説明

振り出し箱

【課題】係止片を箱の外側から操作して開閉蓋を開くことができ、蓋を開くことによって係止片が動く構造としたことにより、係止片自体をひとつのディスプレイとして利用することが可能な振り出し箱。
【解決手段】振り出し口を備えた紙製の振り出し箱であって、振り出し口は、正面板の中央部に開口し、振り出し口を開閉自在に覆う開閉蓋を有し、開閉蓋は、蓋板正面板と、2枚の蓋板側面板を有し、蓋板側面板は、それぞれ係止片を有し、蓋板正面板は、底面板から折罫線を介して連設された蓋板保持板の上端から蓋板開閉ヒンジを介して連設されており、開閉蓋は、正面板の内側に収納されており、開閉蓋は、蓋板正面板の下辺である蓋板開閉ヒンジをヒンジとして上部が紙箱の前面に倒れ出すことによって振り出し口を開口し、開閉蓋を開閉することによって、係止片が上下に動くようにしたことを特徴とする振り出し箱である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子などを収納する紙箱に関し、特に内容物を振り出すための振り出し口を備えた紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状の菓子や豆類、ポップコーンなどを収納する紙箱には、少量づつ取り出すための取り出し口が備わっていると使用する上での利便性が高い。
【0003】
開閉可能な取り出し口を備えた紙箱の例として、特許文献1に記載された取出し口付き縦型カートンが挙げられる。特許文献1に記載された取出し口付き縦型カートンは、底面が小さく縦長のカートンであって、正面板の下部に蓋板を備えた開口部を有し、蓋板は正面板の最下部の折線をヒンジとして手前に開くようになっている。
【0004】
特許文献1に記載されたカートンにおいては、蓋板が所定の位置で止るように、開口部の隅部に蓋板を掛け止めるための突出部を形成し、この突出部に、箱の内部に収蔵された蓋板側面板の係止爪が引っ掛かるようにしたことを特徴とする。
【0005】
特許文献2に記載された振り出し箱は、角筒状の胴部を有する有底の紙箱において、前板の上部に、取り出し孔を有する内蓋板を連設し、この取り出し孔を覆うように、後板の上部に連設した外蓋板を開閉可能に設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3−49930号公報
【特許文献2】特開平9−254968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたカートンの例に代表されるように、従来の取出し口を備えた紙箱は、蓋が所定の位置で止るようにするための係止片が箱の内部に収蔵されている場合が多いため、万一蓋を箱の中に入れ込んでしまった場合に箱を開くきっかけが掴めなくなり、箱を壊さない限り、容易に箱を開くことが出来なくなってしまうという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載された振り出し箱も、同様に外蓋が所定の位置で止るようにするための係止片を外蓋の両側に設けた周動板の先端に設けたものであるが、この周動板は、箱の内部に収蔵される構造となっている。
【0009】
特許文献1に記載されたカートンも、特許文献2に記載された振り出し箱もいずれも係止片が箱の内部に収蔵される構造であり、係止片は蓋が所定の位置よりも開かないように係止する役割しか果していない。
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、開閉蓋を箱の内側に入れ込んでしまったような場合であっても、係止片を箱の外側から操作して蓋を開くことができ、しかも逆に蓋を開くことによって係止片が動く構造としたことにより、係止片を単なるストッパーとしての役割だけに留めず、係止片自体をひとつのディスプレイとして利用することが可能な振り出し箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、内容物を振り出すための振り出し口(21)を備えた紙製の振り出し箱(1)であって、正面板(11)、天面板(12)、背面板(13)、底面板(14)、側面板(15)を有し、振り出し口(21)は、正面板(11)の中央部に開口し、底辺が直線状で、上部が広い逆台形状であり、振り出し口(21)を開閉自在に覆う開閉蓋(20)を有し、開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)と、該蓋板正面板の左右にそれぞれ蓋板縦ヒンジ(24)を介して連設した2枚の蓋板側面板(25)を有し、蓋板側面板(25)は、それぞれ係止片ヒンジ(28)を介して連設された係止片(26)を有し、蓋板正面板(23)は、底面板(14)から折罫線を介して連設された蓋板保持板(22)の上端から蓋板開閉ヒンジ(27)を介して連設されており、開閉蓋(20)は、正面板(11)の内側に収納されており、蓋板正面板(23)の上端が正面板(11)の外側に突出して係止しており、開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)の下辺である蓋板開閉ヒンジ(27)をヒンジとして上部が紙箱の前面に倒れ出すことによって振り出し口(21)を開口し、係止片(26)は、開閉蓋(20)が閉じられた状態では、係止片折罫線(26a)によって折り畳まれて側面板(15)の外側に沿っており、開閉蓋(20)が開かれると係止片(26)の付け根が