説明

拡大翼を備えた掘削装置及び掘削方法

【課題】 拡大穴を掘削するときの掘削回数を自動的に設定する。
【解決手段】
下端に掘削刃6aと拡大翼7を備えた掘削ロッド5と、掘削ロッド5を駆動するオーガ駆動装置3と、前記掘削刃3aによる拡大穴掘削区域の掘削時における前記駆動手段の電動機4の負荷電流を測定する手段と、を有し、前記測定した電流値に基づき掘削刃6aの掘削力を求め、それに所定の低減率を付して拡大翼7による掘削力を算出し、前記拡大翼7の掘削力に基づき拡大穴の掘削回数を算出する。 前記掘削回数に基づき前記拡大翼7の拡開量を算出し、前記拡大翼7の拡開量に基づき前記拡大翼を拡開制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大翼を備えた掘削装置及び掘削方法に関し、とくに、拡大翼により拡大穴を掘削する場合の掘削回数を自動設定することが可能な掘削装置及び掘削方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中掘り工法もしくはプレボーリング工法において、掘削した穴の周りを掘削して拡大穴を形成する場合には、所定深度まで拡大翼を閉じた状態で掘削し、その後拡大翼を開いて拡大穴の掘削を行うのが一般的であるが、その際、拡大掘削用の拡大翼を逆転して開かせて拡大させる方法と、拡大翼を、油圧等を用いて任意の径まで開く方法がある。
支持層が硬くまたは拡大翼の拡大量が多い場合、拡大翼を徐々に拡開しないと、拡大翼及び拡大翼の回転駆動系などの機器に過大な負荷が掛かり、掘削不能或いは機器の破損を生じる恐れがある。そのため、例えば油圧等を用いて徐々に拡開する方法が一般に採用されている。
【0003】
ところで、油圧等を用いて拡大翼を徐々に拡開していく場合、拡大翼をどの程度ずつ拡開すればよいのか実際にはその判断は難しく、しかも、掘削地盤は場所によってその状況が異なるため、拡大翼の拡開の度合いの判断は容易ではない。従来は、その拡開の割合や掘削回数の判断はオペレータの経験や勘など、つまりオペレータの技量に頼っているため、不慣れなオペレータは正確な拡大穴の掘削が困難である。
【0004】
他方、事前に拡大掘削する回数を予め決めて入力し、その回数に応じて拡大掘削を行うようにした制御方法も開発されている(特許文献1参照)。
この掘削方法では、オペレータが拡大掘削回数設定器に拡大掘削回数を設定し、各掘削段階での拡大翼の拡大翼量を自動的に演算して油圧ユニットを制御するようにしている。掘削作業中、オペレータは模式的に表示される拡大穴の形成状況を表示装置で確認しながら作業を進め、掘削負荷が異常に大きくなったときは、拡大量操作スイッチを操作して拡大翼の拡大量を強制的に調整することができる。
【0005】
しかし、上記掘削方法による場合でも、掘削回数の決定はオペレータの経験や勘によるため、不慣れなオペレータにとっては正確な拡大穴の掘削は困難であり、安全率をとって掘削回数が多くなりすぎると、施工効率が悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−186948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来のようにオペレータの経験や勘を要することなく、容易かつ効率的に拡大穴を掘削できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、下端に掘削刃と拡大翼を備えた掘削ロッドと、掘削ロッドを駆動する駆動手段と、前記掘削刃による拡大穴掘削区域の掘削時における前記駆動手段の負荷量を測定する手段と、前記測定した負荷量に基づき前記掘削刃による掘削力を算出し、前記掘削刃の掘削力に基づき拡大翼による掘削力を算出し、前記拡大翼の掘削力に基づき拡大穴の掘削回数を算出し、前記掘削回数に基づき前記拡大翼の拡開量を算出し、前記拡大翼の拡開量に基づき前記拡大翼を拡開制御する制御部と、を有することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置である。
請求項2の発明は、請求項1に記載された拡大翼を備えた掘削装置において、前記制御部は、前記掘削刃の掘削力を予め定めた所定の低減率で低減させて前記拡大翼の掘削力を算出することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は2のいずれかに記載された拡大翼を備えた掘削装置において、前記制御部は、前記拡大翼による掘削速度を取得し、取得された掘削速度が規定の速度を下回るとき、前記低減率を下げて掘削回数を再計算することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された拡大翼を備えた掘削装置において、前記負荷は、前記駆動手段の電動機の電流値又は積分電流値であることを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置である。
