説明

振動体デバイスの製造方法

【課題】 薄膜形成時における熱膨張を面内一定にし、基板上に形成された形状を高精度に視認できる振動体デバイスの製造方法を提供する事を目的とする。
【解決手段】 電極用金属膜付着工程において、基板を点支持し、電極用金属膜の膜付けを行い、電着フォトレジスト工程の前に、電極用金属膜付着工程で付着した電極用金属膜を、電圧が印加される第1領域と、基板上のアライメントマークの周辺を含む第2領域とを、レーザートリミングにより電気的に分離し、電極用金属膜を電極として電着フォトレジストを付着することにより、電気的に分離された第2の領域には電着フォトレジストが付着しないので、基板上に形成されてた形状が明瞭に認識できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶等からなる振動体に電極を形成する振動体デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のタイムスタンダード等として使用される振動子や、振動体を用いて加速度や角速度などの物理量センシングを行うセンサーなどの振動体デバイスに対しては、これらが使用される電子機器の小型化に伴い、振動体デバイスのサイズも小型のものが要求されている。この要求に伴い、水晶ウエハをエッチングによって形成した振動体を用いる振動体デバイスが広く使用されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
従来の振動体デバイスの製造方法を図を用いて説明する。図4は、従来の振動体デバイスの製造工程を説明するための図である。図5は、従来の振動体デバイスのアライメントマーク部の断面図である。図6は、従来の電極用金属膜の形成工程を説明するための図である。図7は、従来の水晶基板上の電極用金属膜の形成状態を示す図である。
【0004】
まず水晶基板1を板状に加工する(図4:S1)。次に、水晶基板1の表裏両面に蒸着またはスパッタリングによって下地層の金属膜としてCr膜2を500Å程度成膜し、続いてその上に表面層の金属膜としてAu膜3を1000Å程度積層し成膜する(図4:S2)。Cr膜2はAu膜3と水晶基板1との密着性を向上させる中間層として作用する。またAu膜3は後ほど水晶基板1をエッチングする際に用いるフッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液に対する耐蝕膜として作用する。
【0005】
次にAu膜3の表面にフォトレジストを塗布し、かつ乾燥させてフォトレジスト層を形成する(図4:S3)。振動体の外形のフォトマスクを用いて露光、現像し、振動体の外形の内側にフォトレジスト層が残るようにし、外側のAu膜3を露出させる。この際、後に電極パターンの位置決めに使用されるアライメントマークも露光、現像される。次に、露出されたAu膜3、Cr膜2をエッチングし除去する(図4:S4)。このとき同時にアライメントマーク4部のAu膜、Cr膜2もエッチングされ除去される(図5)。
【0006】
続いて、フッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液に浸漬し水晶基板1をエッチングして振動体外形を形成する(図4:S5)。図5に示すように、アライメントマーク4はこの工程でハーフエッチングされ、断面が図5に示すように彫り込まれた状態になる。続いて、残存するフォトレジスト層を剥離した後、Au膜3、Cr膜2を全てエッチングして除去する(図4:S6)。
【0007】
次に、振動体の表裏面および側面に電極用金属膜をスパッタリング等で形成する(図4:S7)。電極用金属膜8としては例えば下地層をCr膜、表面層をAu膜とした積層膜を用いる。この際、図5に示すようなアライメントマーク4の周囲を遮蔽する図6に示すような遮蔽マスク7を水晶基板1の上に被せて電極用金属膜8を形成する。このようにすると、形成される電極用金属膜8は図7のように、アライメントマーク4を含む第2の領域5と、第2の領域6を除く領域であって電圧が印加される第一の領域5を電気的に分離することができる。
【0008】
次に電極用金属膜8を電極として電着フォトレジスト11を付着する(図4:S8)。第2の領域10は第1の領域5と電気的に分離さされているので、第2の領域6には電圧が印加されないために電着フォトレジスト11は形成されず、第1の領域5のみに電着フォトレジスト11が形成される。
【0009】
次に露光装置の電極マスクにあるマスク側アライメントマークと水晶基板1上のアライメントマーク4とを用いて、位置合わせを行い、電極パターンを露光、現像し、電極を形成しない部分に相当する部分の電着フォトレジスト11を除去する。表面に露出した部分の電極用金属膜8をエッチングにより除去し(図4:S9)、電着フォトレジスト11を剥離(図4:S10)すれば振動体が完成する。完成した振動体を適宜、セラミック等からなるパッケージ内部に実装すれば、振動体デバイスが完成する。
【0010】
