説明

拡張ベルトコンベヤ

【課題】 非接触の動力伝達機構で効率良く駆動回転できる拡張ベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】 対向配置した一対のフレーム1,1’が、一方端より他方端が拡開するように配置され、そのフレームと平行に無端回動する回転帯4が配置され、その両回転帯4,4間に伸縮可能な無端状の搬送ベルト5の幅方向両側が固着された拡張ベルトコンベヤにおいて、前記回転帯4を回動する駆動プーリ2及び従動プーリ3はその軸芯をフレーム1,1’に対して略直角に交差させて軸支すると共に、前記駆動プーリ2は中空構造として内側に従動マグネットリング15を固着し、その両駆動プーリの従動マグネットリング内に、駆動マグネットリング31を固着した駆動軸28を非接触状態でフレーム1,1’に貫通架設し、前記駆動軸の回転によりマグネットリング相互の磁力伝達で駆動プーリ2を回転可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端回動する搬送ベルトが機長方向一方から他方に向かって該搬送ベルトの幅方向を拡張若しくは狭小して搬送する拡張ベルトコンベヤに関し、更に詳しくは駆動機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の拡張ベルトコンベヤとして、例えば特許文献1記載の発明が提案されている。
この発明は、所定距離をおいて平行に架設した駆動軸と従動軸へ異なる間隔を保ってそれぞれ一対のスプロケットホイールを固定し、前記各軸の対応するスプロケットホイールにチェーンを装着し、前記チェーンに伸縮材よりなるベルトの両縁をそれぞれ固定してなるものである。そして、前記駆動軸は、主軸の両端へ機械的な自在継手を介してスプロケットホイール固定用の補助軸を連結して構成されている。
【0003】
即ち、チェーンが装着される補助軸と従動軸のスプロケットホイールの軸芯は平行である必要がありその為に駆動軸は自在継手を介して取付けられている。
【0004】
そのために、駆動軸を回転してスプロケットホイールを噛み合い駆動回転する場合、噛み合いによって騒音が生じるなどの作業環境を悪化させる問題を有する。又、自在継手部分で摩擦による粉塵の発生や、給油による油等が、全ての食品加工ゾーンにおける異物混入や、食の不安全につながり、食品加工機械には好ましくないものである。
【0005】
【特許文献1】実開昭59−100707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、非接触の動力伝達機構で効率良く駆動回転できる拡張ベルトコンベヤを提供する。
又、他の目的は、搬送ベルトに連結する回転帯のメンテナンス、交換等を簡単に行なうことができ、搬送物の乗り移りをスムーズに行うことができる拡張ベルトコンベヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に本発明の拡張ベルトコンベヤは、対向配置した一対のフレームが、一方端より他方端が拡開するように配置され、そのフレームの一方端に駆動プーリが、他方端に従動プーリが回転可能に配置され、その駆動プーリと従動プーリに亘って回転帯を巻回し、その両回転帯間に伸縮可能な無端状の搬送ベルトの幅方向両側が固着され、その搬送ベルトが前記一対のフレーム間の機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って回転可能に巻回された拡張ベルトコンベヤにおいて、前記駆動プーリ及び従動プーリはその軸芯をフレームに対して略直角に交差させて軸支すると共に、前記駆動プーリは中空構造として内側に従動マグネットリングを固着し、その両駆動プーリの従動マグネットリング内に、駆動マグネットリングを固着した駆動軸を非接触状態でフレームに貫通架設し、前記駆動軸の回転によりマグネットリング相互の磁力伝達で駆動プーリを回転可能としたことを特徴とする(請求項1)。
