説明

振り込め詐欺防止用キャッシュカード収納ケース及び携帯電話機

【課題】携帯電話機を使用して振り込み先を指示する振り込め詐欺を防止するシステムを提供することにある。
【解決手段】キャッシュカード収納ケース1で管理されているキャッシュカード20がキャッシュカード収納ケース1から抜かれた情報を携帯電話機31へ送信する。携帯電話機31はキャッシュカード収納ケース1からキャッシュカード20が抜かれた情報を受信したとき、キャッシュカード20が使用中と判定し、携帯電話機31の通話を切断することにより振り込め詐欺を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振り込め詐欺を防止する、銀行の預貯金に係わるキャッシュカードを収納して携帯するキャッシュカード収納ケース及び携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレジット会社や銀行などが発行するキャッシュカードの不正使用を防止する技術として、電磁波遮断効果のあるキャッシュカード収納ケースに、音声認識や指紋認識などの生体認証機能を附加する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、キャッシュカードの盗難やキャッシュカードの不正コピーや不正使用を防止できるが、キャッシュカードの所有者自身を欺く、最近頻発している振り込め詐欺の防止には効果がない。
【0004】
【特許文献1】特開2006−209724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、キャッシュカードの使用と携帯電話機の使用を監視し、振り込め詐欺者からの携帯電話機を使用した現金支払装置(ATM)での振り込みの操作を指示する振り込め詐欺を防止するキャッシュカード収納ケース及び携帯電話機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明は、銀行の預貯金に係わるキャッシュカードを収納して携帯するキャッシュカード収納ケースであって、前記キャッシュカードが自収納ケースに収納されているか否かを検知する収納検知手段と、自収納ケースを携帯する者が所持する携帯電話機を登録する携帯電話機登録手段と、前記携帯電話機とローカル通信するローカル通信手段と、前記ローカル通信手段を介して前記携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを送信する特定コマンド送信手段と、を有し、前記特定コマンド送信手段は、前記収納検知手段が自収納ケースに前記キャッシュカードが収納されていないことを検知した場合に、前記携帯電話機登録手段に登録されている携帯電話機へ、当該携帯電話機の使用を禁止するもしくは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを送信することを特徴とする。
また、第2の発明は、銀行の預貯金に係わるキャッシュカードを収納して携帯するキャッシュカード収納ケースであって、前記キャッシュカードが自収納ケースに収納されているか否かを検知する収納検知手段と、自収納ケースの近傍に存在する携帯電話機が発信する電波を検知して、または前記携帯電話機とのローカル通信により前記携帯電話機の使用中を検知する携帯電話機使用中検知手段と、振り込め詐欺に係る表示もしくは鳴動する警報手段と、を有し、前記警報手段は、前記収納検知手段が自収納ケースに前記キャッシュカードが収納されていないことを検知すると共に前記携帯電話機使用中検知手段が自収納ケースの近傍に存在する携帯電話機の使用中を検知した場合に、振り込め詐欺に係る警報を自収納ケースが備える表示手段に表示もしくは鳴動させることを特徴とする。
さらに第3の発明は、前記第1または第2の発明のキャッシュカード収納ケースと通信する携帯電話機であって、前記キャッシュカード収納ケースとローカル通信するローカル通信手段と、自携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する振り込め詐欺防止手段を有し、前記振り込め詐欺防止手段は、前記ローカル通信手段を介して自携帯電話機の使用を禁止するもしくは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを受信した場合に、自携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する表示または鳴動を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現金支払装置(ATM)でキャッシュカードを使用した振り込み操作中の携帯電話機の使用を禁止または警報が出来るので、振り込め詐欺の防止効果が高いキャッシュカード収納ケース及び携帯電話機を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図を用いて説明する。
