説明

振動アクチュエータ

【課題】本発明は、マグネットのラジアル方向の単磁極着磁を確実且つ容易にし、筐体の径を小さくするような小型化の促進が容易である振動アクチュエータを提供する。
【解決手段】振動アクチュエータ1の筒状のマグネット4は、ラジアル方向に着磁されて振動軸線方向に複数に分割されたマグネット部4A,4Bからなり、隣接するマグネット部4A,4Bは、振動軸線L方向において極が異なっているので、接合させる際に極同士の反発が起こらず、マグネット部4A,4B同士を接合させ易い。マグネット4をこのように構成させることに伴って、コイル3は、振動軸線L方向においてそれぞれのマグネット部4A,4Bに対応して複数に分割されたコイル部3A,3Bからなり、隣接するコイル部3A,3Bの巻線の巻き方向を逆にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯無線装置の着信を利用者に知らせるための振動発生源や、タッチパネルの操作感触や遊戯機の臨場感を指や手に伝えるための振動発生源などに利用される小型の振動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2003−117488号公報がある。この公報に記載された振動アクチュエータは、磁性材料からなり円筒状のフレームを有し、このフレームの軸方向の外端には、一対のブラケットが嵌め込まれ、各ブラケットには、可動子を軸方向に移動可能に支持するための固定軸が固定されている。フレームの内周面には、円周上で同一方向に線材が巻回されている円筒状のコイルが固定されている。可動子は、コイルの空隙内に配置されると共に、ラジアル方向に着磁された円筒状のマグネットと、マグネットの軸方向の両端に配設されて潤滑材が含浸された焼結合金からなる一対の軸受けと、で構成され、可動子と一対のブラケット間には、一対のコイルばねが配置されている。
また、振動体を高性能にするには、円筒状のマグネットをエネルギー積の大きい例えばNdFeB系の焼結磁石を用いてフル着磁すればよいが、小型化してくると直径方向の単磁極着磁は、着磁器の磁気飽和のためにかなり困難になる。そこで、円筒状の磁性体を周方向で2分割又は3分割し、各磁性体片をそれぞれ個別に厚み方向で着磁した後、再度、分割された各磁石片(マグネット部)を接着剤により再構成して、円筒状のマグネットにしている。この方法によれば、磁石片は夫々単独でフル着磁されるので再構成された円筒状マグネットの性能も向上し、特に厚み方向の異方性磁石を用いる場合は更に効果的であり、振動アクチュエータは高性能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−117488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マグネットを周方向で複数分割したものを、接着剤で貼り合わせて円筒状のマグネットにする場合、隣接する磁石片(マグネット部)が同じ極性を有しているので、貼り合わす際に極同士の反発が起こって、磁石片を貼り合わせることは難しく、しかも磁石片同士がズレて貼り合わされてしまうといった問題点がある。
【0005】
本発明は、マグネットのラジアル方向の単磁極着磁を確実且つ容易にし、筐体の径を小さくするような小型化の促進が容易である振動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筒状の筺体内に配置されたコイルと、このコイルに包囲されて前記筺体内に配置されたマグネットとの協働により、前記マグネットが前記筺体の振動軸線に沿ってリニアに振動する振動アクチュエータにおいて、
前記筺体の前記振動軸線に沿って配置され、前記筺体の前記振動軸線方向における両端に設けられた端壁に両端が固定されたシャフトと、
前記シャフトが貫通すると共に、前記シャフトの延在方向に移動自在な前記マグネットを有する可動子と、
前記可動子と前記端壁との間に配置され、前記可動子を前記振動軸線方向に付勢する弾性部材と、を備え、
前記シャフト及び前記筐体は、磁性体により形成され、
筒状の前記マグネットは、ラジアル方向に着磁されて前記振動軸線方向に複数に分割されたマグネット部からなり、隣接する前記マグネット部は、前記振動軸線方向において極が異なっており、
