説明

拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラム

【課題】対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能な拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラムを提供する。
【解決手段】観察対象物の表面における複数の単位領域がそれぞれ撮像され、複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データが生成される。生成された複数の画像データが記憶され、記憶された複数の画像データが連結されることにより連結画像データが生成される。複数の単位領域を含む対象物の画像が領域提示画像として表示される。使用者からの選択指示により複数の単位領域のうちのいずれかが選択されると、選択された単位領域が再撮像されることにより、選択された単位領域に対応する画像データが再撮像データとして生成される。生成された再撮像データは、選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象物の複数の領域の画像を繋ぎ合わせて一枚の合成広域画像を生成する蛍光顕微鏡システムが開示されている。この蛍光顕微鏡システムによれば、最も低い倍率の対物レンズの視野に対応する領域よりも広い領域の対象物の画像を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の蛍光顕微鏡システムにおいては、例えば対象物が載置される試料載置部を移動させ、対象物の複数の領域を撮像することにより複数の画像が得られる。その後、得られた複数の画像が継ぎ足される。これにより、合成広域画像が生成され、生成された合成広域画像が表示部に表示される。
【0005】
合成広域画像の生成時に複数の画像のうちの一部の画像が適切に得られなかった場合、使用者は生成された合成広域画像を視認することにより一部の領域が適切に撮像されなかったことを認識することができる。この場合、使用者は全ての領域について再撮像を行うことにより合成広域画像を再生成する。
【0006】
しかしながら、撮像する領域の数が多くなると、複数の領域の再撮像に要する時間および合成広域画像の生成に要する時間が長くなる。
【0007】
本発明の目的は、対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能な拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る拡大観察装置は、対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察装置であって、対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成する撮像部と、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成する位置情報生成部と、撮像部により生成された複数の画像データを位置情報生成部により生成された位置情報とともに記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する連結部と、複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示する表示部と、表示部により領域提示画像が表示された状態で、使用者から複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた選択指示および記憶部に記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成するように撮像部を制御し、記憶部に記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に再撮像により生成された画像データを記憶部に記憶させる制御部とを備えたものである。
【0009】
その拡大観察装置においては、対象物の複数の単位領域が予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像されることにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データが生成される。また、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報が生成される。生成された複数の画像データが位置情報とともに記憶され、記憶された複数の画像データが連結されることにより連結画像データが生成される。
【0010】
複数の単位領域を含む対象物の画像が領域提示画像として表示される。この状態で、使用者からの選択指示により複数の単位領域のうちのいずれかが選択されると、選択された単位領域が位置情報に基づいて予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されることにより選択された単位領域に対応する画像データが生成される。再撮像により生成された画像データは、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に記憶される。そのため、選択された単位領域に対応する画像データを記憶された画像データで置換することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを生成することができる。これにより、複数の単位領域のうち一部の単位領域の画像が適切に得られなかった場合でも、全ての単位領域を再撮像する必要がなくなる。その結果、対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能となる。
【0011】
さらに、各単位領域の撮像条件が予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されるので、選択された単位領域に対応する画像データを予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件での再撮像により生成された画像データで置換することが可能となる。それにより、一部の単位領域の撮像条件が適切でなかった場合に、その単位領域の画像を適切な撮像条件で得ることができる。
【0012】
(2)制御部は、受付部により選択指示が受け付けられた場合に、記憶部に記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データを再撮像により生成された画像データで置換してもよい。
【0013】
この場合、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データは、再撮像により生成された画像データで置換される。したがって、使用者は画像データを置換するための操作を行う必要がない。その結果、対象物を再撮像する場合に、再撮像により生成された画像データを含む連結画像データを容易に得ることができる。
【0014】
(3)受付部は、使用者から撮像部の撮像条件を予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件に調整するための調整指示をさらに受け付け、制御部は、受付部により選択指示が受け付けられた場合に、調整指示に従って調整された撮像条件で再撮像を行うことにより画像データを生成するように撮像部を制御してもよい。
【0015】
この場合、使用者からの調整指示により各単位領域の撮像条件を予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件に調整しつつ再撮像を行うことができる。それにより、選択された単位領域に対応する画像データを調整された撮像条件での再撮像により生成された画像データで置換することが可能となる。それにより、一部の単位領域の撮像条件が適切でなかった場合に、その単位領域の画像を適切な撮像条件で得ることができる。
【0016】
(4)連結部は、一の単位領域に対応する画像データが生成されるごとに、生成された画像データを先に生成された他の単位領域に対応する画像データに順次連結し、表示部は、連結部により順次連結される画像データに基づく複数の単位領域の画像を領域提示画像として順次表示してもよい。
【0017】
この場合、画像データが生成されるごとに複数の単位領域の画像が領域提示画像として表示部に順次表示される。使用者は、表示部に表示される領域提示画像を視認することにより再撮像すべき単位領域を容易に選択することができる。また、使用者は、現在撮像されている単位領域が複数の単位領域のうちのいずれの領域であるかを容易に認識することができる。
【0018】
(5)制御部は、受付部により選択指示が受け付けられた場合に、画像データの連結を中断するように連結部を制御してもよい。
【0019】
この場合、全ての単位領域を撮像するまでの間に選択指示が受け付けられることにより画像データの連結が中断される。これにより、適切でない画像データを含む複数の画像データの連結が続行されることが防止される。したがって、連結画像データの生成における無駄な時間が削減される。その結果、適切な連結画像データを効率よく生成することができる。
【0020】
(6)撮像部は、第1の倍率および第1の倍率よりも低い第2の倍率で対象物を撮像可能であり、第1の倍率で複数の単位領域をそれぞれ撮像することにより複数の単位領域に対応する複数の画像データを生成し、表示部は、撮像部により第2の倍率で撮像することにより生成された画像データに基づく画像を領域提示画像として表示してもよい。
【0021】
この場合、小容量の画像データにより領域提示画像を表示することができる。したがって、領域提示画像を表示するための画像データの生成に長い時間を費やす必要がなくなる。また、領域提示画像を表示するための画像データの量が使用可能な作業用メモリの容量を超えることを防止することができる。
【0022】
(7)制御部は、予め設定された撮像条件による撮像前に各単位領域を撮像することにより生成される画像データに基づいて、各単位領域を撮像するための予め設定された撮像条件を自動設定するとともに、各単位領域の撮像条件が正常に設定されたか否かを判定し、撮像条件が正常に設定されていないと判定された単位領域の画像を識別するための指標を領域提示画像に表示するように表示部を制御してもよい。
【0023】
この場合、各単位領域の撮像条件が自動設定されるので、使用者が撮像条件を調整するための操作を行うことなく適切な撮像条件で各単位領域が撮像される。また、使用者は、領域提示画像に表示される指標を視認することにより、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域の画像を容易に認識することができる。これにより、指標に基づいて単位領域を選択することにより、撮像条件が正常に設定されていないと判定された単位領域を容易に再撮像することができる。
【0024】
(8)各単位領域に対応する画像データに基づいて各単位領域の画像が予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定部をさらに備え、制御部は、判定部により予め定められた条件を満たさないと判定された単位領域の画像を識別するための指標を領域提示画像に表示するように表示部を制御してもよい。
【0025】
この場合、使用者は、領域提示画像に表示される指標を視認することにより、予め定められた条件を満たす画像が得られなかった単位領域の画像を容易に認識することができる。これにより、指標に基づいて単位領域を選択することにより、予め定められた条件を満たす画像が得られなかった単位領域を容易に再撮像することができる。
【0026】
(9)撮像部は、複数の単位領域を順次撮像することにより各単位領域に対応する画像データを順次生成し、制御部は、受付部により受け付けられた選択指示に基づいて選択された単位領域以降の単位領域を順次再撮像することにより選択された単位領域以降の単位領域に対応する画像データを生成するように撮像部を制御してもよい。
