説明

拡大観察装置

【課題】種々の方向から観察対象物を良好に撮像することが可能な拡大観察装置を提供する。
【解決手段】透過照明部25は、透過照明用光源251、整形用光学系252および拡散板253を含む。透過照明用光源251により発生された白色光は、整形用光学系252を通してZ方向に平行な平行光に整形された後、拡散板253および光透過板26を通して透過光LBとして観察対象物に導かれる。整形用光学系252により整形された平行光の一部は拡散板253により拡散される。そのため、透過光LBは、拡散板253を透過したZ方向に平行な平行光LB1、および拡散板253により拡散されたZ方向以外の任意の方向に平行な拡散光LB2を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観察対象物を撮像するための撮像部を備えた拡大観察装置が用いられる。例えば、特許文献1に記載される顕微鏡は、撮像部としてカメラを備える。この顕微鏡においては、ベース上に第1および第2の支持台が取り付けられる。第1の支持台に対して回動可能に回動支柱が設けられる。回動支柱にスライダおよび連結部を介してカメラが取り付けられる。また、第2の支持台にスライダを介してステージが設けられる。ステージ上に観察対象物が載置される。この場合、回動支柱が回動されることにより、観察対象物に対する撮像部の角度が変化する。それにより、種々の方向から観察対象物を撮像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−308808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
拡大観察装置においては、観察対象物に関して撮像部と反対側の位置からステージを通して観察対象物に光が照射されることがある。このような光が、観察対象物が存在しない領域を通って、または観察対象物を透過して撮像部に入射することにより、観察対象物を良好に撮像することができる。しかしながら、上記特許文献1の顕微鏡のように、撮像部が移動される場合には、このような光が撮像部に入射しないことがある。
【0005】
本発明の目的は、種々の方向から観察対象物を良好に撮像することが可能な拡大観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る拡大観察装置は、観察対象物を撮像する撮像部と、観察対象物が載置される光透過性の光透過部を有するステージと、撮像部の光軸とステージとの交差位置をほぼ一定に維持しつつステージに対する撮像部の光軸の角度を調整可能に撮像部を保持する保持部と、撮像部の光軸の角度が予め定められた角度である状態でステージの光透過部を透過して撮像部に入射する平行光を生成するとともに、ステージの光透過部を透過して撮像部に入射する拡散光を生成する光生成部とを備えるものである。
【0007】
その拡大観察装置においては、ステージの光透過板上に観察対象物が載置される。また、ステージと撮像部の光軸との交差位置をほぼ一定に維持しつつステージに対する撮像部の光軸の角度を調整可能に撮像部が保持部により保持される。撮像部の光軸の角度を調整することにより、種々の方向から撮像部により観察対象物を撮像することができる。
【0008】
撮像部の光軸の角度が予め定められた角度である状態では、光生成部により生成される平行光がステージの光透過板を透過して撮像部に入射する。一方、撮像部の光軸の角度が予め定められた角度以外である状態では、光生成部により生成される拡散光がステージの光透過板を透過して撮像部に入射する。これにより、光生成部からの平行光または拡散光を用いて種々の方向から撮像部により観察対象物を良好に撮像することができる。
【0009】
(2)光生成部は、平行光を生成する平行光生成部と、生成光生成部により生成される平行光の一部を拡散させることにより拡散光を生成する拡散部材とを含んでもよい。この場合、簡単な構成で平行光および拡散光を生成することができる。それにより、低コストで種々の方向から観察対象物を良好に撮像することができる。
【0010】
(3)光生成部は、平行光を生成する平行光生成部と、拡散光を発生する拡散光発生部とを含んでもよい。この場合、平行光および拡散光が互いに個別に生成および発生されるので、平行光および拡散光の強度を高くすることができる。それにより、種々の状況において種々の方向から観察対象物を良好に撮像することができる。
【0011】
(4)平行光生成部は、光を発生する光源と、光源により発生される光を平行光に整形する整形部とを含んでもよい。この場合、簡単な構成で平行光を生成することできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、種々の方向から観察対象物を良好に撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】透過照明部の構成を示す模式的側面図である。
【図6】拡散板が設けられていない第1の例を示す図である。
【図7】拡散板が設けられていない第1の例を示す図である。
【図8】拡散板が設けられている第1の例を示す図である。
【図9】拡散板が設けられている第1の例を示す図である。
【図10】拡散板が設けられていない第2の例を示す図である。
【図11】拡散板が設けられている第2の例を示す図である。
【図12】拡散板が設けられていない第3の例を示す図である。
【図13】拡散板が設けられていない第3の例を示す図である。
【図14】拡散板が設けられている第3の例を示す図である。
【図15】拡散板が設けられている第3の例を示す図である。
【図16】透過照明部の他の例を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0017】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0018】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、落射照明用光源16、レンズ駆動部17および透過照明部25を含む。ステージ装置20は、ステージ21、ステージ駆動部22およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0019】