前記コイルは、前記振動軸線方向においてそれぞれのマグネットに対応して複数に分割されたコイル部からなり、隣接する前記コイル部は、巻き方向が逆であることを特徴とする。
【0007】
この振動アクチュエータにおけるマグネットには、磁性体からなるシャフトが貫通し、このシャフトの両端は、磁性体からなる筺体の振動軸線方向における両端の端壁にそれぞれ固定され、シャフトに案内されながら、マグネットが振動する。固定されたシャフトを利用することで、錘部の重心の位置が振動軸線からずれることが防止され、安定した振動を確保できる。さらに、落下衝撃が生じた場合であってもマグネットがコイルに衝突することが防止され、耐落下衝撃性を向上させることができる。また、筒状のマグネットは、ラジアル方向に着磁されて振動軸線方向に複数に分割されたマグネット部からなり、隣接するマグネット部は、振動軸線方向において極が異なっているので、接合させる際に極同士の反発が起こらず、マグネット部同士を接合させ易く、しかも、マグネット部同士がズレに難い。そして、マグネット部の接合枚数を容易に増やすことができ、これにより、パワーアップを図る目的で、マグネットの径を大きくすることなく、マグネットを振動軸線方向に容易に長くすることができる。マグネットをこのように構成させることに伴って、コイルは、振動軸線方向においてそれぞれのマグネット部に対応して複数に分割されたコイル部からなり、隣接するコイル部の巻き方向を逆にしている。このような構成の振動アクチュエータは、筐体の径を小さくするような小型化の促進が容易である。
【0008】
また、可動子は、マグネットと一体に移動自在な錘部を有し、錘部は、シャフトが貫通すると共に、シャフトの延在方向でマグネットに隣接して筺体内に配置され、弾性部材は、錘部と筐体の端壁との間に配置され、錘部の端部には、振動軸線に沿ってばね受入凹部が形成され、錘部は、ばね受入凹部内に配置された軸受によりシャフトに対して支持され、ばね受入凹部内に挿入された弾性部材により軸受及び錘部が付勢されると好適である。
軸受の採用により、錘部がシャフトに接触することなく安定した振動が達成されるので、騒音の低減を図ることができる。さらに、ばね受入凹部内に軸受を配置させることで、軸受を錘部の重心位置に近づけることができ、これによっても、騒音の低減が可能になる。しかも、弾性部材をばね受入凹部内に挿入させることで、弾性部材の振動軸線方向における全長を長くすることができ、これによって、安定した弾性力を発揮させることができ、しかも接着剤を用いなくとも、軸受が錘部から外れ難いといった効果を奏する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マグネットのラジアル方向の単磁極着磁を確実且つ容易にし、筐体の径を小さくするような小型化の促進が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る振動アクチュエータの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示された振動アクチュエータの断面図である。
【図3】本発明に係る振動アクチュエータの第2の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る振動アクチュエータの第3の実施形態を示す断面図である。
【図5】(a)は板バネの平面図であり、(b)は板バネの側面図である。
【図6】本発明に係る振動アクチュエータの第4の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る振動アクチュエータの第5の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る振動アクチュエータの第6の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る振動アクチュエータの第7の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る振動アクチュエータの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、種々の振動アクチュエータにあっては、同一又は同等な構成部分に同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1及び図2に示されるように、振動アクチュエータ1は、直径が約4.5mmの円筒状の筺体2を有している。磁性体からなる筺体2内には、筺体2の振動軸線Lを中心に環状に巻かれたコイル3と、このコイル3に包囲された円筒状のマグネット4と、筺体2の振動軸線L方向においてマグネット4の両側に隣接して配置された第1及び第2の錘部6,7と、が収容されている。この振動アクチュエータ1では、可動子8を構成するマグネット4と第1及び第2の錘部6,7とが、一体となって、コイル3とマグネット4との協働により、筺体2の振動軸線L方向に沿ってリニアに振動する。
