説明

指挟み防止折戸及び指挟み防止折戸専用の蝶番

【課題】確実に扉体の内側端部間の隙間での指挟みを防止でき、しかも折戸自体のデザインに影響を与え難い指挟み防止折戸を提供する。
【解決手段】開状態から第一扉体の内側端部裏側コーナー部21cと第二扉体の内側端部裏側コーナー部22c間を許容値以下に保持した状態で回転して第一扉体21と第二扉体22とのなす角度を略90度とし、第一扉体の内側端部21aと第二扉体の内側端部裏側コーナー部22c間を許容値以下に保持した状態で移動するように第二扉体22が第二軸34を中心に回転し、第一扉体の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体の内側端部裏側コーナー部22c間を許容値以下に保持した状態で第二扉体22が第三軸35を中心に回転して、第一扉体の内側端部21aと第二扉体の内側端部裏側コーナー部22c間を許容値以下に保持した状態で移動するように第二扉体22が第四軸23を中心に回転して、閉状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚の扉体の内側端部同士が蝶番で連結され、折り畳みにより開閉自在の折戸及び折戸専用の蝶番に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般住宅のクローゼット等の収納では従来の襖に代表される引戸式の扉に代わって、「折戸」と称される折畳み式の扉を使用する例が増えている。
このような折戸は、二枚の扉体の内側端部同士を一軸からなる蝶番で連結することで折り畳み自在となっており、これに用いられる蝶番は、一般のドア等に広く使用されているものである。
従来からの引戸では通常、開状態において一方の扉体に他方の扉体が重なるため一度に1/2(扉体一枚分)しか開口できない欠点を有するのに対し、折戸は開状態においてガイドレールに略垂直に折り畳まれ、収納内部が全開放状態となるので、内容物の確認や収納が容易といった特徴がある。
つまり、折戸は、通常の引戸と異なり、開放時に扉体が重ならず、開口部が極めて広く取れるので、特にクローゼット等の収納用の扉として好都合である。更に、この特徴を利用して、部屋間の可動間仕切りに使用する例もある。
【0003】
ところで、折戸には以上のような特徴があるものの、図12(a)に示すように、扉体11,12の内側端部裏側11b,12bに蝶番13が取付けられているので、開閉時、特に折り畳んだ開状態において、扉体11,12の内側端部11a,12aが開閉者の正面に位置し、必然的に指Yが危険な扉体11,12の内側端部11a,12aに触れる可能性が高くなる。この扉体11,12の内側端部11a,12aに指Yが触れた状態で折戸10を閉状態にすると、図12(b)に示すように、扉体11,12の内側端部11a,12a同士で指Yが挟まれてしまう。特に開閉者が幼児の場合、指Yが小さいので、危険な隙間に挟まる恐れが一層大きくなる。
【0004】
このように、折戸10には指挟みの危険性がある事から、(社)日本建材・住宅設備産業協会では「内装用折戸の製品安全指針」が示されており、許容値として扉体の内側端部11a,12a同士の隙間を常に指が入らない5ミリ未満とするか、指のサイズよりも大きい13ミリ以上とすることが求められている。したがって、各社からこの指針に準拠した、扉体間の隙間が5〜13ミリにならないような各種蝶番や取付け方法が開発されている。
【0005】
そのうち、従来例1としては、図13に示すように、扉体11,12の内側端部表側11c,12cに大きな欠除部(面取)14を設けて、指Yを挟んでしまう扉体11,12の内側端部11a,12aを最小とするものがある(例えば、特許文献1乃至3参照)。
この方法は基本的に従来の蝶番13をそのまま又は若干の改良を行う程度での使用が可能で、欠除部14は直線状又は曲面状の面加工を行う。
指Yが最も挟まり易い部分(蝶番13の無い側)を減少させる事で、一定の効果が期待できる。
【0006】
従来例2として、折戸10が閉状態となった際に生じる隙間を覆う板状、蛇腹状その他の覆い部材を、扉体11,12の内側端部11a,12aが完全に覆われるように取付けて、隙間に指先が入り込まないようにする方法がある(例えば、特許文献4乃至6参照)。
また、裏面の蝶番13取付け部分付近の、幅が5〜13ミリの隙間を塞ぐ部材を用いる場合もある(例えば、特許文献7及び8参照)。
この方法は、危険な部分を覆うことによって隙間に手が入らなくなるので、安全性が高い。また、従来の扉体11,12に後から付加的に取り付けが可能なタイプを用いれば、既存折戸10の改修も可能である。さらに、覆い部材は安価で、交換も比較的容易なので、使用者自ら安全対策を行うこともできる。
【0007】
また、従来例3としては、扉体11,12の内側端部11a,12aにゴム等の軟質材を取付け、扉体11,12同士の隙間を軟質材で充填したものがある(例えば、特許文献9及び10参照)。
この発明によると、閉状態となるときに扉体11,12の内側端部11a,12a間に指Yが挟まっても軟質材の方が変形するので、指Yを傷つけない。また、折戸10の閉状態では、一見すると扉体11,12表面に隙間やハンドル、面取り等の凹凸の無い平坦な仕上がりとする事も可能で、平坦なデザインを要求される場合に有効である。
【0008】
また、従来例4として、隣接する扉体11,12の隙間を、常時指Yのサイズよりも広くしたものや、隙間自体を発生させないものがある(例えば、特許文献11乃至13参照)。
特許文献11に記載の発明では、二軸構造の蝶番等を用いる事で扉体11,12間の隙間を広く確保している。
特許文献12に記載の発明では、閉状態から開状態とするときに手を掛けて引くための手掛り部を扉体11,12の内側端部11a,12aに設けている。つまり、扉体11,12の隙間に指Yを入れることを前提として、隣接する扉体11,12の隙間を広く取っている。
隙間のサイズが指Y以上なので、挟まれる可能性は皆無で、指Yを2本重ねるといった、故意に近い事を行なわない限り、通常の使用では、指Yが挟まれる危険性は殆ど無い。なお、この隙間が目立つ場合には、従来例3に使用したような軟質材を充填して隙間を隠蔽する事も考えられる。
また、特許文献13に記載の発明では、縁材と蝶番13を一体化した部材を用いて、危険な隙間自体を発生させない構造としている。
【0009】
従来例5として、危険な扉体11,12の内側端部11a,12aに手が触れないように、ハンドル(把手、取手)を設けて、これを用いて開閉するように仕向ける方法である(例えば、特許文献14及び15参照)。
ハンドルがあれば、人は自然にそれを握るようになるので、ハンドルを正しく握って操作する限り、危険な部分に指Yが到達せず、危険性は大幅に低下する。又、ハンドルの形状によっては握り易く、開閉時に力を入れやすくなるので、開閉が容易になる効果もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平06−065594号公報
【特許文献2】実開昭52−005452号公報
【特許文献3】実公昭48−024679号公報
【特許文献4】特開2010−007427号公報
【特許文献5】特開平08−013933号公報
【特許文献6】特開平08−270313号公報
【特許文献7】特開2004−068375号公報
【特許文献8】特開2006−241867号公報
【特許文献9】特開平08−068269号公報
【特許文献10】特開平09−032428号公報
【特許文献11】特開2009−052365号公報
【特許文献12】特開2006−226079号公報
【特許文献13】特開2008−190142号公報
【特許文献14】特開平10−068271号公報
【特許文献15】特許第3061591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、大型の面取り加工や扉間隙間5〜13ミリを避けるような各種蝶番13や取付け方法を用いた場合、以下のような問題があった。
【0012】
(1)指挟み防止効果が低い
従来例1に示されたような大きな面取14は、一定の効果はあるものの、扉体11,12の内側端部11a,12aのうち面取されずに残された部分は、相変わらず指Yを挟む危険性を保ったままであり、完全な指挟み防止効果までは期待できない。
【0013】
従来例2の場合、覆い部材が適切な位置に正しく設置されている限りは十分な効果が期待されると考えられるが、設置費用を節約して、例えば日常手が当る高さ1〜1.5メートルの範囲だけに設置を限定した場合、これ以外の部分は危険なままで放置された事となる。又、蛇腹状の覆い部材は耐久性に乏しい場合が多く、特に5年、10年といった長期間の使用によって破損する可能性が極めて高い。
従来例3の場合、扉体11,12の内側端部11a,12aに取付けられた軟質材が過度に軟質だと形状が不安定となり易いので、硬めとしてしまう場合が多いが、硬すぎた場合は指Yを挟んだ際の怪我防止の効果が低下する。又、材質によっては低温や紫外線や化学薬品等の影響による劣化で柔軟性を喪失し、硬度が増して危険となる場合もある。
【0014】
従来例4の場合、指Yを2本重ねて隙間に入れるといった、故意に近い悪戯は大人ではあまり考えられないが、乳幼児では予想外の行動を取る場合もあるので、開状態から閉状態になるにつれ指Yの入る程度の隙間が次第に小さくなるという点が変わらない限り、完全に安全とはいえない。
また、大人の親指の爪は幅が13ミリ以上であるので、装飾の為に爪を伸ばしている場合には爪を隙間で挟む可能性がある。爪を伸ばしていなくても大人の親指の太さは20ミリ近くあるので、「安全」と称される範囲でも危険な場合もある。
従来例5のハンドルの場合でも、ハンドルのみ操作する限りは安全ではあるものの、ハンドル以外の部分は危険なままなので、不用意にハンドル以外に触れてケガをする恐れは依然として残されている。特に乳幼児はハンドルの意味を理解しないので、危険性に変わりは無い。
【0015】
(2)デザイン上の制約が大
従来例1に示されたような面取14において、大きな欠除部(面取)14が形成されるのは外観面であり、この部分が著しく目立つので、デザイン上の制約が増えてしまう。例えば、扉に凹凸の少ない平板状のデザインを採用したい場合、面取14があるとこの部分が目立ってしまってデザイン上の目的の達成は困難である。
従来例2のように板状、蛇腹状その他の覆い部材を用いたとき、扉体11,12自体が木製であると、扉体11,12と覆い部材との質感の相違が顕著で、銘木等高級材を用いた場合、デザイン面で破綻を生じてしまいがちである。
【0016】
従来例3はゴム等の軟質材を扉体11,12の内側端部11a,12aに使用しているが、このような軟質材表面を木質材部分と違和感無く同一デザインとするのは極めて困難である。又、軟質材は一般にサイズの精度が低く、光の加減によっては軟質材表面の微妙な凹凸が目立つ場合もある。
