説明

拡幅セグメント

【課題】セグメントリングの拡幅時においても、拡幅式シールド掘進機におけるシールブラシ列によるシールド本体とセグメントリングの外周面との間の止水を確実に行う。
【解決手段】拡幅セグメント1は、外周面が半環状セグメントリング3の外周面に沿った形状に形成され、トンネルTの幅方向の外端部を半環状セグメントリング3,3の対向する端部にそれぞれ接合され、内端部どうしを対向して配置されてトンネルTの幅方向に移動可能な可動枠部材5,5と、トンネルTの周方向に沿って湾曲可能であり、可動枠部材5,5の外周部側に沿って形成されたポケットに跨って収納され、環状セグメントリングRの拡幅時に可動枠部材5,5に対してトンネルTの幅方向に相対移動し、可動枠部材5,5の内端部間に生じる空間を閉鎖する可撓板部材7と、可動枠部材5,5の内端部どうし間に介在され可動枠部材5,5どうしを連結する固定部材9,9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの途中に形成された拡幅部に設置されるトンネル覆工用のセグメントリングに使用される拡幅セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の拡幅セグメントとして、トンネルの幅方向に拡幅、縮幅可能に形成されてトンネルの天井面と底面に対向して配置され、トンネルの両側壁面に配置される一対の半円形状のセグメントリングどうしを接合して、縮幅状態で円環状のセグメントリングを形成し、トンネルの拡幅部においてトンネルの幅方向に拡幅した状態で前記セグメントリングを横長の小判型に形成するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、前記拡幅セグメントは、基板部材のトンネルの幅方向における両側にスライド部材を配し、前記基板部材に対してスライド部材をトンネルの幅方向の外側に移動させることにより、前記スライド部材に接合された前記一対の半円形状セグメントリングをトンネルの幅方向に移動させる。その際、縮幅時に前記基板部材と一対のスライド部材が密接して、それらの外周面が全体として前記セグメントリングの外周面と連続した円弧面をなしていたものが、前記拡幅により基板部材とスライド部材の外周面が不連続となり、その外周面の不連続部の発生により基板部材とスライド部材との間にトンネルの軸方向に沿った凹所が生じることとなる。
【特許文献1】特開2005−320844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、トンネルを断面形状に応じて拡大、縮小して掘削する拡幅式シールド掘進機では、シールド本体の後端部とシールド本体内で組み立てられたセグメントリングとの間を止水して、地山からの泥水や土砂のシールド本体内への侵入を防止するために、シールド本体の後端部にセグメントリングの拡幅セグメントの外周に接触するシールブラシ列を有するテールシール装置が配設されている(例えば、特開平11−159290号公報、特開2002−54393号公報参照)。
しかしながら、前記従来の拡幅セグメントのように、基板部材とスライド部材との間に凹所が生じると、拡幅式シールド掘進機のテールシール装置は、前記基板部材とスライド部材の外周面にシールブラシ列が接触する部分では止水ができるものの、前記凹所の部分では、該凹所内にシールブラシ列が入り込んで前記基板部材とスライド部材の奥部の表面に接触することができず、したがって、凹所部における止水を行うことができない問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、環状セグメントリングの拡幅時においても、拡幅式シールド掘進機におけるテールシール装置のシールブラシ列によるシールド本体とセグメントリングの外周面との間の止水を確実に行うことができる拡幅セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による拡幅セグメントは、掘削されたトンネルの天井面と底面に対向して配置され、トンネルの両側壁面に対向して配置される一対の半環状セグメントリングの対向する端部どうしを接合して環状セグメントリングを構成し、かつ該環状セグメントリングをトンネルの幅方向に拡幅、縮幅可能とする拡幅セグメントであって、外周面が前記半環状セグメントリングの外周面に沿った形状に形成され、トンネルの幅方向の外端部を一対の半環状セグメントリングの対向する端部にそれぞれ接合され、内端部どうしを対向して配置されてトンネルの幅方向に移動可能な一対の可動枠部材と、トンネルの周方向に沿って湾曲可能であり、各可動枠部材の外周部側に沿って形成されたポケットに跨って収納されており、前記環状セグメントリングの拡幅時に各可動枠部材に対してトンネルの幅方向に相対移動し、前記各可動枠部材の内端部間に生じる空間を閉鎖する可撓板部材と、前記可動枠部材の内端部どうしの間に介在されて該可動枠部材どうしを連結する固定部材とを備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明においては、環状セグメントリングをトンネルの幅方向に拡幅するときには、一対の半環状セグメントリングを片方ずつまたは同時にトンネルの幅方向に移動させると、各半環状セグメントリングの端部どうしを接合する拡幅セグメントの一対の可動枠部材が半環状セグメントリングに伴って移動し、縮幅時に互いに突き合わせられていたそれらの内端部どうしが離間移動する。このとき、各可動枠部材のポケットに収納されていた可撓板部材が、該ポケットから抜き出されて各可動枠部材の内端部どうしの間に生じる空間を閉鎖する。前記一対の半環状セグメントリングが所定距離離間したところで、各可動枠部材の内端部どうし間に固定部材を介在させて、該固定部材によって各可動枠部材の内端部どうしを連結して拡幅された環状セグメントリングのトンネル内への設置が終了する。
