説明

挟着クリップ付き台紙及び挟着クリップ紙葉体

【課題】紙葉体のみからなりながら、装着体(商品陳列棚のこぼれ止めや被服)に対する十分なクリップ力が得られる挟着クリップ付き台紙を得る。
【解決手段】商品表示部又は及び商品保持部となる台紙10と、この台紙裏面に接着される挟着クリップ紙葉体20からなり、挟着クリップ紙葉体20は、台紙10へ接着される接着帯部21と、この接着帯部21に連なり該接着帯部(台紙)とは離間したクリップ帯部と、このクリップ帯部の一側部から山折りされ、その自由端部が接着帯部とクリップ帯部の間を通って台紙裏面に接触するクリップ舌片とを有する挟着クリップ付き台紙。台紙がない状態を最終製品とすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙と挟着クリップの全体を紙のような紙葉体から構成した挟着クリップ付き台紙及び挟着クリップ紙葉体に関する。
【背景技術】
【0002】
クリップ付き台紙は一般に、前面を表示部(保持部)とした台紙の裏面に、該台紙との間でクリップ力を発揮する挟着クリップを設けている。このようなクリップ付き台紙は、例えば、商品陳列棚の前方のこぼれ止め(板材又は線材からなる商品ストッパ)に装着される商品表示デバイス、あるいは被服に装着する名札ホルダ等として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-104119号公報
【特許文献2】特開2003-111652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このクリップ付き台紙は従来、台紙の裏面に揺動可能に支持した挟着クリップ体を、ばね材料を用いて台紙側に付勢しクリップ力を得るのが普通であった。あるいは、台紙の裏面に結合する板ばね体をU字状に曲折し、該U字状部の弾性力でクリップ力を得ている。
【0005】
また従来のクリップ付き台紙は、台紙は紙等の紙葉体からなるのに対し、挟着クリップ体が金属材料や合成樹脂材料からなる(あるいは金属材料や合成樹脂材料を含む)ため、製造時には台紙と挟着クリップ体の結合作業が必要であるのみならず、廃棄時には、ごみの分別収集のため、台紙と挟着クリップ体(金属材料や合成樹脂材料)を分離する作業が必要であった。
【0006】
本発明は、以上の問題意識に基づき、紙葉体のみからなりながら(つまり、金属材料を使用せずに)、装着体(上の例ではこぼれ止めや被服)に対する十分なクリップ力が得られる挟着クリップ付き台紙、あるいは台紙を必要としない挟着クリップ紙葉体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭角に折り曲げた紙葉体が平面に戻ろうとする(鋭角を鈍角にしようとする)復元力は非常に強く、この復元力をクリップ力として利用すれば、紙葉体だけでも装着体に対する十分なクリップ力が得られること、及びこの復元力を利用するのに好適な紙葉体の折り構造を見出して本発明に至ったものである。
【0008】
本発明の挟着クリップ付き台紙は、商品表示部又は及び商品保持部となる台紙と、この台紙裏面に接着される挟着クリップ紙葉体からなり、挟着クリップ紙葉体は、台紙へ接着される接着帯部と、この接着帯部に連なり該接着帯部(台紙)とは離間したクリップ帯部と、このクリップ帯部の一側部から山折りされ、その自由端部が接着帯部とクリップ帯部の間を通って台紙裏面に接触するクリップ舌片とを有することを特徴としている。
【0009】
クリップ帯部とクリップ舌片は、複数枚を重ねることでより強いクリップ力を得ることができる。
【0010】
本発明の一つの好ましい態様では、挟着クリップ紙葉体は、展開状態で、上記接着帯部、この接着帯部の両端部に連設した一対の間隔保持帯部、及びこの一対の間隔保持帯部の両端部に連設した一対の上記クリップ帯部を有しており、この一対のクリップ帯部の一側部にそれぞれ一対の上記クリップ舌片が連設されている。
【0011】
