説明

拡大観察装置

【課題】観察対象領域の対象物の観察面に撮像部の焦点を短時間で合わせることが可能な拡大観察装置を提供する。
【解決手段】対物レンズを光軸方向に移動させることにより複数のZ位置で観察対象物の単位領域を撮像し、当該単位領域に対応する複数の画像データを取得する。取得された複数の画像データに基づいて観察対象物の画像がナビゲーション画像として表示部に表示される。取得された複数の画像データに基づいて当該単位領域における観察対象物の表面の位置を示す形状データが生成される。ナビゲーション画像に基づいて観察対象物における観察対象領域が指定される。生成された形状データに基づいて、指定された観察対象領域における観察対象物の表面に対物レンズの焦点が合わせられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マクロ画像取得部およびミクロ画像取得部を有する顕微鏡装置が記載されている。この顕微鏡装置において、マクロ画像取得部は試料の低倍率画像であるマクロ画像を取得するために用いられ、ミクロ画像取得部は試料の高倍率画像であるミクロ画像を取得するために用いられる。
【0003】
マクロ画像およびミクロ画像の取得時には、まずマクロ画像取得部により、試料の全体を含むマクロ画像が取得される。取得されたマクロ画像を参照して、ミクロ画像を取得するための撮像条件が設定される。
【0004】
ミクロ画像を取得するための撮像条件としてミクロ画像の取得範囲が設定される。また、ミクロ画像を取得するための撮像条件として焦点計測位置が設定される。設定された焦点計測位置で、ミクロ用撮像装置を用いて焦点計測が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−310231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の焦点計測では、例えばミクロ画像取得部が備える対物レンズを試料に対して相対的に移動させつつ対物レンズの焦点を焦点計測位置に合わせ、対物レンズの焦点が焦点計測位置に合ったときの対物レンズと試料との相対的な距離を求める。
【0007】
対物レンズの倍率が大きいほど、その対物レンズの焦点深度は小さくなる。そのため、高倍率の対物レンズを備えるミクロ画像取得部においては、焦点計測時に、対物レンズの焦点が焦点計測位置に合っているか否かを広い範囲に渡って小さいピッチで探索する必要がある。この場合、焦点計測に長い時間を要する。
【0008】
本発明の目的は、観察対象領域の対象物の観察面に撮像部の焦点を短時間で合わせることが可能な拡大観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る拡大観察装置は、対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察装置であって、対象物が載置される載置部と、載置部に載置された対象物を撮像することにより対象物の画像を表示するための第1の画像データを取得する撮像部と、撮像部により取得された第1の画像データに基づいて対象物の画像を領域提示画像として表示する表示部と、撮像部により取得される第1の画像データに基づいて撮像部の光軸方向における対象物の観察面の位置を示す焦点位置データを生成する処理部と、表示部により表示される領域提示画像において対象物の観察すべき領域を観察対象領域として指定するために使用者により操作される操作部と、処理部により生成された焦点位置データに基づいて、操作部の操作により指定された観察対象領域における観察面に撮像部の焦点が合うように撮像部および載置部の少なくとも一方を制御する合焦点動作を行う制御部とを備えるものである。
【0010】
その拡大観察装置においては、載置部に載置された対象物が撮像部により撮像され、第1の画像データが取得される。取得された第1の画像データに基づいて対象物の画像が領域提示画像として表示部に表示される。また、取得された第1の画像データに基づいて処理部により焦点位置データが生成される。
【0011】
使用者が操作部を操作することにより領域提示画像において観察対象領域が指定されると、処理部により生成された焦点位置データに基づいて合焦点動作が行われ、指定された観察対象領域における観察面に撮像部の焦点が合う。
【0012】
この場合、焦点位置データが撮像部の光軸方向における対象物の観察面の位置を示すので、合焦点動作を行うための時間を短くすることができる。その結果、対象物の観察対象領域の観察面に撮像部の焦点を合わせる合焦点動作が短時間で行われる。
【0013】
(2)合焦点動作は、処理部により生成された焦点位置データに基づいて、撮像部の光軸方向における撮像部と載置部との位置関係に関する位置パラメータを設定するパラメータ設定動作と、パラメータ設定動作により設定された位置パラメータに基づいて撮像部および載置部の少なくとも一方を撮像部の光軸方向に移動させる移動動作とを含んでもよい。
【0014】
合焦点動作時には、まず処理部により生成された焦点位置データに基づいて撮像部の光軸方向における撮像部と載置部との位置関係に関する位置パラメータが設定される。続いて、設定された位置パラメータに基づいて撮像部および載置部の少なくとも一方が撮像部の光軸方向に移動される。
【0015】
この場合、焦点位置データが撮像部の光軸方向における対象物の観察面の位置を示すので、第1のパラメータが短時間で設定される。
【0016】
(3)操作部は、領域提示画像において観察対象領域として複数の単位領域を指定可能に構成され、制御部は、処理部により生成された焦点位置データに基づいて、操作部により指定された複数の単位領域の各々について合焦点動作を行うように構成されてもよい。
【0017】
この場合、所望の観察対象領域が単位領域よりも大きい場合でも、使用者は領域提示画像において観察対象領域を指定することができる。また、指定された複数の単位領域の各々について焦点位置データに基づく合焦点動作が繰り返されるので、複数の単位領域の観察面に撮像部の焦点が短時間で合わせられる。
【0018】
(4)制御部は、合焦点動作により観察対象領域における観察面に撮像部の焦点を合わせた後に観察対象領域を撮像することにより観察対象領域の画像を表示するための第2の画像データを取得するように撮像部を制御し、表示部は、撮像部により取得された第2の画像データに基づいて観察対象領域の画像を表示し、撮像部は、第1の画像データを取得する場合に第1の撮像条件で対象物を撮像し、第2の画像データを生成する場合に第2の撮像条件で対象物を撮像し、第1の撮像条件および第2の撮像条件は、第1の画像データに基づく画像の質が第2の画像データに基づく画像の質よりも低くなるように設定されてもよい。
【0019】
この場合、第1の画像データに基づく画像の質を前記第2の画像データに基づく画像の質と同等にする必要がないので、第1の撮像条件で対象物を撮像する時間を第2の撮像条件で対象物を撮像する時間に比べて短くすることができる。それにより、領域提示画像が短時間で表示部に表示される。
【0020】
(5)制御部は、複数の単位領域を順次撮像することにより、単位領域ごとに第1の画像データを取得するように撮像部を制御し、第1の画像データを取得するための複数の単位領域のうち一の単位領域の撮像時に、当該一の単位領域が撮像されることにより取得される第1の画像データに基づいて撮像部の光軸方向における当該一の単位領域における焦点位置データを生成するように処理部を制御し、一の単位領域以降の単位領域の撮像時に、一の単位領域の撮像時に生成された焦点位置データを用いて第1の画像データを取得してもよい。
【0021】
この場合、焦点位置データが撮像部の光軸方向における対象物の観察面の位置を示すので、一の単位領域に対応する焦点位置データに基づいて一の単位領域以降の単位領域の撮像条件を適切に設定することができる。それにより、一の単位領域以降の単位領域を適切な撮像条件で撮像して第1の画像データを取得することができる。
【0022】