この拡幅された環状セグメントリングにおいては、前記各可動枠部材の内端部どうしの間に生じる空間が前記可撓板部材によって閉鎖されるので、各可動枠部材の外周面どうしは前記可撓板部材の外周面によってほぼ平坦に連絡された状態となる。
そのため、拡幅式シールド掘削機がトンネルの掘削を進めていく際に、シールド本体の後部に設けたシールブラシ列が、拡幅された環状セグメントリングを連結した拡幅セグメントの外周部に良好に接触して、これにより、地山からの泥水や土砂のシールド本体内への侵入が確実に防止される。
【0007】
前記拡幅セグメントにおいて、前記各可動枠部材の内部に、前記可撓板部材を背面側から支えて該可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みを抑制する支持台が、各可動枠部材に跨って支持され、各可動枠部材に対してトンネルの幅方向に相対移動可能に設けられていることが好ましい。
このようにすると、前記可撓板部材の剛性が比較的低い場合でも、前記支持台によって可撓板部材が背面からしっかりと支えられて、該可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みが抑制されるため、各可動枠部材の内端部間に生じる空間が可撓板部材の平坦な表面によって閉鎖され、拡幅式シールド掘削機のシールブラシ列による止水を一層確実にすることができる。
【0008】
また、前記拡幅セグメントにおいて、前記支持台が、前記各可動枠部材の内側に設けた案内レールに支持されたスライド部材と、外周部が前記可動枠部材の外周面に沿う形状に形成され、前記スライド部材にトンネルの軸方向に間隔をあけて固着された一対の案内板とを備えており、該一対の案内板の外周部によって前記可撓板部材が背面から支えられる構成とすることができる。
この構成によれば、各可動枠部材の離間移動時に、前記スライド部材が、案内レールに支持されて各可動枠部材の内端部間における可撓板部材の背面側に案内板を確実に位置させ、該可撓板部材を背面側から支えることができるので、前記可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みを良好に抑制することができる。
【0009】
また、前記拡幅セグメントにおいて、前記支持台に、前記トンネルの軸方向に沿う軸周りに回転する案内輪が、トンネルの軸方向、幅方向に間隔をあけて配置され、かつトンネルの幅方向に移動可能に支持され、該案内輪の外周部によって前記可撓板部材が背面から支えられる構成とすることができる。
この構成によれば、各可動枠部材の離間移動時に、前記各案内輪が、各可動枠部材の移動方向に連動されて、前記可撓板部材における各可動枠部材のポケットから脱出した近傍部分を背面から支持するので、各可動枠部材の内端部どうしの空間において前記可撓板部材の外周面を平坦な状態にして介在させることができる。
【0010】
また、前記拡幅セグメントにおいて、前記可撓板部材が、複数の剛性板状部材がトンネルの幅方向に並べられてピン結合部により連結されてなり、トンネルの周方向に沿って湾曲可能な保形部材と、該保形部材の外周面に貼付されたゴム板とを備えていることが好ましい。
このようにすると、可撓板部材が撓み易いゴム板を保形部材によって剛性を高めて構成されるので、各可動枠部材の内端部間に生じる空間がゴム板の平滑な平面によって閉鎖され、前記ゴム板と拡幅式シールド掘削機のシールブラシ列との密着性が良くなって止水効果を高めることができる。
【0011】
また、前記拡幅セグメントにおいて、前記可撓板部材におけるトンネル軸方向の両端には弾性のシール材が固着して設けられ、該シール材が前記各可動枠部材のポケットの両端に沿って開口するスリットから外側に突き出され、前記各可動枠部材におけるトンネルの軸方向の両外端の外周部に形成されたシール溝に装着されたシール材に密着されている構成とすることができる。
この構成によれば、各可動枠部材とこれに対して相対移動する可撓板部材とにおけるトンネルの軸方向の両端に設けたシール材のトンネルの周方向における連続性を確保することができ、環状セグメントリングどうしのトンネルの軸方向における接合部の止水を的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
