説明

振動デバイス及び電子機器

【課題】接合部材を介した電極端子と電子素子との短絡を回避可能な振動デバイス、及びこの振動デバイスを備えた電子機器の提供。
【解決手段】水晶振動子1は、水晶振動片10と、サーミスター20と、第1主面33に水晶振動片10が搭載された第1凹部34が設けられ、第1主面33の反対側の第2主面35にサーミスター20が収納された第2凹部36が設けられたパッケージベース31と、を備え、パッケージベース31の第2主面35には、水晶振動片10またはサーミスター20と接続された電極端子37a〜37dが設けられ、第2主面35における電極端子37a〜37dと第2凹部36との間には、電極端子37a〜37dと外部部材とを接合する図示しない接合部材の第2凹部36への侵入を規制する規制部50が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス及びこの振動デバイスを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動デバイスとしては、基板部の一方の主面に形成された第1の凹部空間と、基板部の他方の主面に形成された第2の凹部空間とが設けられた容器体と、第1の凹部空間内に設けられたパッドに搭載されている圧電振動素子と、第2の凹部空間内に設けられたパッドに搭載されている集積回路素子と、第1の凹部空間を気密封止する蓋体とを備えた圧電発振器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、集積回路素子が搭載されている上記第2の凹部空間に相当する第二の凹部に、樹脂を充填した構成の温度補償型圧電発振器(以下、圧電発振器という)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、上記集積回路素子に代えて、容量素子やリアクタンス素子などのチップ型電子部品を、第2の凹部空間に相当する凹陥部内に実装した構成の圧電デバイスが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−35078号公報
【特許文献2】特開2008−263564号公報
【特許文献3】特開平10−322129号公報
【特許文献4】特開平11−145768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の圧電発振器は、例えば、配線基板などの外部部材への実装用として第2の凹部空間が形成された基板部の他方の主面の4隅に、複数の外部接続用電極端子(以下、電極端子という)が設けられている。
近年、上記のような圧電発振器や圧電デバイスに代表される振動デバイスは、小型薄型化が進展し、各構成要素が余裕のない間隔でレイアウトされている。
【0005】
このようなことから、上記特許文献1の圧電発振器は、外部部材への実装の際に、電極端子と外部部材とを接合する、例えば、ハンダなどの接合部材が溶融された状態で第2の凹部空間内に流入(侵入)する虞がある。
これにより、上記特許文献1の圧電発振器は、集積回路素子(以下、電子素子という)と電極端子とが、この接合部材を介して短絡する虞がある。なお、上記特許文献3、特許文献4の圧電デバイスについても同様の虞がある。
【0006】
これを回避する方策としては、例えば、上記特許文献2の圧電発振器のように、電子素子が搭載されている第二の凹部(第2の凹部空間、凹陥部)に樹脂を充填し、第二の凹部への接合部材の流入を阻止する構成が考えられる。
しかしながら、この方策では、電子素子の交換が困難になるという問題、電子素子と樹脂との熱膨張係数の違いに起因する周囲の温度変化に伴う熱応力の発生によって、電子素子の性能が劣化する虞があるという問題や、例えば、電子素子が感温素子である場合には、樹脂の熱伝導率に起因する熱伝導の遅延により周囲の温度変化に対する感度が鈍くなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかる振動デバイスは、振動片と、電子素子と、第1主面側に前記振動片が搭載され、前記第1主面の反対側の第2主面に設けられた凹状の収納部に前記電子素子が収納された容器体と、を備え、前記容器体の前記第2主面側には、前記振動片または前記電子素子に接続された複数の電極端子が設けられ、前記第2主面側における前記電極端子と前記収納部との間には、前記電極端子と外部部材とを接合する接合部材の前記収納部への侵入を規制する規制部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、振動デバイスは、容器体の第2主面側に複数の電極端子が設けられ、第2主面側における電極端子と収納部との間には、電極端子と外部部材とを接合する接合部材の収納部への侵入を規制する規制部が設けられている。
これにより、振動デバイスは、外部部材への実装時に、規制部が接合部材としての、例えば、ハンダなどの収納部への侵入を規制することから、前述した特許文献2の圧電発振器のような樹脂を充填することなく、接合部材を介した電極端子と電子素子との短絡を回避することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側に設けられた凹溝を含んで構成されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、振動デバイスは、規制部が第2主面側に設けられた凹溝を含んで構成されていることから、凹溝内に接合部材が滞留することにより、接合部材の収納部への侵入を規制することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記凹溝が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることが好ましい。
【0013】
これによれば、振動デバイスは、規制部の凹溝が平面視で収納部を取り巻くように形成されていることから、接合部材の収納部への侵入を確実に規制することができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側に設けられた凸部を含んで構成されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、振動デバイスは、規制部が第2主面側に設けられた凸部を含んで構成されていることから、凸部によって接合部材の流出が阻まれることにより、接合部材の収納部への侵入を規制することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記凸部が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることが好ましい。