図1は本発明に係るシステムの構成例であり、1は振り込め詐欺防止用キャッシュカード収納ケース(以下キャッシュカード収納ケースと略す)で、カード収納部11と無線タグリーダ13を備えている。31はキャッシュカード収納ケース1と連携する携帯電話機、20は無線タグ21を搭載したキャッシュカード、50は携帯電話網である。
キャッシュカード収納ケース1は携帯型であって、使用者はキャッシュカード20を収納して銀行等へ行き、現金支払装置(ATM)を使用する際にキャッシュカード20をキャッシュカード収納ケース1のカード収納部11から取り出す。
そして、キャッシュカード20がキャッシュカード収納ケース1から取り出された状態、即ち、キャッシュカード20に貼られた無線タグ21を無線タグリーダ13が検知していない状態はATMを使用している最中である判断し、その間、携帯電話機31の使用を抑止する(詳細は後述する)。これにより、ATM操作を指示しようとする詐欺者との通話を遮断でき、振り込め詐欺の被害に遭うことを防止する。
【0009】
図2は本発明に係るキャッシュカード収納ケースの構成例であり、キャッシュカード収納ケース1はカード収納部11、制御部12、無線タグリーダ13、携帯番号登録部14、表示部15、操作部16,ローカル通信部17、携帯電話機電波検知部18、電池19、キャッシュカード20,無線タグ21から構成される。
【0010】
カード制御部12は本キャッシュカード収納ケース1全体の制御及びデータ授受に係る処理を実行する制御部である。無線タグリーダ13はキャッシュカード20に搭載された無線タグ21の情報を読み取る通信部である。なお、無線タグリーダ13に代えて、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等のようなカード収容検知機構を採用してもよい。
携帯番号登録部14はキャッシュカード収納ケース1と連携する携帯電話機の電話番号を登録する手段であって、後述するローカル通信機能の無い携帯電話機へ携帯電話網50経由でアラームを通知する際に参照する。
表示部15は振り込め詐欺に関わる警報を表示する部分である。表示部15はブザーを含んでいて、画面表示または警報音鳴動が可能であり、警報の表示は警報画像の表示または警報音鳴動のいずれかまたは両方の動作が可能である。なお、表示部15はブザーのみによる構成でもよい。
操作部16はキー入力によりキャッシュカード収納ケース1に携帯番号登録、使用禁止モード設定、アラーム通信モード設定を行う入力部分である。
ローカル通信部17は携帯電話網50を介さないで携帯電話機31とローカル通信する手段部であり、近距離無線通信技術や光通信技術が適用可能である。このローカル通信部17を介して携帯電話機31へ、発着信および通話を禁止するコマンドを送信可能である。
携帯電話機電波検知部18は近傍に存在する携帯電話機が発する電波を検知する手段である。携帯電話機電波検知部18が携帯電話機が発する電波を検知した場合、このローカル通信部17を介して携帯電話機31へ発着信および通話を禁止するコマンドを送信する。または、携帯番号登録部14に登録されている携帯電話番号へ発信して、携帯電話網50経由でアラームを通知する。
電池19はキャッシュカード収納ケース1内の各部へ供給する電源である。カード収納部11はキャッシュカード20を収納する空間である。
なお、図2の破線は、キャッシュカード収納ケース1に収納されたキャッシュカード20を示している。キャッシュカード20には無線タグ21が貼られている。また、カード収納部11に複数のカード類を収容するようにしてもよい。その場合でも、無線タグリーダ13は特定のID情報を含む無線タグが貼られたキャッシュカードが収容されているか否かを判定できる。
【0011】
図3は携帯電話機の構成例であり、携帯電話機31は携帯制御部32、表示部33,ローカル通信部34、スピーカ35、マイク36、レシーバ37、無線通信部38で構成される。
【0012】
携帯制御部32は携帯電話機31全体の制御を行う部分である。表示部33は携帯電話機の操作や警報に伴う表示を行う部分である。
ローカル通信部34はキャッシュカード収納ケース1のローカル通信部17との間で通信する手段である。キャッシュカード収納ケース1からアラーム通知を受信した場合、携帯制御部32に通知し、携帯制御部32は本携帯電話機31の発着信および通話を禁止する。また、その際、その旨を表示部33に表示すると共に、スピーカ部35から警報音を鳴動してもよい。