正面板(11)の内側に引込まれることにより係止片折罫線(26a)が伸ばされて側面板(15)から離れて立ち上がり、正面板(11)の上部左右に折罫線を介して連設された側面補助板(16)の切込み(16a)に係止するようにしたことにより、開閉蓋(20)を開閉することによって、係止片(26)が上下に動くようにしたことを特徴とする振り出し箱である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、開閉蓋(20)を鳥のくちばしに、係止片(26)を鳥の翼に、それぞれ見立てた色彩および形状としたことを特徴とする請求項1に記載の振り出し箱である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る振り出し箱(1)は、開閉蓋(20)が開きすぎないように係止するための係止片(26)が箱の外側から操作できる位置にあるので、万一開閉蓋(20)が箱の内部に入ってしまったような場合でも、箱を壊すことなく、箱の外側から係止片(26)を操作することにより、開閉蓋(20)を開くことができ、また正常な状態に復帰させることができる。
【0014】
また本発明に係る振り出し箱(1)は、開閉蓋(20)を開閉することによって、係止片(26)が上下に動くようにしたので、係止片(26)を動物の手や鳥の翼など、上下に動くものの形状とすることにより、見ておもしろい効果を生じ、子供向けの菓子などの容器として好ましく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係る振り出し箱(1)の一実施態様を示した斜視図であり、開閉蓋(20)が閉じた状態を示したものである。
【図2】図2は、図1に示した実施態様において、振り出し箱(1)の開閉蓋(20)が開いた状態を示した斜視図である。
【図3】図3は、図1、図2に示した実施態様における振り出し箱(1)の平面ブランク(2)を示した平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照しながら、本発明に係る振り出し箱について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る振り出し箱(1)の一実施態様を示した斜視図であり、開閉蓋(20)が閉じた状態を示したものである。また図2は、図1に示した実施態様において、振り出し箱(1)の開閉蓋(20)が開いた状態を示した斜視図である。また図3は、図1、図2に示した実施態様における振り出し箱(1)の平面ブランク(2)を示した平面模式図である。以下これらの図を参照しながら説明する。
【0017】
本発明に係る振り出し箱(1)は、内容物を振り出すための振り出し口(21)を備えた紙製の振り出し箱であって、正面板(11)、天面板(12)、背面板(13)、底面板(14)、側面板(15)を有する立方体形状をしている。
【0018】
振り出し口(21)は、正面板(11)の中央部に開口し、底辺が直線状で、上部が広い逆台形状であり、振り出し口(21)を開閉自在に覆う開閉蓋(20)を有する。
【0019】
開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)と、該蓋板正面板の左右にそれぞれ蓋板縦ヒンジ(24)を介して連設した2枚の蓋板側面板(25)を有し、蓋板側面板(25)は、それぞれ係止片ヒンジ(28)を介して連設された係止片(26)を有し、蓋板正面板(23)は、底面板(14)から折罫線を介して連設された蓋板保持板(22)の上端から蓋板開閉ヒンジ(27)を介して連設されている。
【0020】
すなわち、開閉蓋(20)は、正面板(11)の内側に収納されており、蓋板正面板(23)の上端が正面板(11)の外側に突出して係止している。
【0021】
開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)の下辺である蓋板開閉ヒンジ(27)をヒンジとして上部が紙箱の前面に倒れ出すことによって振り出し口(21)を開口する。
【0022】
係止片(26)は、開閉蓋(20)が閉じられた状態では、図1に示したように、係止片折罫線(26a)によって折り畳まれて側面板(15)の外側に沿っており、開閉蓋(20)が開かれると、図2に示したように、係止片(26)の付け根が正面板(11)の内側に引込まれることにより係止片折罫線(26a)が伸ばされて側面板(15)から離れて立ち上がる。
【0023】
この時、係止片(26)は、正面板(11)の上部左右に折罫線を介して連設された側面補助板(16)の切込み(16a)に係止するようになっている。
【0024】
このように、本発明に係る振り出し箱(1)は、開閉蓋(20)を開閉することによって、係止片(26)が上下に動くようにしたことを特徴とする。
【0025】
係止片(26)は、開口蓋(20)が引出されることによって、これに連動して側面板(15)から離れて開き、上昇するが、側面補助板(16)の切込み(16a)に係止するため、ある一定以上は開口蓋(20)が開くことはない。従って、開口蓋(20)が引出され過ぎて、抜けてしまうといった問題は生じない。
【0026】
図1〜3に示した実施態様においては、開閉蓋(20)を鳥のくちばしに見立てた色彩および形状とし、係止片(26)を鳥の翼に見立てた色彩および形状としたものであり、開閉蓋である鳥のくちばしを開くと、係止片である翼が開いて上昇するようになっている。
