拡張可能な小線源療法装置
標的組織領域に小線源療法を施すための装置は、近位端および遠位端を含み、組織管に導入できる大きさで、放射線源を受けるための経路を含む複数の細長部材を持った細長体を備える。この細長部材は折畳み形状と拡張形状との間で移動することができる。使用時には、組織を通って管道を形成し、細長部材を持った細長体をこの管道を通って標的箇所まで進める。このとき、細長部材は折畳み形状とする。細長部材を標的箇所において拡張形状にし、1つ以上の放射線源を前記経路に沿って導入するなどし、標的箇所の組織を治療するため放射線を照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ヒトまたは他の哺乳類の体に小線源療法を行うための装置、方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、組織内、乳房や体内空洞などの組織に小線源療法による治療を実施するための拡張可能な装置と、そのような装置を用いて小線源療法を実施する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
小線源療法(brachytherapy)は、乳癌や前立腺癌のような悪性腫瘍を治療するために用いられる放射線療法である。小線源療法は、標的組織内に放射線源を直接配置することを一般に含み、その標的組織には、空洞またはボイド(例えば、腫瘍の除去により形成された空洞やボイドなど)を囲む腫瘍や組織など潜在的に癌性の細胞が含まれる場合がある。
【0003】
小線源療法は概ね2つのカテゴリーに分類される。例えば、高線量率(HDR:high dose rate)小線源療法および低線量率(LDR:low dose rate)小線源療法である。HDR小線源療法では、多くの場合、事前に移植されたカテーテルを介して、放射量の高い放射線源を標的組織に短期間(例えば、連続して数秒間から数分間)配置する。これに対し、LDR小線源療法では放射量の低い放射線源を長期間、時には無期限で、標的組織に配置する。
【0004】
いずれの小線源療法にも利点がある。例えばHDR小線源療法では、比較的短い線量照射期間にわたって高いレベルの放射線が照射される。一方、LDR小線源療法では、比較的低い放射量の放射線源を利用する。LDR放射線源のエネルギー場は、計量され局所化した放射線線量を、標的組織(例えば腫瘍、腺、または空洞もしくはボイドを囲む組織など)に照射する。しかしながら、このエネルギー場はその後減衰するため近傍の健全な組織への過度な照射を避けることができる。
【0005】
LDR放射線源の放射量が低いことなどにより、LDR小線源療法には様々な利点がある。例えばLDR小線源療法における被曝の予防策は、HDR小線源療法に比べ、医療従事者にとって遙かに緩やかなものである。またLDR小線源療法には、HDR小線源療法に比べて、(例えば、線量率効果など)放射線生物学的な利点があり、治療の際、正常組織の黄斑回避などが容易である。さらにLDR小線源療法の移植期間は比較的短いため、患者にとっても、放射線治療のため医療施設を訪問する回数が減るなどの利点がある。HDR小線源療法の場合、患者は放射線の部分照射を行う都度、医療施設に戻る必要があり、たとえば乳房の小線源療法の場合、典型的には8回から10回の通院が必要となる。
【0006】
LDR小線源療法で一般に用いられる放射線源には、パラジム(Pd)−103、ヨウ素(I)−125、金(Au)−198およびイリジウム(Ir)−192などの放射性同位元素がある。同位元素の大きさと形状は様々であるが、これらは、例えば直径約0.8ミリ、長さ約4.5ミリ程度の米粒大に規格化された円筒状カプセル(しばしば「シード」と呼称される)に入れられ投与される。
【0007】
LDRシードは、ガイドテンプレートを用いつつ針によって送置される場合も多い。このガイドテンプレートは、針の長手方向への前進をガイドするマトリックス状の孔を含み、標的組織に対して針が適切に配置されるように構成されたものがある。標的組織の適切箇所に針を一度配置したら、シードを各針の長手軸に沿って埋設し、その後、針を抜き取ることができる。
【0008】
小線源療法は効果的なものであるが、現在の実施方法には欠点もある。例えば、典型的なLDRシードは標的組織に内在し自由に浮遊した状態に置かれるため移動しやすい。さらに、LDRシードは一度移植すると、その除去や再配置ができないものと考えられている。またLDR小線源療法では、シード移植の前またはしばしば移植の間に、線量分布の計算とシードマッピングを慎重に行う必要がある。このような計算およびマッピングにより、標的組織体積に対して効果的な放射線照射を行うとともに、(例えば、前立腺の小線源療法などにおける尿道および直腸など)周囲の健全組織への照射を最小限に抑えることができる。このような線量計算やシードマッピング技法は効果的ではあるが、シード配置の正確性が臨床医によって潜在的にかなり異なるなどの問題がないわけではない。
【0009】
従来のLDR小線源療法技法に係わるさらに別の問題は、移植時において放射性シードを個々に取り扱う必要があり、これに時間がかかることである。さらに従来のLDR送置針は、シードを(比較的直線的な線に沿って)直線的にしか送置することができない。従って、所望の治療プロファイルを達成するためには多数の移植が必要とされ、線量分布やマッピングの技法と設備が複雑化する可能性がある。(例えば前立腺の小線源療法では、およそ50〜100個のシード移植も珍しくない。)
【発明の概要】
【0010】
本発明は一般に、局所化した標的組織領域に小線源療法を施すための装置および方法に関するものである。本発明は、殆どの身体領域の治療に有用なものであるが、例えば乳房の腫瘍または乳腺腫瘤摘出跡など、特に乳房組織の治療に特定の利点を発揮するものである。例えば、術前および切除後の両治療において本発明を利用し、局所化した放射線源を配置したり除去したりすることができる。
【0011】
発明の例示的な実施形態は小線源治療デバイスおよび装置に関するものである。このようなデバイスおよび装置によれば、標的領域(例えば乳房組織領域)に小線源療法治療を施すことができる。別の実施形態は、小線源治療デバイスの標的領域への送置に関するものである。また標的領域に小線源療法を施すためのシステムおよび方法が提供される。
【0012】
1つの実施形態による小線源治療装置は、近位端および遠位端を含み組織内の管道(tract)に導入できる大きさの細長体を備える。その遠位端に、経路を含んだ複数の細長部材を備えており、それに沿って放射線源を受けられるようになっている。細長部材は、組織管を通って標的箇所に導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動できるようになっている。標的箇所に放射線を照射するため、放射線源を経路に沿って導入することができる。
【0013】
もう1つの実施形態による方法は体内の組織に小線源療法治療を施すためのもので、空洞を含む標的箇所まで組織を通って管道を形成することと、複数の細長部材を有する細長体を、該細長部材が折畳み形状で管道を通って標的箇所内に進めることとを含む。標的箇所においてこの細長部材を拡張形状にすることができ、細長部材を中心軸から離れて位置させ、近接する細長部材の少なくとも一部の間を標的領域(例えば空洞周囲)の組織が延びるようにし、標的箇所の組織に治療を施すため標的箇所に放射線を照射できるようにする。
【0014】
上述した発明の開示は、本発明の各実施形態や実施法を全て記述することを意図するものではない。本発明は、添付図面を参照しつつ下記の詳細な記述、および特許の請求範囲を参照することでより明らかとなりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】小線源治療装置の例示的な実施形態を示す側面図で、放射性シードまたは小線源治療デバイスのストランドと、デバイスを中に受けるための針とが含まれている。
【図2A】乳房の断面図で、図1の小線源治療装置の使用方法を示す。
【図2B】図2Aと同様の断面図である。
【図2C】図2Aと同様の断面図である。
【図2D】図2Aと同様の断面図である。
【図2E】図2Aと同様の断面図である。
【図2F】乳房の断面図で、図1の小線源治療装置の別の使用方法を示す。
【図3A】小線源治療デバイスの例示的な第1実施形態を示す側面図である。
【図3B】図3Aに示すデバイスの線3B−3Bに沿った断面図である。
【図4A】小線源治療デバイスの例示的な第2実施形態を示す側面図である。
【図4B】図4Aに示すデバイスの線4B−4Bに沿った断面図である。
【図5A】小線源治療デバイスの例示的な第3実施形態を示す側面図である。
【図5B】図5Aに示すデバイスの線5B−5Bに沿った断面図である。
【図5C】図5A〜図5Bに示すデバイスの側面図で、例示的な除去方法を表す。
【図6】小線源治療装置またはキットのもう1つの実施形態を示す分解側面図である。
【図7】部分的に組み立てられた図6の小線源治療装置を示す側面図である。
【図8A】乳房の断面図で、図6および図7に示す小線源治療装置の使用方法を表す。
【図8B】図8Aと同様の断面図である。
【図8C】図8Aと同様の断面図である。
【図8D】図8Aと同様の断面図である。
【図8E】図8Aと同様の断面図である。
【図9A】小線源治療デバイスの第4実施形態を示す側面図である。
【図9B】図9Aに示すデバイスの線9B−9Bに沿った断面図である。
【図10A】小線源治療デバイスの第5実施形態の側面図である。
【図10B】図10Aに示すデバイスの線10B−10Bに沿った断面図である。
【図11A】小線源治療デバイスの第6実施形態を示す側面図である。
【図11B】図11Aに示すデバイスの線11B−11Bに沿った断面図である。
【図12A】小線源治療デバイスの第7実施形態を示す側面図である。
【図12B】図12Aに示すデバイスの線12B−12Bに沿った断面図である。
【図13A】小線源治療デバイスの第8実施形態を示す側面図である。
【図13B】図13Aに示すデバイスの線13B−13Bに沿った断面図である。
【図14A】小線源治療デバイスの第9実施形態を示す側面図である。
【図14B】図14Aに示すデバイスの線14B−14Bに沿った断面図である。
【図15】小線源治療デバイスの側面図で、デバイスを曲線形状に展開する方法を表す。
【図16A】乳房の断面図で、小線源治療デバイスをカテーテルから曲線状経路に沿って送置する方法を表す。
【図16B】図16Aと同様の断面図である。
【図16C】図16Aと同様の断面図である。
【図16D】図16Aと同様の断面図である。
【図16E】図16Aと同様の断面図である。
【図16F】乳房の断面図で、らせん形カテーテルを用いて小線源治療デバイスを送置する方法を表す。
【図16G】図16Fと同様の断面図である。
【図17A】さらに別の小線源治療装置の側面図で、小線源治療デバイスと送置カニューレとが含まれている。
【図17B】図17Aに示す装置の線17B−17Bに沿った断面図である。
【図18】放射線減衰用衣類(例;ブラジャー)の斜視図である。
【図19A】バルーンカテーテル装置(例;HDRカテーテル)の側面図である。
【図19B】図19Aに示す装置の線19B−19Bに沿った断面図である。
【図19C】図19Aに示す装置の線19C−19Cに沿った断面図である。
【図20】送置または移植システムの例示的な実施形態を示す側面図で、このシステムは本明細書記載の小線源療法の方法および装置に使用することができる。
【図21】図20に示す送置システムの平面図で、このシステムは複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置するものである。
【図22】例示的なカテーテルまたは針ガイドテンプレートの側面図で、例えば図21のシステムとともにこれを利用することができる。
【図23】別の送置または移植システムの平面図で、このシステムは複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置するものである。
【図24】針を受けるカートリッジの分解斜視図で、これは図23に示すシステム内に含むことができる。
【図25A】送置または移植システムのもう1つの実施形態を示す平面図で、複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置ために用いられる。
【図25B】図25Aと同様の平面図である。
【図25C】図25Aと同様の平面図である。
【図25D】図25Aと同様の平面図である。
【図26】ヒトの体部分の正面図で、乳房内に移植・固定された複数の小線源治療デバイスを表す。
【図27】図25A〜図25Dに示すシステムの部分断面図である。
【図28A】乳腺腫瘤摘出跡を含む乳房の断面図で、拡張可能な小線源治療装置の例示的な第1実施形態を空洞内に送置する様子を表す。
【図28B】図28Aと同様の断面図である。
【図28C】図28Aと同様の断面図である。
【図28D】図28Aと同様の断面図である。
【図29A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第2実施形態を示す斜視図で、この装置は拡張または展開形状にある。
【図29B】乳腺腫瘤摘出跡内に位置する図29Aの装置の長手方向断面図で、装置が折畳み形状にあることを示す。
【図29C】図29Bと同様の断面図で、装置が拡張形状にあることを示す。
【図29D】図29Cに示す装置の線29D−29Dに沿った断面を示す。
【図29E】細長部材の代替的実施形態を示す断面詳細図で、図29A〜図29Dに示す装置に含むことができるものである。
【図29F】図29A〜図29Dに示す装置の近位部を示す斜視詳細図で、放射線源を内部に受ける通路が示されている。
【図30A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第3実施形態を示す側面図で、この装置は拡張形状となっている。
【図30B】図30Aに示す装置の長手方向断面図で、装置が折畳み形状にあることを表す。
【図30C】図30Bと同様の断面図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図31A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第4実施形態を示す斜視図で、装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31B】図31Aと同様の斜視図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図31C】図31Aおよび図31Bに示す装置の側面図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31D】図31Cと同様の端面図である。
【図31E】図31A〜図31Bに示す装置の長手方向断面図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31F】図31E同様の端面図で、本装置が拡張形状にあることを表す。
【図32A】図31A〜図31Fに示す装置の使用方法を示す斜視図で、小線源療法を体内の空洞(例;乳房の乳腺腫瘤摘出跡)に送置する様子を表す。
【図32B】図32Aと同様の正面図である。
【図32C】図32Aと同様の側面図である。
【図32D】図32A〜図32Cに示す乳房の斜視断面図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図32E】図32Aと同様の横断面図である。
【図32F】図32A〜図32Eに示す乳房空洞の断面図で、装置が展開形状となっていることを表す。
【図32G】図32Fに示す乳房空洞の詳細断面図で、装置による例示的な放射線照射範囲を表す。
【図32H】組織構造の乳腺腫瘤摘出跡内部で展開した装置の断面図で、装置の細長部材が周辺組織に侵入する様子を表す。
【図33A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第5実施形態を示す斜視図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図33B】図33Aと同様の斜視図で、本装置が拡張形状あることを表す。
【図33C】拡張形状にある図33Aおよび図33Bの装置を示す側面図である。
【図33D】図33Cに示す装置のコイル部材の線33D−33Dに沿った断面詳細図である。
【図33E】図33Cに示すコイル部材の長手方向に沿った別の断面詳細図である。
【図33F】組織構造の断面図で、図33A〜図33Cに示す装置が組織構造内部に移植され、組織構造の空洞内部で装置が部分的に拡張された様子を表す。
【図33G】図33Fと同様な断面図で、装置が完全に拡張された様子を表す。
【図34】組織構造の断面図で、拡張可能な小線源治療装置の例示的な第6実施形態が移植され組織構造の空洞内部で拡張された様子を示す。
【図35A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第7実施形態を示す斜視図で、内側および外側の拡張可能な細長部材の層を含み、内側層の外側面積を増大させる、および/または、内側層の細長部材の横方向安定性を増大させるための翼を内側層が含んでいる。
【図35B】図35Aと同様の端面図である。
【図36A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第8実施形態を示す斜視図で、拡張可能な細長部材と近接する細長部材の間に延びる皮膜部材とが含まれている。
【図36B】図36Aと同様の端面図である。
【図37A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第9実施形態を示す斜視図で、内側および外側の拡張可能な層を含み、内側層が組織を成形するためのスリーブを含んでいる。
【図37B】図37Aと同様の端面図である。
【図38A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第10実施形態を示す斜視図で、細長部材と細長部材の表面積を増すための翼が含まれている。
【図38B】図38Aと同様の端面図である。
【図39A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第11実施形態を示す斜視図で、除去可能な拡張ツールと放射線源を受ける中央内腔とが含まれている。
【図39B】図39Aと同様の側面図である。
【図40A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第12実施形態を示す斜視図で、細長部材の単一本体が折畳み形状にあることを表す。
【図40B】図40Aと同様な本体が拡張形状にあることを表す。
【図41A】図40Aおよび図40Bに示す単一本体の斜視図で、細長部材を拡張形状にして遠位端から見た図である。
【図41B】図41Aと同様の本体を近位端から見た斜視図である。
【図42】押出材の断面詳細図で、この押出材は図41Aおよび図41Bの成型体に使用される。
【図43A】押出材の代替的実施形態を示す断面図で、これらは、図41Aおよび図41Bに示したものと同様に細長部材を形成するために用いられ、横方向安定性を増し、半径方向の曲げを付勢し、および/または投影面積を拡大する。
【図43B】図43Aと同様の断面図である。
【図43C】図43Aと同様の断面図である。
【図43D】図43Aと同様の断面図である。
【図44A】個々の細長部材のさらなる代替的実施形態を示す断面図で、本明細書記載の拡張可能な小線源治療装置に含めることができる。
【図44B】図44Aと同様の断面図である。
【図45】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第13実施形態を示す斜視図で、放射線源を受けるための中央内腔が含まれ、拡張形状にあることを表す。
【図46A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第14実施形態を示す斜視図で、各内腔が対応する総プラスチック製細長部材と連通し、細長部材が折畳み形状にあることを表す。
【図46B】図46Aと同様の斜視図で、細長部材が拡張形状にあることを表す。
【図47A】拡張可能な小線源治療装置と、この装置を折畳み形状と拡張形状との間で作動させるツールとを示す斜視図である。
【図47B】図47Aのツールの長手方向断面図である。
【図48】複数の放射線源を小線源治療装置内に装填するためのカートリッジの斜視図である。
【図49】図48の前記カートリッジと、拡張可能な小線源治療装置の例示的な実施形態とを示す側面図である。
【図50A】図49に示すカートリッジおよび装置の斜視図で、カートリッジを用いて放射線源を装置内に前進させる様子を表す。
【図50B】図50Aと同様の斜視図である。
【図51】図49〜50Bに示す拡張可能な小線源治療装置の端面図で、カートリッジ取り付け前の装置を近位端側から見た図である。
【図52A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第15実施形態を示す側面図で、折畳み形状にある拡張可能な細長部材と延長した遠位ハブとが含まれ、さらに拡張可能な細長部材を遠位に越えて延びる中央内腔が設けられている。
【図52B】図52Aに示す装置の長手方向断面図である。
【図53A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第16実施形態を示す斜視図で、折畳み形状の状態を表す。
【図53B】図53Aと同様の斜視図で、拡張形状の状態を表す。
【図54】拡張可能な小線源治療装置を組織内に送置するための装置の斜視図で、この装置はトロカール上に被せられた引きはがし型のシースを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、本発明は小線源治療装置および方法に関するものである。例えば1つの実施形態では、1つ以上の治療法要素(例えば、放射線源)を標的組織領域に送置するためのシステムが提供される。放射線源を一度送置した後、(例えば、HDR用途の場合)これを直ちに撤収してもよく、また(例えば、LDR用途の場合)一定の期間、移植するなどこれを留置してもよい。いずれの場合も、所定の治療プロファイルに従い放射線源が標的組織領域に治療を施す。
【0017】
いくつかの実施形態では、LDR放射線源を体内または標的組織に移植・固定して、標的組織に相対する線源の動きを抑制または実質的に制限できるようにする。例えば、本明細書に記載される装置および方法は、例えばシードなど、事前に用意された放射線源のパッケージを用い、内在する治療を容易にするのみならず、小線源療法完了後における放射線源の除去を容易にすることができる。
【0018】
本明細書における「放射線源」および「放射性の線源」とは、ある線量の放射線を照射できるほとんど全ての治療法要素を含むものである。放射線源の例として、1つ以上の放射性シード、または代わりに、1つ以上のLDRもしくはHDRワイヤー要素(例えばイリジウムワイヤー)がある。
【0019】
本明細書における「移植可能」と言う用語は、体内に挿入され、周辺組織の固定的または静的な位置に長い期間にわたり維持されるデバイスの能力を指す。この期間は、例えば1時間以上、より好ましくは数時間以上、場合によっては数日以上である。
【0020】
さらに本明細書における「標的組織」、「標的組織領域」、「標的領域」および「標的組織体積」とは、放射線療法が有効とされるヒト(その他哺乳類)の体のほとんどの部分を指す。標的組織領域には例えば、腫瘍または病班そのものや、腫瘍の近傍または周辺組織、(乳房の乳腺腫瘤摘出に伴う周辺組織や空洞など)腫瘍切除によって形成された空洞領域などがある。
【0021】
なお本明細書記載の装置および方法は、LDRまたはHDR小線源療法のいずれにも使用することができ、これについては以下に詳述する。さらに本明細書は小線源療法について記述するものであるが、これらの装置および方法は、治療実施要素を除去可能に移植することの利点を享受できる他の療法にも適用可能である。本明細書では例示的な用法として、当該装置および方法を乳癌の治療に適用する場合を記述する。しかしながら、本明細書記載の装置および方法は、小線源療法の利点を享受できる他の癌や症状の治療にも利用できるものと理解されるであろう。
【0022】
以上を背景に図面を参照する。体内の標的組織領域に小線源療法を施すための例示的なキットまたは装置100を図1に示す。装置100は、除去可能に移植可能で細長く柔軟な小線源治療デバイス102と、カテーテル、針、その他の送置デバイス114とを含むことができる。図示したように小線源治療デバイス102は、放射線源を搬送する治療部分104と、細長く柔軟なテール部106とを含むストランドである。テール部106は治療完了後におけるデバイス102の除去を容易にすることができる。以下に記述する他の部品、例えばロッキング部材などを装置100に含めても構わない。
【0023】
治療部分104は、放射性シード108などの放射線源を含み、治療部分104に互いに固定された治療法要素の搬送ポッドなどの形態を取ることがでる。1つ以上のスペーサー110を各シード108の間に任意配置し、所望のシード間隔を保つようにしてもよい。いくつかの実施形態における小線源治療デバイス102は柔軟なケースまたはケース部材112を含むことができ、その中でシード108と任意のスペーサー110がしっかり保持される。図1に示した小線源治療装置100の例示的な使用方法を図2A〜図2Eに示す。また図2F〜図17Bは、図2A〜図2Eに示す治療デバイス102およびその使用方法の代替的実施形態を表す。装置100の作製および使用に関する追加的な情報は、米国特許出願番号10/658,518(出願日、2003年9月9日)、11/554,731(出願日、2006年10月31日)、11/557,747(出願日、2006年11月8日)および11/276,851(出願日、2006年3月16日)に記載されている。
【0024】
図19A〜図19Cは、HDR保護カテーテルを組み込んだバルーン型小線源治療デバイス1800を示す。デバイス1800は、米国特許第5,913,813(Williamsら)に開示されるデバイスと同様なものでもよい。例えばデバイス1800が、近位端および遠位端を備えたカテーテルシャフト1814を有する小線源療法カテーテルアセンブリ1802を含んでもよい。膨張可能なバルーン1806を、近位端と遠位端との間のカテーテルシャフト1814に結合することができる。カテーテルシャフト1814に沿って、膨張可能なバルーン1806と近位端との間に内腔1830を延ばして、バルーンを膨張させることができる。線源送置内腔1804(図19B参照)を設け、これをカテーテルシャフト1814沿いに近位端から遠位端に向けて延ばす、例えば、膨張可能なバルーン1806と近位端との間に延ばすことができる。デバイス1800の使用方法は、上述の特許出願に開示されている。
【0025】
図20〜図27は、LDR小線源治療デバイスの移植に用いられる様々な例示的システムを示す。これらの内容は、本明細書の他箇所に記載する。例えば図20〜図22の実施形態におけるシステム1700は、カテーテルまたは針をガイドするテンプレート1702を有するものとして示されており、このテンプレートには所定の数およびパターン(配列)を有する開口1704が設けられている。例えば、ベース部1722と移行部1724とを用いてテンプレート1702を定位固定テーブル1720に結合する。このテンプレートは、調整可能なカテーテルまたは針のガイド装置の一部を形成する。例えば診察台などの患者搭載面または診察台1730に、定位固定テーブル1720を結合または取り付けてもよい。本システムの使用方法は、上述の特許出願に開示されている。
【0026】
本明細書記載のデバイスおよび装置は直線配列を意図したものであるが、より複雑な配列により、腫瘍または乳腺腫瘤摘出跡の内部に放射線源を配置する方が有利な場合もある。さらに、本明細書記載の他の実施形態による装置、デバイスおよび方法によれば、折畳まれた第1の形状(例えば実質的な直線形状)の小線源治療デバイスを移植することが可能であり、デバイスが乳腺腫瘤摘出跡などの標的組織領域に配置された後、装置を外部から作動させて、展開された第2の形状(例えば曲線形状)にすることもできる。
【0027】
この装置は、1つ以上の放射線源を有する1つ以上の小線源治療デバイスを含むことができる。放射線源の例は、(例えば図1のデバイス102など)本明細書の他箇所に記載されている。代わりに、移植の後で、1つ以上の放射線源を装置内に導入することもできるが、これについても本明細書の他箇所に記載する。
【0028】
このような装置および方法により、最小サイズの単一切開部を通して移植を行なった後、その場で展開を行い、標的組織(例えば、乳腺腫瘤摘出跡周りの組織領域など)の曲線形状に対し幾何学的により良く適合した線量照射領域を形成することができる。さらに展開された形状が配列の幅を広げるようにし、そこから放射線源が、第1の折畳み形状の際に比べて望ましい線量の照射を行えるようにしてもよい。
【0029】
さらに、上述したようなその場展開可能な装置、デバイス、およびシステムによって、乳腺腫瘤摘出跡の特定箇所内における放射線源の固定をより確かなものにすることも可能である。このような固定により、移植された放射線源と周囲の標的組織との間で決められた実質的に一定の配置を維持することも可能になる。後に患者が活動する際、(標的組織に相対する)放射線源の動きを最小に抑えることができるため、計画段階で事前に決められた線量に従った小線源療法による照射ができる。
【0030】
このような展開可能な装置の1つの実施形態を、図28A〜図28Dの拡張ケージ型装置2800を例に図解する。一般に腔内装置2800は、患者体内の標的箇所(例えば、乳房その他の身体構造200内の腫瘍または空洞など)で内部展開される治療部分2800aと、治療部分2800aから延びるテール部2800bとを含み、例えばテール部2800bが身体構造200から突き出るようになっている。図28A〜図28Dに示すように、治療部分2800aは(例えば、組織管を通った標的箇所への導入のための)折畳み形状と、(例えば、標的箇所2802における三次元経路配列のための)拡張形状との間で移動することができるが、この点については以下に詳述する。
【0031】
装置2800は、例えば展開するまで治療部分2800aを覆うことのできるシースまたはカバー(図示せず)を任意に含んでもよい。装置2800を標的箇所内に導入ため、カテーテル、カニューレ、または針2804などの管状送置デバイスを追加的または代替的に設けることができる。トロカール(套管針)その他の器具(図示せず)を針2804の内部に設け、トロカールの鋭利な先端(図示せず)が針2804の遠位端2804aを越えて延び、組織を通った針2804の挿入を容易にし、例えば、患者の皮膚から標的箇所に向かう組織管を形成できるようにする。このトロカールを管道形成後に除去し、その後に装置2800を針2804の内部に導入できるようにしてもよい。トロカール4052およびシース4062を備えた送置装置4050の例示的な実施形態を図54に示すとともに以下に詳述する。
【0032】
代わりに、針2804が鋭利な遠位先端部(図示せず)を含むこともできる。また代替例ではトロカールを省略し、針2804が組織内を進む間に内腔を閉塞するような栓塞子その他の器具(図示せず)を任意に予め設けることもできる。栓塞子を除去した後、装置2800を、例えば直接または、シースもしくはカバー(図示せず)内に入れて、針2804の内部に導入することができる。
【0033】
さらに別の代替例では、例えば本明細書記載の他の実施形態と同様な鋭利な遠位先端部(図示せず)を装置2800に設けてもよい。この遠位先端部は、針2804の遠位端2804aを越えて延び、針2804および装置2800が進む組織内に管道を形成するようなものとしてもよい。さらにもう1つの代替例では、鋭利な遠位先端部の付いた装置2800が直接組織内を進み組織管を形成する。この際、針2804を省略することができる。
【0034】
図28Aは、身体の切開部を通って小線源治療装置2800を挿入した状態を示す。装置2800は、例えば乳腺腫瘤摘出跡2802などの中空標的領域に治療部分2800aを配置するように置かれている。図28Aは、乳房200などの身体構造を通って空洞2802の内部にカテーテルまたは針2804が挿入されている状態を示す。装置2800を配置した後で針2804を後退または除去し、治療部分2800aを露出させることができる。
【0035】
治療部分2800aは図示したように、放射性の複数の小線源治療デバイス(例えば、近位端2806aおよび遠位端2806bを含み、1つ以上の放射線源を搬送するように構成された柔軟な細長部材2806)を備える。図28Bに示すように、装置2800はハブまたは外側本体部材2807を含み、この部材に細長部材2806の近位端2806aが固定されている。細長部材2806の遠位端2806bを、コア部材2810の遠位端2808に固定または保持してもよい。図示したように、コア部材2810は本体部材2807内を延び、コア部材2810の近位端2812が身体構造200の外に延びるようになっている。代わりに、ハンドル(図示せず)をコア部材2810から近位に結合または延ばしてもよい。
【0036】
ハブおよびコア部材2810は、治療部分2800aを拡張および/または折畳みするように、互いに軸方向へ移動することができる。細長部材2806を空洞2802で拡張させるためには、図28Cに示すように、例えばコア部材2810の近位端2812と本体部材2807とを操作する。すなわち、第1(近位)方向2814にコア部材2810を動かすか、第2(遠位)方向2816に本体部材2807を動かす。完全に拡張すると細長部材2806は、図28Dに示すように、空洞2802の壁に接触する、および/または、空洞2802を囲む組織内に押し込まれる。
【0037】
その場展開できる小線源治療装置2900のもう1つの実施形態を図29A〜図29Fに示す。この装置は多くの点で上述した装置2800と類似している。例えば装置2900は、放射性の小線源治療デバイス用の拡張可能ケージ(例えば、細長い柔軟部材2906)を含むことができる。細長部材2906は、それぞれハブ2909に結合した遠位端2906bと本体部材2907に結合した近位端2906aとを含む。図29Aに示すように、本体部材2907の近位端にフランジ2914を設けてもよい。また本体部材2907を通って、ハブ2909に同じく結合されたコア部材2910をフランジ2914の向こう側に延ばし、ボタンその他のハンドル2912で終端させてもよい。
【0038】
細長部材2906の近位端2906aは本体部材2907内で終端しても構わない。しかしながら以下に詳述するように、本体部材の他の実施形態では通路を含み、これにより細長部材2906の内部に形成された内腔にフランジ2914の近位側からアクセスできるようになっている。さらに別の代替例では、管状部材(図示せず)が、本明細書記載の他の実施形態と同様に本体部材から近位に延びている。
【0039】
装置2900は、第1の折畳み形状(すなわち図29Bに示すように細長部材2906が略直線状となってコア部材2910の中心軸と平行になった形状)から、第2の展開された形状(すなわち図29Aおよび図29Cに示すように細長部材2906が曲線となった形状)に移行することができる。例えば展開された形状への移行は、フランジ2914をボタン2912から離れる方向(すなわち遠位方向2916)に動かし、これにつれて本体部材2907を動かすことにより行うことができる。同様に、フランジ2914をボタン2912から離れる方向(すなわち近位方向2918)に動かせば装置2900が折り畳まれる。
【0040】
なお、フランジ2914およびボタン2912に加えて他のアクチュエータを設けても構わない。例えば、コア部材2910および本体部材2907にかみ合うネジ(図示せず)を設けてもよい。これらのネジを、例えば本体部材2907の内表面と、本体部材2907の内部にあるコア部材2910の外表面とに設ける。ボタン2912を軸方向に動かす代わりに第1の方向に回転させて、本体部材2907を軸方向(すなわちコア部材2910の遠位方向)に動かし、細長部材2906を拡張形状にすることができる。ボタン2912を第2の反対方向に回転させれば、細長部材2906が折り畳まれ、折畳み形状に戻る。除去可能なアクチュエータの例示的な実施形態に関する追加的な事柄を以下に詳述する。
【0041】
これら実施形態のいずれの場合にも任意として、ボタン2912および/またはコア部材2910のフランジ2914を越えた部分を、(本体部材2907内をハブ2909に向かって延びる)残りのコア部材2910から取り外し可能にし、例えば移植後における装置2900の形状を小さくできるようにしてもよい。例えばこの取り外し可能部分およびコア部材の残部(図示せず)に、互いにかみ合う雄/雌端(図示しないが、例えばネジやその他の解放可能なコネクターによる接続など)を設けてもよい。代わりに、バレルその他の構造を本体部材2907内部に設けてこれを細長部材2906の各近位端2906aに結合し、本体部材2907に対するバレルの軸方向動作によって細長部材2906が拡張/折り畳みできるようにしてもよい。
