説明

振動ふるい機

【課題】ふるい分けの効率を向上する。
【解決手段】振動ふるい機は、網状のふるい部20と、ふるい部20の径方向外側の端部に環状に設けられ、ふるい部20を支持する外枠部材51と、外枠部材51の径方向内側に環状に設けられ、外枠部材51との間に環状のふるい通路部56を形成し、ふるい部20を内側ふるい部57とふるい通路部56とに区画する内枠部材52と、外枠部材51から径方向外側へ延びて設けられ、ふるい通路部56と外部とを接続する排出通路部34と、内枠部材52を径方向へ貫いて設けられ、内側ふるい部57とふるい通路部56とを接続する接続通路部53と、ふるい通路部56に設けられ、ふるい部20の振動にともなってふるい通路部56を移動しつつ振動する振動部材54と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふるい枠を振動させることにより当該ふるい枠内の分離対象物を分離する振動ふるい機に関する。
【背景技術】
【0002】
振動ふるい機は、ふるい枠を振動させることにより、当該ふるい枠内のふるい網上に投入された分離対象物のうち所定の大きさ以下のものをふるい落とし、これにより、ふるい枠内の分離対象物を分離する(例えば、特許文献1参照)。
ところで、この種の振動ふるい機では、ふるい枠の振動にともなって、分離対象物の一部がふるい網の周縁部に溜まるようになる。このようにふるい網の周縁部に集まった分離対象物は、塊状になるなどして分離し難く、従って、ふるい分けの効率が低下してしまうという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−81319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、ふるい分けの効率を向上する振動ふるい機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の振動ふるい機は、網状のふるい部と、前記ふるい部の径方向外側の端部に環状に設けられ、前記ふるい部を支持する外枠部材と、前記外枠部材の径方向内側に環状に設けられ、前記外枠部材との間に環状のふるい通路部を形成し、前記ふるい部を内側ふるい部と前記ふるい通路部とに区画する内枠部材と、前記外枠部材から径方向外側へ延びて設けられ、前記ふるい通路部と外部とを接続する排出通路部と、前記内枠部材を径方向へ貫いて設けられ、前記内側ふるい部と前記ふるい通路部とを接続する接続通路部と、前記ふるい通路部に設けられ、前記ふるい部の振動にともなって前記ふるい通路部を移動しつつ振動する振動部材と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、ふるい通路部は、網状のふるい部の径方向外側の端部に環状に設けられた外枠部材とこの外枠部材の径方向内側に環状に設けられた内枠部材との間の部分、つまり、網状のふるい部のうち少なくとも内枠部材よりも外側である周縁部に位置して形成される。そして、ふるい部のうち、このふるい通路部以外の部分である内側ふるい部は、内枠部材を径方向へ貫く接続通路部によってふるい通路部に接続されている。そのため、内側ふるい部に投入された分離対象物のうち、ふるい部の振動にともなって当該ふるい部の周縁部に移動する分離対象物は、接続通路部を通過してふるい通路部内に進入するようになる。
そして、このふるい通路部内には、ふるい部の振動にともなってふるい通路部を移動しつつ振動する振動部材が備えられている。従って、ふるい通路部内に進入した分離対象物を、この振動部材によって押し砕くことができる。これにより、ふるい部の振動にともなって当該ふるい部の周縁部に移動した分離対象物、つまり、ふるい部の周縁部において塊状になるなどしてふるい分けの効率を低下させる要因となる分離対象物をも有効に分離することができるようになり、ふるい分けの効率を向上することができる。
【0006】
請求項2記載の振動ふるい機は、排出通路部と接続通路部とは、ふるい通路部の周方向において半周以上かつ一周未満離れていることを特徴とする。
これにより、ふるい通路部の入口部として機能する接続通路部とふるい通路部の出口部として機能する排出通路部との間の距離が長くなる。つまり、振動部材が振動しながら移動するふるい通路部の入口部から出口部までの距離を長く確保することができる。これにより、ふるい通路部内に進入した分離対象物を、より長距離にわたって、且つ、より長時間にわたって、振動部材によって押し砕くことができ、これにより、ふるい分けの効率を一層向上することができる。
