説明

指紋跡汚れ防止塗料組成物及びその塗膜

【課題】高光沢であり、かつ、指紋が付着し難く、ふき取り易い高外観な塗膜が得られる指紋跡汚れ防止塗料組成物及びその塗膜を提供する。
【解決手段】紫外線硬化性化合物と、光開始剤と、溶剤と、乾燥質量を基準として0.1質量%以上0.4質量%以下の量のフッ素化合物と、乾燥質量を基準として0.5質量%以上3.0質量%以下の量の、平均一次粒子径が0.6μmよりも大きく1.5μm以下のフィラー2よりなる指紋跡汚れ防止塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高光沢で、指紋が付着し難く、ふき取り易い高外観な塗膜が得られる指紋跡汚れ防止塗料組成物及びその塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル、携帯電話筐体などの人間が直接触れる部位において、指紋跡による汚れが課題となっている。特に、艶消し(マット)タイプよりも高光沢なタイプにおいて指紋跡による汚れが目立ち易い。なお、本発明において、指紋跡とは、人間の手の接触に伴う指紋や手垢などの汚染物の付着を意味する。
【0003】
被塗布物に塗布される塗料における耐指紋対策としては、塗膜表面を低エネルギー化させるために、撥水・撥油性のあるフッ素を含有する塗料で塗膜を形成する方法が、従来より提案されている。しかし、フッ素を含有する塗膜は指紋の主成分である皮脂を完全にはじくことができず、また、指紋が凝集する傾向があるため、かえって指紋が目立ち易いという問題が指摘されている(例えば、特許文献1を参照。)。そこで、特許文献1では、塗料の膜形成成分として主骨格に酸素原子を有するものを用いて塗膜の表面自由エネルギーを高めて指紋の主成分である皮脂の接触角が小さくなるようにしたり、その結果、塗膜に指紋が付着しても指紋を濡れ広がらせることによって指紋を目立ち難くしている。
【0004】
また、表面にシリカ微粒子を混合した塗膜を設けることで、接触面積を減らして汚れをつき難くする技術がある(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−314609号公報
【特許文献2】特開平10−310455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、指紋跡を広がらせて目立ち難くすることができるが、塗膜の表面に付着した汚れを取り除くことができず、かえって汚れが目立つという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に開示の技術では、塗膜の表面と皮脂との接触面積を減らすことができるが、塗膜表面に接触した部分の汚れが表面に付着してしまい、かえって汚れが目立つという問題があった。
【0008】
特に高光沢の塗膜では、指紋独特の白ぼやけた汚れが特に目立って見えてしまう。そこで、本発明は、高光沢であり、かつ、指紋が付着し難く、ふき取り易い高外観な塗膜が得られる指紋跡汚れ防止塗料組成物及びその塗膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、汚れが吸着し難いように塗膜表面を低エネルギー化させることによって、布などの表面エネルギーの高い素材で拭き取れば、汚れが表面エネルギーの高い物質(布など)の方へ移行していくと考え、塗膜表面を低エネルギー化させることとした。さらに、指紋の付着量を減少させるために、塗膜表面に微細な凹凸をつけ、指との接地面積の低減化を図った。具体的には、本発明に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物は、紫外線硬化性化合物と、光開始剤と、溶剤と、乾燥質量を基準として0.1質量%以上0.4質量%以下の量のフッ素化合物と、乾燥質量を基準として0.5質量%以上3.0質量%以下の量の、平均一次粒子径が0.6μmよりも大きく1.5μm以下のフィラーと、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物では、前記フィラーはタルクであることが好ましい。タルクは、吸着性、吸水性に優れているため、凸部に指紋の成分が吸収され、目視される指紋跡を減少させることができる。また、透明感に優れた塗膜が得られる。
【0011】
本発明に係る指紋跡汚れ防止塗膜は、本発明に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物を被塗布物の表面に塗布して得られたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高光沢であり、かつ、指紋が付着し難く、ふき取り易い高外観な塗膜が得られる指紋跡汚れ防止塗料組成物及びその塗膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】指で塗膜に触れたときの指紋付着を説明する図であり、(a)は塗膜にフィラーが含有されておらず、指紋付着し易い形態例、(b)は塗膜にフィラーが含有されており、接地面積が減少し、指紋付着し難い形態例、を示す。
【図2】油性インキの拭き取り評価結果を示す画像であり、実施例1と比較例8とを比較している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。また、本発明の効果を奏する限り、実施形態を変形してもよい。
