振動センサを備える玩具の建造セット
建造要素を相互接続するための連結手段を備える建造要素を備える建造セットであって、建造セットが、振動を発生させるための装置と、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを備えるバイブレータ建造要素を備え、連結手段が、発生させられた振動を出力するための唯一のインターフェースを構成する。建造セットはまた、センサ建造要素を備え、前記建造セットによって固体構造を通る振動の伝播を例示するための構造を建造することができる。このようにして、建造セットは、玩具としておよび教示の目的のために使用されることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造要素の相互接続のための連結手段を有する建造要素を備える建造セットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような建造セットは、例えば子供用の玩具の建造セットの形態で知られており、以下の特許公報がこのようなものの例である。US 3 005 282、US 5 984 756およびP 490 033は、建造要素の相互接続のための様々な連結手段を備える玩具の建造要素を開示しており、また、他の連結手段を備える玩具の建造セットも知られている。これらのおよびその他の従来技術の建造セットは、子供用の玩具として主に使用されているが、建造物および機械のモデルの構造のためにも使用されている。
【0003】
上記の特許公報の分野で説明したような玩具の建造セットは、モータおよび車輪などの可動要素、並びにそのいくつかは音を発生させることができる他の機能要素を備えて使用可能である。これらの公報のいずれにおいても、機械的目的の利用に供するために振動を用いるものはない。
【特許文献1】US 3 005 282
【特許文献2】US 5 984 756
【特許文献3】P 490 033
【特許文献4】EP 560 843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玩具としておよび教示の目的のために使用するための建造セットを提供することが、本発明の目的であり、それによって、玩具のために使用したときおよび教示の目的でのモデルの製造のために使用したときの両方で有用である新規な機能を備えるモデルを建造することが可能である。これにより、静的および動的構造体への振動の影響を実証するための例示的なモデルを建造することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、振動を発生させるための装置を備え、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段を有するバイブレータ建造要素を備える、本発明による建造セットにより達成される。
【0006】
このような建造セットによって、バイブレータ建造要素が、その構造体においての様々な場所に配置されることができる構造およびモデルを建造することが可能である。
構造体の大きさ、その剛性など、および強度、周波数などの振動の性質に応じて、振動は種々の態様で構造体に影響を与える。比較的強い振動の場合、構造体は、その支持部を横切って運動せしめられ、構造体上でのバイブレータ建造要素の様々な位置により、様々な運動パターンを結果として生じさせ、同様に、様々なサイズおよび剛性の構造体は、振動に対して様々に反応する。さらに、人がその手または指で構造体に触れたとき、人は、振動の強度の感覚的な印象を体験する。
【0007】
振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを備えるセンサ建造要素を備える建造セットによって、立体又は固体構造物を通して振動の伝播を示すために建造セットで建造された構造における振動の目的の測定および記録のための信号を得ることが可能である。このように、建造セットは、建造セットが、玩具としておよび教示の目的のための両方で使用されることができる。センサ建造要素は、振動速度または振動加速度を表す信号を発するように構成されてもよい。
【0008】
振動を発生させるための振動建造要素の構成は、回転自在なシャフト及び2次元の振動を発生させるシャフト上の偏心質量を備えたモーター、または1次元の振動を発生させる、磁化可能な質量および該磁化可能な質量と磁気的に協働する電気ソレノイドを、都合よく、備えてもよい。
【0009】
好ましくは、モータは電動モータであるが、巻き取られることができるばねによって、または使用者が回転を生じさせることができるはずみ車によって駆動される機械モータを使用することもオプションである。
【0010】
建造セットは、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれ有し、それぞれが可撓性の要素を用いて相互に接続される2つの相互運動可能な部品を有する建造要素を備えることもできる。このような要素は、構造体における振動抑止または振動吸収要素として配置されることができ、使用者は、それの持つ効果を体験することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、US 3 005 282から既知である建造要素のタイプの例を示している。建造要素は、鉛直方向の側壁、及び円筒形の突起またはスタッドの形態の連結手段を備える上部壁を備える。建造要素は、下向きに開いた空洞を有し、空洞の中央には、上部壁と恒久的に接続している管状の要素の形態の連結手段を有する。このような建造要素は、多くのサイズで、様々な数の連結スタッドを備えて使用可能である。これらが相互接続されるとき、図1に示す建造要素は、互いの上に組み立てることができ、ここである要素の連結スタッドが別の要素の空洞内に収容される。