【0027】
この場合、選択された単位領域以降の単位領域が順次再撮像される。これにより、複数の単位領域について適切でない画像が得られた場合に、使用者による1回の選択指示により以降の複数の単位領域の再撮像が行われる。それにより、使用者による単位領域の選択指示の操作が簡素化される。
【0028】
(10)第2の発明に係る拡大観察方法は、対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察方法であって、対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成するステップと、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成するステップと、生成された複数の画像データを生成された位置情報とともに記憶するステップと、記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する連結部と、複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示するステップと、領域提示画像が表示された状態で、複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付けるステップと、受け付けられた選択指示および記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成し、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に再撮像により生成された画像データを記憶するステップとを備えたものである。
【0029】
その拡大観察方法においては、対象物の複数の単位領域が予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像されることにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データが生成される。また、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報が生成される。生成された複数の画像データが生成された位置情報とともに記憶され、記憶された複数の画像データが連結されることにより連結画像データが生成される。
【0030】
複数の単位領域を含む対象物の画像が領域提示画像として表示される。この状態で、使用者からの選択指示により複数の単位領域のうちのいずれかが選択されると、選択された単位領域が位置情報に基づいて予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されることにより選択された単位領域に対応する画像データが生成される。再撮像により生成された画像データは、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に記憶される。そのため、選択された単位領域に対応する画像データを記憶された画像データで置換することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを生成することができる。これにより、複数の単位領域のうち一部の単位領域の画像が適切に得られなかった場合でも、全ての単位領域を再撮像する必要がなくなる。その結果、対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能となる。
【0031】
さらに、各単位領域の撮像条件が予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されるので、選択された単位領域に対応する画像データを予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件での再撮像により生成された画像データで置換することが可能となる。それにより、一部の単位領域の撮像条件が適切でなかった場合に、その単位領域の画像を適切な撮像条件で得ることができる。
【0032】
(11)第3の発明に係る拡大観察プログラムは、対象物を撮像して対象物の画像を表示する処理を処理装置に実行させる拡大観察プログラムであって、対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成する処理と、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成する処理と、生成された複数の画像データを生成された位置情報とともに記憶する処理と、記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する処理と、複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示する処理と、領域提示画像が表示された状態で、複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付ける処理と、受け付けられた選択指示および記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成し、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に再撮像により生成された画像データを記憶する処理とを、処理装置に実行させるものである。
【0033】
その拡大観察プログラムにおいては、対象物の複数の単位領域が予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像されることにより複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データが生成される。また、複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報が生成される。生成された複数の画像データが生成された位置情報とともに記憶され、記憶された複数の画像データが連結されることにより連結画像データが生成される。
【0034】
複数の単位領域を含む対象物の画像が領域提示画像として表示される。この状態で、使用者からの選択指示により複数の単位領域のうちのいずれかが選択されると、選択された単位領域が位置情報に基づいて予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されることにより選択された単位領域に対応する画像データが生成される。再撮像により生成された画像データは、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に記憶される。そのため、選択された単位領域に対応する画像データを記憶された画像データで置換することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを生成することができる。これにより、複数の単位領域のうち一部の単位領域の画像が適切に得られなかった場合でも、全ての単位領域を再撮像する必要がなくなる。その結果、対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能となる。
【0035】
さらに、各単位領域の撮像条件が予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像されるので、選択された単位領域に対応する画像データを予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件での再撮像により生成された画像データで置換することが可能となる。それにより、一部の単位領域の撮像条件が適切でなかった場合に、その単位領域の画像を適切な撮像条件で得ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、対象物を再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る拡大観察装置の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】観察対象物の撮像時における表示部の一表示例を示す図である。
【図6】観察対象物の撮像時における表示部の他の表示例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図11】第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図12】第1の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。
【図13】第1の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部の一表示例を示す図である。
【図15】第2の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[1]第1の実施の形態
第1の実施の形態に係る拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラムについて図面を参照しながら説明する。
【0039】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、第1の実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0040】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0041】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0042】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、ズーム調整部13a、倍率検出部13b、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、照明用光源16およびレンズ駆動部17を含む。ステージ装置20は、ステージ21、ステージ駆動部22およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0043】
照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。
【0044】
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は、赤色波長の光を受光する複数の赤色用画素、緑色波長の光を受光する複数の緑色用画素、および青色波長の光を受光する複数の青色用画素を有する。複数の赤色用画素、複数の緑色用画素および複数の青色用画素は二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0045】
本実施の形態において、対物レンズ13はズームレンズである。ズーム調整部13aは画像処理装置200の制御により対物レンズ13の倍率を変化させる。倍率検出部13bは対物レンズ13の倍率を検出し、検出結果を画像処理装置200に与える。これにより、対物レンズ13の倍率は画像処理装置200により一定範囲内で任意の倍率に調整可能である。なお、使用者がズーム調整部13aを操作することにより対物レンズ13の倍率が調整されてもよい。この場合、調整された対物レンズ13の倍率が、倍率検出部13bにより検出され、画像処理装置200に与えられる。
【0046】
また、対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点位置がZ方向において移動する。
