説明

拡散符号計算装置、通信システム、送信装置、受信装置、ならびに、プログラム

【課題】完全直交性を有し、自己相関特性が良好な複素拡散符号により、通信性能を向上させる。
【解決手段】拡散符号計算装置501において、原始根受付部502は、素数pに対する原始根のいずれかを、ユーザに割り当てるべき原始根qとして受け付け、番号受付部503は、整数0,1,2,…,p-1のいずれかを、通信チャンネルの番号kとして受け付け、複素符号生成部504は、所定の角度θを用いて、k=0,1,2,…,p-2である場合、長さpの複素拡散符号b(q,k)=(exp(iθ),exp(2πi×q0+k/p),exp(2πi×q1+k/p),exp(2πi×q2+k/p),…,exp(2πi×q(p-2)+k/p))を生成し、k=p-1である場合、長さpの複素拡散符号b(q,k)=(exp(iθ),1,1,…,1)を生成する。複素拡散符号は、チャネライゼーション符号に好適で、一次拡散に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完全直交性を有し、自己相関特性が良好な符号を用いることにより、通信性能を向上させるのに好適な拡散符号計算装置、通信システム、送信装置、受信装置、これらをコンピュータ上にて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CDMAやOFDMなどの技術分野においては、Walsh符号などの直交符号の利用が提案されている一方で、自己相関特性が鋭いピークを持つ符号も利用されている。一方で、本願発明者は、通信に用いる符号として、カオス符号を提案している。このような技術については、以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特開2002−290274号公報
【0003】
ここで、[特許文献1]には、最適カオス型拡散符号系列を簡易な電子回路で生成する技術が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、直交性および自己相関特性が良好で、多様性が高い符号を用いることにより、チャネル数をより一層多くできるような通信技術は、現在でも強く求められている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するものであって、完全直交性を有し、自己相関特性が良好な符号を用いることにより、通信性能を向上させるのに好適な拡散符号計算装置、通信システム、送信装置、受信装置、これらをコンピュータ上にて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0007】
本発明の第1の観点に係る拡散符号計算装置は、オイラーのトーティエント関数φ(・)と、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
と、所定の角度θと、を用い、原始根受付部、番号受付部、複素符号生成部を備え、以下のように構成する。
【0008】
すなわち、原始根受付部は、当該原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれかを、拡散符号を生成するための原始根qとして受け付ける。
【0009】
一方、番号受付部は、整数0,1,2,…,p-1のいずれかを、拡散符号を生成するための番号kとして受け付ける。
【0010】
さらに、複素符号生成部は、受け付けられた原始根qと、受け付けられた番号kと、から、k = 0,1,2,…,p-2である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), exp(2πi×q0+k/p), exp(2πi×q1+k/p), exp(2πi×q2+k/p),…, exp(2πi×q(p-2)+k/p))
を生成し、k = p-1である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), 1, 1,…, 1)
を生成する。
【0011】
本発明のその他の観点に係る通信システムは、オイラーのトーティエント関数φ(・)と、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qと、整数0,1,2,…,p-1のいずれかの整数kと、所定の角度θと、を用い、送信装置と、受信装置と、を有し、以下のように構成する。
【0012】
ここで、送信装置は、送信側符号生成部、複素拡散部、送信部を有する。
【0013】
一方、受信装置は、受信側符号生成部、受信部、複素逆拡散部を有する。
【0014】
そして、送信側符号生成部は、上記の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、1個の複素拡散符号を生成させる。
【0015】
一方、複素拡散部は、伝送すべき信号を当該整数kに対して生成された複素拡散符号により、拡散する。
【0016】
さらに、送信部は、拡散された信号を受信装置に送信する。
【0017】
一方、受信側符号生成部は、拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号を生成させる。
【0018】
さらに、受信部は、送信装置から送信された信号を受信する。
【0019】
そして、複素逆拡散部は、受信された信号を、当該整数kに対して生成された拡散符号により逆拡散して、伝送された信号を得る。
【0020】
本発明のその他の観点に係る通信システムは、オイラーのトーティエント関数φ(・)と、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qと、整数0,1,2,…,p-1のいずれか1つ以上p個以下の整数k1,k2,…,kNと、所定のスクランブル符号と、所定の角度θと、を用い、送信装置と、受信装置と、を有し、以下のように構成する。