特許文献1には、電極用金属膜8の形成時に遮蔽マスク7を用いてアライメントマーク4を含む第2の領域6と第2の領域を除く第1の領域5とを電気的に分離する方法が示されているが、全面に電極用金属膜8を形成した後に、アライメントマーク4の周囲の電極用金属膜8をエッチングで化学的に除去しても良いし、ダイヤモンドペンや鉄筆などを用いて物理的に除去し、第2の領域6と第1の領域5とを電気的に分離する方法も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−229271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のような従来の製造方法では以下のような課題があった。蒸着法やスパッタリング法による電極膜の形成では、被成膜対象である基板をチャンバー内に投入し、およそ常温から150℃という雰囲気条件下で成膜が行われ、薄膜の材料である粒子はおよそ300℃〜400℃の高温で基板に付着し基板に薄膜が形成される。基板への薄膜の形成では、基板の被成膜領域に対応した開口を有する金属等からなる遮蔽マスクに基板を保持した状態で行い、前記開口に対応した薄膜を前記基板表面に形成する。ここで、蒸着法やスパッタリング法による薄膜の形成は前述のような条件下で行われるが、例えば、水晶からなる圧電基板とそれを保持する例えば金属からなる遮蔽マスクとでは、熱容量に違いが有り、水晶からなる圧電基板に対し金属マスクの熱容量が小さいため、金属マスクに接している基板の前記開口周縁部が、前記開口の中心付近より放熱が早く進み開口周縁部に対し開口の中心付近の温度が高くなってしまう。このため金属マスクに挟まれた基板は熱影響によりクラック又はワレが発生してしまい外形形状を損なってしまう。前記現象によりウエハ外周部に形成してあるアライメントマークのピッチが変わってしまうことになり、露光不良が多発する惧れがある。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑み、薄膜形成時における熱膨張を面内一定にし、基板上に形成された形状を高精度に視認できる振動体デバイスの製造方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
圧電性材料からなる基板から振動体を形成し、該振動体に電極を形成する振動体デバイスの製造方法であって、前記基板から前記振動体の外形をエッチングで形成する外形形成工程と、前記振動体の表裏面および側面部に、電極用金属膜を付着する電極用金属膜付着工程と、前記電極用金属膜を電極として電圧を印加し電着フォトレジストを付着する電着フォトレジスト工程と、前記電着フォトレジスト工程で付着した前記電着フォトレジストを露光、現像して振動体に電極を形成する電極形成工程とを有し、前記電極用金属膜付着工程において、前記基板を点支持し、前記電極用金属膜の膜付けを行い、前記電着フォトレジスト工程の前に、前記電極用金属膜付着工程で付着した前記電極用金属膜を、電圧が印加される第1領域と、前記基板上のアライメントマークの周辺を含む第2領域とを、レーザートリミングにより、電気的に分離する振動体デバイスの製造方法とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、薄膜形成時における熱膨張を面内一定にし外形を損なうことなく、基板上に形成された形状を高精度に視認できる振動体デバイスの製造方法を提供する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例における製造工程を説明するための図
【図2】本実施例における電極用金属膜の形成工程を説明するための図
【図3】本実施例における水晶基板上の電極用金属膜の形成状態を示す図
【図4】従来の振動体デバイスの製造工程を説明するための図
【図5】従来の振動体デバイスのアライメントマーク部の断面図
【図6】従来の電極用金属膜の形成工程を説明するための図
【図7】従来の水晶基板上の電極用金属膜の形成状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施する為の最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施例における製造工程を説明するための図である。図2は、本実施例における電極用金属膜の形成工程を説明するための図である。図3は、本実施例における水晶基板上の電極用金属膜の形成状態を示す図であり、図3(a)は水晶基板全体に示した図であり、図3(b)は図3(a)に示したB−B線での第2の領域及びアライメントマーク付近の拡大断面であり、図3(c)は、電着フォトレジストを付着した水晶基板の拡大断面である。
【0018】
まず、水晶基板1を板状に加工する(図1:S1)。次に、水晶基板1の表裏両面に蒸着法またはスパッタリング法によって下地層の金属膜としてCr膜2を500Å程度成膜し、続いてその上に表面層の金属膜としてAu膜3を1500Å程度積層し成膜する(図1:S2)。Cr膜2はAu膜3と水晶基板1との密着性を向上させる中間層として作用する。またAu膜3は後ほど水晶基板1をエッチングする際に用いるフッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液に対する耐蝕膜として作用する。
【0019】
次にAu膜3の表面にフォトレジストを塗布し、かつ乾燥させてフォトレジスト層を形成する(図1:S3)。フォトレジストとしては例えばポジ型フォトレジストを用いる。振動体の外形のフォトマスクを用いて露光、現像し、振動体の外形の内側にフォトレジスト層が残るようにし、外側のAu膜3を露出させる(図1:S4)。この際、後に電極パターンの位置決めに使用されるアライメントマーク4も露光、現像される。次に、露出されたAu膜3、Cr膜2をエッチングし除去する。このとき同時にアライメントマーク4部のAu膜3、Cr膜2もエッチングされ除去される。(図5)