落射照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。落射照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。以下、撮像装置10から観察対象物Sに照射される光を落射光LAと呼ぶ。なお、落射照明用光源16が画像処理装置200に設けられ、落射照明用光源16により発生された光が光ファイバを介して顕微鏡100に導かれてもよい。
【0020】
観察対象物Sにより反射された落射光LAは、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は、赤色波長の光を受光する複数の赤色用画素、緑色波長の光を受光する複数の緑色用画素、および青色波長の光を受光する複数の青色用画素を有する。複数の赤色用画素、複数の緑色用画素および複数の青色用画素は二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0021】
対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点の位置がZ方向において移動する。
【0022】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ駆動部22は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいてステージ21をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。ステージ駆動部22には、ステッピングモータが用いられる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。ステージ支持部23の内部に透過照明部25が設けられる。透過照明部25の詳細については後述する。
【0023】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0024】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0025】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0026】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0027】
CPU220は、記憶装置240に記憶された画像処理プログラムを実行することにより作業用メモリ270を用いて画像データに基づく画像処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。以下、表示部260に表示される画像を表示画像と呼ぶ。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、落射照明用光源16、レンズ駆動部17、ステージ駆動部22および後述の透過照明用光源251(図5)を制御する。
【0028】
図2は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置300の顕微鏡100を示す斜視図である。図2においては、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0029】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0030】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0031】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図2の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0032】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0033】
ステージ装置20のステージ支持部23は、スライダ8上に取り付けられる。ステージ21は、ステージ支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能に設けられる。また、ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21は、図1のステージ駆動部22によりx方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0034】
ステージ21の中央には円形状の開口部21bが形成されている。開口部21bを閉塞するように、光透過性を有する円形状の光透過板26が着脱可能にステージ21に取り付けられる。光透過板26上に観察対象物Sが載置される。
【0035】
撮像装置10の撮像範囲(視野範囲)は、撮像装置10の倍率により異なる。以下、撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶ。ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得することができる。複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示することができる。
【0036】
図3は、顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は、顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0037】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0038】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0039】
したがって、調整つまみ42(図2)を用いて、ステージ21上の観察対象物Sの表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物Sの同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0040】
