説明

指静脈認証装置

【課題】複数の指を利用した指静脈認証装置において、高い認証精度を保ちながらも複数の指の提示を容易とする指静脈認証装置を提供する。
【解決手段】指に向けて光を照射する光源と、前記指からの光を撮像する撮像素子と、前記撮像された画像を処理する画像処理部とを備える複数指静脈認証装置であって、第1の指の前後方向の提示位置を規定する指置き台と、全ての指の横方向の位置を規定する指置き台とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は指静脈認証装置に係わり、利便性を維持しながら認証精度を向上するための改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な生体認証技術の中でも、指静脈は高精度な認証を実現できるものとして知られている。指静脈認証は、身体内部の指静脈パターンを使用するために優れた認証精度を実現し、かつ指紋認証に比べて偽造・改ざんが困難であることにより高度なセキュリティを実現できる。
【0003】
この種の指静脈認証の従来例として、例えば、特許文献1に記載の生体認証装置が知られている。この装置は、指の静脈を同時に撮影するために、装置内部に指を入れ、指の甲側から赤外線を照射し、指の腹側へ透過した光を撮影する装置が示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上方から赤外線を照射する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公開2004−78791号公報
【特許文献2】特許公開2002−83298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
認証精度向上のために複数の指を利用する場合の一手法として、単一の指を撮影する従来装置を用いて複数の指を順次撮影する方法がある。しかしながらこの方法では指を繰り返し提示する必要があり、利便性が損なわれる問題がある。また、特許文献1に示される装置では、各々の指の提示位置を規定する構造が存在しないため、指を一定の場所に誘導することができず、登録時の状態を再現することが困難であった。さらに複数の指に透過光を照射する際に、指を透過しない漏れ光が発生しやすく、血管のコントラストを劣化させ、認証精度を高めることができなかった。また、従来の単一指を提示する装置を複数台並べた場合、たとえば特許文献2で示される、上方から赤外線を照射する装置においては、複数の穴にそれぞれの指を同時に入れる必要があるため使いにくく、利便性が損なわれる。また、特許文献1で示される、光源が指の両側面に位置する開放型の装置では、複数の指を同時に提示できるように並べて配置した場合、光源の設置上、装置間の距離を広く取らなければならない。従って指を大きく広げないと提示できず、手の小さな人では利用できない。
【0007】
そこで本発明では、複数の指を利用した指静脈認証装置において、高い認証精度を保ちながらも複数の指の提示を容易とする指静脈認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、指に向けて光を照射する光源と、前記指からの光を撮像する撮像素子と、前記撮像された画像を処理する画像処理部とを備える複数指静脈認証装置であって、第1の指の前後方向の提示位置を規定する指置き台と、全ての指の横方向の位置を規定する指置き台とを具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オフィスビル等の入退出管理をはじめとする大規模な認証システムに適用できる高精度な指静脈認証装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】指静脈認証装置の機能ブロック図である。
【図2】複数指静脈認証装置の第一の形態の概略図である。
【図3】図2に係わる認証装置の使用時の図である。
【図4】指静脈認証装置の概略処理ブロック図である。
【図5】複数の光源が一つの画像内の領域の光量を調整する方式を示した図である。
【図6】複数指静脈認証装置のインターフェイスの概略図である。
【図7】指輪郭を撮影できる複数指静脈認証装置の概略図である。
【図8】図7に係わる指の位置補正手順の概略図である。
【図9】上部に光源を有する複数指静脈認証装置の概略図である。
【図10】図9に係わる指の輪郭検出手法の概略図である。
【図11】指をスライドして撮影する複数指静脈認証装置の概略図である。
【図12】図11に係わる指の部分領域の合成手順の概略図である。
【図13】指の側面に分布する静脈を撮影する複数指静脈認証装置の概略図である。
【図14】指の側面に分布する静脈を撮影する複数指静脈認証装置の概略図である。
【図15】指側面の斜め上方から光を照射し指の腹側を斜めから撮影する複数指静脈認証装置の概略図である。
【図16】携帯端末と読取装置とを用いた複数指静脈認証装置の概略図である。
【図17】携帯端末を握り込むことで指の甲側の静脈パターンを撮影する複数指静脈認証装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について説明する。
第1図は、本発明の第1の実施の形態の認証システムの構成図である。
認証システムは、入力装置2、認証処理部10、記憶装置14、表示部15、入力部16、スピーカ17及び画像入力部18を含む。
入力装置2は、光源23及び撮像装置9を含む。
光源23は、例えば、赤外線LEDであり、入力装置2の上に提示された指1に赤外光を照射する。撮像装置9は、入力装置2に提示された指1を撮像する。このとき、指1、撮像装置9、光源23、は複数具備されている。
画像入力部18は、入力装置2の撮像装置9で撮像された画像を、認証処理部10へ入力する。
認証処理部10は、CPU11及びメモリ12及び種々のインタフェース(IF)13を含む。
CPU11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することによって各種処理を行う。メモリ12は、第2図で後述するが、CPUが実行するプログラムを記憶する。
また、メモリ12は、画像入力部18から入力された画像を一時的に記憶する。インタフェース13は、認証処理部10の外部の装置と接続する。具体的には、インタフェース13は、入力装置2、記憶装置14、表示部15、入力部16、スピーカ17又は画像入力部18等と接続する。
記憶装置14は、利用者の登録データを予め記憶している。登録データは、利用者を照合するための情報であり、例えば、指静脈パターンの画像等である。
指静脈パターンの画像は、指の掌側の皮下に分布する血管(指静脈)を暗い影のパターンとして撮像した画像である。
表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、認証処理部10から受信した情報を表示する。
入力部16は、例えば、キーボード等であり、利用者から入力された情報を認証処理部10に送信する。スピーカ17は、認証処理部10から受信した情報を、音声で発信する。
【0012】
図2は、複数の指を同時に撮影する指静脈認証装置の一実施例である。図2(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
