振とう装置
【課題】土壌汚染調査における土壌汚染調査の現場に容易に運搬することができ、更に、この土壌汚染調査における土壌汚染調査の現場で、同時に複数個の試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる振とう装置を提供する。
【解決手段】土壌試料と溶媒とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器2を複数個保持する受け部3が、支持軸4に対して相対して配設された振とう台5と、振とう台5を、支持軸4を中心に回動可能に支持する支持台6と、支持台6に配設され、振とう台5を、支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の端部を上下動させて、振とう台5上に載置した試験容器2を揺動させる駆動部7とを備える。
【解決手段】土壌試料と溶媒とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器2を複数個保持する受け部3が、支持軸4に対して相対して配設された振とう台5と、振とう台5を、支持軸4を中心に回動可能に支持する支持台6と、支持台6に配設され、振とう台5を、支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の端部を上下動させて、振とう台5上に載置した試験容器2を揺動させる駆動部7とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験溶液が入れられた複数個の試験容器を同時に振とうし、一度に多数の分析用検液を作製する振とう装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境汚染が大きな社会問題となっており、その一つである土壌の汚染についても、汚染土壌に含まれる各種金属や揮発性有機化合物による汚染状況の調査が全国的に急がれている。
【0003】
また、このような土壌汚染調査においては、汚染物質の分析を土壌汚染調査の現場で行ない、迅速に汚染状況を把握することが望ましい。しかし、そのためには、土壌汚染調査の現場に分析機材を持ち込み、その場で試験溶液から分析用検液を作製することが必要となる。
【0004】
特に、土壌汚染調査の範囲が広い場合には、分析対象数が多くなり、分析を迅速に進めるためには、一度に多数の分析用検液を作製し、分析処理のための準備にかかる時間を短縮する必要がある。
【0005】
上記したように、一度に多数の分析用検液を作製するための装置としては、特許文献1に示すようなものがある。この作製装置は、集積台に集積された複数個の試験容器をベルトコンベアで振とう装置に自動搬送し、振とうした後、ベルトコンベアで自動搬送して排出台に集積することにより、一度に多数の分析用検液を作製することができる。しかしながら、このような作製装置は、大型であるため、調査現場への運搬が困難で、移設するには多くの経済的負担、労力がかかる。
【0006】
一方、小型の振とう装置を用いる場合には、運搬等にかかる負担は軽減されるものの、同時に複数個の試験容器を振とうして一度に多数の分析用検液を作製するためには、土壌汚染調査の現場に何台もの振とう装置を用意する必要がある。
【0007】
また、振とう装置における振とう方式には、振とう台を、振とう台の幅方向または長さ方向に往復させて振とう台上の試験容器を振とうする、いわゆる往復方式と、振とう台を、円形状、楕円形状、8の字状等に旋回させて振とう台上の試験容器を振とうする、いわゆる旋回方式と、振とう台を支持軸を中心に回動させて振とう台の幅方向の端部を上下動させ、振とう台上の試験容器を支持軸を中心に揺動させて振とうする、いわゆるシーソー方式とがある。
【0008】
これらの振とう方式のうち、シーソー方式の振とう装置は、他の振とう方式の振とう装置と比べて、構造が簡易で、部品点数が少なく、重量も軽量であるため、運搬が容易で利便性が高く、実際に土壌汚染調査を行う現場において分析用検液を作製するために使用する振とう装置として最適である。
【0009】
しかしながら、シーソー方式の振とう装置は、一般的には、振とう台上において、試験容器が支持軸に対して相対するよう幅方向両側に均等に配列しなければならないため、小型・軽量を維持しながら、他の振とう方式の振とう装置のように一度に多数の分析用検液を作製できる構造とすることが課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−40731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、土壌汚染調査の現場へ容易に運搬することができ、さらに、この土壌汚染調査の現場において、同時に複数個の試験容器を振とうさせて、一度に多数の分析用検液を作製することができ、分析の迅速化及び調査期間の短縮化を図る振とう装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る振とう装置は、土壌試料と溶媒とを一定の割合で混合して作製した試験溶液を入れた試験容器を複数個保持する受け部が、支持軸に対して相対または直交して配設された振とう台と、振とう台を支持軸を中心に回動可能に支持する支持台と、支持台に配設され、振とう台を支持軸を中心に回動させ、振とう台の端部を上下動させて、振とう台上に載置した試験容器を継続して揺動させる駆動部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る振とう装置は、試験容器を保持する受け部が支持軸に対して相対あるいは直交して配設された振とう台と、この振とう台を支持軸を中心に回動させ、振とう台の端部を上下動させて、振とう台上に載置した試験容器を継続して揺動させる駆動部によって構成される軽量小型、簡易構造の装置であって、簡便なシーソー方式により試験容器を振とうさせるものである。
【0014】
また、振とう台上に備えられた各受け部において試験容器を複数個保持することができ、土壌汚染調査を行う土壌汚染調査の現場に容易に運搬することが可能であるため、土壌汚染調査の現場で、同時に複数個の試験容器を振とうさせて、一度に多数の分析用検液を作製することができ、分析の迅速化及び調査期間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本発明の振とう装置の具体例を示した概略の平面図である。(B)は、概略の正面断面図である。
【図2】本発明の振とう装置の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図3】本発明の振とう装置の駆動部の具体例を示した概略の斜視図である。
【図4】本発明の振とう装置の受け部の受け孔が千鳥状に形成された際の具体例を示した概略の平面図である。
【図5】本発明の振とう装置の受け部に試験容器が多段に収納された際の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図6】本発明の振とう装置の受け部を多段に設けた際の具体例を示した概略の側面図であり、(A)は、係合する前の状態を示し、(B)は、係合後の状態を示した概略の側面図である。
【図7】本発明の振とう装置の受け部を多段に設けた際の他の具体例を示した概略の側面図であり、(A)は、閉蓋した状態を示し、(B)は、観音開き状に開蓋した状態を示した概略の側面図である。
【図8】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けた際の具体例を示した概略の斜視図である。
【図9】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けるとともに、スライド可能に設けた際の具体例を示した概略の斜視図である。
【図10】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けるとともに、スライド可能に設けた際の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図11】本発明の振とう装置の受け部の他の具体例を示した概略の平面図である。
【図12】本発明の振とう装置の受け部を、支持軸4に直交し、互いに平行に、長さ方向の両端部の間に配設されている具体例を示した平面図であり、(B)は、正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された振とう装置1について、図面を参照にして説明する。本発明が適用された振とう装置1は、図1乃至図3に示すように、土壌汚染調査の現場で採取した土壌試料と溶媒とを一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器2を複数個保持する受け部3が、下面幅方向中央部に固着されて一体となっている支持軸4に対して相対して配設された振とう台5と、この振とう台5を支持軸4を中心に回動可能に支持する支持台6と、この支持台6に配設され、振とう台5上に載置した試験容器2を揺動させる駆動部7とを備える。
【0017】