本例においては、撮像装置10の光軸R2が回転軸R1と直交するように撮像装置10が回動支柱5に取り付けられる。また、撮像装置10の焦点面が回転軸R1と一致するようにZ方向における撮像装置10の位置および撮像装置10の対物レンズ13(図1)の位置が調整される。また、ステージ21を回転軸R1よりも低い位置(Z方向において回転軸R1よりも撮像装置10から遠い位置)に移動させることにより、観察対象物Sの観察されるべき表面部分(以下、観察面と呼ぶ)を撮像装置10の焦点面と一致させることができる。このように、撮像装置10の焦点面を回転軸R1と一致させ、かつ観察対象物Sの観察面を回転軸R1と一致した焦点面と一致させることにより、いわゆるユーセントリック光学系が構成される。これにより、Z方向に対する撮像装置10の光軸R2の傾斜角を変化させても、観察対象物Sの観察面が撮像装置10の撮像領域から外れる可能性が低下する。そのため、撮像装置10の焦点面の再調整が必要となることが少なくなる。
【0041】
(2)透過照明部
図5は、透過照明部25の構成を示す模式的側面図である。図5に示すように、透過照明部25は、透過照明用光源251、整形用光学系252および拡散板253を含む。透過照明用光源251は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LEDである。なお、透過照明用光源251が画像処理装置200に設けられ、透過照明用光源251により発生された光が光ファイバを介して顕微鏡100に導かれてもよい。
【0042】
ステージ21の開口部21b内には、光透過板26が配置される。光透過板26上に観察対象物Sが載置される(図2)。透過照明用光源251により発生された白色光は、整形用光学系252を通してZ方向に平行な平行光に整形された後、拡散板253および光透過板26を通して透過光LBとして観察対象物Sに導かれる。なお、透過照明用光源251および整形用光学系252の代わりに、平行光を発生する平行光源が用いられてもよい。
【0043】
整形用光学系252により整形された平行光の一部は拡散板253により拡散される。そのため、透過光LBは、拡散板253を透過したZ方向に平行な平行光LB1、および拡散板253により拡散されたZ方向以外の任意の方向に平行な拡散光LB2を含む。拡散板253の透明度等を調整することにより、平行光LB1の強度と拡散光LB2の強度との比率を調整することが可能である。
【0044】
(3)拡散板による効果
以下、拡散板253が設けられていない場合と拡散板253が設けられている場合とを比較しながら、拡散板253が設けられることによる効果について説明する。
【0045】
(3−1)第1の例
図6および図7は、拡散板253が設けられていない例を示し、図8および図9は、拡散板253が設けられている例を示す。図6および図8の例においては、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行であり、図7および図9の例においては、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している。本例では、落射光LAおよび透過光LBの両方を用いて観察対象物Sの撮像が行われる。また、本例では、観察対象物Sが、光透過性を有さない。
【0046】
まず、拡散板253が設けられていない場合について説明する。拡散板253が設けられていない場合には、図5の透過光LBが平行光LB1のみにより構成される。図6に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、観察対象物Sの表面で反射された落射光LAが撮像装置10に入射する。それにより、観察対象物Sの表面を十分な明るさで撮像することができる。
【0047】
また、観察対象物Sが存在しない領域(以下、背景領域と呼ぶ)を通って平行光LB1が撮像装置10に入射する。これにより、背景領域を十分な明るさで撮像することができる。背景領域が十分な明るさで撮像されることにより、表示画像において、観察対象物Sと背景領域との境界部分が鮮明になり、観察対象物Sの縁部の形状等を詳細に観察することが可能になる。
【0048】
一方、図7に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、観察対象物Sの表面で反射された落射光LAが撮像装置10に入射する一方で、背景領域を通る平行光LB1が撮像装置10に入射しない。この場合、背景領域を十分な明るさで撮像することができない。そのため、表示画像において、観察対象物Sと背景領域との境界が不鮮明になる。
【0049】
次に、拡散板253が設けられている場合について説明する。上記のように、拡散板253が設けられている場合、透過光LBが平行光LB1および拡散光LB2により構成される(図5参照)。図8に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、図6の例と同様に、観察対象物Sの表面で反射された落射光LAが撮像装置10に入射するとともに、背景領域を通る平行光LB1が撮像装置10に入射する。それにより、観察対象物Sの表面および背景領域を十分な明るさで撮像することができる。
【0050】
また、図9に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、観察対象物Sの表面で反射された落射光LAが撮像装置10に入射するとともに、背景領域を通る拡散光LB2が撮像装置10に入射する。それにより、観察対象物Sの表面および背景領域を十分な明るさで撮像することができる。
【0051】
このように、拡散板253が設けられることにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態および撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態のいずれにおいても、観察対象物Sの表面および背景領域を十分な明るさで撮像することができる。
【0052】
