説明

指圧装置

【課題】施療部を身体に安定して当接でき、音響信号の変化に基づいてソレノイドの駆動を制御することで、操作が簡単で、かつ心地よい刺激を行うことを可能とした指圧装置を提供する。
【解決手段】ケース部と、前記ケース部内に収納されたソレノイドと、前記ソレノイドの内孔に磁石体の心棒を往復動可能に挿入し、前記ケース部の片側には、前記心棒の一端部が突出する開口部を設け、前記心棒の一端部側には、被施療部周辺に当接させる当接部と、被施療部に刺激を与える施療部とを有し、前記施療部の身体当接面は、前記当接部の身体当接面よりも小さくなるように構成され、音響信号の変化に基づいて前記ソレノイドの駆動を制御することで、前記施療部が被施療部を刺激する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響信号に基づいた心地よい刺激を行うことを可能とした指圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソレノイドを駆動手段とした施療部によって、被施療者の人体に押圧刺激を行うことを可能とした経穴等刺激治療器が知られている。(例えば、特許文献1)
また、音響信号の変化に基づいてマッサージ部を動作させるマッサージ機が知られている。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平3−10760号公報
【特許文献2】特許第4598713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示された経穴等刺激治療器においては、ソレノイドへの通電により、ソレノイドの内孔に挿入された心棒が振動することで、心棒の先端が身体に当接してマッサージ作用を及ぼすことができるが、心棒の先端が先細部であり、身体との当接面が狭く不安定なため、施療中はケース部を手などでしっかりと支えていなければならず、操作が不便である。
また、手動によるスイッチのオン・オフの切り替えによりソレノイドへの通電が行われるため、スイッチがオンのままでは、単調な刺激しか行うことができず、リズミカルな刺激を行いたい場合は、スイッチのオン・オフの切り替えを施療者が任意で行わなければならないため、操作が不便であり、心地よい刺激を行うことができない。
また、上記特許文献2に開示されたマッサージ機においては、ソレノイドの駆動により動作する施療部が、音響信号の変化に基づいてマッサージ動作するマッサージ機が開示されているが、施療部の身体当接面が大きいため、局所的な刺激を行うことができない。
【0005】
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、施療部を身体に安定して当接することができ、また、音響信号の変化に基づいてソレノイドの駆動を制御することで、操作が簡単で、かつ心地よい刺激を行うことを可能とした指圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケース部と、前記ケース部内に収納されたソレノイドと、前記ソレノイドの内孔に往復動可能に挿入した磁石体の心棒と、前記ケース部の片側に設けられた開口部と、被施療部周辺に当接させる当接部と、前記心棒の一端部側に設けられた施療部とを有し、前記施療部の身体当接面は、前記当接部の身体当接面よりも小さくなるように構成され、音響信号の変化に基づいて前記ソレノイドの駆動を制御することで、前記施療部が、被施療部を刺激することを特徴とする。
このような構成とすることにより、当接部によって、施療部を被施療部に安定して当接できることで、ソレノイド駆動による敏速な刺激を、被施療部に対して略垂直に伝えることができる。さらに、施療部による刺激が一定ではなく、音響信号の変化に基づいて動作することで、音楽に合わせた心地よい刺激を行うことができる。
【0007】
また、前記施療部は、磁性体を備えていることが好ましい。
このような構成とすることにより、押圧による刺激効果のみでなく、磁気体による磁気治療が施せることで、より効果の高い施療を行うことができる。
【0008】
また、前記施療部は、取替え可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、施療部の形状によって、様々な押圧を行うことができる。
【0009】
また、前記ケース部は、被施療部に固定できるよう、固定部を設けていることが好ましい。
このような構成とすることにより、手でケース部を支える必要がないため、リラックスした体勢で施療を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、施療部を身体に安定して当接することができ、また、音響信号の変化に基づいてソレノイドの駆動を制御することで、操作が簡単で、かつ心地よい刺激を行うことを可能とした指圧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る指圧装置の全体の概観略図である。
