説明

振動モータ

【課題】本発明は、コアに対する錘の固定力を高めて、錘をコアに確実に固定させることができるようにした振動モータを提供する。
【解決手段】振動モータは、第1及び第2の錘部51a,51bの一方の端面E1,E2が第2の支柱部54aの端面E3と略一致し、第1及び第2の錘部51a,51bの他方の端面E4,E5が第3の支柱部54bの端面E6と略一致している。さらに、第1の錘部51aの第1の平面部S1は、第2の錘部51bの第2の平面部S2を台D上で支持した状態で全面に渡って加圧され、ウイング部42a,42bを、第1の錘部51aと第2の錘部51bとで挟み込んで、錘50がコア32に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯通信機器(例えば携帯電話)に内蔵させて、呼び出し機能の振動発生源として利用される小型の振動モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記公報に記載された振動モータは、ロータと一緒に錘が回転することによって振動を発生させている。この錘は、コアの突極に固定され、突極のウイング部に沿って延在する第1及び第2の錘部と、隣接するウイング部間に挿入されると共に、互いに平行な第1の錘部と第2の錘部とを中央で掛け渡すように延在する第1の支柱部と、第1の錘部と第2の錘部とを両端で掛け渡すように延在する第2及び第3の支柱部と、を有している。さらに、第1の支柱部の近傍において、第1の錘部には、左右一対の第1のカシメ部が形成され、第2の錘部にも第2のカシメ部が形成されている。第1のカシメ部と第2のカシメ部とは、回転軸線L方向で対をなしており、第1及び第2の錘部から径方向に突出している。そして、錘の第1の錘部と第2の錘部との間にコアのウイング部を挿入した状態で、下方に位置する第1のカシメ部を台などで支持し、上方から第2のカシメ部を加圧することで、第1のカシメ部と第2のカシメ部とが近づくように、第1及び第2のカシメ部がウイング部に対して回転軸線L方向にカシメられる。その結果、錘をコアに簡単に且つ確実に固定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/133941号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の振動モータにあっては、錘の中央に位置する第1の支柱部の近傍の第2のカシメ部を局所的に加圧して、錘がコアに固定されているが、カシメ面積が小さく、強い固定力を得るために第2のカシメ部を局所的に強くカシメると、カシメ部の基端側に亀裂が発生する虞があり、亀裂が発生してしまうと、落下衝撃などによって錘がコアから外れ易くなるといった問題点がある。しかも、第1及び第2の錘部の両端は、第2及び第3の支柱部から周方向に延出するので、この延出部分は、曲がったり折れたり反ったりし易い。その結果、第1の錘部の延出部分と第2の錘部の延出部分との間が狭くなって、第1の錘部と第2の錘部との間にウイング部が入らないと、錘をコアに確実に固定させることができない場合もある。しかも、延出部分の変形によって、この延出部分がロータ回転時にステータや筐体などに当たってしまう虞が発生する。
【0005】
本発明は、コアに対する錘の固定力を高めて、錘をコアに確実に固定させることができるようにした振動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コイルが巻かれる巻線部と、巻線部の端部から円周方向に延在するウイング部と、からなる複数の突極が中央部から放射状に突出してなるコアを備えた振動モータにおいて、
突極に固定された錘は、
隣接するウイング部を挟み込むようにウイング部に沿って延在する第1及び第2の錘部と、
第1の錘部と第2の錘部との間に形成されて、隣接するウイング部がコアの径方向に挿入される差込み部と、
差込み部を分断するように第1の錘部と第2の錘部とを回転軸線方向に連結して、隣接するウイング部間に挿入される第1の支柱部と、
第1及び第2の錘部の両端で、第1の錘部と第2の錘部とを回転軸線方向に連結する第2及び第3の支柱部と、を有し、
第1及び第2の錘部の一方の端面が第2の支柱部の端面と略一致し、第1及び第2の錘部の他方の端面が第3の支柱部の端面と略一致し、
