説明

拡張機能付きプリンタ

【課題】 コスト高を招くことなくフィスカル機能が付加され、フィスカルカードの抜き差しの操作性も良いプリンタを提案すること。
【解決手段】 プリンタ1は、プリンタ本体2と、その底に取り付けたフィスカルユニット100とを備えている。フィスカルユニット100の前面にはフィスカルカード105を差し込むためのカードスロット112が形成され、その側方には、フィスカルカード105への書き込み状態を表示するための状態表示ランプ101a、101bが配置されている。プリンタ前面からフィスカルカード105の抜き差し、および状態確認ができるので操作性に優れている。プリンタ本体2は既存のプリンタを仕様変更することなくそのまま利用できるので、コスト高を招くことなく、フィスカル機能付きのロール紙プリンタを実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール紙プリンタなどのプリンタに関し、特に、発行された売上伝票や領収書に印字される売上情報などのプリンタ情報を携帯可能なメモリカードに書き込む拡張機能を備えたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、例えば、記録紙ロールに印字を行うためのプリンタは、売上伝票、領収書などを発行するために用いられており、記録紙ロール収納部に装填された記録紙ロールから記録紙が繰り出されて印字位置を経由して搬送され、上位の金銭処理装置などから供給される売上情報などが、記録紙上に印字されるようになっている。かかるプリンタでは、記録紙ロールの交換作業が簡単にできるように、プリンタの本体フレームに対して開閉フレームが開閉可能に取り付けられ、開閉フレームを開けると、記録紙ロール収納部が全開状態になると共に記録紙搬送経路が開放状態になる構成のものが知られている。例えば、下記の特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】特開平9−314955号公報
【特許文献2】特開平6−55806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年においては、税務申告などに用いるために、プリンタによって発行された売上伝票、領収書などに印字される売上情報(以下、フィスカル(fiscal)情報と呼ぶ。)を記憶保持しておき、これを、税務申告などのために直接に用いるICカードなどのメモリカード(以下、フィスカルカードと呼ぶ。)にダウンロードする拡張機能(以下、フィスカル機能と呼ぶ。)をプリンタに搭載したいという要望が高まっている。
【0004】
しかしながら、ロール紙プリンタなどの小型プリンタは、その小型化およびコンパクト化が強く要求されているので、このようなフィスカル機能を実現するための部品を搭載するスペースを確保することが困難である。また、フィスカル機能を備えたプリンタを新たに設計することは、プリンタ各部の仕様を変更するなどの必要があるので、コストの面で不利であり、低コスト化が強く要求されている小型プリンタにおいては実用的でない。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、コスト高に繋がるプリンタ各部の仕様変更を伴うことなくフィスカル機能を付加するのに適した構成を備えたプリンタを提案することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、上記課題に加えて、フィスカルカードの抜き差しを操作性良く行うことのできる構成を備えたプリンタを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のプリンタは、
プリンタ前面の下側部位に形成されたカードスロットと、
このカードスロットから差し込まれたメモリカードにプリンタ記憶情報を書き込むためのカードライタと、
前記カードライタの動作状態を表示するために、前記プリンタ前面における前記カードスロットの隣接位置に配置されている状態表示ランプとを有していることを特徴としている。
【0008】
フィスカル機能を備えたプリンタでは、前記プリンタ記憶情報は、当該プリンタによって発行された売上伝票、領収書などに印字された売上履歴情報である。この場合には、前記カードライタは、前記カードスロットから差し込まれる売上集計用のICメモリカードに、前記売上履歴情報の書き込みを行うように構成される。
【0009】
このようなフィスカル機能を備えたプリンタは、一般に、機体識別情報が担持されたIDカードが内蔵されており、前記カードライタは、前記売上履歴情報と共に前記機体識別情報の書き込みも行うようになっている。
【0010】