【0047】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ駆動部22は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいてステージ21をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。ステージ駆動部22には、ステッピングモータが用いられる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。画像処理装置200においては、移動指令信号に対するステージ駆動部22からの応答信号および回転角度センサ30からの角度検出信号に基づいて、X方向およびY方向におけるステージ21の位置および回転角度が取得される。
【0048】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0049】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、後述する拡大観察プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。拡大観察プログラムの詳細は後述する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0050】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0051】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0052】
CPU220は、記憶装置240に記憶された拡大観察プログラムを実行することにより作業用メモリ230を用いて画像データに基づく画像処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、ズーム調整部13a、照明用光源16、レンズ駆動部17およびステージ駆動部22を制御する。
【0053】
図2は、第1の実施の形態に係る拡大観察装置300の顕微鏡100を示す斜視図である。図2においては、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0054】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0055】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0056】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図2の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0057】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0058】
ステージ装置20のステージ支持部23は、スライダ8上に取り付けられる。ステージ21は、ステージ支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能に設けられる。また、ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21は、図1のステージ駆動部22によりx方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0059】
撮像装置10の撮像範囲(視野範囲)は、撮像装置10の倍率により異なる。以下、撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶ。ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得することができる。複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示することができる。
【0060】
このように、本実施の形態では撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶが、単位領域は必ずしも撮像装置10の撮像範囲でなくてもよい。例えば、撮像装置10の撮像範囲内の一部の領域を単位領域としてもよい。この場合、単位領域は撮像装置10の撮像範囲よりも小さくなる。
【0061】
図3は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0062】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0063】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0064】
したがって、ステージ21上の観察対象物の表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物の同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0065】
(2)撮像時における観察対象物の画像の表示例
以下の説明において、図1のズーム調整部13aにより調整可能な対物レンズ13の倍率の一定範囲内で互いに異なる2つの倍率を第1の倍率および第2の倍率と呼ぶ。第2の倍率は第1の倍率よりも低い。
【0066】
図5は観察対象物Sの撮像時における表示部260の一表示例を示す図であり、図6は観察対象物Sの撮像時における表示部260の他の表示例を示す図である。
【0067】
図5および図6に示すように、表示部260の画面上には、画像表示領域410、条件設定領域420およびポインタpが表示される。観察対象物Sの撮像時には、画像表示領域410に画像データに基づく画像が表示され、条件設定領域420に第1の倍率設定ボタン421、第2の倍率設定ボタン422および連結処理ボタン423が表示される。
【0068】
図1のステージ21に観察対象物Sが載置された状態で、使用者が図1の入力装置250を用いて第1の倍率設定ボタン421を操作する。これにより、ズーム調整部13aが制御され、対物レンズ13の倍率が第1の倍率に調整される。CPU220は、図5に示すように、観察対象物Sの単位領域に対応する画像を表示部260の画像表示領域410に表示させる。
【0069】
使用者が図1の入力装置250を用いて第2の倍率設定ボタン422を操作する。これにより、ズーム調整部13aが制御され、対物レンズ13の倍率が第2の倍率に調整される。CPU220は、図6に示すように、観察対象物Sの単位領域に対応する画像を表示部260の画像表示領域410に表示させる。
【0070】
上記のように、第2の倍率は第1の倍率よりも低い。この場合、図5および図6に示すように、第1の倍率が設定されているときの単位領域は、第2の倍率が設定されているときの単位領域よりも小さい。
【0071】
これにより、対物レンズ13の倍率を第1の倍率から第2の倍率に変更した場合には、画像表示領域410に表示される観察対象物Sの画像の範囲を拡大することができる。図6では、対物レンズ13の倍率が第1の倍率であるときの観察対象物Sの単位領域に対応する画像の部分に点線を付している。
【0072】
表示部260に画像が表示された状態で、使用者がステージ21をx方向またはy方向に移動させることにより、画像表示領域410に表示される観察対象物Sの画像の範囲を変更することができる。
【0073】
使用者が図1の入力装置250を用いて連結処理ボタン423を操作する。これにより、後述する拡大観察処理が開始される。
【0074】
(3)第1の実施の形態に係る拡大観察処理
上述のように、本実施の形態に係る拡大観察装置300においては、ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得し、複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示させることが可能である。この場合、単位領域を超える広い範囲に渡って観察対象物Sの画像を得ることができる。このように、複数の単位領域の画像データを連結して複数の単位領域の画像を表示部260に表示させる処理を拡大観察処理と呼ぶ。拡大観察処理は、使用者が図5または図6の連結処理ボタン423を操作することにより開始される。
【0075】
対物レンズ13の倍率が第1の倍率に設定されている状態で開始される拡大観察処理、すなわち第1の倍率で複数の単位領域に対応する画像を生成する場合の拡大観察処理について、図7〜図11を参照しつつ説明する。図7〜図11は第1の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部260の一表示例を示す図である。
【0076】
使用者が図5の連結処理ボタン423を操作すると、図1のCPU220は、図1のA/D変換器15から与えられるデジタル信号を1番目の単位領域に対応する画像データとして取得し、取得された画像データを1番目の画像データとして図1の記憶装置240に記憶する。このとき、CPU220は、1番目の画像データに対応しかつ1番目の単位領域の位置を示す1番目の位置情報を生成するとともに、生成された1番目の位置情報を図1の記憶装置240に記憶する。また、CPU220は、取得された1番目の画像データおよび1番目の位置情報に基づいて1番目の単位領域の画像r1を図1の表示部260に表示させる。
【0077】
位置情報は、例えば上述の移動指令信号に対するステージ駆動部22(図1)からの応答信号および回転角度センサ30(図1)からの角度検出信号に基づいて生成されてもよい。この場合、位置情報はX方向およびY方向における各単位領域の座標であってもよい。また、複数の単位領域の撮像位置が予め撮像順に定められている場合、位置情報は撮像の順番であってもよい。
【0078】
続いて、CPU220は、1番目の単位領域の周囲の領域が撮像されるように、図1のステージ駆動部22を制御して図1のステージ21をx方向およびy方向に移動させる。
【0079】
本例では、1番目の単位領域に隣接する単位領域が2番目の単位領域として撮像される。CPU220は、図1のA/D変換器15から与えられるデジタル信号を2番目の単位領域に対応する画像データとして取得し、取得された画像データを2番目の画像データとして図1の記憶装置240に記憶する。このとき、CPU220は、2番目の画像データに対応しかつ2番目の単位領域の位置を示す2番目の位置情報を生成するとともに、生成された2番目の位置情報を図1の記憶装置240に記憶する。また、CPU220は、2番目の画像データを記憶装置240に記憶された1番目の画像データに連結するとともに、2番目の画像データおよび2番目の位置情報に基づいて2番目の単位領域の画像r2を図1の表示部260に表示させる。
【0080】
なお、隣接する単位領域の一部は互いに重なるように設定されることが好ましい。この場合、隣接する単位領域に対応する複数の画像データ間でパターンマッチングを行うことができる。パターンマッチングを行うことにより、取得された画像データを順次隣接する単位領域に対応する画像データに連結することができる。
【0081】
上記のようにして、ステージ21の移動、n番目(nは2以上の自然数)の単位領域の撮像、画像データおよび位置情報の記憶、画像データの連結、および画像の表示を含む一連の動作が繰り返される。以下では、これらの一連の動作を連結画像生成動作と呼ぶ。連結画像生成動作が繰り返されることにより、例えば図7に示すように、1番目〜6番目までの単位領域の画像r1〜r6が、画像表示領域410に渦巻状に順次表示される。この状態で、条件設定領域420に再撮像ボタン424および連結終了ボタン425が表示される。
【0082】
図7ならびに後述する図8、図10および図11では、複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像が順次表示部260に表示されることが理解しやすいように、画像表示領域410に複数の単位領域に対応する複数の画像を仕切るための点線を付している。
【0083】