【0017】
これによれば、振動デバイスは、規制部の凸部が平面視で収納部を取り巻くように形成されていることから、接合部材の収納部への侵入を確実に規制することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側の一部を覆う被膜を含んで構成されていることが好ましい。
【0019】
これによれば、振動デバイスは、規制部が第2主面側の一部を覆う被膜を含んで構成されていることから、例えば、レジストなどの被膜によって接合部材の流出が阻まれることにより、接合部材の収納部への侵入を規制することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記被膜が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることが好ましい。
【0021】
これによれば、振動デバイスは、規制部の被膜が平面視で収納部を取り巻くように形成されていることから、接合部材の収納部への侵入を確実に規制することができる。
【0022】
[適用例8]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記電子素子は、サーミスターであることが好ましい。
【0023】
これによれば、振動デバイスは、電子素子がサーミスターであることから、振動片が搭載された容器体内に収納されたサーミスターによって、振動片の温度を正確に検出することができる。
【0024】
[適用例9]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記電子素子は、前記振動片を駆動する発振回路を備えていることが好ましい。
【0025】
これによれば、振動デバイスは、電子素子が振動片を駆動する発振回路を備えていることから、振動デバイスとしての発振器を提供できる。
【0026】
[適用例10]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記電子素子は、前記振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることが好ましい。
【0027】
これによれば、振動デバイスは、電子素子が振動片を駆動する発振回路と共に、振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた発振器を提供できる。
【0028】
[適用例11]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記第1主面側は、前記振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、複数の前記電極端子のいずれか1つは、前記蓋体と電気的に接続されていることが好ましい。
【0029】
これによれば、振動デバイスは、第1主面側が振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、複数の電極端子のいずれか1つが蓋体と電気的に接続されていることから、シールド性を向上させることができる。
【0030】
[適用例12]上記適用例にかかる振動デバイスにおいて、前記蓋体と電気的に接続されている前記電極端子は、アース端子であることが好ましい。
【0031】
これによれば、振動デバイスは、蓋体と電気的に接続されている電極端子が、アース端子(GND端子)であることから、シールド性を更に向上させることができる。
【0032】
[適用例13]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動デバイスを備えたことを特徴とする。
【0033】
これによれば、本構成の電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動デバイスを備えたことから、上記適用例のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド(蓋体)側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は底面側から見た平面図。
【図2】変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は底面側から見た平面図。
【図3】変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は底面側から見た平面図。
【図4】変形例3の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は底面側から見た平面図。
【図5】変形例4の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から見た平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)は底面側から見た平面図。
【図6】第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0036】
(第1実施形態)
最初に、振動デバイスの一例としての水晶振動子について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、リッド(蓋体)側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図であり、図1(c)は、底面側から見た平面図である。なお、図1(a)では、リッドを省略してある。また、分かり易くするために、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0037】
図1に示すように、水晶振動子1は、振動片としての水晶振動片10と、電子素子としての、温度センサー(感温素子)として機能するサーミスター20と、水晶振動片10及びサーミスター20が搭載(収納)される容器としてのパッケージ30と、を備えている。
【0038】
水晶振動片10は、例えば、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型であって、平面形状が略矩形に形成され、厚みすべり振動をする振動部11と振動部11に接続された基部12とを有している。