本発明のプリンタでは、プリンタ前面にカードスロットが形成されているので、プリンタ側面や背面にカードスロットが形成されている場合に比べて、メモリカードの抜き差しの操作性が良い。また、プリンタ前面の下側部位にカードスロットが形成されているので、次のように、既存のプリンタの底面にフィスカル機能を実現するための拡張機能ユニットを取り付けるだけで、簡単かつ廉価に、フィスカル機能付きプリンタを得ることができる。
【0011】
すなわち、本発明によるプリンタの好適な構成は、
プリンタ本体と、
このプリンタ本体の底面に取り付けられている拡張機能ユニットとを有し、
前記プリンタ本体に、記録紙を搬送するための各部品、記録紙に印字を行うための印字ヘッド、および、各部の駆動を制御するための制御回路が搭載されているプリンタ制御基板が組み込まれており、
前記拡張機能ユニットには、前記カードライタと、前記IDカードと、前記カードライタおよび前記状態表示ランプの駆動を制御するための拡張機能制御基板とが組み込まれており、
当該拡張機能ユニットにおける前記プリンタ前面の下側部位を形成している前面部分に、前記カードスロットが形成されていることを特徴としている。
【0012】
ここで、前記プリンタ本体は、既存のプリンタと同一構成とすることができる。すなわち、前記プリンタ本体は、前記の記録紙を搬送するための各部品、前記印字ヘッド、および、前記プリンタ制御基板が搭載されている本体フレームと、当該本体フレームの底部以外の部位を覆っているプリンタ本体ケースとを備えた構成とすることができる。この場合には、前記拡張機能ユニットは、ユニットケースと、このユニットケースの底側開口を封鎖している底板とを備えた構成とすることができる。また、前記本体フレームの底部、前記ユニットケースおよび前記底板によって覆われている空間内に、前記プリンタ制御基板、前記カードライタ、前記IDカードおよび前記拡張機能制御基板を配置し、前記ユニットケースにおけるプリンタ前面部分に、前記カードスロットを形成することができる。
【0013】
この場合、前記拡張機能ユニットは、前記空間内において前記プリンタ制御基板に対して所定の間隔で対峙するように、前記拡張機能制御基板を位置決めするための基板マウントを備えた構成とすることができる。このようにすれば、プリンタ本体の底面に拡張機能ユニットを取り付けた状態において、プリンタ制御基板と拡張機能制御基板が一定の間隔で対峙した状態になるので、これらの間の結線などを簡単に行うことができる。
【0014】
さらに、前記IDカードを、前記拡張機能制御基板と前記底板の間に配置し、前記底板における前記IDカードに対峙する部位に、IDカード装着用の開口部が形成し、これを封鎖板によって封印状態で封鎖しておくことが望ましい。このようにすれば、IDカードの装着を簡単に行うことができる。
【0015】
さらには、前記カードライタ、前記IDカードおよび前記拡張機能制御基板をノイズから保護するためには、前記基板マウントとして、前記カードライタ、前記IDカードおよび前記拡張機能制御基板におけるプリンタ前側部分およびプリンタ両側部分を覆う電磁シールド部材を用いると共に、前記底板として、これらの部位のプリンタ底側部分およびプリンタ後側部分を覆う電磁シールド部材を用いることが望ましい。
【0016】
次に、本発明はロール紙プリンタに適用することができる。この場合には、前記本体フレームは、ロール紙収納部が形成された固定側フレームと、この固定側フレームによって開閉可能に支持されている開閉フレームとを備えた構成とされ、前記プリンタ本体ケースは、前記ロール紙収納部に対するロール紙の交換を行うための開口部を封鎖している開閉蓋を備えた構成とされ、当該開閉蓋は前記開閉フレームと一緒に開閉するように、当該開閉フレームに搭載される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の拡張機能を備えたプリンタでは、そのプリンタ前面の下側部位にカードスロットが形成され、その隣接位置に、カードスロットから差し込まれたメモリカードにプリンタ情報を書き込むためのカードライタの状態を表示するための状態表示ランプが配置されている。かかる構成は、既存のプリンタと同一構造のプリンタ本体ユニットの底面に、カードスロット、状態表示ランプおよびカードライタを備えた拡張機能ユニットを取り付けることにより実現できる。よって、プリンタ内に拡張機能を実現するための構成部品を組み込むためにプリンタ各部の仕様を変更する必要がないので、コスト高を招くことなく拡張機能を付加できる。また、カードスロットおよび状態表示ランプがプリンタ前面に配置されているので、メモリカードの抜き差しが簡単にでき、また、メモリカードへの書き込み動作状態の確認も簡単にできるので、操作性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したフィスカル機能付きロール紙プリンタの実施の形態を説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は本実施の形態に係るロール紙プリンタを斜め前方から見た場合の外観斜視図であり、図2はその底面を斜め後方から見た場合の外観斜視図である。また、図3はその概略縦断面図であり、図4は開閉蓋を開けた状態での概略縦断面図である。