装置上面には、指静脈を撮影する開口部101、指先の指置き台102、指の根元の指置き台103、側壁104とが備えられている。ここではこれらを指提示部と呼ぶ。本実施例では、3本の指を同時に置くことができるように、指提示部が3つ設置されている。認証精度や使い勝手に応じてこれらの数を増減させてもよい。これらの指提示部の間隔は、どのような手の大きさでも自然に置くことのできる距離を考慮して、近接する位置に設置されている。また、中央の指提示部は、その両隣の指提示部よりも前方に位置する。指先の指置き台102の位置は、奥行き方向の距離がどれも同じであり、一列に並べられている。特に、中央の指提示部の指先の指置き台は他のものよりも大きく強調されている。さらに、指先側には指に向けて照射する光源23が設置されており、これらは光源支持部105によって固定されている。光源は、指からはみ出さないように、できるだけ照射幅の狭い、ビーム状の光を照射することが望ましい。これにより、不要な外乱光の発生を抑止でき、血管のコントラストを高めることができる。本実施例では、一つの光源支持部105に4つの光源が具備されているが、指に対して十分な透過光を照射できるものであればその個数は限定されない。また、これら3本の指を撮影するために、それぞれの開口部の直下には撮像装置9が設置されている。図2(b)に示されるように、それぞれの撮像装置9は間仕切り106によって四方が囲まれた空間に設置されている。
【0013】
図3は図2の入力装置2に指1が提示されている状態を示している。利用者は、中央の開口部101に中指を置く。このとき、たとえば右手を提示した場合は右側の開口部には薬指が、左側の開口部には人差し指が、自然な形で提示される。このとき指先の指置き台102に指先を設置するが、一般的には中指が最も長く、中央の指先の指置き台102に中指の指先を設置する。これにより、中指の前後方向の位置が定まる。その両隣の指は中指よりも短く、それらの指先の指置き台102には届かない。しかし中指の前後方向の位置はすでに固定されているため、両隣の指の前後方向もそれに合わせて固定されることになる。また、全ての指は側壁104あるいは指の根元の指置き台103によって左右方向の位置が規定される。特に側壁104は指1が左右方向にずれないように上方に突出している。これらにより、3本の指の位置は提示するたびに毎回一定の位置に固定される。
【0014】
また、本実施例では中央の指置き台を大きくすることで視覚的あるいは構造的に強調している。これにより、一般的に最も長い中指が中央の指置き台に誘導されやすくなり、利用者が使いやすいインターフェイスを提供できる。
【0015】
本実施例においては、中央の開口部101が両隣の開口部よりも前方にずれている。これは概ねすべての指において第一関節付近を撮影するためである。第一関節は比較的表皮が薄く、内部の血管パターンが鮮明に観察されやすいため、この部位を利用することで高精度な認証が実現できる。中指の第一関節は両隣の指よりも前方に位置するため、中央の開口部を前方にずらすことで、概ねすべての指の第一関節を撮影することが可能となる。
【0016】
もし中指以外の指が最も長い場合は、いずれの指提示部にも指先の指置き台102が具備されているため、その指が最も載置しやすい位置の指提示部に存在する指先の指置き台に指先を合わせることができる。
【0017】
このように、指置き台の位置は、奥行き方向に一列に揃った状態であり、最も長い指の先端のみを指置き台に置くことで指の位置が決定し、その他の指の先端位置は、最も長い指の先端位置に応じて固定される。この構造により、中指、人差し指、薬指の長さや、それらの長さの差によらず、同時に3本の指を提示することが可能となる。
【0018】
図2(c)に例示したように、光源23は、指先側の斜め上方より照射される。静脈の撮影は、静脈を観測する位置に対して正反対の方向から透過した光を観測することで、最もコントラストの高い画像が得られる。しかしながら、完全に正反対の位置から光を照射するためには、開口部の直上に光源を配置する必要が生じる。開口部の直上にこのような構造物が存在すると、指が置きにくくなると同時に指を置く場所が視覚的に遮られるため利用者の心理的抵抗感を高めることに繋がる。そこで本発明では光源23を指先側に配置し、斜め上方から指を照射している。この構造により、指提示の際の心理的抵抗感を緩和すると共に、透過光の利点であるコントラストの高い撮影が可能となる。これらによって高い利便性と高精度認証とが実現できる。
【0019】
また、透過光はできるだけ指に均一に照射され、強い光ができるだけ効率よく指を透過することが望ましい。本実施例では、標準より太めの指を想定し、その指の甲側の表面に対して約30度の入射角となるように、複数の光源23aと光源23bとによって、それぞれ根元側付近と開口部の中心位置とを狙って照射している。入射角を小さくすると、光源の設置高さが低くなるため装置を小型化できるが、一つの光源が照射する範囲が指の先端から根元側まで広範囲になるため、入射効率が低下しコントラストの高い鮮明な画像が得られにくくなる。逆に入射角を大きくすると、狭い範囲をピンポイントで照射することができ入射効率は高まるものの、光源の位置を高くする必要が生じる。これにより装置が大きくなり、さらに光源から指までの距離が増大することで光の減衰が大きくなり光量が弱まる。従って、装置の大きさ、光源に用いる発光素子の光量の強さや照射光の広がり角などに合わせて設定する。また、指の厚みは人によって異なることから、複数の光源23aと光源23bはそれぞれ独立に制御できる構成となっており、できるだけ全体的に均一の明るさになるように自動調整する。
【0020】
静脈を撮影する部分の指表面に反射光が照射されると、指表面のしわが強調され、静脈の画質が劣化する。また、指を透過しない光が直接カメラに入り込むと、部分的に輝度が上昇し、画素値が飽和することで周辺の静脈が観測できなくなる。さらにこの光は装置内部で散乱し、指の表面で反射し画質が劣化する。これらの不要な外光を防止するために、本発明では開口部101を指幅に対して十分狭くなるように設計し、指が開口部を塞ぎ込むことで直接外光が入り込まないようにしている。また開口部101の両側にはそれぞれ側壁104を備えている。この側壁104は指の左右方向の位置合せに利用されるだけでなく、外光などの不要な光が指1の側面に照射されないよう、外光を遮断する。これらの組み合わせにより、撮影する指の表面に不要な反射光が発生しにくくなると共に、直接カメラに光が入り込みにくくなる。また、不要な強い外光が指の側面を照射し、指の片面を極端に明るくすることで画像の半面が不要に飽和することが防止できる。従って、高いコントラストで血管を撮影することが可能となる。
【0021】
また、3つの開口部の間隔に位置するものは側壁104のみである。側壁104は幅を狭くしても機能し、さらにそれ以外の構造物を設置する必要がないため、開口部同士を近接して配置することが可能となる。従って、手指の小さい利用者でも無理なく指を提示することが可能である。
【0022】
指の怪我などにより指で塞がれない開口部が存在することを考慮し、その開口部から侵入した外光が別の指の撮影に悪影響を与えない構造が必要となる。図2(b)に示すように、本発明ではそれぞれの開口部101の下側の空間は間仕切り106によって取り囲まれており、その内側に撮像装置9が存在する構造となっている。間仕切り106は遮光壁としての機能を有する。したがって、直上にある開口部以外から進入した光の影響を受けることなく、指静脈の撮影が可能となる。
【0023】
本実施例で示すように、複数の指を同時に設置する場合は、指の長軸を基軸とした回転(指の転がり;ローリング)が発生しにくい。これにより、撮影される血管の位置が安定するため、認証精度を高めることが可能となる。
【0024】
図4は複数の指静脈を用いた認証装置の処理ブロックを示している。この図を用いて基本的な認証処理フローについて説明する。初めに、指が提示されたことを検知する、指検知処理(S101)を実施する。次に、静脈を撮影するために適した光量を照射するための光量調整処理(S102)を実施する。その後、指の位置ずれなどを補正する位置補正処理(S103)と、静脈の特徴抽出処理(S104)を行う。最後に、登録された特徴データとの照合処理(S105)を実施し、登録者であるかを判定する。
【0025】
