説明

指圧用組成物

【課題】本発明は、適量を指に取りやすく、べたつかず、摩擦が強いことにより肌上に塗布した時に指が滑ることなく、マッサージや指圧などを行なう際に指に取ると的確に力を伝えることのできる、滑り止め効果に優れる指圧用組成物に関するものである。
【解決手段】本発明は、25℃において、2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(引き抜き荷重)の最大値が20〜63gである油ゲルよりなる指圧用組成物に関し、更に、この油ゲルが、成分(a)液状油及び/又はペースト状油と成分(b)油ゲル化剤を含んでなる指圧用組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の指圧用組成物は、肩、腕、手の平、顔、脚、頭皮などの指圧や身体のツボを押す際に使用し、指と肌とが密着して、肌に力を伝えることのできる組成物であり、本発明は、25℃において、2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(引き抜き荷重)の最大値が20〜63gである油ゲルよりなる指圧用組成物に関し、詳しくは、適量を指に取りやすく、べたつかず、摩擦が強いことにより肌上に塗布した時に指が滑ることなく、マッサージや指圧などを行なう際に指に取ると的確に力を伝えることのできる、滑り止め効果に優れる指圧用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油ゲルよりなる組成物で、肌に適用するものとしては、例えば油性化粧料があるが、これは、液状油やペースト状油、ゲル化剤等を主骨格として構成されており、様々な使用感や化粧効果を得る為に、これらの配合量や成分を変える検討がなされてきた。そして、口紅などのメイクアップ化粧料や、マッサージ用化粧料などのスキンケア化粧料として利用されてきた。
【0003】
メイクアップ化粧料の場合、化粧効果や安定性などの基本品質に加え、塗布時に均一にのび広がるように、のびの良さや滑らかさなどの使用性も求められ、これら品質を具現化する為に、様々な研究が行なわれてきた(例えば、特許文献1、2参照)。また、スキンケア化粧料の場合、多くは肌上を滑らせるように塗布するものであり、滑らかな使用感が望まれるものである。中でもマッサージ用化粧料は、スムーズにマッサージが行なえるように指と肌の摩擦を抑える目的で用いられる為、特に滑らかさが求められ、これまで様々な検討がなされてきた(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−269761号公報
【特許文献2】特開2001−019613号公報
【特許文献3】特開2002−370928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、肌に適用する油ゲルよりなる組成物は、塗布時の滑らかさが重要とされていた。しかしながら、さするようなマッサージではなく、ツボを押すようなマッサージの時に摩擦を抑える化粧料を用いると、指が肌上を滑ってしまい力を加えることができないものであった。その為、通常指圧などは素手で行なうが、それでも、力を込めるとやや滑ってしまう為、力を的確に伝えることが難しかった。
【0006】
従来技術においては、摩擦を軽減し、滑らかな使用感を具現化するものの検討はされていたが、逆に摩擦を増す効果を発揮するような組成物は、検討されていなかった。そこで、例えばツボを押すようなマッサージを行なう際に、指が滑らず軽い力でも的確にマッサージ箇所に力を伝えることができ、マッサージ効果を高めることのできる、従来とは逆の滑り止め効果の高い指圧用組成物の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の引き抜き荷重を有する油ゲルよりなる組成物とすると、適量を指に取りやすい硬度となり、摩擦を高めるがそれでいてべたつかない為、肌に適用した時に心地よさが損なわれず、マッサージや指圧などを行なう際に、的確に力を伝えることのできる、滑り止め効果に優れる指圧用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、25℃において、2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(引き抜き荷重)の最大値が20〜63gであることを特徴とする油ゲルよりなる指圧用組成物に関するものである。
更に、この油ゲルが、成分(a)液状油及び/又はペースト状油と成分(b)油ゲル化剤とを含んでなる指圧用組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の指圧用組成物は、適量を手に取りやすい硬度であり、摩擦を高めるがべたつかず、マッサージや指圧などを行なう際に、的確に力を伝えることのできる、滑り止め効果に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の指圧用組成物は、25℃において、2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(以下、単に「引き抜き荷重」と表すことがある。)の最大値が20〜63gである油ゲルよりなるものである。引き抜き荷重は、TA.XTplus TEXTURE ANALYZER(Stable Micro Systems社製)を用いて測定することができる。
本発明の指圧用組成物は、肩、腕、手の平、顔、脚、頭皮などの指圧や身体のツボを押す際に使用する組成物であるが、従来の肌に使用するものは、塗布時にはなるべく肌との抵抗のないものであった。ところが本発明は、従来のものとは異なり、塗布時に肌と指が密着して、指で力を加える際に滑り止めの効果が得られるものであるため、組成物の引き抜き荷重を測定することにより、限定した。