【0020】
これらの図を参照して説明すると、ロール紙プリンタ1は、プリンタ本体2と、このプリンタ本体2の底に取り付けたフィスカルユニット(拡張機能ユニット)100とを有している。プリンタ本体2は、本体ユニット4と、この本体ユニット4の底部以外の部分を覆っている本体ケース5とを有している。この本体ユニット4には、後述のように、ロール紙収納部、ロール紙搬送機構を構成する各部品、および印字ヘッドが搭載されている。また、本体ユニット4の底板部分6の下面側にはプリンタ制御基板7が一定の間隔を開けて搭載されている。
【0021】
本体ケース5は、本体ユニット4の四周側面を覆っている矩形枠状の枠状部分8と、プリンタ上面の前側部分を覆う前側開閉蓋9および後側部分を覆う後側開閉蓋10とを備えている。開閉蓋9、10の間には幅方向に延びる記録紙排出口11が形成されている。後側の開閉蓋10は、記録紙排出口11の側方に配置されているスライドボタン12を操作すると、そのロック機構(図示せず)が外れて、図4に示すように開けることが可能になる。開閉蓋10を開けると、プリンタユニット4における記録紙ロール13の収納部14が露出し、記録紙ロール13の交換などを行うことができる。また、前側の開閉蓋9を開けると、インクリボンのリボンカセット21を着脱可能に装着するリボンカセット装着部22が露出し、リボンカセット16の交換などを行うことができる。
【0022】
プリンタ本体2の底部に取り付けられているフィスカルユニット100は、ユニットケース110と底板120を備えている。ユニットケース110は、全体として、プリンタ本体2の底部の外周縁部分に対応する矩形形状をしており、そのプリンタ前面の下側部分を形成している前板部分111の中央には、幅方向に延びるカードスロット112が形成されている。また、このカードスロット112の側方位置には、LEDからなる2個の状態表示ランプ101a、101bの発光面が露出している。
【0023】
さらに、ユニットケース110、底板120およびプリンタ本体2の底板部分6によって覆われている空間102内には、上記のプリンタ制御基板7と共に、拡張機能制御基板104、ICカードからなるフィスカルカード105のリーダ・ライタ106、およびIDカード107が配置されている。リーダ・ライタ106のカード挿入・排出口106aは、ユニットケース110の前板部分111に形成したカードスロット112に後側から対峙しており、カードスロット112にフィスカルカード105を差し込むと、そのICメモリチップの搭載部分105aをリーダ・ライタ106内に挿入することができる。
【0024】
(プリンタ本体の内部構造)
次にプリンタ本体2の内部構造を説明する。本体ユニット4における後側の部分には後側開閉蓋10によって覆われているロール紙収納部13が形成されており、ここに装填されている記録紙ロール14から引き出された記録紙14aは、ロール紙収納部13の前端部分に配置されているガイドローラ15を介して記録紙搬送路16に導かれる。記録紙搬送路16に沿って搬送される記録紙14aを図3においては一点鎖線で示してある。搬送路16の途中位置には、ドットインパクト方式の印字ヘッド17と、これに対して一定間隔で対峙しているプラテン18とが配置されている。印字ヘッド17はヘッドキャリッジ19に搭載されており、ヘッドキャリッジ19は、キャリッジガイド軸20に沿って幅方向に往復移動可能となっている。ヘッドキャリッジ19の上側にはリボンカセット21の装着部22が形成されている。
【0025】
記録紙搬送路16における印字ヘッド17の印字位置よりも下流側の位置には、紙送りローラ23と、紙押さえローラ24と、紙押さえローラ24を紙送りローラ23に付勢している付勢部材(図示せず)を備えた紙送り機構が配置されている。記録紙搬送路16の下流端は記録紙排出口11に連通しており、この記録紙排出口11の近傍には、記録紙14aを切断するための鋏式の自動切断ユニット25が配置されている。自動切断ユニット25は、記録紙の搬送経路を挟み、前側に配置された固定刃26と、後側に配置された可動刃27と、可動刃27を動作させるための駆動機構28とを備えている。また、記録紙排出口11の前縁部分には手動操作により記録紙を切断可能な切断刃29が取り付けられている。
【0026】