指検知処理の具体例としては、光源23を点滅させて撮像装置9から得られる画像の輝度値を調べ、光源23と撮像装置9との間に遮蔽物が入った場合の輝度値の低下の度合いを調べる。あるいは指先の指置き台102あるいは指の根元側の指置き台103にタッチセンサ等を具備し、この接触を検知することで実施しても良い。
【0026】
このとき、指が静止したことを検知する処理を合わせて実施することができる。後述する光量調整処理と平行して、指の静脈を撮影し、後述する特徴抽出処理と照合処理を連続的に行うことで、指の位置ずれ量をリアルタイムに計測する。一定の時間、指の位置ずれ量が僅かであると判定できる場合は指が静止されたものとして、後段の処理フローに進む。
【0027】
光量調整処理では、撮影された画像の輝度値が一定値になるようにフィードバック制御を行う。基本的には、初期光量を照射した際の画像の輝度値から、目標とする画像の輝度値が得られる光量値を推定する手法を用いて、収束を高速化する。
【0028】
本発明においては、図2で示したとおり光源が指先側上方に設置されており、指先側に対して指の根元側は光源から距離が遠く、また指の太さが増すため、指の根元側に十分な光が照射できずに暗くなる場合がある。これに対し指先側と指の根元側の2方向を向いた光源23b、23aを設置し、それぞれを独立制御することで対応する。すなわち、指の根元側を照射する方向を向いた光源23aの光量を、指先側を照射する光源の光量より強く照射するように制御することで、指全体を均一に照射でき、輝度むらの無いコントラストの高い血管の撮影を可能としている。しかしながら、このように複数の独立した光源を用いる場合、片方の光量制御が他方の光量制御に影響を及ぼす。
【0029】
図5(a)に示すように、指先を照射する光源23bと根元を照射する光源23aの2つが存在する場合、撮影される指画像120を半分に分割して、各光源23a、23bがそれぞれの画像上の領域120a、120b内の輝度値を独立して目標値に制御することを考える。指先側の光源23bが弱いと判定された場合はこの光量を強くするが、その影響は指の根元側の領域120aにも及ぶ。それに応じて、根元側の光源23aを弱く制御する必要が生じるが、この影響が指先側の領域120bにも及ぶ。このように、それぞれの光源がそれぞれの領域に相互に影響を与え、最終的に制御が不安定となる。
【0030】
そこで、このような領域を分割する際に、相互的に及ぼす影響のパラメータを設定することを考える。ここではこれを結合係数と呼ぶ。指先側の領域120bは、指先側の光源23bによる影響と、指の根元側の光源23aにより及ぼされる影響に結合係数を掛けたものとの線形結合で表現する。従って、2つの領域は、どちらの光源からも影響を受けるが、その結びつきの度合いが異なっていると考えることができる。このような状態は連立方程式で表すことが出来る。図5(b)は、領域120aが、光源23aと光源23bより受ける明るさの影響を図示したものである。σaaは光源23aが領域120aに及ぼす影響の度合いを示す結合係数、σabは光源23bが領域120aに及ぼす影響の度合いを示す結合係数を示している。またPa、Pbは各光源23a、23bの光量、b0は光量が0のときの画像の明るさのオフセット値、Ia、Ibはそれぞれ領域120a、120bの平均輝度値、f、f’は光源の強さと画像上の輝度値の明るさとの関係を示す関数であり、図5(b)はこれらの関係を一次式で近似している。実際の画像上の領域120aの明るさは、両方の光源の影響を合計したものに、画像の明るさのオフセット値b0を加えたものとなる。図5(c)はこの状態を定式化したものである。
【0031】
式f,f’を一次式(f=ax、f’=a’x)とした場合、PとIとを調べることで未知の定数a、a’が求まる。この方程式は連立方程式として解くことが可能である。定数a、a’が決まると、Ia、Ibを目標輝度値とするための光量Pa,Pbの具体値が逆算できる。最終的に得られる光量値は、両方の領域の輝度値を最適に制御するような値として決定することができる。
【0032】
結合係数は基本的に装置固有の値であるため、事前に最適値を実験的に算出しておき、メモリ12に格納しておく。そして、光量調整を実施する際に、CPU11は結合係数の具体値を参照すると共に画像内の平均輝度値Ia,Ibを求め、上述の連立方程式の解a、a’を計算する。これにより次に照射すべき光量Pa、Pbが得られるため、常に適切な強さの光を照射することができる。
【0033】
この方式は、複数の撮像装置と光源を備えた装置の光量調整にも適用できる。たとえば図2において、中央の撮像装置は中央の光源だけの影響を受けるわけではなく、両隣の光源の影響も受けることになる。この状況において最適な光量調整を実施するために、両隣の光源が中央の撮像装置に与える影響を結合係数として求めておき、同様に連立方程式を解析することで最適光量を得ることができる。なお、各撮像装置を1つずつ時分割で切り替えて動作させ、その動作時間の間は対応する光源のみを発光させることで、結合係数を考慮せずに他の撮像装置に影響を与えない光量制御も可能となるが、切り替え時間のオーバヘッドが撮影の遅延を発生させるため、高速な動作切り替えが可能な撮像装置や光源が必要となる。
【0034】
次に、指の位置ずれ補正の具体例について述べる。カメラは2次元の映像を撮影するため、指の位置ずれが発生するとパターンが異なって見える。安定した認証を実現するためには、指を指置き台に設置することで、一定の位置に保つ必要がある。たとえば、指の置く角度は側壁104によって一定の方向になるように保たれ、また指は指置き台に接触させて置くことで、指1と撮像装置9との距離が一定となり拡大率が保たれる。しかしながら、指そのものは弾性体であり、指を置くときの圧力の違いなどによって必ずしも毎回ずれのないように置くことができるとは限らない。指の置かれる角度がずれると、血管パターンの特徴量の照合処理の際に登録時のパターンとの一致率が低下する。そこで、血管パターンの特徴量の角度のずれを補正する必要がある。
【0035】
開口部101は外光を遮断するために指幅に対して狭くなるように設計されている。従って、指の輪郭を撮影することが出来ず、指の置かれている角度に応じて血管の特徴パターンを補正することが出来ない。この問題点に対し、本発明では輪郭情報を用いない回転補正を実施する。
【0036】
この回転補正の手法としては、ある中心点について様々な回転角でパターンを回転し、すべての回転パターンと登録パターンとを照合し、最も一致率の高い結果を照合の結果とする方法や、血管パターンの線成分を方向ベクトルに分解し、平均ベクトルを一定の方向に向けるように回転する方法などの手法を用いることができる。特に後者はただ1枚の回転パターンを生成するため、認証処理を高速化しやすく、また別の指との照合結果が劣化しにくくなる利点を有するが、画像上のノイズに弱い場合がある。従って、両手法を組み合わせて実施することでより効果を高めることができる。
【0037】
拡大率の変動についても同様に、いくつかの拡大・縮小パターンを生成しておき、登録パターンと全ての拡大・縮小パターンとを照合することで、最も一致率の高いパターンとの照合結果を採用することで拡大率の変化を考慮した照合が可能となる。
【0038】
特に本実施例の構造においては、指先は装置に接触しているが指の根元側が装置から離れてしまうことで、画像内の部分によって拡大率の変化量が異なることが想定される。このような拡大補正についても、指先側と指の根元側との拡大率を滑らかに変化させたパターンを複数枚生成することで、パターンの変形を吸収した照合が可能となる。
【0039】
前述のとおり静脈パターンの方向により指の方向を一定に補正する方法のほか、指の表面の情報を用いて指の方向を一定に補正しても良い。指の表面の情報は静脈に比べてピッチが狭く、局所的な領域を観察するだけでその方向を補正できる。また、指の関節部分のしわが観測できる場合はこの線の方向を一定に合わせるように補正することも可能である。指表面を撮影するために、装置内部に反射光源を設置しても良い。