【0012】
図2は、図1に示す建造要素と本質的な特徴を共有する他の従来技術の建造要素の例を示している。さらに、図2に示す建造要素は、それらの連結手段において、導電性材料の電気接触面を有する。
【0013】
すなわち、連結手段は、その上部面においては、円筒形の面の一部において金属の接触面を有する。要素のキャビティ(空洞)を画定している4枚の壁のうちの2枚が、他の要素との相互接続の際、それらの連結スタッド上の接触面と接触する位置にそれに対応する金属の接触面を有する。このように相互接続された要素は、電力および電気信号を伝達することができる。
【0014】
図3は、図1および2に示す建造要素と同じ連結原理を使用する第3のタイプの既知の建造要素を示している。さらに、貫通する円筒形の開口はブッシングジョイントを収容することができ、このブッシングジョイントにより2つの建造要素を互いに接続することができる。細長い建造要素が、その端部に、上記で参照したUS 5 984 756から既知である連結手段を備える。
【0015】
従来技術の建造要素は、本発明がその用途に対して有用である建造セットの単なる例示である。以下では、図1および2に示した従来技術の建造要素を用いて本発明を説明し、例示する。
【0016】
図4Aおよび4Bは、図1および2と同じタイプの連結手段を備える建造要素10を示しており、上部面上の円筒形の連結スタッド11が示されている。建造要素10は、その回転自在なシャフト13および偏心質量14を担持している電動モータ12を含んでいる。電動モータ12および偏心質量14は、建造要素10内に完全に含まれており、モータ12は、図2に示す建造要素と同様に、例えば電線を通じてまたは電気接触面を通じて電力が供給される。
【0017】
図6Aおよび図6Bは、建造要素15を示しており、電動モータ12が建造要素15と一体的に組み込まれており、これによりモータのシャフト13が建造要素15を越えて延在している。図4Aおよび4Bのモータと同様に、シャフト13が偏心質量14を担持しているが、偏心質量14が建造要素15の外側にあることだけが異なる。
図4A、4B、6Aおよび6Bのモータが回転すると、偏心質量14の不均衡により、これに対応する回転力が生じ、これが振動を生じさせる。
【0018】
図7は、電気ソレノイド17および建造要素16内に弾性的(flexibly)に装着された磁化可能な質量18を備えるバイブレータを含む建造要素16を示している。適切な周波数および振幅の交流電流がソレノイドに供給されると、ソレノイドは既知の態様で、磁化可能な質量18と磁気的に協働し、それによって交流電流に対応する振動力が建造要素16に伝達され、建造要素16がそれに対応して振動させられる。原則として、これらの振動は、1次元の線形振動である。
【0019】
図5は、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれが有する、可撓性の要素、ここでは2つのばね21を用いて互いに接続された2つの互いに運動可能な部品20Aおよび20Bを備える建造要素20を示している。このような建造要素は、EP 560 843から既知である。
【0020】
図8は、本発明による建造セットを用いて建造された構造体を概略的に例示している。この構造体においては、図1に示すようないくつかの従来技術の建造要素が加わっている。これらの従来技術の建造要素の上部には、図4Aおよび4Bと同様のバイブレータ建造要素10が存在している。バイブレータ建造要素内のモータは、別個の電線を通じて、または図2のような建造要素を用いて、電源22から電力が供給される。
【0021】
図8はまた、振動を示す電気信号を発信するように構成された振動センサを特徴とするセンサ建造要素23と、建造セットの残りの建造要素との相互接続するための連結手段を示している。振動センサは、図7に示すバイブレータ建造要素と同じ原理に従って構成されることができ、センサ建造要素が振動させられるとき、磁化可能な質量が、ソレノイドとの関連において運動し、それによって電気信号がソレノイド内に発生させられる。この信号は、振動の速度に比例する。代替的には、振動センサは、振動の加速度に比例する信号を発信する加速度計であってもよい。
【0022】
センサ建造要素23からの電気信号が、振動信号の振幅を表示または測定するように構成された、またはオプションでこれらの信号を解析するように構成されたアナライザまたは測定機器24に送られる。
図示した構成においては、バイブレータ建造要素10からの振動が、構造を通じてセンサ建造要素23に伝達され、測定機器24が、送信された振動の振幅を表示する。
【0023】
図9は、図8と同じ構成を示しているが、バイブレータ建造要素15が使用され、図8に対して90度回転されている。さらに図5に示す建造要素20が、バイブレータ建造要素15と残りの構造体との間に配置されている。そのばねによって、建造要素20は振動抑止又は減衰要素として働く。
【0024】
図10は、下面に対する法線に対してゼロ度ではない角度を形成して実質的に同じ方向に全てが向いている剛毛26を下面に有している建造要素25を示している。従って、剛毛は建造要素の底面に対して垂直ではなく、全てが傾斜している。
【0025】