従来例4のように、指Yが入っても潰されないほど大きな13ミリ以上の隙間は、安全である半面、外観上深く大きな縦溝が極めて目立ってしまう。もちろん安全上、この溝を13ミリ以下に狭くする事は不可能である。又、扉体11,12と一体型の蝶番13では、開閉時に金具特有の金属製の側面が露出するので、扉体11,12自体が木製である場合、質感の相違が顕著で、銘木等高級材を用いた場合、デザイン面で破綻を生じてしまう恐れがある。
【0017】
従来例5のハンドルに関しても、ハンドルが極めて目立つので、デザイン上の制約が大である。又、ハンドルは基本的に扉体11,12表面から突出するので、例えば廊下壁面に収納を設ける場合は、衣服やカバン等がハンドルに引っ掛かってしまう可能性もある。
【0018】
(3)耐久性が低い
従来例2に示されたような覆い部材は、基本的にゴムや薄いプラスチック製など、柔軟な部材なので、物が当ったりして破損する恐れがある。又、物が当らなくても、扉が開閉する度に覆い部材も開閉を繰り返すので、長年の使用によって摩滅したり、屈伸部分が破損する可能性が高い。
従来例3のゴム等の軟質材は紫外線や化学薬品等の影響による劣化等、経年変化によって硬化してしまう場合が一般的である。特に窓際に設置する等直射日光が当る場合は顕著である。
従来例5のハンドルに関しても、突出しているので、人や物が衝突して破損の恐れがある。
【0019】
(4)サイズ適応範囲が狭い
従来例4のように、蝶番13自体を大型化して、扉体11,12の内側端部11a,12a全体を覆うような構造の場合、扉体11,12のサイズ(縦幅)に合わせた蝶番13を準備しなければならず、取付け可能な扉の種類も限られてしまう。
また、蝶番13と扉体11,12の内側端部11a,12aが一体化したようなデザインの場合、木製の扉体11,12に従来の蝶番13を組み合わせた折戸10のように扉体11,12上部を切断して天井高さに合わせるといった現場での施工が困難である。つまり、木製部分の切断は容易であっても、金具部分の切断といった加工は、専用の金属切断機が必要な為に、極めて困難であって、様々な天井高に対して適応範囲が狭い。したがって、各扉体11,12のサイズに合う専用のサイズの蝶番13が必要となってしまう。
因みに、現場でのサイズ合わせの施工に関しては、新築現場、特に集合住宅では、コストダウンの為に、設計の段階で各種サイズが統一される場合が多いので、あまり問題とはされないが、リフォームの場合は現場ごとに様々なサイズの扉体11,12があり、現場でのサイズ合わせが必要である。
【0020】
(5)後付けは困難
従来例2のような隙間を覆う板状、蛇腹状その他の覆い部材は、ホームセンター等にて単品で市販されている場合もあるので、比較的容易に使用者が設置可能であるが、それ以外の方法はいずれも後付けは困難である。特に従来例3や従来例4は、折戸10の製造過程で予め組み込む必要があり、後付けは不可能である。
【0021】
そこで、本発明の目的とするところは、確実に扉体の内側端部間の隙間での指挟みを防止でき、しかも折戸自体のデザインに影響を与え難い指挟み防止折戸及び指挟み防止折戸専用の蝶番を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の指挟み防止折戸(20)は、第一扉体(21)及び第二扉体(22)の内側端部(21a,22a)同士が蝶番(30)で連結され、前記第二扉体(22)はガイドレールに案内される走行体を有するとともに、前記第一扉体(21)は外側端部(21b)が回転自在に固定されるか又は前記第一扉体(21)は回転自在に前記ガイドレールに案内され、前記ガイドレールに略垂直方向に折り畳んだ開状態から閉状態に又はその逆に開閉自在の折戸であって、前記蝶番(30)は、前記第一扉体(21)の内側端部裏側コーナー部(21c)周りに又は前記第一扉体(21)及び第二扉体(22)の対向する内側端部裏側コーナー部(21c,22c)間に回転自在に取付けられた第一軸(33)と、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)周りに回転自在に取付けられた第三軸(35)を備え、前記開状態から、前記第一扉体(21)の内側端部裏側コーナー部(21c)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を許容値以下に保持した状態で、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転して、前記第一扉体(21)と前記第二扉体(22)とのなす角度を略90度とし、その状態で回転の中心を前記第一軸(33)から、前記第一軸(33)よりも前記第一扉体(21)の外側端部(21b)側に設けられた回転自在の第二軸(34)に切り替えて、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部裏側コーナー部(21c)に対向する位置から前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで、前記第一扉体(21)の内側端部(21a)と第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で移動するように、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第二軸(34)を中心に回転し、回転の中心を前記第二軸(34)から前記第三軸(35)に切り替えて、前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第三軸(35)を中心に回転して、前記角度をさらに大きくして、前記第一扉体(21)が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸(35)から、前記第三軸(35)よりも前記第二扉体(22)の外側端部(22b)側に設けられた回転自在の第四軸(23)に切り替えて、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置から前記第一扉体(21)の内側端部裏側コーナー部(21c)に対向する位置まで、前記第一扉体(21)の内側端部(21a)と第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で移動するように、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第四軸(23)を中心に回転して、前記閉状態にすることを特徴とする。
【0023】
また、請求項2に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第二軸(34)は、前記蝶番(30)上にあることを特徴とする。
【0024】
また、請求項3に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記蝶番(30)は、前記第一軸(33)に連結される第一リンクバー(37)に対して、前記第三軸(35)に連結される第二リンクバー(38)が回転可能でかつその回転を所定位置で阻止可能に連結されてなる第一リンク機構(36)と、前記第二軸(34)に連結される第三リンクバー(40)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)周りに回転自在に連結される第四リンクバー(41)とが回転可能に連結されてなる第二リンク機構(39)と、前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に保持するように、前記第一扉体(21)側に固定可能かつ前記第一扉体(21)に対して前記第二扉体(22)を回転自在に連結可能な第三リンク機構とを備え、前記開状態において、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持したままで、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転し、前記第一扉体(21)と前記第二扉体(22)とのなす角度が略90度になったとき、前記第二リンク機構(39)が、前記第一扉体(21)の内側端部(21a)と第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に規制するとともに、さらに前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して回転することで、前記第一リンク機構(36)の回転阻止が解除され、回転の中心を前記第一軸(33)から前記第二軸(34)に切り替え、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第二軸(34)を中心に回転し、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第三リンク機構は、前記第一扉体(21)側に固定されかつ前記第一扉体(21)に対して前記第二扉体(22)を回転自在に連結し、回転の中心を前記第二軸(34)から前記第三軸(35)に切り替えて、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第三軸(35)を中心に回転し、前記第一扉体(21)が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸(35)から前記第四軸(23)に切り替えて、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第四軸(23)を中心に回転することで、前記第三リンク機構の固定を解除して、前記閉状態にすることを特徴とする。
【0025】
また、請求項4に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第一リンク機構(36)は、前記所定位置とは異なる位置で、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を再度阻止する機能を有し、前記第一リンク機構(36)及び前記第二リンク機構(39)を前記第三リンク機構としたことを特徴とする。
【0026】
また、請求項5に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第二リンク機構(39)は、前記第三リンクバー(40)に対する前記第四リンクバー(41)の回転を阻止するとともに、前記第二軸(34)の回転を阻止する機能を有し、前記第二リンク機構(39)を前記第三リンク機構としたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項6に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第二扉体(22)の有する走行体に前記第四軸(23)を設けたことを特徴とする。
【0028】