環状セグメントリングの拡幅時に、拡幅セグメントの各可動枠部材の内端部どうしの間に生じる空間が可撓板部材によって閉鎖され、各可動枠部材の外周面どうしが前記可撓板部材の外周面によってほぼ平坦に連絡された状態となるので、拡幅式シールド掘削機がトンネルの掘削を進めていく際に、シールド本体の後部に設けたテールシール装置のシールブラシ列が、拡幅された環状セグメントリングを連結した拡幅セグメントの外周部に良好に接触して、これにより、前記シールド本体と拡幅された環状セグメントリングの外周面との間の止水を確実に行い、地山からの泥水や土砂のシールド本体内への侵入を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメントについて添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメント1を用いて掘削されたトンネルTの拡幅部T1に拡幅して施工した環状セグメントリングRを示す斜視図であり、図2は同じく拡幅前の環状セグメントリングRを示す横断面図である。
前記環状セグメントリングRは、円弧版状の鋼製セグメント2を複数個トンネルTの周方向に接合してなる一対の半円環状セグメントリング3,3が、前記トンネルTの両側壁面に対向して配置され、それらの対向する端部どうしを前記トンネルTの天井面と底面に対向して配置された前記拡幅セグメント1,1によって接合して環状に構成されている。そして、前記拡幅セグメント1をトンネルの幅方向(図1,図2で左右方向に拡幅、縮縮させることによって、前記半環状セグメントリング3,3をトンネルTの幅方向に互いに離間移動させて前記環状セグメントリングRを横断面が横長の小判型となるように拡幅させ、また、前記半環状セグメントリング3,3をトンネルTの幅方向に互いに接近移動させて前記環状セグメントリングRを横断面が円形になるように縮幅させることができるようになっている。
【0014】
前記トンネルTの拡幅部T1に施工される半環状セグメントリング3には、複数の円弧状に形成されたフランジ板4が、前記鋼製セグメント2におけるトンネルTの軸方向の両端の主桁板2aの位置に一致させ、かつ該主桁板2aの内周に沿って連設されている。各フランジ板4は、半環状セグメントリング3の内周面に垂直にされてトンネルTの軸方向の両端部に位置するものどうしが、棒状部材4aで互いに平行に連結されており、前記鋼製セグメント2にトンネルTの軸方向に沿って設けた間詰材2bに、フランジ板4に固定したコ字状金具4bを介してボルト等により着脱可能に固定されている。
【0015】
前記拡幅セグメント1は、図1〜図5に示すように、外周面が前記半環状セグメントリング3の外周面に沿った形状に形成され、トンネルTの幅方向の外端部を前記一対の半環状セグメントリング3,3の対向する端部にそれぞれ接合され、内端部どうしを対向して配置されてトンネルTの幅方向に移動可能な一対の可動枠部材5,5と、トンネルTの周方向に沿って湾曲可能であり、各可動枠部材5,5の外周部側に沿って形成されたポケット6,6に跨って収納されており、前記環状セグメントリングRの拡幅時に各可動枠部材5,5に対してトンネルTの幅方向に相対移動し、各可動枠部材5,5の内端部間に生じる空間を閉鎖する可撓板部材7と、該可撓板部材7の背面側(環状セグメントリングRの内側)に沿って配設され、かつ前記可動枠部材5,5に跨って支持され、可動枠部材5,5に対してトンネルTの幅方向に相対移動可能に設けられており、前記可撓板部材7の環状セグメントRの内側への撓みを抑制する支持台8と、前記可動枠部材5,5の端部どうしが互いに離間した時に、それらの端部どうしの間に介在されて可動枠部材5,5の端部どうしの接近移動を阻止する固定部材9とを備えている。
【0016】
前記各可動枠部材5,5は、それらの互いに対向する側(内端側)に配位置された内側可動枠部材5Aと、該内側可動枠部材5Aの外側(一対の可動枠部材5,5が前記半環状セグメントリング3,3の端部に接合される側)に連結された外側可動枠部材5Bとを備え、互いに対称に構成されている。
前記内側可動枠部材5Aは、前記環状セグメントRのスキンプレート2cと同一の円弧を有するように湾曲され、かつトンネルTの軸方向の長さを環状セグメントRのトンネル軸方向の長さに一致された円弧状のスキンプレート5a1と、該スキンプレート5a1におけるトンネルTの軸方向の両端部に、トンネルTの内側へ向けてスキンプレート5a1に対し垂直に延出されて固着され、内端側の板幅(板高さ)を広く形成された一対の桁板5b1,5b1と、該一対の桁板5b1,5b1の外端側にトンネルTの軸方向に向けて掛け渡し、トンネルTの内側へ向けてスキンプレート5a1に対し垂直に延出されて固着された接合板5c1とにより形成されている。なお、前記桁板5b1,5b1の内端辺はトンネルの高さ方向に向けて鉛直に形成され、また、桁板5b1,5b1のトンネルTの内側となる辺はトンネルTの幅方向に向けて水平に形成されている。
【0017】
また、前記外側可動枠部材5Bは、スキンプレート5a1と同様に形成されたスキンプレート5a2におけるトンネルTの軸方向の両端部に、トンネルTの内側へ向けてスキンプレート5a2に対し垂直に延出されて固着され、スキンプレート5a2の円弧に沿った平行な板幅に形成された一対の桁板5b2,5b2と、該一対の桁板5b2,5b2の内端側にトンネルTの軸方向に向けて掛け渡し、トンネルTの内側へ向けてスキンプレート5a2に対し垂直に延出されて固着された接合板5c2とにより形成されている。そして、前記内側可動枠板部材5Aと外側枠板部材5Bとがそれらの接合板5c1,5c2どうしを突き合わせてボルト、ナット等の締結具によって一体的に連結されている。
