説明

振動モータの取付構造および電子機器

【課題】 機器全体を十分に小型化し、振動による回路基板への悪い影響を防ぎ、効率良く機器ケースに振動を伝達できる振動モータの取付構造および電子機器を提供する。
【解決手段】 腕時計ケース1内に配置されて振動モータ20を収容する上部ハウジング10に、振動モータ20の設置空間を形成するための切欠き部12aが設けられた回路基板12を配置した振動モータ20の取付構造において、振動モータ20に対応する箇所の上部ハウジング10を腕時計ケース1の内面に密着させ、回路基板12を上部ハウジング10に対して非接触状態で配置した。従って、振動モータ20の振動を腕時計ケース1に効率良く伝達できると共に、振動モータ20による振動が回路基板12に伝達されるのを抑制することができるほか、振動モータ20をそのまま上部ハウジング10内に収容することができるので、振動モータ20の設置スペースを最小化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計や携帯電話機などの電子機器に用いられる振動モータの取付構造および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケース内に配置されたハウジングに回路基板を配置すると共に、この回路基板に切欠き部を設け、この切欠き部に対応する空間に振動モータを配置した構成のもが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−112460号公報
【0004】
このような腕時計における振動モータの取付構造では、回路基板に設けられた切欠き部によって確保された空間に振動モータを配置する際に、振動モータの振動によって回路基板が悪影響を受けないに構成する必要がある。
【0005】
このため、この振動モータの取付構造においては、振動モータと回路基板とを接続する部分、および振動モータの振動発生部を除いて、振動モータをゴム製のカバー部材で覆い、このカバー部材で覆われた振動モータを回路基板の切欠き部による空間に対応する箇所のハウジング内に収容して、機器全体の小型化を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような振動モータの取付構造では、振動モータをゴム製のカバー部材で覆っているため、カバー部材の厚み分、振動モータの設置スペースが大きくなってしまい、機器全体の小型化を十分に図ることができないという問題があるほか、ゴム製のカバー部材によって振動モータの振動が減衰され、腕時計ケースに振動モータの振動を効率良く伝達することができないという問題もある。
【0007】
また、このような振動モータの取付構造では、回路基板の切欠き部による空間に対応する箇所のハウジング内に振動モータを収容しても、振動モータの振動がハウジングを介して回路基板に伝達されるため、回路基板も振動モータによって振動し、この振動によって回路基板が悪影響を受けるという問題もある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、機器全体を十分に小型化し、振動による回路基板への悪い影響を防ぎ、効率良く機器ケースに振動を伝達できる振動モータの取付構造および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングに、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板を配置してなる振動モータの取付構造において、前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする振動モータの取付構造である。
【0010】
この発明は、機器ケースと、この機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングと、このハウジングに配置され、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板とを備えており、前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、振動モータの振動をハウジングによって機器ケースに確実に且つ良好に伝達することができるので、機器ケースを効率良く振動させることができると共に、振動モータの振動が回路基板に伝達されるのを抑制することができるほか、振動モータをそのままハウジング内に収容することができるので、設置スペースの最小化を図ることができ、これにより機器全体の小型化を十分に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である。
【図2】図1に示された腕時計のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2に示された腕時計における要部を更に拡大して示した断面図である。
【図4】図3に示された腕時計の要部において、腕時計ケースから裏蓋を取り外して分解した状態を示した要部の断面図である。
【図5】図2に示された腕時計の時計モジュールを示した拡大裏面図である。
【図6】図5に示された時計モジュールにおいて、振動モータを取り外した状態を示した拡大裏面図である。
【図7】図5に示された時計モジュールの回路基板を示した拡大裏面図である。
【図8】図7に示された時計モジュールの回路基板に下部ハウジングを配置した状態を示した拡大裏面図である。