試験容器2は、図1(B)に示すように、上部が開口された有底筒状の容器本体2aと、この容器本体2aの上部に着脱可能に取り付けられ、開口を閉塞する蓋体2bとから構成されている。また、試験容器2は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂で形成され、500ml程度の容量を有する。この試験容器2には、土壌汚染調査等のために採取した土壌試料と溶媒となる純水とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられる。なお、試験容器2は、上述したような材質及び容量に限定されるものではなく、試験溶液が入れられるものであれば如何なる材質でもよく、また容量についても入れる試験溶液の量に応じて適宜変更可能である。
【0018】
振とう台5は、図1(A)及び図1(B)に示すように、略矩形状に形成されている。また、振とう台5の下面には、幅方向の略中央に、長さ方向に向けて支持軸4が設けられている。この支持軸4は、振とう台5の長さ方向の長さより長く、振とう台5の長さ方向の両端より所定の長さ突出している。そして、支持軸4は、例えば振とう台5の下面に溶接されている。このように振とう台5の長さ方向の両端から突出し、下面に固着された支持軸4を介して、振とう台5は支持台6に揺動可能に支持されている。
【0019】
また、振とう台5上には、図1(A)及び図1(B)に示すように、支持軸4に対して相対して、それぞれ複数個の試験容器2を保持する受け部3が配設されている。具体的には、各受け部3は、支持軸4を中心に等間隔で、互いに平行に、振とう台5の上面の幅方向の両端部5a,5aの間に配設されている。
【0020】
なお、各受け部3は、両端部5a、5aに配設されることに限定されるものではなく、支持軸4に対してそれぞれが相対し、支持軸4を中心に等間隔で配設されるものであれば、如何なる位置に配設してもよい。
【0021】
また、各受け部3は、複数個の試験容器2が直線的に一列に保持される大きさに形成されている。具体的に、各受け部3は、直方体状に形成され、試験容器2の外径よりやや大きな幅と、振とう台5の長さ方向と略同じ長さと、試験容器2の容器本体2aと略同等またはやや低い高さとを有するように設けられている。
【0022】
さらに、各受け部3の上面には、試験容器2が挿入可能な大きさの受け孔3aが、受け部3を円筒状に挿通して、長さ方向に向けて、複数個形成されている。すなわち、受け孔3aは、支持軸4に対して相対するように各受け部3内に複数個設けられている。
【0023】
本装置においては、このように受け孔3aが形成されているため、受け部3では、複数個の試験容器2を略直立した状態を保持しながら、安定して繰り返し振とうさせることができる。
【0024】
なお、受け部3の高さは、容器本体2aと蓋体2bとを含めた試験容器2と略同等またはやや高くてもよく、受け部3に設けられた受け孔3aは、有底であってもよい。
【0025】
支持台6は、図1(A)及び図1(B)に示すように、上面に、振とう台5と略同じ形状であってやや大きめの開口部を有する有底箱状に形成されている。また、上記支持台6は、振とう台5の幅方向に相対する側面に軸受等の軸受部を有しており、この軸受部を介して振とう台5に付設された支持軸4を支持することで、振とう台5を回動可能に支持する。
【0026】
なお、上記したように、支持軸4を振とう台5に固着し、軸受部を支持台6に設けることに限定されるものではなく、例えば支持軸4を支持台6側に取り付け、振とう台5の方に軸受部を設けるようにしてもよい。
【0027】
さらに、支持台6の底板の下面側には、土壌採取現場において当該振とう装置1を地面に配置するための脚部8が取り付けられている。この脚部8は、図1(A)及び図1(B)に示すように、例えば4本の脚を有し、各脚が、支持台6の底板の下面側の4隅近傍に回動可能に取り付けられている。これらの脚を内側に回動させて折り畳むことで、装置全体を小さくしてハンドリングを向上させることができ、当該振とう装置1の搬送、保管等に要していたスペースを削減すると共に、車両への積み降ろし、土壌採取現場での移動等運搬を容易にすることを可能にした。
【0028】
なお、上記各脚は、支持台6の底板から着脱可能としてもよく、各脚を支持台6から取り外すことで、前記同様装置全体の嵩が縮小することから、搬送、保管時において省スペース化が図れ、また取扱いが容易となって運搬に必要な人員も少なくて済むため、装置の使用に伴って生ずるコストを軽減することができる。
【0029】
駆動部7は、図1(B)に示すように、支持台6の底板の上面側に配設されている。駆動部7は、振とう台5を駆動する駆動モータ9と、駆動モータ9の回転運動を上下運動に変換するカム部10とを有する。
【0030】
上記駆動モータ9は、図示しない操作部等により電源がオンまたはオフの状態とされる。また、この駆動モータ9には、図2及び図3に示すように、駆動軸にカム部10と連結する回転板11が設けられている。カム部10は、一端10aがこの回転板11の主面に偏芯させて回動可能に連結され、他端10bが振とう台5の長さ方向の端部のうちの一方の端部に回動可能に連結されている。したがって、駆動部7は、図示しない操作部等により駆動モータ9を回転駆動させ、この駆動モータ9の回転をカム部10により上下運動に変換して、振とう台5を、支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の幅方向の端部5a,5aを、支持軸4を中心にして円周方向上方または下方に、例えばそれぞれ70mm程度上下動させ、振とう台5上に載置した試験容器2を継続して揺動させる。
【0031】
次に、以上のような構成を有する振とう装置1を用いた分析用検液の作製作業について説明する。先ず、土壌汚染調査の現場で採取した土壌試料と純水とを一定の割合で混合して試験溶液を生成し、その試験溶液を試験容器2の容器本体2a内に入れ、容器本体2a上部の開口を蓋体2bで閉塞する。
【0032】
次いで、試験溶液を入れた複数個の試験容器2を、振とう台5上に配列された受け孔3aに挿入し、受け部3において直立させた状態で保持する。
【0033】
続いて、駆動部7において、図示しない操作部等により駆動モータ9を回転駆動させ、この駆動モータ9の回転をカム部10により上下運動に変換して、振とう台5を支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の幅方向の端部5a,5aを、支持軸4を中心にして円周方向上方または下方に、例えばそれぞれ70mm程度上下動させ、振とう台5上に載置した試験容器2を継続して揺動させる。
【0034】
土壌汚染調査の現場において、このように、所定の時間試験容器2を揺動させ容器内の試験溶液を振とうすることよって、土壌試料に含まれる汚染物質が純水に溶出し、分析用検液が作製される。
【0035】
なお、本発明の振とう装置1は、振とう台5に配設された受け部3に複数個の試験容器2を保持することができるので、同時に複数個の試験容器を振とうすることができ、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0036】
また、この振とう装置1の駆動部7は、駆動モータ9とカム部10とからなる、いわゆるシーソー方式で振とう台5を振とうするので、往復方式や旋回方式を採用する振とう装置より、構成が簡易であり、部品点数が少ないため、軽量化を図ることができる。したがって、この振とう装置1は、土壌汚染調査現場へ容易に搬送することができ、土壌汚染調査現場において分析用検液を作製することを可能にする。
【0037】
さらに、本発明の振とう装置1は、脚部8が折り畳み可能または着脱可能であるので、脚を折り畳むまたは取り外すことで、装置全体をコンパクトにすることができるため、省スペース化が図れ、利便性を向上させることができる。
【0038】
なお、受け部3の受け孔3aは、各受け部3に1列、振とう台5の長さ方向に向けて形成されることに限定されるものではなく、それぞれ複数列形成されるようにしてもよい。これにより、受け部3は、受け孔3aの数を増やすことができ、同時に複数個の試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0039】
さらに、受け孔3aは、振とう台5の長さ方向に千鳥状に形成されるようにしてもよい。ここで、千鳥状とは、図4に示すように、一方の受け孔3aを、外側すなわち振とう台5の端部5aに近い側に配列し、他方の受け孔3bを、受け孔3aの間に、受け孔3aよりも内側すなわち振とう台5の端部5aに遠い側に位置をずらして配列することをいう。
【0040】
受け部3にこのように受け孔3a,3bを配列すると、受け孔3aのみを1列に配列するより、受け孔の数を増やすことができるため、より多くの試験容器を同時に振とうし、一度に作製する分析用検液の数をさらに増加させることができると共に、単に複数列に受け孔を配列したものより、均等に試験容器を振とうすることができる。
【0041】
また、本発明の振とう装置1では、受け孔3aが一列、複数列または千鳥状に形成された受け部3において、図5に示すように、1つの受け孔3a,3bに試験容器2を複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0042】