また、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で撮像装置10に入射する平行光LB1の強度は、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態で撮像装置10に入射する拡散光LB2の強度よりも高い。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、背景領域をより十分な明るさで撮像することができる。そのため、表示画像において、観察対象物Sと背景領域との境界部分がより鮮明になる。そのため、高倍率および高解像度で観察対象物Sの縁部の形状等を詳細に観察することが可能になる。
【0053】
拡散光LB2は、撮像装置10の光軸R2に沿った成分を有し、かつ観察対象物Sに照射されることが好ましい。また、Z方向に対する撮像装置10の光軸R2の傾斜角度がより大きい状態で観察対象物Sを観察するために、拡散板253は、透過照明用光源251と観察対象物Sとの間であって、観察対象物Sにより近い位置に設けられることが望ましい。観察対象物Sの観察面が回転軸R1と一致している場合、つまり、ユーセントリック光学系が構成される場合には、拡散光LB2が撮像装置10の光軸R2に沿った成分を有し、かつ回転軸R1およびその近傍の領域に拡散光LB2が照射されることが好ましい。
【0054】
(3−2)第2の例
図10は、拡散板253が設けられていない例を示し、図11は、拡散板253が設けられている例を示す。図10および図11の例においては、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している。
【0055】
図10および図11の例は、観察対象物SにZ方向に沿った貫通孔Hが形成されていることを除いて、図6〜図9の例と同じである。図10および図11の例では、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している場合、貫通孔Hの内周面Haの一部が撮像装置10により撮像される。
【0056】
拡散板253が設けられていない場合、図10に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、貫通孔Hの内周面Haで反射された落射光LAが撮像装置10に入射する一方で、平行光LB1は内周面Haで反射されず、撮像装置10に入射しない。また、落射光LAが照射される内周面Haの領域に対向する内周面Haの他の領域において、反射された落射光LAの大部分が遮られる。それにより、内周面Haから撮像装置10に入射する落射光LAの強度が低い。したがって、貫通孔Hの内周面Haを十分な明るさで撮像することができない。
【0057】
一方、拡散板253が設けられている場合、図11に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、貫通孔Hの内周面Haで反射された落射光LAが撮像装置10に入射するとともに、拡散光LB2が貫通孔Hの内周面Haで反射され、撮像装置10に入射する。それにより、貫通孔Haの内周面Haを十分な明るさで撮像することができる。
【0058】
このように、拡散板253が設けられることにより、拡散光LB2が種々の方向から観察対象物Sに照射され、その反射光が撮像装置10に入射する。それにより、観察対象物Sの種々の領域を十分な明るさで撮像することができる。
【0059】
拡散光LB2は、撮像装置10の光軸R2に沿った成分に加え、観察対象物Sに向かう多様な角度の成分を有することが好ましい。また、拡散板253は、透過照明用光源251と観察対象物Sとの間であって、観察対象物Sにより近い位置に設けられることが望ましい。
【0060】
(3−3)第3の例
図12および図13は、拡散板253が設けられていない例を示し、図14および図15は、拡散板253が設けられている例を示す。図12および図14の例においては、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行であり、図13および図15の例においては、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している。
【0061】
図12〜図15の例は、光透過性を有する観察対象物Sが用いられること、および落射光LAが用いられないことを除いて、図6〜図9の例と同じである。
【0062】
拡散板253が設けられていない場合、図12に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、観察対象物Sを透過した平行光LB1が撮像装置10に入射する。しかしながら、図13に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、観察対象物Sを透過した平行光LB1が撮像装置10に入射しない。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、観察対象物Sを十分な明るさで撮像することができない。
【0063】
一方、拡散板253が設けられている場合、図14に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、図12の例と同様に、観察対象物Sを透過した平行光LB1が撮像装置10に入射する。また、図15に示すように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態では、観察対象物Sを透過した拡散光LB2が撮像装置10に入射する。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態でも、観察対象物Sを十分な明るさで撮像することができる。
【0064】
このように、拡散板253が設けられることにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態および撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態のいずれにおいても、観察対象物Sを十分な明るさで撮像することができる。
【0065】