引き抜き荷重の最大値が20〜63gであると、適量を指に取りやすく、肌と指の間の摩擦を高めるが、べたつきは感じることはなく、肌に適用した時に心地よさが損なわれず、マッサージや指圧などを行なう際に、的確に力を伝えることのでき、滑り止め効果に優れる指圧用組成物を得ることができ、更に好ましい引き抜き荷重の最大値は、30〜60gである。
【0011】
本発明の油ゲルは、固形状、半固形状、液状の油や油溶性化合物である油性成分を連続相とする実質的に水を含まないものである。
本発明の油ゲルは、成分(a)液状油及び/又はペースト状油と成分(b)油ゲル化剤とを含むと、引き抜き荷重の最大値を20〜63gにした時に、適量を指に取りやすく、べたつきがなく、滑り止め効果に優れ、心地よい指圧感を得ることができるため好ましい。
【0012】
本発明に用いられる、成分(a)液状油及び/又はペースト状油としては、肌に適用できる液状、又はペースト状の油性成分であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、エステル油類、炭化水素類、油脂類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等を使用することができる。
具体的には、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ジグリセリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、ホホバ油等のエステル類、ポリブテン、ポリイソブチレン、重質流動イソパラフィン、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレンの炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類が挙げられる。
【0013】
中でも25℃で粘度250〜2,000mPa・sであるエステル油(a1)を含有すると、滑り止め効果の高さ、べたつきのなさの点で望ましい。例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリルなどが挙げられる。
尚、本願発明において、粘度は、25℃において、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて、800mPa・s以下のものは1号ローターで、800〜4,000mPa・sのものは2号ローターで、4,000〜16,000mPa・sのものは3号ローターで、16,000mPa・s以上のものは4号ローターをそれぞれ用い、6回転、1分後の粘度値を測定した。
更に、(a1)のエステル油剤に関しては、更に分子内に水酸基を有するものを含有すると、滑り止め効果が格段に向上し、より望ましいものとなる。例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリルなどが挙げられる。市販品としては、例えば、コスモール222、コスモール43V(いずれも日清オイリオグループ社製)などが挙げられる。
【0014】
また、25℃で粘度8,000〜30,000mPa・sである油剤(a2)を含有すると、滑り止め効果の高さと手に取りやすい適度な硬度となる点で好ましい。例えば、ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの脂肪酸とのエステル化物、ダイマー酸の重合物と脂肪酸とのエステル油、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、ポリブテン、ポリイソブチレン、重質流動イソパラフィンなどが挙げられる。市販品としては、例えば、LUSPLAN DA−DD−IS、PLANDOOL−S(いずれも日本精化社製)、エステロールPT−ISHV(ナショナル美松社製)、パールリーム18(日油社製)などが挙げられる。
成分(a)液状油及び/又はペースト状油は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができるが、(a1)のエステル油と(a2)の油剤を併用すると、滑り止め効果の高さ、べたつきのなさ、手に取りやすい適度な硬度となる点でより好ましいものとなる。
【0015】
成分(a)液状油及び/又はペースト状油の油ゲル中の含有量は35〜90質量%(以下、単に「%」と示す。)が好ましく、特に好ましくは20〜30%である。この範囲であれば、成分(b)の油ゲル化剤と組み合わせた時に手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点で好ましい。
成分(a)において、(a1)のエステル油と(a2)の油剤のそれぞれの含有量は特に限定されないが、油ゲル中において、(a1)のエステル油を10〜89%、(a2)の油剤を1〜25%含有するのが好ましく、特に好ましくは(a1)のエステル油が20〜88%、(a2)の油剤が2〜15%である。この範囲であれば、手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点やべたつきのなさ、滑り止め効果の高さの点で好ましい。
【0016】
本発明に用いられる、成分(b)油ゲル化剤としては、肌に適用できる油ゲル化剤であれば特に限定されず、デキストリン脂肪酸エステル、固形油、ショ糖脂肪酸エステル、煙無状無水ケイ酸、金属石鹸等が挙げられる。その中でも特にデキストリン脂肪酸エステル、固形油が、手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点やべたつきのなさ、滑り止め効果の高さの点で好ましい。
