説明

拡大読書器

【課題】ポインタの照射位置の確認を的確にするとともに、従来の拡大読書器を改良してより使い勝手をよくする。
【解決手段】拡大読書器1は、点灯する照明ランプ15a,15bに照明されたテーブル6上に載置された本や書籍や書類等の読み取り対象物を、ビデオカメラ装置12により撮影してモニターテレビ装置24に拡大表示する。点灯ボタン18によりLED照射ランプをオンすると、これに連動して照明ランプ15a,15bがオフされる。LED照射ランプは、テーブル6上のビデオカメラ12の撮影範囲の略中心若しくは所定領域を照射するから、これを基準として装着板5及びテーブル6を前後及び左右に移動させて、読み取り対象物の読み取り部位がビデオカメラ12の撮影範囲に入るようにする。また、手暗がりにならないように、右利き又は左利きの人に応じて左右に配置した照明ランプ15a,15bの何れか一方をオフすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大読書器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000−333042号公報に示すように、拡大読書器においてモニター画面に映し出される拡大画面が、テーブルに載せられた読み取り対象物のどの位置に該当するかを照射して示すポインタを備えたものがある。拡大読書器は、一般に低視力者の利用に供せられるものであり、照明ランプによりテーブルの読み取り対象物が照明されている。
【0003】
しかしながら、視力低下を来している低視力者の場合には、その照明を眩しく感じるという傾向がある。従って、ポインタによる撮影位置の照射と照明ランプによる照明とを同時に行うと、ポインタの照射位置の確認が困難となる問題点があった。このため、拡大読書器を利用して読み取ったり書類等に記入したりする場合に、読み取り対象位置を的確に撮影対象範囲内に入れることが難しく使い勝手がよくなかった。
【0004】
また、低視力者の中には色覚異常を併発している場合が少なくないため、照射位置の確認のために色による判別を求めることは不適切となる。この場合、点滅による輝度の変化によって判別を求めることが有用であると考えられる。
【特許文献1】特開2000−333042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、低視力者にとってポインタによる撮影位置の照射と照明ランプによる照明とを同時に行うと、ポインタの照射位置の確認が困難となる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の拡大読書器は、基台に配置した読み取り対象物を載せるテーブルと、該テーブルの上方に配置したビデオカメラ装置と、前記テーブル上の読み取り対象物を照明する照明ランプと、前記ビデオカメラ装置の撮影位置を照射するポインタとからなる拡大読書器本体と、前記ビデオカメラ装置から送出される撮影画像を表示するモニターテレビ装置とから構成し、前記ポインタによる撮影位置の照射に連動して、前記照明ランプの照明照度を前記ポインタの照射照度よりも減少させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の拡大読書器は、請求項1に記載の構成において、前記ポインタは、ビデオカメラ装置の撮影対象範囲内の所定領域を照射するようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の拡大読書器は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記テーブルは、前後及び左右に移動可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の拡大読書器は、請求項1乃至請求項3に記載の構成において、 前記照明ランプは、略左側上方からと略右側上方からテーブル上の読み取り対象物を照明するようにして、何れか一方のみを点灯できるようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の拡大読書器は、請求項1乃至請求項4に記載の構成において、前記ビデオカメラ装置と照明ランプ及びポインタとを筐体内に組み込むとともに、基台に設けた支持アームにより前記テーブルの上方に配置し、該筐体の上面に前記モニターテレビ装置を載置できるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の拡大読書器によれば、ポインタによる撮影位置の照射に連動して、照明ランプの照明照度がポインタの照射照度よりも減少するから、ポインタの照射位置の確認が容易となって、ビデオカメラ装置の撮影位置と読み取り対象物の読み取り部位を簡単に合わせることができ、低視力者にとって拡大読書器の使い勝手が向上する。
【0012】
請求項2に記載の拡大読書器によれば、ポインタがビデオカメラ装置の撮影対象範囲内の所定領域を照射するから、読み取り対象位置を的確にビデオカメラ装置の撮影対象範囲内に入れることができる。
【0013】
請求項3に記載の拡大読書器によれば、読み取り対象物を載せるテーブルが前後及び左右に移動可能であるから、読み取り対象位置とポインタの照射位置とを容易に合致させることができ、拡大読書器の使い勝手が向上する。