請求項5の発明は、下端に掘削刃と拡大翼を備えた掘削ロッドと、掘削ロッドを駆動する駆動手段と、前記掘削刃による拡大穴掘削区域の掘削時における前記駆動手段の負荷量を測定する手段と、を有する拡大翼を備えた掘削装置における掘削方法であって、前記測定した負荷量に基づき前記掘削刃による掘削力を算出する工程と、前記掘削刃の掘削力に基づき拡大翼による掘削力を算出する工程と、前記拡大翼の掘削力に基づき拡大穴の掘削回数を算出する工程と、前記掘削回数に基づき前記拡大翼の拡開量を算出する工程と、前記拡大翼の拡開量に基づき前記拡大翼を拡開制御する工程と、を有することを特徴とする掘削方法である。
請求項6の発明は、請求項5に記載された掘削方法において、前記掘削刃の掘削力を予め定めた所定の低減率で低減させて前記拡大翼の掘削力を算出する工程を有することを特徴とする掘削方法である。
請求項7の発明は、請求項5又は6のいずれかに記載された掘削方法において、前記拡大翼による掘削速度を取得する工程と、取得された掘削速度が規定の速度を下回るとき、前記低減率を上げて掘削回数を再計算する工程と、を有することを特徴とする掘削方法である。
請求項8の発明は、請求項5ないし7のいずれかに記載された掘削方法において、前記負荷は、前記駆動手段の電動機の電流値又は積分電流値であることを特徴とする掘削方法である。
【発明の効果】
【0009】
拡大掘削範囲を規定深度まで掘削したときに収集した、つまり当該地盤の掘削データに基づき拡大翼を制御して行うため、従来のようにオペレータの経験や勘を要することなく容易かつ効率的に拡大穴を掘削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る掘削装置の一例と拡大翼の一例を示す側面図と縦断面図である。
【図2】縦方向に掘削長手方向距離(拡大掘削範囲)、横方向に時間をとって、拡大掘削における掘削の状態を示した模式図である。
【図3】本掘削装置の制御部を示す。
【図4】掘削回数に基づき掘削するときの拡大穴を上からみたときの掘削のイメージである。
【図5】φ800mmの掘削径に対し、φ1100mmの拡大翼径を築造する場合に、拡大翼による掘削回数を3回に設定した場合における、それぞれの掘削回毎の掘削径と掘削量を示した図である。
【図6】本発明の実施形態における掘削制御を説明するフロー図であり、最大掘削径rの拡大翼で掘削したときの掘削穴のイメージである。
【図7】掘削回数を算出するためのフロー図である。
【図8】拡大翼による掘削回数を算出した後に行う、掘削手順について説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1Aは本発明の実施形態に係る掘削装置の側面図であり、図1Bはその一部拡大縦断面図である。
【0012】
本実施形態のオーガ駆動装置3は、ベースマシンの掘削装置1のリーダマスト2に沿って昇降自在に設けられ、このオーガ駆動装置3の電動機4には掘削ロッド(オーガロッド)5が接続されている。掘削ロッド5の下端には掘削刃6aと拡大ヘッド6が取り付けられており、掘削刃6aを回転させつつ下降させて掘削した後、掘削ロッド5先端の拡大ヘッド6の拡大翼7を、図示しない例えば油圧を用いた周知の拡大機構により拡大させることにより、拡大穴、例えば、拡大根固め球根Aを築造する。
【0013】
本実施形態においては、拡大ヘッド6の拡大機構とは別に、オーガ駆動装置3の電動機4のオーガ負荷電流値を用いて拡大ヘッド6の拡大翼7による掘削回数の設定を行う(具体的には、本実施形態に係る掘削装置の制御部により、上記電流値に基づき拡大回数を算出して設定する)。掘削装置1には、図示しない深度検出器、電流検出器、油圧の流量検出器、などにより品質管理・進行状況確認を行う施工管理装置が装備されており、後述する制御部10の表示部18の画面(図3)に必要な情報及び画像を表示させて確認することができる。
【0014】
本実施形態では、従来の拡大穴掘削工程と同様に、まず、拡大翼7を閉じた状態で掘削ロッド5に連結された掘削刃6aで拡大掘削範囲を含む規定深度まで掘削し、次に拡大翼7を拡開し、これを引き上げながら上記拡大掘削範囲での掘削を行う。ただ、本実施形態は、従来の拡大穴掘削工程とは相違して、掘削刃6aによる掘削工程中、その拡大穴掘削領域におけるオーガ駆動用の駆動手段、例えば電動機4の負荷値として上記電流値A又は積分電流値A・minを測定し、その測定値を掘削刃6aの半径から求めた掘削穴の面積と共に、後述する記憶部14(図3)に記憶させておくようにしている。