【0013】
筺体2は、振動軸線Lを分割する方向において第1の筐体10と第2の筐体11とで2分割されている。より具体的には、2分割された筺体2のうち第1の筺体10は、筺体2の振動軸線L方向における一端に位置する円板状の端壁10aと、この端壁10aから振動軸線L方向に延びた円筒状の周壁10bと、からなり、第1の錘部6、コイル3、及びマグネット4を収容している。
【0014】
第2の筺体11は、第1の筺体10に振動軸線L方向で対向して配置されている。この第2の筺体11は、筺体2の振動軸線L方向における他端に位置する円板状の端壁11aと、この端壁11aから振動軸線L方向に延びた円筒状の周壁11bと、からなり、第2の錘部7を収容している。第1及び第2の筺体10,11は、SPCC(冷間圧延鋼板)などの磁性体により成形されている。そして、第1の筺体10と第2の筺体11との間から、樹脂製のボビン12の一部をなす端子台12dが露出している。
【0015】
ボビン12は、第1及び第2の筺体10,11の周壁10b,11bよりも直径が小さく、周壁10b内に挿入されてコイル3が巻かれる筒状部12aと、筒状部12aの振動軸線L方向における両端に形成されたフランジ部12b,12cと、フランジ部12bとフランジ部12cとの間に形成された環状の仕切り部12eと、肉厚のフランジ部12bの外端部から周壁11bに沿って延在する端子台12dと、を有している。
【0016】
フランジ部12cと仕切り部12eとの間には、第1のコイル部3Aが配置され、フランジ部12bと仕切り部12eとの間には、第2のコイル部3Bが配置されている。そして、隣接する第1のコイル部3Aと第2のコイル部3Bは、巻線の巻き方向が逆であり、周方向において逆向きの電流が流れることになる。
【0017】
また、コイル3が巻かれる筒状部12aは、振動軸線L方向における筺体2の略中央に位置し、一方のフランジ部12cは、第1の筺体10の周壁10bの内周面に当接し、他方のフランジ部12bは、周壁10bと周壁11bとの間から露出する。フランジ部12bの端から周壁11bの表面に沿って延在する端子台12dには、リード線14に半田付けされる端子13が固定されている。
【0018】
そして、第1及び第2の筺体10,11の周壁10b,11bの開放側端部同志は、ボビン12のフランジ部12bが露出する部分を除く位置で互いに突き合わされており、数箇所の溶接部D1により接合されている(図1参照)。
【0019】
両端壁10a,11aのそれぞれにおける中心位置には、シャフト保持孔16,17が形成されており、これらのシャフト保持孔16,17の周囲には、バーリング加工によって、端壁10a,11aから筺体2の内方に向けて突出する円環状の突起18,19が形成されている。各シャフト保持孔16,17に、直径約0.6mmの磁性体からなるシャフト20の両端が圧入されており、さらに、シャフト20の両端部は、溶接部D2(図1参照)によって両端壁10a,11aに固定されている。このようにして、シャフト20は、筺体2の振動軸線Lに沿って配置されると共に、振動軸線L方向において第1の筺体10と第2の筺体11とを強固に連結している。そして、このシャフト20は、前述した可動子8を貫通している。
【0020】
直径方向の単磁極着磁にあっては、円筒状のマグネットの素材をなす磁性体が小型化されると、1本の円筒状の磁性体を着磁させる場合に比べて、同寸法の磁性体を振動軸線L方向に分割させてなる磁性体片を着磁器で着磁させた方が容易且つ確実な着磁が達成される。
【0021】