また、請求項7に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)と前記第二リンクバー(38)とが第一ジョイント(43)によって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転するときに、前記第一リンクバー(37)又は前記第二リンクバー(38)に設けられた第一ボールプランジャー(44)が、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)に形成された第一凹溝(45)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持することを特徴とする。
【0029】
また、請求項8に記載の指挟み防止折戸(20)は、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)と前記第二リンクバー(38)とが第一ジョイント(43)によって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転するときに、前記第一リンクバー(37)又は前記第二リンクバー(38)に設けられた第一ボールプランジャー(44)が、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)に形成された第一凹溝(45)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持し、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)にはさらに第二凹溝(46)が形成され、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したときに、前記第一ボールプランジャー(44)が前記第二凹溝(46)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を再度阻止した状態を保持することを特徴とする。
【0030】
また、請求項9に記載の指挟み防止折戸(20)専用の蝶番(30)は、外側端部(21b)が回転自在に固定されるか又は回転自在にガイドレールに案内される第一扉体(21)及び前記ガイドレールに案内される走行体を有する第二扉体(22)の内側端部(21a,22a)同士を連結し、前記ガイドレールに略垂直方向に折り畳んだ開状態から閉状態に又はその逆に開閉自在とする折戸の蝶番(30)であって、前記第一扉体(21)の内側端部裏側コーナー部(21c)周りに又は前記第一扉体(21)及び第二扉体(22)の対向する内側端部裏側コーナー部(21c,22c)間に回転自在に取付けられた第一軸(33)と、前記第一軸(33)よりも前記第一扉体(21)の外側端部(21b)側に設けられた回転自在の第二軸(34)と、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)周りに回転自在に取付けられた第三軸(35)と、前記第一軸(33)に連結される第一リンクバー(37)に対して、前記第三軸(35)に連結される第二リンクバー(38)が回転可能でかつその回転を所定位置で阻止可能に連結されてなる第一リンク機構(36)と、前記第二軸(34)に連結される第三リンクバー(40)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)周りに回転自在に連結される第四リンクバー(41)とが回転可能に連結されてなる第二リンク機構(39)と、前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)と前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を許容値以下に保持するように、前記第一扉体(21)側に固定可能 かつ前記第一扉体(21)に対して前記第二扉体(22)を回転自在に連結可能な第三リンク機構とを備え、前記開状態において、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持したままで、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転し、前記第一扉体(21)と前記第二扉体(22)とのなす角度が略90度になったとき、前記第二リンク機構(39)が、前記第一扉体(21)の内側端部(21a)と第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)間の隙間を前記許容値以下に規制するとともに、さらに前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して回転することで、前記第一リンク機構(36)の回転阻止が解除され、回転の中心を前記第一軸(33)から前記第二軸(34)に切り替え、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第二軸(34)を中心に回転し、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第三リンク機構は、前記第一扉体(21)側に固定されかつ前記第一扉体(21)に対して前記第二扉体(22)を回転自在に連結し、回転の中心を前記第二軸(34)から前記第三軸(35)に切り替えて、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第三軸(35)を中心に回転し、前記第一扉体(21)が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸(35)から、前記第三軸(35)よりも前記第二扉体(22)の外側端部(22b)側に設けられた回転自在の前記走行体に切り替えて、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記走行体を中心に回転することで、前記第三リンク機構の固定を解除して、前記閉状態にすることを特徴とする。
【0031】
また、請求項10に記載の指挟み防止折戸(20)専用の蝶番(30)は、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第一リンク機構(36)は、前記所定位置とは異なる位置で、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を再度阻止する機能を有し、前記第一リンク機構(36)及び前記第二リンク機構(39)を前記第三リンク機構としたことを特徴とする。
【0032】
また、請求項11に記載の指挟み防止折戸(20)専用の蝶番(30)は、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したとき、前記第二リンク機構(39)は、前記第三リンクバー(40)に対する前記第四リンクバー(41)の回転を阻止するとともに、前記第二軸(34)の回転を阻止する機能を有し、前記第二リンク機構(39)を前記第三リンク機構としたことを特徴とする。
【0033】
また、請求項12に記載の指挟み防止折戸(20)専用の蝶番(30)は、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)と前記第二リンクバー(38)とが第一ジョイント(43)によって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転するときに、前記第一リンクバー(37)又は前記第二リンクバー(38)に設けられた第一ボールプランジャー(44)が、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)に形成された第一凹溝(45)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持することを特徴とする。
【0034】
また、請求項13に記載の指挟み防止折戸(20)専用の蝶番(30)は、前記第一リンク機構(36)は、前記第一リンクバー(37)と前記第二リンクバー(38)とが第一ジョイント(43)によって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体(22)が前記第一扉体(21)に対して前記第一軸(33)を中心に回転するときに、前記第一リンクバー(37)又は前記第二リンクバー(38)に設けられた第一ボールプランジャー(44)が、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)に形成された第一凹溝(45)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を阻止した状態を保持し、前記第一ボールプランジャー(44)に対向する前記第二リンクバー(38)又は前記第一リンクバー(37)にはさらに第二凹溝(46)が形成され、前記第二扉体(22)の内側端部裏側コーナー部(22c)が前記第一扉体(21)の内側端部表側コーナー部(21d)に対向する位置まで移動したときに、前記第一ボールプランジャー(44)が前記第二凹溝(46)に嵌合することで、前記第一リンクバー(37)に対する前記第二リンクバー(38)の回転を再度阻止した状態を保持することを特徴とする。
【0035】
なお、ここでいう許容値以下とは、乳幼児の細い指であっても挟まないほど狭いことをいい、(社)日本建材・住宅設備産業協会の内装用折戸の製品安全指針に示されたように5ミリ以下を指す。
【0036】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0037】
本発明の請求項1に記載の指挟み防止折戸によれば、第一扉体及び第二扉体の内側端部同士が蝶番で連結され、蝶番は、第一扉体の内側端部裏側コーナー部周りに又は第一扉体及び第二扉体の対向する内側端部裏側コーナー部間に回転自在に取付けられた第一軸を備え、開状態から、第一扉体の内側端部裏側コーナー部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持した状態で、第二扉体が第一扉体に対して第一軸を中心に回転して、第一扉体と第二扉体とのなす角度を略90度とするので、この間、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間で指を挟むことはない。
また、その状態で回転の中心を第一軸から、第一軸よりも第一扉体の外側端部側に設けられた回転自在の第二軸に切り替えて、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部裏側コーナー部に対向する位置から第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動するように、第二扉体が第一扉体に対して第二軸を中心に回転するので、この間、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間で指を挟むことはない。
【0038】