さらに、受け孔3aが一列、複数列または千鳥状に形成された受け部3を、図6に示すように、多段に設けてもよい。この際、受け部3の高さを、容器本体2aと蓋体2bとを含めた試験容器2と略同等の高さに、または試験容器2の高さよりやや高くすると共に、受け部3の下部に受け孔3aが形成された底板を設ける。
【0043】
ここで、図6(A)に示すように、下段の受け部3の上面に、上方へ突出する係合凸部3cを形成する。加えて、下段の受け部3の上面と相対する上段の受け部3の底面に、下段の係合凸部3cと係合する係合凹部3dを形成する。そして、図6(B)に示すように、これら上下段の受け部3,3は、上記係合凸部3cと係合凹部3dとを係合して、多段に設置される。
【0044】
このように、凹部及び凸部を係合させて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。
【0045】
さらに、多段に設けられた受け部3は、図7(A)及び図7(B)に示すように、アーム部12を介して、上段の受け部3が下段の受け部3に対して、観音開き状に外側に移動可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0046】
ここで、上記アーム部12は、第1のリンクアーム12aと、第1のリンクアーム12aと一方の端部において回動可能に連結された第2のリンクアーム12bとからなり、これら連結したリンクアーム12a,12bは、他方の端部において、それぞれ上記受け部3側面と回動可能に取り付けられ、リンクアーム機構を構成している。
【0047】
このように、アーム部12を用いて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。加えて、このようにアーム部12を用いて多段に受け部3を設ければ、上段の受け部3を下段の受け部3に対して上方に移動させて、上述した係合凸部3cと、係合凹部3dとの係合を解消させた後、図7(B)に示すように、上段の受け部3の位置を、下段の受け部3に対して外側にずらし、観音開き状に移動させることで、下段に挿入された試験容器2を容易に取ることができる。
【0048】
さらに、受け部3は、図8に示すように、支持部13を用いて、受け部3を多段に設けてもよい。上記支持部13は、振とう台5上に配設された下段の受け部3より振とう台5の幅方向に対して内側に、支持軸4に対して相対するように設けられている。加えて、各支持部13は、振とう台5の上面に対して略垂直に設けられた第1の支持部材14と、この第1の支持部材14に直交し、第1の支持部材14に振とう台5の幅方向に対して外側に向けて設けられ、上段の受け部3が配設される第2の支持部材15とを有する。
【0049】
このように、支持部13を用いて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。
【0050】
さらに、図8に示すような支持部13を用いて受け部3を多段に設けることに加え、図9に示すように、上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けてもよい。
【0051】
図9及び図10に示すように、第2の支持部材15の上面には、上段の受け部3を保持すると共に、振とう台5が揺動するのに伴い、上段の受け部3を振とう台5の幅方向にスライドさせる第1のスライド部16aが、振とう台5の長さ方向に対して所定の間隔を有して複数個形成されている。さらに、振とう台5の上面には、下段の受け部3を保持すると共に、振とう台5が揺動するのに伴い、下段の受け部3を振とう台5の幅方向にスライドさせる第2のスライド部16bが、振とう台5の長さ方向に対して所定の間隔を有して複数個形成されている。
【0052】
これら第1及び第2のスライド部16a,16bは、例えばT字状の溝部であり、上段及び下段の受け部3,3の底面に設けられたT字状の凸部と係合させることで、振とう台5を揺動させた際に上段及び下段の受け部3,3が振とう台5から外れないように保持すると共に、上段及び下段の受け部3,3を振とう台5の幅方向にスライドさせる。
【0053】
なお、上記第1及び第2のスライド部16a,16bは、T字状の溝部に限定されるものではなく、上段及び下段の受け部3,3を保持すると共に、スライドさせることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0054】
また、各第1のスライド部16aの両端部には、上段の受け部3の振とう台5の幅方向への移動を規制する第1のストッパ部17aが形成されている。すなわち、上段の受け部3は、振とう台5を揺動させた際に、第1のスライド部16aの第1のストッパ部17a,17a間をスライドするため、第1のストッパ部17a同士の間隔によって上段の受け部3の移動量が規制される。さらに、各第2のスライド部16bの両端部には、下段の受け部3の振とう台5の幅方向への移動を規制する第2のストッパ部17bが形成されている。すなわち、下段の受け部3は、振とう台5を揺動させた際に、第2のスライド部16bの第2のストッパ部17b,17b間をスライドするため、第2のストッパ部17b同士の間隔によって下段の受け部3の移動量が規制される。
【0055】
このような第2の支持部材15上に配設された上段の受け部3は、振とう台5が揺動するに伴い、第1のスライド部16aによってストッパ部17a,17a間を繰り返しスライド移動するため、同位置において繰り返し振とうする固定された上段の受け部3内の試験容器2と比べて、より大きく試験容器2を振とうすることができる。更に、振とう台5上に配設された下段の受け部3は、振とう台5が揺動するに伴い、第2のスライド部16bによってストッパ部17b,17b間を繰り返しスライド移動するため、同位置において繰り返し振とうする下段の受け部3内の試験容器2と比べて、より大きく試験容器2を振とうすることができる。
【0056】
よって、スライド可能な上段及び下段の受け部3,3を設けた振とう装置1では、第2の支持部材15及び振とう台5上に固定されて配設された受け部3に挿入された試験容器2より、より大きく試験容器2を振とうすることができ、上段の受け部3に挿入された試験容器2と下段の受け部3に挿入された試験容器2とで、振とう具合を異ならせることができ、同種のみならず異種の分析用検液を一度に多数作製することができる。
【0057】
さらに、スライド可能な上段及び下段の受け部3,3を設けた振とう装置1において、上段及び下段の受け部3,3のスライド量が異なるように第1及び第2のストッパ部17a,17bを第1のスライド部16a,16bに配置してもよい。これによって、単に上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けるより、上段及び下段の受け部3,3の振とう具合が異なる分析用検液を作製することができる。
【0058】
さらに、図9に示すような上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けることに限定するものではなく、上段の受け部3だけをスライド可能に設けてもよく、下段の受け部3だけをスライド可能に設けてもよい。
【0059】
このように上段の受け部3又は下段の受け部3だけをスライド可能に設けた振とう装置1であっても、上段の受け部3に挿入された試験容器2と下段の受け部3に挿入された試験容器2とで、振とう具合を異ならせることができ、同種のみならず異種の分析用検液を一度に多数作製することができる。
【0060】
さらに、図8及び図9に示すような上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けることに加え、第1の支持部材14を、振とう台5の幅方向に揺動可能に設けてもよい。
【0061】
具体的には、第1の支持部材14は、支持軸が設けられ、この支持軸が振とう台5に設けられた軸受部を介して、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側にそれぞれ所定の角度だけ回動し、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動するのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に所定の角度だけ回動し、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に揺動することで、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0062】
したがって、回動可能な第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0063】
さらに、上記第1の支持部材14を振とう台5の幅方向に回動可能に設けることに代え、第1の支持部材14を弾性及び柔軟性を有する材質で形成することで、第1の支持部材14を、振とう台5の幅方向に揺動可能に設けるようにしてもよい。
【0064】
このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動されるのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に撓み、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。このような第1の支持部材14は、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0065】
したがって、撓み可能な第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0066】
また、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けるとともに、回動可能に第1の支持部材14を設けることに加え、第1の支持部材14を、弾性及び柔軟性を有する材質で形成することで、振とう台5の回動に伴い、第1の支持部材14が回動するとともに撓むようにしてもよい。
【0067】
このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動されるのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側にそれぞれ所定の角度だけ回動するとともに、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に撓み、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。したがって、このような第1の支持部材14は、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるもの、単に第1の支持部材14を回動可能に設けたもの及び単に第1の支持部材14を撓み可能に設けたものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0068】
したがって、回動可能かつ撓み可能に第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるもの、単に第1の支持部材14を回動可能に設けたもの及び単に第1の支持部材14を弾性及び柔軟性を有する材質で形成することより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0069】
また、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設け、第1の支持部材14を、回動可能、撓み可能又は回動且つ撓み可能に設けた支持部13の受け部3において、受け孔3aを、振とう台5の長さ方向に向けてそれぞれ複数列形成するようにしてもよく、振とう台5の長さ方向に千鳥状に形成するようにしてもよい。更に、上記受け部3において、1つの受け孔3aに試験容器2を複数個積載して収納するようにしてもよい。
【0070】
また、図11に示すように、振とう台5の上面に、複数個の試験容器2を保持する受け部3を、支持軸4に対して相対するように、振とう台5の長さ方向に向けて複数個配列するように設けてもよい。
【0071】
また、受け部3内に設けられる受け孔3aを、上述したように、支持軸4に対して相対するように、それぞれが振とう台5の長さ方向に向けて一列にまたは複数列に配列するのみならず、千鳥状に配列してもよい。また、このように配列された受け孔3a,3bに、試験容器2を直立状態で複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0072】
また、このように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を多段に設けてもよい。具体的に、受け部3を、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けてもよい。さらに、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けられた受け部3を、アーム部12を用いて、観音開き状に外側に移動可能に取り付けてもよい。さらにまた、上述したように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を、支持部13を用いて、多段に設けてもよい。このとき、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けてもよい。
【0073】
このように、受け部3を複数列配列し、あるいは、多段に設けることにより、受け孔3a,3bの数を増やすことができるため、同時に多くの試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0074】
また、振とう台5の上面に、複数個の試験容器2を保持する受け部3を、支持軸4に対して相対するように設けることに限定されるものではなく、図12(A)及び図12(B)に示すように、支持軸4に対して直交するように設けてもよい。
【0075】
また、支持軸4に対して直交して設けられる受け部3の受け孔3a,3bを、支持軸4に対して直交するように、振とう台5の幅方向に向けて一列にまたは複数列に配列するのみならず、千鳥状に配列してもよい。このとき、受け部3は、支持軸4に対して直交するように、振とう台5の幅方向に向けて複数個配列するように設けてもよい。さらに、このように支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bに、試験容器2を直立状態で複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0076】
また、支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を多段に設けてもよい。具体的に、受け部3を、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けてもよい。さらに、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けられた受け部3を、アーム部12を用いて、観音開き状に上段の受け部3を外側に移動可能に取り付けてもよい。さらにまた、上述したように支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を、支持軸4に対して相対するように設けられた支持部13を用いて、多段に設けてもよい。このとき、上段及び下段の受け部3,3を固定又は振とう台5の幅方向にスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方を振とう台5の幅方向にスライド可能に設けてもよい。
【0077】
このように、受け部3を複数列配列し、あるいは、多段に設けることにより、受け孔3a,3bの数を増やすことができるため、同時に多くの試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0078】
なお、本発明に係る振とう装置の受け部3は、上面全体が開口された有底箱状、または、上面及び底面の全体が開口された矩形筒状であってもよい。また、上記受け部3は、試験容器2を挿入可能な大きさの開口を有し、上述した受け孔3aの代わりに、その開口部において試験容器2を保持することもできる。
【0079】
さらに、本発明に係る振とう装置の受け部3は、直方体等の形状に限定されるものではなく、その内径が試験容器2を挿入可能な大きさであれば、円筒状等、如何なる形状でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 振とう装置、2 試験容器、2a 容器本体、2b 蓋体、3 受け部、3a 受け孔、3b 受け孔、3c 係合凸部、3d 係合凹部、4 支持軸、5 振とう台、5a 端部、5b 端部、6 支持台、7 駆動部、8 脚部、9 駆動モータ、10 カム部、10a 一端、10b 他端、11 回転板、12 アーム部、12a 第1のリンクアーム、12b 第2のリンクアーム、13 支持部、14 第1の支持部材、15 第2の支持部材、16a 第1のスライド部、16b 第2のスライド部、17a 第1のストッパ部、17b 第2のストッパ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験溶液が入れられた複数個の試験容器を同時に振とうし、一度に多数の分析用検液を作製する振とう装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境汚染が大きな社会問題となっており、その一つである土壌の汚染についても、汚染土壌に含まれる各種金属や揮発性有機化合物による汚染状況の調査が全国的に急がれている。
【0003】
また、このような土壌汚染調査においては、汚染物質の分析を土壌汚染調査の現場で行ない、迅速に汚染状況を把握することが望ましい。しかし、そのためには、土壌汚染調査の現場に分析機材を持ち込み、その場で試験溶液から分析用検液を作製することが必要となる。