第1の錘部で回転軸線に対して直交して延在する第1の平面部と、第2の錘部で第1の平面部に対して平行に延在する第2の平面部との少なくとも一方が、全面に渡って加圧され、ウイング部を、第1の錘部と第2の錘部とで挟み込んで、錘がコアに固定されていることを特徴とする。
【0007】
この振動モータにおいては、第1及び第2の錘部の一方の端面が第2の支柱部の端面と略一致し、第1及び第2の錘部の他方の端面が第3の支柱部の端面と略一致している。よって、第1及び第2の錘部の両端が、第2及び第3の支柱部から周方向外方に延出していないので、この延出部分が存在することに伴う様々な不具合を解消させることができる。例えば、この延出部分で第1の錘部と第2の錘部との間の差込み部が狭くなることに起因して、第1の錘部と第2の錘部との間にウイング部が入らなくなるような事態が回避され、しかも、延出部分の変形によって、錘がロータ回転時にステータや筐体に当たってしまうような事態も回避させることができる。さらに、第1の錘部で回転軸線に対して直交して延在する第1の平面部と、第2の錘部で第1の平面部に対して平行に延在する第2の平面部との少なくとも一方が、全面に渡って加圧され、ウイング部を、第1の錘部と第2の錘部とで挟み込んで、錘がコアに固定されているので、カシメ面積の拡大化が図られて、錘に強い固定力を発揮させることができ、第1の平面部と第2の平面部との間隔を一定に保つことができるので、錘の厚み寸法の管理を確実にして、錘がロータ回転時にステータや筐体などに当たることを回避させている。
【0008】
また、差込み部を形成する壁面のうちで、第1の平面部と対をなす第1の壁面部と、第2の平面部と対をなす第2の壁面部との少なくとも一方に、凸部が形成されていると好適である。
このような構成を採用すると、差込み部において回転軸線方向の寸法管理が容易になる。差込み部の隙間寸法は、ウイング部の厚さより広くなっている必要があり、差込み部の隙間寸法がウイング部より狭くなっていると、差込み部内にウイング部が入らない。そこで、差込み部の回転軸線方向の隙間寸法は、ウイング部の厚さ以上にする必要があるが、凸部の頂部を基準にして、差込み部の隙間寸法を管理すれば、隙間寸法が小さくなったときには、凸部をウイング部の圧入部として利用することができ、差込み部内にウイング部が入らなくなるといった事態を容易に回避させることができる。小さな錘を安価に製造すると、錘の製造時に寸法のばらつき非常に大きくなり易いので、小型の振動モータにとって錘に凸部を設けることは有効な対策といえる。
【0009】
また、第2及び第3の支柱部の外周面は、第1及び第2の錘部の外周面より内側に位置していると好適である。
錘をカシメると、第2及び第3の支柱部が回転軸線方向に圧縮されるが、このときに、圧縮変形させられた第2及び第3の支柱部が第1及び第2の錘部の外周面からはみ出してしまうことが無い。第2及び第3の支柱部がはみ出してしまうと、錘がロータ回転時にステータや筐体などに当たり易くなり、振動モータを小型化すればするほど、錘とステータや筐体との隙間寸法が小さくなるので、はみ出し寸法を厳格に管理する必要があり、このような構成は、小型の振動モータにおいて第2及び第3の支柱部のはみ出し防止対策として効果的である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コアに対する錘の固定力を高めることができ、しかも、錘をコアに確実に固定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る振動モータの一実施形態を示す外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明に係る振動モータの分解斜視図である。
【図4】ロータアッセンブリ及び錘を示す分解斜視図である。
【図5】下ケースアッセンブリを示す斜視図である。
【図6】ロータアッセンブリ及び錘を示す斜視図である。
【図7】ロータアッセンブリに錘を組み付ける前の状態を示す平面図である。
【図8】ロータアッセンブリに錘を組み付けた後の状態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る振動モータに適用する錘を示す斜視図である。
【図10】錘を別の角度から見た斜視図である。
【図11】ロータアッセンブリに錘を組み付けた後の状態を示す側面図である。