剛毛は、毛髪、または植物繊維または金属糸などの自然材料の繊維、またはプラスチック糸などの人工材料で作製されてもよい。ここで、バイブレータ建造要素16は、支持部27上で支持されている建造要素25と相互接続される。バイブレータ建造要素16が振動すると、傾斜した剛毛と協働し、振動要素16を剛毛の配向方向へ、すなわち右へ運動させる。図10では、バイブレータ建造要素は、水平方向に振動するように構成されているが、鉛直方向の振動によっても同じ効果が達成される。
【0026】
図11は、支持部の下面に対して垂直ではなく、むしろ、図10に示したものと同様な態様ですべてが傾斜している剛毛28をその上部面に有する支持部27を示している。いくつかの相互接続された建造要素の構造体29が剛毛28上に載っている。
【0027】
剛毛28を備える支持部27が鉛直方向に振動し、この振動によっても、また、構造体29が、傾斜した剛毛と協働して、構造体29が剛毛の配向方向へ、すなわち右へ運動するという効果をもたらす。剛毛28を備える支持部27が水平方向に振動する場合にも同様の効果が達成される。
【0028】
図10および11においては、振動するのが剛毛を備える要素であるか剛毛を備えない要素であるか、および振動が鉛直方向であるか水平方向であるかは、原則として重要ではない。結果として生じる運動は、剛毛を担持している外部表面の法線に対する剛毛の方向によって決定される。
【0029】
図12は、図示されていない大きな構造体の一部としての建造要素30と相互接続されたバイブレータ建造要素16を示している。図12は、また、これも大きな構造体の一部である車輪31を示している。
【0030】
建造要素30は、その一端部が車輪31の周縁と接触するように配置されている。バイブレータ建造要素16が図示のように水平方向に、すなわち車輪の接点における接線方向に振動するとき、車輪が回転する。この効果は、その接点において、振動運動のために2つの方向の異なる力を伝達する建造要素30を拠りどころとしている。この回転は、構造体における操作機構の利用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】既知の玩具の建造要素の、それぞれ上側および下側から見た斜視図である。
【図2】さらなる既知の玩具の建造要素の、それぞれ上側および下側から見た斜視図である。
【図3】従来技術の玩具の建造システムにおける建造要素を示す図である。
【図4A】本発明によるバイブレータ建造要素を示す図である。
【図4B】本発明によるバイブレータ建造要素を示す図である。
【図5】本発明による建造セットにおいて使用するための可撓性のある建造要素を示す図である。
【図6A】本発明による代替的なバイブレータ建造要素を示す図である。
【図6B】本発明による代替的なバイブレータ建造要素を示す図である。
【図7】本発明による第3の建造要素を示す図である。
【図8】本発明による建造セットを用いて建造された構造体の概略図である。
【図9】本発明による建造セットを用いて建造された別の構造体の概略図である。
【図10】正味線形運動を有利に生じさせるための振動使用方法の原理を示す図である。
【図11】図10に示す原理のバリエーションを示す図である。
【図12】正味回転運動を有利に生じさせるために振動を使用する原理を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造要素の相互接続のための連結手段を有する建造要素を備える建造セットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような建造セットは、例えば子供用の玩具の建造セットの形態で知られており、以下の特許公報がこのようなものの例である。US 3 005 282、US 5 984 756およびP 490 033は、建造要素の相互接続のための様々な連結手段を備える玩具の建造要素を開示しており、また、他の連結手段を備える玩具の建造セットも知られている。これらのおよびその他の従来技術の建造セットは、子供用の玩具として主に使用されているが、建造物および機械のモデルの構造のためにも使用されている。
【0003】
上記の特許公報の分野で説明したような玩具の建造セットは、モータおよび車輪などの可動要素、並びにそのいくつかは音を発生させることができる他の機能要素を備えて使用可能である。これらの公報のいずれにおいても、機械的目的の利用に供するために振動を用いるものはない。
【特許文献1】US 3 005 282
【特許文献2】US 5 984 756
【特許文献3】P 490 033
【特許文献4】EP 560 843
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玩具としておよび教示の目的のために使用するための建造セットを提供することが、本発明の目的であり、それによって、玩具のために使用したときおよび教示の目的でのモデルの製造のために使用したときの両方で有用である新規な機能を備えるモデルを建造することが可能である。これにより、静的および動的構造体への振動の影響を実証するための例示的なモデルを建造することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、振動を発生させるための装置を備え、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段を有するバイブレータ建造要素を備える、本発明による建造セットにより達成される。
【0006】
このような建造セットによって、バイブレータ建造要素が、その構造体においての様々な場所に配置されることができる構造およびモデルを建造することが可能である。