ここで、本例の本体ユニット4は、図4から分かるように、ロール紙収納部13の開閉蓋10を開けると、上記構成の記録紙搬送路16も開放状態となるように、固定側フレーム31と、後端部分を中心として上下に開閉可能な状態で固定側フレーム31によって支持されている開閉フレーム32から構成されている。また、固定側フレーム31には搬送路16を構成している一方の側の構成部品を取り付け、移動側である開閉フレーム32には開閉蓋10と、搬送路16を構成している他方の側の構成部品を取り付けてある。開閉フレーム16を開くと、ロール紙収納部13が開放されると同時に、搬送路16も開放される。
【0027】
すなわち、開閉フレーム32を全開にすると、上方から記録紙ロール14をロール紙収納部13に落とし込むという簡単な操作により記録紙ロール14を装填できる。また、搬送路16が開放状態になっているので、搬送路16に沿って記録紙ロール14から引き出した記録紙14aを配置する操作も極めて簡単である。さらに、開閉フレーム32を閉じて図3に示す状態に戻すと、記録紙14aが印字ヘッド17とプラテン18の間、および紙送りローラ23と紙押さえローラ24の間を通って記録紙排出口11から引き出された状態が自動的に形成される。
【0028】
(拡張機能ユニットの構造)
図5は、プリンタ本体2の底に取り付けられている拡張機能ユニット3の分解斜視図である。この図を主に参照して拡張機能ユニット3の構造を詳細に説明する。拡張機能ユニット3は、先に述べたように、ユニットケース110と、このユニットケース110の底を封鎖している底板120と、拡張機能制御基板104と、フィスカルカード105のリーダ・ライタ106と、IDカード107を備えている。
【0029】
ユニットケース110は、一定高さの前板部分111、左右の側板部分112、113および後板部分114からなる矩形枠状のものであり、プリンタ本体2の本体ケース5の底部の輪郭形状に対応した形状をしている。ユニットケース110の後側部分は、左右の側板部分112、113および後板部分114の上端部分に架け渡した上板部分115によって封鎖されている。上板部分115には、上方に矩形状に突出したバッテリ装着部115aが形成されており、この装着部115aの開口部が蓋116によって封鎖されている。また、後板部分114には、その下側から矩形に切り欠くことにより形成したケーブル引き出し口114aが形成されており、その上端縁には上方に矩形状に突出した封鎖板部分114bが形成され、この封鎖板部分114bによって、プリンタ本体2の本体ケース5の後面下縁部分に開口しているケーブル引き出し口8aが封鎖されている。この構成のユニットケース110は、固定ねじ117によってプリンタ本体2の底板6の左右の縁部分に固定されている。
【0030】
ユニットケース110の内部には基板マウント130が配置されている。基板マウント130は、前板部分131、左右の側板部分132、133を備えた後側に開口したコの字形状をしている。その左右の側板部分132、133の上端縁部分には、直角に外側に折れ曲がった3枚のフランジ132a〜132c、133a〜133cが形成され、前後のフランジ132a、132c、133a、133cが、固定ねじ119によって、プリンタ本体2の底板6にねじ止めされている。また、基板マウント130における左右の側板部分132、133には、内側に直角に折れ曲がった前後2枚のフランジ132d、132e、および133d、133eが形成されており、これらに、底側から拡張機能制御基板104が搭載され、固定ねじ134によって固定されている。
【0031】
基板マウント130に取り付けられた拡張機能制御基板104は、図3から分かるように、ユニットケース110内における上下方向の途中位置において水平に保持され、プリンタ本体2の底板6の下側に配置されているプリンタ制御基板7と平行な状態で対峙している。また、基板マウント130の前板部分131には、カードスロットに対峙する部位にスロット131fが形成されており、ここを介して、フィスカルカード105を基板104に搭載されているリーダ・ライタ106の挿入口に差し込むことが可能となっている。リーダ・ライタ106の下面にはコネクタを介してIDカード107が取り付けられている。このIDカード107には、プリンタ1の機体識別情報(IDコード)および認証コードなどが担持さている。また、制御基板104の後端部分には、外部接続端子104aなどの部品が搭載されている。
【0032】
次に、ユニットケース110の底側に取り付けた底板120は、矩形の底板本体部分121と、この底板本体部分121の後端縁から上方に直角に延びている後板部分122とを備えている。底板本体部分121の四隅は、固定ねじ123によって、ユニットケース110の底側開口部を封鎖する状態で、当該ユニットケース110に固定されている。底板本体部分121におけるIDカード107に対峙する部位には、当該カードを装着するための矩形の開口部121aが形成されており、この開口部121aが蓋124によって封鎖されている。また、後板部分122における制御基板104の後端に搭載されている外部接続端子104aなどの部品に対峙する部位には開口部122aが形成されており、これらを介して外部接続端子が外部に突出可能となっている。
