説明

担子菌の乾燥方法

【課題】担子菌を工業的規模において効率よく短時間で完了することができ、しかも、生理活性を維持することのできる乾燥方法及び乾燥粉砕方法を提供する。
【解決手段】前記乾燥方法は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程を含む。前記乾燥粉砕方法は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担子菌(特にはマツタケ)の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生物由来の生理活性物質の乾燥物を粉砕することにより、活性が効率よく発現することが知られている。一つの理由として、生理活性物質の比表面積が増加することにより、有用成分の溶出及び体内への吸収が向上することが挙げられる。しかしながら、粉砕時の熱履歴により生理活性を損失又は失活することがあることが知られている。
生理活性を有する担子菌、特にマツタケの場合も同様である。
【0003】
国際公開第WO02/30440号パンフレット(特許文献1)には、マツタケのストレス負荷に対する回復促進作用が記載されており、その実施例1には、実験室的規模において、培養液より濾過分離したマツタケ菌糸体を通常の凍結乾燥後、粉砕して乾燥物粉末を得たことが記載されている。
しかしながら、この実験室規模の操作をそのまま工業的規模に応用することには、生産性及び生理活性維持の面から問題があった。
【0004】
例えば、凍結乾燥法は生理活性物質の乾燥法として広く使用されているにもかかわらず、凍結及び乾燥を伴うため、生理活性の低下を伴うことがあり、例えば、常温(25℃)で行う凍結乾燥において、アクチン(非特許文献1)又は組換えγ−インターフェロン(非特許文献2)の生理活性が低下することが知られていた。
また、常温で行う凍結乾燥をそのまま工業的規模に拡張した場合、乾燥が完了するまでに長期間を要することが予想され(例えば、後述の比較例1参照)、生産性の点で大きな問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2002−30440号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「アーカイブス・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics)」,(米国),1998年,第358巻,p.171−181
【非特許文献2】「ディベロップメンツ・イン・バイオロジカル・スタンダーディゼーション(Developments in Biological Standardization)」,(スイス),カルガー(Karger),1991年,第74巻,p.307−322
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、従来技術の前記の欠点を解消し、担子菌を工業的規模において効率よく短時間で完了することができ、しかも、生理活性を維持することのできる乾燥方法及び乾燥粉砕方法を鋭意検討したところ、常温よりも高い温度である35〜65℃の管理温度で凍結乾燥を実施することにより、前記課題を達成することができることを見出した。先述したように、常温で実施する凍結乾燥でさえ、生理活性が低下することが知られており、このような高い温度でも生理活性を維持可能であったことは、非常に意外であった。本発明は、このような知見に基づくものである。
従って、本発明の課題は、担子菌を工業的規模において効率よく短時間で完了することができ、しかも、生理活性を維持することのできる乾燥方法及び乾燥粉砕方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明による、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥方法により解決することができる。
また、本発明は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥物の製造方法に関する。
また、本発明は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥粉砕方法に関する。
また、本発明は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥粉砕物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の乾燥方法によれば、担子菌(好ましくは担子菌菌糸体)を工業的規模において効率よく短時間で完了することができ、しかも、生理活性を維持することができる。
また、本発明の乾燥粉砕方法により得られた乾燥粉砕物では、有用成分の溶出及び体内への吸収が向上し、しかも、生理活性を損失又は失活することがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一般的な凍結乾燥における温度制御及び真空制御並びに凍結乾燥対象物の温度変化を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の乾燥方法は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程(すなわち、凍結乾燥工程)を含み、担子菌の乾燥物を得ることができる。以下、本発明の乾燥方法について説明するが、その説明は、本発明による、担子菌の乾燥物の製造方法にもそのまま当てはまる。