【0042】
別の選択肢として、コア部材2910(および/またはアクチュエータ)が1つ以上のストッパ(図示せず)を含み本体部材2907の動きを制限し、例えば細長部材2906の拡張を制限するようにしてもよい。これらのストッパにより、拡張形状を最小化したり、細長部材2906を拡張し固定する際のサイズ範囲を設定したりすることができる。また、例えばラチェットや戻り止め(図示せず)を用い、本体部材2907が移動する間、コア部材2910と本体部材2907との相対位置が維持できるようにすることもできる。
【0043】
図29Bおよび図29Cは、身体構造(例えば乳房200)の切開部を通って挿入された小線源治療装置2900を示す。装置2900は、その遠位端(例えばハブ2908)が乳腺腫瘤摘出跡2902の内部に位置するように配置することができる。図示した実施形態では、装置2900が既存の切開部から挿入されている。しかしながら装置2900が、例えば鋭利な遠位先端部などの機構を有し、上述したような切開部を自ら作れるようにしてもよい。この鋭利な遠位先端部を用いれば装置2900の先端を、例えば拡張された要素を空洞内の最適な位置に配置するように、空洞の縁を越えて配置することができる。
【0044】
いくつかの実施形態における装置2900は引きはがし型のシース(図示せず)を含むことができ、これが取り扱いおよび/または移植の際に細長部材2906を覆う。図29Bに示すような位置に装置2900が配置された後で、(例えば、身体外に配置された引きはがし用帯や、シースに沿って設けられた1つ以上の弱い継ぎ目または領域を用いて)シースを取り除き、細長部材2906を露出させることができる。引きはがし型シース4062の例示的な実施形態を図54に示し、以下に詳述する。
【0045】
医師は、例えば図29Bに示すように装置2900を配置してから、身体方向(すなわち遠位方向2916)に向けてフランジ2914を移動させることができる。同様に、ボタン2912をフランジ2914から離れるよう近位に移動させることも可能である。この動きにより細長部材2906が、図29Cに示すように空洞2902内部で展開する。細長部材2906は拡張して空洞の壁と接触し、完全に拡張すると周辺組織内に強く押しつけられ、空洞壁が部材2906の間に相互嵌合するようになる。(図32D〜図32Gにその例を示し、以下に詳述する。)壁の相互嵌合または陥入により、空洞2902周囲の組織に対して装置2900が概ね固定される。
【0046】
本明細書における「陥入」および「相互嵌合」と言う用語は、装置2900の1つ以上の部分または要素を空洞2902の内部で外向きに押しつけ空洞2902の周囲組織に押し込み、要素に近接する組織が、細長部材2906の間で内側に流動、折り曲げまたは押し出しされることを意味する。図32D〜図32Hにその概念図を例示する。1つ以上の細長部材2906は、組織によって実質的に囲まれることに加え、周辺組織に侵入する場合もある。例えば、1つ以上の細長部材2906が、下記のように、組織によって完全に包囲されるような場合もある。
【0047】
図29Dは、図29Cの線29D−29Dに沿った装置2900の断面図である。本図に示すように細長部材2906を、1つ以上の内腔(例えば第1内腔2918および第2内腔2920)を含む管状部材とすることができる。第1内腔2918は小線源治療デバイス(例えば本明細書他箇所に既述のデバイス102、152、402、502、602など)を受ける大きさとし、第2内腔2920が補強部材(図示せず)を保持するように構成してもよい。この補強部材は、細長部材2906を補助し適当な配向を維持できるようにする。例えば、内腔2918(従って小線源治療デバイス)に十分な剛性を与え、これらが周辺組織内に拡張する際のたわみを防いだり、細長部材2906を補助したりし、これらが実質的な所定形状に確実に拡張するようにしてもよい。
【0048】
図29Dの第1および第2内腔はいずれも円形断面を有するものとして描かれているが、これらの一方または両方を別の形状にしてもよい。例えば代替的な部材2906′の断面を図29Eに示すが、この部材は、丸い第1内腔2918′と、矩形または細長い断面形状の第2内腔2920′とを有している。矩形断面の内腔2920′に、これと合った形状の補強部材(例えば、矩形断面のニチロール製ワイヤーまたは帯)を充填すると、展開に際する細長部材2906の回転方向のたわみ(同様にその他のたわみ)を減少させることができる。例えば、寸法2920a′は寸法2920b′に比べて小さいため、細長部材2906′は、拡張に際し側方(例えば近接する細長部材に向かう方向)よりもむしろ外方を指向して曲がるようになる。
【0049】
図29Dおよび図29Eの細長部材2906は2重内腔チューブを有するものとして描かれているが、ポリマー等による柔軟なチューブの単一内腔を細長部材2906に設けてもよい。このポリマーチューブは、曲線形状への展開に十分な柔軟性を有する一方、第2の補強部材を必要としない程度に十分な固さを有している。このようなチューブはナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミドなどデュロメーター硬さの高いポリマーで作製することができる。任意に、チューブの断面を非円形(例えば台形、矩形など)とし、デバイス拡張の際、適当な方向に曲がり易くする、および/または、拡張位置における要素の横方向安定性を増大させるようにしてもよい。さらに、チューブ壁内に強化要素(例えば、図示しないが平坦なワイヤー編組)を含め、ねじりおよび/または屈曲強度を高めることもできる。
【0050】
さらに別の代替例における細長部材2906は、近位端2906aと遠位端2906bとの間に延びる経路を設けるための他の機構を含むことができる。例えば細長部材2906が、1つ以上の放射線源(図示せず)を受ける溝またはトラック(図示せず)を含むことができる。この点については以下に詳述する。この機構には、1つ以上の放射線源の動き(例えば細長部材に沿った軸方向の動き)を制限するような別のインターロック機構が含まれる場合もある。従い本明細書における「経路」とは、内腔、トラック、レール、または細長部材上で細長部材に沿って1つ以上の放射線源をガイドするように構成された他の機構を含むものである。
【0051】
図29Fは、1つの実施形態において構成されるフランジ2914の近位側を示す。フランジ2914には、一連の開口2922、2924を設けることができ、ここから部材2906の内腔2918、2920にアクセスできるようになっている。開口2922は、例えばそれぞれの細長部材2906内で本体部材2907全体にわたって延びるそれぞれの内腔(図示せず)を介し内腔2918と連通する(図29D参照)一方、開口2924は内腔2920と連通することができる。その結果、標的箇所への装置2900の移植前または後に、小線源治療デバイスおよび補強部材(図示せず)をそれぞれ内腔2918および内腔2920に挿入することができる。この点については本明細書の他箇所に記載する。さらにフランジ2914は、小線源治療デバイスおよび補強部材の一方または両方をフランジ2914に固定するロッキング部材またはリング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0052】
図示しないが、フランジ2914に目印(例えば時計数字や文字などの数字、記号)をつけ、フランジ2914外周の各開口2922/2924を識別できるようにしてもよい。このようにすれば、例えば標的箇所への装置2900の導入前または後に、医師/癌専門医が所望の線量計画に従って特定の小線源治療デバイスを挿入する際、いずれの開口2922に挿入すべきか知ることができる。例えば、線量計画によって低放射量デバイス(デバイスNo.1)を患者の皮膚近傍領域に配置する必要があるとする。対応する開口2922/2924に同一番号(No.1)をつけるか、または別の方法で識別すれば、特定の低放射量デバイスが適正な開口2922/2924に受けられるようにすることができる。このように、装置2900を(例えば、細長部材“1”の低放射量経路を皮膚に向けて配向するなど)標的箇所で適当に配向すれば、低放射量デバイスを低放射量経路に沿って配置することができ、皮膚を損傷する危険性を低減することができる。同様に、所望の線量計画に従い、高放射量小線源治療デバイスを他の開口内に配置することもできる。
【0053】
線量計画は、最新のイメージング方法(例えば、CTおよび超音波)や、HDRまたはLDR用に市販の線量計画ソフトウェアを用いて行うことができる。線量計画プロセスのタイミングや一般的シナリオは医師/癌専門医の判断に委ねられる。しかしながらこのようなシナリオの1つに、装置2900を標的組織領域内に配置し細長部材2906を展開形状に動作させることが含まれることもある。その場合、イメージング法(例えば、CT)の助けを借りて、標的組織領域や細長部材2906の位置を割り出してもよい。その後、装置2900および細長部材2906の形状調節を施した際などに線量計画を再検討し、必要に応じて修正を行ってもよい。
【0054】
線量計画を最適化したら、(例えば、小線源治療デバイス用に)特定の放射特性を持った線源(例えば、LDRシード放射量レベル、HDR留置位置など)を選定し、開口2922/2924からのアクセスを介した装置2900の配置準備を行う。LDR小線源療法の際には、例えば、個々のポッドまたはその他の放射線源を対応する細長部材2906に同時または順次装填してシードまたは放射線源の三次元配列を形成し、この配列を一定期間、標的箇所内に留置する。線量計画に従い、シードを各ポッド上で一定の間隔に配列するか、またはシードが異なる放射強度を有するようにしてもよい。例えば配列の他部分のシードについて、それぞれの細長部材2906に沿った長さおよび/または間隔を変える。これにより例えば半径方向および/または軸方向の配列を装置2900の中心軸に対し実質的に非対称としてもよい。代わりに、HDR小線源療法の際、個々の放射線源を細長部材2906の各経路に沿って所定の照射時間だけ順次配置してもよい。任意として、1つ以上のHDR放射線源を経路に沿って同時配向してもよい。
【0055】
本明細書では分離した部品を使用するものとして記載してきたが、装置2900の他の実施形態では、細長部材2906が遠位ハブ2909から近位に向かってフランジ2914まで延びる場合もある。このようにすると細長部材2906が、それぞれの遠位端2906aからフランジ2914に延びる1つ以上の内腔を規定することができる。そしてデバイス自身に補強部材が組み込まれた小線源治療デバイス(図示せず)をこの内腔によって受けることができる。(例えば、本明細書の他箇所に記載するデバイス1202を参照。)代わりに、細長部材2906内(例えば、内腔2920の内部または細長部材2906に沿った固定位置)に補強部材を事前に組み込んでもよい。
【0056】
本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様、補強部材が任意にシールドとなる場合もある。例えば、略球状の配列または放射線源の場合、配列の中心領域は配列周辺領域よりも大きな放射能照射を受けやすい。この際、細長部材2906の内部領域に沿ってシールドを配置すれば、中心領域の過照射を低減することができる。例えば図32Fおよび図32Gには、この目的のために細長部材3106の内部領域に沿って延びる補強/減衰部材が示されている。
【0057】
図30A〜図30Cに示す小線源治療装置3000は、多くの点で上述した装置2900と類似している。しかしながら装置3000は、例えば乳房(図示せず)などの身体構造または組織構造を完全に貫通するように構成されている点で上述のものと異なっている。このため装置3000の遠位端は、この用途に適合するように装置2900を幾分修正したものとなっている。
【0058】
装置3000の側面図を図30Aに示す。装置2900と同様に装置3000は、近位端3006aで本体部材3007に結合され、遠位端3006bでハブ3009に結合された放射性の柔軟な細長部材3006を備えている。一端にボタン3012を有し他端に鋭利な遠位先端部3011を有するコア部材3010が、本体部材3007およびハブ3009を通って延びている。鋭利な遠位先端部3011によって、移植に際し装置3000が組織を貫通できるようになっている。装置2900とは異なり、コア部材3010はハブ3009に永久固定されていない。代わりにコア部材3010が、ハブ3009および本体部材3007に相対して摺動可能となっている。コア部材3010、本体部材3007および/またはハブ3009は、例えば移植時にコア部材3010を解放可能に固定し、移植後にはコア部材3010を除去できるような1つ以上のコネクター(図示せず)を任意に含むことができる。
【0059】
図30Bは、折畳みされた第1の形状にある装置3000の断面図を示す。本図に示すように細長部材3006は、(例えば図29Dに示される内腔2918、2920と類似の)内腔3018、3020を含む。これらの内腔は本体部材3007を通って延びるか、または、本体部材3007を通って延びる別の内腔3022、3024と連通している。その結果、小線源治療デバイス(例えば上述のデバイス102、152、402、502、602)を、装置3000の移植前または後で細長部材3006に装着することができる。
【0060】
図30Cは、拡張された第2の形状にある装置3000の断面図を示す。ハブ3009および本体部材3007を互いに近づけるとこの形状となる。この際、例えば、ボタン3012およびフランジ3014などのアクチュエータ、または本明細書記載の他の実施形態を用いることができる。
【0061】
使用時には、装置3000を図30Bに示す折畳み形状にして、身体、例えば乳房その他の組織構造(図示せず)に挿入し、空洞または他の標的箇所(図示せず)内部に細長部材3006が配設されるようにする。ハブ3009が乳房の反対(遠位)側に延びて達するまで装置3000を挿入してもよい。コア部材3010の鋭利な先端3011を移植の際に用い、空洞両側の組織を貫通してもよい。ひとたび装置3000が乳房全体を貫通したら、例えば装置3000の近位端からコア部材3010を引き抜くなどの方法でコア部材3010を装置3000から任意に取り外してもよい。この時、医師が本体部材3007とハブ3009とをつかみ、これら2つの部品3007、3009を互いに押しつける。このようにすると、図30Cに例示する拡張形状のように、半径方向外側に向かって細長部材3006が急速に拡張し空洞壁に向かう。
【0062】
完全に展開したら、本体部材3007およびハブ3009をテープや縫合糸などで皮膚などの身体部分に固定することができる。代わりに、本体部材3007および/またはハブ3009を通ってロッキング部材(図示せず)を挿入する。この本体部材および/またはハブは(図示しないが、ナット付きの長いプラスチックネジボルトなどにより)これらの部品を相互固定することができる。さらにもう1つの代替例では、本体部材3007および/またはハブ3009の動きを制限してもよい。例えばラチェット、戻り止め等(図示せず)を用い、本体部材3007とハブ3009とを相互固定するとともに、一方で、本明細書の他箇所に記述するように、本体部材3007および/またはハブ3009を動かせるようにしてもよい。
【0063】
装置3000を導入する際に小線源治療デバイス(図示せず)を細長部材3006に持たせるか、あるいは小線源治療デバイスなしに装置3000を導入してもよい。装置3000の移植に際し小線源治療デバイスを含めない場合、放射線癌専門医か同様に訓練された臨床医が、内腔3022または他の経路を通して細長部材3006に沿って小線源治療デバイスを後から挿入することができる。代わりに、経路に沿った1つ以上の放射線源の送置に自動システムを用いてもよい。他の実施形態では、移植前に小線源治療デバイスを細長部材3006に持たせ、装置3000に取り外し可能または永久的に事前装填する。
【0064】
図31A〜図31Fは、さらにもう1つの実施形態によるその場作動可能な小線源治療装置3100を示す。装置3100は、一連の柔軟な放射性細長部材3106を含む。これらの部材は、例えば(図31Aに示す)直線的形状など第1の折畳み形状から、例えば(図31Bに示す)曲線的な第2の展開形状に展開可能である。折畳み形状では、部材3106が装置3100に折り畳まれ(例えば、装置3100の中心長手軸と略平行になり)、例えば移植の際に大きさを最小化するようになっている。一方、図31Bに示す展開形状では、細長部材3106の少なくとも一部が乳腺腫瘤摘出跡など身体の空洞壁に向う、および/または壁内に向かって半径方向に拡張する。(例えば図32D〜図32Gを参照)。その結果、装置3100は空洞を囲む組織内に概ね固定される。
【0065】
図示した実施形態における細長部材3106は、図31Bに最も良く示されるように、2つの分かれた群により構成される。第1群または外側群は、符号3106aによって識別される細長部材を含み、図31Bに示すようなフットボール型またはスイカ型の境界を形成する。第2群または内側群は、符号3106bによって識別される細長部材を含み、同様ではあるがより小さなスイカ型境界を規定する。図示した実施形態では、外側群が7つの分離した部材3106aを含み、一方内側群は3つの分離した部材3106bを含む。しかしながら他の実施形態ではいずれの群の細長部材3106の数を変えても良い。細長部材3106aおよび3106bを、一般的または集合的に細長部材3106と呼称する。
【0066】
細長部材3106を第1端(例えば近位端)において本体部材3107に結合することができる。しかしながら細長部材3106aを、その第2端(例えば、遠位端)の各々で、遠位ハブ3109に取付け、部材3106bの遠位端を別の浮遊ハブ3108に取り付けてもよい。
【0067】
装置3100は、コア部材3110をさらに含むことができる。コア部材3110は、遠位ハブ3109に取り付けられ、本体部材3107の近位側まで延出している。コア部材3110は、遠位ハブ3109に固定され、本体部材3107および浮遊ハブ3108の両者に設けられた開口にすき間をもって通されてもよい。このようにすると、本体部材3107および浮遊ハブ3108はコア部材3110に沿って摺動することができるが、この点に付いては以下に詳述する。コア部材3110はテンション部材として機能することができる。そのため、この部材は、一般的に剛体にするか、代わりに、ケーブルや縫合糸などのテンション専用部材としてもよい。
【0068】
各細長部材3106は補強部材を含むこともできる。この補強部材は、図示した実施形態では平坦な弾性ワイヤー3112となっている。ワイヤー3112は、所望方向への細長部材3106の拡張/収縮を(ねじれなどを生ずることなく)確かなものにすることができる。ワイヤー3112は、細長部材3106を幾分かまとめ、例えば細長部材3106が外側に向かう際、半径方向および横方向に対し十分な安定性を持って空洞壁に確実に押しつけられるようにする。いずれの材料にも限定されるものではないが、1つの実施形態におけるワイヤー3112は、硬度調整したステンレス鋼、またはニチノールなどの形状記憶合金で作られる。このような材料を用いれば、乳腺腫瘤摘出跡に装置3100を陥入させたり、実質的に固定された状態に置いたりし(図32D〜図32G参照)、一方で治療完了後には、装置3100を展開前の形状にすることもできる。
【0069】
個々のチューブ3114をそれぞれの平坦ワイヤー3112に取り付けることができる。チューブ3114は小線源治療デバイス(図示せず)を受けるように動作可能である。これらデバイスには、本明細書の他箇所に記載済みのデバイス102、152、402、502と同類のものを使用する。代わりに、例えば、本明細書の他箇所に記載のシード108やスペーサーなど治療の間または前にチューブ3114内に装填可能な個々の放射線源を受けるようにチューブ3114を作ることができる。このようにすれば、チューブ3114が実際の小線源治療デバイスの外側面を形成するようにもできる。チューブ3114は、放射線源や事前に組み立てられた小線源治療デバイスを保持できるものであれば殆ど全ての生体適合材料で作ることができ、これらの材料には、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ナイロン、ポリウレタンなどのフロロポリマーがある。
【0070】
装置3100の側面図を図31Cに、また端面図を図31Dに示す。これら2つの図は、本体部材3107の変形例を示し、その上に形成された、またはそこに取り付けられたフランジ3111を含むものである。任意のフランジ3111は、移植および/または除去プロセスの際、コア部材3110を配置するためのグリップ箇所を提供し、医師の利便を図るようにすることができる。
【0071】
図31Eは交互配列した折畳み形状装置3100の長手方向断面図を示す。(本図は、他の直線的な断面図では見ることのできない2つの細長部材3106aと細長部材3106bとを交互配列して示したものである。)本図から、コア部材3110の遠位ハブ3109への取付けが良く分かり、平坦ワイヤー3112が遠位ハブ3109、浮遊ハブ3108、および本体部材3107に固定されている様子を見ることができる。
【0072】
図31Eはさらに、遠位ハブ3109内部に形成されたポケット3116を示す。ポケット3116は、装置3100が展開形状にある際、浮遊ハブ3108の軸方向の動きを止めるための表面として作用する。本実施形態はポケット3116を含むものであるが、別の実施形態における浮遊ハブ3108は、遠位ハブ3109の平坦な内表面と単に接触するように構成することもできる。
【0073】
図31Fは、図31Eと同様に交互の細長部材を示した長手方向断面図で、装置3100は展開形状にある。本図に示すように、本体部材3107をその場に固定しながらコア部材3110のテール部に引張り力をかけることで展開形状にすることができる。このような引張り力をかけると、遠位ハブ3109が本体部材3107に向かって動く。この動きにつれ、細長部材3106aが図示したように外側に向かって屈曲し始める。浮遊ハブ3108がひとたびポケット3116に接触すると、部材3106bもまた外側に向かって屈曲し始める。コア部材3110をさらに引っ張ることで、細長部材3106aおよび3106bの両者を外向きに動かすことができる。コア部材3110の本体部材3107に相対する軸方向位置を変えれば、展開径を変更することも可能である。装置3100が所望の径に展開したら、クランプ等のデバイス(図示せず)を、本体部材3107直近のコア部材3110の周囲に上昇させ、本体部材3107に相対するコア部材3110の摺動を止めることができる。
【0074】
装置3100を所望の径に固定するための別の方法は、ネジ付きナットおよびボルトアセンブリ(図示せず)を含んでもよい。例えば本体部材3107を分轄し、従来の機械用コレット等のように外部からネジを切ってもよい(図示せず)。このコレットにナット(図示せず)をネジ込み締め付けてコア部材3110を保持し、装置3100を所望の拡張形状に保持することができる。代わりに、一連の密集した孔またはポケット(図示せず)をコア部材3110に含めてもよい。これらの孔またはポケットは、コア部材3110が本体部材3107から突き出る領域に沿って設けることができる。コッタピン等(図示せず)を所望の孔またはポケットに配置し、装置3100を所望の拡張形状に保持してもよい。
【0075】
図32A〜図32Fは、図31A〜図31Fに示した装置3100の使用方法を示す。図32Aは、身体部分(例えば乳房200)と、癌組織の除去によってその内部に形成された空洞(例えば乳腺腫瘤摘出跡202)の斜視図である。折畳まれた装置3100が挿入され配置されている。既存の切開部(例えば、乳腺腫瘍摘出に使用した切開部)、または装置3100を送置するため新たに形成された切開部を通って装置3100を挿入することができる。図32Bおよび図32Cは、乳房200の正面図と側面図をそれぞれ示し、折畳まれた装置3100が空洞202の内部に配置されている。
【0076】
装置3100を所望の位置に配置したら、医師は、コア部材3110を引っ張ると同時に本体部材3107を乳房切開部で押さえつける。本体部材3107は、皮膚から乳腺腫瘤摘出跡202までの距離にかかわらず、皮膚表面まで延びるのに充分な長さを有することができる。図32D〜図32Fに例示するように、装置3100が展開するにつれ、それ自体が空洞202内の中心と合うようになっている。
【0077】
代わりに、近接組織内への細長部材の食い込み量が変化する場合、装置3100の拡張に際し、装置3100も空洞内で動かすことができる。図32Hに示すように、例えば皮膚近傍の領域は空洞202下方の組織より細長部材3106によって侵入されにくい。図32Hに示す細長部材3106を十分に小さくし、細長部材の少なくともいくつか(例えば細長部材3106ai、3106aii)が、空洞202の周囲組織を切り裂くなどして侵入できるようにし、細長部材3106が近接する組織に侵入しない場合に比べてより深い組織部分に放射線を照射してもよい。細長部材316が、(図32Hに例示するように)組織に侵入したり、場合によって近接組織に包囲されたりできるため、装置3100の放射性核種の間質型配置を効果的に行うことができる。
【0078】
図32Dは乳房200および空洞202の斜視断面図で、完全に拡張形状の装置3100がその内部に示されている。この図に示すように、細長部材3106aが空洞202の壁を越えて押し付けられ、その結果、細長部材3106aの周囲組織への陥入が起こり、例えば壁組織3120の部分が細長部材3106aの間を流動し、押出され、または内側に延ばされて細長部材を実質的に囲むようになる。1つの実施形態における壁組織3120は、最外部の細長部材3106aから約0.7cm程度、半径方向内側に向って延びる場合もある。しかしながら、実際の陥入距離はいくつかの要因によって変化する。これらの要因として、例えば、装置の大きさと形状、空洞の大きさと形状、組織の特性などがある。細長部材3106bは、押出された壁組織3120の最内部によって規定される直径範囲内に収まることが好ましい。この図からも理解されるように、陥入により装置3100が周辺組織に対して実質的に固定される結果となり、また装置3100の形状と一般的に馴染むまで空洞202が変形する場合もある。
【0079】
1つの実施形態では真空システム(図示せず)を装置3100に結合し、例えば、空洞202を負圧にして組織陥入の程度を高めることができる。このような真空状態を、移植期間の全体または一部の期間だけ維持したり、HDR治療などの治療を施した後、直ちに遮断したりすることができる。
【0080】
さらに別の実施形態における細長部材3106aを、導電性、または高周波(RF)などで励起されるものとしてもよい。展開後の細長部材3106aをこのように作動させると、細長部材3106aが空洞壁内に切り込めるようになり、周辺組織の深部に侵入して、陥入程度をさらに高めることができる。
【0081】
図32Eは、移植され完全展開した装置3100の断面図を示す。この図には、内側に延びる壁組織3120が明確に示されている。図32Fは、空洞202の部分断面斜視図で、その中に展開形状にある細長部材3106が模式的に示されている。
【0082】
図32Gは空洞202の断面図で、展開形状にある装置3100を示す。(明示のため、装置3100のいくつかの構造を除いている。)本図はさらに、細長部材3106の内部に納められた小線源治療デバイスからの線量分布の濃淡(dose cloud)を例示的に表している。例えば、各細長部材3106aが一般に円3122で示される線量分布を形成する一方、細長部材3106bが一般に円3124で示される単純な線量分布を形成する場合を考える。円3122および円3124は、特定断面における二次元的な線量分布の有効範囲を示す。線量分布の濃淡は、2層(すなわち細長部材3106aの周りの外層および細長部材3106bの周りの内層)の放射線領域を形成する。各細長部材3106が形成する実際の線量分布は、曲線的な円筒状になるものと考えられる。
【0083】
細長部材3106の2つの層にある全ての放射線源の効果を三次元的に積み上げると、空洞202の直近を囲む組織体積全体に広がる治療線量の殻となる。線量マッピングと線量の選定を適宜行えば、この三次元的な線量の殻によって適切な組織マージン(例えば、空洞202の壁を越えて深さ1cm以上など)に適切な治療線量の照射を行うことができる。放射性核種の多くは間質的な性質を有するので、過量照射による影響の危険性を低減させつつ所望の組織領域に治療線量を照射することができる。過量照射による影響は、(例えば、バルーンアプリケータや他の腔内アプリケータで発生するように)空洞202の内部または縁に置かれた全ての放射性核種で起こりえるものである。
【0084】
さらに、バルーンアプリケータとは異なり、個々の細長部材3106が周辺組織に対し局所的に離散した半径方向の力をかける。バルーンアプリケータは連続的な表面を有するため、その表面に沿った比較的連続な半径方向の力を近接する空洞表面にかける。これとは対照的に、細長部材3106は間欠的に配置され、それらの間には間隙がある。このため各細長部材3106は、非常に局所化した半径方向の力を空洞表面に対してかけることができ、拡張の間に1つ以上の近接する細長部材の間に組織を陥入させることができる。
【0085】
図32Hに戻り、いくつかの用途では、1つ以上の細長部材3106aiv、3106avを、空洞202近傍の比較的薄い組織領域(例えば患者の皮膚近傍など)に向けて配置することもできる。均一な放射線強度を有するポッドその他の放射線源を各細長部材3106に導入する場合、このような薄い組織領域または皮膚自体に過量照射したり、やけどを負わせたりする危険性がある。この理由から、線量計画では、放射線強度が比較的低い、また場合によっては(例えば細長部材3106aiv、3106avの1つまたは両者の少なくとも一部に沿って線源間に非放射性スペーサーを配するなどにより)「止めた(turned off)」1つ以上のシードを有する放射線源を内部に導入することを推奨する場合がある。
【0086】
線量計画では、細長部材の内側層から薄い領域に向けて放射線を照射することを任意に推奨する場合もある。例えば図32Hに示すように、細長部材3106aivと3106avとの間でコア部材3110の中心軸近くに単一の細長部材3100biを設けることができる。単一の細長部材3100biに放射線源を導入し、細長部材3106aiv、3106avの向こう側の薄い組織領域に放射線を照射できるようにする。このように細長部材の内側層を設けることによって、所望の線量計画に従った放射線の局所照射を確かなものにすることができる。
【0087】
図32D〜図32Hに示す実施形態では、細長部材3106aが(完全に拡張され)直径が最大(例えば約3cmまで)となった際、互いに約1cm離れるようにこれらの細長部材を構成してもよい。さらに、放射線源(例えば本明細書の他箇所に記述するシード108)がワイヤーの周りに約1cmの線量分布(円3122および3124)を形成することもできる。その結果、図32Gの円3122、3124で表すように、装置3100が、空洞壁および周辺組織の全体または実質的な全体に放射線を照射することができる。なお、装置3100に使用される放射線源は低線量率源でもよく、また代わりに、間欠的に照射される高線量率源(例えばイリジウムまたはイッテルビウムなど)でも構わない。
【0088】
小線源療法治療の完了時には、装置3100を元の折畳み形状に戻し、挿入用切開部を介して装置3100を乳房200から取り除くことができる。
【0089】
図33A〜図33Gは、腔内小線源治療装置3600の代替的実施形態を示す。装置3600は、治療部分3604と、テールなどの外部部分3606とを有する小線源治療デバイス3602を含むことが出来る。図33A示すように、例えばコイル部材3608などの変形可能な細長い放射能源を用いて治療部分3604を形成することができる。コイル部材3608は、細長いコア部材3610の周りに巻きついたらせんコイルでもよい。また、コア部材3610の周囲を平行移動および/または回転する取付部材(例えばスリーブ3612)にコイル部材3608の少なくとも一端(例えば近位端)を固定してもよい。この形状は、例えば乳腺腫瘤摘出跡(図示せず)などの標的領域に比較的小さな切開部を介して挿入可能な細型デバイスに適している。
【0090】
配置が一旦完了すると、図33Bに示すようにコイル部材3608を展開させて、空洞内部にらせん経路を形成することができる。デバイス3602を展開するためには、移植後に体外へ延びる両側のスリーブ3612をコア部材3608の周りに相対的に回転させる。1方向へのスリーブの相対的回転がコイル部材3608の拡張を引き起こす。すなわちコイル部材3608が中心のコア部材3610から離れる方向に動き出す。反対方向へのスリーブ3612の相対的回転は、コア部材3610周りのコイル部材3608の縮小を同様に引き起こす。拡張のための回転を大きくするほど、より大きな半径方向の力が乳腺腫瘤摘出跡の壁にかかるようになる。乳腺腫瘤摘出跡の壁により大きな力がかかると、拡張されたコイル部材3608の巻き線内に乳房組織がより大きく陥入する結果となる。
【0091】
スリーブ3612の回転方向の動きのほかに、スリーブをコア部材3610に対し軸方向に平行移動することも出来る。軸方向の平行移動により、拡張形状におけるコイル部材3608の長さ調整が可能となる。コイル部材3608は個別にその軸方向長さおよび直径(従って空洞壁に対する拡張力)を選定することが出来るので、様々な大きさおよび形状の乳腺腫瘤摘出跡の治療に装置3600を使用することができる。
【0092】
図35Aおよび図35Bに、拡張可能な小線源治療装置3200のもう1つの実施形態を示す。前の実施形態と同様、装置3200は、一般に近位ハブ3207と、遠位ハブ3209と、ハブ3207およびハブ3209の間に延びる複数の細長部材3206とを含み、これにより長手軸3201を規定する。やはり前の実施形態と同様に、ハブ3207、3209は軸方向を相対的に移動することができ、細長部材3206を第1の折畳み形状(図示しないが例えば直線形状)と、第2の展開形状(例えば、図35Aおよび35Bの曲線形状)との間で変形させることができる。
【0093】
装置3200は、本明細書の他箇所に記載ものと同様のアクチュエータ(図示せず)を任意に含み、このアクチュエータを近位ハブ3207に結合してもよい。アクチュエータを近位ハブ3207に取り外し可能に接続可能とするか、または装置3200に永久的に取り付けてもよい(図示せず)。
【0094】
図35Bに最もよく示されるが細長部材3206を、2つの異なった群、配列、または層として構成してもよい。第1群または外側群は複数(例えば、図では6本)の細長部材3206aを含み、この細長部材は、本明細書記載の他の実施形態と同様な1つ以上の内腔(図示せず)や補強部材(図示せず)などを含んだ管状押出材または本体から形成することができる。第2群または内側群は細長部材3206bを含むが、これらもまた1つ以上の内腔(図示せず)や補強部材(図示せず)などを含んだ管状体3216bから形成することができる。内側細長部材3206bの形状および/またはその他の構成は、外側細長部材3206aと類似しても相違しても構わない。
【0095】
細長部材3206は個別の管状体から形成することができる。例えば、所望の断面形状を有する管状押出材を形成し、次いでこれを各細長部材3206に対応する個別の長さに切断しても良い。代わりに、本明細書の他箇所に記述するように、複数の細長部材3206を単一の押出材または他の単一管状構造として形成し、この管状構造を分離するように切断して個別の細長部材3206bとしてもよい。
【0096】
細長部材3206の第1端または近位端を近位ハブ3207に取り付け、細長部材3206の第2端または遠位端を遠位ハブ3209に取り付けることができる。例えば、細長部材3206の近位端を、近位ハブ3207の対応する内腔の少なくとも一部を通って延ばし、接着、溶着その他の方法で近位ハブ3207に固定してもよい。代わりに、細長部材3206の近位端を、近位ハブ3207上のニップルなどに取り付けても良い。同様に、細長部材3206の遠位端を遠位ハブ3209の対応するポケットに受けさせたり、接着、溶着その他の方法で遠位ハブ3209に固定したりしてもよい。
【0097】
本明細書記載のいずれの実施形態においても、遠位ハブ3209を除去可能とするか、または細長部材3206の遠位端に一時的に取り付けられるようにすると有利な場合がある(図示せず)。このようにすることで装置3200の除去を迅速化したり、容易にしたりすることができる。例えば装置3200を除去する直前に遠位ハブ3209から細長部材3206の遠位端を解放できるようにしてもよい。