【0017】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリンなどが挙げられる。この中でも特に、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンが使用性や安定性などの点でより好ましい。市販品としては、例えば、千葉製粉社製のレオパールKL2、レオパールTL2、レオパールTT2、レオパールMKL2(いずれも千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0018】
成分(b)油ゲル化剤の含有量は、ゲル化剤の種類によって異なるが、デキストリン脂肪酸エステルの場合は、油ゲル中に15〜35%が好ましく、特に好ましくは20〜30%である。この範囲であれば、手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点やべたつきのなさ、滑り止め効果の高さの点で好ましい。
【0019】
固形油としては、融点35℃以上の油性成分で、例えば炭化水素、ロウ、硬化油、高級脂肪酸、樹脂、高級アルコール、シリコーンワックス等が使用できる。具体的には、例えば、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、硬化ヒマシ油、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベへニン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ステアロキシ変性オルガノポリシロキサンなどが挙げられる。市販品としては、例えば、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)等が挙げられる。
【0020】
固形油の場合は、油ゲル中に10〜25%が好ましく、特に好ましくは10〜20%である。この範囲であれば、手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点やべたつきのなさ、安定性の点で好ましい。
【0021】
煙無状無水ケイ酸としては、粒径は特に限定されないが、使用時の滑らかな密着感、ムラ付きの無い均一な塗布膜を形成する点で、一次粒径は50nm以下が好ましく、20nm以下が特に好ましい。尚、本発明において、一次粒子の粒子径は、電子顕微鏡写真により測定した3000〜5000個の粒子の平均の値とする。市販品としては、例えば、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL 380S(いずれも日本アエロジル社製)、表面処理を施したものではAEROSIL R−972、AEROSIL R−974、AEROSIL R−976S(いずれも日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0022】
金属石鹸(界面活性剤金属塩粉末)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。市販品としては、例えば、日局ステアリン酸マグネシウムS(日油社製)等が挙げられる。
【0023】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。市販品としては、例えば、シュガーワックスS−10E(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
【0024】
煙無状無水ケイ酸、金属石鹸、ショ糖脂肪酸エステルの場合は、それぞれ油ゲル中に15〜35%が好ましく、特に好ましくは20〜30%である。この範囲であれば、手に取りやすい適度なゲルの硬度を保持する点やべたつきのなさ、滑り止め効果の高さの点で好ましい。
【0025】
成分(b)油ゲル化剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
成分(c)香料を含有することによって、リラックス効果がより向上する。香料の種類としては、ラベンダー、サイプレス、ラバンジン、オレンジ、ゼラニウム、ローズ、カモミール・ロマン、ローズマリーなどが挙げられ、中でもラベンダー、サイプレスがより効果が得られ好ましい。香料を油ゲル中に0.1〜30%含有すると、使用時に適度に香り、リラックス効果が高まる点で好ましく、特に0.5〜20%が好ましい。
【0027】
本発明の油ゲルには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記成分以外の各種成分、例えば界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、水性成分、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、褪色防止剤、消泡剤、粉体などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0028】
界面活性剤としては、肌上に適用できる界面活性剤であれば特に限定されず、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。更に、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
また、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