水晶振動片10は、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された略矩形の励振電極15,16から引き出された引き出し電極15a,16aが、基部12に形成されている。
引き出し電極15aは、一方の主面13の励振電極15から、水晶振動片10の長手方向(紙面左右方向)に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って他方の主面14に回り込み、他方の主面14の励振電極16の近傍まで延在している。
引き出し電極16aは、他方の主面14の励振電極16から、水晶振動片10の長手方向に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って一方の主面13に回り込み、一方の主面13の励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及び引き出し電極15a,16aは、例えば、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0039】
サーミスター20は、例えば、チップ型(直方体形状)の感温素子(感温抵抗素子)であって、両端に電極21,22を有し、温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体である。
サーミスター20には、例えば、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスターと呼ばれるサーミスターが用いられている。NTCサーミスターは、温度と抵抗値の変化が比例的なため、温度センサーとして多用されている。
サーミスター20は、パッケージ30に収納され、水晶振動片10近傍の温度を検出することにより、温度センサーとして水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動の補正に資する機能を果たしている。
【0040】
パッケージ30は、平面形状が略矩形で略平板状の容器体としてのパッケージベース31と、パッケージベース31の一方側を覆う平板状の蓋体としてのリッド32と、を有し、略直方体形状に構成されている。
パッケージベース31には、セラミックグリーンシートを成形して積層し焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコン(高抵抗シリコン)などが用いられている。
リッド32には、パッケージベース31と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0041】
パッケージベース31の一方側の主面である第1主面33には、水晶振動片10が搭載される第1凹部34が設けられ、第1主面33の反対側の他方側の主面である第2主面35には、サーミスター20が収納される凹状の収納部としての第2凹部36が設けられている。
第1凹部34及び第2凹部36は、平面形状が略矩形であって、それぞれ第1主面33及び第2主面35の略中央部に設けられている。なお、水晶振動子1は、パッケージベース31の第1凹部34と第2凹部36とが、平面視で重なるように設けられることにより、パッケージ30の小型化が図られている。
【0042】
パッケージベース31の第1凹部34の底面34aには、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aに対向する位置に、内部端子34b,34cが設けられている。
水晶振動片10は、引き出し電極15a,16aが、金属フィラーなどの導電性物質が混合された、エポキシ系、シリコーン系、ポリイミド系などの導電性接着剤40を介して内部端子34b,34cに接合されている。これにより、水晶振動片10は、第1凹部34に搭載されたこととなる。
【0043】
水晶振動子1は、水晶振動片10がパッケージベース31の内部端子34b,34cに接合された状態で、パッケージベース31の第1凹部34がリッド32により覆われ、パッケージベース31とリッド32とがシームリング、低融点ガラス、接着剤などの接合部材38で接合されることにより、パッケージベース31の第1凹部34が気密に封止されている。
なお、パッケージベース31の気密に封止された第1凹部34内は、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0044】
パッケージベース31の第2凹部36の底面36aには、サーミスター20の電極21,22に対向する位置に電極パッド36b,36cが設けられている。
サーミスター20は、電極21,22がハンダなどの接合部材41を介して電極パッド36b,36cに接合されている。これにより、サーミスター20は、第2凹部36に収納されたこととなる。
なお、サーミスター20は、長手方向がパッケージベース31の長手方向と交差(直交)するように配置されていることが好ましい。これにより、水晶振動子1は、パッケージベース31の反り(傾向的に長手方向の反りが大きい)に起因するサーミスター20の固定強度(接合強度)の低下を抑制することができる。
【0045】
パッケージベース31の第2主面35の4隅には、それぞれ電極端子37a,37b,37c,37dが設けられている。
4つの電極端子37a〜37dの内、例えば、一方の対角に位置する2つの電極端子37b,37dは、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aに繋がる内部端子34b,34cと接続され、他方の対角に位置する残りの2つの電極端子37a,37cは、サーミスター20の電極21,22に繋がる電極パッド36b,36cと接続されている。
なお、内部端子34b,34c、電極パッド36b,36c、電極端子37a〜37dは、例えば、W、Moなどのメタライズ層にNi、Auなどの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0046】
第2主面35における電極端子37a〜37dと第2凹部36との間には、電極端子37a〜37dと外部部材(例えば、外部機器の配線基板)とを接合する図示しないハンダなどの接合部材の第2凹部36への侵入(流入)を規制する規制部50が設けられている。
規制部50は、パッケージベース31の第2主面35に設けられた凹溝51を含んで構成され、凹溝51が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されている。なお、凹溝51は、例えば、パッケージベース31の焼成前の段階で、第2主面35に四角い枠状の凸部を有した溝形成装置を押圧することにより形成することができる。
