説明

振動又は音波の測定装置、振動又は音波の測定方法、配管の減肉検知方法

【課題】センサが劣化することのなく、手間がかからず測定を行うことのできる被覆の施された配管に生じた振動測定装置を提供する。
【解決手段】振動測定装置1は、被覆11の施された配管10に生じた振動又は音波を測定する装置であって、一端が被覆11より突出し、他端が配管10に取り付けられた振動を伝達する振動伝達部材20と、振動伝達部材20に伝達された振動を測定する振動計21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材や保護カバーなどの被覆が施された配管の振動又は音波を測定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電所には配管が張り巡らされ、蒸気や冷却水などの気体又は液体が配管内部を通って輸送されている。このように気体や液体が通過する配管内部は気体や液体の流れの影響により配管の厚さが減少する減肉が発生する。このように、減肉が発生すると、その箇所の強度が低下してしまい、配管の破裂などの原因となる。そこで、センサにより配管に発生する振動や音波を測定し、測定した振動や音波に基づき配管の減肉の発生状況を検知する方法がある。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平6−201364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、発電所の配管は断熱材や保護用のカバーなどの被覆を施すことがある。このように被覆を施してしまうと、被覆の外側からでは配管に生じた振動や超音波を測定することはできないため、測定のたびに被覆を取り外さなければならない。このため、測定に時間と労力がかかってしまう。
また、配管に直接センサを取付け、その外側に被覆を施すことが考えられるが、配管に長期に亘って直接センサを取り付けていると、配管を流れる流体の熱の影響によりセンサの精度が低下してしまう虞がある。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、センサが劣化することのなく、手間がかからず測定を行うことのできる被覆の施された配管に生じた振動又は音波を測定する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の振動測定装置は、被覆の施された部材に生じた振動又は音波を測定する装置であって、一端が前記被覆より突出し、他端が前記部材に取り付けられた振動又は音波を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に伝達された振動又は音波を測定するセンサとを備えることを特徴とする。
上記の振動測定方法において、前記振動伝達部材を取り囲む筒状部材を備えてもよい。また、前記部材は、流体の流れる配管であってもよい。
【0006】
また、本発明の配管の減肉検知方法は、上記の振動測定方法により、測定された振動に基づき、配管の減肉の進行状況を判定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の振動測定方法は、被覆の施された部材に生じた振動又は音波を測定する方法であって、一端が前記被覆より突出するように振動又は音波を伝達する伝達部材の他端を前記部材に取付け、前記伝達部材に伝達された振動又は音波を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、測定の際に被覆を取り外す必要がないため、測定に手間がかからない。また、配管に取り付けた伝達部材に伝わった振動を測定するため、振動センサは高温に曝されることがなくセンサが劣化することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の振動測定装置及び方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の振動測定装置1を示す斜視図であり、図2は断面図である。図1及び図2に示すように、振動測定装置1による測定の対象となる発電所の配管10は、外周に衝撃などから配管10を保護するための保護カバーや、断熱材などの被覆11が取り付けられている。配管10の内部には、高温の流体が流れており、長期間に亘って高温の流体に曝されることにより配管10の厚さが減少する減肉が発生する。本実施形態の振動測定装置1は、このような配管10における減肉の有無を判定するため、被覆11の取付けられた配管10に生じた振動を測定する装置である。
【0010】
本実施形態の振動測定装置1は、一端が被覆11より突出し、他端が配管10に取付けられた振動伝達部材20と、振動伝達部材20に伝達した振動を測定する振動計21とで構成される。振動伝達部材20は、金属製の棒状に成形された部材からなり配管10に生じた振動を伝達する。被覆11の振動伝達部材20が取付けられる位置に当たる部分には、開口が設けられており振動伝達部材20はこの開口を通して配管10に取り付けられている。なお、被覆11に発生した振動が振動伝達部材20に伝達されてしまったり、振動伝達部材20に伝達された振動が被覆11に吸収されてしまったりすることを防止するため、振動伝達部材20と被覆11の間にはわずかに隙間が設けられている。
【0011】
配管10に流体が流れると振動が発生する。配管10に減肉が発生するとこの振動の周波数成分が変化する。配管10に発生した振動は、配管10の表面より振動伝達部材20に伝わる。配管10に減肉が発生すると、振動伝達部材20を伝わる振動も周波数成分が変化する。このため、振動伝達部材20を伝わった振動を振動計21で測定することにより、減肉の有無を判定することができる。
【0012】
以上説明したように、本実施形態の振動測定装置1によれば、振動伝達部材20を介して伝達された振動を測定するため、被覆11を取り付けた状態で測定を行うことができる。このため、測定のたびに被覆11を取り外す必要がなく、測定にかかる手間を削減することができる。
【0013】
なお、本実施形態では、配管10に生じた振動を測定する場合について説明したが、これに限らず、音波や超音波を測定する場合についても同様に適用することができる。
また、本実施形態では、振動伝達部材20を配管10に溶接により接続する構成としたが、これに限らず、マグネットにより取付けてもよく、また、接着剤などにより接着してもよい。
【0014】
また、本実施形態では、被覆11と振動伝達部材20との間に隙間を設ける構成としたが、配管10の表面が隙間より外部に露出されることが問題となるような場合には、図3に示すように、振動伝達部材20の周囲を筒状の保護部材22で覆う構成とすればよい。係る構成によれば、保護部材22により隙間を覆うことができる。また、常時、振動計21を振動伝達部材20に接続しておくような場合には、図4に示すように保護部材22が振動計21を覆うような構成としてもよい。
なお、本実施形態では発電所の配管10を測定対象とした場合について説明したが、これに限らず、例えば、断熱材等で被われたタービンなどの設備の振動を測定する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の振動測定装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の振動測定装置を示す断面図である。
【図3】保護部材を備える構成の振動測定装置を示す図である。
【図4】振動計を覆うような保護部材を備える構成の振動測定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 振動測定装置
10 配管
11 被覆
20 振動伝達部材
21 振動計
22 保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆の施された部材に生じた振動又は音波を測定する装置であって、
一端が前記被覆より突出し、他端が前記部材に取り付けられた振動又は音波を伝達する伝達部材と、
前記伝達部材に伝達された振動又は音波を測定するセンサとを備えることを特徴とする振動又は音波の測定装置。
【請求項2】
前記伝達部材を取り囲む筒状部材を備えることを特徴とする請求項1記載の振動又は音波の測定装置。
【請求項3】
前記部材は、流体の流れる配管であることを特徴とする請求項1又は2記載の振動又は音波の測定装置。
【請求項4】
請求項3記載の振動又は音波の測定装置により測定された振動又は音波に基づき、前記配管の減肉の有無を判定することを特徴とする配管の減肉検知方法。
【請求項5】
被覆の施された部材に生じた振動又は音波を測定する方法であって、
一端が前記被覆より突出するように振動又は音波を伝達する伝達部材の他端を前記部材に取付け、
前記伝達部材に伝達された振動又は音波を測定することを特徴とする振動又は音波の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−209296(P2008−209296A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47318(P2007−47318)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】