【0029】
粉体としては、球状、板状、針状等の形状や煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、あるいは多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を使用することがでる。具体的な粉体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末等の光輝性粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等の樹脂積層末のラメ剤、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等を例示することができる。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0030】
本発明の指圧用組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、110℃で溶解した成分(a)、(b)、及び必要に応じて他の成分を混合した後、容器に充填して冷却することにより得ることができる。
【0031】
本発明の指圧用組成物は、引き抜き荷重の最大値が20〜63gの油ゲルよりなり、香りを楽しみながら指圧やマッサージを行う練り香水とすることもできる。
【0032】
本発明の指圧用組成物を使用する場所は特に限定されるものではなく、例えば指圧を行なう際は、指に指圧用組成物をとり、肩、腕、手の平、顔、脚、頭皮など任意の部位に塗布して指圧を行なうことができる。
【0033】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0034】
(実施例1〜10及び比較例1〜3)指圧用バーム
表1に示す処方及び下記に示す製造方法により、指圧用バームを製造した。得られた各指圧用バームについて、官能評価により滑り止め効果、適度に取れる硬さ、べたつきのなさ、指圧感を評価しその結果と、引き抜き荷重を測定しその値とを併せて表1に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
*1:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*2:PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*3:シュガーワックスS−10E(第一工業製薬社製)
*4:コスモール43V(日清オイリオグループ社製)
*5:LUSPLAN DA−DD−IS(日本精化社製)
*6:PLANDOOL−S(日本精化社製)
*7:パールリーム18(日油社製)
(製造方法)
A:成分1〜11をよく攪拌した後、90〜110℃にて加熱溶解し、均一に混合する。
B:Aに成分12を加え、混合する。
C:Bを脱泡後、90〜110℃まで加熱溶解し、成分13を加え均一に混合後、90〜100℃でジャー容器に充填し、室温にて冷却固化して、指圧用バームを得た。
【0037】
(評価)
1.官能評価
(イ)滑り止め効果、(ロ)適度に取れる硬さ、(ハ)べたつきのなさ、(ニ)指圧感について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。尚、表1には判定結果とともに、平均値を記載した。
(評価方法)
試料を親指に取った後、自分自身の前腕内側の中心線上で、手首の曲がり目から約6cm肘よりの位置(ツボの名称:内関)と、肘を曲げたときにできるしわの外端の位置(親指側のくぼみ)(ツボの名称:曲池)の2箇所について指圧を行い評価した。
ここで、評価項目(イ)の滑り止め効果は、使用時に指が腕の指圧したい箇所に密着し、力を加えても滑ることがないかどうかを評価した。(ロ)については、試料を指に取る際、試料表面をなでた時に適度な量を指にとることができるか、柔らかくて指に取れすぎないかどうかを評価した。
(評価項目)
(イ)滑り止め効果
(ロ)適度に取れる硬さ
(ハ)べたつきのなさ
(ニ)指圧感
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) (判定)
5点を超える :非常に優れる:◎
3点を超えて5点以下:優れる :○
1点を超えて3点以下:劣る :△
1点以下 :非常に劣る :×
【0038】
2.測定
(ホ)引き抜き荷重
引き抜き荷重は、25℃において、試料に2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(引き抜き荷重)の最大値を測定した。
測定機器:TA.XTplus TEXTURE ANALYZER(Stable Micro Systems社製)
針:2mm Needle Stainless(Stable Micro Systems社製)
試料:各サンプルを直径3.8cmの樹脂ジャー容器に約1cmの厚みになるように充填した。
【0039】
表1から明らかなごとく、本発明の実施例1〜10は、使用時に滑り止め効果が得られ、適度に取れる硬度を持ち、べたつきが低く、心地よい指圧感が得られるものであった。
特に実施例1及び2に関しては、必要量を取るのに非常に適した硬さであり、取れすぎて滑りやべたつきの原因になることは全くなかった。また、適量を手に取り肌に塗布した際のべたつきは最も低く、滑り止め効果の非常に高いものであった。
一方、引き抜き荷重が20gを下回った比較例1では、滑り止め効果が非常に弱く、柔らかい為必要以上に手に取れすぎ、塗布後にべたつきの残るものであった。指圧する際に指が動き指圧感も得られなかった。