また、回転の中心を第二軸から第三軸に切り替えて、第一扉体の内側端部表側コーナー部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持した状態で、第二扉体が第一扉体に対して第三軸を中心に回転して、角度をさらに大きくするので、この間も第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間で指を挟むことはない。
さらに、第一扉体がガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を第三軸から、第三軸よりも第二扉体の外側端部側に設けられた回転自在の第四軸に切り替えて、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置から第一扉体の内側端部裏側コーナー部に対向する位置まで、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動するように、第二扉体が第一扉体に対して第四軸を中心に回転して、閉状態にするので、この間、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間で指を挟むことはない。
【0039】
このように、開状態から閉状態に至るまで、常に第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間を許容値以下にするので、確実に指挟みを防止でき、安全である。
【0040】
また、特に第一扉体及び第二扉体内側端部を大きく面取する必要はなく指挟みを防止することができるので、これに伴う扉体内側端部の強度低下、及びデザインへの影響もない。
同様に、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間を覆う指挟み防止用の覆い部材や、指を挟んでも痛くない軟質材を用いずに済み、また、指が間に入っても指を潰さないほど大きな13ミリ以上の隙間も設ける必要もないので、折戸のデザインに影響を与えない。
また、閉状態でも第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間が許容値以下であるので、一般的な蝶番を用いたときと同様に、閉状態において折戸の表側に蝶番が全く露出せず、銘木等の高級材を第一扉体及び第二扉体に用いた場合でもデザイン面で破綻を生じることはない。
また、ハンドルを第一扉体及び第二扉体に取付ける必要もないので、デザイン面に影響を与えず、人や物が引っ掛かって破損するおそれもない。
【0041】
また、請求項2に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、第二軸は蝶番上にあるので、蝶番を第一扉体及び第二扉体に取付けるだけで、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部裏側コーナー部に対向する位置から第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持することできる。すなわち、蝶番を扉体に取付けるだけで済み、他に第二軸をわざわざ第一扉体に取付ける必要はないので、構造が簡易である。
【0042】
また、請求項3に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用効果に加え、蝶番は、請求項9にも記載したように、第一軸に連結される第一リンクバーに対して、第三軸に連結される第二リンクバーが回転可能でかつその回転を所定位置で阻止可能に連結されてなる第一リンク機構と、第二軸に連結される第三リンクバーと第二扉体の内側端部裏側コーナー部周りに回転自在に連結される第四リンクバーとが回転可能に連結されてなる第二リンク機構と、第一扉体の内側端部表側コーナー部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持するように、第一扉体側に固定可能かつ第一扉体に対して第二扉体を回転自在に連結可能な第三リンク機構とを備え、この蝶番によって常に第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間を許容値以下にするので、蝶番を第一扉体及び第二扉体に取付けるだけで指挟みを防止できる。つまり、第一扉体及び第二扉体等の他の部材は通常のものを使用することができるので、指挟み防止折戸を容易に導入することができる。
これにより、施工済みの既存折戸に取付けられている蝶番を外して、指挟み防止折戸専用の蝶番を取付けるだけで、既存の折戸を安全な指挟み防止折戸へ改修することもできる。つまり、蝶番だけを後付けして指挟みを防止できるので、既存の折戸を廃棄せずに済み、無駄が少ない。
【0043】
また、一組の折戸に対し二、三箇所に蝶番を取付けるだけで指挟みを防止できるので、扉体の上端や下端といった扉体の加工時の長さ調節部分を避けて蝶番を取付けていれば、蝶番が、扉体の上端や下端を切断する際の障害にならない。このことは、特にリフォーム等、扉体のサイズを天井高に現場合わせで加工を行う必要がある場合に極めて好都合である。もちろん、ほとんど全てのサイズの扉体に対して蝶番を取付け可能である。
さらに、通常、蝶番は金属製であるので、繰り返し折戸を開閉しても破損することは考え難い。また経年変化による劣化もなく、耐久性が高い。
【0044】
また、請求項4に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項3に記載の発明の作用効果に加え、請求項10にも記載したように、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、第一リンク機構は、所定位置とは異なる位置で、第一リンクバーに対する第二リンクバーの回転を再度阻止する機能を有し、第一リンク機構及び第二リンク機構が第三リンク機構としたので、別途第三リンク機構を設けずに済み、蝶番の構造が簡易である。よって、蝶番の故障が発生し難く、またコストも低廉である。
【0045】
また、請求項5に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項3に記載の発明の作用効果に加え、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、第二リンク機構は、第三リンクバーに対する第四リンクバーの回転を阻止するとともに、第二軸の回転を阻止する機能を有し、第二リンク機構が第三リンク機構としたので、別途第三リンク機構を設けずに済み、蝶番の構造が簡易である。よって、蝶番の故障が発生し難く、またコストも低廉である。
【0046】
また、請求項6に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項1乃至5に記載の発明の作用効果に加え、第二扉体の有する走行体に第四軸を設けたので、既存の走行体を中心に第二扉体を回転することができる。すなわち、別途第四軸を設ける必要がなく、構造が簡易である。
【0047】
また、請求項7に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項3乃至6に記載の発明の作用効果に加え、請求項12にも記載したように、第一リンク機構は、第二扉体が第一扉体に対して第一軸を中心に回転するときに、第一リンクバー又は第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、第一ボールプランジャーに対向する第二リンクバー又は第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、第一リンクバーに対する第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持するので、折戸の開閉にとって最適な嵌合力を得ることが容易である。つまり、第一ボールプランジャーは既存のものであっても様々な嵌合力のものが用意されており、また第一凹溝の深さを浅く形成すれば嵌合力は弱くなり、深く形成すれば嵌合力は強くなるので、嵌合力を任意に選択できる。
【0048】
また、請求項8に記載の指挟み防止折戸によれば、請求項4に記載の発明の作用効果に加え、請求項13にも記載したように、第一リンク機構は、第二扉体が第一扉体に対して第一軸を中心に回転するときに、第一リンクバー又は第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、第一ボールプランジャーに対向する第二リンクバー又は第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、第一リンクバーに対する第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持し、しかも、第一ボールプランジャーに対向する第二リンクバー又は第一リンクバーには第二凹溝が形成され、第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したときに、第一ボールプランジャーが第二凹溝に嵌合するので、折戸の開閉にとって最適な嵌合力を得ることが容易であることに加え、簡易かつ確実に、異なる二箇所において回転を阻止することができる。
【0049】
なお、本発明の指挟み防止折戸及び指挟み防止折戸用の蝶番のように、蝶番が第一軸、第二軸、第三軸、第一リンク機構、第二リンク機構、及び第三リンク機構を備え、開状態から閉状態まで、第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間を許容値以下に保持する点は、上述した特許文献1乃至15には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る指挟み防止折戸が開状態から閉状態となるまでの動作を示す概略図であり、(a)は開状態から第一扉体と第二扉体とのなす角が略90度になった状態を、(b)は第一扉体と第二扉体とのなす角が略90度になった状態から第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する状態を、(c)は第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する状態から第一扉体がガイドレールと略平行になった状態を、(d)は第一扉体がガイドレールと略平行になった状態から閉状態を、それぞれ示す。
【図2】本発明の実施形態に係る指挟み防止折戸を示す斜視図である。
【図3】図2に示す指挟み防止折戸の開状態を示す平面図である。
【図4】図2に示す指挟み防止折戸における第二扉体が、図3に示す状態から第一扉体に対して第一軸を中心に回転している状態を示す平面図である。
【図5】図2に示す指挟み防止折戸の第一扉体と第二扉体とのなす角が略90度になった状態を示す平面図である。
【図6】図2に示す指挟み防止折戸における第二扉体が、図5に示す状態から第一扉体に対して第二軸を中心に回転している状態を示す平面図である。