【0098】
前述の実施形態とは異なり、内側細長部材3206bは管状体3216bから延びる外延部3217を含み、内側細長部材3206bの表面積を増大させるようになっている。図示したように、外延部3217は各管状体3216bの対向側に設けられ、例えば長手軸3201に対し横方向や円周方向に延びており、組織装置3200が導入された際に空洞周辺組織と接触する内側細長部材3206bの表面積を増大させるようになっている。この表面積の増大により、装置3200が拡張に際して、(例えば、周辺組織を半径方向外側に押しつけても組織を傷つけないように接触面を形成するなど)空洞の周辺組織の形状整形が容易になる。
【0099】
図43A〜図44Bは、内側細長部材3206b(または本明細書記載の他の実施形態における全ての細長部材)の各種断面の一部を示す。これらの断面図は、折畳み形状において様々に配列された細長部材を示す。これらの断面形状により、半径方向への曲げを付勢したり、横方向に安定化したり(例えば、拡張時の横方向たわみに抵抗すること)ができる。これらの形状により、拡張された際の細長部材を実質的に対称な幾何形状にすると、本明細書に記載した補強部材(例えば金属帯など)を省略できる場合もある。補強部材を省略すると、パラジウム、ヨウ素、セシウムなど、一般的なLDR放射線源との適合を容易にすることができる。特に細長部材にLDR放射線源を配置した場合、金属帯などの補強部材は、放射線の周辺組織への侵入を少なくとも部分的に減衰させる。ただしこのような補強部材は、一般に使用されるHDR放射線源(例えばイリジウム)からの放射線に対しては殆ど影響を及ぼさない。
【0100】
図43Aは、細長部材4006の配列に関する例示的な実施形態を示すもので、各細長部材4006が実質的にアイレット(小穴)形状を有し内部に内腔4008を含んでいる。このアイレット形状は、外延部4007によって少なくとも部分的に規定される外側面を増大させ、周辺組織を半径方向外側に押しつける接触面が実質的に組織を傷つけないようにする。さらにアイレット形状は、(矢印“R”で表す)半径方向よりも(矢印“C”で表す)円周方向に対してより大きな慣性モーメントを付与することができる。このような配向により、拡張時における細長部材が半径方向外側に屈曲できるように付勢したり、例えばモーメントの大きな方向(すなわち円周方向)への動きに抵抗するなど細長部材の横方向安定性を強化したりすることができる。本明細書記載の他の実施形態と同様であるが細長部材4006は、図示したように内側の群と外側の群とに配列される。なお、細長部材4006の単一層を設けたり、細長部材の数(図43Aでは8本)を変えたりしても構わない。
【0101】
図43Bに示す細長部材4016のもう1つの配列は、中心周りに対称に配列された単一層となっている。本実施形態における各細長部材4016は、内腔4018を規定する中心管状部分4019と、対向する一対の外延部4017とを備える。本明細書の他箇所に記載する方法と同様に、細長部材4016を個別の管状体から形成するか、または外延部4017の近接部で分離した単一の管状体から形成してもよい。
【0102】
図43Cは細長部材4016′の代替的な配列を示すが、これも一般に図43Bのものと同様に形成される。図43Bの配列が互いに隣り合って略円形状に配設されているのに対し、図43Cの細長部材4016′は、例えば近接する外延部4017が部分的に入れ子になって、略矩形状に配列されている点が異なる。
【0103】
図43Dに示す細長部材4016″の配列もまた、図43Bおよび図43Cに示すものとほぼ同様である。ただしこの配列は、前述した実施形態と異なり、実質的円形に配列した6本の細長部材4016″を含み、さらに近接する外延部4017の部分的な入れ子を含んでいる。これらいずれの配列も、細長部材の円周方向の慣性モーメントを半径方向よりも大くし、接触面積を大きくしたり半径方向への付勢や横方向の安定性を増大させたりする。
【0104】
なお、本明細書記載のいずれの実施形態にいても、細長部材の数や個々の細長部材(または外延部)の幅を増大させることにより、例えば、組織陥入を減少させる、および/または、空洞の再成型や拡大を促すようにすることができる。逆に、組織陥入を増大させる、および/または、空洞の再成型や拡大程度を減少させることが望ましい場合には、細長部材の数や個々の細長部材の幅を減少させることもできる。
【0105】
図44Aは、細長部材4026の代替的実施形態の断面を示す。本実施形態は、内腔4028を規定する管状部分4029を一般に含む。この内腔4028は、前述の実施形態と同様な放射線源(図示せず)の経路となる。本実施形態における細長部材4026は、実質的に平坦な外側面4030を規定する外延部4027をさらに含む。平坦な外側面4030により周辺組織との接触が促され、本明細書の他箇所に記載の実施形態と同様に、例えば乳腺腫瘤摘出跡周辺の組織の整形を容易にする。
【0106】
細長部材4026′の代替的実施形態を図44Bに示す。ここでは図44Aに示す実施形態よりもさらに、管状部分4029′および外延部4027′がしっかりと統合されている。前述の実施形態と同様に、細長部材4026′は放射線源(図示せず)を受ける内腔4028′と、周辺組織に接触する実質的に平坦な外側面4030′とを含む。図44Aおよび図44Bに示す細長部材4026、4026′を、(例えば、外側面4030、4030′が半径方向外側に向かうようにして)本明細書に開示した他のすべての実施形態に組み込んでもよい。
【0107】
図35Aおよび図35Bに示す実施形態に戻るが、外側細長部材3206aは、内側細長部材3206bと異なり外延部や増大した表面積を含まない。これにより、装置3200が内部で拡張した際、空洞の周辺組織中に外側細長部材3206aが陥入したり侵入したりすることを促す。代わりに、拡張に際し外側細長部材を周辺組織に押し当てたり、その他の方法で空洞を整形したりすることが望ましい場合には、外側細長部材3206aが外延部を含む、および/または、表面積を増大させるようにし、これにより細長部材間への組織陥入の度合いを減少させてもよい。このような代替例では、(例えば図38Aおよび図38Bに示すように)内側細長部材を任意に省略するか、内側細長部材の外延部3217を設けたり、省略したりすることもできる。
【0108】
図35Aを引き続き参照する。装置3200は、近位ハブ3207内を(および/またはこれを貫通して)延び遠位ハブ3209に取り付けられるコア部材3210を含む。これにより、前述の実施形態と同様、近位ハブ3207をコア部材3210の軸方向に沿って摺動させることができる。本明細書の他箇所に記述するように、アクチュエータ(図示せず)を近位ハブ3207やコア部材3210に結合して、軸方向の相対的な動きを制御できるようにしてもよい。
【0109】
本明細書の他箇所に記述するように、各細長部材3206はそれぞれ1つ以上の補強部材(図示せず)を含むことができる。この補強部材は、例えば長手軸3201の実質的な直角方向から反れたりねじれたりすることなく所望の方向に細長部材3206を拡張・収縮するように付勢する。また補強部材無しでは実質的に柔軟でねじれやすい細長部材3206の管状体を幾分取りまとめる役割も果たす。代わりに、例えば細長部材の断面形状によって付勢および/または横方向の安定性が改善される場合などには、補強部材を不要としてもよい。本代替例は、(例えば本明細書の他箇所に記述するように補強部材中の金属性材料により)補強部材が放射線照射を減衰するなどの効果をもたらすためLDR用途に有益である。
【0110】
装置3200の使用時に、細長部材3206を折畳み形状(図示せず)にすることができる。組織を通った管道に遠位ハブ3209を(例えば、鋭利もしくは尖った遠位先端部を付けて単体で、または図示しないがカニューレその他の管状部材を介して)挿入し、細長部材3206を乳腺腫瘤摘出跡の内部などの標的組織領域内部に配設する。代替的実施形態では、図54に示すような送置装置4050を使用し装置3200へのアクセスや照射を行う。一般に送置装置4050は、トロカール4052とシース4062とを備える。トロカール4052は、実質的な剛体または準剛体の細長体に近位端4054と鋭利な遠位先端部4056とを含めたものである。シース4062は、近位端4064と、遠位端4066と、近位端4064上にある1つ以上のハンドル4068とを含む。さらにシース4062は、近位端4064と遠位端4066との間に延びる1つ以上の弱化領域または他のシーム4070を含んでもよい。シース4062は、細長部材3206を折畳み形状にした装置3200などの小線源治療装置がその中を通ることのできる大きさとしてもよい。
【0111】
送置装置4050を最初、図54に示すように、シース4062がトロカール4052を包囲し、鋭利な遠位先端部4056がシース4062の遠位端4066を越えて延びた状態にする。次いで送置装置4050を組織に挿入する。例えばこの際、鋭利な遠位先端部4056を(小さな切り込み等を介して)患者の皮膚に直接侵入させ、介在する乳房組織を通って乳腺腫瘤摘出跡などの治療部位に送り込む。(いずれも図示せず)。シース4062の遠位端4066を治療部位に配設したら、トロカール4052をシース4062から近位に取り除くことができる。また、トロカール4052の近位端4054およびシース4062上のハンドル4068に、トロカール4052をシース4062内にかみ合わせたり固定したりする機構(例えば、戻り止めなど)を任意に設けてもよい。トロカール4052を除去する際には機構を開いたり、また単に十分な力で引っ張り機構を解放したりして、このような機構を解除ことができる。
【0112】
再び図35Aを参照する。折畳み形状にある小線源治療装置3200をシース4062内に進め、細長部材3206を治療部位に配設することができる。細長部材3206が治療部位内部に設置された状態(例えば治療部位がシース4062の遠位端4066に近接した状態)でシース4062を取り除くと細長部材3206が治療部位で露出する。このようにするためにはシース4062を分離可能にしてもよい。例えば、ハンドル4068を近位に引いてシースから離れるようにすると、シース4062がシーム4070に沿って分離される。このようにシース4062を単なる引きはがし型とし、例えば装置3200上の大きな近位ハブ3207の上を通してシース4062を除去できるようにしてもよい。装置3200を配置するためのこのような送置装置4050および方法は、本明細書の他箇所に記載されるいずれの実施形態における送置にも利用することができる。
【0113】
もう1つの代替的な送置方法および装置として、従来のイメージング法(超音波法など)を用い、乳腺腫瘤摘出跡などの治療箇所に針を配置することもできる。針の先端を所望の箇所(乳腺腫瘤摘出跡など)に配置する際、針にガイドワイヤーを通す。そして針を取り除くと、ガイドワイヤーの先端が所望の箇所に残される。そして、このガイドワイヤー上に先端テーパ付き拡張器/シースアセンブリを進め、外側シースの遠位先端部が治療箇所に入るようにする。その後、ガイドワイヤーおよび拡張器を取り除くとシースが治療箇所に届いた状態となる。それからこのシースを通して装置3200を送りこみ、装置3200が組織内の所望位置に配置したら、例えば前述の方法と同様に引き剥がすなどしてシースを除去することができる。
【0114】
図35Aおよび図35Bを参照する。近位ハブ3207をコア部材3210に対して遠位方向に動かすことにより、図示したように、細長部材3206が外側に向かって弓状に曲がる。装置3200を拡張形状にすると、内側細長部材3206bの外延部3217は、外側細長部材3206aの間に陥入した組織を少なくとも部分的に方向付けて、空洞を所望の形状にする。言い換えれば、(例えば乳腺腫瘤摘出跡の周辺組織を圧迫する)投影面積の広い細長部材は、投影面積の狭い部材より陥入程度が小さく、乳腺腫瘤摘出跡を再整形および/または拡大するように作用する。逆に、投影面積が比較的狭い細長部材は組織により深く侵入する傾向にあり、このため陥入の度合いが高まったり、空洞の再整形および/または拡大が起こりにくくなったりする。
【0115】
その後、例えば細長部材3206が折畳み形状に戻らないように装置3200を固定してもよい。例えばクランプなどのデバイス(図示せず)を近位ハブ3207の直近でコア部材3210の周囲にクリップし、コア部材3210や近位ハブ3207相互の摺動を抑えるようにしてもよい。代わりに、アクチュエータが除去可能な場合には、アクチュエータによって(例えば近位ハブ3207上のネジとコア部材3210との摩擦により)操作されない限り、近位ハブ3207を実質的に固定されたままにしておいてもよい。このようにすると、アクチュエータを除去する際にアクチュエータを解除・除去しても、近位ハブ3207を実質的に動かなくすることができる。装置3200を所望の直径または他の拡張形状に固定するための他の方法は、本明細書の他箇所に記述するものなどがある。
【0116】
上記の後、1つ以上の放射線源を細長部材3206内に送り、空洞の周辺組織に放射線を照射できるようにする。このように細長部材3206によって放射線源を受ける経路を規定してもよい。また例えば、複数のLDR線源を細長部材3206に送置し、所定の時間、内在したままにしてもよい。代わりに、本明細書の他箇所に記述するような所望の線量計画に従って、1つ以上のHDR線源を細長部材3206に順次に送置してもよい。例えば、HDR線源を第1の細長部材3206内に導入し、第1の位置に進め、所定の時間この第1位置に保持する。そしてHDR線源を第2の位置まで前進および/または後退させ、所定の時間そこに保持するなどしてもよい。その後、第1の細長部材3206からHDR線源を除去し、同様な方法でこれらを他の細長部材3206に順次導入してもよい。さらに別の代替例では、1つ以上の放射線源を空洞内への導入前に細長部材3206に予め装填しておくか、固定しておくこともできる。
【0117】
次いで図36Aおよび図36Bを参照する。これらの図には拡張可能な小線源治療装置3300のもう1つの実施形態示されており、本実施形態は一般に近位ハブ3307と、遠位ハブ3309と、ハブ3307およびハブ3309の間に延びる複数の細長部材3306とを備える。装置3300はコア部材(図示せず)または他のアクチュエータをさらに含んで細長部材3306を折畳み形状(図示せず)と図示の拡張形状との間で方向付けられてもよい。これら部品の構成は、本明細書記載の他の実施形態と同様である。
【0118】
前述の実施形態とは異なり、装置3300は、近接する細長部材3306の間に延在する1つ以上の柔軟な膜3317を備える。例えば、エラストマー製またはその他の薄い材料や柔軟な材料(例えばシリコーン、ポリウレタン等)を近接する細長部材3306の縁に取り付けるか、そこから懸架するなどして、近接する細長部材3306間に延びる個々の皮膜または表面を設ける。代わりに、単一のスリーブ、シート、またはその他の膜3317を全ての細長部材3306の周囲に取り付けてもよい。この代替例では膜3317が実質的に変形可能で、細長部材3306の拡張に適合でき、一方で膜が、近接する細長部材3306間を内側に伸びるようになっている。さらに別の代替例では、膜3317が、実質的に非弾性または部分的に弾性の材料であり、細長部材3306が折畳み形状から拡張形状に向かう際、この材料が伸びずに開く、または、伸びて開くようにしてもよい。さらにもう一つの代替例では、膜3317の厚さが不均一に(例えば、近接する細長部材3306間の中間領域ではより厚く、細長部材3306の直近ではより薄く)なっており、図36Bに示すように膜3317の形状が例えば凹状になり易くできている。
【0119】
膜3317が、実質的に平坦または凹状の皮膜を規定する場合がある。また、代わりにポリマーフィラメントの編組配列など、近接する細長部材3306間に延在する表面を規定する場合もある。使用時には、装置3300が空洞内部で拡張された際、細長部材3306が周辺組織を外側に圧迫する。このようになると、本明細書の他箇所に記述するように、周辺組織が少なくとも部分的に細長部材3306の間に陥入する場合がある。しかし組織陥入するにつれ、膜3317が陥入する組織を圧迫するなどして組織と接触し、陥入の程度を制限したり制御したりできるようになる。従い、装置3300が完全に拡張した際における周辺組織の形状予測がより簡単にできるようになり、装置3300を用いて照射する放射線の線量計画の適宜選択や適宜使用が容易になる。その後、本明細書の他箇所に記載の他の実施形態と同様に、1つ以上の放射線源を装置3300内に導入することができる。
【0120】
いくつかの実施形態おける膜3317は任意に、拡張された細長部材3306を完全に覆い、拡張された装置3300の内側全体にシールを形成することができる。一方他の実施形態における膜には、これを通る開口や、ボイドその他の間隙(図示せず)を形成することが好ましい場合もある。これらの間隙により、流体が膜の内表面と外表面とを行き来できるようになる。このようにすることで、(例えば血清腫など)膜の内表面や外表面への流体堆積を最小限に抑えることができ、その結果、拡張された細長部材3306に相対する標的組織の動きを最小化することができる。
【0121】
図37Aおよび図37Bを参照する。ここには拡張可能な小線源治療装置3400のさらにもう1つの実施形態が示されており、この装置は一般に近位ハブ3407と、遠位ハブ3409と、ハブ3407およびハブ3409の間に延びる複数の細長部材3406とを備える。装置3400は、折畳み形状(図示せず)と図示した拡張形状との間で細長部材3406を方向付けるために、コア部材(図示せず)またはその他のアクチュエータを含むこともできる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0122】
さらに装置3400は、スリーブ3417を含むことができる。このスリーブは外側細長部材3406aの配列によって規定される内部空間の中で支持される。例えば図示した実施形態では、前述の実施形態と同様に構成された複数の内側細長部材3406bによってスリーブ3417が少なくとも部分的に支持されている。内側細長部材3406bは、1つ以上の放射線源(図示せず)を受けるための管状体を含んでも良い。代わりに、内側細長部材3406bを単なるリブや補強部材としてもよく、また、スリーブ3417内にあるか、このスリーブに取り付けられたり接触したりする他の構造としてもよい。このようにしてスリーブ3417は外側細長部材3406aから離れた内側体積を規定することができる。
【0123】
スリーブ3417は1つ以上の膜を含むことができ、この膜を、図36Aおよび図36Bに示す膜3317と同様に構成したり、内側細長部材3406bに取り付けたりすることができる。例えば、スリーブ3417を、内側細長部材3406bを覆うエラストマーまたは同様な材料で形成し、内側細長部材3406bが折畳み形状から拡張形状に向かう際、スリーブ3417が弾性的に伸びるか、またはその他の方法で拡張できるようにしてもよい。代わりに、スリーブ3417を実質的に非弾性的および/または非従順(noncompliant)な材料で形成し、内側細長部材3406bが拡張形状に向かって方向付けられる際、スリーブ3417が少なくとも部分的に開くようにしてもよい。
【0124】
装置3400を拡張させると、スリーブ3417が実質的な球根形状(例えば、実質的な球、フットボール、スイカ、その他の形状)に拡張する。スリーブ3417は例えば外側細長部材3406aの間に陥入するなどして延びる周辺組織と接触し、その結果、周辺組織の配置を制限および/または制御する。前述の実施形態と同様、所望するおよび/またはより予測可能な方法でスリーブ3417が周辺組織を方向付けて、周辺組織のプロフィールおよび/または形状予測を容易に行えるようにすることで、装置3400を用いて照射される最適な放射線線量計画の選択が容易に行えるようになる。
【0125】
図38Aおよび図38Bに、拡張可能な小線源治療装置3500のさらにもう1つの実施形態を示す。この装置は一般に、近位ハブ3507と、遠位ハブ3509と、ハブ3507およびハブ3509の間に延びる複数の細長部材3506とを備える。また装置3500は、折畳み形状(図示せず)と図示した拡張形状との間で細長部材3506を方向付けるために、コア部材3510またはその他のアクチュエータを含むことができる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0126】
前述の実施形態とは異なり細長部材3506は、管状体3516から延び、細長部材3506の表面積を増大させる外延部3517を含む。図示したように、外延部3517が管状体3516の両側に設けられており、例えば長手方向軸3501に対して横方向および/または円周方向に延びている。これにより装置3500が導入される空洞の周辺組織と接触する内側細長部材3506の表面積を増大させる。表面積が増大する結果と、装置3500が拡張される際、例えば周辺組織を半径方向外側に押す接触面が組織を傷つけないなど、空洞周辺組織の整形が容易になる。
【0127】
図39Aおよび図39Bは拡張可能な小線源治療装置3800のもう1つの実施形態を示す。本装置は、拡張可能なデバイス3802と、作動ツール3820とを備える。一般に拡張可能なデバイス3802は、近位ハブ(図示せず)と、摺動ボタン3807と、遠位ハブ3809と、近位ハブおよび遠位ハブの間に延びる複数の細長部材3806とを備える。装置3800は、折畳み形状(図示せず)と図示の拡張形状との間で細長部材3806を方向付けるために、近位ハブ3807および遠位ハブ3809の間に延びるコア部材3810を含むこともできる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0128】
前述の実施形態と異なり細長部材3806は、遠位ハブ3809から近位ハブおよび摺動ボタン3807を通って近位端3812に延びている。細長部材3806を単一の押出材または他の管状体から形成してもよいし、例えば、接着、溶着、ラッピング(lapping)等により互いに接続した複数の管状体から形成することもできる。図示の近位端3812は、中心の長手軸3801から半径方向に離れるように延びている。近位端3812は、半径方向に対し実質的な剛体となっており、アフターローダー移送管(after-loader transfer tube;図示せず)にしっかりと固定できる一方、その長手方向に対しては柔軟となっており、患者の安心および/または操作性を高められるようになっている。この形状により、例えば本明細書の他箇所に記述するように、1つ以上の放射線源を受ける特定の細長部材3806の識別を容易に行うことができる。
【0129】
さらに拡張可能なデバイス3802は、例えば長手軸3801と実施的に平行でコア部材3810近傍などを延びる中央管状部材3816を含むことができ、中央内腔やその他の経路(図示せず)を含んでもよい。中央管状部材3816は近位端3817を含む場合があり、この近位端も長手軸3801から離れる方向(例えば図示したように斜め)に延びることができる。任意に、中央管状部材3816の近位端3817を、他の細長部材3806の近位端3812からオフセットするなどして区別し、例えば中央管状部材3816の識別を容易にするなどしてもよい。例として、細長部材3806の近位端3812を拡張可能なデバイス3802の外周の一部分に設ける一方、中央管状部材3816の近位端3817を外周の反対側に設けることもできる。
【0130】
前述の実施形態と同様、ボタン3807は、細長部材3806の軸方向を、皮膚表面から近位端3812までの何れの位置にも移動可能で、例えば、細長部材3806を所望の配列にまとめる助けとなる。装置3800は除去可能な拡張ツール3820を含み、このツールは、拡張可能なデバイス3802に結合されて、細長部材3806を折畳み形状と拡張形状との間で方向付けることができるようになっている。
【0131】
拡張ツール3820は、相互に回転可能な内側および外側の細長いシャフト、(例えば、外側管状シャフト3822および、ロッド、ケーブル、ワイヤー、その他の内側シャフト;図示せず)を一般に含む。外側シャフト3822は、ハンドル3825の付いた近位端3824と、1つ以上の機構3827(例えば近位ハブ上の六角穴などの機構に対応して係合する六角棒形状などの機構;図示せず)の付いた遠位端3826とを含む。この内側シャフトは、ハンドル3825に近接する近位ハンドル3828と、1つ以上の機構(例えば、外側シャフト3822の遠位端3827上かこれを越えて位置する六角キー付き先端部3829)とを含む。先端部3829は、例えば六角形領域やその他の機構(図示せず)など対応するキー付き領域にコア部材3810の近位端を係合するなどの方法によって受けられる。
【0132】
使用時には、拡張ツール3820を細長部材3806の間に挿入し、近位ハブおよびコア部材3810に係合させる。例えば、外側シャフト3822上の六角キー付き端部3827を近位ハブ内の六角形領域と係合させ、キー付き先端部3829がコア部材3810内の対応するポケットに受けられるまで、拡張ツール3820を回転させてもよい。その後で、ハンドル3825とハンドル3828を相反方向に回転させると、近位ハブが遠位に向かって、および/または、コア部材3810に対し近位に向かって進み、本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様、細長部材3806が拡張したり元に戻ったりする。
【0133】
必要に応じ、柔軟なチューブ部材(図示せず)を近位ハブ3807に取り付けてもよい。この際、チューブ部材の長手軸を近位ハブ3807のキー付き要素と軸合わせする。このようにすると、拡張ツールがチューブ部材の内部または周辺を通過することができ、2つのはめ合い面相互の容易かつ適切な係合を確かなものにする。このチューブ部材は放射線経路を規定するチューブ要素であってもよく、また拡張ツールのシャフト3826を受ける直径の比較的大きなチューブでもよい。
【0134】
図47Aは、小線源治療装置3800′を拡張および折畳みさせるために用いることのできる拡張ツール3820′の代替的実施形態を示す。本装置は本明細書記載の他のいずれの実施形態とも同様である。前述の実施形態と同様に拡張ツール3820′は、外側管状シャフト3822′と、内側ロッド、ケーブル、ワイヤーまたはその他のシャフト3830′とを含み、これらは相互に回転できるようになっている。外側シャフト3822′は、ハンドル3825′の付いた近位端3824′と、1つ以上の機構3827′(例えば装置3800′上や近位ハブ3807′内の近接する細長部材3806′の間に受けられるスポークなど)を含む遠位端3826′とを備え、これにより外側シャフト3822′を装置3800′に回転可能に結合する。内側シャフト3830′は近位ハンドル3828′と、1つ以上の機構(例えば、外側シャフト3822′の遠位端3826′に近接または内在しコア部材3810′の近位端3811′と係合するようなキー付き先端部3829′)とを含む。
【0135】
これにより、拡張ツール3820′を装置3800′に結合された際、ハンドル3825′、3828′を反対方向に回転させて細長部材3806′を拡張または折畳みさせることができる。例えば、細長部材3806′を折畳み形状(図示せず)にして患者の体内に装置3800′を導入する前または後に、拡張ツール3820′を装置3800′に結合してもよい。ハンドル3825′、3828′を第1の対向する方向に回転させることで、細長部材3806′を図47Aに示す拡張形状にすることができる。
【0136】
その後、拡張ツール3820′を解除し除去してもよい。装置3800′の除去(または細長部材3806′の拡張形状の調整)が必要な場合、拡張ツール3820′を装置3800′に再結合しても良い。装置3800′を除去する際には、ハンドル3825′、3828′を第2の対向する方向に回転させる。こうすると細長部材3806′が折畳み形状になり、装置3800′が患者の体内から除去できるようになる。細長部材3806′の拡張または折畳みに拡張ツール3820′を用いれば、装置3800′および/または周辺組織にかかる望ましくないトルクを最小化または実質的に無くすことができる。
【0137】
図39Aおよび図39Bに戻る。本明細書記載の他の実施形態と同様、患者への放射線照射に装置3800を用いることができる。さらに中央内腔3816を、例えばHDR放射線治療の際に放射線源を送置するための追加的な経路として用いてもよい。このようにして、細長部材3806内に1つ以上の放射線源を導入した後またはこれと同時に、放射線源を中央内腔3816に導入してもよい。
【0138】
例えば、細長部材3806の近位端や遠位端(拡張形状にある細長部材3806の最大径が「赤道」を定義する場合には「極」と呼称する場合もある)に近接する周辺組織への過量照射または「やけど」を最小限に留めるように中央内腔3816を用いることもできる。最大線量の放射線源を細長部材3806の近位端または遠位端の直近に送置する場合、得られる放射線強度が所望の強度より高くなることがある。この対策の1つとして、LDR用途では、例えば細長部材3806の両端にスペーサーを用いるか線源の放射量を低くする、またHDR用途では、極における滞留時間を短縮することなどができる。しかしながらこれらの方法は、デバイスの極領域における放射線線量の不適当な侵入を招く場合もある。中央内腔3816を用いれば、これらの極領域内における所望線量分布の放射線照射が可能となる。一般に、中央内腔3816を細長部材3806の外側層と組み合わせて用いれば、放射線をより正確かつフレックスに照射することができる。例えば放射線敏感構造(例えば、皮膚、胸壁等)が近接する対称な空洞領域の近傍で治療を行う場合、中央内腔3816を放射線照射に用いる唯一の内腔としてもよい。
【0139】
なお、中央管状部材や内腔を本明細書記載のいずれの実施形態にも含めることもできる。ここで図52Aおよび図52Bを参照する。本図に示す拡張可能な小線源治療装置3800′の代替的実施形態は、複数の細長部材3806′と、コア部材3810′と、近位ハブ3807′および遠位ハブ3809′の間に延びる中央管状部材3816′とを備える。装置3800′の各部品は、図39Aおよび図39Bに示す装置3800と一般に同様である。装置3800と異なり装置3800′は、ハブキャップまたはバンプ先端3819′を含む遠位ハブ3809′を備え。先端3819′は、遠位ハブ3809′と一体成形してもよいし、またこれに取り付けてもよい。バンプ先端3819′には、中央管状部材3816′の遠位端3816a′を受ける内部空洞が設けられ、中央管状部材3816′が細長部材3806′を越えて遠位に延びるようになっている。
【0140】
中央管状部材3816′の外延部は放射線源を受けるように構成されている。装置3800′には中心軸から半径方向の外方で遠位ハブ3809′に取り付けられた細長部材3806′が備えられているが、前記放射線源はこの細長部材を越えて遠位に延びる。このようにして放射線源(図示せず)を中央管状部材3816′内およびバンプ先端3816a′内に進め、これにより遠位ハブ3809′およびバンプ先端3819′の遠位を越えたり囲ったりする近傍組織への放射線照射を強化することができる。
【0141】
戻って図40Aおよび図40Bを参照する。本図に示す拡張可能な小線源治療装置3900のもう1つの実施形態は、単一の本体3901として成形された近位ハブ3907と遠位ハブ3909との間に延びる複数の細長部材3906を備える。図40Aは折畳み形状にある細長部材3806を示し、一方図40Bは拡張形状にある細長部材3806を示す。図40Bではコア部材3910を見ることができる。コア部材3910を、例えば長さの少なくとも一部に沿ってネジ切りされた別の細長部材とし、コア部材3910が単一本体内部で回転して、本明細書記載の他の実施形態と同様に細長部材3906を拡張したり、折畳んだりできるようする。
【0142】
次いで図41Aおよび図41Bを参照する。単一本体3901を押出、射出成形、鋳造などで成形し、例えば、細長部材3906の全ての機構や、近位ハブ3907および遠位ハブ3909を含むようにしてもよい。図42に示すように単一本体3901を、比較的薄いもしくは弱化した領域または膜3911などによって互いに接続した近接する細長部材3906付きの押出材として形成することができる。細長部材3906は、放射線源(図示せず)を受ける内腔3908など、1つ以上の内腔を含むことができる。細長部材3906が拡張できるようにするため、例えば細長部材3906に対応する単一本体3901の長さ部分に沿って皮膜3911を切断するなどして分離する。必要に応じ余分な皮膜材料を切り取るか、またはそのまま残して外延部(図示せず)とすることもできる。膜3911の厚さを、単一本体3901の部分に沿って実質的に均一にすることで細長部材3906を規定するか、また厚さを変えて、例えば、外延部その他の機構(図示せず)を形成するようにしてもよい。
【0143】
膜3911を分離したら、コア部材3910または装置3900の他の部品を取り付けるなどして単一本体3901に組み込むことができる。例えば、単一本体3901が細長部材3906に別の内腔(図示せず)を含む場合、補強部材等(図示せず)をこの内腔に挿入してもよい。例えば本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様に任意であるが、中央管状部材や内腔(図示せず)を単一本体3901の一部として形成するか、単一本体3901に取り付けてもよい。
【0144】
次に図45から図46Bを参照する。これらの図に示す拡張可能な小線源治療装置4100の追加的実施形態は、近位ハブ4107と遠位ハブ4109との間に延びる複数の細長部材4106と、コア部材4110とを備える。これらは本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様に構成されている。装置4100はさらに、近位ハブ4107から近位に延びる複数の管状部材4116を含む。図45に見られるように、近位ハブ4107は複数のニップル4117その他の機構を含み、そこに管状部材4116をそれぞれ取り付けられるようになっている。従って各管状部材4116は、前述の実施形態と同様に対応する細長部材4106の内腔と連通することができる。管状部材4116は、いずれの所望長さ、例えば患者の体外から治療部位にアクセスしその内部で細長部材4106を展開するのに十分な長さとしてもよい。
【0145】
任意ではあるが、図45に示すようにコア部材4110を中空のチューブとし、例えば、放射線源の経路として用いられる内腔(図示せず)を形成してもよい。この場合、管状部材(図示せず)を、コア部材4110の内腔と連通する近位ハブ4107から近位に延ばすこともできる。
【0146】
例えば装置4100は、中心軸4101に沿った中空ネジ付き要素4118をさらに含むことができる。ネジ付き要素4118は、拡大された近位端4119を含むロッドまたはチューブと同様に構成され、この近位端の内側には、本明細書の他箇所に記載されるような拡張ツール(図示せず)の対応する六角形端部を受けるような形および/または大きさとなった六角形の陥凹部または表面(図示せず)がある。
【0147】
さらに、図45の実施形態に示すように、個々の管状要素4107を先端4109のすぐ近位で平坦にし、装置4100の中心軸4101を横切り近位ハブ4107に戻るようにすることもできる。このようにすると、半径方向に配置された8本の細長部材4106の配列を4本の隣接するチューブから作製することができる。例えば、対向する各細長部材4106は、近位ハブ4107から遠位に延び、コア部材4110の遠位端を通って近位ハブ4107まで近位に延びる単一のチューブ部位を含むこともできる。任意ではあるが、図46Aおよび図46Bに示す実施形態のように遠位ハブ4109は、コア部材4110の遠位端に被せて固定されたキャップ4109aを含んでもよい。この固定には、締まり嵌め、接着、溶着、かみ合うネジまたはその他のコネクター等を用いることができ、これにより細長部材4106を遠位ハブ4109に固定する。代わりに、図45に示すように、細長部材4106をそれぞれの先端で接合(例えば、熱着または接着)するか、チューブ部位がコア部材4110の遠位端と交わる際に軸合わせを行えるようにするための溝または他の機構(図示せず)を設けるなどしてもよい。装置4100の中心軸4101に対し遠位先端部を直角に交わさせると、細長部材4106を遠位ハブ4109で中心軸4101に対し実質的に平行配列する場合よりも短い先端長さで、細長部材4106を配列することができる。その例を図46Aおよび図46Bに示す。先端を短くすると、装置4100の遠位先端部における、乳腺腫瘤摘出跡への線量測定が行い易くなる。
【0148】