同様に引き抜き荷重が20gを下回った比較例2では、滑り止め効果が非常に弱く、またべたつきの残るものであった。指圧する際に指が動き指圧感も得られなかった。
引き抜き荷重が63gを上回った比較例3では、滑り止め効果は非常に高いが、べたつきの残るものであった。指圧感は得られたが、べたつきのため心地よさは半減した。
【0040】
(実施例11)指圧用バーム(肌色タイプ)
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン*1 25
2.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル*4 20
4.ポリブテン*8(粘度:18,520mPa・s) 5
5.ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル*5 5
6.煙霧状無水ケイ酸*9 4
7.ジメチルポリシロキサン(20mm/S:25℃) 0.5
8.防腐剤(フェノキシエタノール) 0.3
9.酸化鉄 0.01
10.酸化チタン 0.05
11.香料(ローズマリータイプ) 1
*8:精製ポリブテンHV−100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*9:AEROSIL R−972(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A:成分1〜5をよく攪拌した後、100℃にて加熱溶解し、混合する。
B:Aに成分6〜10を加え、均一に分散する。
C:Bを脱泡後、100℃まで加熱溶解し、成分11を加え均一に混合後、100℃でジャー容器に充填し、室温にて冷却固化して、指圧用バームを得た。
実施例12の指圧用バームをこめかみに用い、実施例1〜10と同様に、評価を行ったところ、使用時に滑り止め効果が得られ、適度に取れる硬度を持ち、べたつきがなく、心地良い指圧感が得られるものであった。引き抜き荷重値は45.6gであった。
【0041】
(実施例12)指圧用練り香水
(成分) (%)
1.(エチレン/プロピレン)コポリマー*10 15
2.リンゴ酸ジイソステアリル 残量
3.トリイソステアリン酸ジグリセリル*4 20
4.水添ポリイソブテン*7 2
5.ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル*5 3
6.煙霧状無水ケイ酸*9 2
7.ジメチルポリシロキサン(20mm/S:25℃) 0.5
8.防腐剤(1,2−ペンタンジオール) 0.3
9.香料(サイプレス) 10
*10:EP−700(ニューフェーズテクノロジー社製)
(製造方法)
A:成分1〜5を110℃にて均一に混合する。
B:Aに成分6〜8を加え、均一に分散する。
C:Bを脱泡後、110℃まで加熱溶解し、成分9を加え均一に混合した後、ジャー容器に充填し、室温にて冷却固化して指圧用練り香水を得た。
実施例12の練り香水を両耳の下や頭皮に用い、実施例1〜10と同様に、評価を行ったところ、使用時に滑り止め効果が得られて密着性が高く、適度に取れる硬度を持ち、べたつきがなく、心地良い指圧感が得られるものであった。さらに、使用中に良い香りもして、リラックスした気分になることができた。引き抜き荷重値は38.5gであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃において、2mm径の金属針を8mm差し込み、20mm/secの速度で引き抜く際にかかる荷重(引き抜き荷重)の最大値が20〜63gであることを特徴とする油ゲルよりなる指圧用組成物。
【請求項2】
請求項1記載の油ゲルが、成分(a)液状油及び/又はペースト状油と成分(b)油ゲル化剤とを含んでなることを特徴とする請求項1記載の指圧用組成物。
【請求項3】
前記成分(a)液状油及び/又はペースト状油が、25℃で粘度250〜2,000mPa・sであるエステル油(a1)を含有することを特徴とする請求項2記載の指圧用組成物。
【請求項4】
前記成分(a)液状油及び/又はペースト状油が、25℃で粘度8,000〜30,000mPa・sである油剤(a2)を含有することを特徴とする請求項2記載の指圧用組成物。
【請求項5】
前記成分(a)液状油及び/又はペースト状油が、25℃で粘度250〜2,000mPa・sであるエステル油(a1)及び25℃で粘度8,000〜30,000mPa・sである油剤(a2)を含有することを特徴とする請求項2記載の指圧用組成物。
【請求項6】
前記(a1)のエステル油が、分子内に水酸基を有することを特徴とする請求項3又は5記載の指圧用組成物。
【請求項7】
前記成分(b)油ゲル化剤が、デキストリン脂肪酸エステル及び/又は固形油であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の指圧用組成物。
【請求項8】
前記成分(b)油ゲル化剤の配合量が、10〜35質量%であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の指圧用組成物。
【請求項9】
更に成分(c)香料を0.1〜30質量%含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の指圧用組成物。

【公開番号】特開2010−280618(P2010−280618A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135568(P2009−135568)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】