【図9】この発明を腕時計に適用した一実施形態の変形例を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図8を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、硬質合成樹脂または金属などからなるケース本体2の外周にウレタン樹脂などの軟質合成樹脂からなるベゼル3を設けた構成になっている。
【0014】
この腕時計ケース1の上部開口部には、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられており、腕時計ケース1の下面には、裏蓋5が防水リング5aを介してビス5bによって取り付けられている。また、この腕時計ケース1内には、図2に示すように、時計モジュール6が配置されている。さらに、この腕時計ケース1の側面には、図1に示すように、複数の押釦スイッチ7が設けられており、この腕時計ケース1の6時側の上面には、図1および図2に示すように、フロントスイッチ8が設けられている。
【0015】
時計モジュール6は、図2に示すように、硬質の合成樹脂からなる上部ハウジング10と下部ハウジング11とを備えている。上部ハウジング10と下部ハウジング11との間には、図2に示すように、回路基板12が配置されている。下部ハウジング11の下面には、地板13が配置されている。この地板13の周縁部には、図5に示すように、複数のフック部13aが設けられている。
【0016】
この複数のフック部13aは、図2および図5に示すように、上部ハウジング10の側面に設けられた係止部10aに係止されるように構成されている。これにより、上部ハウジング10と下部ハウジング11とは、図2に示すように、その間に回路基板12を挟んだ状態で、下部ハウジング11の下面に配置された地板13のフック部13aが上部ハウジング10の側面に設けられた係止部10aに係止されることにより、一体化されて腕時計ケース1内に組み込まれるように構成されている。
【0017】
この場合、上部ハウジング10の上面には、図2〜図4に示すように、複数の表示窓部14aを有する文字板14が配置されている。また、下部ハウジング11には、図2〜図6に示すように、電池15を着脱可能に収納する電池収納部16が下側に開放されて設けられている。
【0018】
一方、上部ハウジング10には、図2および図3に示すように、表示パネル17を収納するパネル収納部18と、振動モータ20を収容するモータ収容部21とが設けられている。パネル収納部18は、上部ハウジング10のほぼ中央部に上下に貫通して設けられた開口部であり、その内周面における上縁部には、表示パネル17の縁部が下側から当接する鍔部18aが内側に向けて突出して設けられている。
【0019】
表示パネル17は、液晶表示素子やEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示素子などの平面型の表示素子からなり、時刻などの情報を電気光学的に表示し、この表示された情報が文字板14の複数の表示窓部14aを通して外部から見えるように構成されている。この表示パネル17は、図2〜図4に示すように、その両側部がインターコネクタ22によってパネル収納部18内に弾力的に支持されている。
【0020】
このインターコネクタ22は、図2〜図4に示すように、表示パネル17と回路基板12とを電気的に接続するためのものであり、導電性ゴムと絶縁性ゴムとを交互に配列した構成になっている。この場合、インターコネクタ22は、表示パネル17の両側の電極部と回路基板12の接続電極(いずれも図示せず)との間に配置されて、その上端部が表示パネル17の両側縁をパネル収納部18の鍔部18aに下側から弾力的に押し付けると共に、下端部が回路基板12の上面に弾力的に押し付けられるように構成されている。
【0021】
これにより、表示パネル17は、図2および図3に示すように、インターコネクタ22によってパネル収納部18内に弾力的に支持されている。また、回路基板12は、インターコネクタ22によって上部ハウジング10に接触しないように、上部ハウジング10との間に僅かな隙間をもって非接触状態で弾力的に配置されている。この回路基板12には、その上下面にLSIや水晶振動子などの時計機能に必要な各種の電子部品19が設けられている。
【0022】
一方、モータ収容部21は、図2〜図6に示すように、上部ハウジング10における12時側に位置する箇所の下部にその下側に開放されて設けられている。この場合、回路基板12には、振動モータ20の設置空間を確保するための切欠き部12aが、モータ収容部21に対応して設けられている。これにより、上部ハウジング10は、その一部が回路基板12の切欠き部12aを通して回路基板12に接触することなく回路基板12の下側に突出している。
【0023】
この上部ハウジング10の下側に突出した部分は、図3および図4に示すように、下部ハウジング11に接触することなく、下部ハウジング11の切欠き部11a内に挿入され、その下端部が裏蓋5の内面に接触することなく接近するように構成されている。これにより、モータ収容部21は、上部ハウジング10の下側に突出した部分に、回路基板12よりも下側に位置した状態で設けられている。
【0024】
このモータ収容部21が設けられた箇所の上部ハウジング10は、図3および図4に示すように、その外周面が腕時計ケース1のケース本体2の内面に密着した状態で、ケース本体2内に配置されている。この場合、モータ収容部21は、下部ハウジング11の電池収納部16側に位置する側面部が下部ハウジング11の切欠き部11a内に開放されている。
【0025】