図53Aおよび図53Bには、図45から図46Bに示した装置4100と一般に類似した代替的実施形態の装置4100′を示す。装置4100′は複数の細長部材4106′と、近位ハブ4107′および遠位ハブ4109′の間に延びる中央管状部材4116′とを一般に備える。図示したように、遠位ハブ4109′はバンプ先端4119′を含むが、この先端は図52Aおよび図52Bに示す実施形態と同様なものでも構わない。装置4100′は、近位ハブ4107′から近位に延びる管状部材またはカテーテル4126′を含むことができ、図46Aおよび図46Bに示した実施形態と同様、所望の長さにすることができる。
【0149】
図示したように、管状部材4126′を近位シャフト4128′の周りに設け、さらにシャフト4128′の周りに摺動可能に配設されたカラー4129′で支持することができる。カラー4129′はカテーテル4126′を整列した状態に保ち、使用時にはカラー4129′を、例えば装置4100′を移植する患者の皮膚表面までカテーテル4126′に沿って摺動させることができる。装置4100′の患者への固定を助けるため患者の皮膚に通した縫合糸を、摺動ハブ縁上の縫合糸孔(図示せず)で受けることができる。
【0150】
代わりに、カラー4129′を管状部材4126′に固定し、カラー4129′を軸方向に動かして管状部材4126′を伸縮させ、これにより前述の実施形態と同様、細長部材4106′を拡張させたり折畳んだりすることができる。この実施形態では、近位ハブ4107′をシャフト4128′に対し固定する。また管状部材4126′は近位ハブ4107′を通って延びており、近位ハブ4107′を動かさずにカラー4129′を軸方向に方向付けるように構成されている。この構成により、近位ハブ4107′を通って管状部材4126′を動かして細長部材4106′の拡張および折畳みを行ってもよい。
【0151】
一対のハンドル4132′、4134′をシャフト4128′の近位端に永久固定するなどして設け、これらを相互に回転可能にすることにより、例えば、図39A、図39B、および図47に示した拡張ツールのように、細長部材4106の拡張や折畳みを可能にしてもよい。拡張ツールを装置4100′に永久的に取り付けるため、コア部材4110′を剛体とする必要がなくなる。例えば、いくつかの実施形態におけるコア部材4110′は装置4100′遠位端まで延びる柔軟なケーブル(図示せず)でもよく、これによって遠位端を引っ張り、細長部材4106′を拡張できるようにする。ケーブルは、その遠位端が遠位ハブ4109′または遠位ハブ4109′からの外延部(図示せず)に溶接またははんだ付けされた単一要素であってもよい。
【0152】
代わりに、ケーブルをループとしてもよい。その際ケーブルは、遠位ハブ4109′またはそこからの外延部(図示せず)に明けられたアイレットまたは孔を通過する。このケーブルの近位端を、セットネジ(図示せず)でハンドル要素4134′に取り付けることもできる。柔軟なシャフト4128′が回転方向および軸方向に十分な安定性を有する限り、装置4100′の拡張および折畳みを駆動する一対のネジを、ハンドル要素4132′、4134′内に配置することもできる。(図示せず)。このようなケーブルによるアクチュエータを用いれば、例えばかみ合うネジを設置するのに必要な容積を患者の体外(例えば拡張ツールの内部)に配置できるので、患者の体内に入る領域を小さくすることができる。代わりに、永久固定されたシャフト4128′を、シャフト4128′内の回転要素とともに除去可能な拡張ツール(図示せず)で置き換えることも可能である。装置4100′は、本明細書記載の他の実施形態と同様、細長部材4106′や、1つ以上の放射線源(図示せず)を受ける中央管状部材4116′とともに用いることができる。
【0153】
戻って図48から図51を参照する。これらの図に示されるカートリッジ4250を、LDRポッド(図示せず)など複数の放射線源の送置に用いることができる。線源は、本明細書記載のいずれの実施形態とも同様に、例えば拡張可能な小線源治療装置4200に、実質的同時に送置することができる。カートリッジ4250は、近位端4254と遠位端4256とを含む複数の管状体またはその他のキャリヤー4252を一般に備える。キャリヤー4252は、例えばカラー、バンド、ハブ等4258によって相互に固定されている。遠位端4256を、例えば摺動係合や、1つ以上のコネクター(図示せず)などによって装置4200に接続してもよい。
【0154】
カートリッジ4250は、複数のピストン4262を含むピストンアセンブリ4260をさらに備えることができる。このピストンはそれぞれ対応するキャリヤー4252内に摺動可能に受けることができる。ピストン4262を、キャリヤー4252の配設部(例えば近位ハンドル4264)に対応する配設部に接続したり固定したりしてもよい。キャリヤー4252にそれぞれの放射線源(例えばポッド4270)を装填する。図49にこの先端を見ることができる。そして装填前または後にピストン4262をキャリヤー4252内に挿入する。
【0155】
本明細書の他箇所に記載の実施形態と同様、使用時には、装置4200を患者の体内に移植することができる。拡張ツール(図示せず)を用いて、近位ハブ4207を解除するなどして細長部材4206を取り外し、これを拡張することができる。図51に示すように、近位ハブ4207はカートリッジ4250との接続が自由に行えるようになっている。図50Aに示すように、キャリヤー4252の遠位端4256を近位ハブ4207に接続することができる。例えば、近位ハブ4207上のニップル4217の上または内で、遠位端4256を単に摺動可能に受けるだけでもよい。追加的または代替的に、遠位端4256および/または近位ハブ4207が戻り止めその他の機構を含み、これが係合するなどしてカートリッジ4250を装置4200に固定できるようにしてもよい。
【0156】
図50Bを参照して、放射線源4270(図50Bに図示せず。;図49を参照のこと。)を導入する際には、ピストンアセンブリ4260のハンドル4264を押し下げる、すなわち装置4200に向け遠位に押すことができる。このようにすると、ピストン4262が遠位に進み、対応するキャリヤー4250に入り、ピストン4262が放射線源と接触しこれをキャリヤー4250から遠位に押しだす。すると放射線源は近位ハブ4207を通過して、対応する細長部材4206内に入る。この放射線源を使用して、所望の線量計画に従い、細長部材4206周辺の組織に放射線を照射する。
【0157】
放射線源の導入後、カートリッジ4250を解除するなどして装置4200から取り除くことができる。必要に応じ、ネジ付きキャップまたは圧入キャップ(図示せず)を近位ハブ4207の端部に被せ、治療中に放射線源要素4270をさらに固定するとともに保護を行ってもよい。十分な放射線を照射した後、拡張ツール(図示せず)を用いて細長部材4206を折畳み状態にし、装置4200を放射線源とともに患者の体内から除去することができる。放射線を十分に照射した後で、ピストンアセンブリ4260のハンドル4264を近位に引っ張り、放射線源をキャリヤー4252内に抜き取ることができる。その後、カートリッジ4205を装置4200から取り除いてもよい。装置4200を患者の体内にそのまま残し、例えば後の放射線治療を行ってもよいし、またはカートリッジ4250除去後にこれを取り去ってもよい。
【0158】
本明細書記載の装置によれば、小線源治療デバイス(または他の放射線源)を用いて、空洞内の位置から空洞周辺組織に向けた放射線照射を、例えば単一切開部を介して行うことが可能になる。さらに本明細書に記載する腔内用の装置、方法およびシステムによれば、1つ以上の放射線源を標的となる空洞の周辺組織に対し実質的に固定することが可能になる。周辺組織をデバイスの周りに十分陥入させることで、移植の全期間を通じ、デバイスの固定を確かなものとしたり、乳腺腫瘤摘出跡の近傍組織に対し、線量の過不足なく十分な深さに所望の放射線を浸透させたりすることができる。その結果、小線源療法の治療期間にわたって、特定の組織への所望の線量照射が行われる。さらに、(例えば周辺組織に対するデバイスの予期せぬ動きなどによる)意図しない組織への照射を最小化することができる。
【0159】
本明細書記載の小線源治療デバイスを、腫瘍の外科的切除前(術前)に、腫瘍内(および/または周辺)に移植し、その後、手術時またはその前に除去することもできる。このような治療を施すことで、腫瘍を縮小、場合によっては破壊することができる。他の実施形態では、本明細書記載の装置および方法を用い、腫瘍組織を外科的に切除した後に小線源療法を施して、術後(例えば乳房の乳腺腫瘍摘出術後)の周辺組織を治療することもできる。場合によっては、本明細書に記述・説明した小線源治療装置および方法によって、従来の治療法、すなわち腫瘍切除、全領域外照射療法(EBRT:external beam radiation therapy)、化学療法などを補う、またはそれらの必要性を低減させることなども考慮される。代わりに、本明細書記載の方法をこうした治療(例えば化学療法、EBRT)の術後に実施することもできる。
【0160】
代わりに、本明細書記載の装置および方法をHDR治療の実施に用いることもできる。例えば既知のHDR線量計画に従い、1つ以上のHDR放射線源をデバイスの経路に沿って送置してもよい。さらに別の代替例では、HDR放射線源(例えば、Varian Medical Systems, Inc.製のイリジウム先端付アフターローダーケーブル、または、米国特許公開2005/0061533A1に開示されるような小径X線源など)を本明細書記載のコア部材を通って進め、さらに拡張可能なデバイスによって空洞を広げることで空洞の周辺組織により均一な放射線照射を行い易くすることもできる。任意として、放射線源のシールドをコア部材に設け、周辺組織の所望の部分に向けて放射線源からの放射線を方向付けることもできる。
【0161】
また本明細書記載の小線源治療デバイスは従来のHDRカテーテルに比べて実質的により柔軟なため、これらを直線状または曲線状(例えば、カーブやスパイラル)などいかなる形にも配置することができる。このような柔軟性により、他の方法ではアクセスすることのできない形状および位置への放射線源(例えばシード)の移植が可能になる。
【0162】
本発明の装置および方法によれば、比較的少ないカテーテルで、所望の線量を照射できる可能性もある。例えば本明細書記載の装置および方法によれば、従来のHDR法で使用される典型的な標的当りの本数のカテーテルより少ない本数で所望の線量照射レベルを達成できる可能性がある。なお、本明細書記載のデバイスは、やはり従来のイメージング法(例えば定位固定X−線法、超音波法、CT法など)を用いて移植する必要がある。
【0163】
また本発明の装置および方法は、患者にその他の利便を供与する。例えば、挿入の結果として生じ得る皮膚の損傷や不快感を、小さく柔軟なカテーテルによって和らげる可能性もある。さらに小さく柔軟なテール部は、適切な位置に一旦収まった後、短く切ることができるのみならず、折り畳んで皮膚にテープ止めすることもできる。このようなことは硬いHDRカテーテルでは困難である。従って治療期間を通じ、患者が不快感を抱く可能性も低く、場合によっては術後の見た目も改善される可能性がある。さらに例えば、本発明による装置および技法は、他の治療(例えばEBRTや化学療法)に比べ副作用が小さくなる可能性もあり、例えば現在のHDR小線源療法の治療計画と比べ通院回数を少なく済ませる可能性もある。
【0164】
またさらに、本明細書記載の小線源療法送置システムによれば、病班サイズに基づいた放射線の線量標準化が可能になる。その結果、煩雑な線量計算やマッピングシステムの必要性を低減したり、またある種の癌(例えば乳癌)に対してはこのような手間を省略したりできる可能性もある。
【0165】
以上、本発明の例示的な実施形態を記述した。当業者は、本発明の範囲内で多くの実施形態が可能であることを認識するであろう。他の変形例や改良例、また本明細書記載の部品、方法の様々な組み合わせもまた、本発明の範囲に属するものであると言える。例えば、本明細書記載の治療デバイスはいずれも、本明細書に記載の送置システムおよび方法のいずれとも組み合わせることが可能である。従って本発明は、添付の請求範囲およびその等価範囲によってのみ限定されるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ヒトまたは他の哺乳類の体に小線源療法を行うための装置、方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、組織内、乳房や体内空洞などの組織に小線源療法による治療を実施するための拡張可能な装置と、そのような装置を用いて小線源療法を実施する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
小線源療法(brachytherapy)は、乳癌や前立腺癌のような悪性腫瘍を治療するために用いられる放射線療法である。小線源療法は、標的組織内に放射線源を直接配置することを一般に含み、その標的組織には、空洞またはボイド(例えば、腫瘍の除去により形成された空洞やボイドなど)を囲む腫瘍や組織など潜在的に癌性の細胞が含まれる場合がある。
【0003】
小線源療法は概ね2つのカテゴリーに分類される。例えば、高線量率(HDR:high dose rate)小線源療法および低線量率(LDR:low dose rate)小線源療法である。HDR小線源療法では、多くの場合、事前に移植されたカテーテルを介して、放射量の高い放射線源を標的組織に短期間(例えば、連続して数秒間から数分間)配置する。これに対し、LDR小線源療法では放射量の低い放射線源を長期間、時には無期限で、標的組織に配置する。
【0004】
いずれの小線源療法にも利点がある。例えばHDR小線源療法では、比較的短い線量照射期間にわたって高いレベルの放射線が照射される。一方、LDR小線源療法では、比較的低い放射量の放射線源を利用する。LDR放射線源のエネルギー場は、計量され局所化した放射線線量を、標的組織(例えば腫瘍、腺、または空洞もしくはボイドを囲む組織など)に照射する。しかしながら、このエネルギー場はその後減衰するため近傍の健全な組織への過度な照射を避けることができる。
【0005】
LDR放射線源の放射量が低いことなどにより、LDR小線源療法には様々な利点がある。例えばLDR小線源療法における被曝の予防策は、HDR小線源療法に比べ、医療従事者にとって遙かに緩やかなものである。またLDR小線源療法には、HDR小線源療法に比べて、(例えば、線量率効果など)放射線生物学的な利点があり、治療の際、正常組織の黄斑回避などが容易である。さらにLDR小線源療法の移植期間は比較的短いため、患者にとっても、放射線治療のため医療施設を訪問する回数が減るなどの利点がある。HDR小線源療法の場合、患者は放射線の部分照射を行う都度、医療施設に戻る必要があり、たとえば乳房の小線源療法の場合、典型的には8回から10回の通院が必要となる。
【0006】
LDR小線源療法で一般に用いられる放射線源には、パラジム(Pd)−103、ヨウ素(I)−125、金(Au)−198およびイリジウム(Ir)−192などの放射性同位元素がある。同位元素の大きさと形状は様々であるが、これらは、例えば直径約0.8ミリ、長さ約4.5ミリ程度の米粒大に規格化された円筒状カプセル(しばしば「シード」と呼称される)に入れられ投与される。
【0007】
LDRシードは、ガイドテンプレートを用いつつ針によって送置される場合も多い。このガイドテンプレートは、針の長手方向への前進をガイドするマトリックス状の孔を含み、標的組織に対して針が適切に配置されるように構成されたものがある。標的組織の適切箇所に針を一度配置したら、シードを各針の長手軸に沿って埋設し、その後、針を抜き取ることができる。
【0008】
小線源療法は効果的なものであるが、現在の実施方法には欠点もある。例えば、典型的なLDRシードは標的組織に内在し自由に浮遊した状態に置かれるため移動しやすい。さらに、LDRシードは一度移植すると、その除去や再配置ができないものと考えられている。またLDR小線源療法では、シード移植の前またはしばしば移植の間に、線量分布の計算とシードマッピングを慎重に行う必要がある。このような計算およびマッピングにより、標的組織体積に対して効果的な放射線照射を行うとともに、(例えば、前立腺の小線源療法などにおける尿道および直腸など)周囲の健全組織への照射を最小限に抑えることができる。このような線量計算やシードマッピング技法は効果的ではあるが、シード配置の正確性が臨床医によって潜在的にかなり異なるなどの問題がないわけではない。
【0009】
従来のLDR小線源療法技法に係わるさらに別の問題は、移植時において放射性シードを個々に取り扱う必要があり、これに時間がかかることである。さらに従来のLDR送置針は、シードを(比較的直線的な線に沿って)直線的にしか送置することができない。従って、所望の治療プロファイルを達成するためには多数の移植が必要とされ、線量分布やマッピングの技法と設備が複雑化する可能性がある。(例えば前立腺の小線源療法では、およそ50〜100個のシード移植も珍しくない。)
【発明の概要】
【0010】
本発明は一般に、局所化した標的組織領域に小線源療法を施すための装置および方法に関するものである。本発明は、殆どの身体領域の治療に有用なものであるが、例えば乳房の腫瘍または乳腺腫瘤摘出跡など、特に乳房組織の治療に特定の利点を発揮するものである。例えば、術前および切除後の両治療において本発明を利用し、局所化した放射線源を配置したり除去したりすることができる。
【0011】
発明の例示的な実施形態は小線源治療デバイスおよび装置に関するものである。このようなデバイスおよび装置によれば、標的領域(例えば乳房組織領域)に小線源療法治療を施すことができる。別の実施形態は、小線源治療デバイスの標的領域への送置に関するものである。また標的領域に小線源療法を施すためのシステムおよび方法が提供される。
【0012】
1つの実施形態による小線源治療装置は、近位端および遠位端を含み組織内の管道(tract)に導入できる大きさの細長体を備える。その遠位端に、経路を含んだ複数の細長部材を備えており、それに沿って放射線源を受けられるようになっている。細長部材は、組織管を通って標的箇所に導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動できるようになっている。標的箇所に放射線を照射するため、放射線源を経路に沿って導入することができる。
【0013】
もう1つの実施形態による方法は体内の組織に小線源療法治療を施すためのもので、空洞を含む標的箇所まで組織を通って管道を形成することと、複数の細長部材を有する細長体を、該細長部材が折畳み形状で管道を通って標的箇所内に進めることとを含む。標的箇所においてこの細長部材を拡張形状にすることができ、細長部材を中心軸から離れて位置させ、近接する細長部材の少なくとも一部の間を標的領域(例えば空洞周囲)の組織が延びるようにし、標的箇所の組織に治療を施すため標的箇所に放射線を照射できるようにする。
【0014】
上述した発明の開示は、本発明の各実施形態や実施法を全て記述することを意図するものではない。本発明は、添付図面を参照しつつ下記の詳細な記述、および特許の請求範囲を参照することでより明らかとなりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】小線源治療装置の例示的な実施形態を示す側面図で、放射性シードまたは小線源治療デバイスのストランドと、デバイスを中に受けるための針とが含まれている。
【図2A】乳房の断面図で、図1の小線源治療装置の使用方法を示す。
【図2B】図2Aと同様の断面図である。
【図2C】図2Aと同様の断面図である。
【図2D】図2Aと同様の断面図である。
【図2E】図2Aと同様の断面図である。
【図2F】乳房の断面図で、図1の小線源治療装置の別の使用方法を示す。
【図3A】小線源治療デバイスの例示的な第1実施形態を示す側面図である。
【図3B】図3Aに示すデバイスの線3B−3Bに沿った断面図である。
【図4A】小線源治療デバイスの例示的な第2実施形態を示す側面図である。
【図4B】図4Aに示すデバイスの線4B−4Bに沿った断面図である。
【図5A】小線源治療デバイスの例示的な第3実施形態を示す側面図である。
【図5B】図5Aに示すデバイスの線5B−5Bに沿った断面図である。
【図5C】図5A〜図5Bに示すデバイスの側面図で、例示的な除去方法を表す。
【図6】小線源治療装置またはキットのもう1つの実施形態を示す分解側面図である。
【図7】部分的に組み立てられた図6の小線源治療装置を示す側面図である。
【図8A】乳房の断面図で、図6および図7に示す小線源治療装置の使用方法を表す。
【図8B】図8Aと同様の断面図である。
【図8C】図8Aと同様の断面図である。
【図8D】図8Aと同様の断面図である。
【図8E】図8Aと同様の断面図である。
【図9A】小線源治療デバイスの第4実施形態を示す側面図である。
【図9B】図9Aに示すデバイスの線9B−9Bに沿った断面図である。
【図10A】小線源治療デバイスの第5実施形態の側面図である。
【図10B】図10Aに示すデバイスの線10B−10Bに沿った断面図である。
【図11A】小線源治療デバイスの第6実施形態を示す側面図である。
【図11B】図11Aに示すデバイスの線11B−11Bに沿った断面図である。
【図12A】小線源治療デバイスの第7実施形態を示す側面図である。
【図12B】図12Aに示すデバイスの線12B−12Bに沿った断面図である。
【図13A】小線源治療デバイスの第8実施形態を示す側面図である。
【図13B】図13Aに示すデバイスの線13B−13Bに沿った断面図である。
【図14A】小線源治療デバイスの第9実施形態を示す側面図である。
【図14B】図14Aに示すデバイスの線14B−14Bに沿った断面図である。
【図15】小線源治療デバイスの側面図で、デバイスを曲線形状に展開する方法を表す。
【図16A】乳房の断面図で、小線源治療デバイスをカテーテルから曲線状経路に沿って送置する方法を表す。
【図16B】図16Aと同様の断面図である。
【図16C】図16Aと同様の断面図である。
【図16D】図16Aと同様の断面図である。
【図16E】図16Aと同様の断面図である。
【図16F】乳房の断面図で、らせん形カテーテルを用いて小線源治療デバイスを送置する方法を表す。
【図16G】図16Fと同様の断面図である。
【図17A】さらに別の小線源治療装置の側面図で、小線源治療デバイスと送置カニューレとが含まれている。
【図17B】図17Aに示す装置の線17B−17Bに沿った断面図である。
【図18】放射線減衰用衣類(例;ブラジャー)の斜視図である。
【図19A】バルーンカテーテル装置(例;HDRカテーテル)の側面図である。
【図19B】図19Aに示す装置の線19B−19Bに沿った断面図である。
【図19C】図19Aに示す装置の線19C−19Cに沿った断面図である。
【図20】送置または移植システムの例示的な実施形態を示す側面図で、このシステムは本明細書記載の小線源療法の方法および装置に使用することができる。
【図21】図20に示す送置システムの平面図で、このシステムは複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置するものである。
【図22】例示的なカテーテルまたは針ガイドテンプレートの側面図で、例えば図21のシステムとともにこれを利用することができる。
【図23】別の送置または移植システムの平面図で、このシステムは複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置するものである。
【図24】針を受けるカートリッジの分解斜視図で、これは図23に示すシステム内に含むことができる。
【図25A】送置または移植システムのもう1つの実施形態を示す平面図で、複数の小線源治療デバイスを乳房内に送置ために用いられる。
【図25B】図25Aと同様の平面図である。
【図25C】図25Aと同様の平面図である。
【図25D】図25Aと同様の平面図である。
【図26】ヒトの体部分の正面図で、乳房内に移植・固定された複数の小線源治療デバイスを表す。
【図27】図25A〜図25Dに示すシステムの部分断面図である。
【図28A】乳腺腫瘤摘出跡を含む乳房の断面図で、拡張可能な小線源治療装置の例示的な第1実施形態を空洞内に送置する様子を表す。
【図28B】図28Aと同様の断面図である。
【図28C】図28Aと同様の断面図である。
【図28D】図28Aと同様の断面図である。
【図29A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第2実施形態を示す斜視図で、この装置は拡張または展開形状にある。
【図29B】乳腺腫瘤摘出跡内に位置する図29Aの装置の長手方向断面図で、装置が折畳み形状にあることを示す。
【図29C】図29Bと同様の断面図で、装置が拡張形状にあることを示す。
【図29D】図29Cに示す装置の線29D−29Dに沿った断面を示す。
【図29E】細長部材の代替的実施形態を示す断面詳細図で、図29A〜図29Dに示す装置に含むことができるものである。
【図29F】図29A〜図29Dに示す装置の近位部を示す斜視詳細図で、放射線源を内部に受ける通路が示されている。
【図30A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第3実施形態を示す側面図で、この装置は拡張形状となっている。
【図30B】図30Aに示す装置の長手方向断面図で、装置が折畳み形状にあることを表す。
【図30C】図30Bと同様の断面図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図31A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第4実施形態を示す斜視図で、装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31B】図31Aと同様の斜視図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図31C】図31Aおよび図31Bに示す装置の側面図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31D】図31Cと同様の端面図である。
【図31E】図31A〜図31Bに示す装置の長手方向断面図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図31F】図31E同様の端面図で、本装置が拡張形状にあることを表す。
【図32A】図31A〜図31Fに示す装置の使用方法を示す斜視図で、小線源療法を体内の空洞(例;乳房の乳腺腫瘤摘出跡)に送置する様子を表す。
【図32B】図32Aと同様の正面図である。
【図32C】図32Aと同様の側面図である。
【図32D】図32A〜図32Cに示す乳房の斜視断面図で、装置が拡張形状にあることを表す。
【図32E】図32Aと同様の横断面図である。
【図32F】図32A〜図32Eに示す乳房空洞の断面図で、装置が展開形状となっていることを表す。
【図32G】図32Fに示す乳房空洞の詳細断面図で、装置による例示的な放射線照射範囲を表す。
【図32H】組織構造の乳腺腫瘤摘出跡内部で展開した装置の断面図で、装置の細長部材が周辺組織に侵入する様子を表す。
【図33A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第5実施形態を示す斜視図で、本装置が折畳み形状にあることを表す。
【図33B】図33Aと同様の斜視図で、本装置が拡張形状あることを表す。
【図33C】拡張形状にある図33Aおよび図33Bの装置を示す側面図である。
【図33D】図33Cに示す装置のコイル部材の線33D−33Dに沿った断面詳細図である。
【図33E】図33Cに示すコイル部材の長手方向に沿った別の断面詳細図である。
【図33F】組織構造の断面図で、図33A〜図33Cに示す装置が組織構造内部に移植され、組織構造の空洞内部で装置が部分的に拡張された様子を表す。
【図33G】図33Fと同様な断面図で、装置が完全に拡張された様子を表す。
【図34】組織構造の断面図で、拡張可能な小線源治療装置の例示的な第6実施形態が移植され組織構造の空洞内部で拡張された様子を示す。
【図35A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第7実施形態を示す斜視図で、内側および外側の拡張可能な細長部材の層を含み、内側層の外側面積を増大させる、および/または、内側層の細長部材の横方向安定性を増大させるための翼を内側層が含んでいる。
【図35B】図35Aと同様の端面図である。
【図36A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第8実施形態を示す斜視図で、拡張可能な細長部材と近接する細長部材の間に延びる皮膜部材とが含まれている。
【図36B】図36Aと同様の端面図である。
【図37A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第9実施形態を示す斜視図で、内側および外側の拡張可能な層を含み、内側層が組織を成形するためのスリーブを含んでいる。
【図37B】図37Aと同様の端面図である。
【図38A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第10実施形態を示す斜視図で、細長部材と細長部材の表面積を増すための翼が含まれている。
【図38B】図38Aと同様の端面図である。
【図39A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第11実施形態を示す斜視図で、除去可能な拡張ツールと放射線源を受ける中央内腔とが含まれている。
【図39B】図39Aと同様の側面図である。
【図40A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第12実施形態を示す斜視図で、細長部材の単一本体が折畳み形状にあることを表す。
【図40B】図40Aと同様な本体が拡張形状にあることを表す。
【図41A】図40Aおよび図40Bに示す単一本体の斜視図で、細長部材を拡張形状にして遠位端から見た図である。
【図41B】図41Aと同様の本体を近位端から見た斜視図である。
【図42】押出材の断面詳細図で、この押出材は図41Aおよび図41Bの成型体に使用される。
【図43A】押出材の代替的実施形態を示す断面図で、これらは、図41Aおよび図41Bに示したものと同様に細長部材を形成するために用いられ、横方向安定性を増し、半径方向の曲げを付勢し、および/または投影面積を拡大する。
【図43B】図43Aと同様の断面図である。
【図43C】図43Aと同様の断面図である。
【図43D】図43Aと同様の断面図である。
【図44A】個々の細長部材のさらなる代替的実施形態を示す断面図で、本明細書記載の拡張可能な小線源治療装置に含めることができる。
【図44B】図44Aと同様の断面図である。
【図45】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第13実施形態を示す斜視図で、放射線源を受けるための中央内腔が含まれ、拡張形状にあることを表す。
【図46A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第14実施形態を示す斜視図で、各内腔が対応する総プラスチック製細長部材と連通し、細長部材が折畳み形状にあることを表す。
【図46B】図46Aと同様の斜視図で、細長部材が拡張形状にあることを表す。
【図47A】拡張可能な小線源治療装置と、この装置を折畳み形状と拡張形状との間で作動させるツールとを示す斜視図である。
【図47B】図47Aのツールの長手方向断面図である。
【図48】複数の放射線源を小線源治療装置内に装填するためのカートリッジの斜視図である。
【図49】図48の前記カートリッジと、拡張可能な小線源治療装置の例示的な実施形態とを示す側面図である。
【図50A】図49に示すカートリッジおよび装置の斜視図で、カートリッジを用いて放射線源を装置内に前進させる様子を表す。
【図50B】図50Aと同様の斜視図である。
【図51】図49〜50Bに示す拡張可能な小線源治療装置の端面図で、カートリッジ取り付け前の装置を近位端側から見た図である。
【図52A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第15実施形態を示す側面図で、折畳み形状にある拡張可能な細長部材と延長した遠位ハブとが含まれ、さらに拡張可能な細長部材を遠位に越えて延びる中央内腔が設けられている。
【図52B】図52Aに示す装置の長手方向断面図である。
【図53A】拡張可能な小線源治療装置の例示的な第16実施形態を示す斜視図で、折畳み形状の状態を表す。
【図53B】図53Aと同様の斜視図で、拡張形状の状態を表す。
【図54】拡張可能な小線源治療装置を組織内に送置するための装置の斜視図で、この装置はトロカール上に被せられた引きはがし型のシースを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、本発明は小線源治療装置および方法に関するものである。例えば1つの実施形態では、1つ以上の治療法要素(例えば、放射線源)を標的組織領域に送置するためのシステムが提供される。放射線源を一度送置した後、(例えば、HDR用途の場合)これを直ちに撤収してもよく、また(例えば、LDR用途の場合)一定の期間、移植するなどこれを留置してもよい。いずれの場合も、所定の治療プロファイルに従い放射線源が標的組織領域に治療を施す。
【0017】
いくつかの実施形態では、LDR放射線源を体内または標的組織に移植・固定して、標的組織に相対する線源の動きを抑制または実質的に制限できるようにする。例えば、本明細書に記載される装置および方法は、例えばシードなど、事前に用意された放射線源のパッケージを用い、内在する治療を容易にするのみならず、小線源療法完了後における放射線源の除去を容易にすることができる。
【0018】
本明細書における「放射線源」および「放射性の線源」とは、ある線量の放射線を照射できるほとんど全ての治療法要素を含むものである。放射線源の例として、1つ以上の放射性シード、または代わりに、1つ以上のLDRもしくはHDRワイヤー要素(例えばイリジウムワイヤー)がある。
【0019】
本明細書における「移植可能」と言う用語は、体内に挿入され、周辺組織の固定的または静的な位置に長い期間にわたり維持されるデバイスの能力を指す。この期間は、例えば1時間以上、より好ましくは数時間以上、場合によっては数日以上である。
【0020】
さらに本明細書における「標的組織」、「標的組織領域」、「標的領域」および「標的組織体積」とは、放射線療法が有効とされるヒト(その他哺乳類)の体のほとんどの部分を指す。標的組織領域には例えば、腫瘍または病班そのものや、腫瘍の近傍または周辺組織、(乳房の乳腺腫瘤摘出に伴う周辺組織や空洞など)腫瘍切除によって形成された空洞領域などがある。
【0021】
なお本明細書記載の装置および方法は、LDRまたはHDR小線源療法のいずれにも使用することができ、これについては以下に詳述する。さらに本明細書は小線源療法について記述するものであるが、これらの装置および方法は、治療実施要素を除去可能に移植することの利点を享受できる他の療法にも適用可能である。本明細書では例示的な用法として、当該装置および方法を乳癌の治療に適用する場合を記述する。しかしながら、本明細書記載の装置および方法は、小線源療法の利点を享受できる他の癌や症状の治療にも利用できるものと理解されるであろう。
【0022】
以上を背景に図面を参照する。体内の標的組織領域に小線源療法を施すための例示的なキットまたは装置100を図1に示す。装置100は、除去可能に移植可能で細長く柔軟な小線源治療デバイス102と、カテーテル、針、その他の送置デバイス114とを含むことができる。図示したように小線源治療デバイス102は、放射線源を搬送する治療部分104と、細長く柔軟なテール部106とを含むストランドである。テール部106は治療完了後におけるデバイス102の除去を容易にすることができる。以下に記述する他の部品、例えばロッキング部材などを装置100に含めても構わない。
【0023】
治療部分104は、放射性シード108などの放射線源を含み、治療部分104に互いに固定された治療法要素の搬送ポッドなどの形態を取ることがでる。1つ以上のスペーサー110を各シード108の間に任意配置し、所望のシード間隔を保つようにしてもよい。いくつかの実施形態における小線源治療デバイス102は柔軟なケースまたはケース部材112を含むことができ、その中でシード108と任意のスペーサー110がしっかり保持される。図1に示した小線源治療装置100の例示的な使用方法を図2A〜図2Eに示す。また図2F〜図17Bは、図2A〜図2Eに示す治療デバイス102およびその使用方法の代替的実施形態を表す。装置100の作製および使用に関する追加的な情報は、米国特許出願番号10/658,518(出願日、2003年9月9日)、11/554,731(出願日、2006年10月31日)、11/557,747(出願日、2006年11月8日)および11/276,851(出願日、2006年3月16日)に記載されている。
