説明

指静脈認証装置および情報処理装置

【課題】携帯電話などの小型情報処理装置に適用できるような小型かつ高精度な指静脈認証装置およびこれを用いた情報処理装置を提供する。
【解決手段】指に向けて光を照射する光源3と、指内にて散乱し腹側に透過した光による静脈画像を撮像する撮像素子と、撮像された画像を処理する画像処理部と、を備える指静脈認証装置であって、光源3は指の腹側に設置され、指の側面に向けて光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は指静脈認証装置およびこれを用いた情報処理装置に係わり、特に、指静脈認証装置を小型化するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
さまざまなセキュリティ技術の中でも、指静脈は高精度な認証を実現できるものとして知られている。指静脈認証は、身体内部の指静脈パターンを使用するために優れた認証精度を実現し、かつ指紋認証に比べて偽造・改ざんが困難であることにより高度なセキュリティを実現できる。
【0003】
この種の指静脈認証の従来例として、例えば、特開2006−155575号公報に記載の生体認証装置が知られている。この生体認証装置は、指を通過する光を照射する光源と、上記指を透過した光を撮像する撮像部と、上記指が所定位置に存在することを検知する指検知手段と、上記撮像部によって撮影された画像の中から上記指の占める領域を抽出する指領域抽出手段と、上記抽出された領域内部の特定部位の画質により上記撮像部における撮像素子の増幅率を変化させる利得変化手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−155575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指静脈認証は他の生体認証方式と比較して認証装置を小型化できる利点がある。しかしながら、近年では、携帯電話などの小型情報装置を利用した電子商取引やオンラインバンクの普及により、指静脈認証装置をさらに小型化して小型情報装置に適用できるようにすることが望まれる。
【0006】
特開2006−155575号公報に記載の生体認証装置は、透過光による指静脈パターンの撮像において、外部環境の違いがあっても、それに影響されることなく、常に最適な静脈パターンの品質が得られる撮像方式であるものの、認証装置を小型化することについては記載されていない。
【0007】
そこで、本発明は、携帯電話などの小型装置に適用可能な指静脈認証装置およびこれを用いた情報処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、指に向けて光を照射する光源と、前記指内にて散乱し指腹側に透過した光による静脈画像を撮像する撮像素子と、前記撮像された画像を処理する画像処理部と、を備える指静脈認証装置であって、前記光源は指の腹側に設置され、指の側面に向けて光を照射することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯電話などの小型情報処理装置に適用可能な小型化かつ、高精度な指静脈認証装置およびこれを用いた情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係わる指静脈認証装置の斜視図である。
【図2】指静脈認証装置に指が載せ置かれている状態を示す斜視図である。
【図3】図1に係わる指静脈認証装置の小片の拡大図である。
【図4】指静脈認証装置の概略断面図である。
【図5】指静脈認証装置が固定された携帯電話の斜視図である。
【図6】撮像素子で得られた画像(歪あり)を示す。
【図7】撮像素子で得られた画像に歪補正書を施した後の補正画像を示す。
【図8】物高と歪(%)との関係を示す特性図である。
【図9】物高とレンズユニットの感度比との関係を示す特性図である。
【図10】指静脈認証装置の画像処理部のハードウエアブロック図である。
【図11】(1)は指静脈認証装置が固定された携帯電話の平面図、(2)は右側面図、(3)は正面図である。
【図12】指静脈認証装置が固定された携帯電話を片手で把持している状態を示す第1の実施形態に係わる斜視図である。
【図13】指静脈認証装置が固定された携帯電話を片手で把持している状態を示す第2の実施形態に係わる斜視図である。
【図14】図11(1)のA−A断面図である。
【図15】図11(2)のB−B断面図である。
【図16】減光フィルタを設置した指静脈認証装置の一実施例である。
【図17】光源(LED)から発生する光を筐体の照射口まで誘導するライトガイドを備えた指静脈認証装置の断面図である。
【図18】光源(LED)から発生する光を筐体の照射口まで誘導するライトガイドを備えた指静脈認証装置の一部断面斜視図である。
【図19】指静脈認証装置の第2の実施形態に係わる全体斜視図である。
【図20】図2の指静脈認証装置を指先側から見たときの断面図である。
【図21】遮光壁の第2の実施形態の断面図である。
【図22】遮光壁の第3の実施形態の断面図である。
【図23】光源の設置位置の一例を示す図である。
【図24】光源の配置位置を説明するための、筐体の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施形態について説明する。この指静脈認証装置では、指の腹側に設置された光の照射口14から光を指内に照射し、指内部で散乱して静脈を透過する光に基づく画像を撮像する撮像部と、この画像から静脈パターンを抽出して本人認証を行なう画像処理部とから構成される。