【0015】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物は、紫外線硬化性化合物と、光開始剤と、溶剤と、乾燥質量を基準として0.1質量%以上0.4質量%以下の量のフッ素化合物と、乾燥質量を基準として0.5質量%以上3.0質量%以下の量の、平均一次粒子径が0.6μmよりも大きく1.5μm以下のフィラーと、を含む。
【0016】
指紋跡(指紋汚れ)は、約98%が水分であり、約2%が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの無機成分と、乳酸、アミノ酸、尿酸などの有機成分とで構成されている。このような成分で構成されているため、水分が蒸発した後も汚れとして残り、分子間力で吸着することで拭き取りづらい状態になっていく。そこで、本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物では、前述したように、指紋跡の易拭き取りは、塗膜表面の低エネルギー化で対応し、指紋跡の付着防止は、塗膜表面に微細な凹凸をつけ、指との接地面積の低減化を図ることとしている。そして、凹凸物を形成するフィラーが、凸部において指紋の成分の吸収をすることとしている。
【0017】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物では、ベース樹脂を紫外線硬化型樹脂とする。紫外線硬化型樹脂は、一般的に、モノマー、オリゴマー(プレポリマー)、光開始剤と添加剤で構成されている。紫外線(以下、UV光ともいう)の照射を受けると、この光開始剤がモノマー(液体)状態からポリマー(固体)状態に転換させる(すなわち「光重合反応」を起こす。)。ここで、モノマーは、樹脂の希釈剤であり、硬化後、これも樹脂の一部となる。オリゴマーは、最終的にはポリマー(固体)になるモノマー(液体)との中間的な物質で樹脂の主成分のことである。光開始剤は、紫外線を照射されると光重合反応を開始する化合物である。
【0018】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ系樹脂等を挙げることができる。
【0019】
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂の場合、紫外線硬化性化合物として、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、若しくはプレポリマーを反応させて得られた生成物と、この生成物と反応させる2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーとを例示できる(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
【0020】
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂の場合、紫外線硬化性化合物として、ポリエステルポリオールと、これに反応させる2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーとを例示できる(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
【0021】
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の場合、紫外線硬化性化合物として、オリゴマーとしてエポキシアクリレートと、これに反応させる反応性希釈剤と、光開始剤とを例示できる(例えば、特開平1−105738号)。光開始剤としては、ベンゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もしくは2種以上を選択して使用することができる。
【0022】
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の場合、紫外線硬化性化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0023】
これらの樹脂は公知の光増感剤と共に使用してもよい。また上記光開始剤も光増感剤としても使用できる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレート系の光開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光開始剤又光増感剤は該組成物の1〜6質量%であることが好ましい。
【0024】
モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
【0025】
例えば、紫外線硬化型樹脂としては、市販のものを使用することが可能であるが、塗膜の光沢感を有することが好ましく、高光沢感の観点から、好ましくは、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレートなどとすることが好ましい。紫外線硬化型樹脂は単独使用が好ましい。例えば、紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂とを併用して密着性を改善することができるが、紫外線硬化型樹脂は単独使用によって高光沢感を高められる。
【0026】