上記回転帯は、駆動プーリと従動プーリとに亘って巻回され、駆動プーリの駆動により回転するものであればよく、例えば、ゴム或いは樹脂製のタイミングベルト(歯付ベルト)(請求項3)、又はチェーン、平ベルト等が挙げられる。
上記折り返し部材としては、ベルトコンベヤで一般的に採用されているローラ方式、或いはナイフエッジ方式等、何れでもよい。
回転帯を回動する駆動プーリと従動プーリは、該回転帯がタイミングベルトである場合、少なくとも駆動プーリは歯付プーリとし、従動プーリは歯付プーリ或いは表面が平滑なローラのいずれでもよい。
又、上記駆動プーリの取付位置は、商品を狭小側から拡開側へ搬送する場合は拡張側に配置し、商品を拡開側から狭小側へ搬送する場合は狭小側へ配置する。
【0008】
上記手段によれば、対向配置されたフレームに対して軸芯を略直角に交差させて取り付けられた中空構造の両駆動プーリに亘って貫通横架した駆動軸は、その軸芯が駆動プーリの軸芯とある角度をもって交差するが、該駆動軸に固着した駆動マグネットリングの外側に非接触状態で対向する駆動プーリに固着された従動マグネットリングとの作用で、駆動軸の回転力が駆動プーリに伝達される。それにより、回転帯が回転され、搬送ベルトは無端回動される。
【0009】
前記折り返し部材としてローラ方式を用いる場合、そのローラは前記駆動プーリ及び従動プーリの外径より小さい短筒状のローラを多数、ローラ軸に串刺し状に嵌合装着してテールローラを構成し、そのテールローラを駆動プーリ及び従動プーリの略直径に合わせて上下方向に間隔をおいて2本架設してもよい(請求項2)。
【0010】
上記手段によれば、小径のローラを串刺し状に嵌合装着したテールローラが駆動プーリ側及び従動プーリ側にそれぞれ配置されることで、搬送ベルトの折り返しは前記小径ローラの外径で折り返される。従って、本拡張ベルトコンベヤの上流及び下流に接続配置されるコンベヤや装置相互間の隙間を小さくでき、それにより商品の乗り移りを安定してスムーズに行なうことができる。
【0011】
又、前記回転帯にタイミングベルト(歯付ベルト)を使用し、且つ駆動プーリを歯付プーリで構成し、更にタイミングベルトと搬送ベルトは連結具を介して連結するようにしてもよい(請求項3)。
前記連結具の具体的構成は、例えば、前記タイミングベルトの周方向と直角に交差して該タイミングベルトを下側に係着保持するアタッチメント取付ホルダと、前記アタッチメント取付ホルダの上面に重ね配置する搬送ベルト取付アタッチメント、及び前記両部材を連結一体化する固定手段とで構成し、更に前記搬送ベルト取付アタッチメントは搬送ベルトの幅方向側縁に開孔した取付孔に対して遊嵌係着する掛止め軸を一端に備えた構成とすることができる(請求項4)。
【0012】
上記手段によれば、市販のタイミングベルトを利用して搬送ベルトの幅方向両側に簡単に回転帯を一体的に形成することができる。そして、タイミングベルトからなる回転帯と搬送ベルトの連結一体化は、搬送ベルトの取付孔に、タイミングベルトに固着した搬送ベルト取付アタッチメントの掛止め軸を遊嵌係着するのみで簡単に行なうことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の拡張ベルトコンベヤは請求項1記載の構成により、自在継手や等速ジョイントを使用することなく、非接触の動力伝達機構で効率良く駆動回転できる拡張ベルトコンベヤを提供することができる。
そして、請求項2記載の構成により、回転帯を駆動回転するプーリの外径とは別に搬送ベルトの折り返し部の曲率半径を小径にすることができる。それにより、拡張ベルトコンベヤの上流及び下流に接続配置されるコンベヤや装置相互間の隙間を小さくでき、商品の乗り移りを安定してスムーズに行なうことができる。
【0014】