【0040】
複数の指を撮影する場合、各々の指の位置ずれや角度のずれの方向は概ね一致する傾向にある。従って、ある1つの指の血管パターンについてのみ登録パターンとの回転角や拡大率のずれ量を求めておき、それ以外の指については、その結果を基準として、従来のずれ量の推定する範囲を狭く限定することで、全体的に高速な処理が可能となる。
【0041】
高速処理の一実施例を以下に示す。まず、中央の開口部に置かれた指のみについて、登録データとの照合を実施する。このとき、上述の通り、入力パターンを回転・拡大縮小することで、様々な回転角・拡大率を有する複数のパターンを生成する。生成する枚数は、回転角や拡大率の最大値や分解能によって増減するが、これらはシステムが許容する回転・拡大のずれ量に応じて設定する。その後、登録データと最も良く一致する生成パターンを選び出すことで、入力パターンの回転角と拡大率を得る。この値をメモリ12に格納しておく。続いて、残りの開口部に置かれた指の照合を実施する。中央の開口部の照合と同様に、様々な回転角・拡大率を有するパターンに変換し、登録データと最も良く一致する生成パターンから照合結果を得る。このとき、中央の開口部に置かれた指の回転角と拡大率の結果を利用して、生成するパターンの回転角と拡大率の最大値を狭く限定し、生成する枚数を減らすことが可能となる。なぜなら、中央の指が回転・拡大している場合は残りの指もほぼ同じ角度・大きさで回転・拡大していることが想定されるからである。もしこの想定に反して、残りの開口部の指が中央の指と異なる回転角・拡大率を有する場合は、指に無理な力が加わっている、あるいは大きな変形を伴って提示されている可能性が高く、この場合は元々正しく照合できないため、このような状況を考慮する必要性は低い。従って、本手法により照合の精度をほぼ劣化させること無く、生成する回転・拡大パターンの個数を少なく抑えることができ、指の回転・拡大ずれに強い照合処理手法を高速化することが可能となる。
【0042】
特徴抽出処理としては、線パターンを強調する処理として、マッチドフィルタによる方法や線を逐一追跡する方法、輝度プロファイルの窪みを検出する方法などを用いることができる。
【0043】
次に照合処理について述べる。照合処理は、記憶装置14内に登録された照合データと入力された照合データとをCPU11により比較し、類似度を評価することで行う。登録データと入力データとを重ね合わせ、血管である部分とそうでない部分とが重なった画素数を数えることで、両データ間にどれだけ相違があるかを算出する。統計的手法に基づき事前に設定した類似度の閾値を記憶装置14あるいはメモリ12に格納しておき、この値に応じて、CPU11はパターンが一致したか否かを判定し、一致が認められた場合は認証処理を実施する。
【0044】
本実施例では3本の指を撮影するため、登録データも3本の指データを一組として取り扱う。比較の際は、1本ずつを別途比較し、それぞれの指に対する類似度を評価する。このとき、3本の類似度の平均値を最終的な判定基準に用いても良く、各指において一致するか否かを判定しておき、一致と認められる指の本数に応じて最終的な判定を実施しても良い。
【0045】
特に後者の手法においては、単独指の認証結果を組み合わせることで認証精度を柔軟に制御することができる。例えば、提示した複数の指の全てが登録データと一致することで認証と認める場合では、本人拒否率が指の本数倍だけ劣化する一方、他人受入率が指の本数乗だけ小さくなり精度向上する効果を持つ。さらに、複数の指の中で、怪我などにより正しい静脈パターンが撮影できない指が存在する場合でも、提示するN本の指のうちM本で登録データとの一致が確認できれば認証するように設定することで認証可能となる。なお、Nの値は装置固有であるため固定値となるが、Mの値はシステムのセキュリティポリシーによって動的に変更できる。
【0046】
また、撮影できない指が存在する場合の処理については、通常の認証処理に対してセキュリティレベルが低下する。そこで、撮影できなかった指の本数に応じて、認証のための閾値レベルを変更しても良い。撮影できない指の本数が多いほど閾値レベルを厳しく設定することで、認証システムのセキュリティレベルを高く保つことが可能となる。
【0047】
大規模個人認証システムにおいて高い利便性を維持するためには、ID番号等の入力を不要とする1−N認証を実施する必要がある。これに対し、認証精度を高めるだけでなく、照合処理の速度を高速化する必要がある。上記実施例においては、3本の指を入力するが、全登録指を逐一照合する場合は登録データ数に比例する処理時間が掛かる。これに対し、不要な照合処理を省略し、認証精度を維持しながら照合処理を高速化する手法が有効となる。この手法の一実施例について以下に示す。ただし、登録データ内に複数の候補が出現する場合は最も確度の高い登録データを認証対象とする。
【0048】
まず、3本の指のうち、第一の指だけに注目して、全登録データの第一の指と入力された第一の指との照合を行う。もし、本システムが3本中全てが一致した場合のみ認証を行う設定であれば、この照合で一致しない登録データに対しては、この時点で認証されることはなくなるため、認証の候補から除外し、第二の指以降の照合処理を省略する。もし3本中2本以上の一致で認証を行う設定であれば、続いて第二の指の照合を実施する。このとき、第一、第二の指が共に一致しない場合は、第三の指の照合処理を省略することができる。もし3本中1本でも一致すれば認証する設定であれば、第三の指の照合処理まで省略せずに実施する必要がある。なお、これらの処理の途中に認証の条件を満たす登録データが出現した場合でも、最も確度の高いものを見つける必要があるため、上述の省略可能なケース以外の処理は打ち切らずに最後まで照合を行う。この手法により、3本中1本でも一致すれば認証する以外の設定であれば、処理を大幅に打ち切ることができ、高速化が見込まれる。例えば、3本中2本の一致で認証する場合、第一、第二の指の照合で候補を数%程度に絞ることができれば、全照合した場合の2/3程度の処理時間で完了できる。
【0049】
また、第一の指の照合を実施した際、データの相関の高い順に登録データを並べ替え、相関の低いデータの照合を打ち切ることで、処理を大幅に高速化できる。ただし、この場合は僅かに認証精度が劣化するが、統計的にほとんど影響がないように打ち切りデータ数を設定することで、全体的な認証精度をほぼ維持しながら高速化が可能となる。また、認証する候補が1つでも見つかった時点で認証処理を完了してもよい場合であれば、並べ替え処理により候補が先頭に出現する確率が高くなっているため、高速な認証処理が実現できる。
【0050】
さらに、1本の指の照合データ量を圧縮したデータを利用することで処理の高速化が可能となる。たとえば指静脈データを空間的に縮小することで、元の静脈の形状を概ね維持しながらデータ量の圧縮が可能となる。このデータで照合処理を実施し、明らかに相関の低いデータを打ち切り対象にすることで、上述の手法よりもさらに高速化が可能となる。このとき、データ量を削減しているため照合精度そのものは低下するが、打ち切り対象データを決定する際に、圧縮前のデータによる認証精度を十分に確保できる閾値を統計的に決定しておくことで、最終的な認証精度を維持することができる。なお、候補として残された登録データについては、圧縮前のデータによって最終的に認証できるか否かを確認することで、より確実な認証処理を実施する。
【0051】
以上のように、指ごとの照合による打ち切りと、相関値に応じたデータ並べ替えと、圧縮データの利用により、複数指を用いた高速・高精度な大規模1−N認証システムが実現できる。
【0052】