【0004】
特に、土壌汚染調査の範囲が広い場合には、分析対象数が多くなり、分析を迅速に進めるためには、一度に多数の分析用検液を作製し、分析処理のための準備にかかる時間を短縮する必要がある。
【0005】
上記したように、一度に多数の分析用検液を作製するための装置としては、特許文献1に示すようなものがある。この作製装置は、集積台に集積された複数個の試験容器をベルトコンベアで振とう装置に自動搬送し、振とうした後、ベルトコンベアで自動搬送して排出台に集積することにより、一度に多数の分析用検液を作製することができる。しかしながら、このような作製装置は、大型であるため、調査現場への運搬が困難で、移設するには多くの経済的負担、労力がかかる。
【0006】
一方、小型の振とう装置を用いる場合には、運搬等にかかる負担は軽減されるものの、同時に複数個の試験容器を振とうして一度に多数の分析用検液を作製するためには、土壌汚染調査の現場に何台もの振とう装置を用意する必要がある。
【0007】
また、振とう装置における振とう方式には、振とう台を、振とう台の幅方向または長さ方向に往復させて振とう台上の試験容器を振とうする、いわゆる往復方式と、振とう台を、円形状、楕円形状、8の字状等に旋回させて振とう台上の試験容器を振とうする、いわゆる旋回方式と、振とう台を支持軸を中心に回動させて振とう台の幅方向の端部を上下動させ、振とう台上の試験容器を支持軸を中心に揺動させて振とうする、いわゆるシーソー方式とがある。
【0008】
これらの振とう方式のうち、シーソー方式の振とう装置は、他の振とう方式の振とう装置と比べて、構造が簡易で、部品点数が少なく、重量も軽量であるため、運搬が容易で利便性が高く、実際に土壌汚染調査を行う現場において分析用検液を作製するために使用する振とう装置として最適である。
【0009】
しかしながら、シーソー方式の振とう装置は、一般的には、振とう台上において、試験容器が支持軸に対して相対するよう幅方向両側に均等に配列しなければならないため、小型・軽量を維持しながら、他の振とう方式の振とう装置のように一度に多数の分析用検液を作製できる構造とすることが課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−40731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、土壌汚染調査の現場へ容易に運搬することができ、さらに、この土壌汚染調査の現場において、同時に複数個の試験容器を振とうさせて、一度に多数の分析用検液を作製することができ、分析の迅速化及び調査期間の短縮化を図る振とう装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る振とう装置は、土壌試料と溶媒とを一定の割合で混合して作製した試験溶液を入れた試験容器を複数個保持する受け部が、支持軸に対して相対または直交して配設された振とう台と、振とう台を支持軸を中心に回動可能に支持する支持台と、支持台に配設され、振とう台を支持軸を中心に回動させ、振とう台の端部を上下動させて、振とう台上に載置した試験容器を継続して揺動させる駆動部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る振とう装置は、試験容器を保持する受け部が支持軸に対して相対あるいは直交して配設された振とう台と、この振とう台を支持軸を中心に回動させ、振とう台の端部を上下動させて、振とう台上に載置した試験容器を継続して揺動させる駆動部によって構成される軽量小型、簡易構造の装置であって、簡便なシーソー方式により試験容器を振とうさせるものである。
【0014】
また、振とう台上に備えられた各受け部において試験容器を複数個保持することができ、土壌汚染調査を行う土壌汚染調査の現場に容易に運搬することが可能であるため、土壌汚染調査の現場で、同時に複数個の試験容器を振とうさせて、一度に多数の分析用検液を作製することができ、分析の迅速化及び調査期間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本発明の振とう装置の具体例を示した概略の平面図である。(B)は、概略の正面断面図である。
【図2】本発明の振とう装置の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図3】本発明の振とう装置の駆動部の具体例を示した概略の斜視図である。
【図4】本発明の振とう装置の受け部の受け孔が千鳥状に形成された際の具体例を示した概略の平面図である。
【図5】本発明の振とう装置の受け部に試験容器が多段に収納された際の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図6】本発明の振とう装置の受け部を多段に設けた際の具体例を示した概略の側面図であり、(A)は、係合する前の状態を示し、(B)は、係合後の状態を示した概略の側面図である。
【図7】本発明の振とう装置の受け部を多段に設けた際の他の具体例を示した概略の側面図であり、(A)は、閉蓋した状態を示し、(B)は、観音開き状に開蓋した状態を示した概略の側面図である。
【図8】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けた際の具体例を示した概略の斜視図である。
【図9】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けるとともに、スライド可能に設けた際の具体例を示した概略の斜視図である。
【図10】本発明の振とう装置の受け部を、支持部を用いて多段に設けるとともに、スライド可能に設けた際の具体例を示した概略の側面断面図である。
【図11】本発明の振とう装置の受け部の他の具体例を示した概略の平面図である。
【図12】本発明の振とう装置の受け部を、支持軸4に直交し、互いに平行に、長さ方向の両端部の間に配設されている具体例を示した平面図であり、(B)は、正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された振とう装置1について、図面を参照にして説明する。本発明が適用された振とう装置1は、図1乃至図3に示すように、土壌汚染調査の現場で採取した土壌試料と溶媒とを一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器2を複数個保持する受け部3が、下面幅方向中央部に固着されて一体となっている支持軸4に対して相対して配設された振とう台5と、この振とう台5を支持軸4を中心に回動可能に支持する支持台6と、この支持台6に配設され、振とう台5上に載置した試験容器2を揺動させる駆動部7とを備える。
【0017】
試験容器2は、図1(B)に示すように、上部が開口された有底筒状の容器本体2aと、この容器本体2aの上部に着脱可能に取り付けられ、開口を閉塞する蓋体2bとから構成されている。また、試験容器2は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂で形成され、500ml程度の容量を有する。この試験容器2には、土壌汚染調査等のために採取した土壌試料と溶媒となる純水とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられる。なお、試験容器2は、上述したような材質及び容量に限定されるものではなく、試験溶液が入れられるものであれば如何なる材質でもよく、また容量についても入れる試験溶液の量に応じて適宜変更可能である。
【0018】
振とう台5は、図1(A)及び図1(B)に示すように、略矩形状に形成されている。また、振とう台5の下面には、幅方向の略中央に、長さ方向に向けて支持軸4が設けられている。この支持軸4は、振とう台5の長さ方向の長さより長く、振とう台5の長さ方向の両端より所定の長さ突出している。そして、支持軸4は、例えば振とう台5の下面に溶接されている。このように振とう台5の長さ方向の両端から突出し、下面に固着された支持軸4を介して、振とう台5は支持台6に揺動可能に支持されている。
【0019】
また、振とう台5上には、図1(A)及び図1(B)に示すように、支持軸4に対して相対して、それぞれ複数個の試験容器2を保持する受け部3が配設されている。具体的には、各受け部3は、支持軸4を中心に等間隔で、互いに平行に、振とう台5の上面の幅方向の両端部5a,5aの間に配設されている。
【0020】
なお、各受け部3は、両端部5a、5aに配設されることに限定されるものではなく、支持軸4に対してそれぞれが相対し、支持軸4を中心に等間隔で配設されるものであれば、如何なる位置に配設してもよい。
【0021】
また、各受け部3は、複数個の試験容器2が直線的に一列に保持される大きさに形成されている。具体的に、各受け部3は、直方体状に形成され、試験容器2の外径よりやや大きな幅と、振とう台5の長さ方向と略同じ長さと、試験容器2の容器本体2aと略同等またはやや低い高さとを有するように設けられている。
【0022】
さらに、各受け部3の上面には、試験容器2が挿入可能な大きさの受け孔3aが、受け部3を円筒状に挿通して、長さ方向に向けて、複数個形成されている。すなわち、受け孔3aは、支持軸4に対して相対するように各受け部3内に複数個設けられている。