溶剤としては、公知のものが利用できる。例えば、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロンなどのエステル類、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類などの有機溶剤を使用することができる。さらに、環境負荷をさらに低減させるために、水系媒体を使用してもよい。水系媒体とは、水及び親水性のある有機溶剤の混合物である。親水性のある有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチルなどのエステル類である。本実施形態では、液状溶媒の種類に制限されるものではなく、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合させて使用してもよい。ただし、本発明の目的を考慮して、トルエン及びキシレンのどちらも含まない、トルエン・キシレンフリーの環境負荷がより小さい溶媒を選択することが好ましい。このうち、揮発速度の遅い溶媒を選定することで、平滑感が高まり、レベリング性の向上が見られる。具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル(スワソルブETB)が好ましい。本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物における溶媒の含有量は、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
【0027】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物は、乾燥質量を基準として0.1質量%以上0.4質量%以下の量のフッ素化合物を含有する。好ましくは0.12質量%以上〜0.38質量%以下の量のフッ素化合物とし、更に好ましくは0.15質量%以上0.35質量%以下の量のフッ素化合物とする。本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物は、塗膜にされると、フッ素化合物が塗膜表面及び塗膜内部で配向する。フッ素化合物は、撥水・撥油剤として塗料組成物に含有され、紫外線硬化型樹脂の硬化時に塗膜表面ならず、塗膜中に存在することから、一緒に重合して、塗膜内部にも存在している。なお、熱硬化型樹脂の塗料組成物にフッ素化合物を含有させても、混ざっているだけであるため、時間の経過と共にフッ素化合物が表面に浮き出てくるといった挙動を生ずる。本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物を用いた塗膜では、フッ素化合物がその内部で重合によって固定されており、塗膜表面に浮き出てくることが抑制されている。したがって、使用と共に塗膜の磨耗が生じても、新たに露出した面にはフッ素化合物がその表面において配向しているため、フッ素化合物の効果に持続性がある。ここで、フッ素化合物の効果とは、指紋跡の拭き取り性が高いことである。すなわち、一般的な紫外線硬化型塗料ではシリコン系、アクリル系などの添加剤を使用し,トップコートとして必要なレベリング性などを出している。しかし、このようなレベリング剤では塗膜表面のエネルギーが高く、指紋跡が付着し易い塗膜となってしまう。そこでフッ素化合物を含有させることで、塗膜の表面エネルギーを低下させることができる。乾燥質量を基準としてフッ素化合物が0.1質量%未満であると、指紋跡の拭き取り性が低下する。一方、乾燥質量を基準としてフッ素化合物が0.4質量%を超えると、外観(レベリング性)の低下が見られる。
【0028】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物は、乾燥質量を基準として0.5質量%以上3.0質量%以下の量の、平均一次粒子径が0.6μmよりも大きく1.5μm以下のフィラーを含有する。好ましくは0.8質量%以上2.7質量%以下の量のフィラーとし、更に好ましくは1.1質量%以上2.4質量%以下の量のフィラーとする。フィラーの平均一次粒子径は、好ましくは0.7μm以上1.4μm以下とし、より好ましくは0.8以上1.3μm以下とする。フィラーの量が0.5質量%未満であると、指紋跡を減らす性能の発現が少なく、3.0質量%を超えると、粉物感が出てきてしまう。また、フィラーの平均一次粒子径が0.6μm以下であると、フィラー無添加の場合と差がなくなり、1.5μmを超えると、クリヤ感を阻害してしまい、粒感が残る。なお、フィラーの平均一次粒子径の測定方法としては、レーザー回折法を用いる。そして、フィラーによって塗膜表面に凹凸をつける。図1は、指で塗膜に触れたときの指紋付着を説明する図であり、(a)は塗膜にフィラーが含有されておらず、指紋付着し易い形態例、(b)は塗膜にフィラーが含有されており、接地面積が減少し、指紋付着し難い形態例、を示す。凹凸をつける際の留意点として、塗膜の高光沢を維持する必要がある。本来は、塗膜光沢を低下させるために、無機、有機の粒子径をコントロールした体質顔料を混合して凹凸をつける手法を行っている。このように凹凸をつける行為は高光沢を目的とする場合には本来ならば適さない処方となっている。そのような中で、凹凸を付ける為に下記2点を考慮した。
(1)透明性の優れる特殊フィラーを使用する。
(2)添加しても光沢に影響を及ぼさない。
また、上記2点を満たす原料の中で、吸水、吸油性能に優れるものを設定し、指紋成分を取り込み、目視される指紋量を低減させる様な原料を選定した。フィラーとしては、具体的には、無機顔料、好ましくは乾式法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカなどの微細シリカ、アルミナがあるが、より好ましくはタルクとする。透明感に優れた塗膜が得られる。また、スリップ性も得られる。タルクにおいては、吸油量が例えば0.52〜0.55ml/100g程度の細孔が大きく、吸油量に優れたものを使用することが好ましい。