そこで、円筒状のマグネット4は、ラジアル方向に着磁されて振動軸線L方向に2分割された第1のマグネット部4Aと第2のマグネット部4Bとからなり、第1のマグネット部4Aは、第1のコイル部3Aに対向し、第2のマグネット部4Bは、第2のコイル部3Bに対向する。そして、隣接する第1のマグネット部4Aと第2のマグネット部4Bとは、振動軸線L方向において極が異なり、具体的には、第1のマグネット部4Aは、外周側がS極に内周側がN極に着磁され、第2マグネット部4B、外周側がN極に着磁され、内周側がS極に着磁されている。
【0022】
このように、隣接するマグネット部4A,4Bが振動軸線Lの方向で異なる極性を有しているので、接合させる際に極同士の反発が起こらず、マグネット部4A,4B同士を接合させ易く、しかも、マグネット部4A,4B同士がズレに難い。そして、マグネット部4A,4Bの接合枚数を容易に増やすことができ、これにより、パワーアップを図る目的で、マグネット4の径を大きくすることなく、マグネット4を振動軸線方向に容易に長くすることができる。このような構成の振動アクチュエータ1は、筐体2の径を小さくするような小型化の促進が容易である。なお、隣接するマグネット部4A,4Bの接合は、接着剤を用いても用いなくても良い。
【0023】
第1のマグネット部4Aには、シャフト20の外径よりも直径が若干大きいシャフト貫通孔4aが形成されている。第2のマグネット部4Bには、シャフト20の外径よりも直径が若干大きいシャフト貫通孔4bが形成されている。また、第1及び第2のマグネット部4A,4Bは、ボビン12の筒状部12a内に配置され、コイル3とマグネット4と磁性体からなる第1の筺体10と磁性体からなるシャフト20との協働で磁気回路を構成している。
【0024】
第1及び第2の錘部6,7は、ボビン12の筒状部12aの中空部S内に挿入可能な胴部6a,7aと、胴部6a,7aの端部で拡径されたフランジ部6b,7bと、を有している。第1及び第2の錘部6,7には、シャフト20の外径よりも直径が大きいシャフト貫通孔23,24が形成されており、シャフト貫通孔23,24の途中には、シャフト20が貫通する第1及び第2の軸受(焼結含油軸受)25,26が配置されている。また、第1及び第2の錘部6,7には、シャフト貫通孔23,24を途中から拡径して端面まで延びる円柱形状の第1及び第2のばね受入凹部27,28が形成されている。
【0025】
第1のばね受入凹部27内には、シャフト20に対して第1の錘部6を支持するための第1の軸受25が挿入されている。第1の軸受25と端壁10aとの間には、第1のばね受入凹部27内に挿入された第1の圧縮コイルばね30が配置され、第1の圧縮コイルばね30によって第1の軸受25及び第1の錘部6が付勢されている。また、この第1の圧縮コイルばね30内をシャフト20が貫通する。
【0026】
第2のばね受入凹部28内には、シャフト20に対して第2の錘部7を支持するための第2の軸受26が挿入されている。第2の軸受26と端壁11aとの間には、第2のばね受入凹部28内に挿入された第2の圧縮コイルばね31が配置され、第2の圧縮コイルばね31によって第2の軸受26及び第2の錘部7が付勢されている。また、この第2の圧縮コイルばね31内をシャフト20が貫通する。
【0027】
軸受25,26の採用により、錘部6,7がシャフト20に接触することなく安定した振動が達成されるので、騒音の低減を図ることができる。さらに、ばね受入凹部27,28内に軸受を配置させることで、軸受25,26を錘部6,7の重心位置に近づけることができ、これによっても、騒音の低減が可能になる。しかも、圧縮コイルばね30,31をばね受入凹部27,28内に挿入させることで、圧縮コイルばね30,31の振動軸線L方向における全長を長くすることができ、これによって、安定した弾性力を発揮させることができ、しかも接着剤を用いなくとも、軸受25,26が錘部6,7から外れ難いといった効果を有する。
【0028】
ここで、第1の圧縮コイルばね30及び第2の圧縮コイルばね31としては、同一の部品が用いられている。第1及び第2の圧縮コイルばね30,31の一端側には、両端壁10a,11aに形成された突起18,19が嵌入されており、これにより、第1及び第2の圧縮コイルばね30,31がシャフト20に当たることがない。第1及び第2の圧縮コイルばね30,31の他端側は、第1及び第2の錘部6,7のばね受入凹部27,28内に挿入されると共に、ばね受入凹部27,28内の軸受25,26に当接され、各軸受25,26は、圧縮コイルばね30,31に付勢力により第1及び第2の錘部6,7に圧着させられている。
【0029】