【図7】図2に示す指挟み防止折戸における第二扉体の内側端部裏側コーナー部が第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する状態を示す平面図である。
【図8】図2に示す指挟み防止折戸における第二扉体が、図7に示す状態から第一扉体に対して第三軸を中心に回転している状態を示す平面図である。
【図9】図2に示す指挟み防止折戸における第一扉体がガイドレールと略平行になった状態を示す平面図である。
【図10】図2に示す指挟み防止折戸の閉状態を示す平面図である。
【図11】図2に示す指挟み防止折戸における第一リンク機構を示す平面図であって、(a)は第一ボールプランジャーが第一凹溝に嵌合した状態を、(b)は第一ボールプランジャーが第二凹溝に嵌合した状態を示す。
【図12】従来例に係る折戸を示す平面図であって、(a)は開状態において第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間に指を置いた状態を、(b)は(a)に示す状態から第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部間の隙間に指を挟む状態を示す。
【図13】さらに他の従来例に係る折戸を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1乃至図11を参照して、本発明の実施形態に係る指挟み防止折戸20及び指挟み防止折戸20専用の蝶番30を説明する。
この指挟み防止折戸20は、例えば、左右に延びるように並設されたガイドレールを備えるクローゼットの開口部を開閉自在に塞ぐものである。
そして、第一扉体21及び第二扉体22の内側端部21a,22a同士が蝶番30で連結されてなる。
【0052】
第一扉体21は、その外側端部21bがガイドレールの端部に回転自在に固定されている。
第二扉体22は、その横幅は第一扉体21の横幅と等しく、外側端部22bの上下にはローラーからなる走行体23を有する。この走行体23は第二扉体22に対して回転自在となっているので、折戸20の開閉によってガイドレールに対する第二扉体22の角度が変化しても、走行体23は円滑にガイドレールに案内される。
【0053】
本実施形態に係る指挟み防止折戸20は、ガイドレールに略垂直方向に折り畳んだ開状態から、ガイドレールに平行になる(重なる)閉状態までの第一扉体21及び第二扉体22の動きに特徴を有するものであるので、まず、図1を参照してその動きの概略を説明する。
なお、図1における破線は移動後の第二扉体22を示す。また、本実施形態では、第一扉体21と第二扉体22との相対的な位置関係を簡単に示すために、固定された第一扉体21に対して第二扉体22だけが動いているように記載するが、実際には第一扉体21及び第二扉体22の双方が、ガイドレールに略垂直の状態からガイドレールに平行になるまで動く。
【0054】
最初に、図1(a)に示すように、開状態から、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で、第二扉体22が第一扉体21に対して第一軸33を中心に回転して、第一扉体21と第二扉体22とのなす角度を略90度とする。この隙間は、本実施形態においては1〜3ミリに規制している。
【0055】
次に、図1(b)に示すように、第一扉体21と第二扉体22とのなす角度が略90度の状態で回転の中心を第一軸33から、第一軸33よりも第一扉体21の外側端部21b側に設けられた回転自在の第二軸34に切り替えて、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置から第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動するように、第二扉体22が第一扉体21に対して第二軸34を中心に回転する。
【0056】
次に、図1(c)に示すように、回転の中心を第二軸34から、第二扉体22にある第三軸35に切り替えて、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で、第二扉体22が第一扉体21に対して第三軸35を中心に回転して、第一扉体21と第二扉体22とのなす角度をさらに大きくする。
【0057】
最後に、図1(d)に示すように、第一扉体21がガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を第三軸35から、第三軸35よりも第二扉体22の外側端部22b側に設けられた回転自在の第四軸23に切り替えて、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置から第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置まで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動するように、第二扉体22が第一扉体21に対して第四軸23を中心に回転して、閉状態にする。
【0058】
次に、蝶番30の構造を説明する。
蝶番30は、第一扉体21に取付けられる第一扉体側本体部31と、第二扉体22に取付けられる第二扉体側本体部32、第一軸33、第二軸34、第三軸35、第一リンク機構36、及び第二リンク機構39を備える。
そして、図2に示すように、第一扉体21及び第二扉体22の内側端部21a,22a裏側を肉抜きして、その肉抜きされた箇所に木ネジ等によって第一扉体側本体部31及び第二扉体側本体部32は取付けられる。一組の指挟み防止折戸20には、上下に二つの蝶番30が使用されている。
【0059】
第一扉体側本体部31は、金属板を曲げ加工されてなり、第一扉体側本体部31の内側端部は、上下が第一扉体21の裏側に向かって突出した第一軸支持部47となっている。また、第一扉体側本体部31の外側端部も第一扉体21の裏側に向かって突出した第二軸支持部48となっている。第一軸支持部47の突出した先端47aの位置は第一扉体21の裏面の位置に略等しく、第二軸支持部48の突出した先端48aの位置は第一扉体21の厚さ方向の略中央である。
【0060】
第一軸33は、第一軸支持部47に挟持されることで、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21c周りであってそのコーナー部21c先端に極力近い位置に回転自在に取付けられている。なお、本実施形態に使用される回転軸の類は、全て平面視における円運動をさせるためのものであるので、いずれの回転軸も上下に延びる。
第二軸34は、第二軸支持部48に回転自在に取付けられており、その位置は、第一軸33よりも第一扉体21の外側端部21b側であって、第一扉体21の厚さ方向の略中央である。
【0061】
第二扉体側本体部32は、二枚の金属板を曲げ加工されてなり、第二扉体側本体部32の内側端部は、上下が第二扉体22の裏側に向かって突出した第三軸支持部49となっている。この第三軸支持部49の突出した先端49aの位置は第二扉体22の裏面の位置に略等しい。また、第二扉体22の裏側方向への突出量が第三軸支持部49よりも少ない第五軸支持部50を有する。
第三軸35は、第三軸支持部49に挟持されることで、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c周りであってそのコーナー部22c先端に極力近い位置に回転自在に取付けられている。
【0062】
第一リンク機構36は、第一軸33に連結される第一リンクバー37と、第三軸35に連結される第二リンクバー38とが第一ジョイント43によって回転可能に連結されてなる。
しかも、その回転はボールプランジャー44と凹溝45,46によって所定位置で阻止可能としている。
【0063】
詳細には、第一リンクバー37には、第二リンクバー38に向かって第一ボールプランジャー44が設けられている。
また、第一ボールプランジャー44が対向する第二リンクバー38の部位は平面視半円状になっており、その周面に、上下方向に延びる第一凹溝45が形成されている。
さらに、第一ボールプランジャー44が対向する第二リンクバー38の周面のうち、第一凹溝45の時計回り側には、第一凹溝45と同様に第二凹溝46が形成されている。
第一凹溝45及び第二凹溝46の深さ及び幅は、第一ボールプランジャー44の先端のボールの径、及び要求される嵌合力等に基づいて決定されている。
このように、所定の二箇所の凹溝45,46に第一ボールプランジャー44が嵌合することによって、第一リンクバー37に対して第二リンクバー38が回転阻止可能となっている。
【0064】
第二リンク機構39は、第二軸34に連結される第三リンクバー40と、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c周りである第五軸支持部50に支持された第五軸51に回転自在に連結される第四リンクバー41とが回転可能に連結されてなる。第五軸支持部50の位置は第三軸35とは異なる位置であるが、第三軸35に近い位置である。
第三リンクバー40と第四リンクバー41とが直線状となって、第二軸34と第五軸51とが最大限離れたときに、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cとの隙間が許容値以下となるように、第三リンクバー40及び第四リンクバー41の長さを選択している。
【0065】
以上のように構成された蝶番30を備える指挟み防止折戸20が、開状態から閉状態となるまでの動きを、図3乃至図11を参照して、蝶番30のはたらきとともに説明する。
【0066】
まず、図3に示すように開状態では、第一ボールプランジャー44の先端が第一凹溝45に嵌合しており、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間は許容値以下となっている。
【0067】
次に、第一リンク機構36は、第一ボールプランジャー44の先端が第一凹溝45に嵌合して第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転を阻止した状態を保持したままで、第二扉体22が第一扉体21に対して第一軸33を中心に回転する。つまり、この回転中は、第一軸33と第三軸35との距離が一定に保たれるので、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態である。そして、この保持状態のまま、図4に示す状態を経て、図5に示すように第一扉体21と第二扉体22とのなす角度を略90度となるまで回転する。
【0068】
第一扉体21と第二扉体22とのなす角度が略90度になったとき、第二リンク機構39の第三リンクバー40と第四リンクバー41とが直線状になる。つまり、第二軸34と第五軸51とが最大限離れた状態となる。このように、第二リンク機構39の第三リンクバー40と第四リンクバー41とが直線状となることで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間が許容値より広くならないように規制している。