【0027】
このため、子供向けの菓子の容器として最適であり、使用後の空箱もおもちゃとして使用されることが期待できる。
【0028】
開閉蓋(20)と係止片(26)をどのようなデザインとするかは、任意であり、動物の口と手でもよいし、鬼の口と金棒でも良い。また係止片(26)は、ひとつのディスプレイとしての機能を有しているので、係止片の表面に何らかのメッセージを表出しても良い。
【0029】
本発明に係る振り出し箱(1)に用いる材料としては、可動部分がある関係上、腰のある厚手で丈夫な紙が適している。
【0030】
なお本発明に係る振り出し箱(1)は、内容物を直接箱の中に収納することになるが、構造上、箱としての密封性がないため、透明フィルム等による外包装を設けた方が好ましい。以下実施例に基づき、本発明に係る振り出し箱についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0031】
厚紙の表面に絵柄を印刷した後、図3に示した形状のブランクに打抜いた。係止片切込線(29)によって、開閉蓋(20)を構成する蓋板正面板(23)、左右の蓋板側面板(25)、および左右の係止片(26)が、蓋板開閉ヒンジ(27)を介して蓋板保持板(22)に連設された構造となっている。
【0032】
背面板(13)を下にした状態で、一点鎖線で示した折罫線をすべて山折りし、蓋板開閉ヒンジ(27)および係止片ヒンジ(28)のみを谷折りして、糊代(17)、(18)を糊付して箱を組立て、内容物であるポップコーンを収納した後、正面板(11)を蓋板保持板(22)に接着して、さらに側面補助板(16)を側面板(15)の上から糊付けして箱が完成した。この時、係止片(26)が正面板(11)と側面板(15)の隙間から外に出るようにし、また蓋板正面板(23)の上端部が箱の外に出るようにした。
【0033】
係止片(26)を係止片折罫線(26a)で折り畳んで側面板(15)に密着させた状態で透明ポリプロピレンフィルムの外包装を行い、図1に示した形状の製品が完成した。
【0034】
振り出し箱の開閉蓋(20)である鳩のくちばしを開閉すると、折り畳まれていた係止片(26)である鳩の翼が開き、はばたくように動くので、見た目に楽しい商品となった。
【符号の説明】
【0035】
1・・・振り出し箱
2・・・平面ブランク
11・・・正面板
11a、11b・・・折罫線
12・・・天面板
13・・・背面板
13a、13b・・・折罫線
14・・・底面板
14a、14b・・・折罫線
15・・・側面板
15a、15b、15c・・・折罫線
16・・・側面補助板
16a・・・切込み
17、18・・・糊代
19・・・フラップ
20・・・開閉蓋
21・・・振り出し口
22・・・蓋板保持板
23・・・蓋板正面板
24・・・蓋板縦ヒンジ
25・・・蓋板側面板
26・・・係止片
26a・・・係止片折罫線
27・・・蓋板開閉ヒンジ
28・・・係止片ヒンジ
29・・・係止片切込線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を振り出すための振り出し口(21)を備えた紙製の振り出し箱であって、
正面板(11)、天面板(12)、背面板(13)、底面板(14)、側面板(15)を有し、
振り出し口(21)は、正面板(11)の中央部に開口し、底辺が直線状で、上部が広い逆台形状であり、
振り出し口(21)を開閉自在に覆う開閉蓋(20)を有し、
開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)と、該蓋板正面板の左右にそれぞれ蓋板縦ヒンジ(24)を介して連設した2枚の蓋板側面板(25)を有し、
蓋板側面板(25)は、それぞれ係止片ヒンジ(28)を介して連設された係止片(26)を有し、
蓋板正面板(23)は、底面板(14)から折罫線を介して連設された蓋板保持板(22)の上端から蓋板開閉ヒンジ(27)を介して連設されており、
開閉蓋(20)は、正面板(11)の内側に収納されており、蓋板正面板(23)の上端が正面板(11)の外側に突出して係止しており、
開閉蓋(20)は、蓋板正面板(23)の下辺である蓋板開閉ヒンジ(27)をヒンジとして上部が紙箱の前面に倒れ出すことによって振り出し口(21)を開口し、
係止片(26)は、開閉蓋(20)が閉じられた状態では、係止片折罫線(26a)によって折り畳まれて側面板(15)の外側に沿っており、開閉蓋(20)が開かれると係止片(26)の付け根が正面板(11)の内側に引込まれることにより係止片折罫線(26a)が伸ばされて側面板(15)から離れて立ち上がり、正面板(11)の上部左右に折罫線を介して連設された側面補助板(16)の切込み(16a)に係止するようにしたことにより、
開閉蓋(20)を開閉することによって、係止片(26)が上下に動くようにしたことを特徴とする振り出し箱。
【請求項2】
開閉蓋(20)を鳥のくちばしに、係止片(26)を鳥の翼に、それぞれ見立てた色彩および形状としたことを特徴とする請求項1に記載の振り出し箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−39961(P2013−39961A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179502(P2011−179502)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】