また、本発明の乾燥粉砕方法は、担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程(凍結乾燥工程)、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程(すなわち、粉砕工程)を含み、担子菌の乾燥粉砕物を得ることができる。以下、本発明の乾燥粉砕方法について説明するが、その説明は、本発明による、担子菌の乾燥粉砕物の製造方法にもそのまま当てはまる。
また、本発明の乾燥方法及び本発明の乾燥粉砕方法を併せて、単に本発明方法と称することがある。
【0012】
本発明方法を適用することのできる担子菌は、生理活性物質を含有し、前記生理活性物質の少なくとも1つが、本発明方法を実施した後もその活性を維持することが可能な担子菌である限り、特に限定されるものではないが、例えば、マツタケ、シイタケ、エノキタケ、ヒラタケ、マイタケ、ナメコ、エリンギ、キクラゲ、アガリクス・ブラゼイ、ブナシメジ、シロマイタケ、マッシュルーム、ポルチーニ、ハナビラタケ、又はメシマコブ等を挙げることができる。本発明方法は、マツタケ[Tricholoma matsutake (S. Ito & Imai) Sing.]の乾燥及び乾燥粉砕に特に適している。
【0013】
本発明方法における凍結乾燥工程に用いる担子菌としては、種々の状態の担子菌、例えば、天然の担子菌の菌糸体、子実体、若しくは胞子、培養により得られる菌糸体、又は培養若しくは栽培により得られる子実体若しくは胞子などを用いることができる。例えば、処理対象である担子菌菌糸体、子実体、又は胞子に応じて適宜選択した培地及び培養方法により培養を実施した後、適当な分離手段(例えば、濾過又は遠心分離)で担子菌菌糸体と培地とを分離することにより、あるいは、適当な栽培方法により栽培した後、担子菌子実体又は胞子を採取することにより、凍結乾燥工程に用いる担子菌を調製することができる。
凍結乾燥工程に用いる担子菌は、含水率が、湿潤重量(wet base;W.B.)で、90%W.B.以下であることが好ましく、80%W.B.以下であることがより好ましい。含水率が低いほど、凍結乾燥工程が完了するのに要する時間を短縮することができる。
【0014】
一般的な凍結乾燥における温度制御及び真空制御並びに凍結乾燥対象物の温度変化について、図1に沿って説明する。図1において、曲線aは真空度を、曲線bは凍結乾燥対象物の温度(以下、品温と称する)を、曲線cは凍結乾燥装置内の棚の温度(以下、棚温と称する)を、それぞれ示す。
【0015】
凍結乾燥は、通常、予備凍結工程及び真空乾燥工程からなり、前記真空乾燥工程は、一次乾燥期と二次乾燥期とからなる。
予備凍結工程では、凍結乾燥対象物をその共晶点以下まで冷却して凍結させる。図1に示すように、凍結乾燥装置中で予備凍結を実施し、続けて、次の工程に移ることもできるし、あるいは、後述の実施例に示すように、凍結乾燥装置とは別の冷却装置(例えば、フリーザー)中で予備凍結を実施した後、凍結乾燥装置に移して次の工程を実施することもできる。予備凍結工程における冷却温度は、例えば、凍結乾燥対象物の種類、厚み、形状、含水率、又は共晶点などに応じて適宜決定することができ、通常、-80〜-5℃である。
【0016】
真空乾燥工程では、凍結乾燥装置内の圧力を高真空状態にまで減圧する。水の状態図における三重点よりも低い圧力及び温度範囲では、氷と水蒸気とが平衡状態にあり、この状態で氷に熱を加えると、昇華現象により氷から水蒸気に状態が変化するため、凍結対象乾燥物中の水分が除去される。真空乾燥工程における真空度は、例えば、凍結乾燥対象物の種類、厚み、形状、又は含水率などに応じて適宜決定することができ、通常、1.0〜500Paである。
【0017】
真空乾燥工程では、前記真空状態を維持したまま、凍結乾燥対象物が融解しないように、品温を凍結乾燥対象物の共晶点以下に保ちながら加熱する。水分の乾燥には大きな昇華熱(670Kcal/kg)が必要であり、氷に加えられた熱は昇華潜熱として用いられる。
一次乾燥期では、加熱を制御することにより、圧力に応じた一定温度を保ちながら昇華が進行する。例えば、図1に示すように、品温より棚温を高く設定しても、その差温は昇華潜熱として用いられるため、品温は一定温度に保たれる。一次乾燥における加熱制御は、例えば、品温、あるいは、品温の上昇速度などに応じて適宜決定することができ、例えば、品温と棚温との温度差を10〜40℃とすることができる。
【0018】
一次乾燥で水分のほとんどが乾燥されるが、例えば、不凍水(例えば、吸着水又は水和水)又は内包水などの逃散困難な水が残存する。前記の残存水の乾燥期に、品温の上昇が大きくなる。