本実施の形態に係る拡大観察処理においては、図7の再撮像ボタン424が操作されることにより、撮像済みの複数の単位領域のうちのいずれかの単位領域を選択的に再撮像することが可能である。再撮像時の動作について説明する。
【0084】
図8に図7の再撮像ボタン424が操作された場合の表示部260の一表示例が示される。使用者が再撮像ボタン424を操作すると、CPU220は、上記の連結画像生成動作の繰り返しを中断する。また、CPU220は、図8に示すように、中断されるまでに連結された複数の画像データに基づく画像r1〜r6を領域提示画像として表示部260に表示させる。このとき、条件設定領域420には連結終了ボタン425が表示される。
【0085】
この状態で、使用者は、図1の入力装置250を用いて画像表示領域410に表示される複数の画像r1〜r6のうちのいずれかを選択することにより、複数の画像r1〜r6に対応する複数の単位領域のうち再撮像すべき単位領域を選択することができる。
【0086】
画像表示領域410においては、ポインタpが複数の画像r1〜r6のうちのいずれかの画像上に重なることにより、ポインタpが重なった画像(図8では、画像r6)を取り囲む選択枠HFが表示される。これにより、使用者は選択枠HFを視認しつつ容易に再撮像すべき単位領域を選択することができる。
【0087】
上記のようにして、複数の画像r1〜r6のうちのいずれかが選択されることにより、選択された画像の単位領域を示す信号が選択指示としてCPU220に与えられる。
【0088】
図8の例では、複数の画像r1〜r6のうち画像r6に含まれる星型のマークmが不鮮明に表示されている。そこで、使用者が図1の入力装置250を用いて画像r6を選択する。この場合、CPU220は、画像r6の単位領域(6番目の単位領域)を示す信号を選択指示として受け付け、受け付けた選択指示および記憶装置240に記憶された位置情報(本例では6番目の位置情報)に基づいて6番目の単位領域が撮像可能となるように、図1のステージ駆動部22を制御して図1のステージ21を移動させる。
【0089】
続いて、CPU220は、図1のA/D変換器15から与えられるデジタル信号を6番目の単位領域に対応する画像データとして取得し、取得された画像データに基づいて6番目の単位領域の画像r6を図1の表示部260に表示させる。
【0090】
図9に図8の画像r6が選択された場合の表示部260の一表示例が示される。図9に示すように、図8の画像r6が選択されると、画像表示領域410の全域に画像r6が表示される。また、条件設定領域420に再撮像決定ボタン426、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427dが表示される。
【0091】
この状態で、使用者は、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427dを操作することにより、再撮像時の撮像条件を調整することができる。ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427dのいずれかが操作されることにより、撮像条件を調整するための調整指示がCPU220に与えられる。
【0092】
使用者がゲイン調整ボタン427aを操作する。この場合、CPU220は単位領域の撮像条件の調整指示として図1のカラーCCD11のゲイン調整指示を受け付ける。CPU220は与えられたゲイン調整指示に基づいてカラーCCD11のゲインを増加または減少させる。
【0093】
使用者が露光時間ボタン427bを操作する。この場合、CPU220は単位領域の撮像条件の調整指示として露光時間の調整指示を受け付ける。CPU220は与えられた露光時間の調整指示に基づいてシャッタスピードを長くまたは短くする。
【0094】
使用者がホワイトバランスボタン427cを操作する。この場合、CPU220は単位領域の撮像条件の調整指示としてホワイトバランスの調整指示を受け付ける。CPU220は、与えられたホワイトバランスの調整指示に基づいて、画像データに基づいて表示される画像の色温度が変化するように画像データの値を補正する。
【0095】
使用者がフォーカスボタン427dを操作する。この場合、CPU220は単位領域の撮像条件の調整指示として対物レンズ13のZ方向の位置(以下、Z位置と呼ぶ。)の調整指示を受け付ける。CPU220は与えられたZ位置の調整指示に基づいてレンズ駆動部17を制御することにより対物レンズ13をZ方向に移動させ、対物レンズ13の焦点位置をZ方向において移動させる。
【0096】
CPU220は、調整後の撮像条件で撮像することにより取得される画像データに基づいて観察対象物Sの6番目の単位領域の画像r6を図1の表示部260に表示させる。この場合、使用者は画像表示領域410に表示される画像r6を視認しつつ、種々の撮像条件を容易に調整することができる。例えば、使用者は、画像表示領域410に示される画像r6を視認しつつ、図8の例で不鮮明に表示される星型のマークmが鮮明に表示されるように、撮像条件を容易に調整することができる。
【0097】
以下の説明では、再撮像により取得される画像データを再撮像データと呼び、再撮像データに基づいて表示部260に表示される画像を再撮像画像と呼ぶ。
【0098】
単位領域の撮像条件が調整された後、使用者が図1の入力装置250を用いて図9の再撮像決定ボタン426を操作する。これにより、CPU220は、調整された撮像条件で6番目の単位領域を再撮像する。CPU220は、再撮像により取得された画像データを6番目の単位領域に対応する再撮像データとして図1の記憶装置240に記憶する。このとき、CPU220は、再撮像データに対応しかつ6番目の単位領域の位置を示す6番目の位置情報を生成するとともに、生成された6番目の位置情報を図1の記憶装置240に記憶する。
【0099】
また、CPU220は、図1の記憶装置240に記憶されている複数の画像データのうち再撮像前に記憶された6番目の画像データを新たに記憶した6番目の再撮像データで置換する。さらに、CPU220は、6番目の再撮像データを1番目〜5番目の画像データに連結する。
【0100】
続いて、CPU220は、互いに連結された1番目〜5番目の画像データおよび6番目の再撮像データに基づいて、1番目〜5番目の単位領域の複数の画像r1〜r5および6番目の単位領域の再撮像画像r6xを図1の表示部260に表示させる。
【0101】
その後、CPU220は、次の単位領域が撮像済みの単位領域でない場合に、中断した連結画像生成動作を再開する。一方、CPU220は、次の単位領域が撮像済みの単位領域である場合に、以降の単位領域についても、調整後の撮像条件で順次再撮像を行い、以降の単位領域にそれぞれ対応する再撮像データを順次取得するとともに各再撮像データに対応する位置情報を図1の記憶装置240に記憶する。また、CPU220は、図1の記憶装置240に記憶されている画像データを再撮像データで置換し、再撮像画像を画像表示領域410に表示させる。
【0102】
図10に図9の再撮像決定ボタン426が操作された後の表示部260の一表示例が示される。図10に示すように、図9の再撮像決定ボタン426が操作された場合には、6番目の単位領域が再撮像された後、上記の連結画像生成動作が再開される。この場合、図8の画像r6が再撮像画像r6xに置換された後、以降の単位領域が撮像され、撮像された単位領域の画像が画像表示領域410に順次表示される。図10の例では、7番目の画像r7が表示される。
【0103】
本実施の形態では、再開後の連結画像生成動作においては、再撮像時に調整された撮像条件で以降の単位領域が撮像される。これにより、再撮像を行うことにより以降の単位領域を適切な撮像条件で撮像することができる。これに限らず、再開後の連結画像生成動作においては、拡大観察処理の開始時点の撮像条件で各単位領域が撮像されてもよい。
【0104】
使用者が図1の入力装置250を用いて図7、図8または図10の連結終了ボタン425を操作する。図11に25番目の単位領域が撮像された時点で連結終了ボタン425が操作されたときの表示部260の一表示例が示される。CPU220は、連結終了ボタン425が操作されることにより連結画像生成動作を終了する。この場合、CPU220は、図11に示すように、連結された複数の画像データおよび再撮像データに基づく画像r1〜r5,r7〜r25および再撮像画像r6xを連結画像として表示部260に表示させる。また、CPU220は、複数の単位領域に対応する複数の画像データおよび再撮像データが互いに連結されることにより生成された連結画像データを記憶装置240に記憶し、拡大観察処理を終了する。このとき、CPU220は、連結画像データを構成する複数の画像データおよび再撮像データにそれぞれ対応する位置情報も記憶装置240に記憶する。
【0105】
(4)効果
本実施の形態では、観察対象物Sの表面における複数の単位領域が撮像され、撮像により得られる複数の画像データに基づいて複数の単位領域の画像が表示部260に表示される。
【0106】
この状態で、図7の再撮像ボタン424が操作されることにより、使用者は撮像済みの複数の単位領域の画像r1〜r6を視認しつつ、適切でない画像を選択することにより再撮像すべき単位領域を選択することができる。
【0107】
使用者による選択指示および記憶装置240に記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域が再撮像され、記憶装置240に記憶された画像データが再撮像データで置換される。最終的に、記憶装置240に記憶された複数の画像データおよび再撮像データに基づいて連結画像データが生成される。
【0108】
これにより、複数の単位領域のうち一部の単位領域の画像が適切に得られなかった場合でも、全ての単位領域を再撮像する必要がなくなる。その結果、観察対象物Sを再撮像することにより複数の単位領域に対応する連結画像データを得る場合に連結画像データを効率よく短時間で得ることが可能となる。
【0109】
上記のように、本実施の形態では、再撮像時に図1の記憶装置240に記憶されている複数の画像データのうち再撮像される単位領域に対応する画像データが再撮像データで置換される。これにより、使用者は画像データを置換するための操作を行う必要がない。したがって、再撮像データを含む連結画像データを容易に得ることができる。
【0110】
CPU220は、再撮像時に画像データを再撮像データで置換する代わりに、取得された再撮像データを対応する画像データと置換可能な状態で記憶装置240に記憶してもよい。この場合、使用者が図1の入力装置250を操作することにより画像データを再撮像データで置換してもよい。
【0111】
本実施の形態に係る拡大観察処理においては、連結画像生成動作により1番目の単位領域の周囲の領域が撮像されるように渦巻状に順次複数の単位領域が撮像され、連結終了ボタン425が操作されることにより拡大観察処理が終了する。この場合、使用者は、予め撮像範囲を設定しなくても表示部260に表示される複数の画像を視認しつつ、撮像すべき観察対象物Sの観察対象範囲を容易に決定することができる。
【0112】
本実施の形態では、再撮像する単位領域が選択された後、選択された単位領域以降の単位領域についても順次再撮像が行なわれる。これにより、使用者による1回の選択指示により以降の複数の単位領域の再撮像が行なわれる。したがって、使用者による単位領域の選択指示の操作が簡素化される。
【0113】
上記のように、再撮像時において、CPU220は、選択された単位領域以降の単位領域について順次再撮像を行う代わりに、選択された単位領域のみを再撮像してもよい。この場合、単位領域ごとに撮像条件を適切に調整することができる。
【0114】
(5)第1の実施の形態に係る拡大観察処理フロー
図12および図13は第1の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。図1のCPU220は、記憶装置240に記憶される拡大観察プログラムを実行することにより本実施の形態に係る拡大観察処理を行う。以下のフローチャートでは、再撮像時に選択された画像に対応する単位領域のみを再撮像する例を説明する。