なお、オーガ駆動用の駆動手段の負荷値としては、電流に限らず、例えば、駆動手段として液圧ポンプを用いる場合は圧力値であってもよい。即ち、オーガ駆動装置が油圧使用の場合は、電流値・積分電流値の代わりに油圧を測定し、電流の場合と同様に(即ち同じロジックで)、測定した油圧の圧力値に基づき後述する低減率を設定することができる。
【0015】
図2は、縦方向に掘削長手方向距離(拡大掘削範囲)、横方向に時間をとって、拡大掘削における掘削の状態を示した模式図である。
即ち、掘削刃6aによる掘削を行い、掘削が拡大掘削範囲の始点に達するとオーガ駆動用の電動機4のオーガ負荷電流値A又は積分電流値A・minの測定を開始し、拡大掘削範囲の終点である測定規定深度まで測定を継続する。
なお、本実施形態に係る掘削装置は、ここで、得た電流値A又は積分電流値A・minを基準電流値(Ar)として、これを基に後述のように拡大翼による掘削回数nを算出し、n回の掘削を行う。
【0016】
次に、上記制御を行うための制御部について説明する。
図3は、本掘削装置1の制御部10を示す。
制御部10は、本掘削装置1の掘削装置全体の制御を行うコンピュータ12を備える。コンピュータ12は、演算などの処理を行うCPU(中央演算処理装置)121と、プログラムなどを記憶するROM122と、CPU121の処理に用いるデータなどを一次的に記憶するワークエリアを構成するRAM123とからなる。制御部10には、さらに動作処理に必要なデータ(例えば、電流値、積分電流値)などを記憶する記憶部14、キーボードなどから成る入力部16、及び例えばLC(液晶)等の周知の表示手段を備えた表示部18等が設けられている。
【0017】
制御部10は、前記基準電流値Arに基づいて拡大翼7による掘削回数n、拡大翼7の回転半径を算出するとともに、拡大翼による掘削平均速度(例えば、上記深度検出器による時系列的な深度情報に基づき算出する)と、予め設定された規定速度とを比較して、掘削平均速度が規定速度に満たないときは、後述する低減率γを変えて再計算して、拡大翼7による掘削回数を再計算し、縮径して掘削面積を小さくする等の処理を行うよう制御する。
【0018】
即ち、本掘削装置1の制御部10のCPU121は、以下で説明するように、上記基準電流値Arと、上記掘削刃6aによって掘削した掘削面積Vとの関係から、掘削刃6aによるときの掘削力、例えば基準電流値Ar当たりの掘削面積(V/Ar)を求め、この掘削力(V/Ar)と拡大掘削面積(掘削翼により拡大掘削すべき面積)に基づいて、拡大穴を掘削するに必要な掘削回数nを算出し、その算出結果に基づき拡大掘削を行うよう拡大翼7の拡開制御を行う。
【0019】
ここで、拡大翼7を拡大して掘削する場合は、本掘削装置1における上記実測値(電流値A又は積分電流値A・min)に対して一定の低減率(例えば、0.7)を乗じて、その場合における掘削力つまり負荷値である上記実測値当たりの掘削可能面積(一回当たりの拡大翼7による掘削可能面積)を算出する。
一回当たりの拡大翼7による掘削可能面積は、予め入力して記憶部14に記憶させた基準電流値Arに基づき得るようにしてもよい。
【0020】
次に、この一回当たりの拡大翼7による掘削可能面積に基づく掘削回数nを算出する具体的な方法について説明する。
即ち、ここでは、拡大翼7の最大拡大翼径(半径)rから拡大穴の最大掘削面積(πr)を算出し、この最大掘削面積から既に掘削刃6aで掘削した面積(πr)を引いた面積(πr−πr)を上記1回当たりの掘削可能面積で除した拡大翼の拡大翼掘削回数nを算出する。
【0021】
図4は、このようにして得られた掘削回数nに基づき掘削するときの拡大穴を上からみたときの掘削のイメージである。図示例では最大掘削径rの拡大翼で3回掘削する場合を示している。
ところで、拡大翼掘削回数に従ってn回の掘削を行う場合、図4Aに示すように掘削径の増加量を一定として(掘削径を均等割りして)掘削する場合と、図4Bに示すように掘削量を均等にして(掘削量を均等割りして)掘削する場合とがある。
【0022】
図5は、一例として、φ800mmの掘削径に対し、φ1100mmの拡大翼径を築造する場合に、拡大翼7による掘削回数を3回に設定した場合における、それぞれの掘削回毎の掘削径と掘削量を示した図である。
【0023】
掘削径の増加を一定にしたときの例として、ここでは、掘削径を1回目のφ900mmから、φ1000mm、φ1100mmと各回毎に100mmずつ増加させている。