【0033】
底板120を取り付けた状態においては、図3に示すように、拡張機能制御基板104、リーダ・ライタ106、IDカード107の下側および後側が、当該底板120によって覆われた状態になる。また、これらの前側および左右は、基板マウント130によって覆われた状態となっている。本例では、底板120および基板マウント130は電磁シールド部材から形成されているので、これらによって取り囲まれている電子部品は電磁ノイズから保護された状態となっている。
【0034】
このように構成した本例のフィスカル機能付きのロール紙プリンタ1では、売上伝票、領収書などが発行される毎に、フィスカル情報(印字情報)が記憶保持される。フィスカルカード105をプリンタ前面下側位置に形成されているカードスロット112に差し込むと、リーダ・ライタ106によって、記憶保持されているフィスカル情報が機体識別情報と共に当該フィスカルカード105に書き込まれる。また、カードスロット112の隣接位置には状態表示ランプ101a、101bが配置されており、例えば、状態表示ランプ101aの点灯によりICカードの書き込み可能状態が表示され、状態表示ランプ101bの点灯によってICカードへの書き込み動作中であることが表示される。
【0035】
以上説明したように、本例のロール紙プリンタでは、カードスロット112はプリンタ前面に位置しているので、カードの抜き差しの操作が簡単である。また、状態表示ランプ10a、101bがプリンタ前面におけるカードスロット112の隣接位置にあるので、動作確認も簡単にできる。
【0036】
また、プリンタ本体2は、例えば、既存のロール紙プリンタと同一構成とし、その底部に拡張機能ユニット3を追加することにより、本例のロール紙プリンタ1を構成することができる。したがって、フィスカル機能を搭載するためにプリンタ本体の各部分の仕様変更などを必要としないので、コスト高を招くことなく、フィスカル機能付きのロール紙プリンタを実現できる。
【0037】
さらに、基板マウント130と底板120によって、拡張機能制御基板および搭載電子部品が電磁シールドされた状態となっているので、外部あるいはプリンタ本体側からの電磁ノイズによってフィスカル機能を実行する各部分に誤動作が生ずることも防止できる。
【0038】
(基板マウントの別の例)
図6はフィスカルユニット100の別の例を示す分解斜視図である。この図に示す拡張機能ユニット200の基本構成は上記のフィスカルユニット100と同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。本例の拡張機能ユニット200は、上記のコの字形状をした基板マウント130の代わりに、プリンタ本体2の底板6に垂直に取り付けた4本の円柱状の基板マウント201を備えている。これらの基板マウント201に拡張機能制御基板104を搭載することにより、図3に示す状態と同様な状態で、拡張機能制御基板104を配置することができる。
【0039】
この構成においては、先に述べたフィスカルユニット100の基板マウント130のような電磁シールド機能は備わっていないが、構造が単純であり、廉価に構成できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用したプリンタを前側上方から見た場合の外観斜視図である。
【図2】図1のプリンタを底面後方側から見た場合の外観斜視図である。
【図3】図1のプリンタの内部構造を示す概略断面図である。
【図4】図1のプリンタの開閉蓋を開けた状態を示す概略部分断面図である。
【図5】図1のプリンタの拡張機能ユニットの分解斜視図である。
【図6】本発明を適用した拡張機能ユニットの別の例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 フィスカル機能付きロール紙プリンタ、2 プリンタ本体、4 本体ユニット、5 本体ケース、6 プリンタ本体の底板、7 プリンタ制御基板、10 後側開閉蓋、11 記録紙排出口、13 ロール紙収納部、14 記録紙ロール、14a 記録紙、16 搬送路、17 印字ヘッド、23 紙送りローラ、24 紙押さえローラ、25 記録紙切断ユニット、100 フィスカルユニット、101a、101b 状態表示ランプ、102 空間、104 拡張機能制御基板、105 フィスカルカード、106 リーダ・ライタ、107 IDカード、110 ユニットケース、111 前板部分、112 カードスロット、120 底板、121 底板本体部分、122 後板部分、124 蓋、130 基板マウント、200 フィスカルユニット、201 基板マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ前面の下側部位に形成されたカードスロットと、