【0021】
ここで、送信装置は、送信側符号生成部、チャネライジング拡散部、スクランブリング拡散部、送信部を有する。
【0022】
一方、受信装置は、受信側符号生成部、受信部、スクランブリング逆拡散部、チャネライジング逆拡散部を有する。
【0023】
そして、送信側符号生成部は、上記の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、N個の複素拡散符号を生成させる。
【0024】
一方、チャネライジング拡散部は、伝送すべきN個の信号のそれぞれについて、n番目の信号を、当該整数knに対して生成された複素拡散符号により、チャネライジング拡散する。
【0025】
さらに、スクランブリング拡散部は、拡散された信号の総和を、当該スクランブル符号によりスクランブリング拡散する。
【0026】
そして、送信部は、スクランブリング拡散された信号を受信装置に送信する。
【0027】
一方、受信側符号生成部は、上記の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号を生成させる。
【0028】
さらに、受信部は、送信装置から送信された信号を受信する。
【0029】
そして、スクランブリング逆拡散部は、受信された信号を、当該スクランブル符号により、スクランブリング逆拡散する。
【0030】
一方、チャネライジング逆拡散部は、整数n = 1,2,…,Nのそれぞれについて、スクランブリング逆拡散された信号を、当該整数knに対して生成された拡散符号によりチャネライジング逆拡散して、伝送されたN個の信号のうち、n番目の信号を得る。
【0031】
また、本発明の通信システムにおいて、送信装置は、当該原始根q1,q2,…,qφ(p-1)のいずれかが重複なく割り当てられた複数の移動端末のそれぞれであり、受信装置は、当該複数の移動端末のそれぞれと通信する基地局であるように構成することができる。
【0032】
また、本発明の通信システムにおいて、θ=0であるように構成することができる。
【0033】
また、本発明の通信システムにおいて、(p-1)/2は素数であるように構成することができる。
【0034】
また、本発明の通信システムにおいて、pは2の羃乗に1を足した値の素数であるように構成することができる。
【0035】
本発明のその他の観点に係る送信装置は、上記通信システムの送信装置である。
【0036】
本発明のその他の観点に係る受信装置は、上記通信システムの受信装置である。
【0037】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記拡散符号計算装置として機能させるように構成する。
【0038】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、通信機能を備えるコンピュータを上記送信装置として機能させるように構成する。
【0039】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、通信機能を備えるコンピュータを上記受信装置として機能させるように構成する。
【0040】
当該プログラムは、典型的には、コンピュータ読み書き可能な情報記録媒体に記録され、たとえば、コンパクトディスクと同型のもの、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスクと同型のもの、ディジタルビデオディスクと同型のもの、磁気テープ、または、半導体メモリ等を利用することができる。
【0041】
そして、上記の情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布、販売することができるほか、インターネット等のコンピュータ通信網を介して上記のプログラムそのものを配布、販売することができる。
【0042】
なお、本発明は、日本国独立行政法人科学技術振興機構(JST)平成16年度委託開発採択課題「5GHz帯カオスCDMA無線通信用チップ」の研究開発の成果にかかるものである。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、完全直交性を有し、自己相関特性が良好な符号を用いることにより、通信性能を向上させるのに好適な拡散符号計算装置、通信システム、送信装置、受信装置、これらをコンピュータ上にて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下にあげる実施形態は、説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素または全要素を、これと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0045】
本実施形態においては、直交符号として、複素平面の単位円上の値をとるカオス符号を用いる。当該カオス符号の生成手法は、本願発明者が考案したものである。以下、詳細に説明する。
【0046】
ある素数pに対して、ある整数qに対する集合
{q0 mod p,q1 mod p,q2 mod p,…,qp-2 mod p}
が、(p-1)個の自然数の集合
{1,2,3,…,p-1}
と一致する場合、すなわち、定義域を
{1,2,3,…,p-1}
とする写像
fp,q(k) = qk-1 mod p
の値域もまた
{1,2,3,…,p-1}
であり、写像fp,q(・)が全単射である場合、当該整数qを、素数pの原始根と呼ぶ。
【0047】