このとき、第一ボールプランジャー44の先端が第一凹溝45に嵌合したままであるので、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転はまだ阻止されている。
【0069】
この状態からさらに第二扉体22が第一扉体21に対して回転することで、図6に示すように、第一凹溝45が形成されている第二リンクバー38の周面に対して第一ボールプランジャー44が時計回りに回転し、第一ボールプランジャー44の先端が第一凹溝45から出て、第一リンク機構36の回転阻止(第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転阻止)が解除される。
そして、回転の中心を第一軸33から第二軸34に切り替え、第二扉体22が第一扉体21に対して第二軸34を中心に回転する。このように回転することで、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置(図5に示す状態)から、図6に示す状態を経て、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置(図7に示す状態)まで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動する。
つまり、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置から第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで移動する間、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cは、第二リンク機構39に規制された所定値しか第一扉体21の内側端部21aから離れることができない。ここで、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の厚さ方向の略中央に位置するときに、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cとの隙間が最大となるが、この隙間の最大値であっても許容値以下としている。
【0070】
次に、図7に示すように、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで移動したとき、第一ボールプランジャー44の先端が第二凹溝46に嵌合することで、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転を再度阻止した状態を保持する。そして、回転の中心を第二軸34から第三軸35に切り替えて、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で、図8に示すように、第二扉体22が第一扉体21に対して第三軸35を中心に回転し、第一扉体21と第二扉体22とのなす角度をさらに大きくする。
【0071】
最後に、第一扉体21がガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を第三軸35から第四軸23である走行体に切り替えて、第二扉体22が第一扉体21に対して第四軸23を中心に回転することで(図9及び図1(d)参照)、第二凹溝46が形成されている第二リンクバー38の周面に対して第一ボールプランジャー44が反時計回りに回転し、第一ボールプランジャー44の先端が第二凹溝46から出て、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転阻止が解除される。
さらに、第二扉体22が第一扉体21に対して第四軸23を中心に回転して、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置から第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置まで移動し、図10に示す閉状態にする。この間、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持し続けている。
なお、閉状態においては、第一ボールプランジャー44が再び第一凹溝45に嵌合した状態である。
【0072】
以上のように構成及び動作する指挟み防止折戸20及び指挟み防止折戸20用の蝶番30によれば、第一リンク機構36は、第二扉体22が第一扉体21に対して第一軸33を中心に回転するときに、第一リンクバー37に設けられた第一ボールプランジャー44が、第一ボールプランジャー44に対向する第二リンクバー38に形成された第一凹溝45に嵌合するので、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転を阻止した状態を保持でき、第一軸33と第三軸35との距離、つまり第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cとの距離を一定に保つことができる。
よって、開状態から第一扉体21と第二扉体22とのなす角度が略90度となるまで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間で指を挟むことはない。
【0073】
一方、第一リンク機構36は、第一リンクバー37と第二リンクバー38とが、第一ジョイント43によって回転可能でもあるので、第一軸33と第三軸35との距離の固定解除も行うことができる。
つまり、この固定を解除することで、第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置から、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで、第二扉体22が第一扉体21に対して第二軸34を中心に回転することができ、このとき、第二リンク機構39が最大限伸び切って第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態としているので、この間、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間で指を挟むことはない。
万が一、開閉者の指が第二扉体22の内側端部22aに触れていても、第二扉体22のこのような動きによって、表側に指が挟まれることなく押し出されるので安全である。
【0074】
また、第一ボールプランジャー44に対向する第二リンクバー38には第二凹溝46が形成され、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで移動したときに、第一ボールプランジャー44が第二凹溝46に嵌合するので、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転を再度阻止した状態を保持することができ、この位置でも第一軸33と第三軸35との距離を一定に保つことができる。これに加え、このとき第二リンク機構39が、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に規制している。
つまり、第二扉体22が第一扉体21に対して第三軸35を中心に回転するとき、第一リンク機構36及び第二リンク機構39が同時に機能して二方向の距離を規制しているので、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持することができ、この間、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間で指を挟むことはない。
【0075】
また、第二リンクバー38に第一凹溝45と第二凹溝46とが形成され、それぞれに第一ボールプランジャー44が嵌合するので、図11(a)及び(b)に示すように、第一リンク機構36一つで第一軸33と第三軸35との距離L1,L2を二通りに規制することができる。
しかも、この二通りに規制する方法は、簡易かつ確実にそれぞれの位置で回転を規制することができる。
【0076】
さらに、第一扉体21がガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を第三軸35から第四軸23に切り替えて、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置から第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21cに対向する位置まで、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持した状態で移動するように、第二扉体22が第一扉体21に対して第四軸23を中心に回転して、閉状態にするので、この間、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間で指を挟むことはない。
【0077】
このように、開状態から閉状態に至るまで、常に第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間が許容値以下となっているので、確実に指挟みを防止でき、安全である。
【0078】
また、特に第一扉体21及び第二扉体22内側端部21a,22aを大きく面取する必要はなく指挟みを防止することができるので、これに伴う扉体内側端部21a,22aの強度低下、及びデザインへの影響もない。
同様に、第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間を覆う指挟み防止用の覆い部材や、指を挟んでも痛くないような軟質材を用いずに済み、また、指が間に入っても指を潰さないほど大きな13ミリ以上の隙間も設ける必要もないので、折戸20のデザインに影響を与えない。
【0079】
また、蝶番30によって、常に第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間を許容値以下にするので、蝶番30を第一扉体21及び第二扉体22に取付けるだけで指挟みを防止できる。つまり、第一扉体21及び第二扉体22等の他の部材は通常のものを使用することができ、蝶番30以外のものをわざわざ第一扉体21や第二扉体22に取付ける必要がないので、構造が簡易であり、指挟み防止折戸20を容易に導入することができる。また、蝶番30の故障が発生し難く、コストも低廉である。
【0080】
蝶番30だけで指挟みを防止できるということは、新築時だけでなくリフォーム時にも有益である。すなわち、施工済みの既存折戸10に取付けられている蝶番13を外して、指挟み防止折戸専用の蝶番30を取付けるだけで、既存の折戸10を安全な指挟み防止折戸20へ改修することもできる。このように、蝶番30だけを後付けして指挟みを防止できるので、既存の折戸10を廃棄せずに済み、無駄が少ない。
【0081】