【0012】
指静脈認証装置の撮像部が被撮像部分の指静脈パターンの画像を鮮明に撮像するためには、以下の光学的な条件を満たすことが望まれる。一つは、指の皮膚の表面で反射した赤外光を撮像部が撮像しないことである。この条件を満たさないと、指静脈パターンの画像が、指の皮膚の表面のしわなどの不要な情報を含んでしまい、不鮮明になってしまう。もう一つの条件は、指静脈の存在する深さまで到達せずに散乱した赤外光を撮像部が撮像しないことである。この条件を満たさないと指静脈パターンの情報を含まない赤外光が、指静脈パターンのコントラストを低下させてしまう。
【0013】
図1は指静脈認証装置の一実施例の斜視図を示すものであり、全体が立方体状に形成された筐体10を持って構成されている。この筐体10の平面側には、図2に示すように指が載せ置かれる。筐体の平面側には、焦点距離を確保するために、認証対象の指と後述の光学系との離間させるための溝部12が設けられている。そして、光学系に短焦点・広画角のレンズユニットを適用した場合には、溝部12の深さをより低減でき、指静脈認証装置のサイズを厚さ方向に小型化できるという効果がある。
【0014】
溝部12の幅は、指幅よりも狭くなっている。ユーザは図2に示すように溝部12を全て覆うように指を置く。これにより、指側面に設置されている光照射口14から放出された光や外光が、溝部12上の指の腹側表面へ直接照射されるのを防ぐことができる。指表面で反射する光が少なくなるため、鮮明な静脈画像を撮影できる。
【0015】
前記溝部12の底面24には、指からの透過光を取り込むための例えば矩形の透過光取込口20が設けられている。この開口にはIRフィルタが敷設されている。IRフィルタは太陽光や蛍光灯の光など、認証に不要な外光を遮断する。また、埃などが認証装置内部に進入するのを防ぐ。
【0016】
図1の符号16は比較的短い高さを持って指側に突出する壁である。この壁は指の両側で指の長手方向に沿って短冊状に形成され、かつ、一対の壁は互いに平行に向き合っているために、指が筐体10の平面に載せられた際に指を支持する機能を備えており、指が左右方向にずれるのを防ぐことができる。さらにこの壁16は、赤外光に対して不透明な素材で作成されている。これにより筐体の平面部の外縁側に複数配列された光の射出口14からの放出光を指底にではなく指の側面に誘導する機能をも持っている。指の側面から光を入射させると、撮影したい静脈パターンに対し指の深部に到達する光成分が増加する。また、これに伴い上述のような画質を低下させる反射光成分が減少するため、鮮明な透過光を撮影することが可能となる。
【0017】
壁16の長手方向のほぼ中心には、短矩形状で指側に突出する小突部18が存在する。この小突部は指の第1関節を指し示す役割を担っており、ユーザは指の第1関節が一対の小突部18に当たるように、指を筐体に載せることにより、後述のレンズユニット及び撮像素子が指の第1関節に付近にある静脈パターンを取り込むことができる。指の関節部分は、その前後の部位に比べて窄んでいることが多く、その窄んだ形状が上記小突部とうまく嵌りしやすい。指静脈認証では、指の第1関節付近の静脈パターンが高精度の生体識別に有用である。これは、関節付近は皮膚が薄く静脈が透けて見えやすいためである。小突部18は第一関節の位置だけでなく、指先を置く位置に設置してもよい。複数の点に触れて位置決めを行なうことで、指の提示位置が安定する。また、小突起18にはタッチセンサを設置してもよい。これにより、指が確実に筐体10へ置かれたことを検知し、撮影を行なうことができ、指の提示位置が毎回安定すると共に、指が装置から離れた状態で撮影することを防ぐ。透過光取込口20は指の第1関節付近の画像を取り込める面積を持った例えば矩形を呈している。例えば、長辺(20mm)短辺(10mm)の矩形になるように、透過光取込口20が設けられている。
【0018】
尚、指の第二関節周辺に関しても、上記と同じ理由で静脈が透けて見えやすい。したがって、小突部18を第二関節の位置合わせ用に流用して認証に供することも当然ながら可能である。但し、第二関節で位置合わせした場合、指が認証装置から指先側に大きくはみ出す形となり、認証装置を設置する場合に、指先側により広い開放空間が必要になる。認証装置をコンパクトに使用するためには、第一関節の使用が望ましい。
【0019】
図20(1)は図2の筐体10を指先側から見たときの光源3の設置位置を示す断面図である。光照射口14の内部には赤外光源3が埋め込まれている。光源3には例えばLEDを用いることができる。これは、図20(1)に示すような砲弾型LEDを用いてもよいし、上面が平面状のLEDでもよい。光源3は図20(1)で示すように、光源3の上面が筐体10より低い位置になるように、完全に埋め込んでもよいし、光源の上面がわずかに筐体より高い位置になるように設置してもよい。完全に埋め込んだ場合は、凹凸の少ない平面的な認証装置を実現できる。光源3の上面が筐体からわずかに飛び出すように設置した場合は、指と光源の距離が近くなるため、光源3から出力される光量が少なくても、静脈を撮影することが可能となる。よって装置の消費電力を抑えることができる。
【0020】