二次乾燥期では、品温が急激に上昇し、二次乾燥機の末期では、その品温に平衡な含水率まで水分の除去が行われる。二次乾燥における加熱制御は、例えば、管理温度又は品温上昇速度などに応じて適宜決定することができ、例えば、棚温を管理温度と同等とすることができる。棚の加熱方法としては、例えば、伝熱により加熱する方法、あるいは、輻射熱による方法などを挙げることができるが、これらの方法に限定されるものではない。また、熱源としては、例えば、熱媒又は電気ヒーター等を用いることができるが、これらの熱源に限定されるものではない。
二次乾燥の完了は、例えば、品温を指標として判断することができる。例えば、前記指標である品温が、最終的に、管理温度に設定した棚温に対し、平行に推移するようになった時点で乾燥を終了する。
【0019】
本発明の乾燥方法における凍結乾燥工程では、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥を実施する。本明細書における「管理温度」とは、真空乾燥工程(特には二次乾燥)における品温(すなわち、凍結乾燥対象物の温度)の最高到達温度を意味する。65℃を超える管理温度で凍結乾燥を実施すると、凍結乾燥対象物である担子菌が有する生理活性を充分に維持することができないことがある。また、35℃未満の管理温度で凍結乾燥を実施すると、凍結乾燥を完了するまで長期間[例えば、室温(25℃)では1週間以上]を要することがあり、工業的規模の乾燥方法としては不適当である。35〜65℃の管理温度では、通常、20〜48時間で凍結乾燥を完了することができる。
本発明方法における管理温度は、好ましくは40〜60℃であり、より好ましくは45〜55℃である。
【0020】
本発明の乾燥方法における凍結乾燥工程は、管理温度を35〜65℃とすること以外は、通常の凍結乾燥工程と同様にして実施することができる。例えば、予備凍結工程における冷却温度、真空乾燥工程における真空度、一次乾燥及び二次乾燥における加熱制御、並びに二次乾燥の完了判断については、これまで説明した一般的な凍結乾燥における説明がそのまま当てはまる。
【0021】
本発明の乾燥粉砕方法では、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥を実施した後、得られた乾燥物を粉砕することにより、担子菌の乾燥粉砕物を得ることができる。本発明の乾燥粉砕方法における凍結乾燥工程は、本発明の乾燥方法における凍結乾燥工程の説明がそのまま当てはまる。
本発明の乾燥粉砕方法における粉砕工程で用いることのできる粉砕方法は、所望の粒度を得ることができ、しかも、粉砕時の被処理物の温度が高温(例えば、65℃)にならない限り、特に限定されるものではなく、公知の粉砕方法、例えば、ハンマーミル粉砕法、カッターミル粉砕法、ピンミル粉砕法、ジェットミル粉砕法、又はボールミル粉砕法などを挙げることができる。
【0022】
本発明の乾燥粉砕方法によれば、粉砕品の90%以上の粒度が好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜150μmである燥粉砕物を得ることができる。前記粒度を有する乾燥粉砕物では、有用成分の溶出及び体内への吸収が向上する。
また、本発明の乾燥粉砕方法によれば、粉砕時に高温となることがないため、生理活性を損失又は失活することがない。
【実施例】
【0023】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
《実施例1:マツタケ菌糸体ケーキの凍結乾燥(最高温度=50℃)及び粉砕》
本実施例及び以下の実施例及び比較例では、マツタケ菌としてマツタケFERM BP-7304株[Tricholoma matsutake (S. Ito & Imai) Sing. CM6271]を使用した。マツタケFERM BP-7304株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター[(旧)工業技術院生命工学工業技術研究所(あて名:〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)]に平成12年9月14日より寄託しているものである。また、前記マツタケ菌糸体の培養は、特願2002-311840号明細書に記載の製造方法により実施した。
【0025】
培養槽で培養したマツタケ菌糸体を遠心濾過機にて遠心分離し、そのケーキ部分を回収した後に、5mm角程度に解砕した。解砕したマツタケ菌糸体のブロック(含水率79.4%W.B.)6kgを専用トレー(510mm×790mm)に充填し、-35℃で24時間予備凍結した。なお、「W.B.」は湿潤重量(wet base)を意味する。予備凍結したマツタケ菌糸体を真空度13Paの減圧条件下で凍結乾燥し、凍結乾燥品1.2kgを得た。凍結乾燥時の最高温度は50℃であり、凍結乾燥を完了するまで24時間を要した。凍結乾燥品の含水率は2.7%W.B.であった。
得られた凍結乾燥品1.2kgを、粉砕機(ピンミル方式,5000r/min)で粉砕し、粉砕品を得た。凍結乾燥品の供給速度は12kg/hとし、粉砕時の温度は50℃以下に制御した。前記粉砕品の粒度は、125μmの篩で90%が通過する粒度であった。
【0026】
《実施例2:マツタケ菌糸体ケーキの凍結乾燥(最高温度=40℃)及び粉砕》
凍結乾燥時の最高温度を40℃としたこと以外は、実施例1の操作を繰り返すことにより、粉砕品を得た。凍結乾燥を完了するまでの時間は36時間であり、凍結乾燥品の含水率は3.3%W.B.であった。
