説明

拡散防止マスクの形成方法およびそれを用いた太陽電池の製造方法

【課題】拡散ムラの発生を抑制しつつ、製造コストを低減することができる、拡散防止マスクの形成方法およびそれを用いた太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】インクジェット法を用いて、基板1上にシリコン化合物を含むマスクインクを塗布することにより、拡散防止マスクとなるマスク層2を形成する工程と、マスク層2を含む基板1を焼成する工程とを備えている。第1領域5bにおけるマスク層2の厚さは、マスク層2がドーパント拡散防止用マスクとして機能するために必要な最低膜厚であるマスク性確保最低膜厚より大きく、第2領域5aにおけるマスク層2の厚さは、ドーパントの拡散温度の状態におけるマスク層2にクラックが発生しない最大膜厚である耐クラック膜厚より小さく、かつ、マスク層2は第2領域5aにおいて第1領域5bより厚くなるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散防止マスクの形成方法およびそれを用いた太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にpn接合を形成する方法として、p型材料またはn型材料を基板に拡散させるドーピング技術が、太陽電池分野を含む半導体分野に広く適用されている。また、上記技術に合わせて、p型材料およびn型材料のドープ領域を所定のパターンに形成するために、ドープ不要な領域への材料の拡散を防止する拡散防止マスクの開発が進められている。
【0003】
ドープ領域をパターン状に形成した太陽電池を開示した先行文献として、特許文献1がある。特許文献1に記載された太陽電池は、受光面には電極が形成されず、裏面のみにn型電極およびp型電極が形成された裏面電極型太陽電池である。裏面電極型太陽電池においては、太陽電池の裏面側の半導体基板にn型およびp型ドープ領域がパターン状に形成されている。
【0004】
図6は、裏面電極型太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。図6において、矢印で示した側を裏面とする。図6に示すように、半導体基板であるシリコン基板21の裏面側の内部にはp型拡散層24とn型拡散層25とが交互に形成されている。シリコン基板21の裏面側の上面には、パッシベーション膜28が形成されており、これによりキャリアの再結合が抑制されている。
【0005】
パッシベーション膜28には、p型拡散層24の上方およびn型拡散層25の上方にコンタクトホールが形成されている。パッシベーション膜28の上面およびコンタクトホールの内部に裏面電極が形成されている。裏面電極は、p型拡散層24に電気的に接続されたp型電極30およびn型拡散層25に電気的に接続されたn型電極31から構成されている。
【0006】
拡散防止マスクは、p型拡散層24およびn型拡散層25を形成する際に使用され、あらかじめ拡散させない領域に拡散防止マスク層を形成しておき、材料が不要な領域に拡散しないようする役割を担っている。
【0007】
従来、拡散防止マスク層は、フォトリソグラフィ法によって形成されていた。たとえば、n型拡散層を形成する場合、まず、シリコン基板21の裏面の全面にシリコン酸化膜が形成される。シリコン酸化膜の上面に、パッシベーション膜28としてシリコン窒化膜が形成される。その後、露光、現像、エッチング処理が順次行なわれて、n型拡散層25が形成される部分に対応するパッシベーション膜28の一部が除去される。最後に、リンなどのn型ドーパントを含むガスがこの除去部分を通じて露出されたシリコン基板21上に拡散されることにより、n型拡散層25が形成される。
【0008】
しかしながら、上記の製造方法においては、製造コストが高くなるため、コスト削減の観点から、廉価なパターニング方法が求められていた。
【0009】
他のパターニング方法としては、一般的に、インクジェット法、印刷法などの各種溶液プロセスがある。溶液プロセスを利用した太陽電池の製法を開示した先行文献として、特許文献2がある。特許文献2に記載された太陽電池の製法においては、スクリーン印刷またはディスペンサーノズルによる塗布によってマスクが形成される。マスク溶液としては、SiO2ゾル−ゲルペーストが用いらる。
【0010】
また、インクジェット法を用いた太陽電池素子の製造方法を開示した先行文献として、特許文献3がある。特許文献3に記載された太陽電池素子の製造方法においては、環状のマスク層をインクジェット法を用いて形成した後、ドーパント層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−298078号公報
【特許文献2】特開平11−97726号公報
【特許文献3】特開2003−338632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2に記載された太陽電池の製法においては、スクリーン印刷またはディスペンサーノズルによる塗布によってマスキングを行なっている。しかしながら、スクリーン印刷においては、スクリーン版によって印刷パターンが固定されている。そのため、パターンの形状に合わせてスクリーン版を形成する必要があり、結果的に製造コストが高くなる。
【0013】
ディスペンサーノズルによる塗布においては、マスクパターンの幅がノズル幅によって決まるため、マスクパターンの幅を変更することができず、不必要な領域にマスク溶液が塗布されることがある。
【0014】
上記の方法はいずれも、比較的高粘度のインクを用いたパターン形成方法であるが、高粘度のマスク溶液を用いて薄いマスク層を形成することは困難である。また、形成されたマスク層の膜厚が厚い場合、焼成時にマスクにクラックが発生することによる太陽電池の特性の劣化、エッチングによるマスク層の除去の長時間化、および、歩留まり低下による製造コストの増大などの問題が発生する。
【0015】
特許文献3に記載されたインクジェット法を利用する方法においては、上述の問題点を解決することができるが、形成すべきマスク形状について考慮されていない。マスク形状によっては、n型拡散層およびp型拡散層を所望の領域に形成することができない。
【0016】
図7(A)は、従来のインクジェット法により基板上に拡散防止マスクを形成した状態を模式的に示す断面図であり、(B)は、拡散層を形成した状態を模式的に示す断面図である。図7(A)に示すように、シリコン基板41の上面にマスク層42が形成される。その状態において、ドーパント43を気相拡散させる。従来のインクジェット法を用いて、均一な膜厚を有するマスク層42を形成しようとする場合、図7(A)に示すように、中央部部分は一定以上の膜厚で形成され、端部部分は中央部部分の膜厚よりも小さくなるように形成される。
【0017】
一般に、拡散防止マスクは、ある程度以上の膜厚を有することにより、拡散防止性能を発揮することができる。図7(B)に示すように、マスク層42の端部部分45は薄くなっているため、ドーパントがマスク層42の下部に回りこみやすく拡散防止性能が低い。そのため、マスク層42の端部部分45において膜厚方向および基板水平方向のそれぞれに拡散ムラが発生するため、所望の領域にのみ拡散層を形成することができない。その結果、一部のp型拡散層とn型拡散層とがショートすることにより、太陽電池の特性が低下していた。
