例は、本発明の製剤(製剤4A)と低濃度の極性プロトン性溶媒を含む製剤(製剤4B)の安定性、皮膚沈着及び他の性質を比較する。各製剤の詳細は以下のとおりである:
【0155】
【表7】

【0156】
【表8】

【0157】
方法
製剤4Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤4Bを、同様に調製した。
【0158】
結果
視覚的な安定性試験の結果は、3日間の貯蔵後、製剤4Aについて注目される物理的変化はなかったが、製剤4Bでは沈澱が生成したことを示した。
4時間の投与後、図3に示すとおり、製剤4Aでは、製剤4Bに比べて顕著な皮膚沈着(μg)があった。
【0159】
結論
結果は、本発明の製剤(製剤4A)が、製剤4Bに比べて安定であり、かつ、改善した送達を有したことを示した。
【0160】
実施例5
この実施例は、本発明の製剤(製剤5A)と低濃度の極性プロトン性溶媒を含む製剤(製剤5B)の安定性、皮膚沈着及び他の性質を比較する。各製剤の詳細は以下のとおりである:
【0161】
【表9】

【0162】
【表10】

【0163】
方法
ジクロフェナック製剤5Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤5Bを同様に調製した。
【0164】
結果
視覚的な安定性試験の結果は、3日間の貯蔵後、製剤5Aについて注目される物理的変化はなかったが、製剤5Bでは沈澱が生成したことを示した。
4時間の投与後、図4に示すとおり、製剤5Aでは、製剤5Bに比べて顕著な皮膚沈着(μg)があった。図4においては、製剤5A及び5Bを、ジクロフェナックVoltaren(登録商標)を含む市販の製品に対しても比較した。
【0165】
結論
結果は、本発明の製剤(製剤5A)が、製剤5Bに比べて安定であり、かつ、改善した送達を有したことを示した。
【0166】
実施例6
この実施例は、本発明の製剤(製剤6A)と低濃度の極性プロトン性溶媒を含む製剤(製剤6B)の安定性、皮膚透過及び他の性質を比較する。各製剤の詳細は以下のとおりである:
【0167】
【表11】

【0168】
【表12】

【0169】
方法
製剤6Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤6Bを同様に調製した。
実施例2について実施した皮膚透過試験も上記製剤について実施した。
【0170】
結果
視覚的な安定性試験の結果は、3日間の貯蔵後、製剤6Aについて注目される物理的変化はなかったが、製剤6Bでは沈澱が生成したことを示した。
4時間の投与後、図5に示すとおり、製剤6Aでは、製剤6Bに比べて顕著な皮膚沈着(μg)があった。
【0171】
結論
結果は、本発明の製剤(製剤6A)が、製剤6Bに比べて安定であり、かつ、改善した送達を有したことを示した。
【0172】
実施例7
この実施例は、本発明の製剤(製剤7A)と低濃度の極性プロトン性溶媒を含む製剤(製剤7B)の安定性及び他の性質を比較する。各製剤の詳細は以下のとおりである:
【0173】
【表13】