【0023】
本装置においては、このように受け孔3aが形成されているため、受け部3では、複数個の試験容器2を略直立した状態を保持しながら、安定して繰り返し振とうさせることができる。
【0024】
なお、受け部3の高さは、容器本体2aと蓋体2bとを含めた試験容器2と略同等またはやや高くてもよく、受け部3に設けられた受け孔3aは、有底であってもよい。
【0025】
支持台6は、図1(A)及び図1(B)に示すように、上面に、振とう台5と略同じ形状であってやや大きめの開口部を有する有底箱状に形成されている。また、上記支持台6は、振とう台5の幅方向に相対する側面に軸受等の軸受部を有しており、この軸受部を介して振とう台5に付設された支持軸4を支持することで、振とう台5を回動可能に支持する。
【0026】
なお、上記したように、支持軸4を振とう台5に固着し、軸受部を支持台6に設けることに限定されるものではなく、例えば支持軸4を支持台6側に取り付け、振とう台5の方に軸受部を設けるようにしてもよい。
【0027】
さらに、支持台6の底板の下面側には、土壌採取現場において当該振とう装置1を地面に配置するための脚部8が取り付けられている。この脚部8は、図1(A)及び図1(B)に示すように、例えば4本の脚を有し、各脚が、支持台6の底板の下面側の4隅近傍に回動可能に取り付けられている。これらの脚を内側に回動させて折り畳むことで、装置全体を小さくしてハンドリングを向上させることができ、当該振とう装置1の搬送、保管等に要していたスペースを削減すると共に、車両への積み降ろし、土壌採取現場での移動等運搬を容易にすることを可能にした。
【0028】
なお、上記各脚は、支持台6の底板から着脱可能としてもよく、各脚を支持台6から取り外すことで、前記同様装置全体の嵩が縮小することから、搬送、保管時において省スペース化が図れ、また取扱いが容易となって運搬に必要な人員も少なくて済むため、装置の使用に伴って生ずるコストを軽減することができる。
【0029】
駆動部7は、図1(B)に示すように、支持台6の底板の上面側に配設されている。駆動部7は、振とう台5を駆動する駆動モータ9と、駆動モータ9の回転運動を上下運動に変換するカム部10とを有する。
【0030】
上記駆動モータ9は、図示しない操作部等により電源がオンまたはオフの状態とされる。また、この駆動モータ9には、図2及び図3に示すように、駆動軸にカム部10と連結する回転板11が設けられている。カム部10は、一端10aがこの回転板11の主面に偏芯させて回動可能に連結され、他端10bが振とう台5の長さ方向の端部のうちの一方の端部に回動可能に連結されている。したがって、駆動部7は、図示しない操作部等により駆動モータ9を回転駆動させ、この駆動モータ9の回転をカム部10により上下運動に変換して、振とう台5を、支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の幅方向の端部5a,5aを、支持軸4を中心にして円周方向上方または下方に、例えばそれぞれ70mm程度上下動させ、振とう台5上に載置した試験容器2を継続して揺動させる。
【0031】
次に、以上のような構成を有する振とう装置1を用いた分析用検液の作製作業について説明する。先ず、土壌汚染調査の現場で採取した土壌試料と純水とを一定の割合で混合して試験溶液を生成し、その試験溶液を試験容器2の容器本体2a内に入れ、容器本体2a上部の開口を蓋体2bで閉塞する。
【0032】
次いで、試験溶液を入れた複数個の試験容器2を、振とう台5上に配列された受け孔3aに挿入し、受け部3において直立させた状態で保持する。
【0033】
続いて、駆動部7において、図示しない操作部等により駆動モータ9を回転駆動させ、この駆動モータ9の回転をカム部10により上下運動に変換して、振とう台5を支持軸4を中心に回動させ、振とう台5の幅方向の端部5a,5aを、支持軸4を中心にして円周方向上方または下方に、例えばそれぞれ70mm程度上下動させ、振とう台5上に載置した試験容器2を継続して揺動させる。
【0034】
土壌汚染調査の現場において、このように、所定の時間試験容器2を揺動させ容器内の試験溶液を振とうすることよって、土壌試料に含まれる汚染物質が純水に溶出し、分析用検液が作製される。
【0035】
なお、本発明の振とう装置1は、振とう台5に配設された受け部3に複数個の試験容器2を保持することができるので、同時に複数個の試験容器を振とうすることができ、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0036】
また、この振とう装置1の駆動部7は、駆動モータ9とカム部10とからなる、いわゆるシーソー方式で振とう台5を振とうするので、往復方式や旋回方式を採用する振とう装置より、構成が簡易であり、部品点数が少ないため、軽量化を図ることができる。したがって、この振とう装置1は、土壌汚染調査現場へ容易に搬送することができ、土壌汚染調査現場において分析用検液を作製することを可能にする。
【0037】
さらに、本発明の振とう装置1は、脚部8が折り畳み可能または着脱可能であるので、脚を折り畳むまたは取り外すことで、装置全体をコンパクトにすることができるため、省スペース化が図れ、利便性を向上させることができる。
【0038】
なお、受け部3の受け孔3aは、各受け部3に1列、振とう台5の長さ方向に向けて形成されることに限定されるものではなく、それぞれ複数列形成されるようにしてもよい。これにより、受け部3は、受け孔3aの数を増やすことができ、同時に複数個の試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0039】
さらに、受け孔3aは、振とう台5の長さ方向に千鳥状に形成されるようにしてもよい。ここで、千鳥状とは、図4に示すように、一方の受け孔3aを、外側すなわち振とう台5の端部5aに近い側に配列し、他方の受け孔3bを、受け孔3aの間に、受け孔3aよりも内側すなわち振とう台5の端部5aに遠い側に位置をずらして配列することをいう。
【0040】
受け部3にこのように受け孔3a,3bを配列すると、受け孔3aのみを1列に配列するより、受け孔の数を増やすことができるため、より多くの試験容器を同時に振とうし、一度に作製する分析用検液の数をさらに増加させることができると共に、単に複数列に受け孔を配列したものより、均等に試験容器を振とうすることができる。
【0041】
また、本発明の振とう装置1では、受け孔3aが一列、複数列または千鳥状に形成された受け部3において、図5に示すように、1つの受け孔3a,3bに試験容器2を複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0042】
さらに、受け孔3aが一列、複数列または千鳥状に形成された受け部3を、図6に示すように、多段に設けてもよい。この際、受け部3の高さを、容器本体2aと蓋体2bとを含めた試験容器2と略同等の高さに、または試験容器2の高さよりやや高くすると共に、受け部3の下部に受け孔3aが形成された底板を設ける。
【0043】
ここで、図6(A)に示すように、下段の受け部3の上面に、上方へ突出する係合凸部3cを形成する。加えて、下段の受け部3の上面と相対する上段の受け部3の底面に、下段の係合凸部3cと係合する係合凹部3dを形成する。そして、図6(B)に示すように、これら上下段の受け部3,3は、上記係合凸部3cと係合凹部3dとを係合して、多段に設置される。
【0044】
このように、凹部及び凸部を係合させて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。
【0045】
さらに、多段に設けられた受け部3は、図7(A)及び図7(B)に示すように、アーム部12を介して、上段の受け部3が下段の受け部3に対して、観音開き状に外側に移動可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0046】
ここで、上記アーム部12は、第1のリンクアーム12aと、第1のリンクアーム12aと一方の端部において回動可能に連結された第2のリンクアーム12bとからなり、これら連結したリンクアーム12a,12bは、他方の端部において、それぞれ上記受け部3側面と回動可能に取り付けられ、リンクアーム機構を構成している。
【0047】
このように、アーム部12を用いて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。加えて、このようにアーム部12を用いて多段に受け部3を設ければ、上段の受け部3を下段の受け部3に対して上方に移動させて、上述した係合凸部3cと、係合凹部3dとの係合を解消させた後、図7(B)に示すように、上段の受け部3の位置を、下段の受け部3に対して外側にずらし、観音開き状に移動させることで、下段に挿入された試験容器2を容易に取ることができる。
【0048】