以下、光源3の設置位置について説明する。本発明の認証装置は光源3を指の腹側に設置する。従来の指静脈認証装置では光源を指の上側、または横側に設置していたため、指の上側や側面側に光源を支えるための筐体が必要であった。そのため、装置が厚くなっていた。光源を指の腹側に設置すると、指の上側や横側には筐体が不要になるため、装置を薄型化できる。さらに本発明では、後述するように指表面のしわの影響を軽減するために光源3を指の側面側に設置する。
【0021】
指表面には指紋や関節のしわが多数存在する。認証精度を高めるためには、しわの影響を抑えて静脈のみを鮮明に撮影しなければならない。しわの影響を抑えるためには、しわの向きを考慮した光源配置を行うとよい。例えば、しわの向きが指の長手方向と垂直の向きになっている場合、光源は指の側面側に設置する。これにより光源から照射された光の進路と、しわの向きとが平行になる。従って、光がしわの壁に衝突せずに撮像素子へ到達するため、しわの影響を抑えた画像を撮影できる。
【0022】
上述の通り、本発明では指の第一関節周辺を撮影し、認証を行なう。第一関節周辺のしわは指の長手方向に対し垂直の向きのものが多くを占める。よって本発明では、光源の設置位置を指の側面側とする。
【0023】
指静脈認証の画像処理では、画像中の各画素の輝度値を調べ、周囲の画素よりも輝度が低い画素を静脈であるとして抽出する。そのため、高精度な認証を行なうためには、指全体に均一な光量を照射し、輝度むらの少ない画像を撮影することが重要である。もし、光の照射に偏りがあり、一部の領域のみが暗く撮影されると、画像処理を行なった際に、その領域を誤って血管として抽出してしまう。
【0024】
図24は輝度むらの少ない画像を撮影するための光源3及び、光照射口14の配置例を示すものである。図24の(1)〜(6)は筐体10を上面から見た図である。
【0025】
光源3は、十分な明るさで指を照射することができれば左右に1個ずつの設置でも良いが、より画質を高めるためには図24(1)や図24(2)のように複数個の光源を指の長手方向に沿って配置することが望ましい。この場合、左右それぞれの側で、光源の間隔が均等になるように配置する。これにより、指先側から指根元側までを均一な明るさで照射することができる。さらに、後述するように、前後左右の光源の光量を独立で制御することが有効である。また、指の側面側の光源だけでは、指先と指根元側に十分な光が届かない場合があるため、図24(3)のように、指先と指根元側にも光源3を設け、補助的に照射を行なってもよい。
【0026】
光源3を複数配置する場合は全ての光源3を完全な等間隔に設置するのではなく、図24(6)のように中央付近の間隔を指先及び根元側の間隔より、やや広くしてもよい。本認証装置では上述の通り、溝部12の中央の位置に第一関節を置いて撮影を行なう。第一関節は皮膚が薄いため他の部位より少ない光量でも静脈を撮影することができる。そこで、光源3の設置場所は、第一関節の位置を避け、図24(6)のようにやや外側とする。これにより、第一関節以外の部位に強い光が当たり、第一関節にはやや弱い光が当たる。よって、画像全体の光量が均一になる。
【0027】
最適な光源配置は、撮影に用いる光学部品の特性によっても変化する。後述するように、指静脈認証装置の筐体を小型化するためには短焦点のレンズユニットを用いることが有効である。しかし、短焦点レンズは画像の周辺に行くほど感度が低下しやすいという性質を持つ。このようなレンズを用いて撮影を行なうと、画像中心から遠い領域、すなわち指先側、指根元側の領域は輝度が低くなってしまう。そこで、図24(4)や図24(5)のように光源3を上側と下側に寄せて配置する。これにより指を提示した際、指先側の側面と指根元側の側面に、より強い光が当たる。よって、撮影される画像は、全体の輝度が均一になる。
【0028】
図24(4)及び(5) のように指先、根元側に光源を配置した場合、光源から放出された光が、指先と指根元の腹側に回り込んでしまう場合がある。上述の通り、指の第一関節付近のしわを目立たせないためには、指の側面からの照射が有効であり、指先、根元の腹側へ光が回り込むのは防がなければならない。そこで、図24(4)のようにコの字型の壁16を設置する。あるいは、図24(5) のように壁16を指の長手方向に長く伸ばす。これによって指先、指根元の側面のみに光を照射することが可能となる。
【0029】
図20(1)で示す通り、光源3は指の左右側に、指置き台に対しほぼ垂直の向きで設置される。指は指先側から見ると丸い形状をしているため、光源3を指側面側に設置し、上方へ照射すると、指の高い位置に光を照射できる。これにより、静脈画像のコントラストが高まる。なお、図20(1)では、光源3が指の輪郭よりも外側に設置されているが、光源3は指の輪郭よりも内側(溝部12に近い側)に設置されていてもよい。これにより装置を小型化できる。光源を指輪郭より内側に設置した場合も、上述の側面照射と同等の効果を得ることができ、鮮明な静脈画像を撮影できる。
【0030】
また、光源3は溝部12から離れた位置に設置する。これにより指の底面に回りこむ光を抑えることができる。本発明者が光源3の設置位置を種々変えて具体的に検討したところ、溝部12の端と光源3の距離(図20(1)のC)を2mm以上にすると、指の底面へ回りこむ光が減少し、鮮明な静脈画像を撮影することが確認できた。
【0031】