マイク36は携帯電話機31の送話に使用する。レシーバ部37は携帯電話機31の通話の受話または警報音の出力として使用する音源である。無線通信部38は携帯電話網50と接続して他の携帯電話機と通話を行うための通信部である。
【0013】
図4はキャッシュカード収納ケース1の動作フローチャートである。以下、図2を併用してキャッシュカード収納ケース1の具体的な動作を説明する。
本フローはキャッシュカード収納ケース1の電源スイッチ(図示せず)がオンになった段階、または電池19が組み込まれた段階でスタートする(S400)。
【0014】
電源オン後(S400)、制御部12は操作部16のキースキャンを開始し、操作部16からの携帯番号登録操作(S410),カード収容中か否か(S420)を監視する。
操作部16によりローカル通信を行う携帯電話機31の携帯番号がキー入力されると(S410、YES)、制御部12はキー入力された携帯電話機31の電話番号を携帯番号登録部14に登録し(S411)、S410に戻る。
S420において、制御部12は無線タグリーダ13を経由して無線タグ21を読み込み、カード収納部11にキャッシュカード20が収納されているかを監視する。カード収納部11にキャッシュカード20が収納されていれば(S420、YES)、S410に戻る。なお、キャッシュカード20の有無だけであれば、無線タグ21が読み込むID情報の中身は何でも良い。
S420において、特定のキャッシュカード20についてのみカード収容中か否かを判定するようにしてもよい。この場合、無線タグ21が読み込むID情報の中身に応じて判定すればよい。
カード収納部11にキャッシュカード20が収納されていないと(S420、NO)、使用禁止モード設定確認へ進む(S430)。制御部12は、使用禁止モードが設定されていると(S430、YES)、近傍に存在する携帯電話機31とローカル通信を行い、使用禁止コマンドを送信して(S431)、S470へ進む。
使用禁止モードが設定されておらず(S430、NO)、アラーム通知モードが設定されていた場合(S450、YES)、携帯番号登録部14に登録された携帯電話番号の携帯電話機31と通信を行い、アラームコマンドを送信して(S451)、S470へ進む。アラーム通知モードが設定されていない場合(S450、NO)、携帯電話機電波検知確認へ進む(S460)。
S460において、制御部12は携帯電話機電波検知部18により近傍の携帯電話機が発している電波を検知しているか否かを判定する(S460)。電波を検知すると(S460、YES)、制御部12はキャッシュカード20と携帯電話機を同時に使用していると判断し、表示部15の警報音鳴動機能により、振込め詐欺に対する強い警報を発してから(S461)、S470へ進む。
S460において、携帯電話機の電波を検知しない場合は(S460、NO)、キャッシュカード収納ケース1からキャッシュカード20が取り出されただけの状態であって、携帯電話機を同時に使用していないと判断し、S470において、振込め詐欺に対する一般的な注意を喚起するアラームを表示部15に表示し(S470)、S410に戻る。
【0015】
図5は本キャッシュカード収納ケース1と連携する携帯電話機31の動作フローチャートである。以下、図3を併用して携帯電話機31の具体的な動作を説明する。
本フローは携帯電話機の電源が入った段階でスタートする(S500)。
【0016】
携帯電話機31の電源が入った後(S500)、携帯制御部32はアラーム解除操作の確認を行う(S510)。アラーム解除操作が行われると(S510、YES)、後述するアラーム表示及び発着信禁止が解除される(S511)。アラーム解除操作が行われない場合は(S510、NO)、アラームコマンド受信確認へ進む(S520)。
携帯制御部32はアラームコマンドを受信すると(S520、YES)、表示部32に振り込め詐欺を注意喚起するアラームを表示し(S560)、S510に戻る。アラームコマンドの受信がない場合は(S520、NO)、S530へ進む。
使用禁止コマンドを受信しない場合(S530、NO)、S510に戻る。使用禁止コマンドを受信した場合(S530、YES)、携帯制御部32は携帯電話機31の発着信を禁止し(S540)、S550へ進む。なお、この際、留守番モードを起動するようにしてもよい。
S550において携帯電話機31が通話中であると(S550、YES)、携帯制御部32は通話中の呼を強制的に切断する(S551)。そして、表示部32に振り込め詐欺を注意喚起するアラームを表示し(S560)、S510に戻る。
携帯電話機31が通話中でない場合(S550、NO)、携帯制御部32は表示部32に、振り込め詐欺に係る発着信を注意喚起するアラームを表示し(S560)、S510に戻る。