また、閉状態でも第一扉体21の内側端部21aと第二扉体22の内側端部22a間の隙間が許容値以下であるので、一般的な蝶番13を用いたときと同様に、閉状態では折戸20の表側に蝶番30が全く露出せず、銘木等の高級材を第一扉体21及び第二扉体22に用いた場合でもデザイン面で破綻を生じることはない。
また、ハンドルを第一扉体21及び第二扉体22に取付ける必要もないので、デザイン面に影響を与えず、人や物が引っ掛かって破損するおそれもない。
また、蝶番30は金属製であるので、繰り返し折戸20を開閉しても破損することは考え難い。また経年変化による劣化もなく、耐久性が高い。
【0082】
また、通常の蝶番13と同様、一組の折戸20に対し二、三箇所に蝶番30を取付けるだけで指挟み防止となるので、扉体21,22の上端や下端といった扉体21,22の加工時の長さ調節部分を避けて蝶番30を取付けていれば、蝶番30が、扉体21,22の上端や下端を切断する際の障害にならない。このことは、特にリフォーム等、扉体21,22のサイズを天井高に合わせて現場で加工を行う場合に極めて好都合である。もちろん、この蝶番30の交換はほとんど全てのサイズの扉体21,22に対して可能である。
【0083】
さらに、第一リンク機構36は、第二扉体22が第一扉体21に対して第一軸33を中心に回転するときに、第一リンクバー37に設けられた第一ボールプランジャー44が、第一ボールプランジャー44に対向する第二リンクバー38に形成された第一凹溝45に嵌合することで、第一リンクバー37に対する第二リンクバー38の回転を阻止した状態を保持するので、折戸20の開閉にとって最適な嵌合力を得ることが容易である。つまり、第一ボールプランジャー44は既存のものであっても様々な嵌合力のものが用意されており、また第一凹溝45の深さを浅く形成すれば嵌合力は弱くなり、深く形成すれば嵌合力は強くなるので、嵌合力を任意に選択できる。
しかも、第二リンクバー38には第二凹溝46が形成され、第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cが第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dに対向する位置まで移動したときに、第一ボールプランジャー44が第二凹溝46に嵌合するので、簡易かつ確実に、異なる二箇所において回転を阻止することができる。
【0084】
また、走行体に第四軸23を設けたので、既存の走行体を中心に第二扉体22を回転することができる。すなわち、別途第四軸23を設ける必要がなく、構造が簡易である。
【0085】
なお、本実施形態において、第一扉体21は、その外側端部21bが回転自在に固定されるとしたが、これに限られるものではなく、第一扉体21は外側端部21bが回転自在かつガイドレールに案内されてもよい。つまり、開状態のままその折戸20がガイドレールに案内され、部屋の間仕切りとして用いられる折戸20であってもよい。
また、第一扉体21の横幅よりも第二扉体22の横幅が長くてもよい。このとき、第四軸23は、第一扉体21の横幅の分だけ第二扉体22の内側端部22aから外側に位置することになる。
【0086】
また、第一軸33を第一扉体21の内側端部裏側コーナー部21c周りに設けたが、第一軸33を第一扉体21及び第二扉体22の対向する内側端部裏側コーナー部21c,22c間に設けてもよい。
【0087】
また、第一リンク機構36は、第一ボールプランジャー44と凹溝45,46によって第一リンクバー37と第二リンクバー38との回転を阻止したが、これに限られるものではなく、他の嵌合方法によって回転阻止可能としてもよい。
また、第一リンクバー37に第一ボールプランジャー44を、第二リンクバー38に第一凹溝45及び第二凹溝46を設けたが、これとは逆に、第二リンクバー38に第一ボールプランジャー44を、第一リンクバー37に第一凹溝45及び第二凹溝46を設けてもよい。
【0088】
また、第二リンク機構39が伸び切ることで第二軸34と第五軸51との距離を制限したが、この距離を制限するために第二リンク機構39が伸び切る必要はない。
さらに、蝶番30が第二軸34を備えるとしたが、蝶番30とは別に第二軸34を設けて、その別体の第二軸34によって第二扉体22の動きを規制してもよい。このとき、例えば、第二リンク機構39がチェーン等であっても、第二扉体22の動きを規制できる。
【0089】
さらに、第二扉体22が第一扉体21に対して第三軸35を中心に回転するときに、第一リンク機構36と第二リンク機構39によって、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間を許容値以下に保持するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、第三リンクバー40に対する第四リンクバー41の回転を阻止するとともに、第二軸34の回転を阻止する機能を第二リンク機構39に持たせることで、第二扉体22が第一扉体21に対して第三軸35を中心に回転するときの隙間を許容値以下としてもよい。この回転阻止の方法は、別途ボールプランジャーを用いたり、金属ピンを用いて回り止め機構とすること等が考えられる。
また、第一リンク機構36や第二リンク機構39とは別体の、第一扉体21側に固定可能かつ第一扉体21に対して第二扉体22を回転自在に連結可能な第三リンク機構を設けて、その第三リンク機構によってこの隙間を許容値以下としてもよい。
【0090】
また、第二扉体22の有する走行体を第四軸23としたが、第四軸23を走行体とは別に設けてもよい。
【0091】
また、第三軸35と第五軸51を共通にしてもよく、共通にすることで第五軸51を第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22cにより近くすることができるので、第三軸35を中心に第二扉体22が回転するときに第二リンク機構39が緩まず、第一扉体21の内側端部表側コーナー部21dと第二扉体22の内側端部裏側コーナー部22c間の隙間の保持をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
10 折戸
11 扉体
11a 内側端部
11b 内側端部裏側
11c 内側端部表側
12 扉体
12a 内側端部
12b 内側端部裏側
12c 内側端部表側
13 蝶番
14 欠除部(面取)
20 指挟み防止折戸
21 第一扉体
21a 内側端部
21b 外側端部
21c 内側端部裏側コーナー部
21d 内側端部表側コーナー部
22 第二扉体
22a 内側端部
22b 外側端部
22c 内側端部裏側コーナー部
23 第四軸
30 蝶番
31 第一扉体側本体部
32 第二扉体側本体部
33 第一軸
34 第二軸
35 第三軸
36 第一リンク機構
37 第一リンクバー
38 第二リンクバー
39 第二リンク機構
40 第三リンクバー
41 第四リンクバー
43 第一ジョイント
44 第一ボールプランジャー
45 第一凹溝
46 第二凹溝
47 第一軸支持部
47a 先端
48 第二軸支持部
48a 先端
49 第三軸支持部
50 第五軸支持部
51 第五軸
L1 第一軸と第三軸との距離
L2 第一軸と第三軸との距離
Y 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一扉体及び第二扉体の内側端部同士が蝶番で連結され、前記第二扉体はガイドレールに案内される走行体を有するとともに、前記第一扉体は外側端部が回転自在に固定されるか又は前記第一扉体は回転自在に前記ガイドレールに案内され、前記ガイドレールに略垂直方向に折り畳んだ開状態から閉状態に又はその逆に開閉自在の折戸であって、
前記蝶番は、前記第一扉体の内側端部裏側コーナー部周りに又は前記第一扉体及び第二扉体の対向する内側端部裏側コーナー部間に回転自在に取付けられた第一軸と、前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部周りに回転自在に取付けられた第三軸を備え、
前記開状態から、
前記第一扉体の内側端部裏側コーナー部と前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持した状態で、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転して、前記第一扉体と前記第二扉体とのなす角度を略90度とし、
その状態で回転の中心を前記第一軸から、前記第一軸よりも前記第一扉体の外側端部側に設けられた回転自在の第二軸に切り替えて、前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部裏側コーナー部に対向する位置から前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで、前記第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で移動するように、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第二軸を中心に回転し、
回転の中心を前記第二軸から前記第三軸に切り替えて、前記第一扉体の内側端部表側コーナー部と前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第三軸を中心に回転して、前記角度をさらに大きくして、
前記第一扉体が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸から、前記第三軸よりも前記第二扉体の外側端部側に設けられた回転自在の第四軸に切り替えて、前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置から前記第一扉体の内側端部裏側コーナー部に対向する位置まで、前記第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に保持した状態で移動するように、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第四軸を中心に回転して、
前記閉状態にすることを特徴とする指挟み防止折戸。
【請求項2】
前記第二軸は、前記蝶番上にあることを特徴とする請求項1に記載の指挟み防止折戸。
【請求項3】
前記蝶番は、前記第一軸に連結される第一リンクバーに対して、前記第三軸に連結される第二リンクバーが回転可能でかつその回転を所定位置で阻止可能に連結されてなる第一リンク機構と、
前記第二軸に連結される第三リンクバーと前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部周りに回転自在に連結される第四リンクバーとが回転可能に連結されてなる第二リンク機構と、
前記第一扉体の内側端部表側コーナー部と前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に保持するように、前記第一扉体側に固定可能かつ前記第一扉体に対して前記第二扉体を回転自在に連結可能な第三リンク機構とを備え、