【0007】
請求項3記載の振動ふるい機は、ふるい通路部のふるい部と反対側を覆う環状のカバー部材を備えることを特徴とする。
即ち、ふるい通路部のうち振動部材に直接的に振動を与えるふるい部とは反対側の部分がカバー部材によって覆われているため、ふるい通路部内で振動する振動部材が当該ふるい通路部内から飛び出してしまうことを防止することができる。これにより、例えば振動部材に強い振動を与えたとしても振動部材をふるい通路部内に維持することができ、振動部材による強い押し砕き作用によって、ふるい分けの効率を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係るものであり、振動ふるい機の構成を右半分を縦断面にして示す正面図
【図2】アンバランスウェイト間の角度とふるい枠内の分離対象物の移動状態との関係を模式的に示す図
【図3】ふるい枠の平面図
【図4】ふるい枠の周縁部のうち接続通路部を含まない部分を拡大して示す縦断面図
【図5】ふるい枠の周縁部のうち接続通路部を含む部分を拡大して示す縦断面図
【図6】接続通路部およびその周辺部分をふるい枠の内側から径方向に見て示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、振動ふるい機10の全体構成を概略的に示している。振動ふるい機10の架台11上には、複数の枠受スプリング12を介して振動体ベース13が振動自在に支持されている。この振動体ベース13の上部には、ふるい枠14が固定されている。ふるい枠14は、振動体ベース13の上部に下円筒枠15,中円筒枠16,上円筒枠17を積み上げた構成である。上円筒枠17の上面には、中央に原料投入口18を有するテーパ状の蓋19が被せられている。ふるい枠14の内部には、網状のふるい部20が張り渡されている。
【0010】
振動体ベース13の中心部の下面には、振動体ハウジング21が固定されている。この振動体ハウジング21には、図示しない軸受を介して回転軸22が回転可能に支持されている。この回転軸22のうち振動体ハウジング21の上方に突出した上端部には、上部アンバランスウェイト23が取り付けられている。この上部アンバランスウェイト23は、回転軸22に固定されており、当該回転軸22と一体に回転する。一方、回転軸22のうち振動体ハウジング21の下方に突出した下端部には、下部アンバランスウェイト24が取り付けられている。この下部アンバランスウェイト24は、回転軸22に回動可能に支持されている。
【0011】
回転軸22には、カップリング25および当該カップリング25に固定された駆動スプリング26を介してVプーリ27が取り付けられている。このVプーリ27は、架台11の内底面上に回転可能に支持されている。一方、架台11の内側面には、回転軸22を回転させる回転駆動部としてモータ28が固定されている。この場合、モータ28は、図示しないインバータ装置によって駆動が制御されるインバータモータで構成されている。このモータ28の回転軸28aには、Vプーリ29が取り付けられている。Vプーリ27とVプーリ29との間には、Vベルト30が掛け渡されている。モータ28は、回転軸28aの回転を、Vプーリ29、Vベルト30、Vプーリ27を介して回転軸22に伝達する。これにより、モータ28は回転軸22を回転させる。
【0012】
これら回転軸22、上下の両アンバランスウェイト23,24、および、モータ28により振動付与部31が構成されている。この振動付与部31は、上下の両アンバランスウェイト23,24を備えた回転軸22をモータ28によって回転させることによりふるい枠14に振動を付与する。この場合、振動付与部31は、振動を発生させるための駆動源となるモータ28と、振動の発生源(振動が発生する部分)となる回転軸22とを、Vプーリ27、Vプーリ29、Vベルト30を介して別体に備えた構成である。
【0013】
なお、この場合、振動ふるい機10は、モータ28によって回転軸22を一方向のみに回転させる標準型の構成であり、図2および図3に示す矢印A方向(ふるい枠14を上方から見て時計回り方向)がモータ28(回転軸22)の正転方向として設定されている。