(6)制御部は、撮像部の焦点を当該撮像部の光軸方向における複数の位置に移動させてそれぞれの位置で対象物を撮像するように撮像部および載置部の少なくとも一方を制御することにより複数の第1の画像データを取得し、操作部は、複数の位置にそれぞれ対応して取得される複数の第1の画像データのうちの少なくとも一部を選択可能に構成され、制御部は、操作部により選択される少なくとも一部の第1の画像データに基づいて対象物の画像を領域提示画像として表示部に表示させてもよい。
【0023】
複数の第1の画像データに基づいて表示される複数の画像は、異なる部分で焦点が合い、または合焦点の度合いが異なる。そのため、使用者は、焦点の合う部分または合焦点の度合いが異なる複数の画像のうち所望の画像を領域提示画像として表示部に表示させることができる。これにより、使用者は、観察対象領域を適切に指定することができる。
【0024】
(7)制御部は、撮像部の焦点を当該撮像部の光軸方向における複数の位置に移動させてそれぞれの位置で対象物を撮像するように撮像部および載置部の少なくとも一方を制御することにより複数の第1の画像データを取得し、取得された複数の第1の画像データのそれぞれの部分を選択的に用いることにより対象物の観察面の複数の位置にそれぞれ焦点が合った画像を領域提示画像として表示部に表示させてもよい。
【0025】
この場合、対象物の観察面の複数の位置にそれぞれ焦点が合った画像が領域提示画像として表示される。これにより、使用者は観察対象領域を適切に指定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、観察対象領域の対象物の観察面に撮像部の焦点を短時間で合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】図1の撮像装置により図2の観察対象物が撮像されたときの表示部の一表示例を示す図である。
【図6】ナビゲーション画像生成処理時の拡大観察装置の動作を説明するための図である。
【図7】通常画像データ、積層画像データおよび全焦点画像データを説明するための側面図である。
【図8】ナビゲーション画像生成処理終了時の表示部の一表示例を示す図である。
【図9】図8のナビゲーション領域の拡大図である。
【図10】指定観察処理終了時の表示部の一表示例を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るナビゲーション画像生成処理のフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態に係る指定観察処理のフローチャートである。
【図13】本発明の一実施の形態に係る指定観察処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置について図面を参照しながら説明する。
【0029】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0031】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0032】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、ズーム調整部13a、倍率検出部13b、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、照明用光源16およびレンズ駆動部17を含む。ステージ装置20は、ステージ21、ステージ駆動部22およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0033】
照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。
【0034】
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は複数の画素を有する。各画素は、赤色波長の光、緑色波長の光、および青色波長の光をそれぞれ受光する3種類の副画素から構成される。複数の画素が一定の画素ピッチ(隣り合う各2つの画素の中心間の距離)で二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、複数の画素データを含む画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0035】
本実施の形態において、対物レンズ13はズームレンズである。ズーム調整部13aは画像処理装置200の制御により対物レンズ13の倍率を変化させる。倍率検出部13bは対物レンズ13の倍率を検出し、検出結果を画像処理装置200に与える。これにより、対物レンズ13の倍率は画像処理装置200により一定範囲内で任意の倍率に調整可能である。なお、使用者がズーム調整部13aを操作することにより対物レンズ13の倍率が調整されてもよい。この場合、調整された対物レンズ13の倍率が、倍率検出部13bにより検出され、画像処理装置200に与えられる。
【0036】
また、対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点位置がZ方向において移動する。
【0037】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ駆動部22は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいてステージ21をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。ステージ駆動部22には、ステッピングモータが用いられる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。画像処理装置200においては、移動指令信号に対するステージ駆動部22からの応答信号および回転角度センサ30からの角度検出信号に基づいて、X方向およびY方向におけるステージ21の位置および回転角度が取得される。
【0038】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0039】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、後述する拡大観察プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。拡大観察プログラムの詳細は後述する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウス、タッチパッドまたはジョイスティック等が用いられる。入力装置250はタッチパネルであってもよい。
【0040】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0041】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0042】
CPU220は、記憶装置240に記憶された拡大観察プログラムを実行することにより作業用メモリ270を用いて画像データに基づく拡大観察処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、ズーム調整部13a、照明用光源16、レンズ駆動部17およびステージ駆動部22を制御する。
【0043】
図2は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置300の顕微鏡100を示す斜視図である。図2においては、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0044】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0045】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0046】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図2の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0047】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0048】