図6は、装置表面に設けられた溝により指の位置を規定する指静脈認証装置の一実施例である。入力装置2の表面に、断面が滑らかな曲線となる溝を設け、溝の凹部151に開口部101を具備する。このとき、指1は自然な形で溝の凹部に載置される。さらに、溝の凹部からせり上がった凸部が図2における側壁104の役割を果たし、指1の左右方向の位置ずれを防止すると共に、横からの外光を遮断する。特に溝の断面が指の断面の形状に合わせた曲線であれば、指の太さに関わらず指の位置決めを安定して実施できる。
【0053】
図7は指の輪郭が検出できる複数指静脈認証装置の一実施例である。図2で示した実施例においては、開口部101からは指の輪郭が観測できず、指の回転や拡大率の変動など、指の位置ずれを正確に補正することが出来なかった。これに対し、図7に示す装置では、指の輪郭を観測する開口部161と、指の輪郭を観測する撮像装置162とが、指先側と指の根元側に具備されている。この開口部161は指幅に対し十分広く開いており、指の輪郭が確認できる。指の輪郭をより鮮明に観測するために、開口部161の内側に指の表面を照らす反射光源を具備してもよい。静脈を撮影する撮像装置9とは別に指の輪郭を観測する撮像装置162を具備したのは、輪郭を撮影する開口部161から外部の不要な光が撮像装置9に進入するのを防ぐためである。撮像装置を別途用意し、その間に間仕切り106によって不要な光を遮蔽し、静脈画像の画質劣化を防いでいる。
【0054】
なお、不要な光の進入の影響が弱い場合は、撮像装置9と指の輪郭を観測する撮像装置162を共通化してもよい。これによりコストを削減することができる。
【0055】
図8は、前述の図7で示した装置の指輪郭検出の一処理例を示している。図8(a)は従来技術で用いられている指静脈画像170である。この画像には指の輪郭173が撮影されており、指の平行位置や角度の情報を得ることができるため、一定の位置、角度になるように補正することが可能となる。図8(b)は、図2で示した本発明の実施例における開口部101から撮影される指静脈画像171を示している。この開口部101は指幅より狭く設計されているため、指の輪郭は撮影できず、正確な指の位置補正は難しい。図8(c)は、図7で示した認証装置で撮影される指静脈画像171と、指の輪郭を観測する撮像装置162により得られる指の輪郭の画像172を示している。図8(b)の画像に加えて指の輪郭の画像172が撮影されることにより、指の位置を把握することが可能となる。
【0056】
図8(d)は指の輪郭の画像172の内部から指輪郭173を検出した例である。指の輪郭は、指の映像と背景の映像との境界で定義できる。このとき、この画像内にあるエッジを抽出することで、指の輪郭の位置が獲得できる。特に、指の輪郭の撮影をする際、光源23を時系列的に点滅させ、点灯時と消灯時の輪郭の画像の差分画像を求めることで指のエッジ部分を強調することができる。このようにして得られた指の輪郭173より、指の中心線174を求める。この線が垂直になるように静脈画像171を回転することで、指の回転補正が可能となる。また、指輪郭173の幅に応じて画像の拡大率を正規化することで、指の拡大率補正が可能となる。
【0057】
図9は上部に光源を具備した複数指静脈認証装置の一実施例である。図9(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。光源23を上方から照射するために、装置には上蓋180が設置されており、その内部に光源23が並べて設置されている。指1上方から光を照射することができるため、指の静脈画像のコントラストが向上し、また効率よく光を照射することが可能となる。また上部からの光を遮光する効果を有するため外光に強くなる。
【0058】
本実施例においては、中央の指の指先の指置き台102は上述の実施例と同様に設置されているが、その両隣の指先の位置合わせ用の溝181は細長い溝状の窪みとなっている。これは、上蓋180の設置により視覚的に位置合わせすることが難しく、図2で示した実施例よりもさらに指の左右方向の位置ずれが発生しやすくなることを考慮したものであり、溝を掘ることによって左右方向の位置ずれの発生をより効果的に抑制することができる。このとき前後方向の位置については固定されない。
【0059】
上蓋180は、指先付近をの上方を覆う形で設置されており、概ね開口部101の指先側半面のみを覆っていることから、指全体を覆い隠す従来装置の形状と比較して開放的な使用感が得られる。特に、図9(c)で示されるように、中央の指の指先の指置き台102が、装置上方の斜め45度の角度から視覚的に確認することができるように設計されている。このため、利用者は指の置く位置を容易に確認することができるため、利便性が向上する。
【0060】
上蓋180に設置された光源23は、図9(c)で確認できるように、開口部101の中央を照射するよう、僅かに角度を持たせて設置されている。これは、上蓋180が指先付近の上方までを覆っており、開口部101の直上に光源を設置することができないためである。開口部101の直上に光源がある場合は、撮影される画像の輝度値のむらを少なくできる。よって光源23の設置角度を指の根元方向に傾け、輝度むらを低減し画質を向上することが可能となる。
【0061】
また上蓋180は光源23を具備するほか、外部からの外光を遮蔽する効果も有する。
【0062】
そのため、上蓋180は赤外光を遮光し、かつ赤外光を反射しない材質とする。さらに、開口部101は、たとえば図2で示した実施例とは異なり、開口幅を広げ、指の輪郭までを十分に撮影できるようにしている。これは、上蓋180の設置により外光の進入が低減できるため性能劣化が少なくなることを利用し、指の輪郭を撮影して指位置の正確な補正を実現する効果を得るためである。
【0063】
図10は、図9で示した実施例において、指の輪郭を検出する処理例を示している。図10(a)は、図9における撮像装置9で撮影された指1の画像である。ここでは、指先側が図面の上側とする。このとき、指1の後ろ側には上蓋180が画面の上半面に映っている。上蓋180は外光を遮断するほか赤外光を反射しない材質であるため、画像上では黒く映る。画面の下半面には装置の外部の背景が映り込む。また、指1は光源23により照射されているため明るい物体として映る。
【0064】
このとき、画面の上半面には、指の輪郭が画像のエッジとして鮮明に映ることになる。
【0065】
そこで図10(b)に示すように、画像の上半面についてのみ指の輪郭173を検出する。
【0066】
この情報に基づき指の中心線174を求め、指の位置と回転角の正規化を実施することで、位置ずれに強い照合が可能となる。特に、指の根元側の輪郭は指の回転ずれにより撮影範囲からはみ出すことがあるが、本実施例のように指先側のみの輪郭を使って補正を行うことで、はみ出しにくい安定した情報のみで回転補正が実施できるため、より回転にロバストな照合が可能となる。
【0067】
図11は複数の指を装置に提示し、指をスライドさせることで指全体の血管パターンを撮影する、複数スイープ型指静脈認証装置の一構成例である。図11(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は一つの指に着目したときの光の照射の様子を示している。光源23は指の根元側の指置き台103の側面に設置され、斜め下から指1を照射する。指の表面に直接光源の光が当たると指の表面のしわが静脈画像に映り込んでしまうため、ここでは側壁104の反対側から光を発光し、逆側にある指1を照射する。側壁104により、指の低い位置の表面への光の照射を防いでいる。この様子を図11(d)に示す。
【0068】
また、静脈画像を撮影するための開口部101は指の長さ方向に対して短くなっており、装置が小型化できる。利用者は指をスライドさせて全領域を提示することで、指全体の静脈画像が獲得できる。また、指の根元の指置き台103と開口部101との間には、指表面を観測するための開口部200と、その内側に指表面を撮影するための反射光源201が設置されている。さらに指表面を観測する開口部200の直下には、この開口部200を通して得られる指表面の撮像装置202が設置されている。そして、静脈画像を撮影するための撮像装置9と指表面の撮像装置202との間に間仕切り106が設置されている。