モータ28には、図示しないインバータ装置を含む制御装置が接続されており、モータ28の駆動は、この制御装置によって制御されるようになっている。
【0014】
ふるい枠14の一部(この場合、ふるい枠14の上部)を構成する上円筒枠17の外周部には、ふるい枠14内のふるい部20上に残った分離対象物(残留物)を振動ふるい機10の機外に排出するための網上排出口33が設けられている。この網上排出口33には、当該網上排出口33から外方に延びる排出通路部34が設けられている。
【0015】
また、ふるい枠14の一部(この場合、ふるい枠14の下部)を構成する下円筒枠15の外周部には、図示しない網下排出口が設けられている。この網下排出口には、当該網下排出口から外方に延びる排出通路部35が設けられている。下円筒枠15の底面には、円錐状の受け部36が設けられている。ふるい枠14内のふるい部20からふるい落とされ受け部36で受けられた分離対象物、つまり、ふるい部20の目孔の大きさよりも小さい分離対象物は、網下排出口および排出通路部35を通して振動ふるい機10の機外に排出される。
【0016】
上述したように、上部アンバランスウェイト23は回転軸22に固定されている。これに対して、下部アンバランスウェイト24は回転軸22に回動可能に支持されている。従って、振動ふるい機10は、上部アンバランスウェイト23と下部アンバランスウェイト24との間の角度が調整可能である。また、これら両アンバランスウェイト23,24間の角度に応じて、モータ28が駆動して回転軸22が回転されたときにふるい枠14(特にふるい部20)に発生する振動が異なることが分かっている。
【0017】
そのため、上記構成の振動ふるい機10は、ふるい枠14の振動モードを、上下の両アンバランスウエイト23,24の位置を調節することによって変更可能である。ここで、上下の両アンバランスウエイト23,24の位置調整による振動モードの変更態様について図2を参照しながら説明する。
【0018】
図2(a)〜(c)の上段には、上下の両アンバランスウエイト23,24の位置関係を示している。図2(a)〜(c)の下段には、図2(a)〜(c)の上段に示す両アンバランスウエイト23,24の位置関係に対応付けて、ふるい枠14内のふるい部20上における分離対象物の移動状態をふるい枠14の上方から見て示している。
【0019】
図2(a)に示すように、下部アンバランスウェイト24が上部アンバランスウエイト23の左側に約90度の角度を有して位置する状態では、回転軸22が正転方向(矢印A方向)に回転すると、その回転に伴い発生する振動により、ふるい枠14内のふるい部20上の分離対象物は、中心部に向かって矢印A方向に渦巻くように移動する。
【0020】
図2(b)に示すように、下部アンバランスウェイト24が上部アンバランスウエイト23の左側に約60度の角度を有して位置する状態、或いは、下部アンバランスウェイト24が上部アンバランスウエイト23の左側に約45度の角度を有して位置する状態では、回転軸22が正転方向(矢印A方向)に回転すると、その回転に伴い発生する振動により、ふるい部20上の分離対象物は、中心部から周縁部(外周部)に向かって矢印A方向に渦巻くように移動する。
【0021】
図2(c)に示すように、上下の両アンバランスウエイト23,24の位置が一致する状態では、回転軸22が正転方向(矢印A方向)に回転すると、その回転に伴い発生する振動により、ふるい部20上の分離対象物は、中心部から周縁部に向かって概ね直線状に移動する。
【0022】
また、上記の各振動モードに対応する上下の両アンバランスウエイト23,24間の角度は、ふるい条件(例えば、ふるい枠14内のふるい部20上に投入する分離対象物の形状、粒度、比重など)に応じて適宜調節することができる。
【0023】
次に、ふるい枠14の構成について図3から図6を参照しながらさらに詳細に説明する。
図3に示すように、ふるい枠14は、上記したふるい部20と、外枠部材51と、内枠部材52と、上記した排出通路部34と、接続通路部53と、振動部材54と、カバー部材55と、を備える。
【0024】
ふるい部20は、網状に、つまり、多数の線材を編み込んで設けられており、全体として円形に形成され、その周縁部が、上記した中円筒枠16と上円筒枠17との間に挟み込まれて固定されている。このふるい部20は、ふるい枠14の内部を上下に区画している。
【0025】