ステージ装置20のステージ支持部23は、スライダ8上に取り付けられる。ステージ21は、ステージ支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能に設けられる。また、ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21は、図1のステージ駆動部22によりx方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0049】
撮像装置10の撮像範囲(視野範囲)は、撮像装置10の倍率により異なる。以下、撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶ。ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得することができる。複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示することができる。
【0050】
このように、本実施の形態では撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶが、単位領域は必ずしも撮像装置10の撮像範囲でなくてもよい。例えば、撮像装置10の撮像範囲内の一部の領域を単位領域としてもよい。この場合、単位領域は撮像装置10の撮像範囲よりも小さくなる。
【0051】
図3は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0052】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0053】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0054】
したがって、ステージ21上の観察対象物の表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物の同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0055】
(2)観察時における表示部の一表示例
図2の観察対象物Sは、大きさが互いに異なる3つの板状部材が上下に積層された構造を有する。最も上に設けられる板状部材の大きさは、他の2枚の板状部材の大きさよりも小さい。中央に設けられる板状部材の大きさは、最も下に設けられる板状部材の大きさよりも小さい。3つの板状部材のそれぞれの上面により、水平面に平行な第1の面S1、第2の面S2および第3の面S3が形成される。
【0056】
図5は図1の撮像装置10により図2の観察対象物Sが撮像されたときの表示部260の一表示例を示す図である。図5に示すように、表示部260の画面上には、画像表示領域410、条件設定領域420およびポインタpが表示される。撮像装置10による観察対象物Sの撮像時には、画像表示領域410に画像データに基づく画像が表示される。図5の例では、画像表示領域410に観察対象物Sの第1の面S1および第2の面S2の一部を示す画像が表示される。条件設定領域420に通常ナビゲーションボタン421、積層ナビゲーションボタン422および全焦点ナビゲーションボタン423が表示される。
【0057】
この状態で、使用者が図2のステージ21をx方向またはy方向に移動させることにより、画像表示領域410に表示される観察対象物Sの画像の範囲を変更することができる。
【0058】
(3)拡大観察処理
上述のように、本実施の形態に係る拡大観察装置300においては、ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得し、複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示させることが可能である。この場合、一の単位領域を超える広い範囲に渡って観察対象物Sの画像を表示部260に表示させることができる。
【0059】
拡大観察処理は、ナビゲーション画像生成処理および指定観察処理を含む。以下、ナビゲーション画像生成処理および指定観察処理の詳細を説明する。本例では、拡大観察処理の前後で、図1の対物レンズ13の倍率は一定でありかつ対物レンズ13の焦点位置(光軸方向における対物レンズ13からその対物レンズ13の焦点までの距離)も一定である。
【0060】
(3−1)ナビゲーション画像生成処理
使用者が図5の通常ナビゲーションボタン421、積層ナビゲーションボタン422および全焦点ナビゲーションボタン423のいずれかを操作する。この操作に応答してナビゲーション画像生成処理が開始される。図6は、ナビゲーション画像生成処理時の拡大観察装置300の動作を説明するための図である。
【0061】
拡大観察処理の前後で図1の対物レンズ13の倍率が一定である場合には、ナビゲーション画像生成処理が開始されることにより、複数の単位領域で観察対象物Sが撮像される。
【0062】
図6(a)にナビゲーション画像生成処理時の撮像順序が平面図で示される。図6(a)に示すように、ナビゲーション画像生成処理が開始されると、図1のステージ21がx方向およびy方向に移動されることにより、一の単位領域よりも大きい予め定められた範囲(以下、ナビゲーション領域と呼ぶ。)NR内で観察対象物Sの複数の単位領域が順次撮像される。本例では、1番目〜25番目までの単位領域r1〜r25が渦巻状に順次撮像される。なお、図6(a)では観察対象物Sの図示を省略する。
【0063】
図6(b)に単位領域r1の撮像時の対物レンズ13の動作が側面図で示される。本例では、対物レンズ13の倍率に応じて、対物レンズ13のZ方向の位置(以下、Z位置と呼ぶ。)の上限位置UPおよび下限位置BPが定められている。ナビゲーション画像生成処理における各単位領域の撮像時には、対物レンズ13が図1のレンズ駆動部17により上限位置UPと下限位置BPとの間を移動する。これにより、対物レンズ13が複数のZ位置にある状態で当該単位領域が撮像される。図6(b)の例では、対物レンズ13が複数のZ位置zp1〜zp9にある状態で単位領域r1が撮像される。このようにして、単位領域ごとに複数のZ位置zp1〜zp9にそれぞれ対応する複数の画像データが取得される。
【0064】
撮像装置10による観察対象物Sの撮像時に画像処理装置200で取得される画像データのサンプリング周期は一定である。この場合、対物レンズ13の移動速度を調整することにより各単位領域を撮像するときの対物レンズ13の複数のZ位置zp1〜zp9の間のピッチをそれぞれ調整することができる。具体的には、対物レンズ13の移動速度を高くすることにより各単位領域を撮像するときの対物レンズ13のZ位置zp1〜zp9の間のピッチをそれぞれ大きくし、対物レンズ13の移動速度を低くすることにより各単位領域を撮像するときの対物レンズ13のZ位置zp1〜zp9の間のピッチをそれぞれ小さくすることができる。本実施の形態において、ナビゲーション画像生成処理時のZ位置zp1〜zp9の間のピッチは予め第1のピッチとしてそれぞれ設定されている。
【0065】
さらに、各単位領域の撮像時においては、取得された複数の画像データに基づいてZ方向における観察対象物Sの表面の位置を示すデータ(以下、形状データと呼ぶ。)が生成される。形状データは、例えば図1のCPU220により次のように生成される。
【0066】
上記のように、画像データには複数の画素データが含まれる。例えば複数のZ位置で単位領域の一部が撮像されることにより生成される複数の画素データの値(受光量に対応する電気信号のレベル)の空間的な分布における高周波成分は、対物レンズ13の焦点fが当該単位領域の一部における観察対象物Sの表面に合う位置でピークを示し、対物レンズ13の焦点fがその観察対象物Sの表面から離れるにつれて小さくなる。
【0067】