【0115】
初期の状態では、使用者の操作により拡大観察装置300に予め一定の撮像条件(カラーCCD11のゲイン、露光時間、ホワイトバランス、および対物レンズ13の焦点位置等)が設定されている。
【0116】
まず、CPU220は、予め設定された撮像条件で観察対象物Sの1番目の単位領域を撮像することにより、1番目の単位領域に対応する画像データを取得するとともに1番目の単位領域の位置を示す1番目の位置情報を生成し、取得した画像データを1番目の位置情報とともに図1の記憶装置240に記憶する(ステップS1)。また、CPU220は、取得した画像データおよび1番目の位置情報に基づいて、1番目の単位領域の画像を図1の表示部260に表示させる(ステップS2)。
【0117】
次に、CPU220は、再撮像の指令があるか否かを判定する(ステップS3)。例えば、CPU220は、図7の再撮像ボタン424が操作された場合に再撮像の指令があると判定し、再撮像ボタン424が操作されない場合に再撮像の指令がないと判定する。
【0118】
再撮像の指令がない場合、CPU220は、拡大観察処理終了の指令があるか否かを判定する(ステップS4)。例えば、CPU220は、図7、図8または図10の連結終了ボタン425が操作された場合に拡大観察処理終了の指令があると判定し、連結終了ボタン425が操作されない場合に拡大観察処理終了の指令がないと判定する。
【0119】
拡大観察処理終了の指令がある場合、CPU220は、複数の画像データおよび再撮像データにより生成された連結画像データを記憶装置240に記憶するとともに連結画像データに基づく連結画像を表示部260に表示させ(ステップS5)、拡大観察処理を終了する。
【0120】
一方、拡大観察処理終了の指令がない場合、CPU220は、次の単位領域が撮像できるように、図1のステージ駆動部22を制御して図1のステージ21を移動させる(ステップS6)。
【0121】
CPU220は、次の単位領域を撮像することによりその単位領域に対応する画像データを取得するとともにその単位領域の位置を示す位置情報を生成し、取得した画像データを先に記憶された他の単位領域に対応する画像データに連結しつつ対応する位置情報とともに図1の記憶装置240に記憶する(ステップS7)。また、CPU220は、取得した画像データおよび位置情報に基づいてその単位領域の画像を図1の表示部260に表示させ(ステップS8)、ステップS4の処理に戻る。
【0122】
上記のステップS4において、再撮像の指令がある場合、CPU220は、使用者に再撮像すべき単位領域を選択させるための画像を領域提示画像として表示部260に表示させる(ステップS9)。
【0123】
このときの領域提示画像としては、拡大観察処理の開始後に取得されかつ互いに連結された全ての画像データに基づく複数の画像が用いられてもよいし、拡大観察処理の開始後に取得されかつ互いに連結された一部の画像データに基づく複数の画像が用いられてもよい。さらに、領域提示画像としては、例えば連結されていない複数の画像データに基づく複数の画像が一定の間隔で配列された画像を用いてもよい。
【0124】
その後、CPU220は、撮像済みのいずれかの単位領域が再撮像の対象として選択されたか否かを判定する(ステップS10)。
【0125】
具体的には、CPU220は、使用者による入力装置250の操作に基づいて表示部260に表示される複数の画像のうちのいずれかが選択されることにより、再撮像すべき単位領域が選択されたと判定する。
【0126】
いずれかの単位領域が選択されると、CPU220は、図1の記憶装置240に記憶された位置情報に基づいて選択された単位領域を撮像できるように、ステージ駆動部22を制御してステージ21を移動させる(ステップS11)。
【0127】
続いて、CPU220は、選択された単位領域を撮像することにより画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像を表示部260に表示させる(ステップS12)。この状態で、CPU220は、上記の撮像条件の調整指示を受けることにより、与えられた調整指示に基づいて撮像条件を調整する(ステップS13)。
【0128】
具体的には、CPU220は、使用者により図9の複数のボタン(再撮像決定ボタン426、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427d)が操作されることにより与えられる調整指示に基づいて種々の撮像条件を調整する。なお、CPU220は、予め定められた期間調整指示がない場合、撮像条件の調整を行わない。
【0129】
その後、CPU220は、調整後の撮像条件で選択された単位領域を再撮像することにより、選択された単位領域に対応する再撮像データを取得するとともにその再撮像データに対応する位置情報を記憶装置240に記憶する(ステップS14)。
【0130】
次に、CPU220は、記憶装置240において、選択された単位領域の画像データを取得した再撮像データで置換し、取得した再撮像データを他の画像データに連結する(ステップS15)。
【0131】
続いて、CPU220は、取得した再撮像データおよび位置情報に基づいて選択された単位領域の画像を表示部260に表示させ(ステップS16)、ステップS4の処理に戻る。
【0132】
図12および図13のフローチャートにおいては、例えばステップS4,S6,S7,S8からなる一連の処理動作が上記の連結画像生成動作に相当する。
【0133】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る拡大観察装置、拡大観察方法および拡大観察プログラムについて第1の実施の形態と異なる点を説明する。
【0134】
第2の実施の形態に係る拡大観察装置は、図1の拡大観察装置300と同じ構成を有するが、記憶装置240に記憶される拡大観察プログラムが異なる。そのため、第2の実施の形態に係る拡大観察処理は第1の実施の形態に係る拡大観察処理とは異なる。以下、第2の実施の形態に係る拡大観察処理の詳細を説明する。
【0135】
(1)第2の実施の形態に係る拡大観察処理
本実施の形態においても、観察対象物Sが撮像される場合には、対物レンズ13の倍率に応じて図5または図6と同様の画像が図1の表示部260に表示される。この状態で、使用者が図1の入力装置250を用いて図5または図6の連結処理ボタン423を操作することにより拡大観察処理が開始される。
【0136】
対物レンズ13の倍率が第1の倍率に設定されている状態で行われる拡大観察処理、すなわち第1の倍率で複数の単位領域に対応する画像を生成する場合の拡大観察処理について説明する。
【0137】
初めに、撮像すべき観察対象物Sの観察対象範囲が設定される。例えば使用者が図1の入力装置250を用いて観察対象範囲に関する情報を入力する。これにより、図1のCPU220は、入力された情報に基づいて観察対象物Sの観察対象範囲を設定する。また、CPU220は、観察対象範囲が単位領域よりも大きい場合に、設定された観察対象範囲内で撮像すべき複数の単位領域の位置を設定する。その後、CPU220は、設定された複数の単位領域を順次撮像するように顕微鏡100の各構成要素を制御する。
【0138】
本実施の形態では、上記の観察対象範囲の設定時に観察対象物Sが第1の倍率よりも低い第2の倍率で撮像される。この場合、CPU220は、第2の倍率が設定されているときの単位領域に対応する画像データを取得するとともに、その単位領域の位置を示す位置情報を生成し、取得した画像データを位置情報とともに図1の記憶装置240に記憶する。
【0139】
このときの対物レンズ13の第2の倍率の設定は、例えば、観察対象範囲の設定開始時にCPU220により自動的に行われてもよいし、観察対象範囲の設定開始前に使用者が図1のズーム調整部13aを操作することにより行われてもよい。
【0140】
本実施の形態において、CPU220は、拡大観察処理中の各単位領域の撮像開始時に撮像条件の自動設定を行う。この自動設定について具体例を説明する。以下の具体例では、CPU220は、撮像条件の自動設定として対物レンズ13のZ位置の自動設定を行う。
【0141】
CPU220は、各単位領域の撮像開始時に、当該単位領域と対物レンズ13とが対向する状態で、図1のレンズ駆動部17を制御することにより対物レンズ13をZ方向に移動させ、対物レンズ13の焦点位置をZ方向において移動させつつ当該単位領域を撮像する。このとき、CPU220は、A/D変換器15から与えられる画像データに基づいて対物レンズ13の焦点が当該単位領域の表面に一致するときの対物レンズ13のZ位置(以下、合焦点位置と呼ぶ。)を検出する。その後、CPU220は、対物レンズ13を検出した合焦点位置に移動させる。このようにして、撮像時の対物レンズ13のZ位置が合焦点位置に設定される。
【0142】
この場合、対物レンズ13のZ位置が合焦点位置に自動的に設定された状態で当該単位領域が撮像される。これにより、対物レンズ13の焦点が合った状態で当該単位領域が撮像されるので、使用者は各単位領域について焦点が合った画像を容易に得ることができる。
【0143】
一方、合焦点位置は必ずしも検出されるとは限らない。例えば、1の単位領域内で観察対象物Sの表面に大きな段差が存在すると、当該単位領域について合焦点位置を検出することができない場合がある。合焦点位置が検出されない場合、CPU220は、対物レンズ13のZ位置を予め定められた位置(例えば、先に撮像された単位領域で設定された位置等)に設定するとともに、当該単位領域において撮像条件(本例では対物レンズ13のZ位置)が正常に設定されなかったことを示す情報(以下、異常情報と呼ぶ。)を図1の記憶装置240に記憶する。
【0144】
上記のように、観察対象範囲内の全ての単位領域が撮像されることにより、全ての単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データがそれぞれ対応する複数の位置情報とともに記憶装置240に記憶される。一部または全部の単位領域で合焦点位置が検出されなかった場合には、一部または全部の単位領域についての異常情報が記憶装置240に記憶される。
【0145】
このように、観察対象範囲内の全ての単位領域が撮像された後、CPU220は、観察対象範囲の設定時に第2の倍率で観察対象物Sを撮像することにより取得され、記憶装置240に記憶されている画像データに基づく画像(以下、低倍率画像と呼ぶ。)を領域提示画像として図1の表示部260に表示させる。本実施の形態において、第2の倍率は、表示部260に表示される低倍率画像が観察対象範囲の全体の画像を含むように定められることが好ましい。
【0146】
図14は、第2の実施の形態に係る拡大観察処理中の表示部260の一表示例を示す図である。図14に示すように、第2の実施の形態に係る拡大観察処理では、観察対象範囲内の全ての単位領域が撮像されることにより、観察対象物Sの低倍率画像が領域提示画像として画像表示領域410に表示される。
【0147】
この状態で、図1のCPU220は、第1の倍率で撮像された複数の単位領域に対応する部分を取り囲む複数の領域枠fを画像表示領域410内に表示する。これにより、図14の例では、画像表示領域410内に表示される低倍率画像が複数の領域枠fにより25個の低倍率画像t1〜t25に区分される。
【0148】
さらに、CPU220は、記憶装置240に記憶された異常情報に基づいて、各単位領域において撮像条件が正常に設定されたか否かを判定する。このように、CPU220は、各単位領域において撮像条件が正常に設定されたか否かを判定するとともに、撮像条件が正常に設定されなかったと判定した単位領域に対応する低倍率画像(図14の例では、低倍率画像t2,t6)を記憶装置240に記憶された位置情報に基づいてハイライト表示する。図14では、ハイライト表示を濃いハッチングで表す。
【0149】