【0029】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物にフィラーが含有されていることとなるが、塗膜にされれば、塗膜表面のみならず、塗膜内部にも分散している。塗膜表面に露出したフィラーは、前記のとおり、その凸部に指紋の成分が吸収され、目視される指紋跡を減少させる役割を果たす。そして、塗膜内部にも分散したフィラーは、使用と共に塗膜の磨耗が生じても、新たに露出した面において、凸部を形成する。よって、指紋の成分を吸収する効果に持続性がある。
【0030】
本実施形態に係る指紋跡汚れ防止塗料組成物の塗布方法は、例えば、ロールコート方式、スプレー方式、ディップ方式、はけ塗り方式などの公知の塗布方法を選択することができる。硬化後の塗膜厚さは、7〜15μmとすることが好ましい。より好ましくは、8〜14μmである。7μm未満では、効果が発揮できない場合・塗膜の物性としての問題などがあり、15μmを超えると、作業性が悪くなり、経済的にも好ましくない。また1回の塗布で所望の厚さを塗布してもよいし、複数回塗布することで所望の厚さとしてもよい。
【0031】
指紋跡汚れ防止塗料組成物は、塗布乾燥された後、すなわち溶媒を揮発させた後、紫外線を光源より照射する(照射時間は例えば30秒〜3分、ピーク強度は50〜80mW/cmとする。)。
【0032】
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は400〜800mJ/cm程度あればよく、好ましくは、500〜700mJ/cmである。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある光増感剤を用いることによって使用できる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例における塗料組成物の固形分濃度は、溶媒の揮発などの影響により、最大±10%の変動が生じうるが、塗料組成物の調合における目標固形分濃度を意味する。
【0034】
(実施例1)
[基材]
基材として、アクリロニトリルブタジエンスチレン製の板((横)50mm×(縦)150mm×(厚さ)2mm)を使用した。基材は、金型射出成型において転写された表面とし、密着層などの形成はしなかった。
[塗料組成物の調整]
紫外線硬化性化合物として紫外線硬化型樹脂(DIC社製、ユニディックRS27−941)を68質量部と、光開始剤(チバ・ジャパン社製、型番イルガキュア#754)を3質量部と、溶剤として酢酸ブチル(共栄溶剤社製)を27.8質量部と、フッ素化合物(DIC社製、メガファックF-482、有効成分20質量%)を0.5質量部と、フィラーとしてタルク(日本タルク(株)社製、NANO ACE D−1000、平均一次粒子径が1.0μm、吸油量;54ml/100g、有効成分100質量%)を0.7質量部と、を配合し、塗料組成物1を調整した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.15質量%の量となり、フィラーは、乾燥質量を基準として1.1質量%の量となるように調整した。塗料組成物1の固形分濃度は約65質量%であった。
[塗膜の形成]
前記基材に塗料組成物1をエアースプレー法で塗装し、60℃・5分の乾燥を行った後、ピーク強度60〜80mW/cm、積算光量400〜700mJ/cm、のUV照射条件にて、紫外線照射を行って、塗膜の光重合を行った。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0035】
(実施例2)
フィラーとして、タルク(日本タルク(株)社製、NANO ACE D‐800、平均一次粒子径が0.8μm、吸油量;55ml/100g)を0.7質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物2を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0036】
(実施例3)
フィラーとして、タルク(日本タルク(株)社製、FG−15、平均一次粒子径が1.5μm、吸油量;53ml/100g)を0.7質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物3を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0037】
(実施例4)
溶剤を26.5質量部、フィラーを2質量部とし、フィラーを、乾燥質量を基準として3.0質量%の量となるように調整し、塗料組成物の固形分濃度を約65質量%とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物4を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0038】
(実施例5)
溶剤を28.1質量部、フィラーとして、タルクを0.3質量部とし、フィラーを、乾燥質量を基準として0.5質量%の量となるように調整し、塗料組成物の固形分濃度を約65質量%とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物5を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0039】
(実施例6)