構造体の大きさ、その剛性など、および強度、周波数などの振動の性質に応じて、振動は種々の態様で構造体に影響を与える。比較的強い振動の場合、構造体は、その支持部を横切って運動せしめられ、構造体上でのバイブレータ建造要素の様々な位置により、様々な運動パターンを結果として生じさせ、同様に、様々なサイズおよび剛性の構造体は、振動に対して様々に反応する。さらに、人がその手または指で構造体に触れたとき、人は、振動の強度の感覚的な印象を体験する。
【0007】
振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを備えるセンサ建造要素を備える建造セットによって、立体又は固体構造物を通して振動の伝播を示すために建造セットで建造された構造における振動の目的の測定および記録のための信号を得ることが可能である。このように、建造セットは、建造セットが、玩具としておよび教示の目的のための両方で使用されることができる。センサ建造要素は、振動速度または振動加速度を表す信号を発するように構成されてもよい。
【0008】
振動を発生させるための振動建造要素の構成は、回転自在なシャフト及び2次元の振動を発生させるシャフト上の偏心質量を備えたモーター、または1次元の振動を発生させる、磁化可能な質量および該磁化可能な質量と磁気的に協働する電気ソレノイドを、都合よく、備えてもよい。
【0009】
好ましくは、モータは電動モータであるが、巻き取られることができるばねによって、または使用者が回転を生じさせることができるはずみ車によって駆動される機械モータを使用することもオプションである。
【0010】
建造セットは、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれ有し、それぞれが可撓性の要素を用いて相互に接続される2つの相互運動可能な部品を有する建造要素を備えることもできる。このような要素は、構造体における振動抑止または振動吸収要素として配置されることができ、使用者は、それの持つ効果を体験することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、US 3 005 282から既知である建造要素のタイプの例を示している。建造要素は、鉛直方向の側壁、及び円筒形の突起またはスタッドの形態の連結手段を備える上部壁を備える。建造要素は、下向きに開いた空洞を有し、空洞の中央には、上部壁と恒久的に接続している管状の要素の形態の連結手段を有する。このような建造要素は、多くのサイズで、様々な数の連結スタッドを備えて使用可能である。これらが相互接続されるとき、図1に示す建造要素は、互いの上に組み立てることができ、ここである要素の連結スタッドが別の要素の空洞内に収容される。
【0012】
図2は、図1に示す建造要素と本質的な特徴を共有する他の従来技術の建造要素の例を示している。さらに、図2に示す建造要素は、それらの連結手段において、導電性材料の電気接触面を有する。
【0013】
すなわち、連結手段は、その上部面においては、円筒形の面の一部において金属の接触面を有する。要素のキャビティ(空洞)を画定している4枚の壁のうちの2枚が、他の要素との相互接続の際、それらの連結スタッド上の接触面と接触する位置にそれに対応する金属の接触面を有する。このように相互接続された要素は、電力および電気信号を伝達することができる。
【0014】
図3は、図1および2に示す建造要素と同じ連結原理を使用する第3のタイプの既知の建造要素を示している。さらに、貫通する円筒形の開口はブッシングジョイントを収容することができ、このブッシングジョイントにより2つの建造要素を互いに接続することができる。細長い建造要素が、その端部に、上記で参照したUS 5 984 756から既知である連結手段を備える。
【0015】
従来技術の建造要素は、本発明がその用途に対して有用である建造セットの単なる例示である。以下では、図1および2に示した従来技術の建造要素を用いて本発明を説明し、例示する。
【0016】
図4Aおよび4Bは、図1および2と同じタイプの連結手段を備える建造要素10を示しており、上部面上の円筒形の連結スタッド11が示されている。建造要素10は、その回転自在なシャフト13および偏心質量14を担持している電動モータ12を含んでいる。電動モータ12および偏心質量14は、建造要素10内に完全に含まれており、モータ12は、図2に示す建造要素と同様に、例えば電線を通じてまたは電気接触面を通じて電力が供給される。
【0017】
図6Aおよび図6Bは、建造要素15を示しており、電動モータ12が建造要素15と一体的に組み込まれており、これによりモータのシャフト13が建造要素15を越えて延在している。図4Aおよび4Bのモータと同様に、シャフト13が偏心質量14を担持しているが、偏心質量14が建造要素15の外側にあることだけが異なる。
図4A、4B、6Aおよび6Bのモータが回転すると、偏心質量14の不均衡により、これに対応する回転力が生じ、これが振動を生じさせる。
【0018】
図7は、電気ソレノイド17および建造要素16内に弾性的(flexibly)に装着された磁化可能な質量18を備えるバイブレータを含む建造要素16を示している。適切な周波数および振幅の交流電流がソレノイドに供給されると、ソレノイドは既知の態様で、磁化可能な質量18と磁気的に協働し、それによって交流電流に対応する振動力が建造要素16に伝達され、建造要素16がそれに対応して振動させられる。原則として、これらの振動は、1次元の線形振動である。
【0019】