また、上記のように、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で撮像装置10に入射する平行光LB1の強度は、撮像装置10の光軸R2がZ方向に対して傾斜している状態で撮像装置10に入射する拡散光LB2の強度よりも高い。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態では、光透過性の観察対象物Sをより十分な明るさで撮像することができる。そのため、高倍率でおよび高解像度で光透過性の観察対象物Sを詳細に観察可能になる。
【0066】
(3−4)
本実施の形態に係る拡大観察装置300においては、透過照明部25によって透過光LBとして平行光LB1および拡散光LB2が生成されることにより、撮像装置10の光軸R2がステージ21に対して平行である場合および傾斜している場合のいずれにおいても、平行光LB1または拡散光LBが撮像装置10に入射する。したがって、種々の方向から観察対象物Sを良好に撮像することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、透過照明用光源251および整形用光学系252により平行光LB1が生成され、生成された平行光LB1の一部が拡散板253によって拡散されることにより拡散光LB2が生成される。これにより、簡単な構成で平行光LB1および拡散光LB2を生成することができる。したがって、低コストで種々の方向から観察対象物Sを良好に撮像することができる。
【0068】
(4)透過照明部の他の例
図16は、透過照明部25の他の例を示す模式的側面図である。図16の透過照明部25について、図5の透過照明部25と異なる点を説明する。図16の透過照明部25は、拡散板253の代わりに、複数の拡散光源255を含む。各拡散光源255は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LEDである。複数の拡散光源255は、整形用光学系252による平行光LB1の妨げとならないように、整形用光学系252の周囲において、整形用光学系252の光軸を中心とする円に沿って等角度間隔で並ぶように設けられる。なお、複数の拡散光源255の代わりに、円環形状を有する拡散光源が用いられてもよい。
【0069】
この場合、拡散光源255により、任意の方向に平行な拡散光LB3が発生される。拡散光LB3は、上記の拡散板253により拡散された拡散光LB2と同様に、種々の位置にある撮像装置10に入射するとともに、種々の方向から観察対象物Sに照射される。それにより、本例においても、拡散板253が設けられた場合と同様の効果が得られる。したがって、種々の方向から観察対象物Sを良好に撮像することができる。
【0070】
また、本例では、平行光LB1と拡散光LB3とが互いに異なる光源により発生されるので、拡散板253を用いて平行光LB1から拡散光L2を生成する場合に比べて、平行光LB1および拡散光LB3の強度を高くすることができる。それにより、周囲の光が極めて小さい場合等の種々の状況において、種々の方向から観察対象物Sを良好に撮像することができる。
【0071】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0072】
上記実施の形態においては、撮像装置10が撮像部の例であり、ステージ21がステージの例であり、光透過板26が光透過部の例であり、回動支柱5が保持部の例であり、透過照明部25が光生成部の例であり、透過照明用光源251および整形用光学系252が平行光生成部の例であり、拡散板253が拡散部材の例であり、拡散光源255が拡散光発生部の例であり、透過照明用光源251が光源の例であり、整形用光学系252が整形部の例である。
【0073】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、種々の拡大観察装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ベース
2 第1の支持台
3 第2の支持台
4 連結部
5 回動支柱
6 連結部
7 支持部
8 スライダ
9 固定つまみ
10 撮像装置
20 ステージ装置
21 ステージ
21b 開口部
23 ステージ支持部
25 透過照明部
26 光透過板
41 調整ネジ
42 調整つまみ
100 顕微鏡
200 画像処理装置
251 透過照明用光源
252 整形用光学系
253 拡散板
255 拡散光源
300 拡大観察装置
LA 落射光
LB 透過光
LB1 平行光
LB2 拡散光
R1 回動軸
R2 光軸
S 観察対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を撮像する撮像部と、
前記観察対象物が載置される光透過性の光透過部を有するステージと、
前記撮像部の光軸と前記ステージとの交差位置をほぼ一定に維持しつつ前記ステージに対する前記撮像部の光軸の角度を調整可能に前記撮像部を保持する保持部と、
前記撮像部の光軸の角度が予め定められた角度である状態で前記ステージの前記光透過部を透過して前記撮像部に入射する平行光を生成するとともに、前記ステージの前記光透過部を透過して前記撮像部に入射する拡散光を生成する光生成部とを備える、拡大観察装置。
【請求項2】
前記光生成部は、
平行光を生成する平行光生成部と、
前記生成光生成部により生成される平行光の一部を拡散させることにより拡散光を生成する拡散部材とを含む、請求項1記載の拡大観察装置。
【請求項3】
前記光生成部は、
平行光を生成する平行光生成部と、
拡散光を発生する拡散光発生部とを含む、請求項1記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記平行光生成部は、
光を発生する光源と、
前記光源により発生される光を平行光に整形する整形部とを含む、請求項2または3記載の拡大観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−83726(P2013−83726A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222197(P2011−222197)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】