写像fp,q(・)は、1からp-1までの自然数の順序を並び替える置換と考えることができる。たとえば、p = 61,q = 2とし、k = 1,2,…,p-1=60について、fp,q(k)を順に計算すると、
1,2,4,8,16,32,3,6,12,24,48,35,9,
18,36,11,22,44,27,54,47,33,5,10,
20,40,19,38,15,30,60,59,57,53,45,
29,58,55,49,37,13,26,52,43,25,50,
39,17,34,7,14,28,56,51,41,21,42,
23,46,31
となり、1から60までの自然数を並び替えたものとなっている。
【0048】
一般に、素数pの原始根qの個数は、オイラーのトーティエント関数φ(・)により、φ(p-1)で与えられる。素数pを2から1223まで動かした時に、素数pと原始根qの個数φ(p-1)とのペア(p,φ(p-1))は、下記の通りとなる。
(2,1),(3,1),(5,2)*,(7,2)*,(11,4)*
(13,4),(17,8)*,(19,6),(23,10)*,(29,12),
(31,8),(37,12),(41,16),(43,12),(47,22)*
(53,24),(59,28)*,(61,16),(67,20),(71,24),
(73,24),(79,24),(83,40)*,(89,40),(97,32),
(101,40),(103,32),(107,52)*,(109,36),(113,48),
(127,36),(131,48),(137,64),(139,44),(149,72)*
(151,40),(157,48),(163,54),(167,82)*,(173,84),
(179,88)*,(181,48),(191,72),(193,64),(197,84),
(199,60),(211,48),(223,72),(227,112)*,(229,72),
(233,112),(239,96),(241,64),(251,100),(257,128)*
(263,130)*,(269,132),(271,72),(277,88),(281,96),
(283,92),(293,144),(307,96),(311,120),(313,96),
(317,156),(331,80),(337,96),(347,172)*,(349,112),
(353,160),(359,178)*,(367,120),(373,120),(379,108),
(383,190)*,(389,192),(397,120),(401,160),(409,128),
(419,180),(421,96),(431,168),(433,144),(439,144),
(443,192),(449,192),(457,144),(461,176),(463,120),
(467,232)*,(479,238)*,(487,162),(491,168),(499,164),
(503,250)*,(509,252),(521,192),(523,168),(541,144),
(547,144),(557,276),(563,280)*,(569,280),(571,144),
(577,192),(587,292)*,(593,288),(599,264),(601,160),
(607,200),(613,192),(617,240),(619,204),(631,144),
(641,256),(643,212),(647,288),(653,324),(659,276),
(661,160),(673,192),(677,312),(683,300),(691,176),
(701,240),(709,232),(719,358)*,(727,220),(733,240),
(739,240),(743,312),(751,200),(757,216),(761,288),
(769,256),(773,384),(787,260),(797,396),(809,400),
(811,216),(821,320),(823,272),(827,348),(829,264),
(839,418),(853,280),(857,424),(859,240),(863,430),
(877,288),(881,320),(883,252),(887,442)*,(907,300),
(911,288),(919,288),(929,448),(937,288),(941,368),
(947,420),(953,384),(967,264),(971,384),(977,480),
(983,490),(991,240),(997,328),(1009,288),(1013,440),
(1019,508)*,(1021,256),(1031,408),(1033,336),(1039,344),
(1049,520),(1051,240),(1061,416),(1063,348),(1069,352),
(1087,360),(1091,432),(1093,288),(1097,544),(1103,504),
(1109,552),(1117,360),(1123,320),(1129,368),(1151,440),
(1153,384),(1163,492),(1171,288),(1181,464),(1187,592)*
(1193,592),(1201,320),(1213,400),(1217,576),(1223,552)
【0049】
このうち、*を付加したペアは、素数pに対する原始根qの個数φ(p-1)が比較的大きい「優良」なペアと考えられるものである。
【0050】
たとえば、素数pについて、(p-1)/2もまた素数である場合、原始根qの個数は、(p-3)/2、すなわち、約p/2個のオーダーとなる。
【0051】
さてここで、虚数単位iと、素数pとその原始根qと、整数k = 0,1,2,…,(p-2)のそれぞれについて
b(q,k) = (1, exp(2πi×q0+k/p), exp(2πi×q1+k/p), exp(2πi×q2+k/p),…, exp(2πi×q(p-2)+k/p))
ならびに、
b(k,p-1) = (1,1,1,1,…,1)
により定められるp個のp次元ベクトル
b(q,0),b(q,1),b(q,2),…,b(q,p-2),b(q,p-1)
と、整数k = 0,1,2,…,(p-2)のそれぞれについて
c(q,k) = (1, exp(-2πi×q0+k/p), exp(-2πi×q1+k/p), exp(-2πi×q2+k/p),…, exp(-2πi×q(p-2)+k/p))
ならびに、
c(q,p-1) = (1,1,1,1,…,1)
により定められるp個のp次元ベクトル
c(q,0),c(q,1),c(q,2),…,c(q,p-2),c(q,p-1)
と、を考える。
【0052】
これらのベクトルを符号として採用すると、各成分が複素平面上の単位円上の値をとるから、明らかに、パワー一定の符号となる。
【0053】
また、b(q,k)とc(q,k)は、各要素が互いに複素共役の関係にある複素共役ベクトルであり、その内積については、
〈b(q,k),c(q,k)〉 = p
が成立する。
【0054】
一方で、m≠nである場合には、内積について、
〈b(q,m),c(q,n)〉 = 0
が成立する。したがって、
b(q,0),b(q,1),…,b(q,p-1)
を並べて各要素に1/p1/2を乗じた複素正方行列や、
c(q,0),c(q,1),…,c(q,p-1)
を並べて各要素に1/p1/2を乗じた複素正方行列は、複素直交行列であるユニタリ行列となる。
【0055】
すなわち、送信側で、p本のデータを
b(q,0),b(q,1),…,b(q,p-1)
で変換(あるいは、これに対応するユニタリ行列で変換)し、受信側で
c(q,0),c(q,1),…,c(q,p-1)
で変換(あるいは、これに対応するユニタリ行列で変換)すれば、元のp本のデータが得られるのである。
【0056】
このようにして、発明者は、素数pおよびその原始根qから、p次元の互いに完全直交する複素ベクトルをp個作ることに成功した。
【0057】
この直交ベクトル系の数は原始根qの個数で与えられる。したがって、原始根qの個数が大きいほど、通信の際に同時に用いるチャンネル数を増やすことができる。このような観点からすると、素数pとしてより好適であるものは、上記の*を付加した「優良」なペアであると考えられる。
【0058】
なお、上記のベクトルb(q,k)のn番目の要素は、k≦p-2かつn≧2の場合、関数
ep,q,k(n) = exp(2πi×qn+k-1/p)
によって計算可能であるが、kが(p-1)以下であり、かつ、nが2以上である場合、原始根qを次数とするチェビシェフ多項式Tq(・)により、
Re(e(n+1)) = Tq(Re(e(n))
という関係が成立する。
【0059】
次数が2以上のチェビシェフ多項式はカオス写像であることが知られているので、本発明の符号の要素の動きはカオス的である。カオスのリアプノフ指数やコロモゴロフ・シナイ・エントロピーは、Log qとなることが知られており、同じ素数pに対しても、原始根qが異なれば、カオス的な振舞いが異なる直交ベクトルが得られるのである。
【0060】
なお、上記の「優良」ペアのうち、(5,2),(17,8),(257,128)は、素数pが、2の羃乗に1を足したものとして表現可能である(p = 2n+1)。このような素数pを採用した場合には、上記のベクトルの要素を単位円周上に配置すると、コンパスと三角定規で作図可能な正p角形の頂点に配置されるが、原始根の個数は(p-1)/2個となるので、原始根の種類が相対的に多く、「優良」である。
【0061】
以下では、本符号の遷移図を示しながら、本符号の性質についてさらに考察する。
【0062】
図1は、素数p=59、原始根q=31の符号遷移図である。図2は、素数p=59、原始根q=11の符号遷移図である。図3は、素数p=173、原始根q=11の符号遷移図である。図4は、素数p=173、原始根q=3の符号遷移図である。以下、これらの図を参照しながら説明する。
【0063】
これらの図は、上記の手法で得られた符号を、複素平面上の点で結んだ図である。
【0064】
OFDMで用いる離散フーリエ変換についても直交ベクトルが得られ、同様の図を描くことができるが、その場合の図形は、回転対称性が極めて高い図形となる。すなわち、当該図形を回転させたときに元の形状に重なってしまうような回転角度が小さく、360度回転させると、ほぼ重なってしまうことが多数回ある。
【0065】
また、従来の直交符号が一般に自己相関特性が悪いことは、符号の状態遷移図の回転対称性が高いことにあらわれる。そして、自己相関特性が悪い符号をCDMAに利用した場合には、自己干渉などに対する脆弱性が増す可能性が高い。
【0066】
一方、図1乃至図4を見ればわかる通り、遷移先の点は、単位円の円周上に一様に分布しているが、回転に対しては非対称性である。すなわち、回転対称性が、OFDMで用いる直交符号の遷移図よりもはるかに低い。すなわち、図形を360度回転させていく過程で元の図形とほぼ重なる回数が1回〜数回と、極めて少ない。
【0067】
すなわち、本符号の自己相関特性は、その回転に対する非対称性から、従来の一般的な直交符号に比べて、良好であることがわかる。具体的な計算を行うと、b(q,0),b(q,1),…,b(q,p-2)およびc(q,0),c(q,1),…,c(q,p-2)については、自己相関特性は、符号長pにかかわらず、セカンドピークの絶対値の自乗は、(2√2)2 = 8以下であることがわかっている。
【0068】
最大ピークの絶対値の自乗は、符号長pの自乗に等しいことを考えると、素数pとして十分に大きな値を採用すれば、最大ピークとセカンドピークとは十分に分離ができる。
【0069】
たとえば、p = 59の場合、セカンドピークの絶対値の自乗は、最大ピークの絶対値の自乗の、約500分の1となる。p = 5の場合であっても、約3分の1である。
【0070】
このように、本符号による自己相関特性は、CDMAに用いられる従来の手法に比べても、極めて良好であるということができる。
【0071】
なお、同じ素数pに対して異なる原始根qを選択した場合に生成されるベクトル同士の相関特性についても、計算から良好であることがわかっている。
【0072】
たとえば、素数p = 59に対して、原始根6を選んだ場合のあるベクトル(要素がすべて1のベクトルを除く。)と、原始根2を選んだ場合のすべてのベクトル(要素がすべて1のベクトルを除く。)と、の相互相関の絶対値の最大値は14.93である。
【0073】
素数p = 59に対して、原始根2を選んだ場合のあるベクトル(要素がすべて1のベクトルを除く。)と、原始根10を選んだ場合のすべてのベクトル(要素がすべて1のベクトルを除く。)と、の相互相関の絶対値の最大値は14.99である。
【0074】
これらは、符号長59に対して、十分に小さい。
【0075】
したがって、ある素数pを選んだときに、互いに異なる原始根を各ユーザに割り当て、各ユーザは、最大p本のチャンネルで通信をする場合に、本符号は、極めて良好な通信性能を呈することがわかる。
【0076】
なお、素数pに対する原始根の総数はφ(p-1)個であるが、互いに逆元となるものが存在する。本符号をCDMA通信システムに採用する場合、互いに逆元となるものについては、その一方のみを採用する、という手法もありうる。
【0077】
この場合、ある素数pに対しては、φ(p-1)個の原始根のうち、互いに逆元となる原始根の対から一方を選択した原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)/2
により、最大ユーザ数φ(p-1)/2人との通信が可能な通信システムを構築することができる。この通信システムにおいて、各ユーザが利用可能な最大チャンネル数は、最大p本である。
【0078】
また、全原始根を使用する場合には、最大ユーザ数φ(p-1)人、各ユーザの最大チャンネル数は、最大p本の通信システムを構築することができる。
【0079】
なお、任意の角度θに対して、ベクトルb(q,0),…,b(q,p-1)の先頭要素を1にかえてexp(iθ)とし、ベクトルc(q,0),…,c(q,p-1)の先頭要素を1にかえてexp(-iθ)としても、上記と同様の性質を満たすことが発明者の研究によりわかっている。
【0080】
以下、まず、拡散符号計算装置の構成について説明し、ついで、通信システムの構成について説明する。
【0081】
(拡散符号計算装置)
図5は、本実施形態に係る拡散符号計算装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0082】
本実施形態に係る拡散符号計算装置501は、原始根受付部502、番号受付部503、複素符号生成部504を有する。
【0083】
ここで、原始根受付部502は、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれかを、拡散符号を生成するための原始根qとして受け付ける。
【0084】
一方、番号受付部503は、整数0,1,2,…,p-1のいずれかを、拡散符号を生成するための番号kとして受け付ける。
【0085】
さらに、複素符号生成部504は、所定の角度θを用いて、受け付けられた原始根qと、受け付けられた番号kと、から、
(1) k = 0,1,2,…,p-2である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), exp(2πi×q0+k/p), exp(2πi×q1+k/p), exp(2πi×q2+k/p),…, exp(2πi×q(p-2)+k/p))
を生成する。
(2)k = p-1である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), 1, 1,…, 1)
を生成する。
【0086】
これらの計算は、一般的なコンピュータにプログラムを実行させることにより実現できるほか、専用の電子回路やFPGAなどのプログラム可能な電子回路によっても実現が可能である。
【0087】
本実施形態の通信システムでは、所定の角度θに対して定義される同じ構成の拡散符号計算装置を、送信装置と受信装置で利用するように構成する。
【0088】
(基本的な通信システム)
図6は、本実施形態に係る最も基本的な通信システムの概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0089】
本実施形態の通信システム601は、送信装置611と、受信装置631と、を有し、以下のように構成する。
【0090】
ここで、送信装置611は、送信側符号生成部612、複素拡散部613、送信部614を有する。
【0091】
一方、受信装置631は、受信側符号生成部632、受信部633、複素逆拡散部634を有する。
【0092】
本実施形態の通信システム601は、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qと、整数0,1,2,…,p-1のいずれかの整数kと、所定の角度θ(典型的には、θ=0である。)と、を、送信装置611と、受信装置631と、で共通して使用する。すなわち、本通信システム601は、原始根qと、整数kと、を、1人のユーザ、1つの通信用のチャンネルに割り当てた場合に対応するものである。
【0093】
ここで、送信装置611の送信側符号生成部612は、上記の拡散符号計算装置501に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、1個の複素拡散符号b(q,k)を生成させる。
【0094】
一方、送信装置611の複素拡散部613は、伝送すべき1つの信号を当該整数kに対して生成された複素拡散符号b(q,k)により、拡散する。
【0095】
さらに、送信装置611の送信部614は、拡散された信号を受信装置631に送信する。
【0096】
一方、受信装置631の受信側符号生成部632は、拡散符号計算装置501に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号を生成させる。
【0097】
すなわち、送信装置611と受信装置631と、は、原始根qと識別番号kを共有するため、長さpの複素拡散符号b(q,k)を共有することになる。
【0098】
さらに、受信装置631の受信部633は、送信装置611から送信された信号を受信する。
【0099】
そして、受信装置631の複素逆拡散部634は、受信された信号を、当該整数kに対して生成された拡散符号b(q,k)により逆拡散して、伝送された信号を得る。
【0100】
本通信システムは、送信装置611と、受信装置631と、で、複素拡散符号b(q,k)を共有して、CDM通信やCDMA通信を行うものである。上記のように、複素拡散符号b(q,k)は、完全な直交性を有し、自己相関性も良好な符号であるから、従来の拡散符号に比べて、良好な通信が可能となるのである。
【0101】
以下では、本発明を、W−CDMA通信に適用する例について説明する。
【実施例2】
【0102】
上記実施形態は、ある原始根のある識別番号に対して複素拡散符号を1つ生成して使用することにより、CDM通信やCDMA通信を可能とするものであったが、本実施形態では、各ユーザに原始根を1つ割り当て、当該ユーザが1つまたは複数のチャンネルを利用できるようにし、各チャンネルに対しては、異なる識別番号に対応する拡散符号を割り当てて拡散するものである。
【0103】
また、本実施形態は、上記の複素拡散符号をチャネライゼーション符号として採用して、一次拡散であるチャネライジング拡散に利用し、その後に、当該ユーザに別途割り当てられたパワーが一定の拡散符号をスクランブリング符号として採用して、二次拡散であるスクランブリング拡散に利用するものであり、W−CDMA規格における一次拡散の直交符号として、上記の複素拡散符号を採用するものである。
【0104】
図7は、本実施形態に係る通信システムの概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0105】
本実施形態の通信システム601は、上記実施形態と同様に、素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qを、1人のユーザに対する送信装置611、受信装置631に割り当てる。
【0106】
一方で、本実施形態は、N本の信号を伝送するマルチチャンネルに対応する。すなわち、整数0,1,2,…,p-1から、いずれか1つ以上p個以下の整数k1,k2,…,kNを重複なく選択し、これを、送信装置611と受信装置631とで共有する。すなわち、1≦N≦pである。
【0107】
また従来のW−CDMAと同様に、送信装置611と受信装置631とで、スクランブリング拡散に用いるスクランブル符号を共有する。典型的には、当該スクランブル符号は、あるユーザに割り当てられ、また、あるユーザに関する通信に用いる送信装置611と受信装置631とが、ある原始根qに対応付けられるので、この典型的な態様では、ある原始根qに対して、あるスクランブル符号が対応付けられることになる。
【0108】
スクランブル符号としては、パワーが一定の符号を用いるのが典型的であり、通常のW−CDMAで用いられるゴールド符号を採用しても良いし、[特許文献1]に開示されるようなカオス符号を採用しても良い。
【0109】
また、所定の角度θを用いて、複素拡散符号を生成する点は、上記実施形態と同様である。
【0110】
なお、以下の説明では、送信装置611と受信装置631とが1対1に通信する状況を例とするが、受信装置631を基地局とし、送信装置611を複数の移動端末として、当該移動端末のそれぞれに、異なる原始根を割り当てることとしても良い。
【0111】
ここで、送信装置611は、送信側符号生成部612、チャネライジング拡散部712、スクランブリング拡散部711、送信部614を有する。
【0112】
一方、受信装置631は、受信側符号生成部632、受信部633、スクランブリング逆拡散部731、チャネライジング逆拡散部732を有する。
【0113】
そして、送信装置611の送信側符号生成部612は、上記の拡散符号計算装置501に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、N個の複素拡散符号
b(q,k1),b(q,k2),…,b(q,kN)
を生成させる。
【0114】
一方、送信装置611のチャネライジング拡散部712は、伝送すべきN個の信号のそれぞれについて、n番目の信号を、当該整数knに対して生成された複素拡散符号b(q,kn)により、チャネライジング拡散する。
【0115】
さらに、送信装置611のスクランブリング拡散部711は、拡散された信号の総和を、当該スクランブル符号によりスクランブリング拡散する。図中の「Σ」は、信号の総和をとることを意味する。
【0116】
そして、送信装置611の送信部614は、スクランブリング拡散された信号を受信装置631に送信する。
【0117】
一方、受信装置631の受信側符号生成部632は、上記の拡散符号計算装置501に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号
b(q,k1),b(q,k2),…,b(q,kN)
を生成させる。
【0118】
さらに、受信装置631の受信部633は、送信装置611から送信された信号を受信する。
【0119】
そして、受信装置631のスクランブリング逆拡散部731は、受信された信号を、当該スクランブル符号により、スクランブリング逆拡散する。
【0120】
一方、受信装置631のチャネライジング逆拡散部732は、整数n = 1,2,…,Nのそれぞれについて、スクランブリング逆拡散された信号を、当該整数knに対して生成された拡散符号によりチャネライジング逆拡散して、伝送されたN個の信号のうち、n番目の信号を得る。
【0121】
スクランブル符号は、一般に、周期が長い符号を用いるのが典型的である。たとえば、従来のW−CDMAの場合には、周期225-1のゴールド符号を用いている。
【0122】
一方、チャネライジング符号は、周期が短い符号を用いるのが典型的である。従来のW−CDMAの場合には、4、16、64等が用いられるが、本発明の複素拡散符号では、符号長は素数pとなる。
【0123】
したがって、従来のW−CDMAの場合と同様のオーダーの「優良」な符号長pは、5、7、11、17、47、59であり、pの大きさに比べて原始根の個数が多いため、各ユーザが使用可能なチャンネル数を多くとることが可能である。また、5、17は、式2n+1でその値を表現できる、という点でも「優良」である。
【0124】
上記のように、移動端末から基地局へのアップリンク通信に本実施形態を適用すると、複数の移動端末で互いの原始根が異なるから、チャネライジング符号の直交性が維持される。また、本符号は、符号がずれた場合の相関特性も良好である。この点で、アップリンクの場合に直交性が崩れてしまう従来のW−CDMAに比べて、より一層他のユーザとの干渉を抑制でき、ビット誤り率を低くすることができる、という利点がある。
【0125】
なお、上記実施形態の通信システム601のいずれにおいても、θ=0であるようにように構成したり、(p-1)/2は素数であるように構成したり、pは2の羃乗に1を足した値の素数であるように構成することが可能である。
【0126】
上記実施形態では、ユーザごとに、互いに重複しない原始根qを割り当て、そのユーザの移動端末や基地局が、適宜、拡散符号を生成するための識別番号(通信チャンネルの番号)を選択して通信を行うこととしていたが、スクランブル符号をユーザごとに異なるもととし、原始根qや、利用する識別番号k1,…,kNは、全ユーザで共通するものとしても良い。
【0127】
また、これらの送信装置611や受信装置631は、通信機能を有するコンピュータにプログラムを実行させることにより実現できるほか、通信機能を有する専用の電子回路やソフトウェアラジオなどのプログラム可能な電子回路によっても実現が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本発明によれば、完全直交性を有し、自己相関特性が良好な符号を用いることにより、通信性能を向上させるのに好適な拡散符号計算装置、通信システム、送信装置、受信装置、これらをコンピュータ上にて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】素数p=59、原始根q=31の符号遷移図である。
【図2】素数p=59、原始根q=11の符号遷移図である。
【図3】素数p=173、原始根q=11の符号遷移図である。
【図4】素数p=173、原始根q=3の符号遷移図である。
【図5】本発明の実施形態の一つに係る拡散符号計算装置の概要構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の一つに係る通信システムの概要構成を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る通信システムの概要構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0130】
501 拡散符号計算装置
502 原始根受付部
503 番号受付部
504 複素符号生成部
601 通信システム
611 送信装置
612 送信側符号生成部
613 複素拡散部
614 送信部
631 受信装置
632 受信側符号生成部
633 受信部
634 複素逆拡散部
711 スクランブリング拡散部
712 チャネライジング拡散部
731 スクランブリング逆拡散部
732 チャネライジング逆拡散部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイラーのトーティエント関数φ(・)と、
素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
と、
所定の角度θと、
を用いる拡散符号計算装置であって、
当該原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれかを、拡散符号を生成するための原始根qとして受け付ける原始根受付部、
整数0,1,2,…,p-1のいずれかを、拡散符号を生成するための番号kとして受け付ける番号受付部、
前記受け付けられた原始根qと、前記受け付けられた番号kと、から、k = 0,1,2,…,p-2である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), exp(2πi×q0+k/p), exp(2πi×q1+k/p), exp(2πi×q2+k/p),…, exp(2πi×q(p-2)+k/p))