【0014】
請求項4に記載の拡大読書器によれば、照明ランプが略左側上方からと略右側上方からテーブル上の読み取り対象物を照明する2種類の照明ランプを備え、切替えスイッチにより何れか一方のみを点灯できるから、書類等に記入する際に記入者が右利きであっても左利きであっても、手暗がりになることを回避できる。
【0015】
請求項5に記載の拡大読書器によれば、ビデオカメラ装置と照明ランプ及びポインタと組み込んで、支持アームによりモニターテレビ装置を該テーブルの上方に配置した筐体の上面に載置できるようにしたから、ポインタの照射位置とモニターテレビの画面間での視線の移動が少なくなり、拡大読書器の使い勝手が向上する。また、筐体に上面に載置したモニターテレビ装置を取り外すことができ、拡大読書器の移動や設置が容易に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
拡大読書において、ポインタの照射位置の確認を的確にするとともに、従来の拡大読書器を改良してより使い勝手をよくするという目的を、ポインタによる撮影位置の照射に連動して、照明ランプの照明照度をポインタの照射照度よりも減少させるようにすることで実現した。
【実施例】
【0017】
本発明の1実施例について添付図面を参照して説明する。図1は拡大読書器1の正面図、図2は拡大読書器本体2の斜視図、図3は同、側面図である。拡大読書器本体2には、読み取り対象物を載置するテーブル装置3が配設されている。テーブル装置3は、基台4上に被着される装着板5と、該装着板5上に設置されたテーブル6とから構成されている。
【0018】
装着板5は基台4上に固定した前後方向のクロススライド機構(図示せず)により、前後に移動可能に設置されている。またテーブル6は、装着板5上に固定した左右方向のクロススライド機構(図示せず)により左右に移動可能に設置されている。基台4には、装着板5の前後方向の移動を止めるブレーキ摘み4aが、装着板5には、テーブル6の左右方向の移動を止めるブレーキ摘み5aがそれぞれ取り付けられている。これにより、拡大読書器1の設置面が傾斜していたり、拡大読書器本体2の搬送時に、装着板5やテーブル6がむやみに移動できないようにすることができる。
【0019】
拡大読書器本体2の基台4の両側下面には、支持アーム7の取付基部8が固定されている。支持アーム7は、取付基部8の後端から直角に起立する垂直部9が設けられ、該垂直9の上端を屈曲させて前方へ延びる水平支持部10により、カメラ筺体11がテーブル装置3のテーブル6の上方に支持固定されている。
【0020】
カメラ筺体11には、ビデオカメラ装置12、制御回路14が組み込まれるとともに、照明ランプ15a,15b及びポインタであるLED照射ランプ16が取り付けられている。ビデオカメラ装置12は、レンズ鏡筒13がカメラ筐体11の下面から突出する略垂直下向き姿勢で取り付けられている。制御回路14は、後述する切替回路25を含み、所定のスイッチ入力に基づきビデオカメラ装置12を制御したり、照明ランプ15やLED照射ランプ16のオン・オフを制御する。
【0021】
照明ランプ15a,15bは、それぞれカメラ筐体11の左右の両側下面に取り付けられテーブル6上を照明するもので、カメラ筐体11の左右両側面に取り付けられた点灯スイッチ17a,17bによりオン・オフされる。また、LED照射ランプ16は、テーブル6上のビデオカメラ12の撮影範囲の略中心を照射するように配置され、カメラ筐体11の前面に配置した点灯ボタン18によりオン・オフされる。
【0022】
その他、カメラ筐体11の前面には、電源スイッチ19、画面切替/コントラスト調節ツマミ20、中心にオートフォーカスボタン21を設けたズーム調節ツマミ22等が配置されている。そして、照明ランプ15bの点灯スイッチ17bの奥には、フォーカス調節スイッチ23が配置されている。また、カメラ筐体11の裏面には、電源ケーブル、ビデオ出力端子、ACアウトレット、接地端子等(何れも図示しない)が配置されている。このカメラ筐体11の上面には、図3に示すようにモニターテレビ装置24を載置して固定する。モニターテレビ装置24の固定は、締着バンド或いは締着ネジ等を用いて行う。
【0023】
上記照明ランプ15a,15bは、図4に示すように該照明ランプ15a,15bが点灯している場合に、点灯ボタン18によりLED照射ランプ16がオンされると、これに連動して切替回路25により照明ランプ15a,15bがオフされるようになっている。この場合、照明ランプ15a,15bの照度を落として、LED照射ランプ16の照度よりも減少させるようにしてもよい。また、図5に示すようにLED照射ランプ16により、ビデオカメラ装置12の撮影対象範囲内の所定領域Aを照射するようにしてもよい。
【0024】
上記構成の拡大読書器1は、点灯する照明ランプ15a,15bに照明されたテーブル6上に載置された本や書籍や書類等の読み取り対象物を、ビデオカメラ装置12により撮影してモニターテレビ装置24に拡大表示する。この場合、点灯ボタン18によりLED照射ランプ16をオンすると、これに連動して切替回路25により照明ランプ15a,15bがオフされる。LED照射ランプ16は、テーブル6上のビデオカメラ12の撮影範囲の略中心若しくは所定領域Aを照射するから、これを基準として装着板5及びテーブル6を前後及び左右に移動させて、読み取り対象物の読み取り部位がビデオカメラ12の撮影範囲に入るようにする。