そこで、CPU220は、複数のZ位置で単位領域の一部が撮像されることにより生成される複数の画素データに基づいて、カラーCCD11の画素ごとに複数の画素データの値がピークを示すときの対物レンズ13のZ位置を求める。これにより、CPU220は、カラーCCD11の画素ごとに、求められた対物レンズ13のZ位置と対物レンズ13の焦点位置とに基づいてZ方向における観察対象物Sの表面の位置を検出する。これらの検出結果が形状データとなる。
【0068】
続いて、各単位領域で取得された複数の画像データに基づいて、通常画像データ、積層画像データおよび全焦点画像データのいずれかが各単位領域に対応して生成される。図7は、通常画像データ、積層画像データおよび全焦点画像データを説明するための側面図である。
【0069】
図5の通常ナビゲーションボタン421が操作された場合のナビゲーション画像生成処理時には通常画像データが生成される。通常画像データは、例えば対物レンズ13の焦点fが各単位領域の中央部における観察対象物Sの表面に合う状態で取得された画像データである。図7(a)の例では、対物レンズ13がZ位置zp4にある状態で対物レンズ13の焦点fが単位領域r1の中央部における観察対象物Sの表面に合う。通常画像データは、上記の形状データに基づいて、各単位領域を撮像することにより得られる複数の画像データの中から当該単位領域の中央部における観察対象物Sの表面に合う状態で取得された画像データを抽出することにより生成される。
【0070】
図5の積層ナビゲーションボタン422が操作された場合のナビゲーション画像生成処理時には積層画像データが生成される。積層画像データは、各単位領域において対物レンズ13が複数のZ位置にある状態で取得される複数の画像データの集合体である。
【0071】
図7(b)の例では、対物レンズ13が複数のZ位置zp1〜zp9にある状態で単位領域r1が撮像される。この場合、単位領域r1に対応する積層画像データは、複数のZ位置zp1〜zp9にそれぞれ対応する複数(本例では、9つ)の画像データに基づいて生成される。
【0072】
図5の全焦点ナビゲーションボタン423が操作された場合のナビゲーション画像生成処理時には全焦点画像データが生成される。全焦点画像データは、各単位領域で撮像により取得される複数の画像データから図1のカラーCCD11の画素ごとにピークを示す画素データが抽出され、抽出された複数の画素データが合成されることにより生成される。全焦点画像データによれば、各単位領域における全ての部分にそれぞれ焦点が合った画像を生成することができる。
【0073】
図7(c)の例では、撮像対象となる単位領域r1内にZ方向の位置が異なる第1の面S1および第2の面S2が存在する。対物レンズ13がZ位置zp4にある状態で対物レンズ13の焦点fが単位領域r1内の第1の面S1に合い、対物レンズ13がZ位置zp6にある状態で対物レンズ13の焦点fが単位領域r1内の第2の面S2に合う。
【0074】
この場合、単位領域r1のうち第1の面S1の部分では対物レンズ13がZ位置zp4にある状態で撮像された画素データがピークを示す。単位領域r1のうち第2の面S2の部分では対物レンズ13がZ位置zp6にある状態で撮像された画素データがピークを示す。これらのピークを示す複数の画素データが抽出され、抽出された複数の画素データが合成される。これにより、全焦点画像データが生成される。
【0075】
以下の説明では、通常画像データ、積層画像データおよび全焦点画像データをナビゲーション画像データと総称する。
【0076】
上記のように、図6のナビゲーション領域NR内の全ての単位領域r1〜r25において、複数の画像データが取得され、形状データが生成されるとともにナビゲーション画像データが生成される。その後、図1のCPU220は、複数の単位領域r1〜r25にそれぞれ対応する複数の形状データを連結し、ナビゲーション領域NRに対応する形状データを生成する。また、図1のCPU220は、複数の単位領域r1〜r25にそれぞれ対応する複数のナビゲーション画像データを連結し、ナビゲーション領域NRに対応するナビゲーション画像データを生成する。さらに、CPU220は、生成された形状データおよびナビゲーション画像データを図1の記憶装置240に記憶する。
【0077】
最後に、図1のCPU220は、生成されたナビゲーション画像データに基づいて、ナビゲーション領域NRを示す画像(以下、ナビゲーション画像と呼ぶ。)を表示部260に表示させる。
【0078】
図8はナビゲーション画像生成処理終了時の表示部260の一表示例を示す図である。図8に示すように、ナビゲーション画像生成処理が行われることにより、表示部260の画面上に図5の画像表示領域410および条件設定領域420に加えてナビゲーション領域430が表示される。
【0079】
条件設定領域420に通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426が表示される。通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426の詳細は後述する。
【0080】
ナビゲーション領域430にナビゲーション画像が表示される。画像表示領域410に表示される単位領域がナビゲーション画像内で枠431により表される。
【0081】
図9は図8のナビゲーション領域430の拡大図である。図9では、複数の単位領域r1〜r25にそれぞれ対応する複数の画像が表示部260に表示されることが理解しやすいように、ナビゲーション領域430に複数の単位領域r1〜r25に対応する複数の画像を仕切るための点線を付している。
【0082】
ここで、ナビゲーション画像データが通常画像データである場合には、単位領域r1〜r25のそれぞれの中央部に焦点が合った複数の画像が連結されることにより得られるナビゲーション領域NRの画像がナビゲーション画像としてナビゲーション領域430に表示される。
【0083】
積層画像データに基づくナビゲーション画像の表示時には、使用者は図1の入力装置250を操作することにより複数のZ位置zp1〜zp9にそれぞれ対応する複数の画像データのうちのいずれかを指定することができる。ナビゲーション画像データが積層画像データである場合には、複数の画像データのいずれかが指定されることにより、指定された画像データに基づくナビゲーション領域NRの画像がナビゲーション画像としてナビゲーション領域430に表示される。
【0084】
ナビゲーション画像データが全焦点画像データである場合には、全ての単位領域r1〜r25における全ての部分にそれぞれ焦点が合った画像がナビゲーション領域NRの画像がナビゲーション画像としてナビゲーション領域430に表示される。
【0085】
上記のようにして、図1の表示部260のナビゲーション領域430にナビゲーション画像が表示されることによりナビゲーション画像生成処理が終了する。
【0086】
(3−2)指定観察処理
図8の条件設定領域420の通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426のいずれかが操作されることにより、指定観察処理が開始される。
【0087】
指定観察処理が開始されることにより、図8および図9のナビゲーション領域430において、使用者は、図1の入力装置250を用いてナビゲーション画像で表示される複数の単位領域r1〜r25のうち1または複数の単位領域を観察対象領域として指定することができる。これにより、使用者は、一の単位領域を超える広い範囲に渡って観察対象物Sの画像を視認しつつ観察対象物Sの所望の観察対象領域を容易に指定することができる。
【0088】
図9に示すように、例えば使用者によりナビゲーション領域430に表示されるナビゲーション画像の一部(単位領域r1〜r9)が観察対象領域として指定される。この場合、指定された観察対象領域がナビゲーション画像内で枠432により表される。
【0089】
その後、図1のCPU220は、使用者により操作されたボタンの種類に応じて異なる処理を行う。以下、通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426がそれぞれ操作された場合の処理を説明する。
【0090】