を生成し、k = p-1である場合、長さpの複素拡散符号
b(q,k) = (exp(iθ), 1, 1,…, 1)
を生成する複素符号生成部
を備えることを特徴とする拡散符号計算装置。
【請求項2】
オイラーのトーティエント関数φ(・)と、
素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qと、
整数0,1,2,…,p-1のいずれかの整数kと、
所定の角度θと、
を用い、
送信装置と、受信装置と、を有する通信システムであって、
(a)前記送信装置は、
請求項1に記載の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、1個の複素拡散符号を生成させる送信側符号生成部、
伝送すべき信号を当該整数kに対して生成された複素拡散符号により、拡散する複素拡散部、
前記拡散された信号を前記受信装置に送信する送信部
を備え、
(c)前記受信装置は、
請求項1に記載の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数kを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号を生成させる受信側符号生成部、
前記送信装置から送信された信号を受信する受信部、
前記受信された信号を、当該整数kに対して生成された拡散符号により逆拡散して、伝送された信号を得る複素逆拡散部
を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
オイラーのトーティエント関数φ(・)と、
素数pに対するφ(p-1)個の原始根
q1,q2,…,qφ(p-1)
のいずれか1つの原始根qと、
整数0,1,2,…,p-1のいずれか1つ以上p個以下の整数k1,k2,…,kNと、
所定のスクランブル符号と、
所定の角度θと、
を用い、
送信装置と、受信装置と、を有する通信システムであって、
(a)前記送信装置は、
請求項1に記載の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、N個の複素拡散符号を生成させる送信側符号生成部、
伝送すべきN個の信号のそれぞれについて、n番目の信号を、当該整数knに対して生成された複素拡散符号により、チャネライジング拡散するチャネライジング拡散部、
前記拡散された信号の総和を、当該スクランブル符号によりスクランブリング拡散するスクランブリング拡散部、
前記スクランブリング拡散された信号を前記受信装置に送信する送信部
を備え、
(c)前記受信装置は、
請求項1に記載の拡散符号計算装置に対して、当該原始根qを当該拡散符号を生成するための原始根として与え、当該整数k1,k2,…,kNを当該拡散符号を生成するための識別番号として与えて、複素拡散符号を生成させる受信側符号生成部、
前記送信装置から送信された信号を受信する受信部、
前記受信された信号を、当該スクランブル符号により、スクランブリング逆拡散するスクランブリング逆拡散部、
整数n = 1,2,…,Nのそれぞれについて、前記スクランブリング逆拡散された信号を、当該整数knに対して生成された拡散符号によりチャネライジング逆拡散して、伝送されたN個の信号のうち、n番目の信号を得るチャネライジング逆拡散部
を備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の通信システムであって、
前記送信装置は、当該原始根q1,q2,…,qφ(p-1)のいずれかが重複なく割り当てられた複数の移動端末のそれぞれであり、
前記受信装置は、当該複数の移動端末のそれぞれと通信する基地局である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の通信システムであって、
θ=0である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載の通信システムであって、
(p-1)/2は素数である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか1項に記載の通信システムであって、
pは2の羃乗に1を足した値の素数である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか1項に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項9】
請求項2から7のいずれか1項に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1に記載の拡散符号計算装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項2から7のいずれか1項に記載の通信システムにおける送信装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項2から7のいずれか1項に記載の通信システムにおける受信装置として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−28668(P2010−28668A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190059(P2008−190059)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(304001545)株式会社カオスウェア (28)
【Fターム(参考)】