更に、請求項3、4記載の構成により、市販のタイミングベルトを利用して搬送ベルトの幅方向両側に簡単に回転帯を一体的に形成することができる。そして、搬送ベルトに連結する回転帯のメンテナンス、交換及び搬送ベルトの交換等を簡単に行なうことができ、低騒音で摩耗粉などの異物混入を防止した拡張ベルトコンベヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る拡張ベルトコンベヤの概略を示す平面図で、対向配置した一対のフレーム1,1’の一方端1a,1a’側(拡開側)に駆動プーリ2が、他方端1b、1b’側(狭小側)に従動プーリ3がそれぞれ回転可能に配置され、その駆動プーリ2と従動プーリ3に亘って回転帯4が巻回され、その両回転帯4,4間に伸縮可能な無端状の搬送ベルト5の幅方向両側が連結されており、前記駆動プーリ2が磁力を利用した非接触型の動力伝達機構で駆動回転されるように構成されている。
【0016】
上記一対のフレーム1,1’は、断面コ字形に形成された金属製の枠体で構成され、その両フレーム1,1’の一方端1b,1b’間の間隔に対して他方端1a、1a’間の間隔が広くなるように非平行状に配置され、その両フレーム1,1’は2本の横桟6,6’で連結されて一体化されており、更にフレーム1,1’は脚部材7,7’上に載置固定されている。尚、横桟6,6’はその長さ方向の略中央部がステー8で連結されている。
【0017】
又、フレーム1,1’を連結する横桟6,6’には、図2に示すように前記フレーム1,1’の内側に嵌る平面略台形状をなした金属平板からなるトラフ9が水平に架設され、そのトラフ9の機長方向両側部(図面では右端と左端)の上下合計4箇所に折り返し部材10が取付けられ、その4本の折り返し部材10に亘って搬送ベルト5が巻回されている。それにより、前記トラフ9は搬送ベルト5の往路側の下側に配置され、トラフ9は搬送ベルト5の往路側を下方より支持するように構成されている。
上記トラフ9は、一枚板で構成してもよいが、製作組立てにおける取扱いを考慮した場合は、図示するように中央で分割した形態とするのが好適である。
【0018】
上記折り返し部材10は、ローラ軸10aに合成樹脂材で形成した短筒状のローラ10bを多数、串刺し状に嵌合して構成され、そうした折り返し部材10がトラフ9の機長方向両側に取付片11を介して水平に架設されている。尚、上下に配置する折り返し部材10のうち、下側に配置する折り返し部材は上側に配置する折り返し部材より僅か機長方向内側に入れて配置されている。
【0019】
上記一対のフレーム1,1’の一方端1a,1a’に軸支する駆動プーリ2は、図4に示すように中空リング状の歯付プーリで構成され、その軸方向一側に軸受筒部12が一体的に連設形成され、その軸受筒部12がフレーム1,1’に固着した軸受ボス13に軸受14を介して回転可能に軸支されている。
又、軸受ボス13に装着される軸受14は、その軸芯がフレーム1,1’に対して直角に交差するように配置されている。
【0020】
上記駆動プーリ2のリング内側には従動マグネットリング15が嵌合装着され、スナップリング16で定着保持されている。即ち、従動マグネットリング15は駆動プーリ2に対して着脱交換可能に取付けられている。
上記従動マグネットリング15は、永久磁石で構成され、筒状に形成した内周面に、N極帯とS極帯とが交互に螺旋状に着磁されて構成してある。そして、この従動マグネットリング15は後述する駆動軸に装着される駆動マグネットリングとで非接触型の磁力を利用した動力伝達機構を構成し、結果的に駆動プーリ2が駆動回転される。
【0021】
上記一対のフレーム1,1’の他方端1b,1b’に軸支する従動プーリ3は、外周面が平滑なローラで構成され、フレーム1,1’に対して軸芯を直角に交差させ、且つ回転止めして機長方向に移動調整可能に取付けた支軸17に軸受18を介して回転可能に軸支されている。
従動プーリ3を軸支する支軸17をフレーム1,1’の機長方向に移動調整する機構は、該フレーム1,1’の端部外側から機長方向に向かって調節ネジ杆19を回転可能に挿通し、その調節ネジ杆19を、前記支軸17に軸芯と直角に交差させて形成したネジ孔20に螺着する。又、支軸17はフレーム1,1’に形成した機長方向に沿う案内長孔21に嵌着されている。