光源3は図20(2)のようにやや内側を向けて設置してもよい。これにより、細い指が筐体10に置かれた場合でも、十分な量の光を指へ照射することができる。また、設置角度の違う光源3を複数個設置し、認証する指毎に点灯させる光源3を切り替えてもよい。これによって、様々な太さの指に対応することが可能となる。また、置かれた指によって、光源の設置角度を制御することにより調整してもよい。
【0032】
図1の符号22は、前記筐体10の指先側略端部と腕側略端部において、一対の壁部16からそれぞれから筐体中心に向かって突出する、一対の小片である。図1の矢視方向から眺めた前記小片の正面図を示す図3から明らかなように、小片22は筐体10の中心側に行くにしたがって高さが低くなるテーパ面22aを備えている。
【0033】
指を筐体10の平面側に載せると、指がこのテーパ面22Aにしたがって筐体の底面方向に誘導され指が筐体により密着するようになる。したがって、外光が指と筐体10との隙間から認証装置の筐体内部に進入することを防ぐことができる。
【0034】
図4は撮像部の構成を示す断面図である。図4に示す撮像部は、主としてレンズ装置33と撮像素子30とから構成されている。レンズ装置33と撮像素子30は、図1の光源14から照射された光が指の内部で散乱し、指全体に拡散したのち、透過光取り込み口20に向けて放出された透過光の光軸41に沿って配列されている。
【0035】
レンズ装置33は透過光を撮像素子30に結像するものであって、指側の第1レンズ34と撮像素子側の第2レンズ36とからなるレンズユニット38がレンズ筐体42に支持固定された構成を備えている。第1レンズ34と第2レンズ36とは互いに光軸に沿って対向するようにレンズ筐体42内に収納されている。
【0036】
第1レンズ34及び第2レンズ36は直径が約1mm〜1.5mm程度の極小径レンズであり、第1レンズ34は撮像素子30側が凹条に形成された凹レンズであり、第2レンズは指側が凸状に形成された凸レンズである。
【0037】
符号24は既述のとおり認証装置の筐体10の溝部12の底面を構成する領域であり、この筐体の形成された透過光取込口20がIRフィルタ40によって閉じられている。
【0038】
符号26は前記筐体10の底面に相当する。符号28は筐体28に固定された基板であり、この基板上にCCDあるいはCMOSからなる撮像素子30が固定されている。基板28には撮像素子30の周辺回路が設けられている。
【0039】
レンズ筐体42はレンズユニット38を収容できるように中空円筒状に形成されている。中空円筒状の筐体42の指側の端部は、筐体10の底面24の下面に固定されている。
【0040】
既述のレンズユニット38は凹凸レンズを組み合わせることにより、短焦点で広画角を持ったレンズとしての特性を有している。このことにより、レンズユニットを被写体である指に近づけることができ、かつ、レンズユニットを指に近づけても広い範囲の画像を撮像素子に取り込むことができる。
【0041】
この結果、指底46と撮像素子30との間の距離(共役距離)L1を低減でき、本願の発明者が検証したところ、共役距離を5mm〜12mmの範囲に収めることができる。したがって、筐体10の厚さを低減できる。例えば図5に示すような折畳型の携帯電話の一方の筐体52に指静脈認証装置50を搭載した場合であっても、携帯電話が大型化されることを抑制することができる。なお、図5は一例であって、指静脈認証装置50は、キー操作部53が搭載されている、もう一方の筐体に配置するようにしても良い。
【0042】
図4において、符号48はジャストピント位置を示し、符号L2は指内のジャストピント位置と撮像素子30との間のジャストピント長である。指内にジャストピント位置48が来るように、レンズ装置33を撮像素子30に対して進退させて、レンズユニット38と撮像素子30の間隔が調整される。指底46と撮像素子30との間の距離(共役距離)L1が低減されても、ジャストピント位置を指内に設定することができるために、図4に示す撮像素子30は指内の静脈パターンに対応する映像を作り出すことができる。
【0043】
既述のとおり、レンズユニットの光学特性を短焦点、広画角として説明したが、好ましくは、焦点距離が0.2mm以上0.5mm以下であり、物側画角が100°以上である。焦点距離が0.2mm未満であるとレンズユニットの製造が難しく、焦点距離が0.5mmを越えると図4の距離L1を十分小さな値にすることができない。さらに、物側最大画角が100°以上であると、指の第1関節の前後10mm範囲の静脈パターンを取得することができる。静脈認証を精度良く行なうためには、この範囲の静脈パターンを取得することが望ましい。
【0044】
さらに、レンズユニットは近軸倍率が0.04以上0.1以下であることが好ましい。近軸倍率が0.04未満であると解像度が劣化し、近軸倍率が0.1を超えると静脈パターン認証に必要な撮影エリアを確保できないおそれがある。
【0045】
短焦点のレンズユニットを用いると、既述のとおり認証装置をその高さ方向に小型化できる半面、撮像素子30で得られた画像が歪んでしまい、画像から静脈パターンを正確に抽出できないおそれがある。
【0046】
そこで、静脈認証装置は画像の歪みを補正する画像処理部を備えている。本発明者がレンズユニットの特性を種々変えて具体的に検討したところ、画像の光学歪みが−60%から+40%の範囲内であれば後述の画像処理部で画像の歪みを補正できることを確認した。
【0047】