挟着クリップ紙葉体の接着帯部、一対の間隔保持帯部及び一対のクリップ帯部は、全体として矩形の枠体を形成するように折り曲げられて接着される。一対のクリップ舌片は、それぞれのクリップ帯部の上縁部から山折りされて重ね合わされ、接着帯部とクリップ帯部の間(矩形の枠体の間)に通されて、その先端自由端部が台紙裏面に接触する(厳密には一対のクリップ舌片の一方が台紙に接触し、他方はその上面に接触して補助クリップ力を与える)。
【0012】
本発明は、挟着クリップ紙葉体の態様では、表面帯部と、この表面帯部に連なり該表面帯部とは離間したクリップ帯部と、このクリップ帯部の一側部から山折りされ、その自由端部が表面帯部とクリップ帯部の間を通って延びるクリップ舌片とを有することを特徴としている。
この態様では、表面帯部を台紙へ接着する他、表面帯部自体を表示部とすることが可能である。表面帯部をクリップ帯部より大型(大面積)とすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の挟着クリップ付き台紙は、挟着クリップ紙葉体のクリップ舌片がクリップ帯部の一側部(上縁部)に対して山折りされ、クリップ帯部と接着帯部の間を通って台紙裏面に当接するから、鋭角に折り曲げられたクリップ舌片の復元力を利用したクリップ力が得られる。よって、金属材料や合成樹脂材料を必要とせずに挟着クリップ付き台紙を得ることができる。また、台紙と挟着クリップ紙葉体の全体を紙製とすれば、廃棄時に台紙部分とクリップ部分を分ける必要がなく、廃棄コストが安い。また、挟着クリップ紙葉体の態様では、台紙を用いることなく、単体でこぼれ止めや名札としての使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による挟着クリップ付き台紙の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】本発明による挟着クリップ付き台紙の挟着クリップ紙葉体の一実施形態の平面図(展開図)である。
【図4】図3の挟着クリップ紙葉体の最初の折曲状態を示す斜視図である。
【図5】次の折曲状態を示す斜視図である。
【図6】次の折曲状態を示す斜視図である。
【図7】次の折曲状態を示す斜視図である。
【図8】最後の折曲状態を示す斜視図である。
【図9】図8のIX-IX線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の紙製挟着クリップ付き台紙100は、図1、図2に示すように、台紙10と、この台紙10に接着される挟着クリップ紙葉体20からなっている。台紙10は、単純な板材として示しているが、商品表示デバイス、名札ホルダ等の用途に応じて、その表面を適宜な形状構造とすることができる。材質は紙の他、プラスチック薄板でもよい。
【0016】
この実施形態の挟着クリップ紙葉体20は、一連の紙材(紙葉体)からなるもので、図3に示すように、接着帯部21、この接着帯部21の長さ方向の両端部に連設した一対の間隔保持帯部22A、22B及びこの一対の間隔保持帯部22A、22Bの両端部に連設した一対のクリップ帯部23A、23Bを有している。クリップ帯部23Aの端部には、間隔保持帯部22Bに重ね合わせて接着される接着間隔保持帯部24が形成されている。接着帯部21と間隔保持帯部22A、22Bの間、間隔保持帯部22A、22Bとクリップ帯部23A、23Bの間、及びクリップ帯部23Aと接着間隔保持帯部24の間にはそれぞれ、帯部の長さ方向と直交する折曲線(筋押し溝またはミシン目)25が形成されている。
【0017】