以上説明した通り、本発明によれば、現金支払装置(ATM)でキャッシュカードを使用した振り込み操作中の携帯電話機の使用を抑止できる。特に、本キャッシュカード収納ケース1と連携する携帯電話機に対しては、その発着信を禁止でき、さらに通話中の呼を強制的に切断することが可能である。また、本キャッシュカード収納ケース1と連携しない一般の携帯電話機であっても、その使用を抑止する警報を発することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】・・・本発明に係るキャッシュカード収納ケース及び携帯電話機の全体構成図
【図2】・・・本発明に係るキャッシュカード収納ケースのブロック構成図
【図3】・・・本発明に係る携帯電話機のブロック構成図
【図4】・・・本発明に係るキャッシュカード収納ケースの動作フローチャート
【図5】・・・本発明に係る携帯電話機の動作フローチャート
【符号の説明】
【0018】
1・・・キャッシュカード収納ケース
11・・・カード収納部
12・・・制御部
13・・・無線タグリーダ
14・・・携帯番号登録部
15・・・表示部
16・・・操作部
17・・・ローカル通信部
18・・・携帯電話機電波検知部
19・・・電池
20・・・キャッシュカード
21・・・無線タグ
31・・・携帯電話機
32・・・携帯制御部
33・・・表示部
34・・・ローカル通信部
35・・・スピーカ
36・・・マイク
37・・・レシーバ
38・・・無線通信部
50・・・携帯電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行の預貯金に係わるキャッシュカードを収納して携帯するキャッシュカード収納ケースであって、
前記キャッシュカードが自収納ケースに収納されているか否かを検知する収納検知手段と、自収納ケースを携帯する者が所持する携帯電話機を登録する携帯電話機登録手段と、前記携帯電話機とローカル通信するローカル通信手段と、前記ローカル通信手段を介して前記携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを送信する特定コマンド送信手段と、を有し、
前記特定コマンド送信手段は、前記収納検知手段が自収納ケースに前記キャッシュカードが収納されていないことを検知した場合に、前記携帯電話機登録手段に登録されている携帯電話機へ、当該携帯電話機の使用を禁止するもしくは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを送信することを特徴とする振り込め詐欺防止用キャッシュカード収納ケース。
【請求項2】
銀行の預貯金に係わるキャッシュカードを収納して携帯するキャッシュカード収納ケースであって、
前記キャッシュカードが自収納ケースに収納されているか否かを検知する収納検知手段と、自収納ケースの近傍に存在する携帯電話機が発信する電波を検知してまたは前記携帯電話機とのローカル通信により前記携帯電話機の使用中を検知する携帯電話機使用中検知手段と、振り込め詐欺に係る表示もしくは鳴動する警報手段と、を有し、
前記警報手段は、前記収納検知手段が自収納ケースに前記キャッシュカードが収納されていないことを検知すると共に前記携帯電話機使用中検知手段が自収納ケースの近傍に存在する携帯電話機の使用中を検知した場合に、振り込め詐欺に係る警報を自収納ケースが備える表示手段に表示もしくは鳴動させることを特徴とする振り込め詐欺防止用キャッシュカード収納ケース。
【請求項3】
請求項1または2に記載のキャッシュカード収納ケースであって、
前記収納検知手段は、前記キャッシュカードに装着されている無線タグの情報を読取る無線タグリーダを具備していることを特徴とする振り込め詐欺防止用キャッシュカード収納ケース。
【請求項4】
請求項1に記載のキャッシュカード収納ケースと通信する携帯電話機であって、
前記収納ケースとローカル通信するローカル通信手段と、自携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する振り込め詐欺防止手段を有し、
前記振り込め詐欺防止手段は、前記ローカル通信手段を介して自携帯電話機の使用を禁止するもしくは振り込め詐欺を警報する特定コマンドを受信した場合に、自携帯電話機の使用を禁止するまたは振り込め詐欺を警報する表示または鳴動を実行することを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−212285(P2012−212285A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77153(P2011−77153)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】