なお、図4の例では、レンズユニット39は2枚のレンズから構成されているが、これに限定するものではなく、要求されるレンズ特性を持つ限り、1枚のレンズ、あるいは3枚以上のレンズからレンズユニットが構成されても良い。
【0048】
図6は、撮像素子30で得られた補正前の画像であり、図7は歪み補正後の画像の例である。図6の画像は、1mm間隔の碁盤目からなる画像が印刷された印刷物を、図1の筐体10の平面側に載置して撮像素子30によって得られた画像である。歪を補正すると、図6に示すように周辺に行くにしたがって形状が歪んでいた画像が、図7に示すようにほぼ均等な碁盤目からなる画像に補正された。歪補正の制御方法については後述する。
【0049】
図8は、歪特性を示すグラフである。図8に示す物高とは画像の中心点(光軸:図4の41)から画像の端部までの相対位置を意味し、例えば、物高が“1.0”とは画像の端部の位置を表し、物高が“0.6”とは中心点から60%の位置(端部から40%)を表している。
【0050】
図8において、800は第1のレンズユニットの特性であり、802は第2のレンズユニットの特性である。歪み特性がマイナスであるとは画素が画像の中心側に歪み、歪み特性がプラスであるとは、画素が画像の中心から離れる方向に歪んでいることを示している。
【0051】
歪み(%)は、画素の本来の位置(中心からの距離“T”)と歪んだ後の画素の位置(中心からの距離“S”)に対して、“T/S”に相当する値である。本発明者が鋭意検討したところ、光学歪が−60%未満の場合、周辺部での解像度が急に劣化し、後述する画像の歪み補正を行っても画像を完全に修復することが出来ないことが判明した。
【0052】
また、光学歪が+40%を超えると、広い範囲の画像を処理する必要があり、処理時間に問題が生ずることが分かった。従って、第1の特性(800)と第2の特性(802)との間に歪が制限されている限り、すなわち、光学歪みが−60%から+40%の範囲内に収まっているかぎり、画像処理部で歪を補正することができる。
【0053】
レンズユニットの特性として、さらに物側最大画角での感度比が10%以上40%以下であることが好ましい。短焦点、広画角のレンズユニットでは、図9に示すように、画像の周辺に行くにしたがって、感度が低下する。
【0054】
図9において、900は第1のレンズユニットの感度比特性であり、902は第2のレンズユニットの感度比特性である。例えば、感度比が“0.4”とは、画像の中心での輝度を“1.0”とすると、輝度が4割になっていることを示す。短焦点・高画角レンズユニットの係る感度の低下は図1に示すように、光の出口を筐体10の周辺領域に配置して、指の側面から光を照射することによって補うことができる。
【0055】
本発明者が鋭意検討したところ、物側最大画角(物高が“1.0”)での感度比が第1のレンズユニットの特性(900)と第2のレンズユニットの特性(902)との間、即ち、感度比が10%以上40%以下の範囲にあれば、感度の低下を補償できることを確認した。したがって、撮像素子30は、レンズユニットの物側最大画角の領域からでも指内の静脈パターンを精度良く取り込むことができる。
【0056】
次に、指静脈認証装置の画像処理部および認証機能について説明する。図10は、指静脈認証装置の画像処理機能に関する構成例を示すブロック図である。
【0057】
CPU(Central Processing Unit)60は、ユーザの操作に基づき、メモリ64に記録された画像処理プログラムをスタートし、DSP(Digital Signal Processor)62に撮像素子30から画像を取り込むよう指令する。CPU60は、撮像素子30の各画素の輝度データを、DSP62から取り込み、筐体10に指が載せられているか否かを判定する。
【0058】
筐体10に指が載っていない場合には、外光が撮像素子30に至り、所定以上に画素の輝度が上がるために、CPU60は筐体10に指が載っていないと判定する。または上述したように、小突起18にタッチセンサを設置し、指が提示されたか否かを判定しても良い。
【0059】
CPU60が筐体10に指が載っていると判定すると、撮像素子30で得られた画像の各画素の輝度をチェックして、輝度が各画素で均一になるように、複数の光照射口14から放出される光量を個別に制御する。具体的には、各光照射口14に対応して配置された各光源に供給される駆動信号を制御して、光源の発光量を補正することにより、照射口14から放出される光量を制御する。
【0060】
以下、光量制御について詳細に説明する。適切な光量は提示される指の幅や厚みによって異なるため、鮮明な静脈画像を撮影するためには指ごとに調整を行なう必要がある。例えば、指の厚みが薄い場合は、厚い指と比較して輝度が高くなる傾向にあるので、光量を少なくする。また、幅の細い指は幅の太い指と比較して光照射口から指までの距離が遠くなるため、光が届きにくい。よって十分な量の光を指に照射するために、光照射口14から出る光量を強くする必要がある。また、同一指でも、指先側と指根元側で幅は違うため、適切な光量値が異なる。よって、指先側と指根元側の光量値はそれぞれ独立に制御する。または、指幅は指先が細く指根元ほど太くなるという特徴を利用し、指先側の光量が強くなるように予め光量を調整し、指先側、指根元側の光量を同時に制御してもよい。あるいは、同じ光量を照射せざるを得ないような場合には、光源の位置を指先ほど近く、根元側ほど遠くに配置してもよい。さらに、指の形状の左右非対称性、指を提示した際の左右の位置ずれも考慮し、左右の光量値も独立に制御することが望ましい。複数の画素間での輝度のアンバランスに基づいてCPU60は指の形状の非対称性、指の左右方向の位置ずれ、指の厚み等を判定し、指の左右側、指先・根元側の光源を独立に制御する。