【0047】
水晶振動子1は、電極端子37b,37d、内部端子34b,34c、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して外部から印加される駆動信号によって、水晶振動片10が厚みすべり振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)する。
また、水晶振動子1は、サーミスター20が温度センサーとしてパッケージベース31における水晶振動片10近傍の第2凹部36内の温度を検出し、電極端子37a,37cを介して検出信号を出力する。
【0048】
上述したように、本実施形態の水晶振動子1は、パッケージベース31の第2主面35の4隅にそれぞれ電極端子37a〜37dが設けられ、第2主面35における電極端子37a〜37dと第2凹部36との間には、電極端子37a〜37dと外部部材とを接合する接合部材の第2凹部36への侵入を規制する規制部50が設けられている。
これにより、水晶振動子1は、外部部材としての、例えば、配線基板への実装時に、規制部50が接合部材としての、例えば、ハンダなどの第2凹部36への侵入を規制することから、前述した特許文献2の圧電発振器のような樹脂を充填することなく、接合部材を介した電極端子37a〜37dとサーミスター20との短絡や、サーミスター20の電極21,22同士の短絡を回避できる。
【0049】
また、水晶振動子1は、規制部50が第2主面35に設けられた凹溝51を含んで構成されていることから、実装時に電極端子37a〜37d部分から流出したハンダなどの接合部材が凹溝51内に滞留することにより、接合部材の第2凹部36への侵入を規制することができる。なお、凹溝51の幅や深さは、ハンダなどの接合部材の塗布量(投入量)に応じて適宜設定される。
【0050】
また、水晶振動子1は、規制部50の凹溝51が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されていることから、いずれの電極端子37a〜37d部分からの接合部材の流出であっても、第2凹部36への侵入を確実に規制することができる。
【0051】
また、水晶振動子1は、搭載されている電子素子がサーミスター20であることから、水晶振動片10が搭載されたパッケージベース31内に収納されたサーミスター20によって、水晶振動片10の温度をより正確に検出することができる。
なお、図示しないが、規制部50の凹溝51は、第2主面35との間に段差のある面(例えば、第2主面35から1段下がった面や1段上がった面)に設けられていてもよい。
【0052】
なお、電極端子37cは、図1(b)に破線で示すように、パッケージベース31を貫通する導通ビア(スルーホールに金属または導電性を有する材料が充填された導通電極)、あるいはパッケージベース31の外側の角部に設けられた図示しないキャスタレーション(凹部)に形成された導電膜のいずれかにより、リッド32と電気的に接続されていることがシールド性を向上させる観点から好ましい。
また、水晶振動子1は、電極端子37cをアース端子(GND端子)として接地することによりシールド性を更に向上させることができる。
【0053】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
(変形例1)
図2は、変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図2(a)は、リッド側から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図であり、図2(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0054】
図2に示すように、変形例1の水晶振動子2は、第1実施形態と比較して、規制部150の構成が異なる。
水晶振動子2は、規制部150がパッケージベース31の第2主面35に設けられた凸部151を含んで構成されている。
そして、水晶振動子2は、規制部150の凸部151が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されている。
【0055】
上述したように、変形例1の水晶振動子2は、規制部150がパッケージベース31の第2主面35に設けられた凸部151を含んで構成されていることから、実装時に凸部151によってハンダなどの接合部材の電極端子37a〜37d部分からの流出が阻まれることにより、接合部材の第2凹部36への侵入を規制することができる。
【0056】
また、水晶振動子2は、規制部150の凸部151が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されていることから、いずれの電極端子37a〜37d部分からの接合部材の流出であっても、第2凹部36への侵入を確実に規制することができる。
なお、凸部151は、例えば、パッケージベース31の焼成前の段階で、第2主面35をプレスして四角い枠状に凸部を隆起させることにより形成することができる。また、凸部151は、このようなパッケージベース31との一体構造ではなく、四角い枠状の別部材を第2主面35に設けた構成でもよい。また、凸部151の幅や高さは、ハンダなどの接合部材の塗布量(投入量)に応じて適宜設定される。
なお、図示しないが、規制部150の凸部151は、第2主面35との間に段差のある面(例えば、第2主面35から1段下がった面や1段上がった面)に設けられていてもよい。
【0057】
(変形例2)
図3は、変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図3(a)は、リッド側から見た平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線での断面図であり、図3(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0058】
図3に示すように、変形例2の水晶振動子3は、第1実施形態と比較して、規制部250の構成が異なる。
水晶振動子3は、規制部250がパッケージベース31の第2主面35の一部を覆う、例えば、レジストなどの絶縁性を有する被膜251を含んで構成されている。