フッ素化合物を1.2質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物6を調整し、塗膜を形成した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.4質量%の量となるように調整した。塗料組成物6の固形分濃度は約65質量%であった。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0040】
(実施例7)
フッ素化合物を0.3質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物7を調整し、塗膜を形成した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.1質量%の量となるように調整した。塗料組成物7の固形分濃度は約65質量%であった。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0041】
(比較例1)
[基材]
基材として、アクリロニトリルブタジエンスチレン製の板((横)50mm×(縦)150mm×(厚さ)2mm)を使用した。基材は、金型射出成型において転写された表面とし、密着層などの形成はしなかった。
[塗料組成物の調整]
熱乾燥性樹脂として(DIC社製、アクリディックA−166)を30質量部、紫外線硬化型樹脂(DIC社製、ユニディックRS27−941)を38質量部と、光開始剤(チバ・ジャパン社製、型番イルガキュア#754)を3質量部と、溶剤として酢酸ブチル(共栄溶剤社製)を27.8質量部と、フッ素化合物(DIC社製、メガファックF−482、有効成分20質量%)を0.5質量部と、フィラーとしてタルク(日本タルク社製、NANO ACE D−1000、平均一次粒子径が1.0μm、吸油量;54ml/100g、有効成分100質量%)を0.7質量部と、を配合し、塗料組成物8を調整した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.2質量%の量となり、フィラーは、乾燥質量を基準として1.5質量%の量となるように調整した。塗料組成物8の固形分濃度は約48質量%であった。
[塗膜の形成]
前記基材に塗料組成物8をエアースプレー法で塗装し、70℃・10分の乾燥を行った後、硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0042】
(比較例2)
フィラーとして、タルク(日本タルク(株)社製、型番NANO ACE D‐600、平均一次粒子径が0.6μm、吸油量;57ml/100g)を0.7質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物9を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0043】
(比較例3)
フィラーとして、タルク(日本タルク(株)社製、型番SG−95、平均一次粒子径が2.5μm、吸油量;47ml/100g)を0.7質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物10を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0044】
(比較例4)
溶剤を26質量部、フィラーを2.5質量部とし、フィラーを、乾燥質量を基準として3.8質量%の量となるように調整し、塗料組成物の固形分濃度を約65質量%とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物11を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0045】
(比較例5)
溶剤を27.8質量部、フィラーとして、タルクを0.25質量部とし、フィラーを、乾燥質量を基準として0.4質量%の量となるように調整し、塗料組成物の固形分濃度を約65質量%とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物12を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0046】
(比較例6)
フッ素化合物を1.5質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物13を調整し、塗膜を形成した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.5質量%の量となるように調整した。塗料組成物13の固形分濃度は約65質量%であった。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0047】
(比較例7)
フッ素化合物を0.1質量部とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物14を調整し、塗膜を形成した。なお、フッ素化合物は、乾燥質量を基準として0.03質量%の量となるように調整した。塗料組成物14の固形分濃度は約65質量%であった。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0048】
(比較例8)
フィラーを0質量部とし、フィラーを、乾燥質量を基準として0質量%の量となるように調整し、塗料組成物の固形分濃度を約65質量%とした以外は実施例1と同様にして塗料組成物15を調整し、塗膜を形成した。硬化後の塗膜膜厚は10μmであった。
【0049】
実施例及び比較例の評価に用いた測定法を以下に示す。耐指紋性能を定量的に評価する