上記構成により、第1及び第2の錘部6,7及びマグネット4は、同軸上に配置された状態で第1及び第2の圧縮コイルばね30,31により振動軸線L方向に付勢され、この付勢力により、互いに圧着されて一体化されている。従って、第1及び第2の錘部6,7と第1及び第2のマグネット4A,4Bとは、接着剤を用いなくとも互いに連結することができる。接着剤がハミ出していると、接着剤とシャフト20とが摺り合うことで摩擦抵抗を発生するが、振動アクチュエータ1では、このような事態を回避させることができる。なお、接着剤を用いても良い。
【0030】
振動アクチュエータ1によれば、筺体2の各端壁10a,11aにそれぞれの端が固定されたシャフト20は、マグネット4及び錘部6,7を貫通し、固定されたシャフト20に案内されながら、マグネット4及び錘部6,7が一体となって振動するので、錘部6,7の重心の位置が振動軸線Lからずれて暴れることが防止され、安定した振動を確保できる。さらに、落下衝撃が生じた場合であっても錘部6,7が筺体2に衝突することが防止され、耐落下衝撃性を向上させることができる。
【0031】
また、振動軸線Lを分割する方向において筺体2は2分割されているので、シャフト20の両端が筺体2の両端壁10a,11aに固定されていると、シャフト20が連結バーとして機能し、これにより、第1の筺体10と第2の筺体11との連結強度が向上する。従って、落下衝撃時に、筺体2が振動軸線L方向に分断されてしまって、筺体2から錘部6,7やマグネット4が飛び出してしまうような事態を回避させることができる。
【0032】
また、振動軸線L方向において、マグネット4の両側に第1の錘部6と第2の錘部7とを配置させているので、より一層安定した振動を確保することができる。さらに、第1及び第2の錘部6,7は、軸受25,26を介してシャフト20に沿って移動させているので、シャフト20に沿ったバランスの良い振動が得られる。
【0033】
振動アクチュエータ1にあって、錘部6,7がタングステンなどで成形されている場合、表面が粗いことから摩擦抵抗が大きくなったり、また、孔径の寸法管理が厳しくなったりするので、別途に軸受を利用することが好ましい。しかしながら、図3に示されるように、変形例に係る振動アクチュエータ1Aにあっては、錘部40,41が摩擦抵抗の大きくない材質で成形されているので、第1及び第2の錘部40,41には、シャフト貫通孔23,24の途中を縮径してなる軸受部40a,41aが形成されている。
【0034】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0035】
弾性部材として、圧縮コイルばねに限らず板バネであってもよい。図4に示されるように、振動アクチュエータ1Bにおいて、第1の板バネ61及び第2の板バネ62を利用して、第1の錘部63及び第2の錘部64を支持してもよい。第1及び第2の錘部63,64の端部に第1及び第2の軸受25,26が配置され、各軸受25,26は、板バネ61,62のばね受けとして利用されている。第1の板バネ61と第2の板バネ62は、同一形状を有し、図5に示されるように、円板に複数の円弧状スリット60aと中央開口60bとを打ち抜き加工することで、円錐台形状のばねになっている。なお、円錐コイルばねの適用も可能である。
【0036】
振動アクチュエータ1Bにあっては、錘部63,64がタングステンなどで成形されている場合、表面が粗いことから摩擦抵抗が大きくなったり、また、孔径の寸法管理が厳しくなったりするので、別途に軸受を利用することが好ましい。しかしながら、図6に示されるように、変形例に係る振動アクチュエータ1Cにあっては、錘部65,66が摩擦抵抗の大きくない材質で成形されているので、第1及び第2の錘部65,66には、シャフト貫通孔23,24の途中を縮径してなる軸受部65a,66aが形成されている。
【0037】
また、マグネット及びコイルは、2分割に限定されず、3分割以上に分割されて、マグネット部及びコイル部のそれぞれを振動軸線L方向に3個以上並設させてもよい。例えば、図7に示されるように、振動アクチュエータ1Dにあって、筐体2Aは、第1の筺体10Aと第2の筺体11Aとで振動軸線L方向で略2等分割され、筐体2A内には、4分割されたマグネット70及びコイル71が配置されている。マグネット70は、ラジアル方向に着磁されて振動軸線L方向に複数に分割された第1〜第4のマグネット部70A〜70Dからなり、マグネット部70A〜70Dで隣接する同士は、振動軸線L方向において極が異なっている。コイル71は、振動軸線L方向においてそれぞれのマグネット70A〜70Dに対応して複数に分割された第1〜第4のコイル部71A〜71Dからなり、コイル部71A〜71Dのうちで隣接する同士は、巻線の巻き方向が逆である。