【0024】
図19A〜図19Cは、HDR保護カテーテルを組み込んだバルーン型小線源治療デバイス1800を示す。デバイス1800は、米国特許第5,913,813(Williamsら)に開示されるデバイスと同様なものでもよい。例えばデバイス1800が、近位端および遠位端を備えたカテーテルシャフト1814を有する小線源療法カテーテルアセンブリ1802を含んでもよい。膨張可能なバルーン1806を、近位端と遠位端との間のカテーテルシャフト1814に結合することができる。カテーテルシャフト1814に沿って、膨張可能なバルーン1806と近位端との間に内腔1830を延ばして、バルーンを膨張させることができる。線源送置内腔1804(図19B参照)を設け、これをカテーテルシャフト1814沿いに近位端から遠位端に向けて延ばす、例えば、膨張可能なバルーン1806と近位端との間に延ばすことができる。デバイス1800の使用方法は、上述の特許出願に開示されている。
【0025】
図20〜図27は、LDR小線源治療デバイスの移植に用いられる様々な例示的システムを示す。これらの内容は、本明細書の他箇所に記載する。例えば図20〜図22の実施形態におけるシステム1700は、カテーテルまたは針をガイドするテンプレート1702を有するものとして示されており、このテンプレートには所定の数およびパターン(配列)を有する開口1704が設けられている。例えば、ベース部1722と移行部1724とを用いてテンプレート1702を定位固定テーブル1720に結合する。このテンプレートは、調整可能なカテーテルまたは針のガイド装置の一部を形成する。例えば診察台などの患者搭載面または診察台1730に、定位固定テーブル1720を結合または取り付けてもよい。本システムの使用方法は、上述の特許出願に開示されている。
【0026】
本明細書記載のデバイスおよび装置は直線配列を意図したものであるが、より複雑な配列により、腫瘍または乳腺腫瘤摘出跡の内部に放射線源を配置する方が有利な場合もある。さらに、本明細書記載の他の実施形態による装置、デバイスおよび方法によれば、折畳まれた第1の形状(例えば実質的な直線形状)の小線源治療デバイスを移植することが可能であり、デバイスが乳腺腫瘤摘出跡などの標的組織領域に配置された後、装置を外部から作動させて、展開された第2の形状(例えば曲線形状)にすることもできる。
【0027】
この装置は、1つ以上の放射線源を有する1つ以上の小線源治療デバイスを含むことができる。放射線源の例は、(例えば図1のデバイス102など)本明細書の他箇所に記載されている。代わりに、移植の後で、1つ以上の放射線源を装置内に導入することもできるが、これについても本明細書の他箇所に記載する。
【0028】
このような装置および方法により、最小サイズの単一切開部を通して移植を行なった後、その場で展開を行い、標的組織(例えば、乳腺腫瘤摘出跡周りの組織領域など)の曲線形状に対し幾何学的により良く適合した線量照射領域を形成することができる。さらに展開された形状が配列の幅を広げるようにし、そこから放射線源が、第1の折畳み形状の際に比べて望ましい線量の照射を行えるようにしてもよい。
【0029】
さらに、上述したようなその場展開可能な装置、デバイス、およびシステムによって、乳腺腫瘤摘出跡の特定箇所内における放射線源の固定をより確かなものにすることも可能である。このような固定により、移植された放射線源と周囲の標的組織との間で決められた実質的に一定の配置を維持することも可能になる。後に患者が活動する際、(標的組織に相対する)放射線源の動きを最小に抑えることができるため、計画段階で事前に決められた線量に従った小線源療法による照射ができる。
【0030】
このような展開可能な装置の1つの実施形態を、図28A〜図28Dの拡張ケージ型装置2800を例に図解する。一般に腔内装置2800は、患者体内の標的箇所(例えば、乳房その他の身体構造200内の腫瘍または空洞など)で内部展開される治療部分2800aと、治療部分2800aから延びるテール部2800bとを含み、例えばテール部2800bが身体構造200から突き出るようになっている。図28A〜図28Dに示すように、治療部分2800aは(例えば、組織管を通った標的箇所への導入のための)折畳み形状と、(例えば、標的箇所2802における三次元経路配列のための)拡張形状との間で移動することができるが、この点については以下に詳述する。
【0031】
装置2800は、例えば展開するまで治療部分2800aを覆うことのできるシースまたはカバー(図示せず)を任意に含んでもよい。装置2800を標的箇所内に導入ため、カテーテル、カニューレ、または針2804などの管状送置デバイスを追加的または代替的に設けることができる。トロカール(套管針)その他の器具(図示せず)を針2804の内部に設け、トロカールの鋭利な先端(図示せず)が針2804の遠位端2804aを越えて延び、組織を通った針2804の挿入を容易にし、例えば、患者の皮膚から標的箇所に向かう組織管を形成できるようにする。このトロカールを管道形成後に除去し、その後に装置2800を針2804の内部に導入できるようにしてもよい。トロカール4052およびシース4062を備えた送置装置4050の例示的な実施形態を図54に示すとともに以下に詳述する。
【0032】
代わりに、針2804が鋭利な遠位先端部(図示せず)を含むこともできる。また代替例ではトロカールを省略し、針2804が組織内を進む間に内腔を閉塞するような栓塞子その他の器具(図示せず)を任意に予め設けることもできる。栓塞子を除去した後、装置2800を、例えば直接または、シースもしくはカバー(図示せず)内に入れて、針2804の内部に導入することができる。
【0033】
さらに別の代替例では、例えば本明細書記載の他の実施形態と同様な鋭利な遠位先端部(図示せず)を装置2800に設けてもよい。この遠位先端部は、針2804の遠位端2804aを越えて延び、針2804および装置2800が進む組織内に管道を形成するようなものとしてもよい。さらにもう1つの代替例では、鋭利な遠位先端部の付いた装置2800が直接組織内を進み組織管を形成する。この際、針2804を省略することができる。
【0034】
図28Aは、身体の切開部を通って小線源治療装置2800を挿入した状態を示す。装置2800は、例えば乳腺腫瘤摘出跡2802などの中空標的領域に治療部分2800aを配置するように置かれている。図28Aは、乳房200などの身体構造を通って空洞2802の内部にカテーテルまたは針2804が挿入されている状態を示す。装置2800を配置した後で針2804を後退または除去し、治療部分2800aを露出させることができる。
【0035】
治療部分2800aは図示したように、放射性の複数の小線源治療デバイス(例えば、近位端2806aおよび遠位端2806bを含み、1つ以上の放射線源を搬送するように構成された柔軟な細長部材2806)を備える。図28Bに示すように、装置2800はハブまたは外側本体部材2807を含み、この部材に細長部材2806の近位端2806aが固定されている。細長部材2806の遠位端2806bを、コア部材2810の遠位端2808に固定または保持してもよい。図示したように、コア部材2810は本体部材2807内を延び、コア部材2810の近位端2812が身体構造200の外に延びるようになっている。代わりに、ハンドル(図示せず)をコア部材2810から近位に結合または延ばしてもよい。
【0036】
ハブおよびコア部材2810は、治療部分2800aを拡張および/または折畳みするように、互いに軸方向へ移動することができる。細長部材2806を空洞2802で拡張させるためには、図28Cに示すように、例えばコア部材2810の近位端2812と本体部材2807とを操作する。すなわち、第1(近位)方向2814にコア部材2810を動かすか、第2(遠位)方向2816に本体部材2807を動かす。完全に拡張すると細長部材2806は、図28Dに示すように、空洞2802の壁に接触する、および/または、空洞2802を囲む組織内に押し込まれる。
【0037】
その場展開できる小線源治療装置2900のもう1つの実施形態を図29A〜図29Fに示す。この装置は多くの点で上述した装置2800と類似している。例えば装置2900は、放射性の小線源治療デバイス用の拡張可能ケージ(例えば、細長い柔軟部材2906)を含むことができる。細長部材2906は、それぞれハブ2909に結合した遠位端2906bと本体部材2907に結合した近位端2906aとを含む。図29Aに示すように、本体部材2907の近位端にフランジ2914を設けてもよい。また本体部材2907を通って、ハブ2909に同じく結合されたコア部材2910をフランジ2914の向こう側に延ばし、ボタンその他のハンドル2912で終端させてもよい。
【0038】
細長部材2906の近位端2906aは本体部材2907内で終端しても構わない。しかしながら以下に詳述するように、本体部材の他の実施形態では通路を含み、これにより細長部材2906の内部に形成された内腔にフランジ2914の近位側からアクセスできるようになっている。さらに別の代替例では、管状部材(図示せず)が、本明細書記載の他の実施形態と同様に本体部材から近位に延びている。
【0039】
装置2900は、第1の折畳み形状(すなわち図29Bに示すように細長部材2906が略直線状となってコア部材2910の中心軸と平行になった形状)から、第2の展開された形状(すなわち図29Aおよび図29Cに示すように細長部材2906が曲線となった形状)に移行することができる。例えば展開された形状への移行は、フランジ2914をボタン2912から離れる方向(すなわち遠位方向2916)に動かし、これにつれて本体部材2907を動かすことにより行うことができる。同様に、フランジ2914をボタン2912から離れる方向(すなわち近位方向2918)に動かせば装置2900が折り畳まれる。
【0040】
なお、フランジ2914およびボタン2912に加えて他のアクチュエータを設けても構わない。例えば、コア部材2910および本体部材2907にかみ合うネジ(図示せず)を設けてもよい。これらのネジを、例えば本体部材2907の内表面と、本体部材2907の内部にあるコア部材2910の外表面とに設ける。ボタン2912を軸方向に動かす代わりに第1の方向に回転させて、本体部材2907を軸方向(すなわちコア部材2910の遠位方向)に動かし、細長部材2906を拡張形状にすることができる。ボタン2912を第2の反対方向に回転させれば、細長部材2906が折り畳まれ、折畳み形状に戻る。除去可能なアクチュエータの例示的な実施形態に関する追加的な事柄を以下に詳述する。
【0041】
これら実施形態のいずれの場合にも任意として、ボタン2912および/またはコア部材2910のフランジ2914を越えた部分を、(本体部材2907内をハブ2909に向かって延びる)残りのコア部材2910から取り外し可能にし、例えば移植後における装置2900の形状を小さくできるようにしてもよい。例えばこの取り外し可能部分およびコア部材の残部(図示せず)に、互いにかみ合う雄/雌端(図示しないが、例えばネジやその他の解放可能なコネクターによる接続など)を設けてもよい。代わりに、バレルその他の構造を本体部材2907内部に設けてこれを細長部材2906の各近位端2906aに結合し、本体部材2907に対するバレルの軸方向動作によって細長部材2906が拡張/折り畳みできるようにしてもよい。
【0042】
別の選択肢として、コア部材2910(および/またはアクチュエータ)が1つ以上のストッパ(図示せず)を含み本体部材2907の動きを制限し、例えば細長部材2906の拡張を制限するようにしてもよい。これらのストッパにより、拡張形状を最小化したり、細長部材2906を拡張し固定する際のサイズ範囲を設定したりすることができる。また、例えばラチェットや戻り止め(図示せず)を用い、本体部材2907が移動する間、コア部材2910と本体部材2907との相対位置が維持できるようにすることもできる。
【0043】
図29Bおよび図29Cは、身体構造(例えば乳房200)の切開部を通って挿入された小線源治療装置2900を示す。装置2900は、その遠位端(例えばハブ2908)が乳腺腫瘤摘出跡2902の内部に位置するように配置することができる。図示した実施形態では、装置2900が既存の切開部から挿入されている。しかしながら装置2900が、例えば鋭利な遠位先端部などの機構を有し、上述したような切開部を自ら作れるようにしてもよい。この鋭利な遠位先端部を用いれば装置2900の先端を、例えば拡張された要素を空洞内の最適な位置に配置するように、空洞の縁を越えて配置することができる。
【0044】
いくつかの実施形態における装置2900は引きはがし型のシース(図示せず)を含むことができ、これが取り扱いおよび/または移植の際に細長部材2906を覆う。図29Bに示すような位置に装置2900が配置された後で、(例えば、身体外に配置された引きはがし用帯や、シースに沿って設けられた1つ以上の弱い継ぎ目または領域を用いて)シースを取り除き、細長部材2906を露出させることができる。引きはがし型シース4062の例示的な実施形態を図54に示し、以下に詳述する。
【0045】
医師は、例えば図29Bに示すように装置2900を配置してから、身体方向(すなわち遠位方向2916)に向けてフランジ2914を移動させることができる。同様に、ボタン2912をフランジ2914から離れるよう近位に移動させることも可能である。この動きにより細長部材2906が、図29Cに示すように空洞2902内部で展開する。細長部材2906は拡張して空洞の壁と接触し、完全に拡張すると周辺組織内に強く押しつけられ、空洞壁が部材2906の間に相互嵌合するようになる。(図32D〜図32Gにその例を示し、以下に詳述する。)壁の相互嵌合または陥入により、空洞2902周囲の組織に対して装置2900が概ね固定される。
【0046】
本明細書における「陥入」および「相互嵌合」と言う用語は、装置2900の1つ以上の部分または要素を空洞2902の内部で外向きに押しつけ空洞2902の周囲組織に押し込み、要素に近接する組織が、細長部材2906の間で内側に流動、折り曲げまたは押し出しされることを意味する。図32D〜図32Hにその概念図を例示する。1つ以上の細長部材2906は、組織によって実質的に囲まれることに加え、周辺組織に侵入する場合もある。例えば、1つ以上の細長部材2906が、下記のように、組織によって完全に包囲されるような場合もある。
【0047】
図29Dは、図29Cの線29D−29Dに沿った装置2900の断面図である。本図に示すように細長部材2906を、1つ以上の内腔(例えば第1内腔2918および第2内腔2920)を含む管状部材とすることができる。第1内腔2918は小線源治療デバイス(例えば本明細書他箇所に既述のデバイス102、152、402、502、602など)を受ける大きさとし、第2内腔2920が補強部材(図示せず)を保持するように構成してもよい。この補強部材は、細長部材2906を補助し適当な配向を維持できるようにする。例えば、内腔2918(従って小線源治療デバイス)に十分な剛性を与え、これらが周辺組織内に拡張する際のたわみを防いだり、細長部材2906を補助したりし、これらが実質的な所定形状に確実に拡張するようにしてもよい。
【0048】
図29Dの第1および第2内腔はいずれも円形断面を有するものとして描かれているが、これらの一方または両方を別の形状にしてもよい。例えば代替的な部材2906′の断面を図29Eに示すが、この部材は、丸い第1内腔2918′と、矩形または細長い断面形状の第2内腔2920′とを有している。矩形断面の内腔2920′に、これと合った形状の補強部材(例えば、矩形断面のニチロール製ワイヤーまたは帯)を充填すると、展開に際する細長部材2906の回転方向のたわみ(同様にその他のたわみ)を減少させることができる。例えば、寸法2920a′は寸法2920b′に比べて小さいため、細長部材2906′は、拡張に際し側方(例えば近接する細長部材に向かう方向)よりもむしろ外方を指向して曲がるようになる。
【0049】
図29Dおよび図29Eの細長部材2906は2重内腔チューブを有するものとして描かれているが、ポリマー等による柔軟なチューブの単一内腔を細長部材2906に設けてもよい。このポリマーチューブは、曲線形状への展開に十分な柔軟性を有する一方、第2の補強部材を必要としない程度に十分な固さを有している。このようなチューブはナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミドなどデュロメーター硬さの高いポリマーで作製することができる。任意に、チューブの断面を非円形(例えば台形、矩形など)とし、デバイス拡張の際、適当な方向に曲がり易くする、および/または、拡張位置における要素の横方向安定性を増大させるようにしてもよい。さらに、チューブ壁内に強化要素(例えば、図示しないが平坦なワイヤー編組)を含め、ねじりおよび/または屈曲強度を高めることもできる。
【0050】
さらに別の代替例における細長部材2906は、近位端2906aと遠位端2906bとの間に延びる経路を設けるための他の機構を含むことができる。例えば細長部材2906が、1つ以上の放射線源(図示せず)を受ける溝またはトラック(図示せず)を含むことができる。この点については以下に詳述する。この機構には、1つ以上の放射線源の動き(例えば細長部材に沿った軸方向の動き)を制限するような別のインターロック機構が含まれる場合もある。従い本明細書における「経路」とは、内腔、トラック、レール、または細長部材上で細長部材に沿って1つ以上の放射線源をガイドするように構成された他の機構を含むものである。
【0051】
図29Fは、1つの実施形態において構成されるフランジ2914の近位側を示す。フランジ2914には、一連の開口2922、2924を設けることができ、ここから部材2906の内腔2918、2920にアクセスできるようになっている。開口2922は、例えばそれぞれの細長部材2906内で本体部材2907全体にわたって延びるそれぞれの内腔(図示せず)を介し内腔2918と連通する(図29D参照)一方、開口2924は内腔2920と連通することができる。その結果、標的箇所への装置2900の移植前または後に、小線源治療デバイスおよび補強部材(図示せず)をそれぞれ内腔2918および内腔2920に挿入することができる。この点については本明細書の他箇所に記載する。さらにフランジ2914は、小線源治療デバイスおよび補強部材の一方または両方をフランジ2914に固定するロッキング部材またはリング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0052】
図示しないが、フランジ2914に目印(例えば時計数字や文字などの数字、記号)をつけ、フランジ2914外周の各開口2922/2924を識別できるようにしてもよい。このようにすれば、例えば標的箇所への装置2900の導入前または後に、医師/癌専門医が所望の線量計画に従って特定の小線源治療デバイスを挿入する際、いずれの開口2922に挿入すべきか知ることができる。例えば、線量計画によって低放射量デバイス(デバイスNo.1)を患者の皮膚近傍領域に配置する必要があるとする。対応する開口2922/2924に同一番号(No.1)をつけるか、または別の方法で識別すれば、特定の低放射量デバイスが適正な開口2922/2924に受けられるようにすることができる。このように、装置2900を(例えば、細長部材“1”の低放射量経路を皮膚に向けて配向するなど)標的箇所で適当に配向すれば、低放射量デバイスを低放射量経路に沿って配置することができ、皮膚を損傷する危険性を低減することができる。同様に、所望の線量計画に従い、高放射量小線源治療デバイスを他の開口内に配置することもできる。
【0053】
線量計画は、最新のイメージング方法(例えば、CTおよび超音波)や、HDRまたはLDR用に市販の線量計画ソフトウェアを用いて行うことができる。線量計画プロセスのタイミングや一般的シナリオは医師/癌専門医の判断に委ねられる。しかしながらこのようなシナリオの1つに、装置2900を標的組織領域内に配置し細長部材2906を展開形状に動作させることが含まれることもある。その場合、イメージング法(例えば、CT)の助けを借りて、標的組織領域や細長部材2906の位置を割り出してもよい。その後、装置2900および細長部材2906の形状調節を施した際などに線量計画を再検討し、必要に応じて修正を行ってもよい。
【0054】
線量計画を最適化したら、(例えば、小線源治療デバイス用に)特定の放射特性を持った線源(例えば、LDRシード放射量レベル、HDR留置位置など)を選定し、開口2922/2924からのアクセスを介した装置2900の配置準備を行う。LDR小線源療法の際には、例えば、個々のポッドまたはその他の放射線源を対応する細長部材2906に同時または順次装填してシードまたは放射線源の三次元配列を形成し、この配列を一定期間、標的箇所内に留置する。線量計画に従い、シードを各ポッド上で一定の間隔に配列するか、またはシードが異なる放射強度を有するようにしてもよい。例えば配列の他部分のシードについて、それぞれの細長部材2906に沿った長さおよび/または間隔を変える。これにより例えば半径方向および/または軸方向の配列を装置2900の中心軸に対し実質的に非対称としてもよい。代わりに、HDR小線源療法の際、個々の放射線源を細長部材2906の各経路に沿って所定の照射時間だけ順次配置してもよい。任意として、1つ以上のHDR放射線源を経路に沿って同時配向してもよい。
【0055】
本明細書では分離した部品を使用するものとして記載してきたが、装置2900の他の実施形態では、細長部材2906が遠位ハブ2909から近位に向かってフランジ2914まで延びる場合もある。このようにすると細長部材2906が、それぞれの遠位端2906aからフランジ2914に延びる1つ以上の内腔を規定することができる。そしてデバイス自身に補強部材が組み込まれた小線源治療デバイス(図示せず)をこの内腔によって受けることができる。(例えば、本明細書の他箇所に記載するデバイス1202を参照。)代わりに、細長部材2906内(例えば、内腔2920の内部または細長部材2906に沿った固定位置)に補強部材を事前に組み込んでもよい。
【0056】
本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様、補強部材が任意にシールドとなる場合もある。例えば、略球状の配列または放射線源の場合、配列の中心領域は配列周辺領域よりも大きな放射能照射を受けやすい。この際、細長部材2906の内部領域に沿ってシールドを配置すれば、中心領域の過照射を低減することができる。例えば図32Fおよび図32Gには、この目的のために細長部材3106の内部領域に沿って延びる補強/減衰部材が示されている。
【0057】
図30A〜図30Cに示す小線源治療装置3000は、多くの点で上述した装置2900と類似している。しかしながら装置3000は、例えば乳房(図示せず)などの身体構造または組織構造を完全に貫通するように構成されている点で上述のものと異なっている。このため装置3000の遠位端は、この用途に適合するように装置2900を幾分修正したものとなっている。
【0058】
装置3000の側面図を図30Aに示す。装置2900と同様に装置3000は、近位端3006aで本体部材3007に結合され、遠位端3006bでハブ3009に結合された放射性の柔軟な細長部材3006を備えている。一端にボタン3012を有し他端に鋭利な遠位先端部3011を有するコア部材3010が、本体部材3007およびハブ3009を通って延びている。鋭利な遠位先端部3011によって、移植に際し装置3000が組織を貫通できるようになっている。装置2900とは異なり、コア部材3010はハブ3009に永久固定されていない。代わりにコア部材3010が、ハブ3009および本体部材3007に相対して摺動可能となっている。コア部材3010、本体部材3007および/またはハブ3009は、例えば移植時にコア部材3010を解放可能に固定し、移植後にはコア部材3010を除去できるような1つ以上のコネクター(図示せず)を任意に含むことができる。
【0059】
図30Bは、折畳みされた第1の形状にある装置3000の断面図を示す。本図に示すように細長部材3006は、(例えば図29Dに示される内腔2918、2920と類似の)内腔3018、3020を含む。これらの内腔は本体部材3007を通って延びるか、または、本体部材3007を通って延びる別の内腔3022、3024と連通している。その結果、小線源治療デバイス(例えば上述のデバイス102、152、402、502、602)を、装置3000の移植前または後で細長部材3006に装着することができる。
【0060】
図30Cは、拡張された第2の形状にある装置3000の断面図を示す。ハブ3009および本体部材3007を互いに近づけるとこの形状となる。この際、例えば、ボタン3012およびフランジ3014などのアクチュエータ、または本明細書記載の他の実施形態を用いることができる。
【0061】
使用時には、装置3000を図30Bに示す折畳み形状にして、身体、例えば乳房その他の組織構造(図示せず)に挿入し、空洞または他の標的箇所(図示せず)内部に細長部材3006が配設されるようにする。ハブ3009が乳房の反対(遠位)側に延びて達するまで装置3000を挿入してもよい。コア部材3010の鋭利な先端3011を移植の際に用い、空洞両側の組織を貫通してもよい。ひとたび装置3000が乳房全体を貫通したら、例えば装置3000の近位端からコア部材3010を引き抜くなどの方法でコア部材3010を装置3000から任意に取り外してもよい。この時、医師が本体部材3007とハブ3009とをつかみ、これら2つの部品3007、3009を互いに押しつける。このようにすると、図30Cに例示する拡張形状のように、半径方向外側に向かって細長部材3006が急速に拡張し空洞壁に向かう。
【0062】
完全に展開したら、本体部材3007およびハブ3009をテープや縫合糸などで皮膚などの身体部分に固定することができる。代わりに、本体部材3007および/またはハブ3009を通ってロッキング部材(図示せず)を挿入する。この本体部材および/またはハブは(図示しないが、ナット付きの長いプラスチックネジボルトなどにより)これらの部品を相互固定することができる。さらにもう1つの代替例では、本体部材3007および/またはハブ3009の動きを制限してもよい。例えばラチェット、戻り止め等(図示せず)を用い、本体部材3007とハブ3009とを相互固定するとともに、一方で、本明細書の他箇所に記述するように、本体部材3007および/またはハブ3009を動かせるようにしてもよい。
【0063】
装置3000を導入する際に小線源治療デバイス(図示せず)を細長部材3006に持たせるか、あるいは小線源治療デバイスなしに装置3000を導入してもよい。装置3000の移植に際し小線源治療デバイスを含めない場合、放射線癌専門医か同様に訓練された臨床医が、内腔3022または他の経路を通して細長部材3006に沿って小線源治療デバイスを後から挿入することができる。代わりに、経路に沿った1つ以上の放射線源の送置に自動システムを用いてもよい。他の実施形態では、移植前に小線源治療デバイスを細長部材3006に持たせ、装置3000に取り外し可能または永久的に事前装填する。
【0064】
図31A〜図31Fは、さらにもう1つの実施形態によるその場作動可能な小線源治療装置3100を示す。装置3100は、一連の柔軟な放射性細長部材3106を含む。これらの部材は、例えば(図31Aに示す)直線的形状など第1の折畳み形状から、例えば(図31Bに示す)曲線的な第2の展開形状に展開可能である。折畳み形状では、部材3106が装置3100に折り畳まれ(例えば、装置3100の中心長手軸と略平行になり)、例えば移植の際に大きさを最小化するようになっている。一方、図31Bに示す展開形状では、細長部材3106の少なくとも一部が乳腺腫瘤摘出跡など身体の空洞壁に向う、および/または壁内に向かって半径方向に拡張する。(例えば図32D〜図32Gを参照)。その結果、装置3100は空洞を囲む組織内に概ね固定される。
【0065】
図示した実施形態における細長部材3106は、図31Bに最も良く示されるように、2つの分かれた群により構成される。第1群または外側群は、符号3106aによって識別される細長部材を含み、図31Bに示すようなフットボール型またはスイカ型の境界を形成する。第2群または内側群は、符号3106bによって識別される細長部材を含み、同様ではあるがより小さなスイカ型境界を規定する。図示した実施形態では、外側群が7つの分離した部材3106aを含み、一方内側群は3つの分離した部材3106bを含む。しかしながら他の実施形態ではいずれの群の細長部材3106の数を変えても良い。細長部材3106aおよび3106bを、一般的または集合的に細長部材3106と呼称する。
【0066】
細長部材3106を第1端(例えば近位端)において本体部材3107に結合することができる。しかしながら細長部材3106aを、その第2端(例えば、遠位端)の各々で、遠位ハブ3109に取付け、部材3106bの遠位端を別の浮遊ハブ3108に取り付けてもよい。
【0067】
装置3100は、コア部材3110をさらに含むことができる。コア部材3110は、遠位ハブ3109に取り付けられ、本体部材3107の近位側まで延出している。コア部材3110は、遠位ハブ3109に固定され、本体部材3107および浮遊ハブ3108の両者に設けられた開口にすき間をもって通されてもよい。このようにすると、本体部材3107および浮遊ハブ3108はコア部材3110に沿って摺動することができるが、この点に付いては以下に詳述する。コア部材3110はテンション部材として機能することができる。そのため、この部材は、一般的に剛体にするか、代わりに、ケーブルや縫合糸などのテンション専用部材としてもよい。
【0068】
各細長部材3106は補強部材を含むこともできる。この補強部材は、図示した実施形態では平坦な弾性ワイヤー3112となっている。ワイヤー3112は、所望方向への細長部材3106の拡張/収縮を(ねじれなどを生ずることなく)確かなものにすることができる。ワイヤー3112は、細長部材3106を幾分かまとめ、例えば細長部材3106が外側に向かう際、半径方向および横方向に対し十分な安定性を持って空洞壁に確実に押しつけられるようにする。いずれの材料にも限定されるものではないが、1つの実施形態におけるワイヤー3112は、硬度調整したステンレス鋼、またはニチノールなどの形状記憶合金で作られる。このような材料を用いれば、乳腺腫瘤摘出跡に装置3100を陥入させたり、実質的に固定された状態に置いたりし(図32D〜図32G参照)、一方で治療完了後には、装置3100を展開前の形状にすることもできる。
【0069】
個々のチューブ3114をそれぞれの平坦ワイヤー3112に取り付けることができる。チューブ3114は小線源治療デバイス(図示せず)を受けるように動作可能である。これらデバイスには、本明細書の他箇所に記載済みのデバイス102、152、402、502と同類のものを使用する。代わりに、例えば、本明細書の他箇所に記載のシード108やスペーサーなど治療の間または前にチューブ3114内に装填可能な個々の放射線源を受けるようにチューブ3114を作ることができる。このようにすれば、チューブ3114が実際の小線源治療デバイスの外側面を形成するようにもできる。チューブ3114は、放射線源や事前に組み立てられた小線源治療デバイスを保持できるものであれば殆ど全ての生体適合材料で作ることができ、これらの材料には、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ナイロン、ポリウレタンなどのフロロポリマーがある。
【0070】
装置3100の側面図を図31Cに、また端面図を図31Dに示す。これら2つの図は、本体部材3107の変形例を示し、その上に形成された、またはそこに取り付けられたフランジ3111を含むものである。任意のフランジ3111は、移植および/または除去プロセスの際、コア部材3110を配置するためのグリップ箇所を提供し、医師の利便を図るようにすることができる。
【0071】
図31Eは交互配列した折畳み形状装置3100の長手方向断面図を示す。(本図は、他の直線的な断面図では見ることのできない2つの細長部材3106aと細長部材3106bとを交互配列して示したものである。)本図から、コア部材3110の遠位ハブ3109への取付けが良く分かり、平坦ワイヤー3112が遠位ハブ3109、浮遊ハブ3108、および本体部材3107に固定されている様子を見ることができる。
【0072】
図31Eはさらに、遠位ハブ3109内部に形成されたポケット3116を示す。ポケット3116は、装置3100が展開形状にある際、浮遊ハブ3108の軸方向の動きを止めるための表面として作用する。本実施形態はポケット3116を含むものであるが、別の実施形態における浮遊ハブ3108は、遠位ハブ3109の平坦な内表面と単に接触するように構成することもできる。
【0073】
図31Fは、図31Eと同様に交互の細長部材を示した長手方向断面図で、装置3100は展開形状にある。本図に示すように、本体部材3107をその場に固定しながらコア部材3110のテール部に引張り力をかけることで展開形状にすることができる。このような引張り力をかけると、遠位ハブ3109が本体部材3107に向かって動く。この動きにつれ、細長部材3106aが図示したように外側に向かって屈曲し始める。浮遊ハブ3108がひとたびポケット3116に接触すると、部材3106bもまた外側に向かって屈曲し始める。コア部材3110をさらに引っ張ることで、細長部材3106aおよび3106bの両者を外向きに動かすことができる。コア部材3110の本体部材3107に相対する軸方向位置を変えれば、展開径を変更することも可能である。装置3100が所望の径に展開したら、クランプ等のデバイス(図示せず)を、本体部材3107直近のコア部材3110の周囲に上昇させ、本体部材3107に相対するコア部材3110の摺動を止めることができる。
【0074】
装置3100を所望の径に固定するための別の方法は、ネジ付きナットおよびボルトアセンブリ(図示せず)を含んでもよい。例えば本体部材3107を分轄し、従来の機械用コレット等のように外部からネジを切ってもよい(図示せず)。このコレットにナット(図示せず)をネジ込み締め付けてコア部材3110を保持し、装置3100を所望の拡張形状に保持することができる。代わりに、一連の密集した孔またはポケット(図示せず)をコア部材3110に含めてもよい。これらの孔またはポケットは、コア部材3110が本体部材3107から突き出る領域に沿って設けることができる。コッタピン等(図示せず)を所望の孔またはポケットに配置し、装置3100を所望の拡張形状に保持してもよい。
【0075】
図32A〜図32Fは、図31A〜図31Fに示した装置3100の使用方法を示す。図32Aは、身体部分(例えば乳房200)と、癌組織の除去によってその内部に形成された空洞(例えば乳腺腫瘤摘出跡202)の斜視図である。折畳まれた装置3100が挿入され配置されている。既存の切開部(例えば、乳腺腫瘍摘出に使用した切開部)、または装置3100を送置するため新たに形成された切開部を通って装置3100を挿入することができる。図32Bおよび図32Cは、乳房200の正面図と側面図をそれぞれ示し、折畳まれた装置3100が空洞202の内部に配置されている。
【0076】
装置3100を所望の位置に配置したら、医師は、コア部材3110を引っ張ると同時に本体部材3107を乳房切開部で押さえつける。本体部材3107は、皮膚から乳腺腫瘤摘出跡202までの距離にかかわらず、皮膚表面まで延びるのに充分な長さを有することができる。図32D〜図32Fに例示するように、装置3100が展開するにつれ、それ自体が空洞202内の中心と合うようになっている。
【0077】
代わりに、近接組織内への細長部材の食い込み量が変化する場合、装置3100の拡張に際し、装置3100も空洞内で動かすことができる。図32Hに示すように、例えば皮膚近傍の領域は空洞202下方の組織より細長部材3106によって侵入されにくい。図32Hに示す細長部材3106を十分に小さくし、細長部材の少なくともいくつか(例えば細長部材3106ai、3106aii)が、空洞202の周囲組織を切り裂くなどして侵入できるようにし、細長部材3106が近接する組織に侵入しない場合に比べてより深い組織部分に放射線を照射してもよい。細長部材316が、(図32Hに例示するように)組織に侵入したり、場合によって近接組織に包囲されたりできるため、装置3100の放射性核種の間質型配置を効果的に行うことができる。
【0078】