【図12】ロータアッセンブリに錘を組み付ける際の加圧状態を示す斜視図である。
【図13】ロータアッセンブリに錘を組み付ける際の加圧状態を示す側面図である。
【図14】錘の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る振動モータの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1〜図3に示すように、小型の振動モータ1は、携帯通信機器(例えば携帯電話)に内蔵させて、呼び出し機能の振動発生源として利用される直径約10mm、厚さ約3mmのコイン型をなし、組立て作業を容易にするために、ステータを構成する上ケースアッセンブリ10と、モータ1のベースをなす下ケースアッセンブリ20と、ロータを構成するロータアッセンブリ30と、給電を可能にするブラシアッセンブリ45と、高比重金属(例えばタングステン)からなる錘50とから構成されている。
【0014】
上ケースアッセンブリ10は、非磁性材料(例えばステンレス)からなるカップ状の上ケース11と、上ケース11の内壁面に接着剤により固定されるOリング状のマグネット14と、から主として構成されている。
【0015】
下ケースアッセンブリ20は、上ケース11に対してレーザ溶接によって接合される非磁性材料(例えばステンレス)からなる皿状の下ケース21と、下ケース21の中央に固定されたシャフト22とからなり、下ケース21には、皿状の本体部21aから径方向に延在する張り出し部21bが設けられている。さらに、下ケース21には、ブラシアッセンブリ45が固定され、張り出し部21b上にブラシアッセンブリ45が配置される。
【0016】
図4に示すように、シャフト22に対し回転自在に軸支されたロータアッセンブリ30は、コイル31と、コイル31が巻き付けられるコア32と、コイル31に電流を供給するためのコミテータ33と、コミテータ33を保持するためのコミテータホルダ34と、コア32の中央孔32aに圧入されると共に、シャフト22が挿入される軸孔36aを有する円筒状の軸受36と、火花及びノイズの発生を防止するためのバリスタ37とからなる。
【0017】
この振動モータ1は、2極3スロットであり、コア32は、打ち抜き加工された厚さ0.2mmの珪素鋼板によって形成されている。コミテータ33は、銅製薄板のプレス成形によって作られた3枚のコミテータセグメント38からなる。各コミテータセグメント38は、回転軸線Lに沿って延在する断面円弧状のブラシ摺接部38aと、コイル31が結線されると共に、コア32の径方向に延在してスロット内に突出するライザ部38bと、ブラシ摺接部38aとライザ部38bとを連結するL字状の連結部38cとからなる(図2参照)。なお、コア32は、積層板であってもよい。
【0018】
3個のコミテータセグメント38は、インサート成形によってコミテータホルダ34に組み付けられて、コミテータアッセンブリが構成される。このコミテータアッセンブリは、コミテータホルダ34の中央孔34a内に軸受36を圧入することで、コア32と一体化する。
【0019】
さらに、リング状のバリスタ37は、コミテータホルダ34の周縁に設けられた各立設部34bで挟持され、バリスタ37の中央孔37b内に軸受36の頂部が挿入される。このようにして、コア32上とバリスタ37を固定した後、コイル31の電線31aがライザ部38bの先端に巻き付けられ、各電線31aとライザ部38bとバリスタ37の各電極37aとを半田によって電気的に接続させる。
【0020】
図5に示すように、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に取付け可能な板状の本体部46と、この本体部46から突出して、各コミテータセグメント38のブラシ摺接部38aに接触する一対のブラシ片47と、本体部46の端部で上ケース11から露出する一対のターミナル48とからなる。そして、ブラシ片47とターミナル48とは本体部46内で接続されている。ロータアッセンブリ30の軸受36の軸孔36a内にシャフト22を挿入した後に、ブラシアッセンブリ45は、下ケース21に径方向から装着され、上ケース11と下ケース21との組み合わせによって出現する矩形の開口49(図1参照)から一部が径方向に露出する。
【0021】