なお、図示を省略したが、前記外側可動枠部材5Bの外端部(一対の可動枠部材5,5が前記半環状セグメントリング3,3の端部に接合される端部側)には、半環状セグメントリング3,3の端部に設けられている継手板と接合される継手板が固着されている。
【0018】
前記内側可動枠部材5Aには、そのスキンプレート5a1の内側にスキンプレート5a1に平行に沿って配設された円弧状板5dが、その両端縁を前記桁板5b1,5b1に固着されており、前記スキンプレート5a1と円弧状板5dと両桁板5b1,5b1との間に、前記可撓板部材7が収納される前記ポケット6がスキンプレート5a1の長さよりやや短い長さに設定されて設けられている。また、前記内側可動枠部材5Aには、前記桁板5b1,5b1におけるスキンプレート5a1に近い外周側に、前記ポケット6に連通するスキンプレート5a1の円弧に沿った円弧状のスリット10が前記ポケット6の長さの半分よりやや長く形成されている。前記桁板5b1,5b2の外面の外周側には前記スリット10に連絡するようにしてシール用溝5eが設けられ、該シール用溝5eにはシール部材5sが接着して設けられている。
【0019】
また、前記内側可動枠部材5Aの内側には、図3、図7、図8に示すように、前記ポケット6よりトンネルTの内側寄り位置において、上下に所定間隔をあけて平行に配設された一対の案内レール11,11が、前記桁板5b1,5b1の対向面に互いに対向する側に突き出して固定されて設けられている。
前記可撓板部材7は、図9〜図11に示すように、鋼材や合成樹脂等の剛性を有する矩形板状部材がトンネルTの幅方向に並べられてピン結合部12により連結されてなり、トンネルTの周方向に沿って湾曲可能な保形部材13と、該保形部材13の外周面に貼付されたゴム板(可撓板)14とを備えており、全体として、前記ポケット6の内部にトンネルTの周方向に滑合し得る厚さとトンネルTの軸方向の幅を有し、前記一対の内側可動枠部材5A,5Aの各ポケット6,6の合計長さに略等しい長さを有する板状に形成されている。
【0020】
そして、前記保形部材13は、トンネルTの幅方向に幅を小さく、トンネルTの軸方向の長さを大きくして開口部側をトンネルTの内側を向くようにして微小間隔eをあけた配置した扁平な矩形箱状の基体13aと、該基体13aの隣接するものどうしを、トンネルTの軸方向の両端部においてピン13bによってトンネルTの周方向に回動可能に連結し、前記ピン13bと共に前記ピン結合部12を構成するリンク13cと、前記基体13aの開口部側を閉鎖する平板部材13dとを備え、前記基体13aのトンネルTの幅方向の端部どうしの内外(トンネルTの直径方向の中心側と外周側、図9で上下)の角部が前記隙間eにおいて当接、離間する範囲内でトンネルTの周方向(前記可動枠部材5の円弧方向)に沿って湾曲し得るように形成されている。
【0021】
前記基体13aの両端板13a1には、前記リンク13cが埋設された溝13の外面側に重なるようにして所定深さのシール用溝13a2が可撓板部材の長さ方向(トンネルTの幅方向)に沿って形成されており、該シール溝ぞ13a2には弾性のシール材15が挿入されて前記端板13a1に固着されている。該シール材15は、弾性に富んだ材料で形成され、前記可撓板部材7が前記内側可動枠板部材5Aのポケット6に収納されて前記スリット10が無い部分にあるときには、前記シール溝13a2内に扁平に圧縮変形されて収まっており、スリット10のある部分では該スリット10から前記桁板5b1,5b1の外側に所定量だけ突出するようになっている。
なお、前記可撓板14は、ゴム板に代えて湾曲変形可能な適宜厚さの鋼板や合成樹脂板を使用することができる。
【0022】
前記支持台8は、前記内側可動枠部材5Aに設けられた案内レール11,11に両端縁を支持されて内側可動枠部材5Aに対してトンネルTの幅方向に相対移動可能な、トンネルTの幅方向に長い矩形板状のスライド部材16と、該スライド部材16に、トンネルTの軸方向に所定間隔をあけて平行に配設され、かつトンネルTの幅方向にスライド部材16の全長にわたって延長された一対の案内板17,17と、該各案内板17,17長さ方向(トンネルTの幅方向)の中間部にトンネルTの幅方向の所定長さにわたって水平に形成された案内溝17a,17aに沿って、トンネルTの幅方向に移動可能に支持された4対の支持輪18,18とを備えている。
【0023】
前記各案内板17,17は、トンネルTの直径方向の外側に相当する外周部17aが前記内側可動枠部材5Aの外周に沿った外側に凸の円弧状に形成されている。また、前記各一対の案内輪18は、前記案内溝17aに挿通された支軸19の両端に前記案内板17を挟むようにして固定した一対の同径の車輪18a,18aからなり、各案内溝17aにおけるトンネルTの幅方向(図3、図6、図7の左右方向)に離間して支持されている。前記案内輪18の外周の頂部(最高部)は、前記案内板17の円弧の頂部(最高部)より僅かに高く設定されている。また、前記スライド部材16の長さ方向(トンネルTの幅方向)の中央部には、前記案内板17,17の外側に前記長さ方向に長い矩形状の挿通穴20,20が上下に貫通して設けられている。前記挿通穴20,20の幅(トンネルTの軸方向の長さ)と長さは、それぞれ、直方体状の前記固定部材9の幅と2倍の長さより僅かに大きく設定されている。そして、各内側可動枠部材5A,5Aの内端部が互いに離間したときに、前記案内輪18と案内板17の頂部が前記可撓板部材7背面を支え得るようになっている。