図5は、建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれが有する、可撓性の要素、ここでは2つのばね21を用いて互いに接続された2つの互いに運動可能な部品20Aおよび20Bを備える建造要素20を示している。このような建造要素は、EP 560 843から既知である。
【0020】
図8は、本発明による建造セットを用いて建造された構造体を概略的に例示している。この構造体においては、図1に示すようないくつかの従来技術の建造要素が加わっている。これらの従来技術の建造要素の上部には、図4Aおよび4Bと同様のバイブレータ建造要素10が存在している。バイブレータ建造要素内のモータは、別個の電線を通じて、または図2のような建造要素を用いて、電源22から電力が供給される。
【0021】
図8はまた、振動を示す電気信号を発信するように構成された振動センサを特徴とするセンサ建造要素23と、建造セットの残りの建造要素との相互接続するための連結手段を示している。振動センサは、図7に示すバイブレータ建造要素と同じ原理に従って構成されることができ、センサ建造要素が振動させられるとき、磁化可能な質量が、ソレノイドとの関連において運動し、それによって電気信号がソレノイド内に発生させられる。この信号は、振動の速度に比例する。代替的には、振動センサは、振動の加速度に比例する信号を発信する加速度計であってもよい。
【0022】
センサ建造要素23からの電気信号が、振動信号の振幅を表示または測定するように構成された、またはオプションでこれらの信号を解析するように構成されたアナライザまたは測定機器24に送られる。
図示した構成においては、バイブレータ建造要素10からの振動が、構造を通じてセンサ建造要素23に伝達され、測定機器24が、送信された振動の振幅を表示する。
【0023】
図9は、図8と同じ構成を示しているが、バイブレータ建造要素15が使用され、図8に対して90度回転されている。さらに図5に示す建造要素20が、バイブレータ建造要素15と残りの構造体との間に配置されている。そのばねによって、建造要素20は振動抑止又は減衰要素として働く。
【0024】
図10は、下面に対する法線に対してゼロ度ではない角度を形成して実質的に同じ方向に全てが向いている剛毛26を下面に有している建造要素25を示している。従って、剛毛は建造要素の底面に対して垂直ではなく、全てが傾斜している。
【0025】
剛毛は、毛髪、または植物繊維または金属糸などの自然材料の繊維、またはプラスチック糸などの人工材料で作製されてもよい。ここで、バイブレータ建造要素16は、支持部27上で支持されている建造要素25と相互接続される。バイブレータ建造要素16が振動すると、傾斜した剛毛と協働し、振動要素16を剛毛の配向方向へ、すなわち右へ運動させる。図10では、バイブレータ建造要素は、水平方向に振動するように構成されているが、鉛直方向の振動によっても同じ効果が達成される。
【0026】
図11は、支持部の下面に対して垂直ではなく、むしろ、図10に示したものと同様な態様ですべてが傾斜している剛毛28をその上部面に有する支持部27を示している。いくつかの相互接続された建造要素の構造体29が剛毛28上に載っている。
【0027】
剛毛28を備える支持部27が鉛直方向に振動し、この振動によっても、また、構造体29が、傾斜した剛毛と協働して、構造体29が剛毛の配向方向へ、すなわち右へ運動するという効果をもたらす。剛毛28を備える支持部27が水平方向に振動する場合にも同様の効果が達成される。
【0028】
図10および11においては、振動するのが剛毛を備える要素であるか剛毛を備えない要素であるか、および振動が鉛直方向であるか水平方向であるかは、原則として重要ではない。結果として生じる運動は、剛毛を担持している外部表面の法線に対する剛毛の方向によって決定される。
【0029】
図12は、図示されていない大きな構造体の一部としての建造要素30と相互接続されたバイブレータ建造要素16を示している。図12は、また、これも大きな構造体の一部である車輪31を示している。
【0030】
建造要素30は、その一端部が車輪31の周縁と接触するように配置されている。バイブレータ建造要素16が図示のように水平方向に、すなわち車輪の接点における接線方向に振動するとき、車輪が回転する。この効果は、その接点において、振動運動のために2つの方向の異なる力を伝達する建造要素30を拠りどころとしている。この回転は、構造体における操作機構の利用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】既知の玩具の建造要素の、それぞれ上側および下側から見た斜視図である。
【図2】さらなる既知の玩具の建造要素の、それぞれ上側および下側から見た斜視図である。
【図3】従来技術の玩具の建造システムにおける建造要素を示す図である。
【図4A】本発明によるバイブレータ建造要素を示す図である。
【図4B】本発明によるバイブレータ建造要素を示す図である。
【図5】本発明による建造セットにおいて使用するための可撓性のある建造要素を示す図である。
【図6A】本発明による代替的なバイブレータ建造要素を示す図である。
【図6B】本発明による代替的なバイブレータ建造要素を示す図である。
【図7】本発明による第3の建造要素を示す図である。
【図8】本発明による建造セットを用いて建造された構造体の概略図である。
【図9】本発明による建造セットを用いて建造された別の構造体の概略図である。
【図10】正味線形運動を有利に生じさせるための振動使用方法の原理を示す図である。
【図11】図10に示す原理のバリエーションを示す図である。