前記開状態において、前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持したままで、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転し、
前記第一扉体と前記第二扉体とのなす角度が略90度になったとき、前記第二リンク機構が、前記第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に規制するとともに、さらに前記第二扉体が前記第一扉体に対して回転することで、前記第一リンク機構の回転阻止が解除され、回転の中心を前記第一軸から前記第二軸に切り替え、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第二軸を中心に回転し、
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第三リンク機構は、前記第一扉体側に固定されかつ前記第一扉体に対して前記第二扉体を回転自在に連結し、回転の中心を前記第二軸から前記第三軸に切り替えて、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第三軸を中心に回転し、
前記第一扉体が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸から前記第四軸に切り替えて、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第四軸を中心に回転することで、前記第三リンク機構の固定を解除して、前記閉状態にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の指挟み防止折戸。
【請求項4】
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第一リンク機構は、前記所定位置とは異なる位置で、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を再度阻止する機能を有し、
前記第一リンク機構及び前記第二リンク機構を前記第三リンク機構としたことを特徴とする請求項3に記載の指挟み防止折戸。
【請求項5】
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第二リンク機構は、前記第三リンクバーに対する前記第四リンクバーの回転を阻止するとともに、前記第二軸の回転を阻止する機能を有し、
前記第二リンク機構を前記第三リンク機構としたことを特徴とする請求項3に記載の指挟み防止折戸。
【請求項6】
前記第二扉体の有する走行体に前記第四軸を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の指挟み防止折戸。
【請求項7】
前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーと前記第二リンクバーとが第一ジョイントによって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転するときに、前記第一リンクバー又は前記第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持することを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか一つに記載の指挟み防止折戸。
【請求項8】
前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーと前記第二リンクバーとが第一ジョイントによって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転するときに、前記第一リンクバー又は前記第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持し、
前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーにはさらに第二凹溝が形成され、前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したときに、前記第一ボールプランジャーが前記第二凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を再度阻止した状態を保持することを特徴とする請求項4に記載の指挟み防止折戸。
【請求項9】
外側端部が回転自在に固定されるか又は回転自在にガイドレールに案内される第一扉体及び前記ガイドレールに案内される走行体を有する第二扉体の内側端部同士を連結し、前記ガイドレールに略垂直方向に折り畳んだ開状態から閉状態に又はその逆に開閉自在とする折戸の蝶番であって、
前記第一扉体の内側端部裏側コーナー部周りに又は前記第一扉体及び第二扉体の対向する内側端部裏側コーナー部間に回転自在に取付けられた第一軸と、
前記第一軸よりも前記第一扉体の外側端部側に設けられた回転自在の第二軸と、
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部周りに回転自在に取付けられた第三軸と、
前記第一軸に連結される第一リンクバーに対して、前記第三軸に連結される第二リンクバーが回転可能でかつその回転を所定位置で阻止可能に連結されてなる第一リンク機構と、
前記第二軸に連結される第三リンクバーと前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部周りに回転自在に連結される第四リンクバーとが回転可能に連結されてなる第二リンク機構と、
前記第一扉体の内側端部表側コーナー部と前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を許容値以下に保持するように、前記第一扉体側に固定可能 かつ前記第一扉体に対して前記第二扉体を回転自在に連結可能な第三リンク機構とを備え、
前記開状態において、前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持したままで、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転し、
前記第一扉体と前記第二扉体とのなす角度が略90度になったとき、前記第二リンク機構が、前記第一扉体の内側端部と第二扉体の内側端部裏側コーナー部間の隙間を前記許容値以下に規制するとともに、さらに前記第二扉体が前記第一扉体に対して回転することで、前記第一リンク機構の回転阻止が解除され、回転の中心を前記第一軸から前記第二軸に切り替え、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第二軸を中心に回転し、
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第三リンク機構は、前記第一扉体側に固定されかつ前記第一扉体に対して前記第二扉体を回転自在に連結し、回転の中心を前記第二軸から前記第三軸に切り替えて、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第三軸を中心に回転し、
前記第一扉体が前記ガイドレールと略平行になったとき、回転の中心を前記第三軸から、前記第三軸よりも前記第二扉体の外側端部側に設けられた回転自在の前記走行体に切り替えて、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記走行体を中心に回転することで、前記第三リンク機構の固定を解除して、前記閉状態にすることを特徴とする指挟み防止折戸専用の蝶番。
【請求項10】
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第一リンク機構は、前記所定位置とは異なる位置で、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を再度阻止する機能を有し、
前記第一リンク機構及び前記第二リンク機構を前記第三リンク機構としたことを特徴とする請求項9に記載の指挟み防止折戸専用の蝶番。
【請求項11】
前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したとき、前記第二リンク機構は、前記第三リンクバーに対する前記第四リンクバーの回転を阻止するとともに、前記第二軸の回転を阻止する機能を有し、
前記第二リンク機構を前記第三リンク機構としたことを特徴とする請求項9に記載の指挟み防止折戸専用の蝶番。
【請求項12】
前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーと前記第二リンクバーとが第一ジョイントによって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転するときに、前記第一リンクバー又は前記第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持することを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか一つに記載の指挟み防止折戸専用の蝶番。
【請求項13】
前記第一リンク機構は、前記第一リンクバーと前記第二リンクバーとが第一ジョイントによって回転可能に連結されるとともに、前記第二扉体が前記第一扉体に対して前記第一軸を中心に回転するときに、前記第一リンクバー又は前記第二リンクバーに設けられた第一ボールプランジャーが、前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーに形成された第一凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を阻止した状態を保持し、
前記第一ボールプランジャーに対向する前記第二リンクバー又は前記第一リンクバーにはさらに第二凹溝が形成され、前記第二扉体の内側端部裏側コーナー部が前記第一扉体の内側端部表側コーナー部に対向する位置まで移動したときに、前記第一ボールプランジャーが前記第二凹溝に嵌合することで、前記第一リンクバーに対する前記第二リンクバーの回転を再度阻止した状態を保持することを特徴とする請求項11に記載の指挟み防止折戸専用の蝶番。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−31627(P2012−31627A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171491(P2010−171491)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000145437)株式会社ウッドワン (70)
【Fターム(参考)】