図32Dは乳房200および空洞202の斜視断面図で、完全に拡張形状の装置3100がその内部に示されている。この図に示すように、細長部材3106aが空洞202の壁を越えて押し付けられ、その結果、細長部材3106aの周囲組織への陥入が起こり、例えば壁組織3120の部分が細長部材3106aの間を流動し、押出され、または内側に延ばされて細長部材を実質的に囲むようになる。1つの実施形態における壁組織3120は、最外部の細長部材3106aから約0.7cm程度、半径方向内側に向って延びる場合もある。しかしながら、実際の陥入距離はいくつかの要因によって変化する。これらの要因として、例えば、装置の大きさと形状、空洞の大きさと形状、組織の特性などがある。細長部材3106bは、押出された壁組織3120の最内部によって規定される直径範囲内に収まることが好ましい。この図からも理解されるように、陥入により装置3100が周辺組織に対して実質的に固定される結果となり、また装置3100の形状と一般的に馴染むまで空洞202が変形する場合もある。
【0079】
1つの実施形態では真空システム(図示せず)を装置3100に結合し、例えば、空洞202を負圧にして組織陥入の程度を高めることができる。このような真空状態を、移植期間の全体または一部の期間だけ維持したり、HDR治療などの治療を施した後、直ちに遮断したりすることができる。
【0080】
さらに別の実施形態における細長部材3106aを、導電性、または高周波(RF)などで励起されるものとしてもよい。展開後の細長部材3106aをこのように作動させると、細長部材3106aが空洞壁内に切り込めるようになり、周辺組織の深部に侵入して、陥入程度をさらに高めることができる。
【0081】
図32Eは、移植され完全展開した装置3100の断面図を示す。この図には、内側に延びる壁組織3120が明確に示されている。図32Fは、空洞202の部分断面斜視図で、その中に展開形状にある細長部材3106が模式的に示されている。
【0082】
図32Gは空洞202の断面図で、展開形状にある装置3100を示す。(明示のため、装置3100のいくつかの構造を除いている。)本図はさらに、細長部材3106の内部に納められた小線源治療デバイスからの線量分布の濃淡(dose cloud)を例示的に表している。例えば、各細長部材3106aが一般に円3122で示される線量分布を形成する一方、細長部材3106bが一般に円3124で示される単純な線量分布を形成する場合を考える。円3122および円3124は、特定断面における二次元的な線量分布の有効範囲を示す。線量分布の濃淡は、2層(すなわち細長部材3106aの周りの外層および細長部材3106bの周りの内層)の放射線領域を形成する。各細長部材3106が形成する実際の線量分布は、曲線的な円筒状になるものと考えられる。
【0083】
細長部材3106の2つの層にある全ての放射線源の効果を三次元的に積み上げると、空洞202の直近を囲む組織体積全体に広がる治療線量の殻となる。線量マッピングと線量の選定を適宜行えば、この三次元的な線量の殻によって適切な組織マージン(例えば、空洞202の壁を越えて深さ1cm以上など)に適切な治療線量の照射を行うことができる。放射性核種の多くは間質的な性質を有するので、過量照射による影響の危険性を低減させつつ所望の組織領域に治療線量を照射することができる。過量照射による影響は、(例えば、バルーンアプリケータや他の腔内アプリケータで発生するように)空洞202の内部または縁に置かれた全ての放射性核種で起こりえるものである。
【0084】
さらに、バルーンアプリケータとは異なり、個々の細長部材3106が周辺組織に対し局所的に離散した半径方向の力をかける。バルーンアプリケータは連続的な表面を有するため、その表面に沿った比較的連続な半径方向の力を近接する空洞表面にかける。これとは対照的に、細長部材3106は間欠的に配置され、それらの間には間隙がある。このため各細長部材3106は、非常に局所化した半径方向の力を空洞表面に対してかけることができ、拡張の間に1つ以上の近接する細長部材の間に組織を陥入させることができる。
【0085】
図32Hに戻り、いくつかの用途では、1つ以上の細長部材3106aiv、3106avを、空洞202近傍の比較的薄い組織領域(例えば患者の皮膚近傍など)に向けて配置することもできる。均一な放射線強度を有するポッドその他の放射線源を各細長部材3106に導入する場合、このような薄い組織領域または皮膚自体に過量照射したり、やけどを負わせたりする危険性がある。この理由から、線量計画では、放射線強度が比較的低い、また場合によっては(例えば細長部材3106aiv、3106avの1つまたは両者の少なくとも一部に沿って線源間に非放射性スペーサーを配するなどにより)「止めた(turned off)」1つ以上のシードを有する放射線源を内部に導入することを推奨する場合がある。
【0086】
線量計画では、細長部材の内側層から薄い領域に向けて放射線を照射することを任意に推奨する場合もある。例えば図32Hに示すように、細長部材3106aivと3106avとの間でコア部材3110の中心軸近くに単一の細長部材3100biを設けることができる。単一の細長部材3100biに放射線源を導入し、細長部材3106aiv、3106avの向こう側の薄い組織領域に放射線を照射できるようにする。このように細長部材の内側層を設けることによって、所望の線量計画に従った放射線の局所照射を確かなものにすることができる。
【0087】
図32D〜図32Hに示す実施形態では、細長部材3106aが(完全に拡張され)直径が最大(例えば約3cmまで)となった際、互いに約1cm離れるようにこれらの細長部材を構成してもよい。さらに、放射線源(例えば本明細書の他箇所に記述するシード108)がワイヤーの周りに約1cmの線量分布(円3122および3124)を形成することもできる。その結果、図32Gの円3122、3124で表すように、装置3100が、空洞壁および周辺組織の全体または実質的な全体に放射線を照射することができる。なお、装置3100に使用される放射線源は低線量率源でもよく、また代わりに、間欠的に照射される高線量率源(例えばイリジウムまたはイッテルビウムなど)でも構わない。
【0088】
小線源療法治療の完了時には、装置3100を元の折畳み形状に戻し、挿入用切開部を介して装置3100を乳房200から取り除くことができる。
【0089】
図33A〜図33Gは、腔内小線源治療装置3600の代替的実施形態を示す。装置3600は、治療部分3604と、テールなどの外部部分3606とを有する小線源治療デバイス3602を含むことが出来る。図33A示すように、例えばコイル部材3608などの変形可能な細長い放射能源を用いて治療部分3604を形成することができる。コイル部材3608は、細長いコア部材3610の周りに巻きついたらせんコイルでもよい。また、コア部材3610の周囲を平行移動および/または回転する取付部材(例えばスリーブ3612)にコイル部材3608の少なくとも一端(例えば近位端)を固定してもよい。この形状は、例えば乳腺腫瘤摘出跡(図示せず)などの標的領域に比較的小さな切開部を介して挿入可能な細型デバイスに適している。
【0090】
配置が一旦完了すると、図33Bに示すようにコイル部材3608を展開させて、空洞内部にらせん経路を形成することができる。デバイス3602を展開するためには、移植後に体外へ延びる両側のスリーブ3612をコア部材3608の周りに相対的に回転させる。1方向へのスリーブの相対的回転がコイル部材3608の拡張を引き起こす。すなわちコイル部材3608が中心のコア部材3610から離れる方向に動き出す。反対方向へのスリーブ3612の相対的回転は、コア部材3610周りのコイル部材3608の縮小を同様に引き起こす。拡張のための回転を大きくするほど、より大きな半径方向の力が乳腺腫瘤摘出跡の壁にかかるようになる。乳腺腫瘤摘出跡の壁により大きな力がかかると、拡張されたコイル部材3608の巻き線内に乳房組織がより大きく陥入する結果となる。
【0091】
スリーブ3612の回転方向の動きのほかに、スリーブをコア部材3610に対し軸方向に平行移動することも出来る。軸方向の平行移動により、拡張形状におけるコイル部材3608の長さ調整が可能となる。コイル部材3608は個別にその軸方向長さおよび直径(従って空洞壁に対する拡張力)を選定することが出来るので、様々な大きさおよび形状の乳腺腫瘤摘出跡の治療に装置3600を使用することができる。
【0092】
図35Aおよび図35Bに、拡張可能な小線源治療装置3200のもう1つの実施形態を示す。前の実施形態と同様、装置3200は、一般に近位ハブ3207と、遠位ハブ3209と、ハブ3207およびハブ3209の間に延びる複数の細長部材3206とを含み、これにより長手軸3201を規定する。やはり前の実施形態と同様に、ハブ3207、3209は軸方向を相対的に移動することができ、細長部材3206を第1の折畳み形状(図示しないが例えば直線形状)と、第2の展開形状(例えば、図35Aおよび35Bの曲線形状)との間で変形させることができる。
【0093】
装置3200は、本明細書の他箇所に記載ものと同様のアクチュエータ(図示せず)を任意に含み、このアクチュエータを近位ハブ3207に結合してもよい。アクチュエータを近位ハブ3207に取り外し可能に接続可能とするか、または装置3200に永久的に取り付けてもよい(図示せず)。
【0094】
図35Bに最もよく示されるが細長部材3206を、2つの異なった群、配列、または層として構成してもよい。第1群または外側群は複数(例えば、図では6本)の細長部材3206aを含み、この細長部材は、本明細書記載の他の実施形態と同様な1つ以上の内腔(図示せず)や補強部材(図示せず)などを含んだ管状押出材または本体から形成することができる。第2群または内側群は細長部材3206bを含むが、これらもまた1つ以上の内腔(図示せず)や補強部材(図示せず)などを含んだ管状体3216bから形成することができる。内側細長部材3206bの形状および/またはその他の構成は、外側細長部材3206aと類似しても相違しても構わない。
【0095】
細長部材3206は個別の管状体から形成することができる。例えば、所望の断面形状を有する管状押出材を形成し、次いでこれを各細長部材3206に対応する個別の長さに切断しても良い。代わりに、本明細書の他箇所に記述するように、複数の細長部材3206を単一の押出材または他の単一管状構造として形成し、この管状構造を分離するように切断して個別の細長部材3206bとしてもよい。
【0096】
細長部材3206の第1端または近位端を近位ハブ3207に取り付け、細長部材3206の第2端または遠位端を遠位ハブ3209に取り付けることができる。例えば、細長部材3206の近位端を、近位ハブ3207の対応する内腔の少なくとも一部を通って延ばし、接着、溶着その他の方法で近位ハブ3207に固定してもよい。代わりに、細長部材3206の近位端を、近位ハブ3207上のニップルなどに取り付けても良い。同様に、細長部材3206の遠位端を遠位ハブ3209の対応するポケットに受けさせたり、接着、溶着その他の方法で遠位ハブ3209に固定したりしてもよい。
【0097】
本明細書記載のいずれの実施形態においても、遠位ハブ3209を除去可能とするか、または細長部材3206の遠位端に一時的に取り付けられるようにすると有利な場合がある(図示せず)。このようにすることで装置3200の除去を迅速化したり、容易にしたりすることができる。例えば装置3200を除去する直前に遠位ハブ3209から細長部材3206の遠位端を解放できるようにしてもよい。
【0098】
前述の実施形態とは異なり、内側細長部材3206bは管状体3216bから延びる外延部3217を含み、内側細長部材3206bの表面積を増大させるようになっている。図示したように、外延部3217は各管状体3216bの対向側に設けられ、例えば長手軸3201に対し横方向や円周方向に延びており、組織装置3200が導入された際に空洞周辺組織と接触する内側細長部材3206bの表面積を増大させるようになっている。この表面積の増大により、装置3200が拡張に際して、(例えば、周辺組織を半径方向外側に押しつけても組織を傷つけないように接触面を形成するなど)空洞の周辺組織の形状整形が容易になる。
【0099】
図43A〜図44Bは、内側細長部材3206b(または本明細書記載の他の実施形態における全ての細長部材)の各種断面の一部を示す。これらの断面図は、折畳み形状において様々に配列された細長部材を示す。これらの断面形状により、半径方向への曲げを付勢したり、横方向に安定化したり(例えば、拡張時の横方向たわみに抵抗すること)ができる。これらの形状により、拡張された際の細長部材を実質的に対称な幾何形状にすると、本明細書に記載した補強部材(例えば金属帯など)を省略できる場合もある。補強部材を省略すると、パラジウム、ヨウ素、セシウムなど、一般的なLDR放射線源との適合を容易にすることができる。特に細長部材にLDR放射線源を配置した場合、金属帯などの補強部材は、放射線の周辺組織への侵入を少なくとも部分的に減衰させる。ただしこのような補強部材は、一般に使用されるHDR放射線源(例えばイリジウム)からの放射線に対しては殆ど影響を及ぼさない。
【0100】
図43Aは、細長部材4006の配列に関する例示的な実施形態を示すもので、各細長部材4006が実質的にアイレット(小穴)形状を有し内部に内腔4008を含んでいる。このアイレット形状は、外延部4007によって少なくとも部分的に規定される外側面を増大させ、周辺組織を半径方向外側に押しつける接触面が実質的に組織を傷つけないようにする。さらにアイレット形状は、(矢印“R”で表す)半径方向よりも(矢印“C”で表す)円周方向に対してより大きな慣性モーメントを付与することができる。このような配向により、拡張時における細長部材が半径方向外側に屈曲できるように付勢したり、例えばモーメントの大きな方向(すなわち円周方向)への動きに抵抗するなど細長部材の横方向安定性を強化したりすることができる。本明細書記載の他の実施形態と同様であるが細長部材4006は、図示したように内側の群と外側の群とに配列される。なお、細長部材4006の単一層を設けたり、細長部材の数(図43Aでは8本)を変えたりしても構わない。
【0101】
図43Bに示す細長部材4016のもう1つの配列は、中心周りに対称に配列された単一層となっている。本実施形態における各細長部材4016は、内腔4018を規定する中心管状部分4019と、対向する一対の外延部4017とを備える。本明細書の他箇所に記載する方法と同様に、細長部材4016を個別の管状体から形成するか、または外延部4017の近接部で分離した単一の管状体から形成してもよい。
【0102】
図43Cは細長部材4016′の代替的な配列を示すが、これも一般に図43Bのものと同様に形成される。図43Bの配列が互いに隣り合って略円形状に配設されているのに対し、図43Cの細長部材4016′は、例えば近接する外延部4017が部分的に入れ子になって、略矩形状に配列されている点が異なる。
【0103】
図43Dに示す細長部材4016″の配列もまた、図43Bおよび図43Cに示すものとほぼ同様である。ただしこの配列は、前述した実施形態と異なり、実質的円形に配列した6本の細長部材4016″を含み、さらに近接する外延部4017の部分的な入れ子を含んでいる。これらいずれの配列も、細長部材の円周方向の慣性モーメントを半径方向よりも大くし、接触面積を大きくしたり半径方向への付勢や横方向の安定性を増大させたりする。
【0104】
なお、本明細書記載のいずれの実施形態にいても、細長部材の数や個々の細長部材(または外延部)の幅を増大させることにより、例えば、組織陥入を減少させる、および/または、空洞の再成型や拡大を促すようにすることができる。逆に、組織陥入を増大させる、および/または、空洞の再成型や拡大程度を減少させることが望ましい場合には、細長部材の数や個々の細長部材の幅を減少させることもできる。
【0105】
図44Aは、細長部材4026の代替的実施形態の断面を示す。本実施形態は、内腔4028を規定する管状部分4029を一般に含む。この内腔4028は、前述の実施形態と同様な放射線源(図示せず)の経路となる。本実施形態における細長部材4026は、実質的に平坦な外側面4030を規定する外延部4027をさらに含む。平坦な外側面4030により周辺組織との接触が促され、本明細書の他箇所に記載の実施形態と同様に、例えば乳腺腫瘤摘出跡周辺の組織の整形を容易にする。
【0106】
細長部材4026′の代替的実施形態を図44Bに示す。ここでは図44Aに示す実施形態よりもさらに、管状部分4029′および外延部4027′がしっかりと統合されている。前述の実施形態と同様に、細長部材4026′は放射線源(図示せず)を受ける内腔4028′と、周辺組織に接触する実質的に平坦な外側面4030′とを含む。図44Aおよび図44Bに示す細長部材4026、4026′を、(例えば、外側面4030、4030′が半径方向外側に向かうようにして)本明細書に開示した他のすべての実施形態に組み込んでもよい。
【0107】
図35Aおよび図35Bに示す実施形態に戻るが、外側細長部材3206aは、内側細長部材3206bと異なり外延部や増大した表面積を含まない。これにより、装置3200が内部で拡張した際、空洞の周辺組織中に外側細長部材3206aが陥入したり侵入したりすることを促す。代わりに、拡張に際し外側細長部材を周辺組織に押し当てたり、その他の方法で空洞を整形したりすることが望ましい場合には、外側細長部材3206aが外延部を含む、および/または、表面積を増大させるようにし、これにより細長部材間への組織陥入の度合いを減少させてもよい。このような代替例では、(例えば図38Aおよび図38Bに示すように)内側細長部材を任意に省略するか、内側細長部材の外延部3217を設けたり、省略したりすることもできる。
【0108】
図35Aを引き続き参照する。装置3200は、近位ハブ3207内を(および/またはこれを貫通して)延び遠位ハブ3209に取り付けられるコア部材3210を含む。これにより、前述の実施形態と同様、近位ハブ3207をコア部材3210の軸方向に沿って摺動させることができる。本明細書の他箇所に記述するように、アクチュエータ(図示せず)を近位ハブ3207やコア部材3210に結合して、軸方向の相対的な動きを制御できるようにしてもよい。
【0109】
本明細書の他箇所に記述するように、各細長部材3206はそれぞれ1つ以上の補強部材(図示せず)を含むことができる。この補強部材は、例えば長手軸3201の実質的な直角方向から反れたりねじれたりすることなく所望の方向に細長部材3206を拡張・収縮するように付勢する。また補強部材無しでは実質的に柔軟でねじれやすい細長部材3206の管状体を幾分取りまとめる役割も果たす。代わりに、例えば細長部材の断面形状によって付勢および/または横方向の安定性が改善される場合などには、補強部材を不要としてもよい。本代替例は、(例えば本明細書の他箇所に記述するように補強部材中の金属性材料により)補強部材が放射線照射を減衰するなどの効果をもたらすためLDR用途に有益である。
【0110】
装置3200の使用時に、細長部材3206を折畳み形状(図示せず)にすることができる。組織を通った管道に遠位ハブ3209を(例えば、鋭利もしくは尖った遠位先端部を付けて単体で、または図示しないがカニューレその他の管状部材を介して)挿入し、細長部材3206を乳腺腫瘤摘出跡の内部などの標的組織領域内部に配設する。代替的実施形態では、図54に示すような送置装置4050を使用し装置3200へのアクセスや照射を行う。一般に送置装置4050は、トロカール4052とシース4062とを備える。トロカール4052は、実質的な剛体または準剛体の細長体に近位端4054と鋭利な遠位先端部4056とを含めたものである。シース4062は、近位端4064と、遠位端4066と、近位端4064上にある1つ以上のハンドル4068とを含む。さらにシース4062は、近位端4064と遠位端4066との間に延びる1つ以上の弱化領域または他のシーム4070を含んでもよい。シース4062は、細長部材3206を折畳み形状にした装置3200などの小線源治療装置がその中を通ることのできる大きさとしてもよい。
【0111】
送置装置4050を最初、図54に示すように、シース4062がトロカール4052を包囲し、鋭利な遠位先端部4056がシース4062の遠位端4066を越えて延びた状態にする。次いで送置装置4050を組織に挿入する。例えばこの際、鋭利な遠位先端部4056を(小さな切り込み等を介して)患者の皮膚に直接侵入させ、介在する乳房組織を通って乳腺腫瘤摘出跡などの治療部位に送り込む。(いずれも図示せず)。シース4062の遠位端4066を治療部位に配設したら、トロカール4052をシース4062から近位に取り除くことができる。また、トロカール4052の近位端4054およびシース4062上のハンドル4068に、トロカール4052をシース4062内にかみ合わせたり固定したりする機構(例えば、戻り止めなど)を任意に設けてもよい。トロカール4052を除去する際には機構を開いたり、また単に十分な力で引っ張り機構を解放したりして、このような機構を解除ことができる。
【0112】
再び図35Aを参照する。折畳み形状にある小線源治療装置3200をシース4062内に進め、細長部材3206を治療部位に配設することができる。細長部材3206が治療部位内部に設置された状態(例えば治療部位がシース4062の遠位端4066に近接した状態)でシース4062を取り除くと細長部材3206が治療部位で露出する。このようにするためにはシース4062を分離可能にしてもよい。例えば、ハンドル4068を近位に引いてシースから離れるようにすると、シース4062がシーム4070に沿って分離される。このようにシース4062を単なる引きはがし型とし、例えば装置3200上の大きな近位ハブ3207の上を通してシース4062を除去できるようにしてもよい。装置3200を配置するためのこのような送置装置4050および方法は、本明細書の他箇所に記載されるいずれの実施形態における送置にも利用することができる。
【0113】
もう1つの代替的な送置方法および装置として、従来のイメージング法(超音波法など)を用い、乳腺腫瘤摘出跡などの治療箇所に針を配置することもできる。針の先端を所望の箇所(乳腺腫瘤摘出跡など)に配置する際、針にガイドワイヤーを通す。そして針を取り除くと、ガイドワイヤーの先端が所望の箇所に残される。そして、このガイドワイヤー上に先端テーパ付き拡張器/シースアセンブリを進め、外側シースの遠位先端部が治療箇所に入るようにする。その後、ガイドワイヤーおよび拡張器を取り除くとシースが治療箇所に届いた状態となる。それからこのシースを通して装置3200を送りこみ、装置3200が組織内の所望位置に配置したら、例えば前述の方法と同様に引き剥がすなどしてシースを除去することができる。
【0114】
図35Aおよび図35Bを参照する。近位ハブ3207をコア部材3210に対して遠位方向に動かすことにより、図示したように、細長部材3206が外側に向かって弓状に曲がる。装置3200を拡張形状にすると、内側細長部材3206bの外延部3217は、外側細長部材3206aの間に陥入した組織を少なくとも部分的に方向付けて、空洞を所望の形状にする。言い換えれば、(例えば乳腺腫瘤摘出跡の周辺組織を圧迫する)投影面積の広い細長部材は、投影面積の狭い部材より陥入程度が小さく、乳腺腫瘤摘出跡を再整形および/または拡大するように作用する。逆に、投影面積が比較的狭い細長部材は組織により深く侵入する傾向にあり、このため陥入の度合いが高まったり、空洞の再整形および/または拡大が起こりにくくなったりする。
【0115】
その後、例えば細長部材3206が折畳み形状に戻らないように装置3200を固定してもよい。例えばクランプなどのデバイス(図示せず)を近位ハブ3207の直近でコア部材3210の周囲にクリップし、コア部材3210や近位ハブ3207相互の摺動を抑えるようにしてもよい。代わりに、アクチュエータが除去可能な場合には、アクチュエータによって(例えば近位ハブ3207上のネジとコア部材3210との摩擦により)操作されない限り、近位ハブ3207を実質的に固定されたままにしておいてもよい。このようにすると、アクチュエータを除去する際にアクチュエータを解除・除去しても、近位ハブ3207を実質的に動かなくすることができる。装置3200を所望の直径または他の拡張形状に固定するための他の方法は、本明細書の他箇所に記述するものなどがある。
【0116】
上記の後、1つ以上の放射線源を細長部材3206内に送り、空洞の周辺組織に放射線を照射できるようにする。このように細長部材3206によって放射線源を受ける経路を規定してもよい。また例えば、複数のLDR線源を細長部材3206に送置し、所定の時間、内在したままにしてもよい。代わりに、本明細書の他箇所に記述するような所望の線量計画に従って、1つ以上のHDR線源を細長部材3206に順次に送置してもよい。例えば、HDR線源を第1の細長部材3206内に導入し、第1の位置に進め、所定の時間この第1位置に保持する。そしてHDR線源を第2の位置まで前進および/または後退させ、所定の時間そこに保持するなどしてもよい。その後、第1の細長部材3206からHDR線源を除去し、同様な方法でこれらを他の細長部材3206に順次導入してもよい。さらに別の代替例では、1つ以上の放射線源を空洞内への導入前に細長部材3206に予め装填しておくか、固定しておくこともできる。
【0117】
次いで図36Aおよび図36Bを参照する。これらの図には拡張可能な小線源治療装置3300のもう1つの実施形態示されており、本実施形態は一般に近位ハブ3307と、遠位ハブ3309と、ハブ3307およびハブ3309の間に延びる複数の細長部材3306とを備える。装置3300はコア部材(図示せず)または他のアクチュエータをさらに含んで細長部材3306を折畳み形状(図示せず)と図示の拡張形状との間で方向付けられてもよい。これら部品の構成は、本明細書記載の他の実施形態と同様である。
【0118】
前述の実施形態とは異なり、装置3300は、近接する細長部材3306の間に延在する1つ以上の柔軟な膜3317を備える。例えば、エラストマー製またはその他の薄い材料や柔軟な材料(例えばシリコーン、ポリウレタン等)を近接する細長部材3306の縁に取り付けるか、そこから懸架するなどして、近接する細長部材3306間に延びる個々の皮膜または表面を設ける。代わりに、単一のスリーブ、シート、またはその他の膜3317を全ての細長部材3306の周囲に取り付けてもよい。この代替例では膜3317が実質的に変形可能で、細長部材3306の拡張に適合でき、一方で膜が、近接する細長部材3306間を内側に伸びるようになっている。さらに別の代替例では、膜3317が、実質的に非弾性または部分的に弾性の材料であり、細長部材3306が折畳み形状から拡張形状に向かう際、この材料が伸びずに開く、または、伸びて開くようにしてもよい。さらにもう一つの代替例では、膜3317の厚さが不均一に(例えば、近接する細長部材3306間の中間領域ではより厚く、細長部材3306の直近ではより薄く)なっており、図36Bに示すように膜3317の形状が例えば凹状になり易くできている。
【0119】
膜3317が、実質的に平坦または凹状の皮膜を規定する場合がある。また、代わりにポリマーフィラメントの編組配列など、近接する細長部材3306間に延在する表面を規定する場合もある。使用時には、装置3300が空洞内部で拡張された際、細長部材3306が周辺組織を外側に圧迫する。このようになると、本明細書の他箇所に記述するように、周辺組織が少なくとも部分的に細長部材3306の間に陥入する場合がある。しかし組織陥入するにつれ、膜3317が陥入する組織を圧迫するなどして組織と接触し、陥入の程度を制限したり制御したりできるようになる。従い、装置3300が完全に拡張した際における周辺組織の形状予測がより簡単にできるようになり、装置3300を用いて照射する放射線の線量計画の適宜選択や適宜使用が容易になる。その後、本明細書の他箇所に記載の他の実施形態と同様に、1つ以上の放射線源を装置3300内に導入することができる。
【0120】
いくつかの実施形態おける膜3317は任意に、拡張された細長部材3306を完全に覆い、拡張された装置3300の内側全体にシールを形成することができる。一方他の実施形態における膜には、これを通る開口や、ボイドその他の間隙(図示せず)を形成することが好ましい場合もある。これらの間隙により、流体が膜の内表面と外表面とを行き来できるようになる。このようにすることで、(例えば血清腫など)膜の内表面や外表面への流体堆積を最小限に抑えることができ、その結果、拡張された細長部材3306に相対する標的組織の動きを最小化することができる。
【0121】
図37Aおよび図37Bを参照する。ここには拡張可能な小線源治療装置3400のさらにもう1つの実施形態が示されており、この装置は一般に近位ハブ3407と、遠位ハブ3409と、ハブ3407およびハブ3409の間に延びる複数の細長部材3406とを備える。装置3400は、折畳み形状(図示せず)と図示した拡張形状との間で細長部材3406を方向付けるために、コア部材(図示せず)またはその他のアクチュエータを含むこともできる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0122】
さらに装置3400は、スリーブ3417を含むことができる。このスリーブは外側細長部材3406aの配列によって規定される内部空間の中で支持される。例えば図示した実施形態では、前述の実施形態と同様に構成された複数の内側細長部材3406bによってスリーブ3417が少なくとも部分的に支持されている。内側細長部材3406bは、1つ以上の放射線源(図示せず)を受けるための管状体を含んでも良い。代わりに、内側細長部材3406bを単なるリブや補強部材としてもよく、また、スリーブ3417内にあるか、このスリーブに取り付けられたり接触したりする他の構造としてもよい。このようにしてスリーブ3417は外側細長部材3406aから離れた内側体積を規定することができる。
【0123】
スリーブ3417は1つ以上の膜を含むことができ、この膜を、図36Aおよび図36Bに示す膜3317と同様に構成したり、内側細長部材3406bに取り付けたりすることができる。例えば、スリーブ3417を、内側細長部材3406bを覆うエラストマーまたは同様な材料で形成し、内側細長部材3406bが折畳み形状から拡張形状に向かう際、スリーブ3417が弾性的に伸びるか、またはその他の方法で拡張できるようにしてもよい。代わりに、スリーブ3417を実質的に非弾性的および/または非従順(noncompliant)な材料で形成し、内側細長部材3406bが拡張形状に向かって方向付けられる際、スリーブ3417が少なくとも部分的に開くようにしてもよい。
【0124】
装置3400を拡張させると、スリーブ3417が実質的な球根形状(例えば、実質的な球、フットボール、スイカ、その他の形状)に拡張する。スリーブ3417は例えば外側細長部材3406aの間に陥入するなどして延びる周辺組織と接触し、その結果、周辺組織の配置を制限および/または制御する。前述の実施形態と同様、所望するおよび/またはより予測可能な方法でスリーブ3417が周辺組織を方向付けて、周辺組織のプロフィールおよび/または形状予測を容易に行えるようにすることで、装置3400を用いて照射される最適な放射線線量計画の選択が容易に行えるようになる。
【0125】
図38Aおよび図38Bに、拡張可能な小線源治療装置3500のさらにもう1つの実施形態を示す。この装置は一般に、近位ハブ3507と、遠位ハブ3509と、ハブ3507およびハブ3509の間に延びる複数の細長部材3506とを備える。また装置3500は、折畳み形状(図示せず)と図示した拡張形状との間で細長部材3506を方向付けるために、コア部材3510またはその他のアクチュエータを含むことができる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0126】
前述の実施形態とは異なり細長部材3506は、管状体3516から延び、細長部材3506の表面積を増大させる外延部3517を含む。図示したように、外延部3517が管状体3516の両側に設けられており、例えば長手方向軸3501に対して横方向および/または円周方向に延びている。これにより装置3500が導入される空洞の周辺組織と接触する内側細長部材3506の表面積を増大させる。表面積が増大する結果と、装置3500が拡張される際、例えば周辺組織を半径方向外側に押す接触面が組織を傷つけないなど、空洞周辺組織の整形が容易になる。
【0127】
図39Aおよび図39Bは拡張可能な小線源治療装置3800のもう1つの実施形態を示す。本装置は、拡張可能なデバイス3802と、作動ツール3820とを備える。一般に拡張可能なデバイス3802は、近位ハブ(図示せず)と、摺動ボタン3807と、遠位ハブ3809と、近位ハブおよび遠位ハブの間に延びる複数の細長部材3806とを備える。装置3800は、折畳み形状(図示せず)と図示の拡張形状との間で細長部材3806を方向付けるために、近位ハブ3807および遠位ハブ3809の間に延びるコア部材3810を含むこともできる。これらの部品の構成は本明細書記載の他の実施形態と同様としても構わない。
【0128】
前述の実施形態と異なり細長部材3806は、遠位ハブ3809から近位ハブおよび摺動ボタン3807を通って近位端3812に延びている。細長部材3806を単一の押出材または他の管状体から形成してもよいし、例えば、接着、溶着、ラッピング(lapping)等により互いに接続した複数の管状体から形成することもできる。図示の近位端3812は、中心の長手軸3801から半径方向に離れるように延びている。近位端3812は、半径方向に対し実質的な剛体となっており、アフターローダー移送管(after-loader transfer tube;図示せず)にしっかりと固定できる一方、その長手方向に対しては柔軟となっており、患者の安心および/または操作性を高められるようになっている。この形状により、例えば本明細書の他箇所に記述するように、1つ以上の放射線源を受ける特定の細長部材3806の識別を容易に行うことができる。
【0129】
さらに拡張可能なデバイス3802は、例えば長手軸3801と実施的に平行でコア部材3810近傍などを延びる中央管状部材3816を含むことができ、中央内腔やその他の経路(図示せず)を含んでもよい。中央管状部材3816は近位端3817を含む場合があり、この近位端も長手軸3801から離れる方向(例えば図示したように斜め)に延びることができる。任意に、中央管状部材3816の近位端3817を、他の細長部材3806の近位端3812からオフセットするなどして区別し、例えば中央管状部材3816の識別を容易にするなどしてもよい。例として、細長部材3806の近位端3812を拡張可能なデバイス3802の外周の一部分に設ける一方、中央管状部材3816の近位端3817を外周の反対側に設けることもできる。
【0130】
前述の実施形態と同様、ボタン3807は、細長部材3806の軸方向を、皮膚表面から近位端3812までの何れの位置にも移動可能で、例えば、細長部材3806を所望の配列にまとめる助けとなる。装置3800は除去可能な拡張ツール3820を含み、このツールは、拡張可能なデバイス3802に結合されて、細長部材3806を折畳み形状と拡張形状との間で方向付けることができるようになっている。
【0131】
拡張ツール3820は、相互に回転可能な内側および外側の細長いシャフト、(例えば、外側管状シャフト3822および、ロッド、ケーブル、ワイヤー、その他の内側シャフト;図示せず)を一般に含む。外側シャフト3822は、ハンドル3825の付いた近位端3824と、1つ以上の機構3827(例えば近位ハブ上の六角穴などの機構に対応して係合する六角棒形状などの機構;図示せず)の付いた遠位端3826とを含む。この内側シャフトは、ハンドル3825に近接する近位ハンドル3828と、1つ以上の機構(例えば、外側シャフト3822の遠位端3827上かこれを越えて位置する六角キー付き先端部3829)とを含む。先端部3829は、例えば六角形領域やその他の機構(図示せず)など対応するキー付き領域にコア部材3810の近位端を係合するなどの方法によって受けられる。
【0132】
使用時には、拡張ツール3820を細長部材3806の間に挿入し、近位ハブおよびコア部材3810に係合させる。例えば、外側シャフト3822上の六角キー付き端部3827を近位ハブ内の六角形領域と係合させ、キー付き先端部3829がコア部材3810内の対応するポケットに受けられるまで、拡張ツール3820を回転させてもよい。その後で、ハンドル3825とハンドル3828を相反方向に回転させると、近位ハブが遠位に向かって、および/または、コア部材3810に対し近位に向かって進み、本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様、細長部材3806が拡張したり元に戻ったりする。
【0133】
必要に応じ、柔軟なチューブ部材(図示せず)を近位ハブ3807に取り付けてもよい。この際、チューブ部材の長手軸を近位ハブ3807のキー付き要素と軸合わせする。このようにすると、拡張ツールがチューブ部材の内部または周辺を通過することができ、2つのはめ合い面相互の容易かつ適切な係合を確かなものにする。このチューブ部材は放射線経路を規定するチューブ要素であってもよく、また拡張ツールのシャフト3826を受ける直径の比較的大きなチューブでもよい。