【0038】
また、錘部72は、片側のみに配置され、第1の圧縮コイルばね30は、ばね受入凹部74内の軸受73を介して付勢され、第2の圧縮コイルばね31は、マグネット70を直接付勢されている。
【0039】
振動アクチュエータ1Dにあっては、錘部72がタングステンなどで成形されている場合、表面が粗いことから摩擦抵抗が大きくなったり、また、孔径の寸法管理が厳しくなったりするので、別途に軸受を利用することが好ましい。しかしながら、図8に示されるように、変形例に係る振動アクチュエータ1Eにあっては、錘部76が摩擦抵抗の大きくない材質で成形されているので、錘部76には、シャフト貫通孔75の途中を縮径してなる軸受部76aが形成されている。
【0040】
前述した筐体2,2Aの断面形状は、円形、四角形、多角形のいずれであってもよい。例えば、図9に示されるように、振動アクチュエータ1Fにおいて、断面四角形の筐体2Bは、断面四角形の第1及び第2の筐体80,81からなり、筐体2B内には、断面四角形の第1及び第2のコイル部82A,82Bからなるコイル82、第1及び第2のマグネット部83A,83Bからなるマグネット83、第1及び第2の錘部84,85が収納されている。
【符号の説明】
【0041】
1,1A〜1F…振動アクチュエータ、2,2A,2B…筐体、3,71,82…コイル、3A,3B,71A〜71D,82A,82B…コイル部、4,70,83…マグネット、4A,4B,70A〜70D,83A,83B…マグネット部、6,7,63,64,65,66,72,76,84,85…錘部、8…可動子、10a,11a…筐体の端壁、20…シャフト、25,26,73…軸受、27,28,74…ばね受入凹部、30,31…圧縮コイルばね(弾性部材)、61,62…板ばね(弾性部材)、L…振動軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筺体内に配置されたコイルと、このコイルに包囲されて前記筺体内に配置されたマグネットとの協働により、前記マグネットが前記筺体の振動軸線に沿ってリニアに振動する振動アクチュエータにおいて、
前記筺体の前記振動軸線に沿って配置され、前記筺体の前記振動軸線方向における両端に設けられた端壁に両端が固定されたシャフトと、
前記シャフトが貫通すると共に、前記シャフトの延在方向に移動自在な前記マグネットを有する可動子と、
前記可動子と前記端壁との間に配置され、前記可動子を前記振動軸線方向に付勢する弾性部材と、を備え、
前記シャフト及び前記筐体は、磁性体により形成され、
筒状の前記マグネットは、ラジアル方向に着磁されて前記振動軸線方向に複数に分割されたマグネット部からなり、隣接する前記マグネット部は、前記振動軸線方向において極が異なっており、
前記コイルは、前記振動軸線方向においてそれぞれのマグネットに対応して複数に分割されたコイル部からなり、隣接する前記コイル部は、巻き方向が逆であることを特徴とする振動アクチュエータ。
【請求項2】
前記可動子は、前記マグネットと一体に移動自在な錘部を有し、前記錘部は、前記シャフトが貫通すると共に、前記シャフトの延在方向で前記マグネットに隣接して前記筺体内に配置され、前記弾性部材は、前記錘部と前記筐体の前記端壁との間に配置され、
前記錘部の端部には、前記振動軸線に沿ってばね受入凹部が形成され、前記錘部は、前記ばね受入凹部内に配置された軸受により前記シャフトに対して支持され、前記ばね受入凹部内に挿入された前記弾性部材により前記軸受及び前記錘部が付勢されることを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217236(P2012−217236A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79441(P2011−79441)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】