これにより、使用者は、ハイライト表示された低倍率画像t2,t6に対応する単位領域において撮像条件が正常に設定されなかったことにより、それらの単位領域が適切な撮像条件(本例では、対物レンズ13のZ位置)で撮像されなかったことを容易に認識することができる。このとき、条件設定領域420には、再撮像ボタン424および連結終了ボタン425が表示される。
【0150】
本実施の形態においては、領域提示画像は撮像条件が正常に設定されなかった単位領域を示すために用いられる。そのため、第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、第1の倍率で撮像することにより取得された画像データに基づく複数の画像を表示部260に表示する必要がない。
【0151】
本実施の形態に係る拡大観察処理においても、使用者は、図14の再撮像ボタン424を操作することにより、撮像済みの複数の単位領域のうちのいずれかの単位領域を第1の倍率で選択的に再撮像することができる。
【0152】
例えば、使用者が再撮像ボタン424を操作すると、CPU220は選択指示を受けるまで待機状態となる。この状態で、使用者がポインタpを用いて画像表示領域410に表示される低倍率画像t1〜t25のうちのいずれかを選択する。これにより、CPU220に複数の低倍率画像t1〜t25に対応する複数の単位領域のうち再撮像すべき単位領域を示す選択指示が与えられる。
【0153】
上記のように、本実施の形態では、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域に対応する低倍率画像t2,t6の部分がハイライト表示される。したがって、使用者はハイライト表示された低倍率画像t2,t6を視認することにより、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域を再撮像すべき単位領域として優先的に選択することができる。
【0154】
使用者が低倍率画像t6を選択することにより、低倍率画像t6に対応する単位領域を示す信号が選択指示としてCPU220に与えられる。この場合、CPU220は、与えられた選択指示および記憶装置240に記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を第1の倍率で撮像する。また、CPU220は、図9の例と同様に、画像表示領域410の全域に低倍率画像t6を表示させ、条件設定領域420に再撮像決定ボタン426、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427dを表示させる。
【0155】
この状態で、使用者は、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427dを操作することにより、当該単位領域の撮像条件を調整することができる。
【0156】
その後、CPU220は、調整後の撮像条件で選択された単位領域を再撮像することにより再撮像データを取得し、取得した再撮像データを図1の記憶装置240に記憶する。また、CPU220は、その再撮像データに対応する位置情報を生成するとともに、生成された位置情報を記憶装置240に記憶する。このとき、CPU220は、先に記憶されている当該単位領域に対応する画像データを再撮像データで置換する。
【0157】
続いて、CPU220は、再び表示部260の表示状態を図14の表示状態に戻す。この場合、使用者は再び再撮像ボタン424を操作するとともに、低倍率画像t2を選択することにより、低倍率画像t2に対応する観察対象物Sの単位領域を第1の倍率で再撮像することができる。
【0158】
最後に、使用者が図14の連結終了ボタン425を操作すると、CPU220は、記憶装置240に記憶された複数の画像データおよび再撮像データを連結して観察対象範囲に対応する連結画像データを生成する。CPU220は、生成された連結画像データを記憶装置240に記憶するとともに、連結画像データに基づく観察対象範囲の連結画像を表示部260に表示させ、拡大観察処理を終了する。このとき、CPU220は、連結画像データを構成する複数の画像データおよび再撮像データとともに各単位領域の位置情報も記憶装置240に記憶する。
【0159】
(2)効果
本実施の形態では、使用者が再撮像すべき単位領域を選択するための領域提示画像として低倍率画像が用いられる。この場合、小容量の画像データにより低倍率画像を表示することができる。したがって、低倍率画像を表示するための画像データの生成に長い時間を費やす必要がなくなる。また、低倍率画像を表示するための画像データの量が使用可能な図1の作業用メモリ270の容量を超えることを防止することができる。
【0160】
各単位領域の撮像開始時に撮像条件として対物レンズ13のZ位置が合焦点位置に自動設定される。対物レンズ13の合焦点位置が検出されなかった場合に、当該単位領域において撮像条件が正常に設定されなかったことを示す異常情報が記憶装置240に記憶される。記憶された異常情報に基づいて、各単位領域において撮像条件が正常に設定されたか否かが判定される。撮像条件が正常に設定されなかった単位領域に対応する低倍率画像の部分がハイライト表示される。これにより、使用者は、ハイライト表示を含む低倍率画像を視認することにより、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域を容易に認識することができる。したがって、使用者は撮像条件が正常に設定されなかった単位領域を容易に再撮像することができる。
【0161】
(3)第2の実施の形態に係る拡大観察処理フロー
図15および図16は第2の実施の形態に係る拡大観察処理のフローチャートである。図1のCPU220は、図1の記憶装置240に記憶される拡大観察プログラムに従って拡大観察処理を実行する。
【0162】
本例において、初期の状態では、対物レンズ13の倍率は第2の倍率に設定されている。また、初期の状態では、使用者の操作により拡大観察装置300に予め一定の撮像条件(カラーCCD11のゲイン、露光時間、およびホワイトバランス等)が設定されている。なお、初期の状態では、図1の対物レンズ13のZ位置は設定されていない。
【0163】
まず、CPU220は観察対象範囲の設定を行うとともに、観察対象物Sを第2の倍率で撮像し、取得される画像データを対応する位置情報とともに図1の記憶装置240に記憶する(ステップS21)。上述のように、CPU220は、例えば図1の入力装置250から入力される情報に基づいて観察対象物Sの観察対象範囲を設定する。また、CPU220は、観察対象範囲が単位領域よりも大きい場合に、設定された観察対象範囲内で撮像すべき複数の単位領域の位置を設定する。
【0164】
ステップS21の処理後、CPU220、使用者による図1の入力装置250の操作または使用者による図1のズーム調整部13aの操作により、対物レンズ13の倍率が第2の倍率から第1の倍率に変更される。
【0165】
次に、CPU220は、観察対象物Sの1番目の単位領域について撮像条件の自動設定を行う(ステップS22)。本例では、CPU220は、撮影条件として対物レンズ13のZ位置の自動設定を行う。上述のように、CPU220は、自動設定時に対物レンズ13の合焦点位置を検出することができない場合に、上記の異常情報を記憶装置240に記憶する。
【0166】
続いて、CPU220は、対物レンズ13のZ位置が自動設定された状態で、1番目の単位領域を撮像することにより、1番目の単位領域に対応する画像データを取得するとともに1番目の単位領域の位置を示す1番目の位置情報を生成し、取得した画像データを1番目の位置情報とともに記憶装置240に記憶する(ステップS23)。
【0167】
次に、CPU220は、ステップS21で設定された観察対象範囲内の全ての単位領域が撮像されたか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、CPU220は、観察対象範囲内の全ての単位領域に対応する複数の画像データが記憶装置240に記憶されているか否かを判定する。
【0168】
観察対象範囲内の全ての単位領域が撮像されていない場合、CPU220は、観察対象物Sの次の単位領域が撮像できるように、図1のステージ駆動部22を制御して図1のステージ21を移動させる(ステップS25)。
【0169】
CPU220は、上記のステップS22と同様に、撮像対象となる次の単位領域について撮像条件の自動設定を行う(ステップS26)。また、CPU220は、自動設定時に対物レンズ13の合焦点位置を検出することができない場合に、上記の異常情報を記憶装置240に記憶する。
【0170】
次に、CPU220は、対物レンズ13のZ位置が自動設定された状態で、次の単位領域を撮像することにより、当該単位領域に対応する画像データを取得し、取得した画像データを対応する位置情報とともに記憶装置240に記憶する(ステップS27)。その後、CPU220はステップS24の処理に戻る。
【0171】
上記のステップS24において、撮像範囲内の全ての単位領域が撮像された場合、CPU220は、ステップS21において記憶装置240に記憶された画像データに基づく低倍率画像を領域提示画像として表示部260に表示させる(ステップS31)。なお、CPU220は、ステップS21において記憶装置240に画像データを記憶する代りに、以下の処理を行ってもよい。
【0172】
例えば、上記のステップS24において、撮像範囲内の全ての単位領域が撮像された場合、CPU220は対物レンズ13の倍率を第1の倍率よりも低い第2の倍率に変更し、第2の倍率で観察対象物Sを撮像してもよい。この場合、CPU220は、取得される画像データに基づく低倍率画像を領域提示画像として表示部260に表示させることができる。
【0173】
続いて、CPU220は、異常情報が記憶装置240に記憶されている場合に、記憶された異常情報に基づいて、各単位領域において撮像条件が正常に設定されたか否かを判定し、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域に対応する低倍率画像の部分をハイライト表示する(ステップS32)。
【0174】
なお、CPU220は、ハイライト表示に代えて、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域に対応する低倍率画像の部分に文字、記号または枠等を表示してもよい。この場合、使用者は、文字、記号または枠等を視認することにより、適切な撮像条件で撮像されなかった単位領域を容易に認識することができる。
【0175】
次に、CPU220は、再撮像の指令があるか否かを判定する(ステップS33)。例えば、CPU220は、図14の再撮像ボタン424が操作された場合に再撮像の指令があると判定し、図7の再撮像ボタン424が操作されない場合に再撮像の指令がないと判定する。再撮像の指令がない場合、CPU220は後述するステップS40の処理に進む。
【0176】
一方、再撮像の指令がある場合、CPU220は、低倍率画像を表示部260に表示させつつ、撮像済みのいずれかの単位領域が再撮像の対象として選択されたか否かを判定する(ステップS34)。
【0177】
いずれかの単位領域が選択されると、CPU220は、図1の記憶装置240に記憶された位置情報に基づいて選択された単位領域を撮像できるように、ステージ駆動部22を制御してステージ21を移動させる(ステップS35)。
【0178】
続いて、CPU220は、選択された単位領域を撮像することにより画像データを取得し、取得した画像データに基づく画像を表示部260に表示させる(ステップS36)。この状態で、CPU220は、撮像条件の調整指示を受けることにより、与えられた調整指示に基づいて撮像条件を調整する(ステップS37)。具体的には、CPU220は、第1の実施の形態と同様に、使用者により図9の複数のボタン(再撮像決定ボタン426、ゲイン調整ボタン427a、露光時間ボタン427b、ホワイトバランスボタン427cおよびフォーカスボタン427d)が操作されることにより与えられる調整指示に基づいて種々の撮像条件を調整する。