図6〜図11に示すように、コア32には錘50が固定されている。このコア32は、軸受36が圧入される中央孔32aをもったリング状の中央部39(図4参照)と、この中央部39から放射状に突出する突極40a,40b,40cとからなる。等間隔に配置された各突極40a,40b,40cは、コイル31が巻かれる巻線部41a,41b,41cと、巻線部41a,41b,41cの端部から円周方向に延在するウイング部42a,42b,42cとからなる。
【0022】
錘50は、隣接するウイング部42a,42bを上下で挟み込むようにウイング部42a,42bに沿って延在する第1及び第2の錘部51a,51bと、第1の錘部51aと第2の錘部51bとの間で延在して、隣接するウイング部42a,42bの挿入を可能にしたスリット状の差込み部52と、差込み部52を左右に分断するように第1の錘部51aと第2の錘部51bとを回転軸線L方向に連結して、隣接するウイング部42a,42b間の隙間Bに挿入される第1の支柱部53と、を備えている。
【0023】
第1の支柱部53は、ウイング部42aの端とウイング部42bの端との間の隙間Bと略同等の幅を有しているので、第1の支柱部53の左右(周方向)のガタツキをウイング部42a,42bによって抑制することができる。
【0024】
この錘50は、コア32に対して径方向に差し込むように装着される。このとき、上下で平行に延在する第1及び第2の錘部51a,51bをガイドにしながら、錘50の差込み部52内にコア32の各ウイング部42a,42bが差し込まれるので、コア32に対する錘50の組付け作業性が非常によい。そして、このような挿入作業によって、モータ1を振動させ易い場所である突極40aと突極40bとの間(すなわちスロット)に、錘50の一部をなす第1の支柱部53が配置されるので、モータ1の高振動を確保させることができる。
【0025】
さらに、第1及び第2の錘部51a,51bは、ウイング部42a,42bに沿って延在するので、第1及び第2の錘部51a,51bにおけるウイング部42a,42b上の部分をも振動に有効に寄与させることができる。モータ1の小型化によってコア32の径が小さくなった場合でも、この部分で錘50の質量を確保することができ、モータ1の小型化によるモータ1の振動量の低下を抑制することができる。
【0026】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、ウイング部42a,42bの外径部の周面にはV字状の凹部43a,43bが形成されている。さらに、錘50には、第1及び第2の錘部51a,51bの両端で、第1の錘部51aと第2の錘部51bとを回転軸線L方向に連結する第2及び第3の支柱部54a,54bが設けられている。この第2及び第3の支柱部54a,54bは、ウイング部42a,42bのV字状の凹部43a,43b内で係止させられている。
【0027】
V字状の凹部43a,43bに対して、第2及び第3の支柱部54a,54bは、その半分の形状をなしている。そして、凹部43aの二壁面のうちの一方の壁面43aAは、装着方向Aと略同一方向に延在し、凹部43bの二壁面のうちの一方の壁面43bAは、装着方向Aと略同一方向に延在する。同様に、錘50の第2の支柱部54aの二壁面のうちの一方の壁面54aAは、差込み方向Aと略同一方向に延在し、第3の支柱部54bの二壁面のうちの一方の壁面54bAは、差込み方向Aと略同一方向に延在する。
【0028】
これによって、錘50の装着作業時に、凹部43a,43b内に第2及び第3の支柱部54a,54bを簡単且つ確実に入り込ませることができ、凹部43a,43bの壁面43aA,43bAに錘50の第2及び第3の支柱部54a,54bが圧着され、錘50の差込み方向(装着方向)奥側の位置決めを容易且つ確実に達成することができる。しかも、この第2及び第3の支柱部54a,54bは、錘50の一部をなしているので、モータ1の振動に寄与させることができる。
【0029】