【0069】
利用者は、指根元の指置き台103の窪みに指を乗せる。前述の通り指検知処理が実施されると、スライド開始ランプ203が点灯する。利用者は全体的に手前に引くようにして指をスライドさせる。このとき、光源23の点灯と共に反射光源201も点灯する。開口部101からは部分的な指画像が観測されるが、時系列的に観測位置がずれて提示され、最終的には指全体の部分画像が得られる。これらを合成することで、指全体の指静脈画像を獲得し、認証を実施する。
【0070】
部分的な指静脈画像から全体的な指静脈画像を獲得するためには、指のスライドの際に位置ずれ量を正確に求めることが必要となる。そこで本発明では、指表面の撮像装置202から獲られる指の表面の情報を利用する。指の表面に分布するしわなどの凹凸パターンは、静脈パターンに対して密である。スライドさせた位置ずれ量をパターンから推定する際に、静脈パターンを利用するより、指の表面の凹凸パターンを用いた方が、パターンのピッチが細かいためより正確な位置ずれ量を計測することが可能となる。特に、装置の開口部をより小型化する場合は、限られた狭い領域の中から位置合せの特徴を獲得する必要が生じ、より有利となる。
【0071】
図11(c)は指静脈と指の表面とを同時に撮影するための内部構造を示す。指の表面を撮影する反射光源201が指表面を照射し、指表面の撮像装置202で指の表面のしわを撮影する。これと同時に、光源23が指1を照射し、その内部散乱光が指1の表面を透過して開口部101から装置内部に到達し、撮像装置9により撮影される。これにより指静脈が撮影できる。このとき、反射光源201が直接撮像装置9に届かないように、間仕切り106によって遮光している。
【0072】
指の表面を撮影する開口部200は、装置を小型化する関係上、できるだけ面積を小さくすることが望ましいが、小さくすることによって貼り合わせの精度をできるだけ劣化させないようにする必要がある。本実施例では、この開口部200を指の長さ方向には狭く、指の幅方向には長い長方形とすることで、装置の奥行きを小さくしている。ただし貼り合わせ精度を維持するためには、指表面の撮像装置202のフレームレートを高める必要がある。
【0073】
一方、この開口部200の向きとして、指の長さ方向に長く、指の幅方向に狭くしても良い。この場合は、開口部200は指の輪郭側に寄せておき、血管パターンの撮影に影響を与えない場所に位置させることで、装置を小さく維持できる。指をスライドさせる向きは指の長手方向であり、開口部200が長手方向に開口しているため指表面の凹凸の貼り合わせ可能な領域が広く取れ、スライドさせる速度が速くても、正しい貼り合わせが可能である。ただし、静脈の撮影用の開口部101の幅をその分だけ狭める必要があるため、若干認証精度が劣化する。
【0074】
図12は、部分的に撮影された指静脈の貼り合わせの手順である。上述の通り、指の静脈の部分画像210と共に、指の表面の部分画像211がペアとなって獲得できる。このとき、指表面の部分画像211に対して指表面のしわの強調処理を実施する。次のタイミングで獲得される指表面の部分画像211は僅かに位置がずれている。図12(a)と(b)は、僅かにずれた位置を撮影している過程を示している。このとき、指表面のしわの強調処理後の画像同士を比較して、位置ずれ量を算出する。この情報に基づいて、指の静脈の部分画像210を張り合わせる。張り合わせは、新しい領域の部分画像を上書きしてもよく、また画像の重なり合う部分を平均処理してもよい。平均処理する場合は僅かに処理時間が掛かるものの滑らかな繋ぎ合わせが可能となる。このようにして、図12(c)に示すような指の全体的な指静脈画像212を得ることができる。これに対して指静脈の特徴抽出処理を実施することで、認証処理が実現できる。
【0075】
指の表面のしわの強調処理は、一般的に知られているエッジ強調フィルタ、マッチドフィルタ、あるいは輝度断面プロファイルの窪み検出などの手法が利用できる。このとき、画像上のしわの典型的な幅に基づきアルゴリズムパラメータを調整することで最適な強調処理が可能となる。また、特定の方向のみのしわを強調する処理を複数の方向について独立に行うことで、各方向に対する位置ずれ量を正確に求めることができる。
【0076】
図11に示した指の根元側の指置き台103は指1を圧迫する可能性があるため、指静脈を観測するための開口部101から距離を離し、その間にできた空間に指表面を観測する開口部200を設置している。これにより、静脈の圧迫による情報の劣化を防ぎながら省スペース化が可能となる。
【0077】
なお、図11に示した指表面の撮像装置は、一般的に用いられている指紋センサを用いても良い。
【0078】
図13は、指の腹側から指を照射し、指の側面の静脈を撮影する複数指静脈認証装置の一実施例である。図13(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は1つの指に着目した指の照射原理を示している。本実施例では、2本の指を置く例について示しているが、1本、あるいは3本以上の指を提示する場合についても同様に実施可能である。
【0079】
利用者が1本目の指の指先を、指先の指置き台102に置き、もう1本の指の指先を、指先の位置合わせ用の溝181に置く。長さの異なる指を置くため、1本の指先の前後方向の位置は、指先の指置き台102によって規定されるが、もう一方の指の前後方向の位置は規定せず、指先の位置合わせ用の溝181によって左右方向の位置だけを規定する。
【0080】
このとき、光源23が指1の腹側に密着する。これにより、光源23からの光が指1の内部に効率良く入射される。指の内部で光が散乱し、指の外へ放射される光のうち、指の側面側から放射した光を撮像装置9により撮影することで、指の側面の静脈パターンが観測できる。図13(d)に示すように、光源23は指の中心軸よりも撮像装置9から離れた位置に設置されている。これにより、撮像装置9が撮影する指の表面と光源23との距離が遠くなり、血管部分を透過せずに撮像装置9に届いてしまう光の量が血管部分を透過する光の量に比べて減少するため、血管画像のコントラストを高められる。また光源23は1本の指に対し2つ設置されているが、これは画像を一様に照らすためであり、必要に応じて1つとしても良く、更に個数を増やして密に並べても良い。
【0081】
なお、図13に示した実施例は、指先の指置き台102、指先の位置合わせ用の溝181を外し、装置内部に図11で示した指表面の撮像装置202を組み合わせることで、スイープタイプの装置とすることも可能である。これにより装置の小型化が実現できる。
【0082】
図14は、前述の図13で示した複数指静脈認証装置のうち、撮像装置9をフラットセンサとして薄くした場合の一実施例である。フラットセンサは非常に薄く、感度を有する面を外側に向けて2枚のフラットセンサを密着することで、両側を撮影することができる薄型フラットセンサを構成することができる。本実施例における撮像装置9はこのような両面に感度を持つ装置であり、薄型であるため、両方向の指の側面を撮影するような撮像素子を指の間の狭いスペースに設置することができる。従って、指を大きく開くことなく、指を容易に提示することが可能である。図14(d)は、1本の指の撮影に注目したとき、指の右側面を撮影する例を示している。指1の中心より左側にある光源23を点灯し、右のある光源23を消灯する。このとき指の右側面の血管を透過した光を指1の右側にある撮像装置9が撮影する。次のタイミングでは、左側の光源23は消灯し、右側の光源23を点灯、そして指の左側面を、指1の左側にある撮像装置9が撮影する。このように、指の両側面を交互に撮影することで、より多くの静脈を撮影することができ、認証精度を高めることができる。