手法は確立されていないため。下記4試験(1)〜(4)から耐指紋性能を総合的に判断した。
【0050】
[(1)人工指紋液による付着,拭き取り]
1.JIS人工汗に着色剤を配合し、シリコン製ゴムに付着させる。
2.人工汗を付着させたシリコン製ゴムに1kg荷重をかけ、塗膜表面に押印する。
3.塗膜表面に付着した人工汗の付着の程度で付着性能を評価する。
人工指紋液がブランク(塗膜を付していない基板)と比較し残りづらい(全面に広がりづらい)とき、付着しがたいと判断した(○・・・実用レベル)。
人工指紋液がブランクと比較し残り易い(全面に広がり易い)とき、付着し易いと判断した(△・・・実用下限をやや満たさず不適、×・・・実用不適)。
4.摺動摩耗試験機にて、塗板に付着した人工汗を拭き取り、拭き取り易さを評価する。
人工指紋液がブランクと比較し布で拭取れている(布へ人工指紋液が移行している)とき、拭き取り易いと判断した(○・・・実用レベル)。
人工指紋液がブランクと比較し布で拭取れていない(布へ人工指紋液が移行せず伸び広がっている)とき、拭き取り難いと判断した(△・・・実用下限をやや満たさず不適、×・・・実用不適)。
【0051】
なお、人工汗は、JIS L0848:2004に準じて作製した。すなわち、酸性人工汗は、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g、りん酸二水素ナトリウム二水和物2.2gを水に溶かし、これに0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液15mlと水とを加えてpHが5.5で全容が1lとなるように調製した。アルカリ性人工汗は、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物0.5g、塩化ナトリウム5g、りん酸水素二ナトリウム・12水和物5gを水に溶かし、これに0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液25mlと水とを加えてpHが8.0で全容が1lとなるように調製した。
【0052】
[(2)人的評価(年齢、体型、性別などの異なる複数人による指紋の付着,拭き取り)]
男性12名(20代6名、30代4名、40代1名、50代1名)、女性3名(20代2名、30代0名、40代1名、50代0名)を評価者として、塗板を1回、5秒間保持して、指紋を付着させる。フィラー及びフッ素化合物を配合していない比較例8と比較し指紋汚れが目立たない(確認しづらい)とき、付着しがたい(○・・・実用レベル)と判断した。比較例8と比較し指紋汚れが目立ち易い(確認し易い)とき、付着し易い(△・・・実用下限をやや満たさず不適、×・・・実用不適)と判断した。また、摺動摩耗試験機にて、塗板に付着した汗を拭き取り、拭き取り易さを評価する。比較例8と比較し指紋汚れが目立たない(確認しづらい)のとき、拭き取り易い(○・・・実用レベル)と判断した。比較例8と比較し指紋汚れが目立ち易い(確認し易い)のとき、拭き取り難い(△・・・実用下限をやや満たさず不適、×・・・実用不適)と判断した。
【0053】
[(3)接触角(水、n‐ヘキサデカン)測定]
水や油分の塗膜表面に対する馴染み具合から、指紋汚れの塗膜上における状態を確認することを目的とする。接触角が高い数値の方が、水や油をはじき付着し難く、拭き取り易いものと考える。接触角測定は、JIS K 2396法に準じて行った。すなわち、塗膜表面上に水又はn‐ヘキサデカンの液滴(0.5〜1程度ml)を垂らし、液滴の角度θを測定した。θの角度により、塗膜の濡れ性の良し悪しを確認する。θの角度が大きい程、塗膜の濡れ性が悪く、θの角度が小さい程、塗膜の濡れ性が良いといえる。
【0054】
さらに、塗膜の薬品による影響や摩耗後における撥水・撥油性の維持を評価するために、ATラビング(アセトンでの拭き取り試験)を行った後、前記接触角測定を行った。ガーゼにアセトンを含ませた後、拭き取り動作を5往復させた場合と10往復させた場合について評価を行った。
【0055】
[(4)インキ痕の付着確認,拭き取り]
塗膜の防汚性能を確認する手法の一つとして、インキ汚れ、そのふき取り性能を確認した。具体的には、塗膜に、油性マーカー(商品名;artline(Shachihata),商品名;sign pen(レッド)(Pentel),商品名;ペイントマーカー(WHITE)(ポケット),商品名;サクラタッチペン(サクラ))にて書き込みを行い、インク付着性を目視した。
インキをはじいた場合、付着防止性があるとした(○・・・実用レベル)。
インキをはじかない場合、付着防止性がないとした(×・・・実用不適)。
また、インキ乾燥後、ガーゼによって拭き取りを行い、拭き取りできるかどうかを確認した。
インキが拭き取れた場合、拭き取り性があるとした(○・・・実用レベル)。
インキが拭き取れない場合、拭き取り性がないとした(×・・・実用不適)。
【0056】
塗膜性能評価については、次の(5)〜(14)のとおり行った。
(5)レベリング
目視によって、塗膜の平滑性を光沢感によって判断した。なお、光沢感には、塗膜が白ボケしていないか(粉物感が残っていない)の要素も含ませた。
光沢感が優れている・・・◎(実用レベル)
光沢感がある・・・○(実用レベル)
光沢感が不十分・・・△(実用不適)
光沢感がない・・・×(実用不適)
【0057】
(6)初期付着試験
1mm碁盤目テープ密着試験
JIS K5600−5−6:1999「クロスカット法」に準じて、1mm×1mmの碁盤目状の切込みを100個入れ、粘着テープによる剥離試験を行った。評価基準についても同規格に準じて評価を行った。碁盤目カットした後にテープを付着させ、付着試験を行い、テープ付着−テープ試験を5回行った。