【0134】
図47Aは、小線源治療装置3800′を拡張および折畳みさせるために用いることのできる拡張ツール3820′の代替的実施形態を示す。本装置は本明細書記載の他のいずれの実施形態とも同様である。前述の実施形態と同様に拡張ツール3820′は、外側管状シャフト3822′と、内側ロッド、ケーブル、ワイヤーまたはその他のシャフト3830′とを含み、これらは相互に回転できるようになっている。外側シャフト3822′は、ハンドル3825′の付いた近位端3824′と、1つ以上の機構3827′(例えば装置3800′上や近位ハブ3807′内の近接する細長部材3806′の間に受けられるスポークなど)を含む遠位端3826′とを備え、これにより外側シャフト3822′を装置3800′に回転可能に結合する。内側シャフト3830′は近位ハンドル3828′と、1つ以上の機構(例えば、外側シャフト3822′の遠位端3826′に近接または内在しコア部材3810′の近位端3811′と係合するようなキー付き先端部3829′)とを含む。
【0135】
これにより、拡張ツール3820′を装置3800′に結合された際、ハンドル3825′、3828′を反対方向に回転させて細長部材3806′を拡張または折畳みさせることができる。例えば、細長部材3806′を折畳み形状(図示せず)にして患者の体内に装置3800′を導入する前または後に、拡張ツール3820′を装置3800′に結合してもよい。ハンドル3825′、3828′を第1の対向する方向に回転させることで、細長部材3806′を図47Aに示す拡張形状にすることができる。
【0136】
その後、拡張ツール3820′を解除し除去してもよい。装置3800′の除去(または細長部材3806′の拡張形状の調整)が必要な場合、拡張ツール3820′を装置3800′に再結合しても良い。装置3800′を除去する際には、ハンドル3825′、3828′を第2の対向する方向に回転させる。こうすると細長部材3806′が折畳み形状になり、装置3800′が患者の体内から除去できるようになる。細長部材3806′の拡張または折畳みに拡張ツール3820′を用いれば、装置3800′および/または周辺組織にかかる望ましくないトルクを最小化または実質的に無くすことができる。
【0137】
図39Aおよび図39Bに戻る。本明細書記載の他の実施形態と同様、患者への放射線照射に装置3800を用いることができる。さらに中央内腔3816を、例えばHDR放射線治療の際に放射線源を送置するための追加的な経路として用いてもよい。このようにして、細長部材3806内に1つ以上の放射線源を導入した後またはこれと同時に、放射線源を中央内腔3816に導入してもよい。
【0138】
例えば、細長部材3806の近位端や遠位端(拡張形状にある細長部材3806の最大径が「赤道」を定義する場合には「極」と呼称する場合もある)に近接する周辺組織への過量照射または「やけど」を最小限に留めるように中央内腔3816を用いることもできる。最大線量の放射線源を細長部材3806の近位端または遠位端の直近に送置する場合、得られる放射線強度が所望の強度より高くなることがある。この対策の1つとして、LDR用途では、例えば細長部材3806の両端にスペーサーを用いるか線源の放射量を低くする、またHDR用途では、極における滞留時間を短縮することなどができる。しかしながらこれらの方法は、デバイスの極領域における放射線線量の不適当な侵入を招く場合もある。中央内腔3816を用いれば、これらの極領域内における所望線量分布の放射線照射が可能となる。一般に、中央内腔3816を細長部材3806の外側層と組み合わせて用いれば、放射線をより正確かつフレックスに照射することができる。例えば放射線敏感構造(例えば、皮膚、胸壁等)が近接する対称な空洞領域の近傍で治療を行う場合、中央内腔3816を放射線照射に用いる唯一の内腔としてもよい。
【0139】
なお、中央管状部材や内腔を本明細書記載のいずれの実施形態にも含めることもできる。ここで図52Aおよび図52Bを参照する。本図に示す拡張可能な小線源治療装置3800′の代替的実施形態は、複数の細長部材3806′と、コア部材3810′と、近位ハブ3807′および遠位ハブ3809′の間に延びる中央管状部材3816′とを備える。装置3800′の各部品は、図39Aおよび図39Bに示す装置3800と一般に同様である。装置3800と異なり装置3800′は、ハブキャップまたはバンプ先端3819′を含む遠位ハブ3809′を備え。先端3819′は、遠位ハブ3809′と一体成形してもよいし、またこれに取り付けてもよい。バンプ先端3819′には、中央管状部材3816′の遠位端3816a′を受ける内部空洞が設けられ、中央管状部材3816′が細長部材3806′を越えて遠位に延びるようになっている。
【0140】
中央管状部材3816′の外延部は放射線源を受けるように構成されている。装置3800′には中心軸から半径方向の外方で遠位ハブ3809′に取り付けられた細長部材3806′が備えられているが、前記放射線源はこの細長部材を越えて遠位に延びる。このようにして放射線源(図示せず)を中央管状部材3816′内およびバンプ先端3816a′内に進め、これにより遠位ハブ3809′およびバンプ先端3819′の遠位を越えたり囲ったりする近傍組織への放射線照射を強化することができる。
【0141】
戻って図40Aおよび図40Bを参照する。本図に示す拡張可能な小線源治療装置3900のもう1つの実施形態は、単一の本体3901として成形された近位ハブ3907と遠位ハブ3909との間に延びる複数の細長部材3906を備える。図40Aは折畳み形状にある細長部材3806を示し、一方図40Bは拡張形状にある細長部材3806を示す。図40Bではコア部材3910を見ることができる。コア部材3910を、例えば長さの少なくとも一部に沿ってネジ切りされた別の細長部材とし、コア部材3910が単一本体内部で回転して、本明細書記載の他の実施形態と同様に細長部材3906を拡張したり、折畳んだりできるようする。
【0142】
次いで図41Aおよび図41Bを参照する。単一本体3901を押出、射出成形、鋳造などで成形し、例えば、細長部材3906の全ての機構や、近位ハブ3907および遠位ハブ3909を含むようにしてもよい。図42に示すように単一本体3901を、比較的薄いもしくは弱化した領域または膜3911などによって互いに接続した近接する細長部材3906付きの押出材として形成することができる。細長部材3906は、放射線源(図示せず)を受ける内腔3908など、1つ以上の内腔を含むことができる。細長部材3906が拡張できるようにするため、例えば細長部材3906に対応する単一本体3901の長さ部分に沿って皮膜3911を切断するなどして分離する。必要に応じ余分な皮膜材料を切り取るか、またはそのまま残して外延部(図示せず)とすることもできる。膜3911の厚さを、単一本体3901の部分に沿って実質的に均一にすることで細長部材3906を規定するか、また厚さを変えて、例えば、外延部その他の機構(図示せず)を形成するようにしてもよい。
【0143】
膜3911を分離したら、コア部材3910または装置3900の他の部品を取り付けるなどして単一本体3901に組み込むことができる。例えば、単一本体3901が細長部材3906に別の内腔(図示せず)を含む場合、補強部材等(図示せず)をこの内腔に挿入してもよい。例えば本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様に任意であるが、中央管状部材や内腔(図示せず)を単一本体3901の一部として形成するか、単一本体3901に取り付けてもよい。
【0144】
次に図45から図46Bを参照する。これらの図に示す拡張可能な小線源治療装置4100の追加的実施形態は、近位ハブ4107と遠位ハブ4109との間に延びる複数の細長部材4106と、コア部材4110とを備える。これらは本明細書の他箇所に記載する他の実施形態と同様に構成されている。装置4100はさらに、近位ハブ4107から近位に延びる複数の管状部材4116を含む。図45に見られるように、近位ハブ4107は複数のニップル4117その他の機構を含み、そこに管状部材4116をそれぞれ取り付けられるようになっている。従って各管状部材4116は、前述の実施形態と同様に対応する細長部材4106の内腔と連通することができる。管状部材4116は、いずれの所望長さ、例えば患者の体外から治療部位にアクセスしその内部で細長部材4106を展開するのに十分な長さとしてもよい。
【0145】
任意ではあるが、図45に示すようにコア部材4110を中空のチューブとし、例えば、放射線源の経路として用いられる内腔(図示せず)を形成してもよい。この場合、管状部材(図示せず)を、コア部材4110の内腔と連通する近位ハブ4107から近位に延ばすこともできる。
【0146】
例えば装置4100は、中心軸4101に沿った中空ネジ付き要素4118をさらに含むことができる。ネジ付き要素4118は、拡大された近位端4119を含むロッドまたはチューブと同様に構成され、この近位端の内側には、本明細書の他箇所に記載されるような拡張ツール(図示せず)の対応する六角形端部を受けるような形および/または大きさとなった六角形の陥凹部または表面(図示せず)がある。
【0147】
さらに、図45の実施形態に示すように、個々の管状要素4107を先端4109のすぐ近位で平坦にし、装置4100の中心軸4101を横切り近位ハブ4107に戻るようにすることもできる。このようにすると、半径方向に配置された8本の細長部材4106の配列を4本の隣接するチューブから作製することができる。例えば、対向する各細長部材4106は、近位ハブ4107から遠位に延び、コア部材4110の遠位端を通って近位ハブ4107まで近位に延びる単一のチューブ部位を含むこともできる。任意ではあるが、図46Aおよび図46Bに示す実施形態のように遠位ハブ4109は、コア部材4110の遠位端に被せて固定されたキャップ4109aを含んでもよい。この固定には、締まり嵌め、接着、溶着、かみ合うネジまたはその他のコネクター等を用いることができ、これにより細長部材4106を遠位ハブ4109に固定する。代わりに、図45に示すように、細長部材4106をそれぞれの先端で接合(例えば、熱着または接着)するか、チューブ部位がコア部材4110の遠位端と交わる際に軸合わせを行えるようにするための溝または他の機構(図示せず)を設けるなどしてもよい。装置4100の中心軸4101に対し遠位先端部を直角に交わさせると、細長部材4106を遠位ハブ4109で中心軸4101に対し実質的に平行配列する場合よりも短い先端長さで、細長部材4106を配列することができる。その例を図46Aおよび図46Bに示す。先端を短くすると、装置4100の遠位先端部における、乳腺腫瘤摘出跡への線量測定が行い易くなる。
【0148】
図53Aおよび図53Bには、図45から図46Bに示した装置4100と一般に類似した代替的実施形態の装置4100′を示す。装置4100′は複数の細長部材4106′と、近位ハブ4107′および遠位ハブ4109′の間に延びる中央管状部材4116′とを一般に備える。図示したように、遠位ハブ4109′はバンプ先端4119′を含むが、この先端は図52Aおよび図52Bに示す実施形態と同様なものでも構わない。装置4100′は、近位ハブ4107′から近位に延びる管状部材またはカテーテル4126′を含むことができ、図46Aおよび図46Bに示した実施形態と同様、所望の長さにすることができる。
【0149】
図示したように、管状部材4126′を近位シャフト4128′の周りに設け、さらにシャフト4128′の周りに摺動可能に配設されたカラー4129′で支持することができる。カラー4129′はカテーテル4126′を整列した状態に保ち、使用時にはカラー4129′を、例えば装置4100′を移植する患者の皮膚表面までカテーテル4126′に沿って摺動させることができる。装置4100′の患者への固定を助けるため患者の皮膚に通した縫合糸を、摺動ハブ縁上の縫合糸孔(図示せず)で受けることができる。
【0150】
代わりに、カラー4129′を管状部材4126′に固定し、カラー4129′を軸方向に動かして管状部材4126′を伸縮させ、これにより前述の実施形態と同様、細長部材4106′を拡張させたり折畳んだりすることができる。この実施形態では、近位ハブ4107′をシャフト4128′に対し固定する。また管状部材4126′は近位ハブ4107′を通って延びており、近位ハブ4107′を動かさずにカラー4129′を軸方向に方向付けるように構成されている。この構成により、近位ハブ4107′を通って管状部材4126′を動かして細長部材4106′の拡張および折畳みを行ってもよい。
【0151】
一対のハンドル4132′、4134′をシャフト4128′の近位端に永久固定するなどして設け、これらを相互に回転可能にすることにより、例えば、図39A、図39B、および図47に示した拡張ツールのように、細長部材4106の拡張や折畳みを可能にしてもよい。拡張ツールを装置4100′に永久的に取り付けるため、コア部材4110′を剛体とする必要がなくなる。例えば、いくつかの実施形態におけるコア部材4110′は装置4100′遠位端まで延びる柔軟なケーブル(図示せず)でもよく、これによって遠位端を引っ張り、細長部材4106′を拡張できるようにする。ケーブルは、その遠位端が遠位ハブ4109′または遠位ハブ4109′からの外延部(図示せず)に溶接またははんだ付けされた単一要素であってもよい。
【0152】
代わりに、ケーブルをループとしてもよい。その際ケーブルは、遠位ハブ4109′またはそこからの外延部(図示せず)に明けられたアイレットまたは孔を通過する。このケーブルの近位端を、セットネジ(図示せず)でハンドル要素4134′に取り付けることもできる。柔軟なシャフト4128′が回転方向および軸方向に十分な安定性を有する限り、装置4100′の拡張および折畳みを駆動する一対のネジを、ハンドル要素4132′、4134′内に配置することもできる。(図示せず)。このようなケーブルによるアクチュエータを用いれば、例えばかみ合うネジを設置するのに必要な容積を患者の体外(例えば拡張ツールの内部)に配置できるので、患者の体内に入る領域を小さくすることができる。代わりに、永久固定されたシャフト4128′を、シャフト4128′内の回転要素とともに除去可能な拡張ツール(図示せず)で置き換えることも可能である。装置4100′は、本明細書記載の他の実施形態と同様、細長部材4106′や、1つ以上の放射線源(図示せず)を受ける中央管状部材4116′とともに用いることができる。
【0153】
戻って図48から図51を参照する。これらの図に示されるカートリッジ4250を、LDRポッド(図示せず)など複数の放射線源の送置に用いることができる。線源は、本明細書記載のいずれの実施形態とも同様に、例えば拡張可能な小線源治療装置4200に、実質的同時に送置することができる。カートリッジ4250は、近位端4254と遠位端4256とを含む複数の管状体またはその他のキャリヤー4252を一般に備える。キャリヤー4252は、例えばカラー、バンド、ハブ等4258によって相互に固定されている。遠位端4256を、例えば摺動係合や、1つ以上のコネクター(図示せず)などによって装置4200に接続してもよい。
【0154】
カートリッジ4250は、複数のピストン4262を含むピストンアセンブリ4260をさらに備えることができる。このピストンはそれぞれ対応するキャリヤー4252内に摺動可能に受けることができる。ピストン4262を、キャリヤー4252の配設部(例えば近位ハンドル4264)に対応する配設部に接続したり固定したりしてもよい。キャリヤー4252にそれぞれの放射線源(例えばポッド4270)を装填する。図49にこの先端を見ることができる。そして装填前または後にピストン4262をキャリヤー4252内に挿入する。
【0155】
本明細書の他箇所に記載の実施形態と同様、使用時には、装置4200を患者の体内に移植することができる。拡張ツール(図示せず)を用いて、近位ハブ4207を解除するなどして細長部材4206を取り外し、これを拡張することができる。図51に示すように、近位ハブ4207はカートリッジ4250との接続が自由に行えるようになっている。図50Aに示すように、キャリヤー4252の遠位端4256を近位ハブ4207に接続することができる。例えば、近位ハブ4207上のニップル4217の上または内で、遠位端4256を単に摺動可能に受けるだけでもよい。追加的または代替的に、遠位端4256および/または近位ハブ4207が戻り止めその他の機構を含み、これが係合するなどしてカートリッジ4250を装置4200に固定できるようにしてもよい。
【0156】
図50Bを参照して、放射線源4270(図50Bに図示せず。;図49を参照のこと。)を導入する際には、ピストンアセンブリ4260のハンドル4264を押し下げる、すなわち装置4200に向け遠位に押すことができる。このようにすると、ピストン4262が遠位に進み、対応するキャリヤー4250に入り、ピストン4262が放射線源と接触しこれをキャリヤー4250から遠位に押しだす。すると放射線源は近位ハブ4207を通過して、対応する細長部材4206内に入る。この放射線源を使用して、所望の線量計画に従い、細長部材4206周辺の組織に放射線を照射する。
【0157】
放射線源の導入後、カートリッジ4250を解除するなどして装置4200から取り除くことができる。必要に応じ、ネジ付きキャップまたは圧入キャップ(図示せず)を近位ハブ4207の端部に被せ、治療中に放射線源要素4270をさらに固定するとともに保護を行ってもよい。十分な放射線を照射した後、拡張ツール(図示せず)を用いて細長部材4206を折畳み状態にし、装置4200を放射線源とともに患者の体内から除去することができる。放射線を十分に照射した後で、ピストンアセンブリ4260のハンドル4264を近位に引っ張り、放射線源をキャリヤー4252内に抜き取ることができる。その後、カートリッジ4205を装置4200から取り除いてもよい。装置4200を患者の体内にそのまま残し、例えば後の放射線治療を行ってもよいし、またはカートリッジ4250除去後にこれを取り去ってもよい。
【0158】
本明細書記載の装置によれば、小線源治療デバイス(または他の放射線源)を用いて、空洞内の位置から空洞周辺組織に向けた放射線照射を、例えば単一切開部を介して行うことが可能になる。さらに本明細書に記載する腔内用の装置、方法およびシステムによれば、1つ以上の放射線源を標的となる空洞の周辺組織に対し実質的に固定することが可能になる。周辺組織をデバイスの周りに十分陥入させることで、移植の全期間を通じ、デバイスの固定を確かなものとしたり、乳腺腫瘤摘出跡の近傍組織に対し、線量の過不足なく十分な深さに所望の放射線を浸透させたりすることができる。その結果、小線源療法の治療期間にわたって、特定の組織への所望の線量照射が行われる。さらに、(例えば周辺組織に対するデバイスの予期せぬ動きなどによる)意図しない組織への照射を最小化することができる。
【0159】
本明細書記載の小線源治療デバイスを、腫瘍の外科的切除前(術前)に、腫瘍内(および/または周辺)に移植し、その後、手術時またはその前に除去することもできる。このような治療を施すことで、腫瘍を縮小、場合によっては破壊することができる。他の実施形態では、本明細書記載の装置および方法を用い、腫瘍組織を外科的に切除した後に小線源療法を施して、術後(例えば乳房の乳腺腫瘍摘出術後)の周辺組織を治療することもできる。場合によっては、本明細書に記述・説明した小線源治療装置および方法によって、従来の治療法、すなわち腫瘍切除、全領域外照射療法(EBRT:external beam radiation therapy)、化学療法などを補う、またはそれらの必要性を低減させることなども考慮される。代わりに、本明細書記載の方法をこうした治療(例えば化学療法、EBRT)の術後に実施することもできる。
【0160】
代わりに、本明細書記載の装置および方法をHDR治療の実施に用いることもできる。例えば既知のHDR線量計画に従い、1つ以上のHDR放射線源をデバイスの経路に沿って送置してもよい。さらに別の代替例では、HDR放射線源(例えば、Varian Medical Systems, Inc.製のイリジウム先端付アフターローダーケーブル、または、米国特許公開2005/0061533A1に開示されるような小径X線源など)を本明細書記載のコア部材を通って進め、さらに拡張可能なデバイスによって空洞を広げることで空洞の周辺組織により均一な放射線照射を行い易くすることもできる。任意として、放射線源のシールドをコア部材に設け、周辺組織の所望の部分に向けて放射線源からの放射線を方向付けることもできる。
【0161】
また本明細書記載の小線源治療デバイスは従来のHDRカテーテルに比べて実質的により柔軟なため、これらを直線状または曲線状(例えば、カーブやスパイラル)などいかなる形にも配置することができる。このような柔軟性により、他の方法ではアクセスすることのできない形状および位置への放射線源(例えばシード)の移植が可能になる。
【0162】
本発明の装置および方法によれば、比較的少ないカテーテルで、所望の線量を照射できる可能性もある。例えば本明細書記載の装置および方法によれば、従来のHDR法で使用される典型的な標的当りの本数のカテーテルより少ない本数で所望の線量照射レベルを達成できる可能性がある。なお、本明細書記載のデバイスは、やはり従来のイメージング法(例えば定位固定X−線法、超音波法、CT法など)を用いて移植する必要がある。
【0163】
また本発明の装置および方法は、患者にその他の利便を供与する。例えば、挿入の結果として生じ得る皮膚の損傷や不快感を、小さく柔軟なカテーテルによって和らげる可能性もある。さらに小さく柔軟なテール部は、適切な位置に一旦収まった後、短く切ることができるのみならず、折り畳んで皮膚にテープ止めすることもできる。このようなことは硬いHDRカテーテルでは困難である。従って治療期間を通じ、患者が不快感を抱く可能性も低く、場合によっては術後の見た目も改善される可能性がある。さらに例えば、本発明による装置および技法は、他の治療(例えばEBRTや化学療法)に比べ副作用が小さくなる可能性もあり、例えば現在のHDR小線源療法の治療計画と比べ通院回数を少なく済ませる可能性もある。
【0164】
またさらに、本明細書記載の小線源療法送置システムによれば、病班サイズに基づいた放射線の線量標準化が可能になる。その結果、煩雑な線量計算やマッピングシステムの必要性を低減したり、またある種の癌(例えば乳癌)に対してはこのような手間を省略したりできる可能性もある。
【0165】
以上、本発明の例示的な実施形態を記述した。当業者は、本発明の範囲内で多くの実施形態が可能であることを認識するであろう。他の変形例や改良例、また本明細書記載の部品、方法の様々な組み合わせもまた、本発明の範囲に属するものであると言える。例えば、本明細書記載の治療デバイスはいずれも、本明細書に記載の送置システムおよび方法のいずれとも組み合わせることが可能である。従って本発明は、添付の請求範囲およびその等価範囲によってのみ限定されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入されるように構成された細長体と、
放射線源を沿わせて受けるための経路を含む前記遠位端上の複数の細長部材と、
を備え、
前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が管状体と、前記管状体から延びる外側面とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記外側面が、各管状体から横方向に延びる1つ以上の外延部を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側面が、各管状体から横方向に延びる1つ以上の対向する外延部を含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記細長部材が、半径方法の奥行きより大きな幅を有する管状押出材を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記管状押出材が、アイレット形状を実質的に有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
放射線を前記標的箇所に照射するため前記経路に沿って導入可能な放射線源をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記細長部材が、前記拡張形状において分離しており、近接する細長部材の間に前記標的箇所の組織が陥入できるようにした請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記細長部材の近位端に結合された近位ハブをさらに含み、前記近位ハブが前記細長体に相対して移動可能で、前記細長部材を前記折畳み形状から前記拡張形状に移動可能である請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記細長体が、前記近位端から前記遠位端に延び前記細長部材の遠位端に結合されたコア部材を含み、前記近位ハブが、前記細長部材の近位端に結合された外側部材を含み、前記外側部材が前記コア部材の周囲に摺動可能に設けられたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記外側部材が、前記細長部材の経路と連通する通路を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記近位ハブが複数の開口を含み、前記経路に沿って前記放射線源を導入するためにそれぞれの経路に前記開口が連通することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記細長部材の遠位端に結合された遠位ハブをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記細長体の遠位端が鋭利にされており、組織に侵入できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記細長部材が、前記拡張形状において三次元配列を含み、1つ以上の放射線源が前記細長部材に導入されたときに前記三次元配列が放射線源の複数の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記細長部材が第1組の内側細長部材を含み、前記装置が、前記細長体の中心軸の周りで互いに離れた第2組の細長部材をさらに含み、前記第2組の細長部材が前記拡張形状における最大径を概ね規定し、前記最大径が前記第1組の細長部材の最大径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第2組の細長部材が前記中心軸の周りで前記第1組の細長部材から角度方向にオフセットしていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記細長部材全体が非減衰性材料で実質的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記細長部材全体がプラスチック材料で実質的に形成されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記細長部材が非金属材料で形成されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、内部に放射線源を受ける中央内腔をさらに含み、前記中央内腔が前記細長部材の経路を越えて遠位に延び、これにより、前記細長部材を越えた遠位に放射線源を送置し、前記細長体の遠位端近傍に放射線を照射できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入するように構成された細長体と、
放射線源を沿わせて受けるための経路を含む前記遠位端上の複数の細長部材と
を備え、
前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が、前記細長部材の拡張時における半径方向への屈曲を付勢する、および/または、前記細長部材の横方向安定性を強化するような断面形状を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
前記細長部材が、半径方向よりも円周方向により大きな慣性モーメントを有することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
複数の内腔を含む近位部と、押出材の内腔を遠位部に沿って分離することにより形成された複数の拡張可能な細長部材を含む前記遠位部と、を含む細長い管状押出材を備え、
前記拡張可能な部材がそれぞれの内腔に連通する経路を含むことを特徴とする装置。
【請求項24】
前記細長部材の第1端が前記近位部から延び、前記細長部材の第2端が、前記押出材の一部として形成された遠位ハブで終端することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
拡張可能な小線源療法治療の装置を作製するための方法であって、
近位部および遠位部を含み、ならびに前記近位部および前記遠位部の間に延びる複数の内腔を含む、細長い管状部材を形成すること、
前記内腔を前記遠位部に沿って分離して、これにより、前記近位部から延びた第1端と第2端とを含む複数の細長部材を形成すること、および
前記細長部材の第1端と第2端の間にアクチュエータを結合して、前記細長部材を折畳み形状と拡張形状との間で方向付けできるようにすること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記細長部材の第2端が互いに分離されておらず、これにより遠位ハブを規定することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アクチュエータを結合することが、コア部材を前記細長部材の第2端に結合することを含み、前記コア部材が、少なくとも部分的に前記近位部内へ延びることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記アクチュエータを結合することが、前記コア部材と前記近位部との間に接合部を設けることを含み、前記接合部を作動したときに、前記接合部が前記近位部のコア部材に相対する軸方向の動きを起し、これにより前記細長部材を前記折畳み形状と前記拡張形状との間で方向付けられるようにすることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記管状部材を形成することが前記管状部材を押し出すことを含み、前記管状部材が前記内腔間に比較的弱い領域を含むようにし、前記内腔を分離することが前記比較的弱い領域を切断することを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入できる大きさの細長体と、
放射線源を内部に受ける内腔を含む前記遠位端上にある複数の拡張可能な管状部材であって、組織管を通って標的箇所へ導入するための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能な前記管状部材と、
前記管状部材の近位端に結合されたハブであって、前記管状部材を前記折畳み形状から前記拡張形状にするために前記細長体に対して移動可能な前記ハブと、
前記ハブから近位に延びた複数の管状体であって、前記拡張可能な管状部材のそれぞれの経路と連通する前記管状体と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項31】
前記細長体の遠位端に相対して前記ハブを動かし、前記管状部材を前記折畳み形状と前記拡張形状との間で動かすためのアクチュエータをさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
放射性元素を搬送する複数のポッドをさらに含み、前記ポッドが前記管状体内に導入可能であり、前記拡張可能な管状部材のそれぞれの経路内に前記ポッドを方向付けできるようにしたことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記管状部材が、前記拡張形状において分離しており、前記標的箇所の組織が近接する管状部材の間に陥入できるようにしたことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記管状体が、前記拡張可能な管状部材より実質的に長いことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記管状体が前記ハブから分離可能であることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項36】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入できる大きさの細長体と、
経路を含み該経路に沿って放射線源を受けるように構成された前記遠位端上にある複数の細長部材であって、前記細長部材が、組織管を通った標的箇所への導入ための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が前記拡張形状において分離して、近接する細長部材の間で前記標的箇所の組織が陥入できるようになっている、細長部材と、
前記標的箇所における前記細長部材間への組織陥入を制限または制御するため前記細長部材の間に設けられた1つ以上の要素と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項37】
放射線を前記標的箇所に照射するために前記経路に沿って導入可能な放射線源をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記1つ以上の要素が、前記細長部材から延びる外側面を含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記1つ以上の要素が、前記細長部材の外周の少なくとも一部を規定することを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記細長部材が管状体を含み、前記管状体から前記外側面が延びることを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記1つ以上の要素が、近接する細長部材の間に設けられた柔軟な膜を含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項42】
前記柔軟な膜が、前記近接する細長部材の間に延び、これにより、前記細長部材が前記拡張形状に向けて方向付けられたときに、前記近接する細長部材の間に凹状表面を規定することを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記細長部材内部に設けられた複数の支持部材をさらに含み、前記支持部材が前記柔軟な膜を支持できるようにしたことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項44】
前記細長部材が前記拡張形状に向けて方向付けられるときに前記支持部材が半径方向に拡張可能で、これにより前記柔軟な膜が半径方向に拡張するようにすることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記1つ以上の要素が拡張可能なスリーブを含み、前記細長部材が前記拡張形状にむけて方向付けられるときに、前記拡張可能なスリーブが半径方向に広がることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項46】
前記拡張可能なスリーブが、前記拡張形状において前記細長部材により規定される断面より小さな断面を有することを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
複数の経路を含む小線源治療デバイスに複数の放射線源を装填するためのカートリッジであって、
内腔を有し、該内腔にそれぞれの放射線源を受ける複数の細長い管状部材と、
前記内腔がそれぞれの経路と連通するように前記小線源治療デバイスに結合される前記管状部材の第1端上のハブと、
前記放射線源のそれぞれを、実質的に同時に前記内腔から前記経路へ方向付けるため前記管状部材に相対して移動可能なアクチュエータと、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項48】
体内組織を治療する小線源療法の方法であって、
空洞近傍の標的箇所まで組織を通って管道を形成すること、
前記管道を通って前記標的箇所に、折畳み形状にある複数の細長部材を運ぶ細長体を進めること、