【0018】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、全体的に一定の厚さ以上の厚さを有する拡散防止マスクを簡易に形成することにより、拡散ムラの発生を抑制しつつ、製造コストを低減することができる、拡散防止マスクの形成方法およびそれを用いた太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に基づく拡散防止マスクの形成方法は、基板上にドーパント拡散防止用マスクを形成する方法である。拡散防止マスクの形成方法は、インクジェット法を用いて、基板上にシリコン化合物を含むマスクインクを塗布することにより、拡散防止マスクとなるマスク層を形成する工程と、マスク層を含む基板を焼成する工程とを備えている。焼成後のマスク層は、平面的に見て、中央部分に位置する第1領域およびこの第1領域を取囲む端部部分に位置する第2領域を含む。第1領域におけるマスク層の厚さは、マスク層がドーパント拡散防止用マスクとして機能するために必要な最低膜厚であるマスク性確保最低膜厚より大きく、第2領域におけるマスク層の厚さは、ドーパントの拡散温度の状態におけるマスク層にクラックが発生しない最大膜厚である耐クラック膜厚より小さく、かつ、マスク層は第2領域において第1領域より厚くなるように形成される。
【0020】
上記の拡散防止マスクの形成方法においては、第2領域において耐クラック膜厚より薄く、第1領域においてマスク性確保最低膜厚より厚く、かつ、第2領域において第1領域より厚くなるようにマスク層を形成することにより、全体的に一定の厚さ以上の厚さを有する拡散防止マスクを形成することができる。それにより、拡散防止マスクの性能が向上され、拡散ムラが発生することを抑制することができる。また、インクジェット法を用いて簡易に拡散防止マスクを形成することにより、製造コストを低減することができる。
【0021】
好ましくは、マスクインクが沸点の異なる少なくとも2種以上の溶媒を含む。このようにした場合、基板を焼成した際に、低沸点の溶媒を先に揮発させることにより膜の粘度を上昇させて所望の膜形状を維持した状態で、高沸点の溶媒を揮発させることにより所望の形状を有するマスクを形成することができる。
【0022】
好ましくは、マスクインクは、一般式R14-nSi(OR2)n(式中R1,R2は、炭素数1から10のいずれかの炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、nは2から4のいずれかの整数である)で表わされる1種類以上のアルコキシシランを加水分解重合させたシロキサン化合物と、沸点が150℃以下である第1溶媒と、該第1溶媒より沸点および粘度が高い第2溶媒とを含む。また、マスクインクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下である。
【0023】
このようにした場合、インクジェット法を用いてマスク層を形成する際に、マスクインクが適度な粘性を有するため、精度良くマスクインクを吐出することができる。また、マスクインクが上記のシリコン化合物を含むことにより、マスク層の高温下における耐久性を向上させるとともに、マスク層を除去する際に容易に除去することが可能となる。
【0024】
好ましくは、第1溶媒は、沸点が150℃以下、かつ、粘度が30mPa・s以下であり、第2溶媒は、沸点が150℃以上250℃以下、かつ、粘度が30mPa・s以上である。このようにした場合、第1領域および第2領域におけるマスク層の膜厚を、マスクの拡散防止性能を維持しつつ、焼成時にマスクにクラックが発生することを防止することができる範囲に調節することができる。
【0025】
好ましくは、マスクインクにおける、シロキサン化合物の比率が10重量%以上25重量%以下であり、かつ、前記第1溶媒の比率が5重量%以上25重量%以下である。このようにした場合、第1領域および第2領域におけるマスク層の膜厚を、マスクの拡散防止性能を維持しつつ、焼成時にマスクにクラックが発生することを防止することができる範囲に調節することができる。
【0026】
好ましくは、マスクインクがテトラエトキシシランを加水分解重合させたシロキサン化合物であり、第1領域におけるマスク層の厚さが0.4μm以上であり、かつ、第2領域におけるマスク層の厚さが1.0μm以下である。このようにした場合、ドーパントの拡散を防止するために必要な厚さを全体にわたって有する拡散防止マスクを形成することができる。また、拡散防止マスクが厚くなり過ぎないようにすることにより、焼成時にマスク層にクラックが発生することを防止するととともに、拡散防止マスクの除去に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0027】
好ましくは、マスク層を形成する工程において、基板を加熱して40℃以上80℃以下にする。このようにした場合、マスク層の端面が基板の上面から急激に立ち上がるようにマスク層を形成することができる。その結果、拡散領域の形成精度を向上させることができる。
【0028】
好ましくは、マスク層を形成する工程において、塗布したマスクインクを乾燥させる時間をはさんで複数回に分けて前記マスクインクを塗布する。このようにした場合、隣接するマスクが接近している場合に、このマスクが互いに影響しあって所望の形状に形成することができなくなることを防止することができる。具体的には、影響を及ぼさない程度離れたマスク層を形成し、そのマスク層が乾燥した後、そのマスク層に接近した別のマスク層を形成する。その結果、それぞれのマスク層を所望の形状に精度良く形成することができる。
【0029】
本発明に基づく太陽電池の製造方法は、少なくとも、基板表面の一部の領域に、上記のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて拡散防止マスクを形成する工程を含む。上記の太陽電池の製造方法においては、基板上に所望の拡散領域を精度良く形成することができるため、太陽電池の特性を向上することができる。
【0030】
本発明に基づく太陽電池の製造方法は、基板上に形成した拡散防止マスクを用いる太陽電池の製造方法である。太陽電池の製造方法は、基板表面の一の領域に、上記のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて第1拡散防止マスクを形成する工程と、第1拡散防止マスクが形成されていない部分の基板表面にn型ドーパントを拡散させることにより、n型拡散層を形成する工程と、第1拡散防止マスクを除去する工程とを備えている。また、太陽電池の製造方法は、基板表面の他の領域に、上記のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて第2拡散防止マスクを形成する工程と、第2拡散防止マスクが形成されていない部分の基板表面にp型ドーパントを拡散させることにより、p型拡散層を形成する工程と、第2拡散防止マスクを除去する工程とを備えている。さらに、太陽電池の製造方法は、n型拡散層およびp型拡散層が形成された基板の表面に、コンタクトホールが設けられたパッシベーション膜を形成する工程と、パッシベーション膜の上部およびコンタクトホール内に、n型拡散層に電気的に接続されるn型電極およびp型拡散層に電気的に接続されるp型電極からなる裏面電極を形成する工程とを備えている。