【0061】
CPU60は光量の補正の終了を判定すると、DSP62に撮像素子30で撮影された画像について歪補正を行なうように指令する。歪補正は既述の歪特性に基づく演算によって行なわれる。したがって、指静脈認証装置の出荷前に、予めレンズユニットの歪特性を求めて、メモリ64に歪特性を保存しておく。DSP62はこの歪特性を適宜参照して、撮像素子30で得られた画像の各画素について歪補正を行なう。
【0062】
歪がX%であると、画像中の補正対象画素に補正値(100/X)が乗じられて、画像中心(光軸)に対する画素位置が演算結果に基づいて補正される。歪がプラスである場合には、画素位置が光軸側に補正され、歪がマイナスである場合には画素位置が光軸から離間する方向に補正される。この結果、例えば図6及び図7に示すように、歪んだ画像を補正することができる。
【0063】
CPU60は歪補正後の画像をメモリ64に記憶し、CPU60は補正後のモノクロ画像の各画素について濃淡を判定し、補正後の画像から静脈パターンを抽出する(特徴点抽出)。光源から指に照射された赤外光は、指内を透過する過程で、静脈中のヘモグロビンに吸収される一方、他の組織によって散乱を受けて様々な方向に拡散するので、静脈パターンに対応した透過光がレンズユニット38を介して撮像素子30に至る。静脈パターンに相当する画素領域では透過光が吸収によって弱められるので、静脈パターンに相当する領域が暗くなったモノクロ画像が撮像素子30によって得られる。
【0064】
CPU60は、このモノクロ画像から静脈パターンを検出し、検出した静脈パターンを用いて生体認証を行なう。具体的には、このように指静脈認証装置で抽出された静脈パターンをメモリ64に登録し、登録された静脈パターンと新たに抽出された静脈パターンが一致するか、又は不一致であるかの判定を行って本人認証の有無を決定する。指静脈認証装置が携帯電話等の情報処理装置に搭載されている場合や、外部装置に有線または無線で接続されている場合、CPU60は、本人認証の結果を情報処理装置や外部装置に通知し、この通知を用いて情報処理装置等は電子商取引、ネットバンキングの各種サービスをユーザに対して提供する。
【0065】
以上の説明では、CPUは歪補正を行なった後に特徴点抽出処理を行ったが、特徴点抽出処理により静脈パターンを画像から抽出した後に、歪補正を行なっても良い。この場合は、歪補正の対象となる画素数を静脈パターンに相当する画素数に制限できるために、DSP62が歪補正に必要な処理時間を低減できる利点がある。全画素について歪補正を行った場合に比較して、特徴点抽出後に歪補正を行なうことによって、補正が必要な画素数を約1/8に減少させることができる。
【0066】
なお、図10の例では、CPU60、DSP62及びメモリ64がそれぞれ別に構成されているが、これに限定するものではなく、これらの一部または全部を1つの処理部として構成するようにしても良い。
【0067】
また、指静脈認証装置を携帯電話等の情報処理装置に搭載する場合には、認証装置内にCPU60等を設ける代わりに、情報処理装置のCPU等を用いて、画像処理および認証を行なうようにしても良い。また、画像処理及び認証機能の一部又は全部を、情報処理装置からサーバ側に移しても良い。また、指静脈認証装置や情報処理装置に静脈パターンデータを記憶する代わりに、サーバにパターンデータを登録するようにしても良い。なお、静脈パターンを指静脈認証装置や情報処理装置等に登録する場合には他人に読み取られないように、静脈パターンに暗号化を施した上で登録する。
【0068】
次に本発明に係わる静脈認証装置を携帯電話に適用した実施形態について詳しく説明する。既述のとおり、本発明に係わる静脈認証装置は指底と撮像素子間の距離を短くできるために、携帯電話に収納することが可能である。
【0069】
図11(1)は携帯電話52のヒンジ寄りに静脈認証装置50を収容させた携帯電話の平面図である。(2)はその右側面図であり、(3)はその正面図である。ユーザに静脈認証装置の存在を分かり易くするために、静脈認証装置の筐体10が僅かに携帯電話の蓋部平面より突出している。
【0070】
図12に示すように、ユーザは、右手だけで携帯電話52を握りながら人差し指の第1関節付近を静脈認証装置50上におくことができる。携帯電話を握りながら認証対象の指の第1関節付近を静脈認証装置に合わせることができるように、静脈認証装置の先端を携帯電話の先端端部から約3cmの位置に設けることが好ましい。
【0071】
また、図13に示すように、静脈認証装置50を携帯電話52の開放端寄りに設けても良い。この場合にも、片手で携帯電話を持ちながら、認証対象の指の第1関節を静脈認証装置に添えることができるように、認証装置の基端を携帯電話の開放端から指先から第1関節間の距離にほぼ対応する約3cmの位置に設けると良い。
【0072】
図14は図11のA−A断面図であって、図15はそのB−B断面図である。指静脈認証装置が携帯電話52内に携帯電話と一体になって収納されている様子が図14及び図15に示されている。なお、既述の図面と同一の符号は同一の部材であることを意味し、説明を省略する。
【0073】