【0179】
その後、CPU220は、調整後の撮像条件で観察対象物Sの選択された単位領域を撮像することにより、選択された単位領域に対応する再撮像データを取得するとともにその再撮像データに対応する位置情報を記憶装置240に記憶する(ステップS38)。また、CPU220は、記憶装置240において、選択された単位領域の画像データを取得した再撮像データで置換する(ステップS39)。
【0180】
次に、CPU220は、拡大観察処理終了の指令があるか否かを判定する(ステップS40)。例えば、CPU220は、図14の連結終了ボタン425が操作された場合に拡大観察処理終了の指令があると判定し、連結終了ボタン425が操作されない場合に拡大観察処理終了の指令がないと判定する。
【0181】
拡大観察処理終了の指令がある場合、CPU220は、記憶装置240に記憶された複数の画像データおよび再撮像データを連結することにより連結画像データを生成し、生成した連結画像データを記憶装置240に記憶するとともに、連結画像データに基づく連結画像を表示部260に表示させる(ステップS41)。これにより、拡大観察処理が終了する。一方、拡大観察処理終了の指令がない場合、CPU220は、上記のステップS33の処理に戻る。
【0182】
[3]他の実施の形態
(1)第1および第2の実施の形態では、白色光を用いて観察対象物Sの表面を観察する顕微鏡100を備える拡大観察装置300において拡大観察処理が行われる。これに限らず、上記の拡大観察処理は、観察対象物Sの表面を拡大して観察する他の拡大観察装置に適用することができる。このような拡大観察装置として、例えば、光干渉法を用いた顕微鏡を備える拡大観察装置、共焦点顕微鏡を備える拡大観察装置、走査電子顕微鏡を備える拡大観察装置、走査型プローブ顕微鏡を備える拡大観察装置、および蛍光顕微鏡を備える拡大観察装置等がある。
【0183】
(2)第1および第2の実施の形態では、単位領域の撮像条件の調整指示の例として、図1のカラーCCD11のゲインの調整指示、露光時間の調整指示、ホワイトバランスの調整指示および対物レンズ13のZ位置の調整指示について説明した。これに限らず、図1のCPU220は、観察対象物Sの単位領域の撮像条件の調整指示として、以下の調整指示を受け付けてもよい。
【0184】
(2−1)CPU220は、単位領域の撮像条件の調整指示として、X方向およびY方向における観察対象物Sと対物レンズ13との相対位置の調整指示を受け付けてもよい。この場合、CPU220は調整指示に基づいて図1のステージ駆動部22を制御することにより、ステージ21をx方向およびy方向に移動させる。
【0185】
(2−2)CPU220は、単位領域の撮像条件の調整指示として、図1の照明用光源16の光量の調整指示、図示しない絞りの開度、または図示しないフィルタの透過率についての調整指示を受け付けてもよい。この場合、CPU220は調整指示に基づいて照明用光源16の光量、図示しない絞りの開度または図示しないフィルタの透過率を調整する。
【0186】
(2−3)観察対象物Sの表面からの反射光の量が多い場合には、カラーCCD11の電気信号が飽和することがある。この場合、取得される画像データは最大値を示す。そのため、取得される画像データに基づく画像が表示されても、使用者は観察対象物Sの表面の状態を認識することができない。そこで、カラーCCD11のゲインを低く設定することにより、カラーCCD11の電気信号の飽和を防止することができる。
【0187】
一方、観察対象物Sの表面からの反射光の量が少ないことにより、カラーCCD11の電気信号のレベルが小さくなりすぎると、反射光に基づいて取得される画像データを正確に識別することができない。そこで、カラーCCD11のゲインを高く設定することにより、カラーCCD11の電気信号のレベルを高くして画像データを正確に識別することが可能となる。
【0188】
観察対象物Sの表面の状態により反射光の量が多い領域(以下、高反射領域と呼ぶ。)と少ない領域(以下、低反射領域と呼ぶ。)とが混在することがある。撮像対象となる領域内に高反射領域および低反射領域が含まれる場合、カラーCCD11のゲインを高反射領域および低反射領域ごとに異なる値に設定しなければ、観察対象物Sの表面の状態を正確に観察することができない。
【0189】
そこで、1の領域を互いに異なる複数のゲインで順次撮像することにより当該領域についての複数の画像データを取得し、取得された画像データを合成して、当該領域に対応する合成画像データを生成する方法がある。以下、この方法をワイドダイナミックレンジと呼ぶ。
【0190】
ワイドダイナミックレンジによれば、当該領域が高反射領域および低反射領域を含む場合でも、高反射領域に対応する適切なゲインで取得された画像データ、および低反射領域に対応する適切なゲインで取得された画像データを合成することができるので、当該領域について観察対象物Sの表面の状態を正確に観察することが可能となる。
【0191】
第1および第2の実施の形態に係る拡大観察装置300において、拡大観察処理にワイドダイナミックレンジの機能を適用する場合、CPU220は、単位領域の撮像条件の調整指示として、撮像対象となる単位領域当たりの撮像回数および各撮像時のカラーCCD11のゲインの調整指示を受け付けてもよい。
【0192】
この場合、CPU220は調整指示に基づいて撮像対象となる単位領域当たりの撮像回数および各撮像時のカラーCCD11のゲインを設定する。それにより、観察対象物Sの表面の状態によらず、観察対象物Sの表面を正確に観察することが可能となる。
【0193】
(2−4)共焦点顕微鏡では、レーザ光源から出射されたレーザ光が対物レンズにより観察対象物Sに集光される。観察対象物Sからの反射光が受光レンズにより集光され、ピンホールを通して受光素子に入射する。観察対象物Sと対物レンズとの間の相対的な距離を変化させつつレーザ光を観察対象物Sの表面で二次元的に走査させることにより、観察対象物Sと対物レンズとの間の相対的な複数の距離に対応する複数の共焦点画像データが生成される。生成された複数の共焦点画像データに基づいて超深度画像データまたは高さ画像データが生成される。超深度画像データまたは高さ画像データに基づいて超深度画像または高さ画像が表示部に表示される。
【0194】
上記のように、共焦点顕微鏡を備える拡大観察装置においては、各単位領域の撮像時に観察対象物Sに対する対物レンズの高さ方向の位置が変化する。例えば、図1の顕微鏡100に代えて共焦点顕微鏡が設けられる場合、CPU220は、単位領域の撮像条件の調整指示として、観察対象物Sに対する対物レンズの高さ方向の移動範囲(上限位置および下限位置)についての調整指示を受け付けてもよい。
【0195】
この場合、CPU220は調整指示に基づいて対物レンズの高さ方向の移動範囲を設定する。それにより、対物レンズの高さ方向の移動範囲を適切に設定することができる。
【0196】
上記では、共焦点顕微鏡を備える拡大観察装置において、観察対象物Sに対する対物レンズの高さ方向の移動範囲(上限位置および下限位置)についての調整指示を受け付ける例を説明した。これに限らず、白色光を用いて観察対象物Sの表面を観察する顕微鏡100を備える拡大観察装置300においても、CPU220が、単位領域の撮像条件の調整指示として、観察対象物Sに対する対物レンズ13の高さ方向の移動範囲(上限位置および下限位置)についての調整指示を受け付けてもよい。
【0197】
(3)第1および第2の実施の形態では、ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより取得される複数の単位領域の画像データを連結する例を説明した。これに限らず、共焦点顕微鏡を備える拡大観察装置においては、複数の単位領域についてそれぞれ複数の共焦点画像データを生成し、生成された複数の共焦点画像データに基づいて各単位領域の超深度画像データまたは高さ画像データを生成し、生成された複数の単位領域の超深度画像データまたは高さ画像データを連結することにより、互いに連結された複数の単位領域の超深度画像または高さ画像を表示部に表示させてもよい。
【0198】
なお、白色光を用いて観察対象物Sの表面を観察する顕微鏡100を備える拡大観察装置300においても、例えば観察対象物Sと対物レンズ13との間の相対的な距離を変化させつつ各単位領域の画像データを取得することにより、Z方向における観察対象物Sの表面の位置を示す超深度画像データまたは高さ画像データを生成することができる。したがって、このような拡大観察装置300においても、複数の単位領域の超深度画像データまたは高さ画像データを連結することにより、互いに連結された複数の単位領域の超深度画像または高さ画像を表示部260に表示させてもよい。
【0199】
(4)第2の実施の形態では、各単位領域の撮像開始時に行われる撮像条件の自動設定として、対物レンズ13のZ位置の自動設定について説明した。これに限らず、CPU220は、撮像条件の自動設定として各単位領域の撮像開始時に図1のカラーCCD11のゲイン、露光時間、ホワイトバランス、単位領域当たりの撮像回数および各撮像時のカラーCCD11のゲイン、ならびに観察対象物Sに対する対物レンズの高さ方向の移動範囲等の自動設定を行ってもよい。
【0200】
CPU220は、カラーCCD11のゲインの自動設定時に適切なゲインが検出されない場合に、上記の異常情報を図1の記憶装置240に記憶してもよい。また、CPU220は、露光時間の自動設定時に適切なシャッタスピードが検出されない場合に、上記の異常情報を図1の記憶装置240に記憶してもよい。さらに、CPU220は、ホワイトバランスの自動設定時に適切な画像データの値の補正量を決定することができない場合に、上記の異常情報を図1の記憶装置240に記憶してもよい。
【0201】
また、CPU220は、単位領域当たりの撮像回数の自動設定時に適切な撮像回数が検出されない場合に、上記の異常情報を図1の記憶装置240に記憶してもよい。さらに、CPU220は、観察対象物Sに対する対物レンズの高さ方向の移動範囲の自動設定時に適切な移動範囲(上限位置および下限位置)が検出されない場合に、上記の異常情報を図1の記憶装置240に記憶してもよい。
【0202】
これにより、使用者は、ハイライト表示を含む低倍率画像(領域提示画像)を視認することにより、種々の撮像条件が適切に設定された状態で各単位領域が撮像されたか否かを容易に認識することができる。
【0203】
(5)第2の実施の形態では、各単位領域の撮像開始時に撮像条件が自動設定され、撮像条件が正常に設定されなかった単位領域が領域提示画像でハイライト表示される。
【0204】
これに限らず、CPU220は、拡大観察処理の開始時に予め設定された撮像条件で複数の単位領域を撮像することにより、各単位領域に対応する画像データを取得し、取得された複数の画像データに基づいて表示部260に表示される各単位領域の画像が予め定められた条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0205】
例えば、CPU220は、予め定められた条件として各単位領域の画像における複数の画素の明るさ(輝度値)の総和が一定の範囲内であることが定められている場合に、各単位領域の画像における複数の画素の明るさ(輝度値)の総和が一定の範囲内であるか否かを判定し、複数の画素の明るさの総和が一定の範囲を超える画像の単位領域を領域提示画像でハイライト表示してもよい。
【0206】
また、CPU220は、予め定められた条件として各単位領域の画像におけるコントラスト比が一定の範囲内であることが定められている場合に、各単位領域の画像におけるコントラスト比が一定の範囲内であるか否かを判定し、コントラスト比が一定の範囲を超える画像の単位領域を領域提示画像でハイライト表示してもよい。
【0207】