外枠部材51は、上記した中円筒枠16および上円筒枠17から構成されており、従って、ふるい部20の径方向外側の端部である周縁部に環状に設けられている。この外枠部材51は、ふるい部20に適度な張力を付与しつつ当該ふるい部20を支持する機能を担う。
【0026】
内枠部材52は、上記した外枠部材51(当該外枠部材51の上部を構成する上円筒枠17)の径方向内側に環状に設けられており、これにより、外枠部材51との間に環状のふるい通路部56を形成している。そして、この内枠部材52は、外枠部材51の内側に存在するふるい部20を、内側ふるい部57とふるい通路部56とに区画している。内側ふるい部57は、ふるい部20のうちふるい通路部56を除く部分、つまり、ふるい部20の中央部分に円形状に形成される領域のことであり、異物などを含む分離対象物は、この内側ふるい部57内に投入される。図4から図6に示すように、この内枠部材52とふるい部20との間には、振動緩衝用の部材として、例えばスポンジ状の部材からなる環状のスポンジパッキン58が介在される。これにより、ふるい部20の振動は、内枠部材52には伝達し難くなっている。
【0027】
排出通路部34は、外枠部材51の一部である上円筒枠17から径方向外側に向かって、つまり、環状の外枠部材51の法線方向に向かって直線状に延びて設けられており、外枠部材51の内部に形成されたふるい通路部56と外枠部材51の外部とを連通接続している。
【0028】
接続通路部53は、内枠部材52の一部を径方向へ貫いて設けられており、内側ふるい部57とふるい通路部56とを連通接続している。この場合、この接続通路部53と上記した排出通路部34とは、ふるい通路部56の周方向のうち矢印A方向(回転軸22の正転方向)において一周よりも若干短い距離を有して離れている。この場合、接続通路部53と排出通路部34との間には、これら接続通路部53および排出通路部34が径方向に沿って重ならない程度の距離が確保されている。なお、接続通路部53と排出通路部34との間の距離は、ふるい通路部56の周方向のうち矢印A方向(回転軸22の正転方向)において半周以上かつ一周未満の範囲で設定することが可能である。また、接続通路部53の高さ寸法(内枠部材52の軸方向に沿う寸法)は、図5に示すように、少なくとも振動部材54の高さ寸法よりも小さく設定するとともに、図5および図6に示すように、分離対象物が通過可能な高さを確保しつつ極力短く設定するとよい。この場合、接続通路部53は、矩形状に開口しているが、分離対象物が通過可能な開口形状であれば、例えば半円形状に開口するなど種々の開口形状を採用することができる。
【0029】
振動部材54は、この場合、円柱形状に形成されている。この振動部材54は、ふるい通路部56の内部に移動可能に設けられており、ふるい部20の振動が、この振動部材54に伝達されるようになっている。これにより、振動部材54は、ふるい部20の振動にともなってふるい通路部56を移動しつつ振動する。この場合、振動部材54の移動方向は、この振動部材54にも分離対象物と同様の振動が伝達されることから、ふるい枠14内、特にふるい通路部56内の分離対象物の移動方向と一致するが、振動部材54の移動速度は、例えば当該振動部材54の大きさ、重さ、形状などを適宜調整することにより、ふるい通路部56内の分離対象物の移動速度とは異なるように設定することが好ましい。
【0030】
カバー部材55は、図4および図5にも示すように、ふるい通路部56のふるい部20とは反対側の部分、この場合、ふるい通路部56の上部を全周にわたって覆っている。即ち、この場合、カバー部材55は、環状のふるい通路部56の上部全体を覆うべく、このふるい通路部56と同様に環状に形成されている。このカバー部材55は、着脱可能に設けてもよいし、固着して設けてもよい。このカバー部材55は、その複数個所にのぞき窓部55aを有している。これにより、ふるい通路部56の内部、ひいては、このふるい通路部56内を移動する分離対象物や振動部材54を部分的に視認することができる。なお、こののぞき窓部55aは、例えば透明の部材(透明フィルムなど)や網状の部材によって覆う構成とするとよい。
【0031】
次に、上記した構成のふるい枠14を備えた振動ふるい機10によって分離対象物の分級動作を行う場合の作用について説明する。なお、この場合、分離対象物が矢印A方向に渦巻くように移動する振動モード(図2(b)に示した振動モード)によって分離対象物を分級する場合について説明する。