さらに、受け部3は、図8に示すように、支持部13を用いて、受け部3を多段に設けてもよい。上記支持部13は、振とう台5上に配設された下段の受け部3より振とう台5の幅方向に対して内側に、支持軸4に対して相対するように設けられている。加えて、各支持部13は、振とう台5の上面に対して略垂直に設けられた第1の支持部材14と、この第1の支持部材14に直交し、第1の支持部材14に振とう台5の幅方向に対して外側に向けて設けられ、上段の受け部3が配設される第2の支持部材15とを有する。
【0049】
このように、支持部13を用いて受け部3を多段に設けることによって、受け孔3a,3bの数を増やすことができ、同時に試験容器2を振とうして、一度に作製できる分析用検液の点数を増やすことができる。
【0050】
さらに、図8に示すような支持部13を用いて受け部3を多段に設けることに加え、図9に示すように、上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けてもよい。
【0051】
図9及び図10に示すように、第2の支持部材15の上面には、上段の受け部3を保持すると共に、振とう台5が揺動するのに伴い、上段の受け部3を振とう台5の幅方向にスライドさせる第1のスライド部16aが、振とう台5の長さ方向に対して所定の間隔を有して複数個形成されている。さらに、振とう台5の上面には、下段の受け部3を保持すると共に、振とう台5が揺動するのに伴い、下段の受け部3を振とう台5の幅方向にスライドさせる第2のスライド部16bが、振とう台5の長さ方向に対して所定の間隔を有して複数個形成されている。
【0052】
これら第1及び第2のスライド部16a,16bは、例えばT字状の溝部であり、上段及び下段の受け部3,3の底面に設けられたT字状の凸部と係合させることで、振とう台5を揺動させた際に上段及び下段の受け部3,3が振とう台5から外れないように保持すると共に、上段及び下段の受け部3,3を振とう台5の幅方向にスライドさせる。
【0053】
なお、上記第1及び第2のスライド部16a,16bは、T字状の溝部に限定されるものではなく、上段及び下段の受け部3,3を保持すると共に、スライドさせることができるものであれば如何なるものでもよい。
【0054】
また、各第1のスライド部16aの両端部には、上段の受け部3の振とう台5の幅方向への移動を規制する第1のストッパ部17aが形成されている。すなわち、上段の受け部3は、振とう台5を揺動させた際に、第1のスライド部16aの第1のストッパ部17a,17a間をスライドするため、第1のストッパ部17a同士の間隔によって上段の受け部3の移動量が規制される。さらに、各第2のスライド部16bの両端部には、下段の受け部3の振とう台5の幅方向への移動を規制する第2のストッパ部17bが形成されている。すなわち、下段の受け部3は、振とう台5を揺動させた際に、第2のスライド部16bの第2のストッパ部17b,17b間をスライドするため、第2のストッパ部17b同士の間隔によって下段の受け部3の移動量が規制される。
【0055】
このような第2の支持部材15上に配設された上段の受け部3は、振とう台5が揺動するに伴い、第1のスライド部16aによってストッパ部17a,17a間を繰り返しスライド移動するため、同位置において繰り返し振とうする固定された上段の受け部3内の試験容器2と比べて、より大きく試験容器2を振とうすることができる。更に、振とう台5上に配設された下段の受け部3は、振とう台5が揺動するに伴い、第2のスライド部16bによってストッパ部17b,17b間を繰り返しスライド移動するため、同位置において繰り返し振とうする下段の受け部3内の試験容器2と比べて、より大きく試験容器2を振とうすることができる。
【0056】
よって、スライド可能な上段及び下段の受け部3,3を設けた振とう装置1では、第2の支持部材15及び振とう台5上に固定されて配設された受け部3に挿入された試験容器2より、より大きく試験容器2を振とうすることができ、上段の受け部3に挿入された試験容器2と下段の受け部3に挿入された試験容器2とで、振とう具合を異ならせることができ、同種のみならず異種の分析用検液を一度に多数作製することができる。
【0057】
さらに、スライド可能な上段及び下段の受け部3,3を設けた振とう装置1において、上段及び下段の受け部3,3のスライド量が異なるように第1及び第2のストッパ部17a,17bを第1のスライド部16a,16bに配置してもよい。これによって、単に上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けるより、上段及び下段の受け部3,3の振とう具合が異なる分析用検液を作製することができる。
【0058】
さらに、図9に示すような上段及び下段の受け部3,3をスライド可能に設けることに限定するものではなく、上段の受け部3だけをスライド可能に設けてもよく、下段の受け部3だけをスライド可能に設けてもよい。
【0059】
このように上段の受け部3又は下段の受け部3だけをスライド可能に設けた振とう装置1であっても、上段の受け部3に挿入された試験容器2と下段の受け部3に挿入された試験容器2とで、振とう具合を異ならせることができ、同種のみならず異種の分析用検液を一度に多数作製することができる。
【0060】
さらに、図8及び図9に示すような上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けることに加え、第1の支持部材14を、振とう台5の幅方向に揺動可能に設けてもよい。
【0061】
具体的には、第1の支持部材14は、支持軸が設けられ、この支持軸が振とう台5に設けられた軸受部を介して、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側にそれぞれ所定の角度だけ回動し、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動するのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に所定の角度だけ回動し、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に揺動することで、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0062】
したがって、回動可能な第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0063】
さらに、上記第1の支持部材14を振とう台5の幅方向に回動可能に設けることに代え、第1の支持部材14を弾性及び柔軟性を有する材質で形成することで、第1の支持部材14を、振とう台5の幅方向に揺動可能に設けるようにしてもよい。
【0064】
このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動されるのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に撓み、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。このような第1の支持部材14は、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0065】
したがって、撓み可能な第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるものより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0066】
また、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けるとともに、回動可能に第1の支持部材14を設けることに加え、第1の支持部材14を、弾性及び柔軟性を有する材質で形成することで、振とう台5の回動に伴い、第1の支持部材14が回動するとともに撓むようにしてもよい。
【0067】
このような第1の支持部材14は、振とう台5が揺動されるのに伴い、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側にそれぞれ所定の角度だけ回動するとともに、振とう台5の幅方向に対して内側及び外側に撓み、振とう台5に対して揺動可能に設けられる。したがって、このような第1の支持部材14は、上述したような単に第1のスライド部16aによってスライドされるもの、単に第1の支持部材14を回動可能に設けたもの及び単に第1の支持部材14を撓み可能に設けたものより、さらに上段の受け部3の移動量を大きくすることができる。
【0068】
したがって、回動可能かつ撓み可能に第1の支持部材14を設けた振とう装置1は、単に第1のスライド部16aによってスライドされるもの、単に第1の支持部材14を回動可能に設けたもの及び単に第1の支持部材14を弾性及び柔軟性を有する材質で形成することより、上段の受け部3と下段の受け部3との振とう具合がより異なる分析用検液を同時に作製することができる。
【0069】
また、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設け、第1の支持部材14を、回動可能、撓み可能又は回動且つ撓み可能に設けた支持部13の受け部3において、受け孔3aを、振とう台5の長さ方向に向けてそれぞれ複数列形成するようにしてもよく、振とう台5の長さ方向に千鳥状に形成するようにしてもよい。更に、上記受け部3において、1つの受け孔3aに試験容器2を複数個積載して収納するようにしてもよい。