振動モータ20は、図3〜図5に示すように、モータ本体部20aと振動発生部20bとを備え、これらがモータ収容部21内に収容されるように構成されている。モータ本体部20aは、コイルに磁界を発生させ、この発生した磁界よってロータを回転させるように構成されている。振動発生部20bは、ロータの回転によって分銅部分を偏心回転させることにより、振動を発生するように構成されている。
【0026】
この振動モータ20は、振動発生部20bがモータ収容部21および回路基板12に接触することなく、モータ本体部20aがモータ収容部21の内面に両面接着テープなどの接着材23によって固着されている。この場合、振動モータ20は、図3および図4に示すように、下部ハウジング11の電池収納部16側に位置する外周面が、下部ハウジング11に接触することなく、下部ハウジング11の切欠き部11a内に突出して配置されている。
【0027】
また、この振動モータ20は、図3および図4に示すように、モータ収容部21から下側に突出して露出するモータ本体部20aの外周面が緩衝部材24を介して裏蓋5の内面に弾力的に押し付けられている。この緩衝部材24は、モータ本体部20aの下部外周面に配置された保護部材25と、この保護部材25と裏蓋5との間に配置された弾性部材26とを備えている。
【0028】
保護部材25は、ポリカーボネートの合成樹脂に金属粒子などの補強材を充填した硬質の材料によって形成され、振動モータ20を保護するように構成されている。また、弾性部材26は、シリコーンゴムやウレタンゴムなどのゴム、あるいはエラストマーなどの軟質の弾性材料によって形成され、保護部材25と裏蓋5とによって圧縮されて変形することにより、保護部材25と裏蓋5との隙間を吸収するように構成されている。
【0029】
これにより、振動モータ20は、図4に示すように、腕時計ケース1の下部に裏蓋5を配置してビズ5bによって締め付けた際に、図3に示すように、ビス5bの締め付け力によって緩衝部材24の弾性部材26が圧縮変形して硬質の保護部材25を振動モータ20に押し付けることにより、振動モータ20と裏蓋5との間の隙間を吸収して、振動モータ20をモータ収容部21内に押圧して圧接させるように構成されている。
【0030】
次に、このような振動モータ20の作用について説明する。
振動モータ20が駆動されて振動発生部20bで振動を発生すると、その振動が上部ハウジング10に伝達される。すなわち、振動モータ20は上部ハウジング10のモータ収容部21内に収容された状態で、その下部外周が緩衝部材24を介して裏蓋5によって押し上げられ、モータ収容部21内に押し付けられているので、振動モータ20の振動が上部ハウジング10に確実に且つ良好に伝達される。
【0031】
この上部ハウジング10に伝達された振動は、腕時計ケース1のケース本体2に伝達され、腕時計ケース1が振動する。すなわち、上部ハウジング10は、モータ収容部21が設けられた箇所の外周面が腕時計ケース1のケース本体2の内面に密着した状態で、ケース本体2内に配置されていることにより、図3の矢印のように、上部ハウジング10の振動がケース本体2に確実に伝わり、これにより腕時計ケース1が良好に振動する。
【0032】
また、振動モータ20の振動は、緩衝部材24を介して裏蓋5にも伝達されて裏蓋5も振動する。すなわち、緩衝部材24は、モータ本体部20aの下部外周面に配置された保護部材25と、この保護部材25と裏蓋5との間に配置された弾性部材26とを備え、腕時計ケース1の下部に裏蓋5を配置してビズ5bによって締め付けた際に、ビス5bの締め付け力によって緩衝部材24の弾性部材26が圧縮変形して硬質の保護部材25を振動モータ20に押し付けているので、図3の矢印のように、振動モータ20の振動が裏蓋5に伝達される。
【0033】
ところで、振動モータ20の振動が上部ハウジング10に伝達されても、その振動は回路基板12や下部ハウジング11にほとんど伝達されることはない。すなわち、回路基板12は、インターコネクタ22によって上部ハウジング10に接触しないように、上部ハウジング10との間に僅かな隙間を有して非接触状態で配置されているので、上部ハウジング10に伝達された振動が回路基板12に伝達されないように抑制される。
【0034】
この場合、インターコネクタ22は、上部ハウジング10のパネル収納部18に収納される表示パネル17と回路基板12とを電気的に接続するもので、導電性ゴムと絶縁性ゴムとを交互に配列した構成であり、このインターコネクタ22が表示パネル17と回路基板12との間に弾力的に配置されていることにより、上部ハウジング10に伝達された振動が回路基板12に伝達されないように、インターコネクタ22によって弾力的に吸収することができる。このため、振動モータ20の振動によって回路基板12に悪影響を及ぼさないようにすることができる。この結果、回路基板12の上下面に設けられているLSIや水晶振動子などの各種の電子部品19の損傷または破壊などを未然に防止することができる。
【0035】
また、下部ハウジング11も、上部ハウジング10に接触することなく配置されているので、上部ハウジング10に伝達された振動が下部ハウジング11に伝達されることはない。このため、振動モータ20の振動によって上部ハウジング10が振動しても、その振動を下部ハウジング11によって回路基板12に伝達することがないので、これによっても振動モータ20の振動によって回路基板12が悪影響を受けることがない。この結果、回路基板12の上下面に設けられているLSIや水晶振動子などの各種の電子部品19の損傷または破壊などを未然に防止することができる。
【0036】