図8の通常観察ボタン424が操作された場合、CPU220は、記憶装置240に記憶された形状データに基づいて、対物レンズ13の焦点fが観察対象領域内の各単位領域r1〜r9の中央部における観察対象物Sの表面に合うときの対物レンズ13のZ位置を求める。続いて、CPU220は、単位領域ごとに求められたZ位置に対物レンズ13を移動させ、観察対象物Sを撮像する。これにより、複数の単位領域r1〜r9にそれぞれ対応する複数の画像データが取得される。その後、取得された複数の画像データが連結され、連結された画像データに基づいて観察対象領域の画像が観察対象画像として画像表示領域410に表示される。
【0091】
図10は指定観察処理終了時の表示部260の一表示例を示す図である。図10の例では、図8の通常観察ボタン424が操作されるとともに図9のナビゲーション画像で単位領域r1〜r9が観察対象領域として指定されることにより、単位領域r1〜r9の中央部にそれぞれ焦点が合った観察対象画像が画像表示領域410に表示される。なお、図10では、複数の単位領域r1〜r9にそれぞれ対応する複数の画像が表示部260に表示されることが理解しやすいように、画像表示領域410に複数の単位領域r1〜r9に対応する複数の画像を仕切るための点線を付している。
【0092】
図8の詳細観察ボタン425が操作された場合には、観察対象領域内の単位領域ごとに当該単位領域の中央部に焦点fが合うときの対物レンズ13のZ位置が、ナビゲーション画像生成処理時に比べてより詳細に探索され、検出される。以下の説明では、この検出結果により得られる対物レンズ13のZ位置を詳細合焦点位置と呼ぶ。その後、対物レンズ13のZ位置が詳細合焦点位置に移動され、当該単位領域が撮像される。
【0093】
具体的には、CPU220は、図8の詳細観察ボタン425が操作されることにより、記憶装置240に記憶された形状データに基づいて、対物レンズ13の焦点fが観察対象領域内の各単位領域の中央部における観察対象物Sの表面に合うときの対物レンズ13のZ位置を求める。
【0094】
続いて、CPU220は、単位領域ごとに上記の詳細合焦点位置を探索するために対物レンズ13を移動させるZ方向の範囲(以下、第1のZ方向移動範囲と呼ぶ。)を設定する。第1のZ方向移動範囲は、上記の上限位置UPと下限位置BPとの間の範囲よりも小さくなるように、例えば単位領域ごとに求められた対物レンズ13のZ位置を中心とする一定幅の範囲に設定される。この場合、形状データがZ方向における観察対象物Sの表面の位置を示すので、第1のZ方向移動範囲が短時間で設定される。
【0095】
次に、CPU220は、観察対象領域の1番目の単位領域r1について、設定された第1のZ方向移動範囲内で対物レンズ13を移動させつつ複数のZ位置で観察対象物Sを撮像する。このときの対物レンズ13の移動速度は、ナビゲーション画像生成処理時の対物レンズ13の移動速度に比べて低い。この場合、単位領域の複数の撮像タイミングに対応する対物レンズ13の複数のZ位置のピッチが上記の第1のピッチよりも小さくなる。このように、本実施の形態において、指定観察処理時のZ位置のピッチは予め第2のピッチとして設定されている。
【0096】
CPU220は、撮像により得られる複数の画像データに基づいて、詳細合焦点位置を検出する。その後、CPU220は、検出された詳細合焦点位置に対物レンズ13を移動し、当該単位領域r1を再度撮像する。
【0097】
CPU220は、観察対象領域の以降の単位領域(単位領域r2〜r9)についても上記と同様の処理を繰り返す。それにより、複数の単位領域r1〜r9にそれぞれ対応する複数の画像データが取得される。最後に、単位領域ごとに取得された複数の画像データが連結され、連結された画像データに基づく観察対象領域の画像が観察対象画像として図10の画像表示領域410に表示される。
【0098】
本例では、第2のピッチが第1のピッチよりも小さいので、単位領域ごとに当該単位領域の中央部に焦点fが合うときの対物レンズ13のZ位置をより詳細に求めることができる。また、指定観察処理時に対物レンズ13を移動させる第1のZ方向移動範囲は、形状データに基づいて十分に小さい範囲に設定することができる。したがって、第2のピッチが第1のピッチよりも小さくなることにより対物レンズ13の移動速度が遅くなる場合でも、観察対象領域の撮像に要する時間が長くなることが抑制される。
【0099】
図8の全焦点観察ボタン426が操作された場合には、観察対象領域内の単位領域ごとに対物レンズ13を移動させるZ方向の範囲(以下、第2のZ方向移動範囲と呼ぶ。)が設定される。この場合、形状データがZ方向における観察対象物Sの表面の位置を示すので、第2のZ方向移動範囲が短時間で設定される。その後、単位領域ごとに設定された第2のZ方向移動範囲内で対物レンズ13が移動することにより複数のZ位置で観察対象物Sが撮像される。
【0100】
具体的には、CPU220は、図8の全焦点観察ボタン426が操作されることにより、記憶装置240に記憶された形状データに基づいて、対物レンズ13の焦点fが各単位領域における観察対象物Sの最も高い位置の表面に合うときの対物レンズ13のZ位置(最高Z位置)、および対物レンズ13の焦点fが各単位領域における観察対象物Sの最も低い位置の表面に合うときの対物レンズ13のZ位置(最低Z位置)を求める。また、CPU220は、単位領域ごとに最高Z位置から最低Z位置までの範囲を含むように第2のZ方向移動範囲を設定する。
【0101】
次に、CPU220は、観察対象領域の1番目の単位領域r1について、設定された第2のZ方向移動範囲内で対物レンズ13を移動させつつ複数のZ位置で観察対象物Sを撮像する。このときの対物レンズ13の移動速度は、図8の詳細観察ボタン425が操作された場合と同様に、ナビゲーション画像生成処理時の対物レンズ13の移動速度に比べて低い。
【0102】
CPU220は、撮像により得られる複数の画像データに基づいて、全焦点画像データを生成する。CPU220は、観察対象領域の以降の単位領域(単位領域r2〜r9)についても上記と同様の処理を繰り返す。それにより、複数の単位領域r1〜r9にそれぞれ対応する複数の合焦点画像データが取得される。最後に、取得された複数の合焦点画像データが連結され、連結された合焦点画像データに基づく観察対象領域の画像が観察対象画像として図10の画像表示領域410に表示される。
【0103】
本例においても、第2のピッチが第1のピッチよりも小さいので、観察対象画像の精度が十分に向上する。また、指定観察処理時に対物レンズ13を移動させる第2のZ方向移動範囲は、形状データに基づいて十分に小さい範囲に設定することができる。したがって、第2のピッチが第1のピッチよりも小さくなることにより対物レンズ13の移動速度が遅くなる場合でも、観察対象領域の撮像に要する時間が長くなることが抑制される。
【0104】
(4)拡大観察処理フロー
(4−1)ナビゲーション画像生成処理フロー
上記のように、本実施の形態に係る拡大観察処理は、ナビゲーション画像生成処理および指定観察処理を含む。まず、ナビゲーション画像生成処理のフローを説明する。
【0105】
図11は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション画像生成処理のフローチャートである。図1のCPU220は、記憶装置240に記憶される拡大観察プログラムを実行することにより本実施の形態に係る拡大観察処理の一部としてナビゲーション画像生成処理を行う。
【0106】
初期の状態では、予めナビゲーション領域の位置および大きさが対物レンズ13の倍率に応じて定められている。本例では、ナビゲーション領域に複数の単位領域が含まれる。この場合、予めナビゲーション領域内の複数の単位領域の撮像順序も定められている。なお、ナビゲーション領域の位置および大きさ、ならびに複数の単位領域の撮像順序は、使用者により設定されてもよい。
【0107】
CPU220は、使用者による図5の通常ナビゲーションボタン421、積層ナビゲーションボタン422および全焦点ナビゲーションボタン423のいずれかのボタンの操作に応答してナビゲーション画像生成処理を開始する。
【0108】