【0174】
【表14】

【0175】
方法
製剤7Aを、上記の好ましい方法にしたがって調製した。製剤7Bを同様に調製した。
【0176】
結果
視覚的な安定性試験の結果は、3日間の貯蔵後、製剤7Aについて注目される物理的変化はなかったが、製剤7Bでは沈澱が生成したことを示した。
4時間の投与後、製剤7Aでは、製剤7Bに比べて顕著な皮膚沈着(μg)があった。
【0177】
結論
結果は、本発明の製剤(製剤7A)が、製剤7Bに比較して安定であり、かつ、改善した送達を有することを示した。
本発明の分野の当業者は、本発明の精神及び範囲から離れることなく、多くの変更が行われうることを理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子移動剤のホスフェート化合物及び極性プロトン性溶媒を含む、生理活性化合物の送達のための担体組成物であって、ここで、前記極性プロトン性溶媒の濃度が、前記担体組成物の総濃度の50%w/w超である、前記担体組成物。
【請求項2】
前記極性プロトン性溶媒の濃度が、約60%w/w〜約90%w/w、または約65%w/w〜約85%w/w、または約70%w/w〜約80%w/w、または約50%w/w〜約60%w/w、または約60%w/w〜約70%w/w、または約80%w/w〜約90%w/wの範囲内にある、請求項1に記載の担体組成物。
【請求項3】
前記極性プロトン性溶媒が非環式アルコールである、請求項1に記載の担体組成物。
【請求項4】
前記C2〜C3非環式アルコールがエタノールまたはプロパノールである、請求項3に記載の担体組成物。
【請求項5】
前記電子移動剤がヒドロキシクロマンである、請求項1に記載の担体組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシクロマンが、トコフェロールまたはトコトリエノールである、請求項5に記載の担体組成物。
【請求項7】
前記トコフェロールのホスフェート化合物が、以下の:モノ−(トコフェリル)ホスフェート、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二ナトリウム塩、モノ−(トコフェリル)ホスフェート二カリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一ナトリウム塩、ジ−(トコフェリル)ホスフェート一カリウム塩、またはそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項6に記載の担体組成物。
【請求項8】
前記トコフェロールのホスフェート化合物が、モノ−(トコフェリル)ホスフェートとジ−(トコフェリル)ホスフェートの混合物である。請求項7に記載の担体組成物。
【請求項9】
前記モノ−(トコフェリル)ホスフェートとジ−(トコフェリル)ホスフェートの混合物が、少なくとも2:1、または約4:1〜約1:4の範囲内、または約6:4〜約8:2の範囲内の比率にある、請求項8に記載の担体組成物。
【請求項10】
前記電子移動剤のホスフェート化合物が、前記担体組成物の総濃度の約0.01%w/w〜約20%w/w、または約0.01%w/w〜約10%w/w、または約0.01%w/w〜約5%w/w、または約0.01%w/w〜約2%w/w、または約5%w/w〜約10%w/w、または約10%w/w〜約15%w/wの範囲内、または約0.05%w/w、または約0.1%w/w、または約1%w/wの量で存在する、請求項1に記載の担体組成物。
【請求項11】
担体組成物の製造における、電子移動剤のホスフェート化合物及び極性プロトン性溶媒の使用であって、ここで、前記極性プロトン性溶媒の濃度が、前記担体組成物の総濃度の50%w/w超である、前記使用。
【請求項12】
請求項1に記載の担体組成物の調製方法であって、前記電子移動剤のホスフェート化合物と前記極性プロトン性溶媒を完全な均一化が達成されるまで混合するステップを含む、前記方法。
【請求項13】
請求項1に記載の担体組成物及び生理活性化合物を含む製剤。
【請求項14】
前記生理活性化合物が脂溶性であり、約1〜約5の範囲内のlogP値を有する、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記生理活性化合物が、比較的低い分子質量及び/または比較的低い融点を有する、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
前記生理活性化合物が、前記担体組成物の総濃度の約30%w/w以下の量で存在する、請求項13に記載の製剤。
【請求項17】
前記生理活性化合物が、リドカイン、ジクロフェナック、ケトロラック、プリロカイン、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾール、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項14に記載の製剤。
【請求項18】
前記生理活性化合物が、前記担体組成物の総濃度の5%w/w以下の量で存在する、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
生理活性化合物を請求項1に記載の担体組成物に添加するステップを含む、請求項15に記載の製剤の調製方法。
【請求項20】
前記担体組成物とともに製剤化される生理活性化合物の送達を改善するため、または生理活性化合物のA.D.M.E.特性を変更するため、または対象における生理活性化合物のバイオアベイラビリティーを改善するための、請求項1に記載の担体組成物の使用。
【請求項21】
病的状態に関して対象を治療するための方法であって、前記病的状態を治療する生理活性化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み、ここで、前記生理活性化合物が請求項1に記載の担体組成物中に製剤化されている、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515012(P2013−515012A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545015(P2012−545015)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001719
【国際公開番号】WO2011/075775
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512165053)フォスファジェニクス リミティド (3)
【Fターム(参考)】