【0025】
そして、ポインタであるLED照射ランプ16によるビデオカメラ装置12の撮影位置の照射に連動して、照明ランプ15a,15bがオフする。従って、LED照射ランプ16のみの照射光により照射位置の確認が容易となる。これにより、ビデオカメラ装置12の撮影位置と読み取り対象物の読み取り部位を簡単に合わせることができるから、低視力者にとって拡大読書器1の使い勝手が向上する。
【0026】
また、LED照射ランプ16のビデオカメラ装置12の撮影対象範囲内の所定領域Aを照射することにより、読み取り対象位置を的確かつ迅速にビデオカメラ装置12の撮影対象範囲内に入れることができる。そして、読み取り対象物を載せるテーブル6が前後及び左右に移動可能であるから、読み取り対象位置とLED照射ランプ16の照射位置とを容易に合致させることができ、拡大読書器1の使い勝手がより向上する。
【0027】
さらに、略左側上方からと略右側上方からテーブル6上の読み取り対象物を照明する2個の照明ランプ15a,15bを備え、何れか一方のみを点灯できるから、書類等に記入する際に記入者が右利きであっても左利きであっても、手暗がりになることを回避できる。そして、ビデオカメラ装置12、制御回路14、照明ランプ15a,15b及びLED照明ランプ16を組み込んだカメラ筐体を、支持アーム7の水平支持部10によりテーブル6の上方に配置して、該カメラ筐体11の上面にモニターテレビ装置25を載置できるようにしたから、LEDランプ16の照射位置とモニターテレビ画面間での視線の移動が少なくなり、拡大読書器1の使い勝手が向上する。また、カメラ筐体11に上面に載置したモニターテレビ装置24を取り外すことができ、拡大読書器1の移動や設置が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】拡大読書器1の正面図である。
【図2】拡大読書器本体2の斜視図である。
【図3】同、側面図である。
【図4】照明ランプとLED照射ランプの切替回路を示した説明図である。
【図5】照射領域を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1...拡大読書器
2...拡大読書器本体
3...テーブル装置
6...テーブル
7...支持アーム
10...水平支持部
11...カメラ筐体
12...ビデオカメラ装置
14...制御回路
15a,15b...照明ランプ
16...LED照射ランプ(ポインタ)
24...モニターテレビ装置
25...切替回路
A...照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に配置した読み取り対象物を載せるテーブルと、該テーブルの上方に配置したビデオカメラ装置と、前記テーブル上の読み取り対象物を照明する照明ランプと、前記ビデオカメラ装置の撮影位置を照射するポインタとからなる拡大読書器本体と、前記ビデオカメラ装置から送出される撮影画像を表示するモニターテレビ装置とから構成し、
前記ポインタによる撮影位置の照射に連動して、前記照明ランプの照明照度を前記ポインタの照射照度よりも減少させるようにしたことを特徴とする拡大読書器。
【請求項2】
前記ポインタは、ビデオカメラ装置の撮影対象範囲内の所定領域を照射するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の拡大読書器。
【請求項3】
前記テーブルは、前後及び左右に移動可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の拡大読書器。
【請求項4】
前記照明ランプは、略左側上方からと略右側上方からテーブル上の読み取り対象物を照明するようにして、何れか一方のみを点灯できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の拡大読書器。
【請求項5】
前記ビデオカメラ装置と照明ランプ及びポインタとを筐体内に組み込むとともに、基台に設けた支持アームにより前記テーブルの上方に配置し、該筐体の上面に前記モニターテレビ装置を載置できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の拡大読書器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2005−175677(P2005−175677A)
【公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−410252(P2003−410252)
【出願日】平成15年12月9日(2003.12.9)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【出願人】(501122355)株式会社タイムズコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】