【0020】
次に、水晶用のエッチング液である、フッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液を用いてエッチングを行い、振動体の外形を形成する。(図1:S5)。従来と同様に、アライメントマーク4はこの工程でハーフエッチングされ、断面が図5に示すように彫り込まれた状態になる。続いて、残存するフォトレジスト層を剥離した後、Au膜3、Cr膜2を全てエッチングして除去する(図1:S6)。
【0021】
次に、電極形成工程について説明する。まず、水晶基板1の表裏面および側面に電極用金属膜8をスパッタリング等で形成する(図1:S7)。電極用金属膜8としては例えば下地層をCr膜、表面層をAu膜とした積層膜を用いる。この際、図2に示すように、水晶基板1を点接触保持する点支持治具9を用い、水晶基板1の表裏面全面及び側面に電極膜を両面同時に成膜する。これにより、熱により膨張した水晶基板1及び点支持治具9がそれぞれの影響を最大限抑えられる為、水晶基板1を損傷する事が抑えられる。
【0022】
次に、レーザートリミング工程(図1:S8)について図3を用いて説明する。まず、アライメントマーク4を露光装置で精度よく視認させる為、電着フォトレジスト11が付着しないように、電極用金属膜8をレーザー10によりトリミングして、アライメントマーク4を含む第2の領域6とその他の部分である第1の領域5とを、絶縁させる。
【0023】
このようにすると、電極用金属膜8は、図3(a)のようにアライメントマーク4を含む第2の領域6と、第2の領域6を除く領域であって電圧が印加される第1の領域5を電気的に分離する事が出来る。ここに示した例では図3(a)に示すようにアライメントマーク4の外形を円形とし、アライメントマーク4を含む第2の領域6の外形を六角形としたが、これらの形状は任意に選択する事が出来る。しかしながら、露光機でアライメントマーク4を自動認識する際に、誤認識することが無いようにするために、アライメントマーク4の外形と第2の領域6の外形の形状は図3に示した例の様に、異なる形状にすることが望ましい。
【0024】
次に電極用金属膜8を電極として電着フォトレジスト11を付着する(図1:S9)。第2の領域6は第1の領域5と電気的に分離さされているので、図3(c)に示すように第2の領域6には電圧が印加されないために電着フォトレジスト11は形成されず、第1の領域5のみに電着フォトレジスト11が形成される。振動体は、表面のみでなく側面部も立体的に電着フォトレジスト11が形成される。
【0025】
次に露光装置の電極マスクにあるマスク側アライメントマークと水晶基板1上のアライメントマーク4とを用いて、位置合わせを行い、電極パターンを露光、現像し、電極を形成しない部分に相当する部分の電着フォトレジスト11を除去する。表面に露出した部分の電極用金属膜8をエッチングにより除去し(図1:S10)、電着フォトレジスト11を剥離すれば振動体が完成する(図1:S11)。完成した振動体を適宜、セラミック等からなるパッケージ内部に実装すれば、振動体デバイスが完成する。
【0026】
本実施例では、水晶基板を例に説明したが、水晶基板に限定するものではなくランガテイト等の圧電性材料からなる基板や、Si等の半導体材料からなる基板にも、適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 水晶基板
2 Cr膜
3 Au膜
4 アライメントマーク
5 第1の領域
6 第2の領域
7 遮蔽マスク
8 電極用金属膜
9 点支持治具
10 レーザー
11 電着フォトレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電性材料からなる基板から振動体を形成し、該振動体に電極を形成する振動体デバイスの製造方法であって、
前記基板から前記振動体の外形をエッチングで形成する外形形成工程と、
前記振動体の表裏面および側面部に、電極用金属膜を付着する電極用金属膜付着工程と、
前記電極用金属膜を電極として電圧を印加し電着フォトレジストを付着する電着フォトレジスト工程と、
前記電着フォトレジスト工程で付着した前記電着フォトレジストを露光、現像して振動体に電極を形成する電極形成工程とを有し、
前記電極用金属膜付着工程において、前記基板を点支持し、前記電極用金属膜の膜付けを行い、
前記電着フォトレジスト工程の前に、前記電極用金属膜付着工程で付着した前記電極用金属膜を、電圧が印加される第1領域と、前記基板上のアライメントマークの周辺を含む第2領域とを、レーザートリミングにより、電気的に分離することを特徴とする振動体デバイスの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231234(P2012−231234A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97169(P2011−97169)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】