そのときの、掘削量は1回目134リットル、2回目149リットル、3回目165リットルと、掘削回を追う毎に掘削量が増大している。
このように、掘削径を均等割にしてn回の掘削を行う場合には、施工回数が増すにしたがって掘削量が増大し掘削トルクが大きくなるため、その点を見越して前記低減率γを設定する必要がある。
【0024】
掘削量を一定としたときは、掘削径は一回目のφ911mmから、φ1010mm、φ1100mmと各回毎に掘削径の増加量を減少させている。つまり、第1回目を1としたとき、2回目は0.89、3回目は0.81と径が増大するにしたがって、その増加量を減少させている。
図示の例では、掘削量は各回毎に149リットルで一定である。このように拡大穴を掘削するとき掘削量を一定にして掘削すると、同じ回数であっても、上記掘削径の増加量を一定とする場合に比して、前記低減率γを高い値(あまり低減しない値)にすることができるため、効率良く掘削することができる。
【0025】
図6は、本発明の実施形態における、上記掘削制御を説明するフロー図である。
掘削時、まず、拡大掘削が根固め部のみか否かを判断し(S101)、根固め部のみでないときは(S101,NO)、拡大掘削部上端位置(A)を制御部10の入力部16で例えばキー入力してから(S102)、また、拡大掘削が根固め部のみのときは(S101,YES)、根固め部上端位置(B)を同様に入力する(S103)、次に、拡大翼による掘削所定深度(C)を同様に入力し(S104)、次に、制御部10は、拡大掘削部上端位置(A)と根固め部上端位置(B)間、及び根固め部上端位置(B)と拡大翼による掘削所定深度(C)間の平均速度Uを算出する(S105)。ここで、上記平均速度Uが予め定めた規定値未満つまり規定値に達しないときは(S106、YES)、上記低減率γの数値を下げて掘削回数を再計算し、掘削面積を減少させ(S107)、他方、規定値以上であれば(S106、NO)、そのまま掘削を続ける。
【0026】
図7は、掘削回数を算出するためのフロー図である。
まず、通常の掘削面積V(ここでは拡大翼を閉じた状態における掘削刃6aによる掘削面積)を算出し(具体的には、上記掘削刃6aの回転径をrとしたときπr)(S201)、掘削刃6aの掘削力、即ち上記基準電流Arに基づく1回当たりの拡大掘削面積V/Arを求める。次に、上記低減率γより、拡大翼7の掘削力、即ち上記基準電流Arに基づく1回当たりの拡大掘削面積V/Ar(=γV/Ar)を求める。
他方、掘削刃6aで掘削した穴の径rと拡大翼7がその最大掘削径rで掘削したときの掘削穴の径rとから、拡大翼で掘削すべき掘削面積Vn=π(r−r)を算出する(S203)。ここで、拡大翼による掘削回数n(=V/V)を算出する(S204)。
【0027】
図8は、拡大翼による掘削回数を算出した後に行う、掘削手順について説明するフロー図である。
まず、拡大翼7による掘削拡大幅を等分にして掘削するか否か判断する(S301)、ここで、掘削拡大幅を等分にして掘削する場合は(S301、YES)、(r−r)/nで拡大幅(掘削径)を算出する(S302)。ステップS301で掘削拡大幅を等分にして掘削しない場合は(S301、NO)、1回目の拡大掘削量V=π(r−r)から、rを求める。同様に、2回目の掘削拡大量V=π(r−r)から、rを求め、n回目の掘削拡大翼量V=π(r−rn―1)から、rを求める。このようにして各回における掘削拡大幅を算出する。なお、いずれの場合も掘削速度は一定とし、拡大回数を重ねる毎に拡大翼の掘削径を一定の比率で減少させて掘削を行う。
【0028】
以上から、拡大掘削範囲における掘削回数nは、掘削回数n=拡大翼を拡大して掘削した後の掘削面積/拡大翼を拡大する前の電流値A又は積分電流値×γ(拡大翼拡大翼後の掘削力/拡大翼拡大翼前の掘削力)と表すこともできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、掘削刃により拡大領域を掘削したときのオーガ駆動用の電動機4のオーガ負荷電流値A又は積分電流値A・minを基準として、電流値A又は積分電流値A・min毎の掘削面積つまり掘削力に対して所定の低減率γを掛けた掘削力を拡大翼による掘削力として、拡大孔を掘削するにようする拡大翼による掘削回数を自動的に算出し、その後は、オペレータが上記制御部10に指示することにより、掘削量を均等にして掘削するか、或いは、掘削径を均等割りして掘削することができる。そのため、従来のように掘削回数の設定をオペレータの経験や勘に頼ることがなく行うことができ、掘削装置に過大な負荷を掛けることなく目的とする拡大孔を容易に得ることができる。