【0024】
なお、前記各内側可動枠部材5Aの円弧状板5d,5dには、それらの円弧方向に沿って前記案内輪18,18を通過させるための一対のスリット5f,5fが、それぞれ、前記内側可動枠部材5A,5Aの内端から前記案内溝17a,17aと略同一長さに設定して設けられている。
前記固定部材9は、二対設けられ、前記可動枠部材5,5が互いに所定距離だけ離間された場合に、図10、図11に示すように、それぞれ、内側可動枠部材5A,5Aの内側から前記スライド板16の挿通穴20,20を通して前記スライド板16におけるトンネルTの軸方向の両端部上に載置され、上端がボルト21によって前記可撓板部材7の保形部材13における前記平板部材13dに固定されると共に、長さ方向の外端を前記可動枠部材5,5の内端に当接されるようになっている。さらに、図示しないが、一対の固定部材9,9は、それらの内端部どうしが当接されて適宜締結部材により連結されると共に、各外端が内側可動枠部材5A,5Aの内端部に適宜締結部材により連結されている。
【0025】
次に、前記構成の拡幅セグメント1によってトンネルTの拡幅部T1にセグメントリングRを拡幅して設置する方法について説明する。
先ず、図2に示すように、拡幅式シールド掘削機(図示せず)によってトンネルTを円筒状に掘削しながら、前記シールド本体の後部に設けられているエレクタ装置によって縮幅状態で円形断面の環状セグメントリングRによりトンネル覆工体を施工する。そして、トンネルTの拡幅部T1に至った場合は、図1に示すように、前記エレクタ装置によってトンネルTの両側壁面に施工される半環状セグメントリング3,3を、複数のセグメント2をトンネルTの周方向に沿って配置してそれらの隣接するものどうしを接合することによって形成する。
【0026】
次に、前記可動枠部材5,5の内側可動枠部材5A,5Aのポケット6,6に可撓板部材7が収納され、内側可動枠部材5A,5Aの案内レール11,11に支持台8が支持され、内側可動枠部材5A,5Aの内端部どうしを突き合わせた状態の拡幅セグメント1を、前記半環状セグメントリング3,3におけるトンネルTの天井面側と底面側との対向端部の間に配置して、前記可動枠部材5,5の外側可動枠部材5B,5Bの外端部を、半環状セグメントリング3,3の内端部に位置するセグメント2の継手板に接合する。これにより、トンネルTの円形断面部に設置されたのと同様の円環状セグメントリングRが形成された状態となる。
【0027】
そして、前記拡幅式シールド掘削機のシールド本体後部に水平方向に設けられている上下一対の拡幅ジャッキ(図示せず)によって、一方(例えば図12(a)で右方)の前記半環状セグメントリング3に対して他方(図12(a)で左方)の半環状セグメントリング3をトンネルTの幅方向外側へ所定距離だけ移動させて、トンネルTの拡幅部T1における他方の側壁面に接近した位置に他方の半環状セグメントリング3を固定させる。これにより、図12(a)に示すように、他方の可動枠部材5が他方の半環状セグメントリング3と一緒に一方の可動枠部材5から離れるように移動するので、前記可撓板部材7と支持台8は、それらの一方側の半分を一方の可動枠部材5の内部に収納された状態とし、他方側の半分が他方の可動枠部材5から引き抜かれて、それらの一部(略半分)が外部に露出された状態となる。
【0028】
次に、一対の前記固定部材9,9を、図12(b)に示すように、外部に露出された支持台8のスライド部材16の挿通穴20,20を通して、他方の内側可動枠部材5Aの内側から前記スライド部材16の両端縁上に載せて、外面を前記各内側可動枠部材5A,5Aの桁板5b1,5b1の外面に一致させ、両端を各内側可動枠部材5A,5Aの内端部に当接させた状態とした後に、前記固定部材9,9をボルト21によって前記可撓板部材7に固定させると共に、固定部材9,9の外端部を前記他方の内側可動枠部材5Aの内端部に連結する。
【0029】
このようにして、他方の半環状セグメントリング3の拡幅移動が完了したならば、図13(a)に示すように、前記拡幅ジャッキによって一方の半環状セグメントリング3を他方の半環状セグメントリング3に対してトンネルTの幅方向外側へ所定距離だけ移動させて、トンネルTの拡幅部T1における一方の側壁面に接近した位置に一方の半環状セグメントリング3を固定させる。しかる後に、前記と同様にして、他の一対の固定部材9,9を、前記スライド部材16の両端縁上に載せて、他方の内側可動枠部材5Aの内端に他端を当接させた前記一対の固定部材9,9の一端と、一方の内側可動枠部材5Aの内端とに当接させた状態とした後に、固定部材9,9をボルト21によって前記可撓板部材7に固定させると共に、一方の内側可動枠部材5Aの内端部に連結させる。そして、隣接して突き合わされた固定部材9,9どうしを連結させる。
【0030】