【図2】指圧装置の構成を示すブロック図である。
【図3】指圧器の外観図である。
【図4】指圧器を別方向から見た外観図である。
【図5】(a)は非励磁状態のソレノイドを示す外観図であり、(b)はそのG−G線における断面図である。
【図6】(a)は励磁状態のソレノイドを示す外観図であり、(b)はそのL−L線における断面図である。
【図7】指圧器内部の図である。
【図8】巻きつけタイプの固定部を備えた指圧装置の外観図である。
【図9】制御回路内で調整された音響信号の波形図である。
【図10】把持部を備えた指圧装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の指圧装置1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る指圧装置1の全体の概観略図であり、図2は指圧装置1の構成を示すブロック図であり、図3は指圧器2の外観図であり、図4は指圧器2を別方向から見た外観図であり、図5は非励磁状態のソレノイドを示す外観図(a)と、そのG−G線における断面図(b)であり、図6は励磁状態のソレノイドを示す外観図(a)と、そのL−L線における断面図(b)であり、図7は指圧器2の内部の図であり、図8は巻きつけタイプの固定部28を備えた指圧装置1の外観図であり、図9は制御回路内で調整された音響信号の波形図であり、図10は把持部50を備えたハンディタイプの指圧装置1の外観図である。
【0013】
[全体構成]
図1に示すとおり、本発明の指圧装置1は、指圧器2と、指圧器2への各種操作を行う操作部3と、操作部3に備えられた音響信号を得るための外部入力端子4と、外部入力端子4に電気的に接続されて音響信号を生成する音源装置5と、音源装置5に電気的に接続されて音声を出力する音声出力装置6とから構成されている。また、図2に示すとおり、操作部3には、指圧器2内のソレノイド30の駆動を音響信号の変化に基づいて制御する制御回路10(図2参照)が設けられている。
【0014】
[指圧器の構成]
以下、指圧器2の構成について説明する。図3及び図4に示すとおり、指圧器2は、ケース部20と、固定部28に設けられた開口部22と、被施療部周辺に当接させる当接部24と、被施療部に刺激を与える施療部26から構成されている。なお、当接部24は、ケース部底面20aと、固定部28から構成されている。
また、図5及び図6に示すとおり、指圧器2のケース部内には、コイルに電流を流すことにより交番磁界を発生させるソレノイド30と、ソレノイド30の内孔に往復動可能に挿入された磁石体の心棒32が配置されている。心棒一端部32aには取付け部34が嵌合されており、取付け部34を介して心棒32の駆動が施療部26に伝わるように構成されている。
【0015】
図7に示すとおり、ソレノイド30は、心棒32が貫通する程の貫通孔36を有したコの字型のカバー部38を有しており、心棒32はカバー部38を貫通して配置されている。心棒他端部32bの径はカバー部38の貫通孔36の径よりも大きく構成されており、心棒32は軸方向に所定範囲内で往復動するよう規制されている。また、カバー部38の貫通孔を有していない面と、ケース部20の側面とがネジ止めされており、ケース部内にソレノイド30が固定されている。
【0016】
[施療部の構成]
以下、心棒一端部32aに嵌合された取付け部34と、施療部26の構成について説明する。図5に示すとおり、施療部26は、取付け部34に嵌合して取付けられており、施療部26の身体当接面は当接部24の身体当接面よりも小さくなるように構成されている。また、施療部26は、被施療者の好みに合わせて取替えることが可能であり、施療部26の形状としては、先端に向かって細くなる針状のものや、先端部が丸い突起状のもの、先端部が平面状のものなどが考えられる。取替え方法は、取付け部34から施療部26のみを取替える方法や、施療部26と取付け部32をまとめて、心棒一端部32aに対して取替える方法でもよい。
【0017】
施療部26は永久磁石などから構成され、被施療部に対して、押圧刺激のみでなく、磁気治療の効果も与えることができる。また、施療部26は、単に鉄心などから構成されるものでもよい。本実施形態では、固定部28は粘着性を有するシートにより構成されており、被施療部に取付けやすく、施療中でもずれにくい構成となっている。
また、固定部28は、図8に示すとおり、被施療部に巻きつけるタイプの固定バンドでもよく、ケース部20には、固定バンドを通す通し穴40を設けておく。固定バンドとしては、面ファスナーやベルト、輪状のゴムなどが考えられる。これにより、粘着性を有するシートと同様、被施療部に取付けやすく、施療中でもずれにくい構成となっている。このように、指圧器2に固定部28を設けることで、被施療部のいかなる面に対しても指圧器2を容易に取り付けることができる。