【0083】
なお、図14に示した実施例は、指先の指置き台102、指先の位置合わせ用の溝181を外し、装置内部に図11で示した指表面の撮像装置202を組み合わせることで、スイープタイプの装置とすることも可能である。これにより装置の小型化が実現できる。
【0084】
図15は、複数の指に対し指の側面側の斜め上方から光を照射する複数指静脈認証装置の一実施例である。本実施例は2本の指の間に光源支持部220を設置し、その上部に光源23を両方向の指に対して斜め上方より照射する角度で設置し、指の側面上方から光源を照射している。ただし光源支持部220の部材は、不要な外光の進入による画質劣化を発生させないように、赤外光の透過・反射が発生しない材質とする。光源と撮像する部位は、指に対して正反対となる位置が最もコントラストの高い静脈画像を得ることができる。そこで、図15(b)に示されるように、光源23と撮像装置9とが指1の置かれる位置に対して正対するような角度で配置されている。従って、指の腹側に対してやや斜め方向の静脈パターンを観測することになる。また、側壁104や光源支持部220により外光の進入が抑制されているため、開口部101は図2で示したような指の幅より狭いものにするのではなく、指幅よりも広い構造とすることができる。これにより、コントラストの高い指静脈画像が広い面積において獲得できると共に、指の輪郭を撮影できるため、指の位置補正を正確に実施できる。
【0085】
装置への置き易さを考慮するために、光源支持部220は薄い構造とし、これに伴い光源23も小さな素子を利用することで、指がこれらの構造物にぶつからないようにする。
【0086】
撮影される画像に映るものとしては、指1とその外側の背景となる。指1の輪郭の外側の背景については、半面は装置外部が映り込むが、その反対側の背景には光源支持部220が映り込む。そこで指の回転補正を行うために、常に暗く映る光源支持部220の映り込みと指1との境界の輪郭のみを検出することで、安定した指輪郭検出が可能となる。それに伴い、この輪郭情報に基づいて指の回転補正を実施することで、安定した指の回転補正が実現できる。このように、本実施例では、指を置く場所が開放的であり、さらに高画質な静脈の撮影が可能となることから、利便性と精度を向上することができる。
【0087】
なお、図15に示した実施例では2本の指を提示できる構造を示したが、3本以上としても良い。この場合、光源支持部220はできるだけ薄い構造とすることで、手の小さな人でも無理なく指を提示することが可能となる。
【0088】
また、図15に示した実施例は、指先の指置き台102、指先の位置合わせ用の溝181を外し、装置内部に図11で示した指表面の撮像装置202を組み合わせることで、スイープタイプの装置とすることも可能である。これにより装置の小型化が実現できる。
【0089】
以上のように、本発明によって、複数の指の静脈を用いて従来より飛躍的に認証精度を向上させながらも、置きやすく利便性の高い認証装置が実現できる。本装置は、住宅の扉、オフィスビルなどの特に利用者の多い入退室管理システム、空港などの重要管理施設におけるアクセス管理、ブラックリストなどの登録リストに該当する人物であるかを検索するシステムなどに利用できる。特に、認証精度の高さを利用して、利用者がICカードやパスワードの入力を行うことなく、指だけで簡単に認証処理が実施できる1−N認証システムを構築することが可能となり、利便性が向上する。また、上述の通り、スイープタイプの認証装置とすることで装置の小型化が可能となり、たとえばパソコンのキーボードなどに組み込むことでPCログインやネット決済などにも応用できる。さらにはATMやクレジット決済など、金融関係のシステムに適用することも可能となる。
【0090】
図16は、携帯端末を握り込んだ状態で複数の指静脈を撮影し認証を行う複数指静脈認証装置の一実施例である。携帯端末301には、CPU306、メモリ303、無線通信ユニット305が具備されている。さらに、指1を置くための溝304が2つ設置されており、本実施例においては2本の指を撮影することができる。図16(b)に示されるように、指を置く溝304の中央部に光源23が設置されている。図16(c)のように利用者は携帯端末301を溝304に合わせるように握り込む。このとき光源23は指の腹側を照射する。この状態で、別途設置されている読み取り端末310に指1の背中側を接触させる。タッチセンサ312がこの接触を感知すると、CPU315の指示に基づいて撮像装置313が指の甲側の静脈を撮影する。この撮像装置313は指の本数だけの数を備えても良く、解像度や画角に応じて1つとしても良い。撮影された複数の指の甲の静脈画像をCPU315で処理することで、メモリ303に事前に登録されている静脈パターンとの一致を判定する。登録データはメモリ303に登録されているが、照合処理のために無線通信ユニット305と無線通信ユニット314とが暗号通信を行い、登録データを読み取り端末側に送り込んでも良く、逆に照合データを携帯端末側に送り込んでCPU306が照合処理をしても良い。前者の場合は携帯端末に高機能なCPUが不要であり、後者の場合は登録データの漏洩が無くセキュリティ面で有利となる。
【0091】
撮影の際に光源23の光量が最適でない場合は、無線通信ユニット305と無線通信ユニット314とが通信を行い、光源23の光量値を携帯端末側へ伝えるか、あるいはゲインコントローラ316が最適な明るさとなるように画質を調整する。
【0092】
このように、複数指の甲側の静脈を用いた認証を実施することで、携帯端末のような小型装置においても高精度でかつ利便性の高い認証が実現できる。認証精度が高まることから、携帯端末を利用した決済などへの応用が考えられる。
【0093】
図17は、携帯端末を握り込んだ状態で複数指の静脈を撮影し認証する、複数指静脈認証装置の一実施例である。図17(a)に示すように、携帯端末400は、人差し指と中指とが握り込めるグリップ401を具備し、グリップ401には指を置く溝304が複数存在し、その溝の中心位置に光源23が設置されている。光源23は指が提示されることを検知するために点灯あるいは点滅を行い、撮像装置9で得られる画像を評価することにより光源を遮る物体が入ったことを検知し、その時点で認証を開始する。図17(b)に示すように、利用者は携帯端末400を握り込むと、自然な形で人差し指1aと中指1bとをグリップ401に掛けることができる。この状態で光源23を点灯させると、赤外光は指1a、1bを透過し、撮像装置9に到達する。このとき得られる指静脈画像が図17(c)に示されている。指1aと1bの甲側と側面の静脈が同時に撮像装置9により402a,402bとして撮影される。この画像には2本の指の輪郭が撮影されており、エッジ検出処理などにより2本の指領域に分割する。これは後述の通り、1本の指を単独で照合することにより、怪我などの例外に対応するためである。それぞれの指に対し、登録されている2本の指静脈のデータとの比較を行い一致を判定する。両方の指が共に登録データとの相関が高い場合は認証するが、たとえば指を怪我して包帯を巻いているような状態では、両方の一致が得られない。そこで、片方のみ相関が高いと判定された場合でも認証を行う。しかし、その場合の閾値をやや厳しく設定することで、総合的なセキュリティレベルを下げることなく、怪我などの例外を対処することが可能となる。
【0094】
図17に示す実施例は、例えばテレビやゲーム機器のリモコンなどに適用することが可能となる。これにより、個人の嗜好に合った番組を選択できるようになるなどのサービスを実施できるほか、ゲーム機器においてはユーザ認証などが可能となる。あるいは静脈パターンのランダム性を利用したゲームなどに応用することができる。たとえば、登録時の状態に対し再現良く置かれた場合はゲームを有利に進めることができる、静脈の部分的な形状を数値化しゲーム内で利用される属性値を決定する、静脈の部分的な形状の類似性を評価することで相性を判定する、などに利用できる。