これにより、前記可動枠部材5,5が互いに離間する方向に移動され、それらの可動枠部材5,5間に固定部材9,9が介在されて半環状セグメントリング3,3のトンネルTの幅方向における位置が設定されると共に、前記可動枠部材5,5の相互間に生じる外周側の空間が前記可撓板部材7によって閉鎖され、一対の半環状セグメントリング3,3の端部どうしがトンネルTの幅方向に拡幅移動可能な前記可動枠部材5,5によって連結されて円環状セグメントリングRが形成されることとなる。そして、前記のようにして形成される環状セグメントリングRは、トンネルTの拡幅部の長さに応じて所要数が、それらの主桁板2a,2aどうしをボルト、ナット等の締結部材で連結して接合される。その際、前記可撓板部材7の両端縁に固着されているシール材15,15は、前記ポケット6,6のの側部に設けられたスリット10,10から外側へ突き出して、可動枠部材5,5の外周側に設けたシール材5e,5eと密着して連絡され、環状セグメントリングRの外周に沿って連続した環状のシールリングを構成して、環状セグメントリングR,Rどうしの接合部の止水を的確に行う。
【0031】
なお、上記においては、他方の半環状セグメントリング3を先に、一方の半環状セグメントリング3を後でトンネルTの幅方向の外側に移動させて拡幅するようにしたが、これに限らず、両方の半環状セグメントリング3,3を同時にトンネルTの幅方向の外側に移動させて拡幅するようにしてもよい。
また、トンネルTの拡幅部に3つ以上の環状セグメントリングRを接合する場合には、中間に位置する環状セグメントリングRの前記フランジ板4は必要により撤去することができる。また、縮幅状態の円環状セグメントリングRと拡幅状態の環状セグメントリングRのトンネルTの軸方向における接合は、前記縮幅状態の円環状セグメントリングRの主桁板2aと拡幅状態の環状セグメントリングRに設けられたフランジ板4とをボルト、ナット等の締結部材で連結することによって行われる。
【0032】
前記において、前記半環状セグメントリング3,3のトンネルの幅方向への移動時には、前記内側可動枠部材5A,5Aから前記可撓板部材7の支持台8の両端端部側が抜き出されるが、その際には、前記各内側可動枠部材5A,5Aのポケット6,6に円弧状に湾曲されて収納されていた前記可撓板部材7が、外側に移動する各内側可動枠部材5A,5Aの内端によって、トンネルTの外周方向へ徐々に屈曲されて略水平状態に変位される。このとき、前記支持部材8の案内輪18,18が案内溝17a,17aの両端側へ徐々に移動しながら前記可撓板部材7の背面を支えると共に、一対の案内板17,17の円弧状の外周部が前記可撓板部材7の背面を支えるので、前記可撓板部材7は、トンネルTの内側へ撓むことが防止されて、その外周面が凸凹することなく平坦な表面を保って前記可動枠部材5,5の内側可動枠部材5A,5Aのスキンプレート5a1,5a1に連絡された状態となる。
したがって、前記拡幅式シールド掘削機がトンネルTの掘削を進めていく際に、シールド本体の後部に設けたシールブラシ列が、拡幅された前記環状セグメントリングRを連結した拡幅セグメント1,1の外周部に良好に接触して、これにより、地山からの泥水や土砂のシールド本体内への侵入が確実に防止される。
【0033】
以上説明したように、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1は、外周面が前記半環状セグメントリング3の外周面に沿った形状に形成され、トンネルTの幅方向の外端部を一対の半環状セグメントリング3,3の対向する端部にそれぞれ接合され、内端部どうしを対向して配置されてトンネルTの幅方向に移動可能な一対の可動枠部材5,5と、トンネルTの周方向に沿って湾曲可能であり、各可動枠部材5,5の外周部側に沿って形成されたポケット6,6に跨って収納されており、前記環状セグメントリングRの拡幅時に各可動枠部材5,5に対してトンネルTの幅方向に相対移動し、前記各可動枠部材5,5の内端部間に生じる空間を閉鎖する可撓板部材7と、前記可動枠部材5,5の内端部どうしの間に介在されて該可動枠部材5,5どうしを連結する固定部材9,9とを備えた構成とされている。
【0034】
したがって、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、環状セグメントリングRの拡幅時に、拡幅セグメント1の各可動枠部材5,5の内端部どうしの間に生じる空間が可撓板部材7によって閉鎖され、各可動枠部材5,5の外周面どうしが前記可撓板部材7の外周面によってほぼ平坦に連絡された状態となるので、拡幅式シールド掘削機がトンネルTの掘削を進めていく際に、シールド本体の後部に設けたテールシール装置のシールブラシ列が、拡幅された環状セグメントリングRを連結した拡幅セグメント1の外周部に良好に接触し、これにより、前記シールド本体と拡幅された環状セグメントリングRの外周面との間の止水を確実に行い、地山からの泥水や土砂のシールド本体内への侵入を確実に防止することができる。
【0035】
また、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、前記各可動枠部材の内部に、前記可撓板部材を背面側から支えて該可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みを抑制する支持台が、各可動枠部材に跨って支持され、各可動枠部材に対してトンネルの幅方向に相対移動可能に設けられた構成とされているので、前記可撓板部材の剛性が比較的低い場合でも、前記支持台によって可撓板部材が背面からしっかりと支えられて、該可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みが抑制されるため、各可動枠部材の内端部間に生じる空間が可撓板部材の平坦な表面によって閉鎖され、拡幅式シールド掘削機のシールブラシ列による止水を一層確実にすることができる。