このカードスロットから差し込まれたメモリカードにプリンタ記憶情報を書き込むためのカードライタと、
前記カードライタの動作状態を表示するために、前記プリンタ前面における前記カードスロットの隣接位置に配置されている状態表示ランプとを有しているプリンタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記プリンタ記憶情報は、当該プリンタによって発行された売上伝票、領収書などに印字された売上履歴情報であり、
前記カードライタは、前記カードスロットから差し込まれる売上集計用のICメモリカードに、前記売上履歴情報を書き込むためのものであることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2において、
機体識別情報が担持されたIDカードが内蔵されており、
前記カードライタは、前記売上履歴情報と共に前記機体識別情報の書き込みも行うものであることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3において、
プリンタ本体と、
このプリンタ本体の底面に取り付けられている拡張機能ユニットとを有し、
前記プリンタ本体には、記録紙を搬送するための各部品、記録紙に印字を行うための印字ヘッド、および、各部の駆動を制御するための制御回路が搭載されているプリンタ制御基板が組み込まれており、
前記拡張機能ユニットには、前記カードライタと、前記IDカードと、前記カードライタおよび前記状態表示ランプの駆動を制御するための拡張機能制御基板とが組み込まれており、
当該拡張機能ユニットにおける前記プリンタ前面の下側部位を形成している前面部分に、前記カードスロットが形成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項4において、
前記プリンタ本体は、前記の記録紙を搬送するための各部品、前記印字ヘッド、および、前記プリンタ制御基板が搭載されている本体フレームと、当該本体フレームの底部以外の部位を覆っているプリンタ本体ケースとを備えており、
前記拡張機能ユニットは、ユニットケースと、このユニットケースの底側開口を封鎖している底板とを備えており、
前記本体フレームの底部、前記ユニットケースおよび前記底板によって覆われている空間内に、前記プリンタ制御基板、前記カードライタ、前記IDカードおよび前記拡張機能制御基板が配置されており、
前記ユニットケースにおけるプリンタ前面部分に、前記カードスロットが形成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項5において、
前記拡張機能ユニットは、前記空間内において前記プリンタ制御基板に対して所定の間隔で対峙するように、前記拡張機能制御基板を位置決めするための基板マウントを備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項6において、
前記IDカードは、前記拡張機能制御基板と前記底板の間に配置されており、
前記底板における前記IDカードに対峙する部位には、IDカード装着用の開口部が形成されており、
当該開口部が封鎖板によって封鎖されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項7において、
前記基板マウントは、前記カードライタ、前記IDカードおよび前記拡張機能制御基板におけるプリンタ前側部分およびプリンタ両側部分を覆う電磁シールド部材であり、
前記底板は、これらの部位のプリンタ底側部分およびプリンタ後側部分を覆う電磁シールド部材であることを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項5ないし8のうちのいずれかの項において、
前記本体フレームは、ロール紙収納部が形成された固定側フレームと、この固定側フレームによって開閉可能に支持されている開閉フレームとを備え、
前記プリンタ本体ケースは、前記ロール紙収納部に対するロール紙の交換を行うための開口部を封鎖している開閉蓋を備え、
当該開閉蓋は前記開閉フレームと一緒に開閉するように、当該開閉フレームに搭載されていることを特徴とするプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−82315(P2006−82315A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267886(P2004−267886)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】