【0031】
上記の太陽電池の製造方法においては、n型拡散層およびp型拡散層を所望のパターンに精度良く形成することができるため、太陽電池の特性を向上することができる。また、インクジェット法を用いて拡散防止マスクを形成するため、太陽電池の製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0032】
第2領域において耐クラック膜厚より薄く、第1領域においてマスク性確保最低膜厚より厚く、かつ、第2領域において第1領域より厚くなるようにマスク層を形成することにより、全体的に一定の厚さ以上の厚さを有する拡散防止マスクを形成することができる。それにより、拡散防止マスクの性能が向上され、拡散ムラが発生することを抑制することができる。また、インクジェット法を用いて簡易に拡散防止マスクを形成することにより、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(A)は、本発明の一実施形態に係る拡散防止マスクの形成方法により拡散防止マスクが形成された基板を模式的に示す断面図であり、(B)は、基板に拡散層を形成した状態を模式的に示す断面図であり、(C)は、拡散防止マスクが形成された基板の一部を拡大して示す断面図である。
【図2】(A)は、基板上にマスクインクを塗布した直後の状態を模式的に示す断面図であり、(B)は、第1溶媒を揮発させた状態を模式的に示す断面図であり、(C)は、第2溶媒を揮発させた状態を模式的に示す断面図である。
【図3】同実施形態に係る太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】実施例1において形成したマスク層の形状を計測した結果を示す図である。
【図5】図4において、マスク層の端部に位置する部分を拡大して示す図である。
【図6】裏面電極型太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。
【図7】(A)は、従来のインクジェット法により基板上に拡散防止マスクを形成した状態を模式的に示す断面図であり、(B)は、拡散層を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に基づいた一実施形態における拡散防止マスクの形成方法について図を参照して説明する。
【0035】
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る拡散防止マスクの形成方法により拡散防止マスクが形成された基板を模式的に示す断面図であり、(B)は、基板に拡散層を形成した状態を模式的に示す断面図であり、(C)は、拡散防止マスクが形成された基板の一部を拡大して示す断面図である。
【0036】
図1(A)に示すように、本発明の一実施形態に係る拡散防止マスクの形成方法は、シリコン基板1上に拡散防止マスクを形成する方法である。拡散防止マスクとなるマスク層2は、インクジェット法を用いて、基板1上にシリコン化合物を含むマスクインクを塗布することにより形成される。マスク層2を含む基板1を焼成することにより、拡散防止マスクが形成される。この状態の基板1に、ドーパント3を気相拡散させることにより、拡散層を形成する。
【0037】
図1(B)に示すように、焼成後のマスク層2には、平面的に見て、中央部分に位置する第1領域5bおよび第1領域5bを取囲む端部部分に位置する第2領域5aが含まれる。本実施形態においては、マスク層2の全幅をLとした場合に、マスク層2の端面から0.1Lだけマスク層2の内側に位置する部分までを第2領域5aと定義する。マスク層2において、第2領域5a以外の部分が第1領域5bである。
【0038】
図1(C)に示すように、マスク層2は、第2領域5aにおいて第1領域5bより厚くなるように形成される。ここで、第1領域5bにおいて最も膜厚が薄い箇所の膜厚をT1、第2領域5aにおいて最も膜厚が厚い箇所の膜厚をT2とする。
【0039】
図1(B),(C)に示すように、第2領域5aにおいて第1領域5bより厚くなるようにマスク層2を形成することにより、全体的に一定の厚さ以上の厚さを有する拡散防止マスクを形成することができる。また、T1がマスク性確保最低膜厚より大きく、T2が耐クラック膜厚より小さくなるようにした。ここで、マスク性確保最低膜厚とは、形成した膜がドーパント拡散のマスクとして機能するために必要な最低膜厚である。耐クラック膜厚とは、形成した膜が拡散温度の状態においてクラックが発生しない最大膜厚である。
【0040】
マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚は、インク材料の組成または形成後の膜の剛性により決定される。本実施形態においては、マスク性確保最低膜厚は、0.4μm程度となる。耐クラック膜厚は、2μm程度となる。テトラエトキシシラン(TEOS)をマスクインクの原材料として用いた場合は、膜の緻密性が高くなる傾向にあり、耐クラック膜厚が1.0μm程度となる。
【0041】
このような拡散防止マスクを形成した基板1にドーパント3を気相拡散した場合、拡散防止マスクの下部にドーパント3が回りこむことによる、膜厚方向および基板水平方向のそれぞれに拡散ムラが発生することを抑制することができる。その結果、たとえば、n型拡散層4を所望の領域にのみ形成することができる。すなわち、拡散層の領域をマスク精度に一致させることが可能であり、拡散層の端部を設計どおりに形成することができる。
【0042】
上記の膜形状を有する拡散防止マスクを得るために、本実施形態においては、マスク形成のために用いるマスクインクが沸点の異なる少なくとも2種以上の溶媒を含んでいる。具体的には、マスクインクとして、少なくともシリコン化合物を含む固形分と、低沸点かつ低粘度の第1溶媒と、高沸点かつ高粘度の第2溶媒とからなるものを用いた。インクジェット印刷直後のマスク層の粘度が低い状態から第1溶媒が揮発させる過程において、膜の端部の膜厚が膜中央部の膜厚よりも大きくなるように膜を形成し、その後、その形状を維持しながら第2溶媒を揮発させることで、本発明の拡散防止マスクを形成することができる。
【0043】
図2(A)は、基板上にマスクインクを塗布した直後の状態を模式的に示す断面図であり、(B)は、第1溶媒を揮発させた状態を模式的に示す断面図であり、(C)は、第2溶媒を揮発させた状態を模式的に示す断面図である。
【0044】
図2(A)に示すように、基板1の上面にインクジェット法を用いて塗布された直後のマスク層2aは、上に凸状のレンズ形状を有している。マスク層2aは、第1溶媒を含んでいるため粘度が低く、高い流動性を有しており、矢印11で示すようにマスク層2aの中央部から端部に向けての流動が起こる。このとき、第1溶媒12は、マスク層2aの表面から揮発している。
【0045】
よって、マスク層2aにおいては、上記流動性によって、マスク層2aの端部への溶質移動が起こり、端部の膜厚が増加するとともに、第1溶媒が揮発することにより急速に粘度が増加する。
【0046】
図2(B)に示すように、第1溶媒12が揮発したマスク層2bは、粘度が非常に高く、溶質の流動性がほとんどない状態である。マスク層2bから第2溶媒13を揮発させることにより、マスク層2bは、その形状をほとんど維持した状態で、さらに粘度が高くなる。
【0047】