【0095】
グリップ部に押しボタンを具備することで、ボタンの押下により認証開始のトリガーとすることができる。これにより、待機時の光源23の消費電力を低下できると共に、利用者が簡単な操作で認証を開始できる。当然のことながら、リモコンボタンの押下を認証開始のトリガーとしても良い。またライフル銃や拳銃に取り付けて、引き金に指がかかったのを認証トリガとしてオーナ認証を行い、不正使用を防止するようにしても良い。
【0096】
また、これをオフィス、自動車などの扉に設置しても良い。グリップを握り込む動作だけで鍵を開錠することが可能となり、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0097】
1 指、2 入力装置、9 撮像装置、10 認証処理部、12 メモリ、13 インターフェイス、14 記憶装置、15 表示部、16 入力装置、17 スピーカ、18 画像入力部、23 光源、23a 上部光源、23b 下部光源、101 開口部、102 指先の指置き台、103 指根元の指置き台、104 側壁、105 光源支持部、106 間仕切り、120 指静脈画像、120a 指静脈画像の右領域、120b 指静脈画像の左領域、151 溝の凹部、161 指輪郭観測用開口部、162 指輪郭観測用撮像装置、170 輪郭を含む指静脈画像、171 輪郭を含まない指静脈画像、172 指輪郭観測用画像、173 指輪郭、174 指の中心軸、180 上蓋、181 指の位置合わせ用溝、200 指表面観測用開口部、201 反射光源、202 指表面観測用撮像装置、203 ランプ、210 指静脈部分画像、211 指表面部分画像、212 合成指静脈画像 220 光源支持部、301 携帯端末、303 メモリ、304 指提示用溝、305 無線通信ユニット、306 CPU、310 読み取り端末、311 指提示用溝、312 タッチセンサ、313 撮像装置、314 無線通信ユニット、315 CPU、316 ゲインコントローラ、400 携帯端末、401 グリップ、1a 第一の指、2b 第二の指、402a 第一の指の静脈画像、402b 第二の指の静脈画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から取得される特徴情報を用いて個人の認証を行うために用いられる認証装置であって、
筐体と、
それぞれ認証を行う個人の指が提示される前記筐体表面の複数の領域と、
前記複数の領域の夫々と対応して設けられた複数の光源と、
前記複数の光源夫々からの光をタイミングを変えて照射させる制御手段と、
前記複数の領域の夫々に形成された複数の開口部と、
前記複数の開口部の夫々から前記筺体内に導かれた前記透過光を夫々撮像する撮像部と、
隣り合う前記開口部同士の間に夫々配置され、前記筺体表面に突出して設けられた仕切りと、
を有することを特徴とする認証装置。
【請求項2】
生体から取得される特徴情報を用いて個人の認証を行うために用いられる認証装置であって、
筺体と、
前記筺体表面に設けられ、認証を行う個人の指が提示される複数の領域と、
前記複数の領域に光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源夫々からの光を時分割により切り替えて照射させる制御手段と、
前記複数の領域の各々に提示された指に対して前記複数の光源からの光が照射され、当該指に照射された光を通過させる、前記複数の領域の各々に設けられた開口部と、
当該開口部を通過した光を撮像する撮像部と、
前記複数の領域に提示された指の各々間を仕切るように前記筺体表面上に設けられ、前記複数の領域のそれぞれの領域内で発生した光が、他の領域に介入することを遮断する仕切りとを備え、
提示される指幅方向における、隣り合う前記仕切り同士の間隔は、前記開口部の幅よりも大きく、隣り合う前記仕切りに挟まれるように前記開口部が夫々配置されていることを特徴とする認証装置。
【請求項3】
前記仕切りは、前記開口部の長軸方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記複数の領域に提示された指の輪郭を撮像することを特徴とする請求項1または2に記載の認証装置。
【請求項5】
前記認証装置は、前記複数の領域のいずれかと対応し、前記対応する領域から導かれた前記透過光を撮像するよう、前記筐体内部に設置された複数の撮像部を有することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項6】
前記認証装置は、前記複数の領域のいずれかと対応し、前記対応する領域から導かれた前記光を撮像するよう、前記筺体内部に設置された複数の撮像部を有することを特徴とする請求項2記載の認証装置。
【請求項7】
前記複数の領域のそれぞれから導かれた前記透過光が、導かれた領域に対応する前記撮像部以外の撮像部へ到達することを前記筐体内部で遮断する間仕切りを備えることを特徴とする請求項5記載の認証装置。
【請求項8】
前記複数の領域のそれぞれから導かれた前記光が、導かれた領域に対応する前記撮像部以外の撮像部へ到達することを前記筐体内部で遮断する間仕切りを備えることを特徴とする請求項6記載の認証装置。
【請求項9】
前記仕切りと前記間仕切りが一体として形成されていることを特徴とする請求項7または8記載の認証装置。
【請求項10】
前記複数の開口部のうちの1つが提示される指の延伸方向に、他の前記開口部よりも突出していることを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項11】
前記複数の領域に、前記複数の指を提示するための複数の指置き台が設置されていることを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項12】
前記光源が前記仕切りに隣接して設けられ、前記光源からの光の一部が隣接する前記仕切りを介して隔てられた領域に提示された前記指に照射され、前記光源からの光の他の一部が前記隔てられた領域に照射されることを前記仕切りによって遮断することを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項13】
前記提示された複数の指に向けて前記開口部側から照射するよう配置された反射光源と、
前記複数の指の表面を撮像する第二の撮像部と、
前記撮像部にて撮像された画像を処理する演算部と、
を有し、
前記演算部は、前記第二の撮像部によって取得された複数の部分画像を合成し、前記指の全体の画像を形成することを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項14】
前記撮像部にて撮像された画像を処理する演算部を有し、
前記演算部は、前記複数の指の撮像状態を検知し、認証が正しく行えない前記指の本数に応じてセキュリティレベルを動的に変更することを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項15】
前記撮像部によって撮像された画像に含まれる血管パターンに基づいて認証を行う演算部を有することを特徴とする請求項1から14迄の何れかに記載の認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−61946(P2013−61946A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219031(P2012−219031)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2007−279780(P2007−279780)の分割
【原出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】