【0018】
[制御回路の構成]
以下、制御回路10について説明する。
図1に示すとおり、指圧器2の操作部3には、外部入力端子4を備え、外部入力端子4に接続された音源装置5(オーディオ装置、マイク等)から音響信号を得る。また、音源装置5には、音源装置5からの音を出力する音声出力装置6が接続されており、被施療者は音楽を聴きながらリラックスして施療を行うことができる。なお、音響信号は、外部入力端子4からではなく、指圧器2に楽曲再生器やリズムパルス発生器を備え、それから音響信号を得ても良い。
【0019】
制御回路10は、特許文献2に開示されているように、音響信号が所定のしきい値を超えた場合を、マッサージ動作状態とする。図2に示すとおり、音源装置5から得た音響信号は、制御回路10内の増幅器及び整流器によって、図9に示すような音響信号に調整される。そして、調整された音響信号が所定のしきい値を超えた場合、マッサージ動作が開始するように制御され、制御回路10が生成したマッサージ動作制御信号は、ソレノイド30に与えられる。ソレノイド30にマッサージ動作制御信号が入力されると、ソレノイド30が励磁駆動されて、施療部26は図6に示す状態となるよう被施療部側へ前進する。
【0020】
音響信号が所定のしきい値を超えない場合は、マッサージ動作制御信号は生成されず、ソレノイド30が非励磁状態となり、施療部26は皮膚弾性によって元の状態(図5に示す状態)に戻る。
このような音響信号の変化によって、施療部26は前進状態(図6)と後退状態(図5)を繰り返し、被施療部にリズミカルな押圧刺激を与える。
【0021】
また、操作部3には、音響信号の増幅度合いを調節する感度調節スイッチを設けてもよい。感度調節スイッチを調節することにより、図9に示した所定のしきい値を変更することができるため、マッサージ動作状態とする音響信号のレベルを調節して押圧刺激に変化を与えることができる。すなわち、しきい値を高く設定するとマッサージ動作状態となる回数が少なくなり、しきい値を低く設定するとマッサージ動作状態となる回数が多くなる。
【0022】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、指圧器2が把持部50と一体型となったハンディタイプでもよい。この場合、図10に示すとおり、指圧器2は、把持部50と反対側の先端に嵌め込まれており、把持部側に操作部3と外部入力端子4(図示せず)を設けている。このようなハンディタイプでは、背中や肩の裏など、手の届きにくい場所にも、人手を借りず簡単に押圧刺激を与えることが可能である。
音響信号としては、音楽に限らず、どのような音響信号であってもよく、また、音響信号に関連した動作だけでなく、通常のソレノイド駆動による単調な押圧刺激を行う通常モードを設けていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、施療部が音響信号の変化に基づいて動作することで、音楽に合わせた心地よい刺激を行うことを可能とした指圧器に適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 指圧装置
2 指圧器
3 操作部
4 外部入力端子
5 音源装置
6 音声出力装置
10 制御回路
20 ケース部
20a ケース部底面
22 開口部
24 当接部
26 施療部
28 固定部
30 ソレノイド
32 心棒
32a 心棒一端部
32b 心棒他端部
34 取付け部
36 貫通孔
38 カバー部
40 通し穴
50 把持部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部と、
前記ケース部内に収納されたソレノイドと、
前記ソレノイドの内孔に往復動可能に挿入した磁石体の心棒と、
前記ケース部の片側に設けられた開口部と、
被施療部周辺に当接させる当接部と、
前記心棒の一端部側に設けられた施療部と、を有し、
前記施療部の身体当接面は、前記当接部の身体当接面よりも小さくなるように構成され、
音響信号の変化に基づいて前記ソレノイドの駆動を制御することで、前記施療部が、被施療部を刺激する指圧装置。
【請求項2】
前記施療部は、磁性体を備えていることを特徴とした請求項1に記載の指圧装置。
【請求項3】
前記施療部は、取替え可能であることを特徴とした請求項1または2に記載の指圧装置。
【請求項4】
前記ケース部は、
被施療部に固定できるよう、固定部を設けていることを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の指圧装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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