このように、この振動モータ20の取付構造によれば、腕時計ケース1内に配置されて振動モータ20を収容するための上部ハウジング10に、振動モータ20の設置空間を形成するための切欠き部12aが設けられた回路基板12を配置した振動モータ20の取付構造において、上部ハウジング10は振動モータ20に対応する箇所が腕時計ケース1の内面に密着した状態で腕時計ケース1内に収容されており、回路基板12は上部ハウジング10に対して非接触状態で配置されていることにより、腕時計全体の小型化を図り、振動による回路基板12への悪い影響を防いで、回路基板12の上下面に設けられているLSIや水晶振動子などの各種の電子部品19の損傷または破壊などを未然に防止しながら、効率良く腕時計ケース1に振動を伝達することができる。
【0037】
すなわち、この振動モータ20の取付構造では、上部ハウジング10に設けられたモータ収容部21内に振動モータ20が収容されていると共に、このモータ収容部21に対する箇所の上部ハウジング10が腕時計ケース1の内面に密着しているので、振動モータ20で発生した振動を上部ハウジング10に確実に伝達することができると共に、この上部ハウジング10を介して振動モータ20の振動を腕時計ケース1に確実に且つ良好に伝達することができる。
【0038】
また、この振動モータ20の取付構造では、回路基板12が上部ハウジング10に対して非接触状態で配置されていることにより、振動モータ20の振動が上部ハウジング10に伝達されても、この上部ハウジング10に伝達された振動が回路基板12に伝達されないように抑制することができ、これにより回路基板12が振動するのを防いで、振動による回路基板12への悪影響を防ぐことができるほか、上部ハウジング10のモータ収容部21を振動モータ20と同じ大きさに形成することができるので、振動モータ20の設置スペースを最小化でき、これにより腕時計全体の小型化を十分に図ることができる。
【0039】
すなわち、この振動モータ20の取付構造では、回路基板12が弾性部材であるインターコネクタ22を介して上部ハウジング10に対し隙間を有して取り付けられているので、回路基板12を上部ハウジング10に対して非接触状態で配置することができると共に、振動モータ20の振動によって上部ハウジング10が振動しても、その振動をインターコネクタ22によって弾力的に吸収することができ、これにより振動モータ20の振動によって回路基板12が悪影響を受けないようにすることができる。この結果、回路基板12の上下面に設けられているLSIや水晶振動子などの各種の電子部品19の損傷または破壊などを未然に防止することができる。
【0040】
この場合、弾性部材であるインターコネクタ22は、上部ハウジング10に取り付けられる表示パネル17と回路基板12との間に弾力性を有して配置された状態で、その両方を電気的に接続する構成のものであるから、部品点数が増加せず、既存の構造で回路基板12と上部ハウジング10との間に僅かな隙間を弾力的に設けることができ、これにより回路基板12を上部ハウジング10に対して非接触状態で配置することができるので、振動モータ20の振動によって回路基板12が悪影響を受けないようにすることができる。
【0041】
また、この振動モータ20の取付構造では、振動モータ20が緩衝部材24を介して腕時計ケース1の裏蓋5によって上部ハウジング10のモータ収容部21内に押圧されているので、振動モータ20の振動を上部ハウジング10に確実且つ良好に伝達することができると共に、緩衝部材24を介して振動モータ20の振動を裏蓋5にも伝達することができるので、裏蓋5をも良好に振動させることができる。
【0042】
この場合、緩衝部材24は、モータ本体部20aの下部外周面に配置された保護部材25と、この保護部材25と裏蓋5との間に配置された弾性部材26とを備え、腕時計ケース1の下部に裏蓋5を配置してビズ5bによって締め付けた際に、ビス5bの締め付け力によって緩衝部材24の弾性部材26を圧縮変形させて硬質の保護部材25を振動モータ20に確実に押し付けることができ、これにより振動モータ20の振動を裏蓋5に確実に且つ良好に伝達することができる。
【0043】
さらに、この振動モータ20の取付構造では、モータ収容部21の箇所の上部ハウジング10が回路基板12の切欠き部12aを通して下側に突出していても、この下側に突出した部分が回路基板12の下側に配置された下部ハウジング11の切欠き部11a内に接触することなく挿入されていることにより、振動モータ20の振動によって上部ハウジング10が振動しても、その振動が下部ハウジング11に伝達されることがないので、これによっても振動モータ20の振動によって回路基板12が悪影響を受けないようにすることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態では、上部ハウジング10のモータ収容部21が下部ハウジング11の電池収納部16側に位置する側面部を下部ハウジング11の切欠き部11a内に開放した構成である場合について述べたが、必ずしもモータ収容部21の側面部を下部ハウジング11の切欠き部11a内に開放した構成である必要はなく、例えば図9に示す変形例のように構成しても良い。
【0045】
すなわち、この変形例では、上部ハウジング10にモータ収容部30を半円筒形状に形成した構成になっている。このように構成すれば、モータ収容部30内に振動モータ20を確実に且つ良好に収容することができるので、振動モータ20で発生した振動を確実に且つ良好に上部ハウジング10に伝達して腕時計ケース1を良好に振動させることができる。
【0046】