図2(C)に示すように、第2溶媒13が揮発した乾燥後のマスク層2cは、図1(B),(C)に示すように第2領域5aにおいて第1領域5bより厚くなるように形成される。
【0048】
以下、マスクインクについて詳細に説明する。
マスクインクの特性としては、インクジェット法を用いて拡散防止マスクを形成するために、1mPa・s以上30mPa・s以下の粘度を有することが好ましい。また、マスクインクは、20mN/m以上35mN/m以下の表面張力を有することが好ましい。
【0049】
マスクインクの粘度が1mPa・s未満の場合には、マスクインクの粘度が低いために、インクジェットヘッドから安定してマスクインクを吐出することができない。具体的には、インクジェットヘッドから吐出されたマスクインクの液滴が、ノズル面に対して垂直に噴射されず、多数の微小な液滴に分裂して広がってスプラッシュ状に噴射されやすくなるためである。
【0050】
その結果、マスクインクの粘度が1mPa・s未満の場合には、基板1に対してマスクインクの液滴の付着位置の制御が難しくなり、本来、マスクインクを塗布すべき領域にマスクインクを塗布できない場合がある。この現象が太陽電池の形成過程において発生した場合、マスク不良によって逆方向電流の増大が起こり、太陽電池の特性が低下する。一方、本来、マスクインクを塗布すべきでない領域にマスクインクの液滴が付着する場合がある。この現象が太陽電池の形成過程において発生した場合、拡散層の形成を妨げて太陽電池の発電効率の低下が生じる。
【0051】
マスクインクの粘度が30mPa・sを超える場合には、マスクインクの粘度が高いために、インクジェットヘッドのノズル詰まりが発生しやすくなる。マスクインクの液滴が吐出されないノズルが発生することにより、本来、マスクインクを塗布すべき領域にマスクインクを塗布できない場合がある。この現象が太陽電池の形成過程において発生した場合、マスク不良によって逆方向電流の増大が起こり、太陽電池の特性が低下する。
【0052】
また、マスクインクは、溶質の重量比率が10重量%以上25重量以下、および、第1溶媒12の重量比率が5重量%以上25重量%以下であることが好ましい。第1溶媒12の粘度は30mPa・s以下、第2溶媒13の粘度は30mPa・s以上、および、第2溶媒13の沸点は150℃以上250℃以下であることが好ましい。
【0053】
第1溶媒12の重量比率が5重量%以下である場合、第1溶媒12が完全に揮発した際のマスクインクの粘度上昇量が小さいため、引き続いて溶質移動が起こる。そのため、マスク層2aの端部と中央部との膜厚の差が大きくなりすぎる。その結果、マスク層2aの中央部においてマスク性確保最低膜厚を確保しつつ、耐クラック膜厚をマスク層2aの端部において下回ることが困難になる。
【0054】
第1溶媒12の重量比率が25重量%以上である場合、第1溶媒12が揮発した際のマスクインクの粘度増加が速い。そのため、溶質移動がほとんど起こらないため、マスク層2aの端部の膜厚が、中央部の膜厚より厚くならない。また、インクジェットヘッド近傍においてマスクインクの一部が揮発するため、インクジェットヘッドのノズル詰まりが発生しやすく、安定したマスクインクの吐出が困難になる。
【0055】
第1溶媒12の沸点を150℃以上にした場合、第1溶媒12の揮発に時間がかかるため、この間に起こる溶質流動によって、マスク層2aの端部と中央部との膜厚の差が大きくなり、上記のマスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚の条件を同時に達成することが困難になる。
【0056】
第2溶媒13の沸点を250℃以上にした場合、第1溶媒12の揮発後から第2溶媒13の揮発までの時間が非常に長くなるために、この間に起こる溶質流動によって、マスク層2aの端部と中央部との膜厚の差が大きくなり、上記のマスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚の条件を同時に達成することが困難になる。
【0057】
第2溶媒13の粘度を30mPa・s以下にした場合、第1溶媒12が揮発した際のマスクインクの粘度が小さく、マスクインクの流動性が維持されるため、マスク層2aの端部と中央部との膜厚の差が大きくなり、上記のマスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚の条件を同時に達成することが困難になる。なお、第1溶媒12の粘度を30mPa・s以下としたのは、調合により形成したマスクインクの粘度を1mPa・s以上30mPa・s以下にするためである。
【0058】
溶質の重量比率を10重量%以下にした場合、焼成後のマスク層2cの膜厚が小さく、特に、マスク層2cの中央部の膜厚がマスク性能確保最低膜厚以下となる。そのため、その後の工程においてドーパントを拡散する際に、ドーパントの拡散が不必要な部分にもドーパントが拡散され、マスク性能を発揮させることができない。
【0059】
溶質の重量比率を25重量%以上にした場合、乾燥後のマスク層2cの膜厚が大きすぎるため、特に、マスク層2cの端部における膜厚が上記の耐クラック膜厚以上となり、当該部分でクラックが発生する。また、溶質の重量比率が25重量%以上である場合、マスクインクの安定性が低く、保存中にマスクインクの粘度の経時変化および溶質の析出などが起こる。
【0060】
第1溶媒12としては、沸点が150℃以下であり揮発性が高く、粘度が低い、たとえば、メタノール、エタノール、IPA(イソプロピルアルコール)、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテルアセテートおよび酢酸プロピルなどを用いることができる。
【0061】
第2溶媒13としては、沸点が150℃以上250℃以下であり、かつ、第1溶媒12以上の粘度を有するものであれば特に限定されず、脂肪族または芳香族炭化水素系溶媒、単価または多価アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含硫黄系溶媒などの溶媒を用いることができる。
【0062】
マスクインクの溶質としては、シリコン化合物を用いた。シリコン化合物を用いることにより、マスク層2cの高温下における耐久性、および、ドーパントなどの拡散後におけるマスク層2cの除去容易性を向上することができる。
【0063】
具体的には、シリコン化合物として、一般式R14-nSi(OR2)nで表される1種類以上のアルコキシシランを加水分解重合させたシロキサン化合物を用いたが、有機系樹脂の末端にシラノール基を含む化合物を用いてもよい。
【0064】
上記のアルコキシシランにおいては、上記一般式中のR1の1価の有機基として、炭素数1から10の有機基が挙げられる。この有機基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基、または、グリシジル基、グリシジルオキシ基などのエポキシ含有基、アミノ基およびアルキルアミノ基などのアミノ含有基などで置換した基を挙げることができる。
【0065】
上記一般式中のOR2にて示すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基、ビニロキシ基、2−プロペノキシ基などのアルケノキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基などのアシロキシ基、ブタノキシム基などのオキシム基およびアミノ基などを挙げることができる。これらの中で、炭素数が1から5のアルコキシ基が好ましく、特に、加水分解および縮合時の制御の容易性から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基が好ましい。