そして、水晶振動子3は、規制部250の被膜251が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されている。
加えて、水晶振動子3は、被膜251の一部が四角い枠状部分から隣り合う電極端子37a,37bの間、電極端子37c,37dの間を通ってパッケージベース31の縁部まで延設されている。
【0059】
上述したように、水晶振動子3は、規制部250がパッケージベース31の第2主面35の一部を覆う被膜251を含んで構成されていることから、実装時に被膜251によって接合部材の電極端子37a〜37d部分からの流出が阻まれることにより、接合部材の第2凹部36への侵入を規制することができる。
【0060】
また、水晶振動子3は、規制部250の被膜251が平面視で第2凹部36を取り巻くように四角い枠状に形成されていることから、いずれの電極端子37a〜37dからの接合部材の流出であっても、接合部材の第2凹部36への侵入を確実に規制することができる。
加えて、水晶振動子3は、被膜251の一部が四角い枠状部分から隣り合う電極端子37a,37bの間、電極端子37c,37dの間を通ってパッケージベース31の縁部まで延設されていることから、隣り合う電極端子37a,37bの間、電極端子37c,37dの間におけるハンダなどの接合部材による短絡を確実に回避できる。
なお、被膜251は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術を用いることにより形成することができる。
なお、図示しないが、規制部250の被膜251は、第2主面35との間に段差のある面(例えば、第2主面35から1段下がった面や1段上がった面)に設けられていてもよい。
【0061】
(変形例3)
図4は、変形例3の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図4(a)は、リッド側から見た平面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A線での断面図であり、図4(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0062】
図4に示すように、変形例3の水晶振動子4は、第1実施形態と比較して、搭載されている電子素子が異なる。
水晶振動子4は、電子素子が水晶振動片10を駆動する発振回路を備えたICチップ60となっている。
ICチップ60は、複数のパッド61が第2凹部36の底面36aに設けられた電極パッド36dに、例えば、Auバンプ、Alバンプ、異方性導電膜などの接合部材42を介してフリップチップ実装により接合されている。
ICチップ60の複数のパッド61は、電極パッド36dを介して図示しない内部配線により、内部端子34b,34c及び電極端子37a〜37dに接続されている。
【0063】
水晶振動子4は、外部入力によって起動されたICチップ60からの駆動信号により、水晶振動片10が厚みすべり振動を励振されて所定の周波数で共振(発振)し、この共振から得られた発振信号を、例えば、電極端子37b,37dから出力する。
【0064】
上述したように、水晶振動子4は、電子素子としてのICチップ60が水晶振動片10を駆動する発振回路を備えていることから、振動デバイスとしての水晶発振器を提供することができる。
なお、水晶振動子4は、電子素子としてのICチップ60が発振回路に加えて水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることが好ましい。これによれば、水晶振動子4は、ICチップ60が水晶振動片10を駆動する発振回路と共に、水晶振動片10の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることから、発振回路が発振する共振周波数を温度補償することができ、温度特性に優れた水晶発振器を提供できる。
なお、水晶振動子4における規制部50には、変形例1、変形例2の規制部150,250の構成を適用してもよい。
【0065】
(変形例4)
図5は、変形例4の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図5(a)は、リッド側から見た平面図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A線での断面図であり、図5(c)は、底面側から見た平面図である。
なお、第1実施形態との共通部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0066】
図5に示すように、変形例4の水晶振動子5は、第1実施形態と比較して、パッケージ330の第1主面333側の構成が異なる。
水晶振動子5は、パッケージベース331の第1主面333が凹部のない平坦な面であり、この第1主面333に水晶振動片10を搭載する内部端子34b,34cが設けられている。
【0067】
水晶振動子5は、パッケージベース331の第1主面333側が水晶振動片10を覆う金属製の蓋体としてのリッド332により気密に封止されている。リッド332は、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属を用いて、全周につば部332aが設けられたキャップ状に形成されている。
水晶振動子5は、リッド332のキャップ部分の膨らみにより、水晶振動片10の振動が可能な内部空間が確保されている。
リッド332は、つば部332aがシームリング、ろう材、導電性接着剤などの導電性接合部材338を介してパッケージベース331の第1主面333に接合されている。
水晶振動子5は、上記内部空間が第1実施形態と同様に、減圧された真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0068】
水晶振動子5は、電極端子37a〜37dの内の電極端子37cが、パッケージベース331の電極パッド36cから延びている内部配線36e、導通ビア(導通部材が充填されているスルーホール)331a,331b、導電性接合部材338を介してリッド332と電気的に接続されている。
この電極端子37cは、電極パッド36cを介してサーミスター20の電極22と電気的に接続され、アース端子(GND端子)となっている。
【0069】
上述したように、水晶振動子5は、第1主面333側が水晶振動片10を覆う金属製のリッド332により気密に封止され、電極端子37a〜37dの内の電極端子37cが、リッド332と電気的に接続されていることから、シールド性を向上させることができる。