コア32に対する錘50の組付け作業性を更に良好にするために、錘50には、左右一対の第1のガイド部56a,56bと第2のガイド部57a,57bとが設けられている。第1のガイド部56a,56bと第2のガイド部57a,57bは、回転軸線L方向で対をなしており、矩形のブロック状をなす第1の支柱部53に隣接すると共に、第1及び第2の錘部51a,51bからウイング部42a,42bを越えて突極40a,40b間に向けて突出する。上下一対をなすガイド部56a,57a及びガイド部56b,57bは、錘50の組み付け時にウイング部42a,42bのガイドとして機能する。さらには、モータ1を振動させ易い場所である突極40a,40b間において、錘50の一部を構成している第1及び第2のガイド部56a,56b,57a,57bを配置させているので、各ガイド部56a,56b,57a,57bを、第1の支柱部53と相俟ってモータ1の高振動に寄与させることができる。
【0030】
第1及び第2の錘部51a,51bの一方の端面E1,E2が第2の支柱部54aの端面E3と略一致し、第1及び第2の錘部51a,51bの他方の端面E4,E5が第3の支柱部54bの端面E6と略一致している。よって、第1及び第2の錘部51a,51bの両端が、第2及び第3の支柱部54a,54bから周方向外方に延出しておらず、この延出部分が存在することに伴う様々な不具合を解消させることができる。例えば、この延出部分で第1の錘部51aと第2の錘部51bとの間の差込み部52が狭くなることに起因して、第1の錘部51aと第2の錘部51bとの間にウイング部42a,42bが入らなくなるような事態が回避され、しかも、延出部分の変形によって、錘50がロータ回転時に上ケース11やマグネット14に当たってしまうような事態も回避させることができる。
【0031】
図9及び図11に示すように、差込み部52の一方の差込み部52Aは、平行な第1の壁面部52Aaと第2の壁面部52Abとから形成され、他方の差込み部52Bは、平行な第1の壁面部52Baと第2の壁面部52Bbとから形成されている。そして、第1の壁面部52Aa,52Baには、差込み方向Aと同じ方向に延在する2本の凸部60が形成されている。また、第1の錘部51a側で回転軸線Lに対して直交して延在する第1の平面部S1は、第1の壁面部52Aa,52Baに対して平行に延在し、第2の錘部51b側で第2の平面部S2は、第2の壁面部52Ab,52Bbに対して平行に延在している。
【0032】
図12及び図13に示すように、第1の錘部51aの第1の平面部S1は、第2の錘部51bの第2の平面部S2を台D上で支持した状態で全面に渡って加圧され、ウイング部42a,42bを、第1の錘部51aと第2の錘部51bとで挟み込んで、錘50がコア32に固定されているので、カシメ面積の拡大化が図られて、錘50に強い固定力を発揮させることができ、第1の平面部S1と第2の平面部S2との間隔を一定に保つことができるので、錘50の厚み寸法の管理を確実にして、錘50がロータ回転時に上ケース11やマグネット14に当たることを回避させている。
【0033】
凸部60を採用すると、差込み部52の回転軸線L方向の寸法管理が容易になる。差込み部52の隙間寸法Hは、ウイング部42a,42bの厚さより広くなっている必要があり、差込み部52の隙間寸法Hがウイング部42a,42bより狭くなっていると、差込み部52内にウイング部42a,42bが入らない。
【0034】
そこで、差込み部52の隙間寸法Hは、ウイング部42a,42bの厚さ以上にする必要があるが、凸部60の頂部を基準にして、差込み部52の隙間寸法Hを管理すれば、隙間寸法Hが小さくなったときには、凸部60をウイング部42a,42bの圧入部として利用することができ、差込み部52内にウイング部42a,42bが入らなくなるといった事態を容易に回避させることができる。小さな錘50を安価に製造すると、錘50の製造時に寸法のばらつき非常に大きくなり易いので、小型の振動モータ1にとって、錘50に凸部60を設けることは有効な対策といえる。
【0035】
さらに、第2のガイド部57a,57b間で第1の支柱部53の上方に凹部58が形成され、径方向に延在するライザ部38bがこの凹部58内に挿入される。ライザ部38bがコア32の径方向に延在することで、モータ1の薄型化を可能にし、このようなライザ部38bに邪魔されることなく、第1の支柱部53をコア32の径方向に延ばすことができ、錘50の質量を増大させることができる。
【0036】
図7及び図8に示すように、他の突極40cのウイング部42cにも、突極40a,40bと同様の形状をなす凹部43cが設けられている。これによって、錘50は、いずれの突極40a,40b,40cであっても装着させることができ、コア32に対する錘50の組付け作業性が極めて良好になる。