【0066】
シロキサン化合物をポリマー化させる観点から、上記一般式中のnは2から4の整数であることが好ましい。このような化合物の具体例としては、たとえば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラーiso−プロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランおよびジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0067】
上記一般式で示される化合物は、有機溶媒中において、水および触媒と混合されることにより加水分解および部分縮合され、シロキサンポリマーとなる。この有機溶媒としては、後述する有機溶媒を用いることができる。また、触媒としては、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基などを用いることができる。
【0068】
有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸および酒石酸などを用いることができる。
【0069】
無機酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸およびリン酸などを用いることができる。有機塩基としては、たとえば、メタノールアミン、エタノールアミンなどのアミン系化合物を用いることができる。無機塩基としては、たとえば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどを用いることができる。
【0070】
また、マスクインクの塗布性の向上のために、マスクインクに界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、たとえば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性界面活性剤などを用いることができる。さらには、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを添加してもよい。
【0071】
マスクインクの調製方法としては、たとえば、まず、アルコキシシランを水、触媒およびアルコキシシランを溶解しうるアルコールなどの溶媒を含む溶液に添加して攪拌する。このようにして、加水分解を進行させたのち、必要に応じて、加水分解によって生じたアルコールおよび存在する水の量を調整し、その後、上記溶液に第1溶媒12および第2溶媒13を添加した後、十分に攪拌する。
【0072】
ここで、添加する触媒の量は、たとえば、加水分解反応の反応溶液中の濃度が、1ppm以上1000ppm以下となるように調整する。水の添加量は、加水分解の進行度、続いて起こる重合反応の進行度を考慮すると、上記一般式で示される化合物全体における加水分解基1モル当たり、1.5モル以上4.0モル以下であることが好ましい。
【0073】
加水分解の反応条件は特に制限されるものではないが、反応温度は0℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上60度以下である。反応時間は0.1時間以上24時間以内である。加水分解によって生じたアルコールおよび存在する水の量の調整方法としては、たとえば、20℃以上100℃以下の温度において、減圧蒸留する。
【0074】
本実施形態に係る拡散防止マスクは、上記のマスクインクを用い、インクジェット印刷によってパターンを形成し、所定温度で乾燥させた後、より高温で焼成することにより形成される。乾燥条件は、マスクインクに含まれる溶媒の沸点によって決定され、乾燥温度および乾燥時間は、たとえば、150℃以上250℃以下の温度において2分から30分間乾燥される。焼成条件は、マスクインクに含まれる溶質によって決定され、焼成温度および焼成時間は、たとえば、500℃以上700℃以下の温度において10分から60分間焼成される。
【0075】
拡散防止マスクのパターンは、最終的にドーパントなどの拡散を防止させる領域に一致するように、直線状またはドット状などに形成される。拡散防止マスクの端面が基板の上面から急激に立ち上がるように形成されるようにするために、マスクインクを塗布する際に基板が加熱されていることが好ましい。
【0076】
基板を40℃以上に加熱することにより、拡散防止マスクの端面が基板の上面から急激に立ち上がるようにすることができる。しかし、基板の温度が高すぎた場合、印刷時にインクジェットヘッドのノズル部が乾燥し、安定的にインクジェット印刷することが困難になる。したがって、基板の加熱温度としては、40℃以上80℃以下にすることが好ましい。
【0077】
インクジェット印刷を行なう際、1回で描画を完成させてもよいが、吐出した溶媒などによって描画形状が影響を受けるような場合、複数回に分けて描画する方が好ましい。言い換えると、塗布したマスクインクを乾燥させる時間をはさんで複数回に分けてマスクインクを塗布することが好ましい。
【0078】
具体的には、たとえば、基板1の全面に亘って幅0.9mm、間隔0.1mmの直線形状のマスク層を描画する場合、まず、幅0.9mm、間隔1.1mmにて1回目の描画を行なう。一定時間溶媒を乾燥させた後に、1回目の描画パターンに対し、1mmずらして、幅0.9mm、間隔1.1mmにて2回目の描画を行なう。このようにすることにより、基板1の全面に亘って幅0.9mm、間隔0.1mmの直線形状のマスク層を描画することができる。このときの溶媒乾燥時間としては、溶媒の乾燥割合、残存溶媒の影響度および実際の工程にかかる時間に応じて、たとえば、10秒から5分間程度とする。
【0079】
以下、拡散防止マスクの形成方法を用いた太陽電池の製造方法の一例について説明する。なお、本発明の太陽電池の製造方法は下記に限定されず、本発明の拡散防止マスクの形成方法を用いた全般の太陽電池の製造方法に適用される。
【0080】
図3は、本実施形態に係る太陽電池の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態に係る太陽電池の製造方法は、インクジェット法を用いて拡散防止マスクを形成する太陽電池の製造方法である。
【0081】
図3(A)に示すように、シリコン基板1の上面に、上述のマスクインクをインクジェット法を用いて、所定の領域に塗布することにより、マスク層2を形成する。そのマスク層2を含む基板1を、焼成する。
【0082】
ここで、シリコン基板1としては、たとえば、p型またはn型のシリコン結晶からなるシリコン基板が用いられる。シリコン基板1の表面あるいは裏面に、テクスチャ構造と呼ばれる微細な凹凸構造が形成されていてもよい。本実施形態における太陽電池の製造方法のいずれかの工程において、テクスチャ構造を形成するようにしてもよい。
【0083】