【0036】
また、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、前記支持台8が、前記各可動枠部材5,5の内側に設けた案内レール11,11に支持されたスライド部材16と、外周部が前記可動枠部材5,5の外周面に沿う形状に形成され、前記スライド部材16にトンネルの軸方向に間隔をあけて固着された一対の案内板17,17とを備えており、該一対の案内板17,17の外周部によって前記可撓板部材7が背面から支えられた構成とされているので、各可動枠部材5,5の離間移動時に、前記スライド部材16が、案内レール11,11に支持されて各可動枠部材5,5の内端部間における可撓板部材7の背面側に案内板17,17を確実に位置させ、該可撓板部材7を背面側から支えることができ、これにより、前記可撓板部材7のトンネルTの内側方向への撓みを良好に抑制することができる。
【0037】
また、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、前記支持台16に、トンネルTの軸方向に沿う軸周りに回転する案内輪18が、トンネルTの軸方向、幅方向に間隔をあけて配置され、かつトンネルTの幅方向に移動可能に支持され、該案内輪18の外周部によって前記可撓板部材7が背面から支えられた構成とされているので、各可動枠部材5,5の離間移動時に、前記各案内輪18が、各可動枠部材5,5の移動方向に連動されて、前記可撓板部材7における各可動枠部材5,5のポケット6、6から脱出した近傍部分を背面から支持し、これにより、各可動枠部材5,5の内端部どうしの空間において前記可撓板部材7の外周面を平坦な状態にして介在させることができる。
【0038】
また、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、前記可撓板部材7が、複数の剛性板状部材がトンネルTの幅方向に並べられてピン結合部12により連結されてなり、トンネルTの周方向に沿って湾曲可能な保形部材13と、該保形部材13の外周面に貼付されたゴム板14とを備えた構成とされているので、可撓板部材7が撓み易いゴム板14を保形部材13によって剛性を高めて構成され、これにより、各可動枠部材5,5の内端部間に生じる空間がゴム板14の平滑な平面によって閉鎖され、前記ゴム板14と拡幅式シールド掘削機のシールブラシ列との密着性が良くなって止水効果を高めることができる。なお、前記のように保形部材13によって可撓板部材7の剛性を十分に高められる場合には、前記可撓板部材7のトンネルTの内側方向への撓みを抑制するための支持台8を省略することもできる。
【0039】
さらに、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1によれば、前記可撓板部材7におけるトンネルTの軸方向の両端に弾性のシール材15、15が固着して設けられ、該シール材15が前記各可動枠部材5,5のポケット6,6の両端に沿って開口するスリット10から外側に突き出され、前記各可動枠部材5,5におけるトンネルTの軸方向の両外端の外周部に形成されたシール溝5eに装着されたシール材5sに密着された構成とされているので、各可動枠部材5,5とこれに対して相対移動する可撓板部材7とにおけるトンネルTの軸方向の両端に設けたシール材15,5eのトンネルTの周方向における連続性を確保することができ、環状セグメントリングR,RどうしのトンネルTの軸方向における接合部の止水を的確に行うことができる。
【0040】
なお、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1においては、環状セグメントリングRをトンネルTの幅方向に拡幅する場合に適用する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、トンネルTの高さ方向に拡幅する場合にも適用することができる。この場合には、特許請求の範囲および明細書中の「トンネルの幅方向」の語を、「トンネルの高さ方向」と読み替えるものとする。
また、円形断面の円環状セグメントリングRを拡幅して横長の小判型断面の環状セグメントリングを形成する場合に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、正方形、矩形断面または5角形以上の多角形断面の環状セグメントリングを拡幅して横長の矩形断面、多角形断面の環状セグメントリングを形成する場合にも適用することができる。
さらに、前記実施の形態に係る拡幅セグメント1においては、鋼製セグメントによって構成された環状セグメントリングRを拡幅する場合に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、コンクリートセグメントや鋼製セグメントの内側にコンクリートを充填させてなる合成セグメントによって構成された環状セグメントリングを拡幅する場合にも適用して同様な作用、効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメントを用いて掘削されたトンネルの拡幅部に拡幅して施工した環状セグメントリングを示す斜視図である。図2は適用したセグメントリングによるトンネル覆工体の継手構造の接合前の状態を示す縦断面図である。