クリップ帯部23Aと23Bの一側部(長手方向と直交する側部)には、同一方向に向けて大クリップ舌片26Aと小クリップ舌片26Bが連設されている。このクリップ帯部23Aと大クリップ舌片26Aの間、及びクリップ帯部23Bと小クリップ舌片26Bの間には、折曲線27A、27Bが形成されている。この折曲線27A、27Bは、クリップ帯部23Aに対して大クリップ舌片26Aを鋭角状に折り曲げ、クリップ帯部23Bに対して小クリップ舌片26Bを鋭角状に折り曲げたとき、同大小のクリップ舌片26Aと26Bに、クリップ帯部23Aと23Bと同一の平面に復元しようとする(鋭角を鈍角にしようとする)大きい復元力が生じるような溝またはガイドとすることが好ましい。大クリップ舌片26Aの自由端部には、折曲線28Aを介して指掛部28が折曲形成されている。挟着クリップ紙葉体20は、接着帯部21、間隔保持帯部22B及びクリップ帯部23Bの一部の下面に、図3の薄墨を付した位置に、接着剤が塗布されている(剥離紙を有する両面接着テープが付されている)。
【0018】
以上の挟着クリップ紙葉体20は、図4ないし図8に示す折曲工程を経て折り曲げられ接着される。まず、図4に示すように、一対の大クリップ舌片26Aと小クリップ舌片26Bを、折曲線27Aと折曲線27Bに沿い、クリップ帯部23Aとクリップ帯部23Bに対して矢印Xで示すように同一の方向に折り曲げる。すると、折り曲げられた大クリップ舌片26Aと小クリップ舌片26Bには、黒矢印Aと白抜き矢印Bで示す、クリップ帯部23Aとクリップ帯部23Bと同一平面に戻ろうとする(鋭角を鈍角にしようとする)方向の復元力(平面に復帰しようとする力)が与えられることになる。
【0019】
次に、図5に示すように、間隔保持帯部22Aの両側の折曲線25を山折りし、矢印Yで示す方向に、接着帯部21、間隔保持帯部22B及びクリップ帯部23B(小クリップ片26B)を平面状態のまま、クリップ帯部23Aと大クリップ舌片26Aの下方に折り曲げる。このとき、大クリップ舌片26Aはクリップ帯部23Aを基準として図の下方に復元力Aが作用しているのに対し、小クリップ舌片26Bはクリップ帯部23Bを基準として図の上方に復元力Bが作用している。
【0020】
次に、図6に示すように、間隔保持帯部22Bの両端の折曲線25を谷折りしながら、小クリップ舌片26Bとクリップ帯部23Bを大クリップ舌片26Aとクリップ帯部23Aの間に入れる。この状態において、クリップ帯部23Bと間隔保持帯部22Bの裏面の剥離紙を剥がして、クリップ帯部23Bをクリップ帯部23Aに接着し、さらに図8に示すように、接着間隔保持帯部24を間隔保持帯部22Bに接着する。この接着が完了すると、図8、図9に明らかなように、接着帯部21、間隔保持帯部22A、22B(24)及びクリップ帯部23A(23B)により矩形の枠体が形成されている。クリップ帯部23Aとクリップ帯部23Bの上下(内外)関係及び間隔保持帯部22Bと接着間隔保持帯部24の上下(内外)関係は、図1にも表れている。
【0021】
この図8、図9の挟着クリップ紙葉体20の完成状態では、大クリップ舌片26Aと小クリップ舌片26Bは、クリップ帯部23Aとクリップ帯部23Bの一側部(上縁部)で山折りされて、接着帯部21、間隔保持帯部22A、22B(24)及びクリップ帯部23A(23B)の矩形の枠体内に延びており、復元力AとBにより、接着帯部21方向に付勢されている。そして、その移動端は大クリップ舌片26Aが接着帯部21に当接する位置で規制されている。
【0022】
この挟着クリップ紙葉体20を、接着帯部21の裏面の剥離紙を剥がし、台紙10の裏面に接着すると、図1、図2に示す挟着クリップ付き台紙100が完成する。このとき、大クリップ舌片26Aと小クリップ舌片26Bは、図8、図9の完成状態の挟着クリップ紙葉体20単体の自由状態と比較すると、台紙10によって復元力AとBに抗する方向に押されるから、台紙10との間に、より強いクリップ力を発揮する。
【0023】
以上の実施形態では、台紙10を必須としたが、図8、図9に示した挟着クリップ紙葉体20を最終製品とする態様も可能である。この態様では、接着帯部21を台紙に接着しない表面帯部とし、その表面を表示部とする。この態様では、接着帯部21を間隔保持帯部22A、22B(24)及びクリップ帯部23A(23B)より大型(大面積)とすることが好ましい。勿論、後に表面帯部21を台紙に接着して用いてもよい。
【0024】
以上の実施形態では、挟着クリップ紙葉体20を一枚の紙から構成し、折曲して最低限の接着(クリップ帯部23Aとクリップ帯部23Bの接着、及び間隔保持帯部22Bと接着間隔保持帯部24の接着)をすることで、大小のクリップ舌片26A、26Bを形成しているため、製造が容易という利点がある。しかし、重ねられる大小のクリップ舌片とクリップ帯部を別体として構成し、クリップ帯部で接着することも可能である。別体として構成すれば、3枚以上のクリップ舌片を重ねることもできる。逆に、1枚のクリップ舌片でも本発明は成立する。
【符号の説明】
【0025】
10 台紙
20 挟着クリップ紙葉体
21 接着帯部(表面帯部)
22A 22B 間隔保持帯部
23A 23B クリップ帯部
24 接着間隔保持帯部
25 折曲線
26A 大クリップ舌片
26B 小クリップ舌片
27A 27B 折曲線
28 指掛部
100 挟着クリップ付き台紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、この台紙裏面に接着される挟着クリップ紙葉体からなり、挟着クリップ紙葉体は、台紙へ接着される接着帯部と、この接着帯部に連なり該接着帯部とは離間したクリップ帯部と、このクリップ帯部の一側部から山折りされ、その自由端部が接着帯部とクリップ帯部の間を通って台紙裏面に接触するクリップ舌片とを有することを特徴とする挟着クリップ付き台紙。
【請求項2】
請求項1記載の挟着クリップ付き台紙において、クリップ帯部とクリップ舌片は複数枚が重ねられている挟着クリップ付き台紙。
【請求項3】
請求項1または2記載の挟着クリップ付き台紙において、挟着クリップ紙葉体は、展開状態で、上記接着帯部、この接着帯部の両端部に連設した一対の間隔保持帯部、及びこの一対の間隔保持帯部の両端部に連設した一対の上記クリップ帯部を有しており、この一対のクリップ帯部の一側部にそれぞれ一対の上記クリップ舌片が連設されている挟着クリップ付き台紙。
【請求項4】
請求項3記載の挟着クリップ付き台紙において、挟着クリップ紙葉体の上記接着帯部、一対の間隔保持帯部及び一対のクリップ帯部は、全体として矩形の枠体を形成するように折り曲げられて接着され、一対のクリップ舌片は、それぞれのクリップ帯部の上縁部から山折りされて重ね合わされ、接着帯部とクリップ帯部の間に通されその先端自由端部が台紙裏面に接触している挟着クリップ付き台紙。
【請求項5】
表面帯部と、この表面部に連なり該表面帯部とは離間したクリップ帯部と、このクリップ帯部の一側部から山折りされ、その自由端部が表面帯部とクリップ帯部の間を通って延びるクリップ舌片とを有することを特徴とする挟着クリップ紙葉体。
【請求項6】
請求項5記載の挟着クリップ紙葉体において、クリップ帯部とクリップ舌片は複数枚が重ねられている挟着クリップ紙葉体。
【請求項7】
請求項5または6記載の挟着クリップ紙葉体は、展開状態で、上記表面帯部、この表面帯部の両端部に連設した一対の間隔保持帯部、及びこの一対の間隔保持帯部の両端部に連設した一対の上記クリップ帯部を有しており、この一対のクリップ帯部の一側部にそれぞれ一対の上記クリップ舌片が連設されている挟着クリップ紙葉体。
【請求項8】
請求項7記載の挟着クリップ紙葉体において、上記表面帯部、一対の間隔保持帯部及び一対のクリップ帯部は、全体として矩形の枠体を形成するように折り曲げられて接着され、一対のクリップ舌片は、それぞれのクリップ帯部の上縁部から山折りされて重ね合わされ、表面帯部とクリップ帯部の間に通されている挟着クリップ紙葉体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−223340(P2012−223340A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92976(P2011−92976)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(591030341)株式会社システムコミュニケーションズ (10)
【Fターム(参考)】