ナビゲーション画像生成処理が開始されると、CPU220は、予め定められた順序に従って、ナビゲーション領域内の一の単位領域が撮像されるようにステージ21を移動させる(ステップS11)。
【0109】
続いて、CPU220は、対物レンズ13を予め定められた上限位置UPと下限位置BPとの間でZ方向に移動させることにより複数のZ位置で当該単位領域を撮像し、複数の画像データを取得し、取得された複数の画像データに基づいて当該単位領域に対応する形状データを生成する(ステップS12)。このとき取得された複数の画像データおよび生成された形状データは、記憶装置240に記憶される。
【0110】
次に、CPU220は、図5の通常ナビゲーションボタン421、積層ナビゲーションボタン422および全焦点ナビゲーションボタン423のいずれのボタンが操作されたかに基づいて、図8のナビゲーション領域430に表示すべきナビゲーション画像の種類を判定する(ステップS13)。
【0111】
CPU220は、図5の通常ナビゲーションボタン421が操作された場合、ステップS12で取得された複数の画像データおよび生成された形状データに基づいて上記の通常画像データを生成する(ステップS14)。
【0112】
一方、CPU220は、図5の積層ナビゲーションボタン422が操作された場合、ステップS12で取得された複数の画像データおよび生成された形状データに基づいて上記の積層画像データを生成する(ステップS15)。
【0113】
他方、CPU220は、図5の全焦点ナビゲーションボタン423が操作された場合、ステップS12で取得された複数の画像データおよび生成された形状データに基づいて上記の全焦点画像データを生成する(ステップS16)。
【0114】
ステップS14,S15,S16のいずれかの処理後、CPU220は、現在撮像されている単位領域が、ナビゲーション領域内で最後に撮像されるべき単位領域であるか否かを判定する(ステップS17)。
【0115】
現在撮像されている単位領域が最後に撮像されるべき単位領域でない場合、CPU220は、現在撮像されている単位領域に対応する形状データに基づいて、次の単位領域の撮像時にZ方向に移動させるべき対物レンズ13の範囲を設定する(ステップS18)。
【0116】
例えば、互いに隣接する1番目の単位領域と2番目の単位領域とが順に撮像される場合を想定する。この場合、1番目の単位領域のうち2番目の単位領域の近傍の部分における観察対象物Sの表面の位置は、2番目の単位領域における観察対象物Sの表面の位置とほぼ等しいと考えられる。そこで、1番目の単位領域の撮像により生成される形状データに基づいて、2番目の単位領域における観察対象物Sの表面の位置を予測し、2番目の単位領域の撮像時にZ方向に移動させるべき対物レンズ13の範囲を設定する。これにより、2番目以降の単位領域の撮像時には、予め定められた上限位置UPと下限位置BPとの間の範囲に比べて小さい範囲で観察対象物Sの表面を撮像することができる。その結果、ナビゲーション画像生成処理に要する時間を短縮することができる。
【0117】
その後、CPU220は、ステップS11の処理に戻る。2番目以降のステップS11の処理では、CPU220は、予め定められた順序に従って、ナビゲーション領域内の次の単位領域が撮像されるようにステージ21を移動させる。また、2番目以降のステップS12の処理では、CPU220は、例えば直前のステップS18で設定された対物レンズ13の移動範囲に基づいて対物レンズ13をZ方向に移動させる。なお、初回のステップS12の処理では、対物レンズ13を予め定められた上限位置UPと下限位置BPとの間でZ方向に移動させる代わりに、使用者により設定された対物レンズ13の移動範囲内で対物レンズ13をZ方向に移動させてもよい。
【0118】
上記のステップS17において、現在撮像されている単位領域が最後に撮像されるべき単位領域である場合、CPU220は、ナビゲーション領域NR内の全ての単位領域にそれぞれ対応して生成された複数のナビゲーション画像データ(通常画像データ、積層画像データまたは全焦点画像データ)を連結し、連結されたナビゲーション画像データに基づくナビゲーション画像を図1の表示部260に表示させる(ステップS19)。これにより、ナビゲーション画像生成処理が終了する。
【0119】
(4−2)指定観察処理フロー
続いて、指定観察処理のフローを説明する。図12および図13は、本発明の一実施の形態に係る指定観察処理のフローチャートである。図1のCPU220は、記憶装置240に記憶される拡大観察プログラムを実行することにより本実施の形態に係る拡大観察処理の一部として指定観察処理を行う。
【0120】
CPU220は、使用者による図8の通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426のいずれかのボタンの操作に応答して指定観察処理を開始する。
【0121】
まず、CPU220は、使用者により図8のナビゲーション画像から観察対象領域が指定されたか否かを判定する(ステップS21)。観察対象領域が指定されることにより、CPU220は、指定された観察対象領域内の一の単位領域が撮像されるようにステージ21を移動させる(ステップS22)。
【0122】
続いて、CPU220は、ナビゲーション画像生成処理で生成された形状データに基づいて当該単位領域の中央部における観察対象物Sの表面に合うときの対物レンズ13のZ位置を求める(ステップS23)。本フローチャートの説明においては、ステップS23で求められる対物レンズ13のZ位置を仮合焦点位置と呼ぶ。
【0123】
次に、CPU220は、図8の通常観察ボタン424、詳細観察ボタン425および全焦点観察ボタン426のいずれのボタンが操作されたかに基づいて、指定観察処理における観察の種類を判定する(ステップS24)。
【0124】
CPU220は、図8の通常観察ボタン424が操作された場合、ステップS23で求められた仮合焦点位置に対物レンズ13を移動させ、当該単位領域の撮像を行う(ステップS31)。これにより、当該単位領域に対応する画像データが生成され、生成された画像データが記憶装置240に記憶される。
【0125】
一方、CPU220は、図8の詳細観察ボタン425が操作された場合、ステップS23で求められた仮合焦点位置に基づいて上記の第1のZ方向移動範囲を設定する(ステップS41)。続いて、CPU220は、設定された第1のZ方向移動範囲内で対物レンズ13をZ方向に移動させつつ当該単位領域の撮像を行う(ステップS42)。これにより、当該単位領域において複数のZ位置に対応する複数の画像データが生成される。次に、CPU220は、生成された複数の画像データに基づいて上記の詳細合焦点位置を検出する(ステップS43)。その後、CPU220は、検出された詳細合焦点位置に対物レンズ13を移動させ、当該単位領域の撮像を行う(ステップS44)。これにより、当該単位領域に対応する画像データが生成され、生成された画像データが記憶装置240に記憶される。
【0126】
他方、CPU220は、図8の全焦点観察ボタン426が操作された場合、ステップS23で求められた仮合焦点位置に基づいて上記の第2のZ方向移動範囲を設定する(ステップS51)。続いて、CPU220は、設定された第2のZ方向移動範囲内で対物レンズ13をZ方向に移動させつつ当該単位領域の撮像を行う(ステップS52)。これにより、当該単位領域において複数のZ位置に対応する複数の画像データが生成される。次に、CPU220は、生成された複数の画像データに基づいて上記の合焦点画像データを生成する(ステップS53)。生成された合焦点画像データが記憶装置240に記憶される。
【0127】
ステップS31,S44,S53のいずれかの処理後、CPU220は、現在撮像されている単位領域が、観察対象領域内で最後に撮像されるべき単位領域であるか否かを判定する(ステップS61)。なお、CPU220は、例えばステップS31,S44,S53の処理後の画像データまたは合焦点画像データの記憶時に当該単位領域の位置を示す情報を記憶装置240に記憶させておくことにより、その位置情報に基づいて容易に上記ステップS61の判定処理を行うことができる。
【0128】