【0070】
また、図11に示すように、振とう台5の上面に、複数個の試験容器2を保持する受け部3を、支持軸4に対して相対するように、振とう台5の長さ方向に向けて複数個配列するように設けてもよい。
【0071】
また、受け部3内に設けられる受け孔3aを、上述したように、支持軸4に対して相対するように、それぞれが振とう台5の長さ方向に向けて一列にまたは複数列に配列するのみならず、千鳥状に配列してもよい。また、このように配列された受け孔3a,3bに、試験容器2を直立状態で複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0072】
また、このように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を多段に設けてもよい。具体的に、受け部3を、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けてもよい。さらに、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けられた受け部3を、アーム部12を用いて、観音開き状に外側に移動可能に取り付けてもよい。さらにまた、上述したように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を、支持部13を用いて、多段に設けてもよい。このとき、上段及び下段の受け部3,3を固定又はスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方をスライド可能に設けてもよい。
【0073】
このように、受け部3を複数列配列し、あるいは、多段に設けることにより、受け孔3a,3bの数を増やすことができるため、同時に多くの試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0074】
また、振とう台5の上面に、複数個の試験容器2を保持する受け部3を、支持軸4に対して相対するように設けることに限定されるものではなく、図12(A)及び図12(B)に示すように、支持軸4に対して直交するように設けてもよい。
【0075】
また、支持軸4に対して直交して設けられる受け部3の受け孔3a,3bを、支持軸4に対して直交するように、振とう台5の幅方向に向けて一列にまたは複数列に配列するのみならず、千鳥状に配列してもよい。このとき、受け部3は、支持軸4に対して直交するように、振とう台5の幅方向に向けて複数個配列するように設けてもよい。さらに、このように支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bに、試験容器2を直立状態で複数個積載して収納し、複数個の試験容器2を保持するようにしてもよい。
【0076】
また、支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を多段に設けてもよい。具体的に、受け部3を、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けてもよい。さらに、係合凸部3c及び係合凹部3dで係合して多段に設けられた受け部3を、アーム部12を用いて、観音開き状に上段の受け部3を外側に移動可能に取り付けてもよい。さらにまた、上述したように支持軸4に対して直交するように配列された受け孔3a,3bを有した受け部3を、支持軸4に対して相対するように設けられた支持部13を用いて、多段に設けてもよい。このとき、上段及び下段の受け部3,3を固定又は振とう台5の幅方向にスライド可能に設け、上段及び下段の受け部3,3の一方を固定し、他方を振とう台5の幅方向にスライド可能に設けてもよい。
【0077】
このように、受け部3を複数列配列し、あるいは、多段に設けることにより、受け孔3a,3bの数を増やすことができるため、同時に多くの試験容器を振とうし、一度に多数の分析用検液を作製することができる。
【0078】
なお、本発明に係る振とう装置の受け部3は、上面全体が開口された有底箱状、または、上面及び底面の全体が開口された矩形筒状であってもよい。また、上記受け部3は、試験容器2を挿入可能な大きさの開口を有し、上述した受け孔3aの代わりに、その開口部において試験容器2を保持することもできる。
【0079】
さらに、本発明に係る振とう装置の受け部3は、直方体等の形状に限定されるものではなく、その内径が試験容器2を挿入可能な大きさであれば、円筒状等、如何なる形状でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 振とう装置、2 試験容器、2a 容器本体、2b 蓋体、3 受け部、3a 受け孔、3b 受け孔、3c 係合凸部、3d 係合凹部、4 支持軸、5 振とう台、5a 端部、5b 端部、6 支持台、7 駆動部、8 脚部、9 駆動モータ、10 カム部、10a 一端、10b 他端、11 回転板、12 アーム部、12a 第1のリンクアーム、12b 第2のリンクアーム、13 支持部、14 第1の支持部材、15 第2の支持部材、16a 第1のスライド部、16b 第2のスライド部、17a 第1のストッパ部、17b 第2のストッパ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌試料と溶媒とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器を複数個保持する受け部が、支持軸に対して相対又は直交して配設された振とう台と、
上記振とう台を、上記支持軸を中心に回動可能に支持する支持台と、
上記支持台に配設され、上記振とう台を上記支持軸を中心に回動させ、上記振とう台の端部を上下動させて、上記振とう台上に載置した試験容器を揺動させる駆動部とを備える振とう装置。
【請求項2】
上記受け部に、上記試験容器が挿入される受け孔が複数個形成され、
上記受け孔は、千鳥状に形成されている請求項1に記載の振とう装置。
【請求項3】
上記各受け孔に、上記試験容器が直立した状態で複数個積載されて収納される請求項1又は請求項2に記載の振とう装置。
【請求項4】
上記受け部は、上記振とう台にスライド可能に設けられている請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1に記載の振とう装置。
【請求項5】
上記受け部が多段に設けられている請求項1乃至請求項4のうちいずれか1に記載の振とう装置。
【請求項6】
上記受け部は、支持部により、多段に設けられている請求項1又は請求項2に記載の振とう装置。
【請求項7】
上記受け部は、上記支持部にスライド可能に設けられている請求項6に記載の振とう装置。
【請求項1】
土壌試料と溶媒とが一定の割合で混合された試験溶液が入れられた試験容器を複数個保持する受け部が、支持軸に対して相対又は直交して配設された振とう台と、
上記振とう台を、上記支持軸を中心に回動可能に支持する支持台と、
上記支持台に配設され、上記振とう台を上記支持軸を中心に回動させ、上記振とう台の端部を上下動させて、上記振とう台上に載置した試験容器を揺動させる駆動部とを備える振とう装置。
【請求項2】
上記受け部に、上記試験容器が挿入される受け孔が複数個形成され、
上記受け孔は、千鳥状に形成されている請求項1に記載の振とう装置。
【請求項3】
上記各受け孔に、上記試験容器が直立した状態で複数個積載されて収納される請求項1又は請求項2に記載の振とう装置。
【請求項4】
上記受け部は、上記振とう台にスライド可能に設けられている請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1に記載の振とう装置。
【請求項5】
上記受け部が多段に設けられている請求項1乃至請求項4のうちいずれか1に記載の振とう装置。
【請求項6】
上記受け部は、支持部により、多段に設けられている請求項1又は請求項2に記載の振とう装置。
【請求項7】
上記受け部は、上記支持部にスライド可能に設けられている請求項6に記載の振とう装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−173150(P2012−173150A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35703(P2011−35703)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(500240357)住鉱テクノリサーチ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(500240357)住鉱テクノリサーチ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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