前記標的箇所において前記細長部材が中心軸から離れるように前記細長部材を拡張形状に方向付けて、近接する細長部材の少なくとも一部の間で空洞の周辺組織が延びるようにすることであって、前記周辺組織と接触する1つ以上の表面を前記細長部材が有し、該表面が、前記細長部材の間に前記周辺組織が延びる程度を制御または制限する、前記方向付けること、および
前記標的箇所の組織を治療するため前記標的箇所に放射線を照射すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに前記細長部材が前記細長体を前記標的箇所に固定することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに前記標的箇所の組織を前記細長部材の間に陥入させ、前記1つ以上の表面が陥入程度を制御または制限することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに、前記1つ以上の表面が空洞の周辺組織を外側に向けて方向付けて、これにより前記周辺組織の形状を整えることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の表面が前記細長部材から延びる外側面を含み、前記外側面が、前記細長部材から前記外側面の接触する組織に沿ってかかる半径方向外向きの力を分散させることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の表面が、前記周辺組織と接触する柔軟な膜を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の表面が、近接する細長部材の間にそれぞれ設けられた複数の膜を含み、前記膜が前記周辺組織の形を整え、所望の線量計画の策定を容易にするため前記周辺組織の形状予測を容易に行えるようにすることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記細長部材が1つ以上の放射性元素を運び、前記細長体を前記標的箇所に所定の時間だけ放置することにより前記標的箇所に放射線を照射し、これにより、前記1つ以上の放射性元素から放射される放射線に前記組織を照射することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記標的箇所に放射線を照射することが、前記細長部材によって設けられる経路に沿って放射線源を導入することを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記放射線源が、前記細長部材の一連の経路内に順次導入されるHDR放射線源を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記放射線源が、前記細長部材に沿って設けられた経路に沿ってそれぞれ導入される複数のポッドを含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記細長部材が、経路をそれぞれ規定する内腔を含む複数の管状部材を備え、
経路に沿って放射線源を導入することがそれぞれの内腔にポッドを導入すること含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
各ポッドが、所定の線量計画に基づいて配置された複数の放射性シードを含み、前記ポッドを前記内腔にそれぞれ導入して、前記中心軸周りに実質的に対称な三次元配列を形成するようにしたことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ポッドがシードを含み、前記シードが前記三次元配列の所定の位置で異なる放射線強度を有することを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記標的箇所の1つ以上の領域に対し、前記標的箇所の1つ以上の領域以外に照射するよりも低い放射線線量を照射するように前記シードの放射線強度を選定することを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記1つ以上の領域が、皮膚近傍の体内組織を含むことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記1つ以上の領域が、前記三次元配列の1つ以上の特定の経路と対応することを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項65】
1つ以上の特定の経路が非放射性シードを含むことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記細長体が鋭利な遠位先端部を含み、組織を通って前記細長体を前記標的箇所に進めるときに前記管道が形成されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項67】
前記標的箇所に放射線を照射した後で前記細長部材を前記折畳み形状に方向付けることと、前記標的箇所から前記細長体を除去することをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項68】
前記組織を通って管道を形成することが、組織を通って前記標的箇所に管状部材を進めることを含み、前記管状部材を通って前記細長体を進めることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項69】
穿孔部材を前記管状部材に設け、組織を通って前記管状部材を進めるときに、前記管状部材を越えて延びる鋭利な遠位先端部を前記穿孔部材が含み、これをもって組織に侵入し前記管道を形成するようにし、また前記管状部材を通って前記細長体を進める前に前記穿孔部材を除去することを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記細長部材を前記拡張形状に向け方向付けて、前記細長部材が空洞の周辺組織と接触するようにし、これにより、前記細長部材間への組織の陥入を起こさせることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項71】
前記細長部材が複数の放射性元素を運び、前記細長部材が前記拡張形状に方向付けられたときに、前記細長部材が前記放射性元素を三次元配列に配置することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項72】
前記放射性元素が前記拡張形状において放射線の複数の層を規定することを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記放射性元素が前記細長部材に固定され、前記放射性元素によって規定される三次元配列が、前記標的箇所における前記組織を治療するための所定の線量計画に対応することを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記標的箇所に放射線を照射することが、前記標的箇所の内部における前記拡張形状に基づいて線量計画を策定すること、および
策定された線量計画に従って放射線を照射すること、
を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項75】
前記策定された線量計画に従って放射線を照射することが、前記細長部材の一連の経路に沿ってHDR線源を順次導入することを含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記策定された線量計画に従って放射線を照射することが、前記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って複数のポッドを導入することを含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記第1組の細長部材が、前記空洞近傍の比較的薄い組織領域に向けて設けられ、前記ポッドが、前記第1組の細長部材に沿って導入された第1組のポッドを含み、前記第1組のポッドが、他のポッドよりも低い放射線強度を有することを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第1組の細長部材が経路の外側層を含み、第2組の細長部材を前記第1組の細長部材の下に設け、前記第2組の細長部材が前記拡張形状において経路の内側層を含むようにすることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1組が一対の近接する細長部材を含み、前記第2組が、前記一対の近接する細長部材の間に設けられた細長部材を含み、前記細長体の中心軸により近いことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項80】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
組織を通って管道内に導入されるように構成され近位端および遠位端を含む細長体を備え、
前記細長体が、前記近位端から前記遠位端に延びる中央内腔と、経路を含みそれに沿って放射線源を受ける前記遠位端上の複数の細長部材とを含み、前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入ための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能なことを特徴とする装置。
【請求項81】
前記中央内腔が、前記細長部材の経路を越えて遠位に延び、これにより、前記細長部材を越えた遠位に放射線源を送置でき、前記細長体の遠位端近傍で放射線を照射できることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記細長体の遠位端上に、前記細長部材の遠位端が取り付けられた遠位ハブをさらに含むことを特徴とする請求項81に記載の装置。
【請求項1】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入されるように構成された細長体と、
放射線源を沿わせて受けるための経路を含む前記遠位端上の複数の細長部材と、
を備え、
前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が管状体と、前記管状体から延びる外側面とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記外側面が、各管状体から横方向に延びる1つ以上の外延部を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側面が、各管状体から横方向に延びる1つ以上の対向する外延部を含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記細長部材が、半径方法の奥行きより大きな幅を有する管状押出材を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記管状押出材が、アイレット形状を実質的に有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
放射線を前記標的箇所に照射するため前記経路に沿って導入可能な放射線源をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記細長部材が、前記拡張形状において分離しており、近接する細長部材の間に前記標的箇所の組織が陥入できるようにした請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記細長部材の近位端に結合された近位ハブをさらに含み、前記近位ハブが前記細長体に相対して移動可能で、前記細長部材を前記折畳み形状から前記拡張形状に移動可能である請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記細長体が、前記近位端から前記遠位端に延び前記細長部材の遠位端に結合されたコア部材を含み、前記近位ハブが、前記細長部材の近位端に結合された外側部材を含み、前記外側部材が前記コア部材の周囲に摺動可能に設けられたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記外側部材が、前記細長部材の経路と連通する通路を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記近位ハブが複数の開口を含み、前記経路に沿って前記放射線源を導入するためにそれぞれの経路に前記開口が連通することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記細長部材の遠位端に結合された遠位ハブをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記細長体の遠位端が鋭利にされており、組織に侵入できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記細長部材が、前記拡張形状において三次元配列を含み、1つ以上の放射線源が前記細長部材に導入されたときに前記三次元配列が放射線源の複数の層を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記細長部材が第1組の内側細長部材を含み、前記装置が、前記細長体の中心軸の周りで互いに離れた第2組の細長部材をさらに含み、前記第2組の細長部材が前記拡張形状における最大径を概ね規定し、前記最大径が前記第1組の細長部材の最大径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第2組の細長部材が前記中心軸の周りで前記第1組の細長部材から角度方向にオフセットしていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記細長部材全体が非減衰性材料で実質的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記細長部材全体がプラスチック材料で実質的に形成されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記細長部材が非金属材料で形成されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記装置が、内部に放射線源を受ける中央内腔をさらに含み、前記中央内腔が前記細長部材の経路を越えて遠位に延び、これにより、前記細長部材を越えた遠位に放射線源を送置し、前記細長体の遠位端近傍に放射線を照射できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入するように構成された細長体と、
放射線源を沿わせて受けるための経路を含む前記遠位端上の複数の細長部材と
を備え、
前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入を行うための折畳み形状と、拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が、前記細長部材の拡張時における半径方向への屈曲を付勢する、および/または、前記細長部材の横方向安定性を強化するような断面形状を含むことを特徴とする装置。
【請求項22】
前記細長部材が、半径方向よりも円周方向により大きな慣性モーメントを有することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
複数の内腔を含む近位部と、押出材の内腔を遠位部に沿って分離することにより形成された複数の拡張可能な細長部材を含む前記遠位部と、を含む細長い管状押出材を備え、
前記拡張可能な部材がそれぞれの内腔に連通する経路を含むことを特徴とする装置。
【請求項24】
前記細長部材の第1端が前記近位部から延び、前記細長部材の第2端が、前記押出材の一部として形成された遠位ハブで終端することを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
拡張可能な小線源療法治療の装置を作製するための方法であって、
近位部および遠位部を含み、ならびに前記近位部および前記遠位部の間に延びる複数の内腔を含む、細長い管状部材を形成すること、
前記内腔を前記遠位部に沿って分離して、これにより、前記近位部から延びた第1端と第2端とを含む複数の細長部材を形成すること、および
前記細長部材の第1端と第2端の間にアクチュエータを結合して、前記細長部材を折畳み形状と拡張形状との間で方向付けできるようにすること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記細長部材の第2端が互いに分離されておらず、これにより遠位ハブを規定することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アクチュエータを結合することが、コア部材を前記細長部材の第2端に結合することを含み、前記コア部材が、少なくとも部分的に前記近位部内へ延びることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記アクチュエータを結合することが、前記コア部材と前記近位部との間に接合部を設けることを含み、前記接合部を作動したときに、前記接合部が前記近位部のコア部材に相対する軸方向の動きを起し、これにより前記細長部材を前記折畳み形状と前記拡張形状との間で方向付けられるようにすることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記管状部材を形成することが前記管状部材を押し出すことを含み、前記管状部材が前記内腔間に比較的弱い領域を含むようにし、前記内腔を分離することが前記比較的弱い領域を切断することを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入できる大きさの細長体と、
放射線源を内部に受ける内腔を含む前記遠位端上にある複数の拡張可能な管状部材であって、組織管を通って標的箇所へ導入するための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能な前記管状部材と、
前記管状部材の近位端に結合されたハブであって、前記管状部材を前記折畳み形状から前記拡張形状にするために前記細長体に対して移動可能な前記ハブと、
前記ハブから近位に延びた複数の管状体であって、前記拡張可能な管状部材のそれぞれの経路と連通する前記管状体と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項31】
前記細長体の遠位端に相対して前記ハブを動かし、前記管状部材を前記折畳み形状と前記拡張形状との間で動かすためのアクチュエータをさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
放射性元素を搬送する複数のポッドをさらに含み、前記ポッドが前記管状体内に導入可能であり、前記拡張可能な管状部材のそれぞれの経路内に前記ポッドを方向付けできるようにしたことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記管状部材が、前記拡張形状において分離しており、前記標的箇所の組織が近接する管状部材の間に陥入できるようにしたことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記管状体が、前記拡張可能な管状部材より実質的に長いことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項35】
前記管状体が前記ハブから分離可能であることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項36】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
近位端および遠位端を含み組織に導入できる大きさの細長体と、
経路を含み該経路に沿って放射線源を受けるように構成された前記遠位端上にある複数の細長部材であって、前記細長部材が、組織管を通った標的箇所への導入ための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能で、前記細長部材が前記拡張形状において分離して、近接する細長部材の間で前記標的箇所の組織が陥入できるようになっている、細長部材と、
前記標的箇所における前記細長部材間への組織陥入を制限または制御するため前記細長部材の間に設けられた1つ以上の要素と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項37】
放射線を前記標的箇所に照射するために前記経路に沿って導入可能な放射線源をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記1つ以上の要素が、前記細長部材から延びる外側面を含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記1つ以上の要素が、前記細長部材の外周の少なくとも一部を規定することを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記細長部材が管状体を含み、前記管状体から前記外側面が延びることを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記1つ以上の要素が、近接する細長部材の間に設けられた柔軟な膜を含むことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項42】
前記柔軟な膜が、前記近接する細長部材の間に延び、これにより、前記細長部材が前記拡張形状に向けて方向付けられたときに、前記近接する細長部材の間に凹状表面を規定することを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記細長部材内部に設けられた複数の支持部材をさらに含み、前記支持部材が前記柔軟な膜を支持できるようにしたことを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項44】
前記細長部材が前記拡張形状に向けて方向付けられるときに前記支持部材が半径方向に拡張可能で、これにより前記柔軟な膜が半径方向に拡張するようにすることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記1つ以上の要素が拡張可能なスリーブを含み、前記細長部材が前記拡張形状にむけて方向付けられるときに、前記拡張可能なスリーブが半径方向に広がることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項46】
前記拡張可能なスリーブが、前記拡張形状において前記細長部材により規定される断面より小さな断面を有することを特徴とする請求項45に記載の装置。
【請求項47】
複数の経路を含む小線源治療デバイスに複数の放射線源を装填するためのカートリッジであって、
内腔を有し、該内腔にそれぞれの放射線源を受ける複数の細長い管状部材と、
前記内腔がそれぞれの経路と連通するように前記小線源治療デバイスに結合される前記管状部材の第1端上のハブと、
前記放射線源のそれぞれを、実質的に同時に前記内腔から前記経路へ方向付けるため前記管状部材に相対して移動可能なアクチュエータと、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項48】
体内組織を治療する小線源療法の方法であって、
空洞近傍の標的箇所まで組織を通って管道を形成すること、
前記管道を通って前記標的箇所に、折畳み形状にある複数の細長部材を運ぶ細長体を進めること、
前記標的箇所において前記細長部材が中心軸から離れるように前記細長部材を拡張形状に方向付けて、近接する細長部材の少なくとも一部の間で空洞の周辺組織が延びるようにすることであって、前記周辺組織と接触する1つ以上の表面を前記細長部材が有し、該表面が、前記細長部材の間に前記周辺組織が延びる程度を制御または制限する、前記方向付けること、および
前記標的箇所の組織を治療するため前記標的箇所に放射線を照射すること、を含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに前記細長部材が前記細長体を前記標的箇所に固定することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに前記標的箇所の組織を前記細長部材の間に陥入させ、前記1つ以上の表面が陥入程度を制御または制限することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記細長部材が前記拡張形状となったときに、前記1つ以上の表面が空洞の周辺組織を外側に向けて方向付けて、これにより前記周辺組織の形状を整えることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ以上の表面が前記細長部材から延びる外側面を含み、前記外側面が、前記細長部材から前記外側面の接触する組織に沿ってかかる半径方向外向きの力を分散させることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の表面が、前記周辺組織と接触する柔軟な膜を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の表面が、近接する細長部材の間にそれぞれ設けられた複数の膜を含み、前記膜が前記周辺組織の形を整え、所望の線量計画の策定を容易にするため前記周辺組織の形状予測を容易に行えるようにすることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記細長部材が1つ以上の放射性元素を運び、前記細長体を前記標的箇所に所定の時間だけ放置することにより前記標的箇所に放射線を照射し、これにより、前記1つ以上の放射性元素から放射される放射線に前記組織を照射することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記標的箇所に放射線を照射することが、前記細長部材によって設けられる経路に沿って放射線源を導入することを含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項57】
前記放射線源が、前記細長部材の一連の経路内に順次導入されるHDR放射線源を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記放射線源が、前記細長部材に沿って設けられた経路に沿ってそれぞれ導入される複数のポッドを含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記細長部材が、経路をそれぞれ規定する内腔を含む複数の管状部材を備え、
経路に沿って放射線源を導入することがそれぞれの内腔にポッドを導入すること含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
各ポッドが、所定の線量計画に基づいて配置された複数の放射性シードを含み、前記ポッドを前記内腔にそれぞれ導入して、前記中心軸周りに実質的に対称な三次元配列を形成するようにしたことを特徴とする請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ポッドがシードを含み、前記シードが前記三次元配列の所定の位置で異なる放射線強度を有することを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記標的箇所の1つ以上の領域に対し、前記標的箇所の1つ以上の領域以外に照射するよりも低い放射線線量を照射するように前記シードの放射線強度を選定することを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記1つ以上の領域が、皮膚近傍の体内組織を含むことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記1つ以上の領域が、前記三次元配列の1つ以上の特定の経路と対応することを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項65】
1つ以上の特定の経路が非放射性シードを含むことを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記細長体が鋭利な遠位先端部を含み、組織を通って前記細長体を前記標的箇所に進めるときに前記管道が形成されることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項67】
前記標的箇所に放射線を照射した後で前記細長部材を前記折畳み形状に方向付けることと、前記標的箇所から前記細長体を除去することをさらに含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項68】
前記組織を通って管道を形成することが、組織を通って前記標的箇所に管状部材を進めることを含み、前記管状部材を通って前記細長体を進めることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項69】
穿孔部材を前記管状部材に設け、組織を通って前記管状部材を進めるときに、前記管状部材を越えて延びる鋭利な遠位先端部を前記穿孔部材が含み、これをもって組織に侵入し前記管道を形成するようにし、また前記管状部材を通って前記細長体を進める前に前記穿孔部材を除去することを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記細長部材を前記拡張形状に向け方向付けて、前記細長部材が空洞の周辺組織と接触するようにし、これにより、前記細長部材間への組織の陥入を起こさせることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項71】
前記細長部材が複数の放射性元素を運び、前記細長部材が前記拡張形状に方向付けられたときに、前記細長部材が前記放射性元素を三次元配列に配置することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項72】
前記放射性元素が前記拡張形状において放射線の複数の層を規定することを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記放射性元素が前記細長部材に固定され、前記放射性元素によって規定される三次元配列が、前記標的箇所における前記組織を治療するための所定の線量計画に対応することを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記標的箇所に放射線を照射することが、前記標的箇所の内部における前記拡張形状に基づいて線量計画を策定すること、および
策定された線量計画に従って放射線を照射すること、
を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項75】
前記策定された線量計画に従って放射線を照射することが、前記細長部材の一連の経路に沿ってHDR線源を順次導入することを含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記策定された線量計画に従って放射線を照射することが、前記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って複数のポッドを導入することを含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記第1組の細長部材が、前記空洞近傍の比較的薄い組織領域に向けて設けられ、前記ポッドが、前記第1組の細長部材に沿って導入された第1組のポッドを含み、前記第1組のポッドが、他のポッドよりも低い放射線強度を有することを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第1組の細長部材が経路の外側層を含み、第2組の細長部材を前記第1組の細長部材の下に設け、前記第2組の細長部材が前記拡張形状において経路の内側層を含むようにすることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1組が一対の近接する細長部材を含み、前記第2組が、前記一対の近接する細長部材の間に設けられた細長部材を含み、前記細長体の中心軸により近いことを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項80】
体内の空洞を囲む組織を治療するための小線源治療装置であって、
組織を通って管道内に導入されるように構成され近位端および遠位端を含む細長体を備え、
前記細長体が、前記近位端から前記遠位端に延びる中央内腔と、経路を含みそれに沿って放射線源を受ける前記遠位端上の複数の細長部材とを含み、前記細長部材が、組織管を通って標的箇所への導入ための折畳み形状と、前記標的箇所において経路の三次元配列を設けるための拡張形状とから移動可能なことを特徴とする装置。
【請求項81】
前記中央内腔が、前記細長部材の経路を越えて遠位に延び、これにより、前記細長部材を越えた遠位に放射線源を送置でき、前記細長体の遠位端近傍で放射線を照射できることを特徴とする請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記細長体の遠位端上に、前記細長部材の遠位端が取り付けられた遠位ハブをさらに含むことを特徴とする請求項81に記載の装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図29F】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図32G】
【図32H】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図33D】
【図33E】
【図33F】
【図33G】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43A】
【図43B】
【図43C】
【図43D】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46A】
【図46B】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49】
【図50A】
【図50B】
【図51】
【図52A】
【図52B】
【図53A】
【図53B】
【図54】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図29F】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図32G】
【図32H】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図33D】
【図33E】
【図33F】
【図33G】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43A】
【図43B】
【図43C】
【図43D】
【図44A】
【図44B】
【図45】
【図46A】
【図46B】
【図47A】
【図47B】
【図48】
【図49】
【図50A】
【図50B】
【図51】
【図52A】
【図52B】
【図53A】
【図53B】
【図54】
【公表番号】特表2009−539430(P2009−539430A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513474(P2009−513474)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070236
【国際公開番号】WO2007/143560
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508356308)シアンナ・メディカル・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CIANNA MEDICAL, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070236
【国際公開番号】WO2007/143560
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508356308)シアンナ・メディカル・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CIANNA MEDICAL, INC.
【Fターム(参考)】
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