それにより、調節ネジ杆19を時計回り方向、又は反時計回り方向に回動すると、該調節ネジ杆19と螺合する支軸17は案内長孔21に回り止めされている為、該案内長孔21に沿って移動することになる。これにより駆動プーリ2と従動プーリ3の軸間距離を微調整でき、駆動プーリ2と従動プーリ3に亘って巻回する回転帯の張力を調整することができる。尚、回転帯の張力調整機構は図示の構成に限定されず、現在、ベルトコンベヤ等でベルトの張力調整機構として採用されている各種の機構を選択採用することができる。
尚、図示の例では従動プーリ3として外周面に歯が形成されていないローラを示したが、この従動プーリ3は駆動プーリ2と同様歯付プーリでもよいものである。
【0022】
上記した駆動プーリ2と従動プーリ3とに亘って巻回する回転帯4は、ゴム又は樹脂製のタイミングベルト(歯付ベルト)で構成され、そのフレーム1,1’に沿った両回転帯4,4間に、伸縮可能な無端状の搬送ベルト5を配置し、その搬送ベルト5の幅方向両側を前記回転帯4,4と連結具22で連結され、回転帯4,4の回転で搬送ベルト5が無端回動されるようになっている。
【0023】
搬送ベルト5は、縦横方向、即ち周方向及び周方向と直交するベルト幅方向に伸縮可能に構成されている。そして、この搬送ベルト5のベルト幅方向の両側縁に沿って取付孔23が等間隔で開設され、その取付孔23には鳩目様のアタッチメント取付金具23’が取付けられて該取付孔23の孔縁が補強されている。このアタッチメント取付金具23’で補強された取付孔23に、前記回転体4に取付けた連結具22が係着されて、ベルト幅方向両側に回転帯4、4を一体に備えた搬送ベルト5が完成される。尚、取付孔23が形成される側縁部分はベルト地を二枚積層して補強されている。
【0024】
上記連結具22は、図7乃至図10に示すように回転帯4を構成する前記タイミングベルトの歯付き面(内側面)4aと反対側の平滑面(外側面)4b上に、該ベルトを横切るように周方向と直角に交差して配置するアタッチメント取付ホルダ24と、前記アタッチメント取付ホルダ24の上面に重ね配置する搬送ベルト取付アタッチメント25、及び前記アタッチメント取付ホルダ24と搬送ベルト取付アタッチメント25を連結一体化する固定手段の止ネジ26、更に前記搬送ベルト取付アタッチメント25の搬送ベルト側の突出端部に固着した掛止め軸27とで構成されている。これらにより、搬送ベルトの幅方向の両側縁の回転軌跡を、駆動プーリ及び従動プーリのピッチ径と一致させることができる。
【0025】
上記アタッチメント取付ホルダ24は合成樹脂材によって回転帯4の幅方向を跨ぐ長さのプレート状に形成され、その一側面の長さ方向両側部には前記回転帯4が挟入される差込溝を構成する凸部24a,24bが突出形成されている。そして、差込溝を構成する凸部24a,24bは回転帯4に対して着脱する為、一方の凸部24aの溝が他方の凸部24bの溝の略倍の深さに形成されている。その為に、回転帯4を凸部24a,24b間に挟入した状態では、該回転帯4とアタッチメント取付ホルダ24は相対して回転帯の幅方向に移動自在となる。その為、回転帯4に対してアタッチメント取付ホルダ24を移動しないように定着保持する為に、深い溝を形成する凸部24aには回転帯4を挟入後、外側よりスペーサ24cを差し込んで余分な空間を埋めるように構成されている。
又、前記凸部24a,24bに形成する差込溝は、回転帯4における歯の部分が嵌入する溝とし、それにより回転帯4に対してアタッチメント取付ホルダ24が周方向に移動しないように構成されている。尚、凸部24a,24bは駆動プーリ2に対する回転帯(タイミングベルト)4の噛み合いに支障とならない幅とし、この凸部24a,24bが駆動プーリ2及び従動プーリ3のそれぞれ側縁に係合することで、回転帯4が駆動プーリ2及び従動プーリ3から外れるのが防止されている。
【0026】
搬送ベルト取付アタッチメント25は、金属平板で前記アタッチメント取付ホルダ24と略同じ幅で、長さが略倍の長さのプレート状に形成され、アタッチメント取付ホルダ24の上に重ね配置し、止ネジ26で連結固定されるようになっている。そして、アタッチメント取付ホルダ24上に重ね固定した状態で、アタッチメント取付ホルダ24より外方に突出する突出端部の下面には前記搬送ベルト5のアタッチメント取付金具23’に遊嵌係着する掛止め軸27が一体的に垂下固着されている。
【0027】
次に、上記回転帯4,4が巻回された駆動プーリ2を駆動する磁力を利用した動力伝達機構について説明する。
その動力伝達機構は、図1、図4及び図5に示すようにフレーム1,1’に回転可能に軸支した中空の駆動プーリ2,2を貫通して直線1本物の駆動軸28を挿通し、その駆動軸28は前記駆動プーリ2,2を軸支する軸受ボス13の外側に固着した軸受29,29で回転可能に支持されている。そして、軸受29より突出する駆動軸28の一方端(図面ではフレーム1側)には該駆動軸28を駆動回転するモータ30が取付けられている。図示例ではモータ30として中空モータを使用しているが、モータの種類、形態は問わず、要は駆動軸28を直接又は間接的に駆動回転できればよい。
【0028】
そして、上記駆動軸28における駆動プーリ2内側の従動マグネットリング15と対応する箇所に駆動マグネットリング31が固着され、その駆動マグネットリング31は従動マグネットリング15と非接触の状態に保持されている。尚、従動マグネットリング15は傾斜するフレーム1に対して直角に支持した駆動プーリに固着されている為、該従動マグネットリング15の軸芯と駆動マグネットリング31の軸芯は平行ではなく、ある角度αをもって交差するが、両マグネットリングの軸芯の交差部を該マグネットリングの幅(軸芯方向の長さ)の略中央位置とすることで、両マグネットリング相互のギャップは駆動マグネットリング31の軸芯方向の内側と外側が対称的になり、安定した動力伝達が確立される。
上記駆動マグネットリング31は、従動マグネットリング15と同様、永久磁石で構成され、筒状に形成した周面に、N極帯とS極帯とが交互に螺旋状に着磁されて構成してある。尚、実施例ではマグネットに対して螺旋状に着磁したが、駆動伝達が可能であれば、着磁の形態は螺旋状に限定されるものではない。
【0029】
上記構成により、モータ30が駆動して駆動軸28が駆動回転すると、該駆動軸28に固着された駆動マグネットリング31と駆動プーリ2の従動マグネットリング15との間で磁力による動力伝達が行なわれ、フレーム1,1’に回転可能に軸支した駆動プーリ2が回転される。それにより、該駆動プーリ2とフレーム1,1’の他端側に軸支した従動プーリ3とに亘って巻回した回転帯4が回動される。そして、無端回動する回転帯4,4間に連結具22で連結された搬送ベルト5は、前記回転帯4,4の間隔を拡張しながらの回動により拡張されてトラフ9の機長方向両側に平行に取付けられた折り返し部材10で折り返されて無端回動する。しかも、回転帯4と搬送ベルト5は該回転帯4に取付けた連結具22の掛止め軸27を、搬送ベルト5のアタッチメント取付金具23’に遊嵌係着して連結している為、連結部には自由度があり、従って機長方向両側における折り返し部材10を通過する際の屈曲に対してもスムーズに対応する。尚、搬送ベルト5の回転軌跡は駆動プーリ或いは従動プーリのピッチ円径と略同等が望ましい。又、掛止め軸27とアタッチメント取付金具23’の遊嵌係着は、ガタガタで遊びがあり、ただ引っ掛けてあるだけである。
【0030】
それにより、前記した回転帯4,4の拡開しながらの回動により、フレーム1b、1b’側の搬送ベルト5の幅狭い搬入部に、微小間隔で並列配置された商品Wは、ベルト幅方向に拡開されながらフレーム1,1’の一方端1a,1a’側の幅広い搬出側に向かって回動される。その結果、搬入部に微小間隔で並列された商品Wは搬出部に移動するにつれて商品W相互の間隔が拡大し、商品W相互が接触しないだけの間隔をあけた並列状態で搬出部側に搬送される。
【0031】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で各部の構成を変更することは可能である。
(1)図示の実施の形態では、回転帯としてタイミングベルトを用いているが、チェーンでもよく、その場合、駆動プーリ及び従動プーリはスプロケットを使用する。
(2)図示の折り返し部材は短筒状のローラからなるものであるが、長尺状のローラでも金属平板或いは樹脂製平板で構成されたナイフエッジとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る拡張ベルトコンベヤの実施の一例を示す一部切欠平面図。
【図2】図1の(2)−(2)線に沿える断面図。
【図3】図1の(3)−(3)線に沿える断面図。
【図4】要部を拡大して示す一部切欠平面図。
【図5】図4の一部切欠側面図。
【図6】(a)は図4の(X)−(X)線に沿える拡大断面図、(b)は図4の(Y)−(Y)線に沿える拡大断面図。
【図7】回転帯と搬送ベルトの連結部を示す一部切欠側面図。
【図8】図7の一部切欠底面図。
【図9】図7の(9)−(9)線に沿える断面図。
【図10】連結具の構成を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0033】
1,1’…フレーム 2…駆動プーリ
3…従動プーリ 4…回転帯
5…搬送ベルト 10…折り返し部材
15…従動マグネットリング 22…連結具
23…取付孔 24…アタッチメント取付ホルダ
25…搬送ベルト取付アタッチメント 26…止ネジ(固定手段)
27…掛止め軸 28…駆動軸
30…モータ 31…駆動マグネットリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置した一対のフレームが、一方端より他方端が拡開するように配置され、そのフレームの一方端に駆動プーリが、他方端に従動プーリが回転可能に配置され、その駆動プーリと従動プーリに亘って回転帯を巻回し、その両回転帯間に伸縮可能な無端状の搬送ベルトの幅方向両側が固着され、その搬送ベルトが前記一対のフレーム間の機長方向両側に配置した折り返し部材に亘って回転可能に巻回された拡張ベルトコンベヤにおいて、
前記駆動プーリ及び従動プーリはその軸芯をフレームに対して略直角に交差させて軸支すると共に、前記駆動プーリは中空構造として内側に従動マグネットリングを固着し、その両駆動プーリの従動マグネットリング内に、駆動マグネットリングを固着した駆動軸を非接触状態でフレームに貫通架設し、前記駆動軸の回転によりマグネットリング相互の磁力伝達で駆動プーリを回転可能としたことを特徴とする拡張ベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記折り返し部材は、前記駆動プーリ及び従動プーリの外径より小さい短筒状のローラを多数、ローラ軸に串刺し状に嵌合装着して構成されていることを特徴とする請求項1記載の拡張ベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記回転帯がタイミングベルトで、且つ駆動プーリを歯付プーリで構成し、タイミングベルトと搬送ベルトが連結具を介して連結されていることを特徴とする請求項1記載の拡張ベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記連結具は、前記タイミングベルトの周方向と直角に交差して該タイミングベルトを下側に係着保持するアタッチメント取付ホルダと、前記アタッチメント取付ホルダの上面に重ね配置する搬送ベルト取付アタッチメント、及び前記両部材を連結一体化する固定手段とで構成され、更に前記搬送ベルト取付アタッチメントは搬送ベルトの幅方向側縁に開孔した取付孔に対して遊嵌係着する掛止め軸を一端に備えていることを特徴とする請求項3記載の拡張ベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−197149(P2007−197149A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17682(P2006−17682)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【Fターム(参考)】