これらの場合、使用者は、領域提示画像を視認することにより、各単位領域の画像が予め定められた条件を満たすか否かを容易に認識することができる。これにより、使用者は、ハイライト表示に基づいて領域提示画像に示されるいずれかの単位領域を選択することにより、予め定められた条件を満たす画像が得られなかった単位領域を容易に再撮像することができる。
【0208】
(6)第1の実施の形態において、各単位領域の撮影開始時に撮像条件の自動設定を行ってもよい。この場合、第2の実施の形態と同様に、領域提示画像に適切な撮像条件で撮像されなかった単位領域を示す指標(ハイライト表示された画像、文字、記号または枠等)を表示してもよい。
【0209】
(7)第1および第2の実施の形態において、対物レンズ13がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されるが、これに限定されない。ステージ21がZ方向に移動されることにより対物レンズ13に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されてもよい。
【0210】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0211】
上記実施の形態においては、観察対象物Sが対象物の例であり、拡大観察装置300が拡大観察装置の例であり、撮像装置10が撮像部の例であり、記憶装置240が記憶部の例であり、CPU220が位置情報生成部、連結部、制御部、判定部、および処理装置の例であり、表示部260が表示部の例であり、CPU220および入力装置250が受付部の例である。
【0212】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0213】
本発明は、種々の顕微鏡を用いた拡大観察装置に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0214】
1 ベース
2 第1の支持台
3 第2の支持台
4 連結部
5 回動支柱
6 連結部
7 支持部
8 スライダ
9 固定つまみ
10 撮像装置
11 カラーCCD
12 ハーフミラー
13 対物レンズ
13a ズーム調整部
13b 倍率検出部
15 A/D変換器
16 照明用光源
17 レンズ駆動部
20 ステージ装置
21 ステージ
22 ステージ駆動部
23 ステージ支持部
30 回転角度センサ
41 調整ネジ
42 調整つまみ
100 顕微鏡
200 画像処理装置
210 インタフェース
220 CPU
230 ROM
240 記憶装置
250 入力装置
260 表示部
270 作業用メモリ
300 拡大観察装置
410 画像表示領域
420 条件設定領域
421 第1の倍率設定ボタン
422 第2の倍率設定ボタン
423 連結処理ボタン
424 再撮像ボタン
425 連結終了ボタン
426 再撮像決定ボタン
427a ゲイン調整ボタン
427b 露光時間ボタン
427c ホワイトバランスボタン
427d フォーカスボタン
f 領域枠
HF 選択枠
m マーク
p ポインタ
R1 回動軸
R2 光軸
R3 回転軸
r1〜r25 画像
r6x 再撮像画像
S 観察対象物
t1〜t25 低倍率画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察装置であって、
対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより前記複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成する撮像部と、
前記複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記撮像部により生成された複数の画像データを前記位置情報生成部により生成された位置情報とともに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する連結部と、
前記複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示する表示部と、
前記表示部により前記領域提示画像が表示された状態で、使用者から前記複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた選択指示および前記記憶部に記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を前記予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成するように前記撮像部を制御し、前記記憶部に記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち前記選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に前記再撮像により生成された画像データを前記記憶部に記憶させる制御部とを備えたことを特徴とする拡大観察装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記受付部により前記選択指示が受け付けられた場合に、前記記憶部に記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち前記選択された単位領域に対応する画像データを前記再撮像により生成された画像データで置換することを特徴とする請求項1記載の拡大観察装置。
【請求項3】
前記受付部は、使用者から前記撮像部の撮像条件を前記予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件に調整するための調整指示をさらに受け付け、
前記制御部は、前記受付部により前記選択指示が受け付けられた場合に、前記調整指示に従って調整された撮像条件で前記再撮像を行うことにより画像データを生成するように前記撮像部を制御することを特徴とする請求項1または2記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記連結部は、一の単位領域に対応する画像データが生成されるごとに、生成された画像データを先に生成された他の単位領域に対応する画像データに順次連結し、
前記表示部は、前記連結部により順次連結される画像データに基づく複数の単位領域の画像を前記領域提示画像として順次表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記受付部により前記選択指示が受け付けられた場合に、前記画像データの連結を中断するように前記連結部を制御することを特徴とする請求項4記載の拡大観察装置。
【請求項6】
前記撮像部は、第1の倍率および前記第1の倍率よりも低い第2の倍率で対象物を撮像可能であり、前記第1の倍率で前記複数の単位領域をそれぞれ撮像することにより前記複数の単位領域に対応する複数の画像データを生成し、
前記表示部は、前記撮像部により前記第2の倍率で撮像することにより生成された画像データに基づく画像を前記領域提示画像として表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記予め設定された撮像条件による撮像前に各単位領域を撮像することにより生成される画像データに基づいて、各単位領域を撮像するための前記予め設定された撮像条件を自動設定するとともに、各単位領域の撮像条件が正常に設定されたか否かを判定し、撮像条件が正常に設定されていないと判定された単位領域の画像を識別するための指標を前記領域提示画像に表示するように前記表示部を制御することを特徴とする請求項4または6記載の拡大観察装置。
【請求項8】
各単位領域に対応する画像データに基づいて各単位領域の画像が予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記判定部により前記予め定められた条件を満たさないと判定された単位領域の画像を識別するための指標を前記領域提示画像に表示するように前記表示部を制御することを特徴とする請求項4または6記載の拡大観察装置。
【請求項9】
前記撮像部は、前記複数の単位領域を順次撮像することにより各単位領域に対応する画像データを順次生成し、
前記制御部は、前記受付部により受け付けられた選択指示に基づいて選択された単位領域以降の単位領域を順次再撮像することにより選択された単位領域以降の単位領域に対応する画像データを生成するように前記撮像部を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項10】
対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察方法であって、
対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより前記複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成するステップと、
前記複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成するステップと、
生成された複数の画像データを生成された位置情報とともに記憶するステップと、
記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する連結部と、
前記複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示するステップと、
前記領域提示画像が表示された状態で、前記複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付けるステップと、
受け付けられた選択指示および記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を前記予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成し、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち前記選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に前記再撮像により生成された画像データを記憶するステップとを備えたことを特徴とする拡大観察方法。
【請求項11】
対象物を撮像して対象物の画像を表示する処理を処理装置に実行させる拡大観察プログラムであって、
対象物の複数の単位領域を予め設定された撮像条件でそれぞれ撮像することにより前記複数の単位領域にそれぞれ対応する複数の画像データを生成する処理と、
前記複数の単位領域の位置をそれぞれ示す位置情報を生成する処理と、
生成された複数の画像データを生成された位置情報とともに記憶する処理と、
記憶された複数の画像データを連結することにより連結画像データを生成する処理と、
前記複数の単位領域を含む対象物の画像を領域提示画像として表示する処理と、
前記領域提示画像が表示された状態で、前記複数の単位領域のうちのいずれかを選択する選択指示を受け付ける処理と、
受け付けられた選択指示および記憶された位置情報に基づいて、選択された単位領域を前記予め設定された撮像条件とは異なる撮像条件で再撮像することにより選択された単位領域に対応する画像データを生成し、記憶された複数の単位領域に対応する画像データのうち前記選択された単位領域に対応する画像データと置換可能に前記再撮像により生成された画像データを記憶する処理とを、前記処理装置に実行させることを特徴とする拡大観察プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−50594(P2013−50594A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188704(P2011−188704)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】