また、水晶振動子5は、リッド332と電気的に接続されている電極端子37cが、アース端子(GND端子)であることから、シールド性を更に向上させることができる。
なお、水晶振動子5の第1主面333側の構成は、変形例1〜3にも適用可能である。
【0070】
(第2実施形態)
次に、上述した水晶振動子を備えた電子機器として、携帯電話を一例に挙げて説明する。
図6は、第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
携帯電話700は、第1実施形態及び各変形例の水晶振動子を備えた携帯電話である。
図6に示す携帯電話700は、上述した水晶振動子(1〜5のいずれか)を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。なお、携帯電話の形態は、図示のタイプに限定されるものではなく、いわゆるスマートフォンタイプの形態でもよい。
【0071】
上述した水晶振動子(水晶発振器)などの振動デバイスは、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などのタイミングデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および各変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0072】
なお、振動片の形状は、図示した平板状のタイプに限定されるものではなく、中央部が厚く周辺部が薄いタイプ(コンベックスタイプ、ベベルタイプ、メサタイプ)、逆に中央部が薄く周辺部が厚いタイプ(逆メサタイプ)などでもよい。
なお、振動片の材料としては、水晶に限定されるものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、またはシリコン(Si)などの半導体でもよい。
また、厚みすべり振動の駆動方法は、圧電体の圧電効果によるものの他に、クーロン力による静電駆動であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,2,3,4,5…振動デバイスとしての水晶振動子、10…振動片としての水晶振動片、11…振動部、12…基部、13…一方の主面、14…他方の主面、15,16…励振電極、15a,16a…引き出し電極、20…電子素子としてのサーミスター、21,22…電極、30…パッケージ、31…容器体としてのパッケージベース、32…蓋体としてのリッド、33…第1主面、34…第1凹部、34a…底面、34b,34c…内部端子、35…第2主面、36…第2凹部、36a…底面、36b,36c,36d…電極パッド、36e…内部配線、37a,37b,37c,37d…電極端子、38…接合部材、40…導電性接着剤、41,42…接合部材、50…規制部、51…凹溝、60…電子素子としてのICチップ、61…パッド、150…規制部、151…凸部、250…規制部、251…被膜、330…パッケージ、331…パッケージベース、331a,331b…導通ビア、332…リッド、332a…つば部、333…第1主面、338…導電性接合部材、700…携帯電話、701…液晶表示装置、702…操作ボタン、703…受話口、704…送話口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動片と、
電子素子と、
第1主面側に前記振動片が搭載され、前記第1主面の反対側の第2主面に設けられた凹状の収納部に前記電子素子が収納された容器体と、を備え、
前記容器体の前記第2主面側には、前記振動片または前記電子素子に接続された複数の電極端子が設けられ、
前記第2主面側における前記電極端子と前記収納部との間には、前記電極端子と外部部材とを接合する接合部材の前記収納部への侵入を規制する規制部が設けられていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側に設けられた凹溝を含んで構成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記凹溝が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側に設けられた凸部を含んで構成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記凸部が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記第2主面側の一部を覆う被膜を含んで構成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の振動デバイスにおいて、前記規制部は、前記被膜が平面視で前記収納部を取り巻くように形成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、前記電子素子は、サーミスターであることを特徴とする振動デバイス。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、前記電子素子は、前記振動片を駆動する発振回路を備えていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の振動デバイスにおいて、前記電子素子は、前記振動片の温度変化に伴う周波数変動を補正する温度補償回路を備えていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、前記第1主面側は、前記振動片を覆う金属製の蓋体により気密に封止され、複数の前記電極端子のいずれか1つは、前記蓋体と電気的に接続されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の振動デバイスにおいて、前記蓋体と電気的に接続されている前記電極端子は、アース端子であることを特徴とする振動デバイス。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の振動デバイスを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70313(P2013−70313A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208666(P2011−208666)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】