携帯電話52の筐体内にはLED72が埋設され、LED72の頭頂部からLEDの幅方向に対して直角方向に筐体10に貫通孔74が形成され、この貫通孔74は照射口14に繋がっている。LEDから射出された近赤外光は貫通孔74を通過して照射口14から指に向けて進行する。指底付近には指の長手方向に沿って壁16が設けられているために、LEDから照射された光は壁16を越えて指の側面から指内に進入する。
【0074】
指の側面から進入した光は指の内部で拡散するとともに一部は静脈を透過して撮像素子30側に至り、レンズユニット38は透過光から血管パターンに相当する画像を撮像素子30上に結像する。
【0075】
なお、図14及び図15において符号70はレンズ筐体42を基板28に固定するためのサポートメンバであり、図15の符号76は基板28を携帯電話52の筐体に支持するための部材である。
【0076】
図14においては、LEDを指の側面に配置しているために、指の両側にLEDが存在する分、指静脈認証装置の幅が大きくなる。これに対して、図17及び図18に示すものは、指の側面に位置していたLEDを指の中心側及び指底側に移動させて指静脈認証装置の幅を小さくしようとしたものである。
【0077】
図14及び図15に示す指静脈認証装置では、LEDから発生した光が筐体内に形成された貫通孔74を介して照射口14まで誘導されたが、図17及び図18に示す指静脈認証装置は、ライトガイド90によってLEDから発生した光を照射口まで誘導する。
【0078】
このライトガイドは図17の斜視図にも示すように、LEDの平面上にあり遮光機能を有する既述の壁16内に設けられ、静脈認証装置の径方向の側面が携帯電話の表面に進むにしたがって携帯電話の外周側向かって傾斜するテーパ面92を備えている。LEDからライトガイド90の底面に進入した放射光はテーパ面92に沿って誘導され、携帯電話の筐体52の表面において矩形状に形成されたライトガイドの端面94から指の側面に向かって射出される。
【0079】
このようにライトガイド90を利用すると、LED光源を指の底面側に設けても指の側面にある光照射口に向けて光をライトガイドに沿って誘導することができる。また、ライトガイドの光照射口の形状を図14及び図15のような小環状ではなく矩形状にできるために、指の側面に均一に光を照射することができる。
【0080】
図19は指静脈認証装置の他の実施形態であり、指の第1関節を指示する突起18Aが既述の図1に示す実施施形態では指側に向かって突出していたが、この実施形態では突起18Aが筐体10の幅方向内側に向かって突出するように構成されている。また、指を溝側に向かって誘導する小片22Aが既述の実施形態では図2に示すようにテーパ面を持って形成成されていたが、この実施形態では指の外周形状に合わせてテーパ面がR状に形成されている。
【0081】
次に、鮮明な静脈画像を撮影するための壁16の形状について詳細に説明する。図20(1)は既述の図2に示す実施形態の認証装置を指先側から見た図である。図21と図22は壁16の別の実施形状を示す。
【0082】
図20(1)で示す通り、図2の認証装置において、壁16の幅は、光照射口と溝部16の間の距離とほぼ同じである。この壁16は図21で示すように、幅を狭くし、光照射口側に寄せて設置してもよい。これにより、指を支える点が外側に移動する。指は丸い形状をしているため、支点が外側に移動すると、指をより低い位置に置くことができる。そのため、指に対する壁の高さが相対的に高くなり、指の高い位置のみに光を照射できるようになる。これにより鮮明な静脈画像を獲得できる。
【0083】
さらに、側壁は図22のように指の外周形状に合わせてR状にしてもよい。これにより、指と壁の触れる面積が増えるため、指の底面へ回りこむ光を遮断する効果が高まる。さらに、指の提示位置が安定するという効果もある。
【0084】
光源3は光源3の上面が筐体10の上面の位置と同じ高さ、または、それより低くなるように設置する。これにより、認証装置の凹凸が少なくなる。さらに、十分な光量を指へ照射することができれば、光源3の上面の一部が壁16や筐体10によって覆われていてもよい。例えば、図23のように、光源3の一部が壁16の下に隠れるように配置すると、光源3を装置の内側(溝部12側)へ近づけて設置することができる。これにより、認証装置を小さくすることができる。
【0085】
図16は領域によって光の減光率が異なるフィルタ230を設置した指静脈認証装置の一実施例である。図16(1)は装置の断面図、図16(2)は上面図である。図16(3)はフィルタ230である。色が濃い領域ほど光の減光率が高く、薄い領域ほど光の減光率が低いことを示す。
【0086】
図16(2)のように指の側面側に光源を設置した認証装置で静脈を撮影すると、撮影された画像は、光源に近い領域ほど輝度値が高く、画像の中央領域ほど輝度値が低くなる。そこで、図16(1)で示すように指と撮像素子30の間にフィルタ230を設置する。これにより撮像素子30に届く光の量は、指左右領域と中央領域で均等になり、画像全体が均一の明るさの静脈画像を撮影することが可能となる。また、フィルタ230を設置せずに、撮像素子30で画素毎にゲインやシャッタースピード等の感度制御を行なってもよい。光源側の画素ほど感度を低くし、中央の画素の感度を高くすることで、上記のフィルタ230を設置した場合と同等の効果を得ることができる。
【0087】