【図2】同じく拡幅前の環状セグメントリングを示す横断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメントの組み立て前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメントの平面図である。
【図5】同じく側面図である。
【図6】同じく一部を切り欠いて示した平面図である。
【図7】図6のイ−イ断面図である。
【図8】図7のロ−ロ断面図である。
【図9】可撓板部材の詳細を示す側面図である。
【図10】図8のX部の拡大詳細図である。
【図11】図8のY部の拡大詳細図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係る拡幅セグメントの拡幅操作(その1)の説明図である。
【図13】同じく拡幅操作(その2)の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 拡幅セグメント
2 セグメント
3 半環状セグメントリング
5 可動枠部材
5e,15 シール材
5f,10 スリット
6 ポケット
7 可撓板部材
8 支持台
9 固定部材
11 案内レール
12 ピン結合部
13 保形部材
14 ゴム板(可撓板)
16 スライド部材
17 案内板
18 案内輪
20 挿通穴
21 ボルト
R 環状セグメントリング
T トンネル
T1 トンネルの拡幅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削されたトンネルの天井面と底面に対向して配置され、トンネルの両側壁面に対向して配置される一対の半環状セグメントリングの対向する端部どうしを接合して環状セグメントリングを構成し、かつ該環状セグメントリングをトンネルの幅方向に拡幅、縮幅可能とする拡幅セグメントであって、
外周面が前記半環状セグメントリングの外周面に沿った形状に形成され、トンネルの幅方向の外端部を一対の半環状セグメントリングの対向する端部にそれぞれ接合され、内端部どうしを対向して配置されてトンネルの幅方向に移動可能な一対の可動枠部材と、トンネルの周方向に沿って湾曲可能であり、各可動枠部材の外周部側に沿って形成されたポケットに跨って収納されており、前記環状セグメントリングの拡幅時に各可動枠部材に対してトンネルの幅方向に相対移動し、前記各可動枠部材の内端部間に生じる空間を閉鎖する可撓板部材と、前記可動枠部材の内端部どうしの間に介在されて該可動枠部材どうしを連結する固定部材とを備えていることを特徴とする拡幅セグメント。
【請求項2】
前記各可動枠部材の内部には、前記可撓板部材を背面側から支えて該可撓板部材のトンネルの内側方向への撓みを抑制する支持台が、各可動枠部材に跨って支持され、各可動枠部材に対してトンネルの幅方向に相対移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の拡幅セグメント。
【請求項3】
前記支持台は、前記各可動枠部材の内側に設けた案内レールに支持されたスライド部材と、外周部が前記可動枠部材の外周面に沿う形状に形成され、前記スライド部材にトンネルの軸方向に間隔をあけて固着された一対の案内板とを備えており、該一対の案内板の外周部によって前記可撓板部材が背面から支えられることを特徴とする請求項2に記載の拡幅セグメント。
【請求項4】
前記支持台には、前記トンネルの軸方向に沿う軸周りに回転する案内輪が、トンネルの軸方向、幅方向に間隔をあけて配置され、かつトンネルの幅方向に移動可能に支持され、該案内輪の外周部によって前記可撓板部材が背面から支えられることを特徴とする請求項2または3に記載の拡幅セグメント。
【請求項5】
前記可撓板部材は、複数の剛性板状部材がトンネルの幅方向に並べられてピン結合部により連結されてなり、トンネルの周方向に沿って湾曲可能な保形部材と、該保形部材の外周面に貼付されたゴム板とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の拡幅セグメント。
【請求項6】
前記可撓板部材におけるトンネル軸方向の両端には弾性のシール材が固着して設けられ、該シール材が前記各可動枠部材のポケットの両端に沿って開口するスリットから外側に突き出され、前記各可動枠部材におけるトンネルの軸方向の両外端の外周部に形成されたシール溝に装着されたシール材に密着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の拡幅セグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−144512(P2008−144512A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334544(P2006−334544)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【Fターム(参考)】