【0032】
即ち、上記したふるい枠14では、ふるい通路部56は、網状のふるい部20の径方向外側の端部に環状に設けられた外枠部材51とこの外枠部材51の径方向内側に環状に設けられた内枠部材52との間の部分、つまり、網状のふるい部20のうち少なくとも内枠部材52よりも外側である周縁部に位置して形成される。そして、ふるい部20のうち、このふるい通路部56以外の部分である内側ふるい部57は、内枠部材52を径方向へ貫く接続通路部53によってふるい通路部56に連通接続されている。そのため、内側ふるい部57に投入された分離対象物のうち、ふるい部20の振動にともなって当該ふるい部20の周縁部に向かって矢印A方向に渦巻くように移動する分離対象物(内側ふるい部57内においてふるい落とされることなく残留した分離対象物)は、接続通路部53を通過してふるい通路部56内に進入するようになる。
【0033】
そして、このふるい通路部56内には、ふるい部20の振動にともなってふるい通路部56を移動しつつ振動する振動部材54が備えられている。従って、ふるい通路部56内に進入した分離対象物は、この振動部材54によって押し砕かれながら移動するようになる。これにより、ふるい部20の振動にともなって当該ふるい部20の周縁部に移動した分離対象物、つまり、ふるい部20の周縁部において塊状になるなどして分離し難くなった分離対象物をも、振動部材54によって押し砕きながら有効に分離することができるようになる。
【0034】
なお、ふるい通路部56内に進入した分離対象物のうち、振動部材54によっても押し砕くことができないもの、つまり、ふるい部20の目孔の大きさよりも大きい異物などは、ふるい部20からふるい落とされることなくふるい通路部56内を矢印A方向に移動し、最終的に、排出通路部34から外部に排出される。また、ふるい通路部56は、その出口部として機能する排出通路部34と連通する部分に壁状の仕切部を設けておらず、従って、ふるい通路部56は、周方向に沿って円環状に連なっている。そのため、振動部材54は、ふるい部20が振動している間は、排出通路部34に導かれることなく、ふるい通路部56内を振動しつつ周方向に移動し続ける。
【0035】
以上に説明したように本実施形態によれば、環状の外枠部材51と環状の内枠部材52との間に環状のふるい通路部56を形成し、このふるい通路部56をふるい部20の一部である内側ふるい部57に接続通路部53を介して連通接続するとともに、このふるい通路部56の内部に、ふるい部20の振動にともなってふるい通路部56内を移動しつつ振動する振動部材54を備えた。これにより、ふるい部20の振動にともなって当該ふるい部20の周縁部に移動した分離対象物、つまり、ふるい部の周縁部において塊状になるなどしてふるい分けの効率を低下させる要因となる分離対象物をも、振動部材54によって押し砕いて有効に分離することができるようになり、ふるい分けの効率を向上することができる。
【0036】
また、接続通路部53と排出通路部34とは、ふるい通路部56の周方向のうち分離対象物が移動する方向である矢印A方向において、一周よりも若干短い距離を有して離れている。これにより、ふるい通路部56の入口部として機能する接続通路部53とふるい通路部56の出口部として機能する排出通路部34との間の距離が長くなる。つまり、振動部材54が振動しながら移動するふるい通路部56の入口部から出口部までの距離をより長く確保することができる。これにより、ふるい通路部56内に進入した分離対象物を、より長距離にわたって、且つ、より長時間にわたって、振動部材54によって押し砕くことができるようになり、これにより、ふるい分けの効率を一層向上することができる。
【0037】
また、ふるい通路部56のうちふるい部20とは反対側の部分は、環状のカバー部材55によって覆われている。即ち、ふるい通路部56のうち振動部材54に直接的に振動を与えるふるい部20とは反対側の部分がカバー部材55によって覆われているため、ふるい通路部56内で振動する振動部材54が当該ふるい通路部56内から飛び出してしまうことを防止することができる。これにより、例えば振動部材54に強い振動を与えたとしても振動部材54をふるい通路部56内に維持することができ、振動部材54による強い押し砕き作用によって、ふるい分けの効率を一層向上することができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した一実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば、以下のように変形または拡張することができる。