現在撮像されている単位領域が最後に撮像されるべき単位領域でない場合、CPU220は、上記のステップS22の処理に戻る。これにより、ステップS22において、次の単位領域が撮像されるようにステージ21が移動する。
【0129】
一方、現在撮像されている単位領域が最後に撮像されるべき単位領域である場合、CPU220は、観察対象領域内の全ての単位領域にそれぞれ対応して生成された複数の画像データまたは全焦点画像データを連結し、連結された画像データまたは全焦点画像データに基づく観察対象画像を図1の表示部260に表示させる(ステップS62)。これにより、指定観察処理が終了する。
【0130】
(5)効果
(5−1)本実施の形態に係る拡大観察装置300においては、ナビゲーション画像データの生成時に、形状データが生成される。ナビゲーション画像に基づいて観察対象領域が指定されることにより、形状データに基づいて観察対象領域が撮像される。この場合、形状データはZ方向における観察対象物Sの表面の位置を示すので観察対象領域の撮像時に、対物レンズ13の焦点を短時間で観察対象物Sの表面に合わせることができる。その結果、観察対象領域の撮像時間を短縮することができる。
【0131】
(5−2)本実施の形態では、通常画像データ、積層画像データおよび全焦点画像データのいずれかに基づく画像がナビゲーション画像として表示される。
【0132】
上記のように、積層画像データは、各単位領域において対物レンズ13が複数のZ位置にある状態で取得される複数の画像データの集合体である。この場合、複数の画像データに基づいて表示される複数の画像は、異なる部分で焦点が合い、または合焦点の度合いが異なる。ナビゲーション画像が積層画像データに基づいて表示される場合、使用者により指定された画像データに基づくナビゲーション領域NRの画像がナビゲーション画像としてナビゲーション領域430に表示される。したがって、使用者は、焦点の合う部分または合焦点の度合いが異なる複数の画像のうち所望の画像をナビゲーション画像として表示部260に表示させることができる。これにより、使用者は、観察対象領域を適切に指定することができる。
【0133】
また、ナビゲーション画像が全焦点画像データに基づいて表示される場合、そのナビゲーション画像においては、観察対象物Sの複数の表面(図2の第1の面S1および第2の面S2)にそれぞれ焦点が合う。これにより、使用者は観察対象領域を適切に指定することができる。
【0134】
(6)他の実施の形態
(6−1)ナビゲーション画像は、例えば使用者が観察対象物Sの全体の形状を認識しつつ所望の観察対象領域を指定するために用いられる。したがって、ナビゲーション画像の質は、指定観察処理により画像表示領域410に表示される観察対象画像の質に比べて低くてもよい。
【0135】
この場合、ナビゲーション画像生成処理時における撮像装置10の撮像条件と、指定観察処理時における撮像装置10の撮像条件とを互いに異なるように設定することができる。
【0136】
例えば、ナビゲーション画像生成処理時における対物レンズ13の倍率を、指定観察処理時における対物レンズ13の倍率よりも低くする。この場合、対物レンズ13の倍率が低くなるほど撮像装置10の撮像範囲である単位領域が大きくなる。それにより、ナビゲーション画像生成処理時に撮像すべき単位領域の数を低減することができる。その結果、ナビゲーション画像を短い時間で表示することができる。
【0137】
また、ナビゲーション画像生成処理時における撮像装置10の露光時間を、指定観察処理時における撮像装置10の露光時間よりも短くする。この場合、ナビゲーション画像生成処理時に観察対象物Sを高速で撮像することができる。それにより、ナビゲーション画像を短い時間で表示することができる。この場合、ナビゲーション画像として暗いままの画像を表示させてもよい。または、カラーCCD11のゲインを上げることにより、画質は劣るものの適切な明るさのナビゲーション画像を表示させてもよい。
【0138】
また、ナビゲーション画像生成処理時に図1の撮像装置10とは異なる撮像装置で光干渉法を用いて観察対象物Sを撮像し、指定観察処理時に図1の撮像装置10を用いて観察対象物Sを撮像する。光干渉法を用いた撮像では、対物レンズを移動させることなく観察対象物Sの表面の位置に関するデータを取得することができる。この場合、ナビゲーション画像生成処理時に観察対象物Sを高速で撮像することができる。それにより、ナビゲーション画像を短い時間で表示することができる。
【0139】
また、ナビゲーション画像生成処理時における複数の画像データの取得時に各画像データに含まれる複数の画素データの一部を間引く。この場合、ナビゲーション画像生成処理時に処理されるデータの量が低減される。それにより、ナビゲーション画像を短い時間で表示することができる。
【0140】
なお、共焦点顕微鏡においては、傾斜した観察対象物Sの表面を低倍率で観察すると、その観察対象物Sの表面からの反射光をほとんど受光できない。また、共焦点顕微鏡では観察対象物Sの表面の色に関する情報を得ることができない。したがって、傾斜した表面を有する観察対象物Sを観察する場合、ナビゲーション画像生成処理時の撮像条件としては、共焦点方式を用いた撮像方法よりも通常の光学顕微鏡による撮像方法を適用することが好ましい。
【0141】
また、微生物等の観察対象物Sを観察する蛍光顕微鏡においては、微弱な蛍光を受光するために露光時間が長く設定される。また、蛍光を発生させるために観察対象物Sに強い励起光を照射すると、観察対象物Sが損傷する場合がある。そのため、微生物等の観察対象物Sを観察する場合、ナビゲーション画像生成処理時の撮像条件としては、蛍光顕微鏡による撮像方法よりも通常の光学顕微鏡による撮像方法または光干渉法を用いた撮像方法を適用することが好ましい。
【0142】
(6−2)上記の実施の形態では、対物レンズ13の焦点位置(光軸方向における対物レンズ13からその対物レンズ13の焦点までの距離)は一定である。これに限らず、対物レンズ13は、焦点位置が変更可能な可変焦点レンズであってもよい。この場合、対物レンズ13をZ方向に移動させるためのレンズ駆動部17が必要なくなる。
【0143】
(6−3)画像処理装置200は、指定観察処理の開始時に、単位領域の撮像条件を調整可能に構成されてもよい。例えば、画像処理装置200は、指定観察処理の開始時に、使用者の図1の入力装置250の操作に基づいて、図1のカラーCCD11のゲインの調整指示、露光時間の調整指示、およびホワイトバランスの調整指示等を受け付けてもよい。この場合、使用者は、ナビゲーション画像を視認しつつ、指定観察処理時の撮像条件を適切に調整することができる。
【0144】
(6−4)上記の実施の形態において、対物レンズ13がZ方向に移動されることにより対物レンズ13に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されるが、これに限定されない。ステージ21がZ方向に移動されることにより対物レンズ13に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されてもよい。
【0145】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0146】
上記実施の形態においては、観察対象物Sが対象物の例であり、拡大観察装置300が拡大観察装置の例であり、ステージ21が載置部の例であり、通常画像データ、積層画像データ、全焦点画像データおよびナビゲーション画像データが第1の画像データの例であり、撮像装置10が撮像部の例であり、ナビゲーション画像が領域提示画像の例であり、表示部260が表示部の例である。
【0147】
また、形状データが焦点位置データの例であり、CPU220が処理部および制御部の例であり、入力装置250が操作部の例であり、指定観察処理時に図8の通常観察ボタン424が操作された場合の動作(図12のステップS31の動作)、指定観察処理時に図8の詳細観察ボタン425が操作された場合の動作(図12のステップS41〜S44の動作)、および指定観察処理時に図8の全焦点観察ボタン426が操作された場合の動作(図13のステップS51〜S53の動作)が合焦点動作の例である。