既述の実施形態では、レンズユニットを2郡2枚のレンズから構成したが、要求されるレンズ特性を持つ限り、1枚のレンズ、あるいは3枚以上のレンズからレンズユニットが構成されても良い。
【0088】
また、本発明に係わる静脈認証装置が適用される対象は携帯電話に限らず、PDA、ノートパソコンなど各種情報処理装置でも良いことは勿論である。また、情報処理装置に限らず、本指静脈認証装置を車や入出管理装置などに搭載してもよい。
【0089】
また、前記筐体には指の第1関節が置かれる位置を指示する指示手段として突出部を設けたが、これに限らず指の第1関節が置かれる位置を示す標識、マーク、或いは標識でも良い。
【0090】
また、既述の実施形態では指静脈認証装置を携帯電話の平面に設けているが、指静脈認証装置を携帯電話の底面、携帯電話の側面、正面、或いは底面に設けても良い。
【0091】
また、既述の実施形態では指の腹側を筐体10に提示し、指腹側の静脈を撮影するが、指の側面や甲側を筐体10に提示し、指側面や甲側の静脈を利用して認証を行なってもよい。特に指の甲側を撮影する場合は指を屈曲した状態で撮影を実施すると鮮明な静脈の撮影が可能となる。
【0092】
また、上記実施例では指の第一関節周辺を撮影したが、指の第二関節周辺や関節以外の部位を認証に用いても良い。
【0093】
さらにまた、既述の実施形態は一例であって、本発明が既述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
10 筐体(指静脈認証装置)、12 溝部、14 光照射口、16 壁、18 突出部、20 透過光取込口、28 基板、30 撮像素子、33 レンズ装置、34 第1レンズ、36 第2 レンズ、38 レンズユニット、40 IRフィルタ、42 レンズ筐体、3 光源、230 減光フィルタ、22 小片、24 溝部底面、26 筐体底面、41 光軸、46 指底、48 ジャストピント位置、50 静脈認証装置、52 携帯電話、802 第2レンズユニット歪特性、800 第1レンズユニット歪特性、902 第2レンズユニットの感度比特性、900 第一レンズユニットの感度比特性、 60 CPU、62 DSP、64 メモリ、72 LED、74 貫通孔、90 ライトガイド、94 ライトガイド端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定位置に呈示された指へ赤外光を照射する光源と、
前記光源からの光によって前記指の撮像側の血管画像を撮像する撮像部と、
前記光源からの光を通過させる開口と、
前記開口の側方に互いが対向する様に形成された遮光壁と、
を備え、
前記開口の周囲に、前記開口の短軸方向に沿う様に、互いが対向する様に配置された一対の小片を有し、前記一対の小片の間隔は、前記開口の短軸方向の幅よりも狭くなるように構成されていることを特徴とする血管画像抽出装置。
【請求項2】
前記遮光壁は、
前記開口の両側に対となって形成されることを特徴とする請求項1記載の血管画像抽出装置。
【請求項3】
前記一対の小片の夫々は、
前記遮光壁側から前記開口側へ向けて、高さが低くなるよう形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の血管画像抽出装置。
【請求項4】
前記血管画像抽出装置は、
前記撮像部によって撮像された血管画像を処理する画像演算部を有することを特徴とする請求項1記載の血管画像抽出装置。
【請求項5】
前記遮光壁は、
当該遮光壁の一部に、当該遮光壁の高さよりも高くなるように形成された突起を有することを特徴とする請求項1記載の血管画像抽出装置。
【請求項6】
前記突起は、前記遮光壁の略中央に形成されていることを特徴とする請求項5記載の血管画像抽出装置。
【請求項7】
前記突起は、指が載置されたことを検知するタッチセンサであることを特徴とする請求項5記載の血管画像抽出装置。
【請求項8】
前記血管画像抽出装置は、
前記光源を複数有し、当該複数の光源の光軸及び/又は光量をそれぞれ独立に制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の血管画像抽出装置。
【請求項9】
前記開口と前記撮像部との間に、光の減衰率が領域よって異なる減光フィルタを設置することを特徴とする請求項1記載の血管画像抽出装置。
【請求項10】
前記複数の光源は、
当該複数の光源の照射位置が異なるように設置され、載置された指によって点灯する光源を切り替えることを特徴とする請求項8記載の血管画像抽出装置。
【請求項11】
前記撮像部は、撮像素子で構成されており、前記撮像素子の画素毎に感度制御を行うことを特徴とする請求項1記載の血管画像抽出装置。
【請求項12】
前記感度制御は、ゲイン調整及び/又はシャッタースピードにより制御することを特徴とすることを特徴とする請求項11記載の血管画像抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−212435(P2012−212435A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109077(P2012−109077)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2007−169873(P2007−169873)の分割
【原出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】