【0039】
上記ふるい枠14は、図2(b)に示す振動モードのほか、他の振動モードによって分離対象物を分級する場合にも用いることができる。要は、ふるい枠14の振動に伴い分離対象物が接続通路部53からふるい通路部56内に進入する振動モードであればよい。
【0040】
ふるい枠14に投入する分離対象物としては、例えば樹脂材料など、微粉砕物や微粉砕物の凝集物からなる種々の対象物を投入して分級することができる。
接続通路部53と排出通路部34との間の距離は、例えば、ふるい枠14の大きさ、振動モード(分離対象物が移動する方向)、分離対象物の種類や性質、振動ふるい機10の分級性能などに応じて、適宜変更して設定することができる。
【0041】
振動部材54を構成する材料としては、例えば、金属、樹脂、木材など種々の材料を採用することができる。また、振動部材54の形状としては、円柱形状に限られるものではなく、例えば球状、円錐状、矩形状、環状(リングドーナツ状)など種々の形状を採用することができる。なお、振動部材54の形状は、分離対象物との接触面積をより広く確保すべく、その表面積が極力大きくなる形状が好ましい。また、振動部材54の大きさも、適宜変更して実施することができる。この場合も、分離対象物との接触面積をより広く確保すべく、その表面積が極力大きくなる大きさが好ましい。
【0042】
ふるい通路部56内に設ける振動部材54の数は、単数でもよいし複数でもよく、例えば、ふるい枠14の大きさ、振動モード(分離対象物が移動する方向)、分離対象物の種類や性質、振動ふるい機10の分級性能などに応じて、その数を適宜変更することができる。
【0043】
カバー部材55は、その全体を例えば透明の部材(透明フィルムなど)や網状の部材によって形成してもよい。また、カバー部材55にのぞき窓部55aを設けない構成としてもよい。
【0044】
ふるい枠14は、接続通路部53を、図3に示す状態(ふるい枠14を上方から見た状態)において排出通路部34を基準に反対側(図3では右側)に設けることで、図2および図3に示す矢印A方向とは反対方向を正転方向とする一方向回転型の振動ふるい機にも適用することができる。
【0045】
外枠部材51、内枠部材52、ふるい通路部56は、円環状に限られるものではなく、環状であれば、例えば楕円環状や多角形環状に形成してもよい。要は、ふるい通路部56内に配置された振動部材54が当該ふるい通路部56内を移動しつつ振動可能な環状形状であればよい。
【符号の説明】
【0046】
図面中、10は振動ふるい機、20はふるい部、34は排出通路部、51は外枠部材、52は内枠部材、53は接続通路部、54は振動部材、55はカバー部材、56はふるい通路部、57は内側ふるい部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網状のふるい部と、
前記ふるい部の径方向外側の端部に環状に設けられ、前記ふるい部を支持する外枠部材と、
前記外枠部材の径方向内側に環状に設けられ、前記外枠部材との間に環状のふるい通路部を形成し、前記ふるい部を内側ふるい部と前記ふるい通路部とに区画する内枠部材と、
前記外枠部材から径方向外側へ延びて設けられ、前記ふるい通路部と外部とを接続する排出通路部と、
前記内枠部材を径方向へ貫いて設けられ、前記内側ふるい部と前記ふるい通路部とを接続する接続通路部と、
前記ふるい通路部に設けられ、前記ふるい部の振動にともなって前記ふるい通路部を移動しつつ振動する振動部材と、
を備える振動ふるい機。
【請求項2】
前記排出通路部と前記接続通路部とは、前記ふるい通路部の周方向において半周以上かつ一周未満離れている請求項1記載の振動ふるい機。
【請求項3】
前記ふるい通路部のふるい部と反対側を覆う環状のカバー部材を備える請求項1または2記載の振動ふるい機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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