【図12】正味回転運動を有利に生じさせるために振動を使用する原理を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造要素を相互接続するための連結手段を有する建造要素を備える建造セットであって、前記建造セットが、振動を発生させるための装置と、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有するバイブレータ建造要素を備え、前記連結手段は、発生した振動を出力するための唯一のインターフェースを構成することを特徴とする建造セット。
【請求項2】
前記建造セットが、
感知された振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有するセンサ建造要素を備えることを特徴とする請求項1に記載の建造セット。
【請求項3】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項4】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動加速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項5】
前記建造セットが、前記振動センサからの振動を表す信号を記録するための機器を備えることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項6】
前記バイブレータ建造要素の前記連結手段が、前記バイブレータ建造要素からの機械的エネルギーを伝達するための前記バイブレータ建造要素の唯一の手段であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項7】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、回転自在なシャフトおよび前記シャフト上の偏心質量を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項8】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、磁化可能な質量と、前記磁化可能な質量と磁気的に協働するための電気ソレノイドとを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項9】
前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれ別個に有し、かつ、可撓性の要素を用いて互いに接続される2つの相互運動可能な部品を有する建造要素を前記建造セットが備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項10】
前記建造セットが、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段及び外部表面上に剛毛を有する建造要素を備え、前記剛毛が、前記外部表面の法線に対してゼロ度とは異なる角度から成る方向に配向されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項11】
前記バイブレータ建造要素が、振動を発生させるための装置と、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有し、前記連結手段は、発生した振動を出力するための唯一のインターフェースであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の建造セット用バイブレータ建造要素。
【請求項12】
前記バイブレータ建造要素の前記連結手段は、前記バイブレータ建造要素から機械的エネルギーを伝達するためのバイブレータ建造要素の唯一の手段であることを特徴とする請求項11に記載のバイブレータ建造要素。
【請求項13】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、回転自在なシャフトおよび前記シャフト上の偏心質量を備えるモータを備えることを特徴とする請求項11又は12に記載のバイブレータ建造セット。
【請求項14】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、磁化可能な質量と、前記磁化可能な質量と磁気的に協働するための電気ソレノイドとを備えることを特徴とする請求項11または12に記載のバイブレータ建造セット。
【請求項15】
センサ建造要素が、振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の建造セット用センサ建造要素。
【請求項16】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサ建造要素。
【請求項17】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動加速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサ建造要素。
【請求項1】
建造要素を相互接続するための連結手段を有する建造要素を備える建造セットであって、前記建造セットが、振動を発生させるための装置と、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有するバイブレータ建造要素を備え、前記連結手段は、発生した振動を出力するための唯一のインターフェースを構成することを特徴とする建造セット。
【請求項2】
前記建造セットが、