【0037】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0038】
図14に示すように、他の錘70として、第2及び第3の支柱部54a,54bの外周面R1,R2は、第1及び第2の錘部51a,51bの外周面R3,R4より寸法Cだけ内側に位置している。そして、第2及び第3の支柱部54a,54bの断面積は、第1の支柱部53の断面積より小さい。よって、錘70を図12のようにカシメると、第2及び第3の支柱部54a,54bが回転軸線L方向に圧縮されるが、このときに、第2及び第3の支柱部54a,54bは、圧縮変形させられ易いが、第1及び第2の錘部51a,51bの外周面R3,R4からはみ出してしまうことが無い。第2及び第3の支柱部54a,54bがはみ出してしまうと、錘50がマグネット14に当たり易くなり、振動モータ1を小型化すればするほど、錘50とマグネット14との隙間寸法が小さくなるので、はみ出し寸法を厳格に管理する必要があり、このような構成は、小型の振動モータにおいて第2及び第3の支柱部54a,54bのはみ出し防止対策として効果的である。
【0039】
さらに、他の実施形態として、例えば、凸部60は、第2の壁面部52Ab,52Bbに形成されていてもよい。
【0040】
また、凸部60は、線形状に限らず、点形状であってもよい。
【0041】
また、第2の平面部S2を全面に渡って加圧してもよく、第1の平面部S1及び第2の平面部S2を全面に渡って同時に加圧してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…振動モータ、31…コイル、32…コア、40a,40b…突極、41a,41b…巻線部、42a,42b…ウイング部、50,70…錘、51a…第1の錘部、51b…第2の錘部、52…差込み部、52Aa,52Ba…第1の壁面部、52Ab,52Bb…第2の壁面部、53…第1の支柱部、54a,54b…第2及び第3の支柱部、E1〜E6…端面、S1…第1の平面部、S2…第2の平面部、R1…第2の支柱部の外周面、R2…第3の支柱部の外周面、R3…第1の錘部の外周面、R4…第2の錘部の外周面、L…回転軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルが巻かれる巻線部と、前記巻線部の端部から円周方向に延在するウイング部と、からなる複数の突極が中央部から放射状に突出してなるコアを備えた振動モータにおいて、
前記突極に固定された錘は、
隣接する前記ウイング部を挟み込むように前記ウイング部に沿って延在する第1及び第2の錘部と、
前記第1の錘部と前記第2の錘部との間に形成されて、隣接する前記ウイング部が前記コアの径方向に挿入される差込み部と、
前記差込み部を分断するように前記第1の錘部と前記第2の錘部とを回転軸線方向に連結して、隣接する前記ウイング部間に挿入される第1の支柱部と、
前記第1及び第2の錘部の両端で、前記第1の錘部と前記第2の錘部とを前記回転軸線方向に連結する第2及び第3の支柱部と、を有し、
前記第1及び第2の錘部の一方の端面が前記第2の支柱部の端面と略一致し、前記第1及び第2の錘部の他方の端面が前記第3の支柱部の端面と略一致し、
前記第1の錘部で回転軸線に対して直交して延在する第1の平面部と、前記第2の錘部で前記第1の平面部に対して平行に延在する第2の平面部との少なくとも一方が、全面に渡って加圧され、前記ウイング部を、前記第1の錘部と前記第2の錘部とで挟み込んで、前記錘が前記コアに固定されていることを特徴とする振動モータ。
【請求項2】
前記差込み部を形成する壁面のうちで、前記第1の平面部と対をなす第1の壁面部と、前記第2の平面部と対をなす第2の壁面部との少なくとも一方に、凸部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の振動モータ。
【請求項3】
前記第2及び第3の支柱部の外周面は、前記第1及び第2の錘部の外周面より内側に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の振動モータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate