説明

拡張収縮可能な粉体貯蔵容器

【課題】小規模の工事現場にも簡単に運搬、据付が可能な貯蔵容器として、鋼板と柔軟性のある不透水シートを組み合わせ、運搬据付時は小さくたたみ、工事現場で拡張し貯蔵量を確保する貯蔵容器を提供する。
【解決手段】複数の側板1と天板2がゆとりを持った柔軟なシート3で連結され、折りたたんだ状態で運搬据付し、据付後蝶番4を中心に側板1を外側に傾斜させ、側板1と天板2がシート3により互いに引っ張り合い拘束された拡張状態を形成することにより内容量を増加させることが可能な密閉型粉体貯蔵容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事現場でセメント等の粉体を貯蔵するための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設工事現場でセメント等を一時的に貯蔵する場合、鋼鉄製の容器を使用している。
一般的には、貯蔵量が30トンのものが多く使用されている。
その外形は、円筒形が一般的で、直径が2.5m、高さ8m、重量は8.0トン程度と大きく運搬と据付、また使用後の撤去に大型のトラックとクレーン車が必要である。
建設工事現場が発生する度に輸送、据付を繰り返して使用しているが据付作業に非常な危険を伴う。
また、住宅等の小規模の工事現場は道路幅も狭く大型のトラックやクレーン車が進入できない事も多い、またセメントの使用量が少ない工事現場では運搬、据付に労力がかかるので、鋼鉄製の貯蔵用容器を使用せず1.0トンずつ袋に詰めたセメントを工事現場に持ち込み、使用するのが一般的である。
しかし、この袋は一回だけの使用で後は産業廃棄物として処理されるが、石油製品なのでエネルギーの無駄と地球環境に対して大きな負荷を与えている。
また袋からセメントを取り出す時に相当な粉塵が発生し人体や環境に悪い影響を与えている。また袋を回収して再利用しようとしても袋に付着したセメントが粉塵となり飛散し作業は困難を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来使用されているセメントの貯蔵容器は大型で鋼鉄製のため重たく運搬と据付に危険と労力がかかっているが、この貯蔵容器が小型軽量であれば工事現場まで安全に運搬し、容易に据付、撤去することが可能であり、小規模の工事現場にも安全かつ手軽に適用でき、袋詰めセメントを使用しないで建設工事が可能となる。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1は、輸送、据付時の姿図で下部底辺が2m*2mで高さが3mで側板(1)と天板(2)を連結するシート(3)は内部にたたみ込まれた状態を表し、図2はその縦断面図、図3はその水平断面である。
下部枠(5)は高さ約0.3mの鋼板で2m*2mの四角を構成し、上部の側板(1)を蝶番(4)で支え、側板(1)が外側に約30度傾斜する。セメントを入れると内圧が発生し、四枚の側板(1)と天板(2)がシート(3)の働きで互いに引っ張り合い図4の形状となる。
図4は、据付後、拡張した形状で側板(1)と天板(2)を連結したシート(3)が引張力を受け安定した状態を示し、この状態でセメントを貯蔵する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の拡張型貯蔵容器には次のような効果がある。
(イ)鉄製の貯蔵容器にくらべ、シートを使用しているので重量が軽いうえ、折りたたむことで体積が小さくできるので、輸送に大型のトラックが不要となり、トラックに積み込み、工事現場で据付、撤去するのに大型クレーンが不要となり安全性が向上する。
(ロ)建設工事現場のほとんどは住宅等の小規模な工事であり、道路幅が狭く大型のトラックやクレーンが通行できない場合でも適用可能である。
(ハ)従来セメントの使用量が少量の工事現場では粉塵が発生するにもかかわらず袋詰めセメントを使用していたが、本貯蔵容器が安全かつ簡単に据付、撤去が可能であるため、袋詰めセメントの使用をやめることが可能である。
(二)工事現場で袋詰めセメントを使用する場合粉塵の発生を伴い人体と環境に悪影響を与える、また袋を産業廃棄物として処理しているが環境に負荷がかかる、そこで袋詰めセメントにかえ本貯蔵容器を使用することでこれらの問題を解決できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の貯蔵容器の運搬据付は、底辺が2mx2mで高さが3m程度の直方体に折りたたんだ状態で実施する。
据付後に底辺が2m*2mで上部が4.7m*4.7m角で高さが3mの角錐台に広げることが可能な構造とする。
下部に蝶番を取り付けた四枚の側板と天板を柔軟性のある不透水のシートで連結し側板を垂直面から30度傾斜し、角錐台の形状になるようにシートの寸法を決めておき、シートの張力で四枚の側板を拘束し形状を保つ構造となっている。
広げた状態での容積を計算する。
底面が等しく高さが異なる二つの角錐台が底面を共有した形状となり、角錐台の体積は、底面積をS1,S2とし高さをH1,H2とすると、公式は以下となる。
体積はV=(H1+H2)*{S1+S2+√(S1*S2)}/3
S1=4.7*4.7=22、S2=2*2=4
側板を30度傾斜させると、下部の枠が高さ0.3mなのでH1=2.3m,H2=0.4mとなり体積の公式に代入すると
体積はV=(2.3+0.4)*{22+4+√(22*4)}/3=31(立法メートル)
セメントの見かけ比重は1.2であるから、貯蔵能力は 31*1.2=37.2トンで30トン以上であり、鋼製の貯蔵容器と同等以上である。
水平断面を広げることにより貯蔵高さを低くして必要な容積を確保するが、貯蔵高さを低くするとセメントの内圧が小さくなり、側板やシートの強度も小さくてすむ利点がある。またシートを使用することにより鋼製の貯蔵容器より大幅大幅に軽量化をはかることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】容器を折りたたんだ斜視図
【図2】容器を折りたたんだ縦断面図
【図3】容器を折りたたんだ水平断面図
【図4】容器を拡張した斜視図
【図5】容器を拡張した縦断面図
【符号の説明】
【0008】
1は側板、2は天板、3は不透水シート、4は蝶番、5は下部枠、6は支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板(1)と天板(2)がゆとりを持った柔軟なシート(3)で連結され、折りたたんだ状態で運搬据付し、据付後蝶番(4)を中心に側板(1)を外側に傾斜させ、側板(1)と天板(2)がシート(3)により互いに引っ張り合い拘束された拡張状態を形成することにより内容量を増加させることが可能な密閉型粉体貯蔵容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−173335(P2009−173335A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39383(P2008−39383)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(508052765)
【Fターム(参考)】