感知された振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有するセンサ建造要素を備えることを特徴とする請求項1に記載の建造セット。
【請求項3】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項4】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動加速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項5】
前記建造セットが、前記振動センサからの振動を表す信号を記録するための機器を備えることを特徴とする請求項2に記載の建造セット。
【請求項6】
前記バイブレータ建造要素の前記連結手段が、前記バイブレータ建造要素からの機械的エネルギーを伝達するための前記バイブレータ建造要素の唯一の手段であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項7】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、回転自在なシャフトおよび前記シャフト上の偏心質量を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項8】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、磁化可能な質量と、前記磁化可能な質量と磁気的に協働するための電気ソレノイドとを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項9】
前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段をそれぞれ別個に有し、かつ、可撓性の要素を用いて互いに接続される2つの相互運動可能な部品を有する建造要素を前記建造セットが備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項10】
前記建造セットが、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段及び外部表面上に剛毛を有する建造要素を備え、前記剛毛が、前記外部表面の法線に対してゼロ度とは異なる角度から成る方向に配向されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の建造セット。
【請求項11】
前記バイブレータ建造要素が、振動を発生させるための装置と、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有し、前記連結手段は、発生した振動を出力するための唯一のインターフェースであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の建造セット用バイブレータ建造要素。
【請求項12】
前記バイブレータ建造要素の前記連結手段は、前記バイブレータ建造要素から機械的エネルギーを伝達するためのバイブレータ建造要素の唯一の手段であることを特徴とする請求項11に記載のバイブレータ建造要素。
【請求項13】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、回転自在なシャフトおよび前記シャフト上の偏心質量を備えるモータを備えることを特徴とする請求項11又は12に記載のバイブレータ建造セット。
【請求項14】
振動を発生させるための前記バイブレータ建造要素の前記装置が、磁化可能な質量と、前記磁化可能な質量と磁気的に協働するための電気ソレノイドとを備えることを特徴とする請求項11または12に記載のバイブレータ建造セット。
【請求項15】
センサ建造要素が、振動を表す信号を発するように構成された振動センサと、前記建造セットの残りの建造要素との相互接続のための連結手段とを有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の建造セット用センサ建造要素。
【請求項16】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサ建造要素。
【請求項17】
前記センサ建造要素の前記振動センサが、振動加速度を表す信号を発するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載のセンサ建造要素。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−512117(P2006−512117A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562507(P2004−562507)
【出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000936
【国際公開番号】WO2004/058371
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(594012623)レゴ エー/エス (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000936
【国際公開番号】WO2004/058371
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(594012623)レゴ エー/エス (19)
【Fターム(参考)】
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