また、上述した実施形態およびその各変形例では、振動モータ20を収容するモータ収容部21が位置する箇所の上部ハウジング10が回路基板12の切欠き部12aを通して回路基板12の下側に突出した構成である場合について述べたが、必ずしもモータ収容部21が位置する箇所の上部ハウジング10が回路基板12の下側に突出する必要はなく、モータ収容部21が位置する箇所の上部ハウジング10が回路基板12の切欠き部12a内に配置され、これに伴って振動モータ20が回路基板12の上方に配置された構成であっても良い。
【0047】
さらに、上述した実施形態およびその各変形例では、指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の時計に適用することができる。また、必ずしも時計に適用する必要はなく、携帯電話機などの電子機器にも広く適用することができる。
【0048】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0049】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングに、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板を配置してなる振動モータの取付構造において、
前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする振動モータの取付構造である。
【0050】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の振動モータの取付構造において、前記回路基板は、弾性部材を介して前記ハウジングに対し隙間をもって取り付けられていることを特徴とする振動モータの取付構造である。
【0051】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の振動モータの取付構造において、前記弾性部材は、前記ハウジングに取り付けられる表示パネルと前記回路基板との間に弾力性を有して配置された状態で、その両方を電気的に接続するインターコネクタであることを特徴とする振動モータの取付構造である。
【0052】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の振動モータの取付構造において、前記振動モータは、緩衝部材を介して前記機器ケースの裏部によって前記ハウジング内に押圧されていることを特徴とする振動モータの取付構造である。
【0053】
請求項5に記載の発明は、機器ケースと、この機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングと、このハウジングに配置され、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板とを備えており、
前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする電子機器である。
【符号の説明】
【0054】
1 腕時計ケース
2 ケース本体
4 時計ガラス
5 裏蓋
6 時計モジュール
10 上部ハウジング
11 下部ハウジング
12 回路基板
12a 切欠き部
17 表示パネル
18 パネル収納部
18a 鍔部
20 振動モータ
20a モータ本体部
20b 振動発生部
21、30 モータ収容部
22 インターコネクタ
23 接着材
24 緩衝部材
25 保護部材
26 弾性部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングに、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板を配置してなる振動モータの取付構造において、
前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、
前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする振動モータの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の振動モータの取付構造において、前記回路基板は、弾性部材を介して前記ハウジングに対し隙間をもって取り付けられていることを特徴とする振動モータの取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の振動モータの取付構造において、前記弾性部材は、前記ハウジングに取り付けられる表示パネルと前記回路基板との間に弾力性を有して配置された状態で、その両方を電気的に接続するインターコネクタであることを特徴とする振動モータの取付構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の振動モータの取付構造において、前記振動モータは、緩衝部材を介して前記機器ケースの裏部によって前記ハウジング内に押圧されていることを特徴とする振動モータの取付構造。
【請求項5】
機器ケースと、
この機器ケース内に配置されて振動モータを収容するハウジングと、
このハウジングに配置され、前記振動モータの設置空間を形成するための切欠き部が設けられた回路基板とを備えており、
前記ハウジングは前記振動モータに対応する箇所が前記機器ケースの内面に密着した状態で前記機器ケース内に収容されており、
前記回路基板は前記ハウジングに対して非接触状態で配置されていることを特徴とする電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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