図3(B)に示すように、n型ドーパント3をシリコン基板1の表面に拡散させる。n型ドーパント3の拡散方法としては、たとえば、n型ドーパントであるリンを気相拡散し、このときの拡散温度としては、850℃以上とする。その結果、図3(C)に示すように、マスク層2が形成されていない基板1の上面に、n型拡散層4が形成される。次に、図3(D)に示すように、たとえば、所定濃度のフッ酸に基板1を浸漬することにより、マスク層2を除去する。
【0084】
その後、図3(E)を示すように、上述のマスクインクをインクジェット法を用いて、n型拡散層4を覆うように、基板1の上面に塗布することにより、マスク層14を形成する。そのマスク層14を含む基板1を、焼成する。
【0085】
図3(F)を示すように、p型ドーパント6をシリコン基板1の表面に拡散させる。p型ドーパント6の拡散方法としては、たとえば、p型ドーパント6である臭素を気相拡散させる、または、臭素を含む溶液を基板1上に塗布した後、850℃以上の温度で焼成する。その結果、図3(G)に示すように、マスク層14が形成されていない基板1の上面に、p型拡散層7が形成される。次に、図3(H)に示すように、たとえば、所定濃度のフッ酸に基板1を浸漬することにより、マスク層14を除去する。
【0086】
続いて、図3(I)に示すように、基板1の裏面における電子とホールの再結合を抑制することを目的として、熱酸化などの方法を用いることにより、基板1の上面にパッシベーション膜8を形成する。上記のテクスチャ構造をシリコン基板1に形成する場合、たとえば、パッシベーション膜8が形成されている側と反対側の基板1の受光面を、水酸化カリウムとIPAとを含む80℃程度の溶液に浸漬させることによって、その表面に微細な凹凸構造を有するテクスチャ構造を形成することができる。その後、その上面に太陽光の反射防止効果を有する、たとえば、シリコン窒化膜を形成する。
【0087】
図3(J)に示すように、フォトエッチング法などを用いて、パッシベーション膜8におけるn型拡散層4およびp型拡散層7の上方の位置にコンタクトホールを形成することにより、パッシベーション膜8をドット状またはライン状などの形状にパターニングする。
【0088】
次に、図3(K)に示すように、パッシベーション膜8の上面およびコンタクトホールの内部に裏面電極を形成する。裏面電極は、n型拡散層4に電気的に接続されたn型電極9と、p型拡散層7に電気的に接続されたp型電極10とから構成されている。
【0089】
n型電極9およびp型電極10は、高真空中において電子ビームにより加熱される蒸着法などによって形成することができる。n型電極9およびp型電極10を構成する材料としては、チタン、パラジウムまたは銀などが用いることができる。さらに、これらの電極が形成された基板1を、たとえば、400℃以上500℃以下の温度に加熱することによって、電極と基板1との間にオーミック接触を形成できる。
【0090】
本実施形態に係る太陽電池の製造方法においては、上記の方法により拡散防止マスクを形成するため、拡散層の形成領域を拡散防止マスクを形成した領域に一致させることが可能となり、拡散層の端部に拡散ムラが発生することを抑制することができる。したがって、従来のように拡散防止マスクの端部においてドーパントが回りこむことにより発生する拡散ムラによって、n型拡散層4とp型拡散層7とがショートすることを防止できるため、高い特性を有する太陽電池を製造することができる。また、インクジェット法を用いて拡散防止マスクを形成するため、太陽電池の製造コストを低減することができる。
【0091】
なお、本実施形態においては、太陽電池の製造方法について説明したが、本発明の拡散防止マスクの形成方法は、太陽電池分野に限定されず、半導体分野、たとえば半導体層へのイオンドーピングの際の拡散防止マスクの形成など種々の半導体の形成方法に適用できる。
【0092】
以下、拡散防止マスクにおいて、ドーパントの拡散を防止するために必要なマスク性確保最低膜厚、および、焼成した際に拡散防止マスクにクラックが発生しないための限界である耐クラック膜厚を確認した実験例1について説明する。
【0093】
実験例1
マスク性確保最低膜厚の評価として、調製したマスクインクを用い、スピンコート法によって、異なる膜厚の製膜サンプルを作製し、VOC(volatile organic compounds)スキャン評価によって算出した。なお、VOCスキャン評価とは、マスクインクを塗布した基板1にドーパント3,6の拡散処理を行なった後、マスク層2,14を除去したサンプルについて、光照射したときに生じる電圧をプローブスキャンすることで、pn接合の形成の有無を確認する方法である。
【0094】
拡散防止マスクがマスク性能を有していた場合、起電力が発生するため、膜厚の異なるサンプルについてこの評価を実施することにより、マスク性確保最低膜厚を確認することができる。
【0095】
また、耐クラック膜厚については、調製したマスクインクを用い、スピンコート法によって、異なる膜厚の製膜サンプルを作製し、900℃の温度で30分間焼成した後の拡散防止マスクにおいてクラックの有無を顕微鏡にて確認する方法により算出した。
(サンプル1)
サンプル1を以下のように作製し、マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚を確認した。第1溶質としてTEOS(テトラエトキシシラン)18gを、第2溶媒としてエタノール17.7gに溶解させた。この溶液中に、触媒として35.5%の塩酸0.1gを溶解させた水3.9gを攪拌下で滴下した。
【0096】
その後、24時間反応させ、シロキサン化合物溶液を得た。続いて、この溶液に、第1溶媒としてヘキシレングリコール22.6gを添加して攪拌した後、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮し、エタノール22.6g(TEOS加水分解により発生したエタノールを含む)を除去することによりマスクインクを調製した。調製したマスクインクの組成は、溶質濃度(SiO2換算)が12.4重量%、第2溶媒濃度が22重量%であり、粘度は7.7mPa・sであった。サンプル1のマスク性確保最低膜厚は300nmであり、耐クラック膜厚は1μmであった。
(サンプル2)
サンプル2を以下のように作製し、マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚を確認した。第1溶質としてTEOS19.3gを、調製用溶媒としてエタノール10.7gに溶解させた。この溶液中に、触媒として35.5%の塩酸0.06gを溶解させた水4.18gを攪拌下で滴下した。
【0097】
その後、24時間反応させ、シロキサン化合物溶液を得た。続いて、この溶液に、第1溶媒としてジプロピレングリコール18.5gを添加して攪拌した後、ロータリーエバポレータを用いて減圧濃縮し、エタノールを全量除去した。その後、第2溶媒としてプロピレングリコールプロピルエーテル8gを添加して攪拌することによりマスクインクを調製した。調製したマスクインクの組成は、溶質濃度(SiO2換算)が15.2重量%、第2溶媒濃度が23重量%であり、粘度は17.5mPa・sであった。サンプル2のマスク性確保最低膜厚は300nmであり、耐クラック膜厚は1μmであった。
【0098】
(サンプル3,7,9〜10)
サンプル1と同じ方法により、第1溶質、(サンプル7については、第2溶質)を第2溶媒に溶解させた。この溶液中に、触媒を溶解させた水を滴下し、反応させることによりシロキサン化合物溶液を調製した。続いて、第1溶媒を添加して攪拌したのち、減圧濃縮することにより第2溶媒の一部を除去することによりマスクインクを調製した。このとき、添加した材料、調製したマスクインクの組成については表1の左側に示す。また、形成したマスクインクの粘度、マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚については、表1の右側に示す。
【0099】
(サンプル4〜6,8,11,12)
サンプル2と同じ方法により、第1溶質、(サンプル6,8については、第2溶質)を第2溶媒に溶解させた。この溶液中に、触媒を溶解させた水を滴下し、反応させることでシロキサン化合物溶液を調製した。続いて、第1溶媒を添加して攪拌したのち、減圧濃縮することにより調整用溶媒を全量除去し、その後、第2溶媒を添加して攪拌することによりマスクインクを調製した。このとき、添加した材料、調製したマスクインクの組成については表1の左側に示す。また、形成したマスクインクの粘度、マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚については表1の右側に示す。
【0100】
表1は、サンプル1から12の添加材料、重量比率、粘度、マスク性確保最低膜厚および耐クラック膜厚をまとめたものである。本実験により、マスク性確保最低膜厚は0.3μmであり、耐クラック膜厚は1μmであることが確認された。
【0101】
【表1】

【0102】
なお、表1において、各略号はそれぞれ以下の化合物を表している。TEOS:テトラエトキシシラン、TPOS:テトラプロポキシシラン、MTES:メチルトリエトキシシラン、DMDES:ジメチルジエトキシシラン、PGP:プロピレングリコールプロピルエーテル、IPA:イソプロピルアルコール、PGME:プロピレングリコールn−メチルエーテル、HG:ヘキシレングリコール、DPG:ジプロピレングリコール。
【0103】
以下、インクジェット法を用いて形成した拡散防止マスクにおいて、中央部の膜厚、端部の膜厚、および、マスク性確保最低膜厚以下となる領域であるマスク不良領域を確認した実験例2について説明する。
【0104】
実験例2
(実施例1)
実施例1の拡散防止マスクを以下のように作製した。ダメージ層を除去したシリコン単結晶基板を50℃に加熱し、その表面に、インクジェット印刷によって上記のサンプル1において調製したマスクインクを塗布し、200℃の温度において15分間乾燥させることによりマスク層を形成した。
【0105】
図4は、実施例1において形成したマスク層の形状を計測した結果を示す図である。図4に示すように、マスク層は中央部において最も薄い部分の膜厚bが0.65μm、端部において最も厚い部分の膜厚aが0.92μmであった。図5は、図4において、マスク層の端部に位置する部分を拡大して示す図である。図5に示すように、マスク性確保最低膜厚である0.3μm以下となるマスク不良領域cは、0.04μmであった。
(実施例2〜8)
実施例2〜8の拡散防止マスクを以下のように作製した。インクジェット印刷に用いるマスクインクを上記のサンプル2〜8で調製したものをそれぞれ使用することを除き、実施例1と同様の方法によりシリコン単結晶基板上にマスク層を形成した。表2は、実施例1から8の拡散防止マスクにおいて、中央部の膜厚、端部の膜厚、および、マスク不良領域の確認結果をまとめたものである。
【0106】
【表2】

【0107】
表2に示すように、実施例1〜8における拡散防止マスクは、中央部における最も薄い部分の膜厚は、マスク性確保最低膜厚である0.3μmを上回っており、端部における最も厚い部分の膜厚は、耐クラック膜厚である1μmを下回っていた。
【0108】
以下、インクジェット法を用いて拡散防止マスクを形成した太陽電池の特性を確認した実験例3について説明する。
【0109】
実験例3
(実施例9〜16)
上記の実施例1〜8において作製したマスク層を有するシリコン単結晶基板を、600℃の温度において30分間焼成したのち、900℃の温度においてリンを気相拡散させた。その結果、基板1のマスク層2が形成されていない領域に、n型ドーパント3が拡散され、n型拡散層4が形成された。続いて、n型拡散層4が形成されたシリコン基板1をフッ酸に浸漬することにより、表面に残存するマスク層2を除去した。
【0110】
その後、再度、シリコン基板1を50℃の温度に加熱し、そのシリコン基板1の表面にインクジェット印刷によってサンプル1で調製したマスクインクを塗布し、200℃の温度において15分間乾燥させることによりマスク層14を形成した。次に、600℃の温度において30分間焼成した後、900℃の温度においてボロンを気相拡散させた。その結果、シリコン基板1のマスク層14が形成されない領域にp型ドーパント6を拡散され、p型拡散層7が形成された。n型およびp型拡散層4,7が形成されたシリコン基板1をフッ酸に浸漬することにより、その表面に残存するマスク層14を除去した。
【0111】
続いて、シリコン基板1のn型およびp型拡散層4,7が形成された面に、パッシベーション膜8として窒化シリコン膜を製膜し、フォトリソグラフィ法を用いてn型拡散層4、p型拡散層7の上方にコンタクトホールを形成した。その後、パッシベーション膜8の上面およびコンタクトホールの内部に裏面電極を形成した。裏面電極は、n型拡散層4に電気的に接続されたn型電極9と、p型拡散層7に電気的に接続されたp型電極10とから構成されている。上記のように製造した太陽電池の特性として、変換効率およびId(逆方向電流)を確認した。
【0112】
表3は、実施例9〜16の太陽電池の特性を確認した結果をまとめたものである。
【0113】
【表3】

【0114】
表3に示すように、実施例9〜16の太陽電池は、変換効率が18%程度であり、また、Idが0.02であって、良好な特性を示した。
【0115】
以下、比較例としてサンプル9から13において調整したマスクインクを用いた太陽電池の特性を確認した実験例4について説明する。
【0116】
実験例4
(比較例1〜5)
インクジェット印刷に用いるマスクインクとして、サンプル9〜13で調製したものを使用することを除き、実施例1と同様の方法によりマスク層2を形成した。ここで、比較例1,2においては同じマスクインクを用い、インクジェット印刷の塗布量を調整することにより膜厚の異なるマスク層2を形成した。
【0117】
比較例4,5においては、同じマスクインクを用い、インクジェット印刷の塗布領域を調整することにより、線幅の異なるマスク層2(比較例4については実施例9〜16と同じ線幅、比較例5については実施例1〜8の2倍の大きさの線幅)を形成した。続いて、実施例9と同様の方法で太陽電池を作製した。表4は、形成したマスク層2の中央部において最も薄い部分の膜厚および端部において最も厚い部分の膜厚、マスク不良領域、太陽電池の特性を確認した結果をまとめたものである。
【0118】
【表4】

【0119】
比較例1,2においては、サンプル9〜10のように第2溶媒の重量比率が大きなマスクインクを用いたために、マスク層2の中央部と端部との膜厚の差が大きくなった。その結果、比較例1においては、マスク層2の中央部の膜厚が薄いために、その領域のマスク性能が不足し、ドーパントが拡散して、太陽電池の変換効率の低下および逆方向電流の増加が発生していた。比較例2においては、マスク層2の中央部における膜厚をマスク性確保最低膜厚以上としたために、マスク層2の端部において最も膜厚が厚い部分の膜厚が耐クラック膜厚以上となり、その領域でクラックが発生したために、太陽電池の変換効率の低下および逆方向電流の増加が発生していた。
【0120】
比較例3においては、サンプル11のように、溶質濃度が高いために、インクジェット印刷を実施する際にインク内部において凝集物が析出し、その部分でのマスク性能が低下する結果となった。
【0121】
比較例4,5においては、第2溶媒の重量比率の小さなマスクインクを用いたために、マスク層2の中央部の膜厚が最も大きくなり、端部のマスク不良領域の大きさが大きくなる結果となった。比較例4においては、実施例1と同じ線幅でインクジェット印刷を行なったために、一部でp型拡散層7とn型拡散層4とが接触し、結果的に太陽電池の変換効率が低下し、逆方向電流が大きく増加する結果となった。一方、比較例5においては、実施例1にて描画したマスク幅の2倍のスペースを空けてマスク層2を描画したために、拡散層の幅を確保することができず、太陽電池の変換効率が上げられない結果となった。
【0122】
本発明の拡散防止マスクの形成方法においては、第2領域において第1領域より厚くなるようにマスク層を形成することにより、全体的に一定の厚さ以上の厚さを有する拡散防止マスクを形成することができる。それにより、拡散防止マスクの性能が向上され、拡散ムラが発生することを抑制することができる。また、インクジェット法を用いて簡易に拡散防止マスクを形成することにより、製造コストを低減することができる。
【0123】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 シリコン基板、2 マスク層、3 n型ドーパント、4 n型拡散層、5a 第2領域、5b 第1領域、6 p型ドーパント、7 p型拡散層、8 パッシベーション膜、9 n型電極、10 p型電極、12 第1溶媒、13 第2溶媒、14 マスク層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にドーパント拡散防止用マスクを形成する方法であって、
インクジェット法を用いて、基板上にシリコン化合物を含むマスクインクを塗布することにより、拡散防止マスクとなるマスク層を形成する工程と、
前記マスク層を含む基板を焼成する工程と
を備え、
焼成後の前記マスク層は、平面的に見て、中央部分に位置する第1領域および該第1領域を取囲む端部部分に位置する第2領域を含み、
前記第1領域における前記マスク層の厚さは、前記マスク層がドーパント拡散防止用マスクとして機能するために必要な最低膜厚であるマスク性確保最低膜厚より大きく、前記第2領域における前記マスク層の厚さは、ドーパントの拡散温度の状態における前記マスク層にクラックが発生しない最大膜厚である耐クラック膜厚より小さく、かつ、前記マスク層は前記第2領域において前記第1領域より厚くなるように形成される、拡散防止マスクの形成方法。
【請求項2】
前記マスクインクが沸点の異なる少なくとも2種以上の溶媒を含む、請求項1に記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項3】
前記マスクインクは、一般式R14-nSi(OR2)n(式中R1,R2炭素数1から10のいずれかの炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、nは2から4のいずれかの整数である)で表わされる1種類以上のアルコキシシランを加水分解重合させたシロキサン化合物と、沸点が150℃以下である第1溶媒と、該第1溶媒より沸点および粘度が高い第2溶媒とを含み、
前記マスクインクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下である、請求項1に記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項4】
前記第1溶媒は、沸点が150℃以下、かつ、粘度が30mPa・s以下であり、
前記第2溶媒は、沸点が150℃以上250℃以下、かつ、粘度が30mPa・s以上である、請求項1に記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項5】
前記マスクインクにおける、シロキサン化合物の比率が10重量%以上25重量%以下であり、かつ、前記第1溶媒の比率が5重量%以上25重量%以下である、請求項1に記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項6】
前記マスクインクがテトラエトキシシランを加水分解重合させたシロキサン化合物であり、前記第1領域における前記マスク層の厚さが0.4μm以上であり、かつ、前記第2領域における前記マスク層の厚さが1.0μm以下である、請求項4または5に記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項7】
前記マスク層を形成する工程において、前記基板を加熱して40℃以上80℃以下にする、請求項3から6のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項8】
前記マスク層を形成する工程において、塗布した前記マスクインクを乾燥させる時間をはさんで複数回に分けて前記マスクインクを塗布する、請求項3から6のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法。
【請求項9】
少なくとも、基板表面の一部の領域に、請求項1から8のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて拡散防止マスクを形成する工程を含む、太陽電池の製造方法。
【請求項10】
基板上に形成した拡散防止マスクを用いる太陽電池の製造方法であって、
基板表面の一の領域に、請求項1から9のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて第1拡散防止マスクを形成する工程と、
前記第1拡散防止マスクが形成されていない部分の基板表面にn型ドーパントを拡散させることにより、n型拡散層を形成する工程と、
前記第1拡散防止マスクを除去する工程と、
基板表面の他の領域に、請求項1から9のいずれかに記載の拡散防止マスクの形成方法を用いて第2拡散防止マスクを形成する工程と、
前記第2拡散防止マスクが形成されていない部分の基板表面にp型ドーパントを拡散させることにより、p型拡散層を形成する工程と、
前記第2拡散防止マスクを除去する工程と、
前記n型拡散層および前記p型拡散層が形成された基板の表面に、コンタクトホールが設けられたパッシベーション膜を形成する工程と、
前記パッシベーション膜の上部および前記コンタクトホール内に、前記n型拡散層に電気的に接続されるn型電極および前記p型拡散層に電気的に接続されるp型電極からなる裏面電極を形成する工程と
を備える、太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−119341(P2011−119341A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273458(P2009−273458)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】