【0027】
《実施例3:マツタケ菌糸体ケーキの凍結乾燥(最高温度=60℃)及び粉砕》
凍結乾燥時の最高温度を60℃としたこと以外は、実施例1の操作を繰り返すことにより、粉砕品を得た。凍結乾燥を完了するまでの時間は20時間を要した。
【0028】
《比較例1:マツタケ菌糸体ケーキの凍結乾燥(最高温度=25℃)》
培養槽で培養したマツタケ菌糸体を吸引濾過し、そのケーキ部分を回収した。回収したマツタケ菌糸体(含水率90%W.B.)500gを-80℃で24時間予備凍結した。予備凍結したマツタケ菌糸体を真空度13Paの減圧条件下で、且つ最高温度25℃で凍結乾燥したところ、1週間が経過しても充分な乾燥品が得られなかった。
【0029】
《比較例2:マツタケ菌糸体ケーキの凍結乾燥(最高温度=80℃)及び粉砕》
凍結乾燥時の最高温度を80℃としたこと以外は、実施例1の操作を繰り返すことにより、粉砕品を得た。凍結乾燥を完了するまでの時間は15時間であった。
【0030】
《比較例3:マツタケ菌糸体ケーキの流動層乾燥装置による乾燥及び粉砕》
培養槽で培養したマツタケ菌糸体を遠心濾過機にて遠心分離し、そのケーキ部分を回収した後に、5mm角程度に解砕した。解砕したマツタケ菌糸体(含水率74.1%W.B.)7.8kgを流動層乾燥装置に仕込み、120℃の熱風を流速2.3m/sで吹き込み、40分間乾燥し、乾燥品6.2kgを得た。流動層乾燥装置の床面積は0.05m2であった。
得られた凍結乾燥品の内、5kgを、粉砕機(ハンマーミル方式,5000r/min)で粉砕し、粉砕品を得た。凍結乾燥品の供給速度は5kg/hとしたが、粉砕時の温度は120℃まで上昇した。前記粉砕品の粒度は、125μmの篩で90%が通過する粒度であった。
【0031】
《評価例1:NK細胞活性及び腫瘍増殖抑制活性の評価》
本評価例では、マツタケ菌糸体の有する生理活性として、(1)ストレス負荷に対する促進活性の指標の1つであるNK細胞活性、及び(2)腫瘍(サルコーマ180細胞)増殖抑制活性について、各実施例及び比較例で調製したマツタケ菌糸体の粉砕品の評価を行った。
【0032】
具体的には、NK細胞活性は、国際公開第WO02/30440号パンフレットの評価例1に記載の方法(マウスを用いた評価系)により、「30%傷害単位(Lytic Units 30%;LU30)」、すなわち、エフェクター細胞107個当たり30%の腫瘍細胞を傷害する細胞数を算出した後、t-検定により比較した。なお、マツタケ菌糸体粉砕品の投与量は、マウスに対して150mg/kg/日(ヒト相当量に換算した場合、0.6g/日)であった。
【0033】
サルコーマ180細胞増殖抑制活性は、国際公開第WO01/49308号パンフレットの評価例(1)に記載の方法により測定した。増殖抑制率(単位=%)は、式:
[増殖抑制率(%)]={(Wc−W)/Wc}×100
[式中、Wはサンプル処置群の平均結節重量(単位=g)であり、Wcは生理食塩水処置群の平均結節重量(単位=g)である]
により算出した。
【0034】
NK細胞活性に関する結果を表1に示す。表1におけるNK細胞活性の欄において、各記号「+」及び「−」は、それぞれ、「有意差(p<0.05)あり」及び「有意差なし」を意味する。なお、腫瘍増殖抑制活性は、熱感受性が少ないことが判明した。
【0035】
表1から明らかなように、凍結乾燥時の最高温度が60℃以下の場合には、生理活性を充分に維持可能であったのに対して、80℃の場合及び流動層乾燥の場合には、生理活性が失われた。また、凍結乾燥時の最高温度が40℃以上の場合には、36時間以下で凍結乾燥を完了することができるのに対し、25℃の場合には、1週間以上を要し、工業的規模の乾燥方法としては不適当であることが判明した。
【0036】
《表1》
凍結乾燥時 乾燥時 NK細胞活性
の最高温度 間(hr)
実施例2 40℃ 36 +
実施例1 50℃ 24 +
実施例3 60℃ 20 +
比較例2 80℃ 15 −
比較例3(流動層乾燥:120℃,40分) −

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥方法。
【請求項2】
担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥物の製造方法。
【請求項3】
担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥粉砕方法。
【請求項4】
担子菌を、35〜65℃の管理温度で凍結乾燥する工程、及び前記凍結乾燥工程により得られた乾燥物を粉砕する工程を含むことを特徴とする、担子菌の乾燥粉砕物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−131281(P2009−131281A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63201(P2009−63201)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2003−142937(P2003−142937)の分割
【原出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】