【0148】
さらに、第1のZ方向移動範囲および第2のZ方向移動範囲が位置パラメータの例であり、第1のZ方向移動範囲の設定動作(図12のステップS41の動作)および第2のZ方向移動範囲の設定動作(図13のステップS51の動作)がパラメータ設定動作の例であり、設定された第1のZ方向移動範囲または第2のZ方向移動範囲内で対物レンズ13を移動させる動作(図12のステップS42または図13のステップS52の動作)が移動動作の例である。
【0149】
また、指定観察処理時に取得される画像データが第2の画像データの例であり、ナビゲーション画像生成処理時における対物レンズ13の倍率、撮像装置10の露光時間、撮像方法、および処理に用いられる画素データの数等が第1の撮像条件の例であり、指定観察処理時における対物レンズ13の倍率、撮像装置10の露光時間、撮像方法、および処理に用いられる画素データの数等が第2の撮像条件の例である。
【0150】
さらに、積層画像データに基づいて表示部260に表示されるナビゲーション画像が操作部により指定される少なくとも一部の第1の画像データに基づく対象物の画像(領域提示画像)の例であり、全焦点画像データに基づいて表示部260に表示されるナビゲーション画像が対象物の観察面の複数の位置にそれぞれ焦点が合った画像(領域提示画像)の例である。
【0151】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、種々の拡大観察装置に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 ベース
2 第1の支持台
3 第2の支持台
4 連結部
5 回動支柱
6 連結部
7 支持部
8 スライダ
9 固定つまみ
10 撮像装置
11 カラーCCD
12 ハーフミラー
13 対物レンズ
13a ズーム調整部
13b 倍率検出部
15 A/D変換器
16 照明用光源
17 レンズ駆動部
20 ステージ装置
21 ステージ
22 ステージ駆動部
23 ステージ支持部
30 回転角度センサ
41 調整ネジ
42 調整つまみ
100 顕微鏡
200 画像処理装置
210 インタフェース
220 CPU
230 ROM
240 記憶装置
250 入力装置
260 表示部
270 作業用メモリ
300 拡大観察装置
410 画像表示領域
420 条件設定領域
421 通常ナビゲーションボタン
422 積層ナビゲーションボタン
423 全焦点ナビゲーションボタン
424 通常観察ボタン
425 詳細観察ボタン
426 全焦点観察ボタン
431,432 枠
BP 下限位置
f 焦点
NR ナビゲーション領域
p ポインタ
R1 回動軸
R2 光軸
R3 回転軸
r1〜r25 単位領域
S 観察対象物
S1 第1の面
S2 第2の面
UP 上限位置
zp1〜zp9 Z位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像して対象物の画像を表示する拡大観察装置であって、
対象物が載置される載置部と、
前記載置部に載置された対象物を撮像することにより対象物の画像を表示するための第1の画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部により取得された第1の画像データに基づいて対象物の画像を領域提示画像として表示する表示部と、
前記撮像部により取得される第1の画像データに基づいて前記撮像部の光軸方向における前記対象物の観察面の位置を示す焦点位置データを生成する処理部と、
前記表示部により表示される前記領域提示画像において前記対象物の観察すべき領域を観察対象領域として指定するために使用者により操作される操作部と、
前記処理部により生成された焦点位置データに基づいて、前記操作部の操作により指定された前記観察対象領域における観察面に前記撮像部の焦点が合うように前記撮像部および前記載置部の少なくとも一方を制御する合焦点動作を行う制御部とを備える、拡大観察装置。
【請求項2】
前記合焦点動作は、
前記処理部により生成された焦点位置データに基づいて、前記撮像部の光軸方向における前記撮像部と前記載置部との位置関係に関する位置パラメータを設定するパラメータ設定動作と、
前記パラメータ設定動作により設定された前記位置パラメータに基づいて前記撮像部および前記載置部の少なくとも一方を前記撮像部の光軸方向に移動させる移動動作とを含む、請求項1記載の拡大観察装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記領域提示画像において前記観察対象領域として複数の単位領域を指定可能に構成され、
前記制御部は、前記処理部により生成された焦点位置データに基づいて、前記操作部により指定された前記複数の単位領域の各々について前記合焦点動作を行うように構成される、請求項1または2に記載の拡大観察装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記合焦点動作により前記観察対象領域における観察面に前記撮像部の焦点を合わせた後に前記観察対象領域を撮像することにより前記観察対象領域の画像を表示するための第2の画像データを取得するように前記撮像部を制御し、
前記表示部は、前記撮像部により取得された第2の画像データに基づいて前記観察対象領域の画像を表示し、
前記撮像部は、前記第1の画像データを取得する場合に第1の撮像条件で対象物を撮像し、前記第2の画像データを生成する場合に第2の撮像条件で対象物を撮像し、
前記第1の撮像条件および前記第2の撮像条件は、前記第1の画像データに基づく画像の質が前記第2の画像データに基づく画像の質よりも低くなるように設定される、請求項1〜3のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の単位領域を順次撮像することにより、単位領域ごとに前記第1の画像データを取得するように前記撮像部を制御し、
前記第1の画像データを取得するための前記複数の単位領域のうち一の単位領域の撮像時に、当該一の単位領域が撮像されることにより取得される第1の画像データに基づいて前記撮像部の光軸方向における当該一の単位領域における焦点位置データを生成するように前記処理部を制御し、
前記一の単位領域以降の単位領域の撮像時に、前記一の単位領域の撮像時に生成された焦点位置データを用いて前記第1の画像データを取得する、請求項1〜4のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮像部の焦点を当該撮像部の光軸方向における複数の位置に移動させてそれぞれの位置で対象物を撮像するように前記撮像部および前記載置部の少なくとも一方を制御することにより複数の第1の画像データを取得し、
前記操作部は、前記複数の位置にそれぞれ対応して取得される複数の第1の画像データのうちの少なくとも一部を選択可能に構成され、
前記制御部は、前記操作部により選択される前記少なくとも一部の第1の画像データに基づいて対象物の画像を領域提示画像として前記表示部に表示させる、請求項1〜5のいずれかに記載の拡大観察装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像部の焦点を当該撮像部の光軸方向における複数の位置に移動させてそれぞれの位置で対象物を撮像するように前記撮像部および前記載置部の少なくとも一方を制御することにより複数の第1の画像データを取得し、
取得された前記複数の第1の画像データのそれぞれの部分を選択的に用いることにより対象物の観察面の複数の位置にそれぞれ焦点が合った画像を前記領域提示画像として前記表示部に表示させる、請求項1〜5のいずれかに記載の拡大観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−88530(P2013−88530A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227395(P2011−227395)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】