また、掘削抵抗が増大したときは、上記低減率γを変更することにより、掘削回数を再計算し、それに基づき掘削面積を縮小し掘削装置を無理なく作動させることができる。
【0029】
なお、掘削径を均等割りして掘削する場合は、掘削回数を増す毎に掘削量が増大するため、上記低減率γの値を最大掘削量に合わせた値に設定しておくことで、掘削装置に作用する負荷を低減させることができるが、掘削効率の面からみれば上記低減率γの値を大きくできる掘削量の均等割りの方がよい。
なお、掘削量の増大を見越して基準電流量を、上記実測した電流値A又は積分電流値A・minよりも高い値に設定してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1・・・掘削装置、2・・・リーダマスト、3・・・オーガ駆動装置、4・・・電動機、5・・・掘削ロッド、6・・・拡大ヘッド、7・・・拡大翼、10・・・制御部、12・・・コンピュータ、121・・・CPU、122・・・ROM、123・・・RAM、14・・・記憶部、16・・・入力部、18・・・表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に掘削刃と拡大翼を備えた掘削ロッドと、
掘削ロッドを駆動する駆動手段と、
前記掘削刃による拡大穴掘削区域の掘削時における前記駆動手段の負荷量を測定する手段と、
前記測定した負荷量に基づき前記掘削刃による掘削力を算出し、前記掘削刃の掘削力に基づき拡大翼による掘削力を算出し、前記拡大翼の掘削力に基づき拡大穴の掘削回数を算出し、前記掘削回数に基づき前記拡大翼の拡開量を算出し、前記拡大翼の拡開量に基づき前記拡大翼を拡開制御する制御部と、
を有することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置。
【請求項2】
請求項1に記載された拡大翼を備えた掘削装置において、
前記制御部は、前記掘削刃の掘削力を予め定めた所定の低減率で低減させて前記拡大翼の掘削力を算出することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載された拡大翼を備えた掘削装置において、
前記制御部は、前記拡大翼による掘削速度を取得し、取得された掘削速度が規定の速度を下回るとき、前記低減率を下げて掘削回数を再計算することを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された拡大翼を備えた掘削装置において、
前記負荷は、前記駆動手段の電動機の電流値又は積分電流値であることを特徴とする拡大翼を備えた掘削装置。
【請求項5】
下端に掘削刃と拡大翼を備えた掘削ロッドと、掘削ロッドを駆動する駆動手段と、前記掘削刃による拡大穴掘削区域の掘削時における前記駆動手段の負荷量を測定する手段と、を有する拡大翼を備えた掘削装置における掘削方法であって、
前記測定した負荷量に基づき前記掘削刃による掘削力を算出する工程と、
前記掘削刃の掘削力に基づき拡大翼による掘削力を算出する工程と、
前記拡大翼の掘削力に基づき拡大穴の掘削回数を算出する工程と、
前記掘削回数に基づき前記拡大翼の拡開量を算出する工程と、
前記拡大翼の拡開量に基づき前記拡大翼を拡開制御する工程と、
を有することを特徴とする掘削方法。
【請求項6】
請求項5に記載された掘削方法において、
前記掘削刃の掘削力を予め定めた所定の低減率で低減させて前記拡大翼の掘削力を算出する工程を有することを特徴とする掘削方法。
【請求項7】
請求項5又は6のいずれかに記載された掘削方法において、
前記拡大翼による掘削速度を取得する工程と、
取得された掘削速度が規定の速度を下回るとき、前記低減率を上げて掘削回数を再計算する工程と、
を有することを特徴とする掘削方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載された掘削方法において、
前記負荷は、前記駆動手段の電動機の電流値又は積分電流値であることを特徴とする掘削方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−47179(P2011−47179A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195797(P2009−195797)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(505408686)ジャパンパイル株式会社 (67)
【Fターム(参考)】