0:(実用レベル)
1〜5:(実用不適)
【0058】
(7)鉛筆硬度試験
JIS K−5600−5−4:1999「引っかき硬度:鉛筆法」に準じて試験を行い、三菱鉛筆・商品名ユニの硬度Hにて傷跡が生じなかったか否かで評価を行った。傷跡ありを×、傷跡なしを○とした。
【0059】
(8)砂消し摩耗試験
砂消しゴム(ライオン社製、GAZA261−01相当)を用いて、1kg荷重・1000往復の条件で、塗膜剥がれの有無を調べた。
剥がれなし・・・○(実用レベル)
剥がれあり・・・×(実用不適)
【0060】
(9)耐湿付着試験
65℃×95%RH×48hrの条件にて保持した後、塗膜剥がれの有無を調べた。
剥がれなし・・・○(実用レベル)
剥がれあり・・・×(実用不適)
【0061】
(10)耐熱性試験
80℃×24hrの条件にて保持した後、塗膜剥がれの有無を調べた。
剥がれなし・・・○(実用レベル)
剥がれあり・・・×(実用不適)
【0062】
(11)耐低温性試験
20℃×72hrの条件にて保持した後、塗膜剥がれの有無を調べた。
剥がれなし・・・○(実用レベル)
剥がれあり・・・×(実用不適)
【0063】
(12)温度サイクル試験
40℃×1hrの後、85℃×1hrの条件を1サイクルとして、これを10サイクル行った後、塗膜剥がれの有無を調べた。
剥がれなし・・・○(実用レベル)
剥がれあり・・・×(実用不適)
【0064】
(13−1)耐薬品性試験
塗膜面にクロス状の切り傷を付け、JIS人工汗(酸性又はアルカリ性)に25℃で48時間浸漬させた。その後、水道水で洗浄し、自然乾燥した。試験前後の塗膜の外観変化を観察し、下記の基準で評価を行った。
○:異常なし(実用レベル)
×:異常あり(実用不適)
(13−2)耐薬品性試験
塗膜面にクロス状の切り傷を付け、ヒマシ油に25℃で48時間浸漬させた。その後、水道水で洗浄し、自然乾燥した。試験前後の塗膜の外観変化を観察し、下記の基準で評価を行った。
○:異常なし(実用レベル)
×:異常あり(実用不適)
【0065】
(14)耐候性試験
SWOM(スガ試験機(株)社製、型番 S80B)を150hr行った前後で、黄変が生じたか否かを評価した。具体的にはJIS K 5400 9.8項によるΔEを求めた。
ΔEが3以内・・・変色が少ない(○・・・・実用レベル)
ΔEが3超・・・変色が多い(×・・・・実用不適)
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
各種評価結果をまとめて表1及び表2に示す。なお、表2において「‐」は、評価を行った項目で、実用不適と判断されるものがあったため、評価を省略したことを示す。実施例1〜7は、いずれも比較例1〜8と比較して、撥水性・撥油性に優れ、指紋・各種マーカーなど多くの汚れを付着し難く、拭き取り易い塗料であることが確認できた。これらのことから本塗料組成物が耐指紋性能に優れた塗料であることがわかった。
【0069】
比較例1は、ベース樹脂として熱硬化成分配合の為、塗膜物性(高光沢感・高レベリング性など)の低下があった。比較例2は、フィラー径が小さすぎるため、ブランクと比較し効果が確認しづらかった。比較例3は、フィラー径が大きすぎるため、クリヤ感を阻害してしまい、粒感が残った。比較例4は、フィラー添加量多いため、粉物感が残った。比較例5は、フィラー添加量少ないため、性能の発現が少なかった。比較例6は、フッ素量が多いため、各種成分との相溶性に問題があり、塗膜が白ぼけてきた。性能的にハジキなどの不具合が発生する、価格が高いなど添加と共に前記の傾向が強まる。比較例7は、フッ素量少なく、耐指紋性能が発現しづらかった。比較例8は、フィラー及びフッ素化合物を配合しておらず、所謂従来品に相当し、性能の発現が少ない。
【0070】
図2は、油性インキの拭き取り評価結果を示す画像であり、実施例1と比較例8とを比較している。図2に示すとおり、実施例1は油性インキ拭き取り性能に優れていることが確認できた。
【符号の説明】
【0071】
1.指
2.フィラー
3.塗膜
4.基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化性化合物と、光開始剤と、溶剤と、乾燥質量を基準として0.1質量%以上0.4質量%以下の量のフッ素化合物と、乾燥質量を基準として0.5質量%以上3.0質量%以下の量の、平均一次粒子径が0.6μmよりも大きく1.5μm以下のフィラーと、を含むことを特徴とする指紋跡汚れ防止塗料組成物。
【請求項2】
前記フィラーはタルクであることを特徴とする請求項1に記載の指紋跡汚れ防止塗料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の指紋跡汚れ防止塗料組成物を被塗布物の表面に塗布して得られたことを特徴とする指紋跡汚れ防止塗膜。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−208095(P2011−208095A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79698(P2010−79698)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年10月1日 オリジン電気株式会社発行の「オリジンテクニカルジャーナル第72号」に発表
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】