説明

振動抑制装置

【課題】エンジンを支持するマウント部の変位量に合わせて、エンジンの始動時にマウント部で受け持つ反力を調整可能な振動抑制装置を提供する。
【解決手段】被駆動部材に伝達する動力を出力するエンジンと、車体とエンジンとの間に介在され、かつ、エンジンの振動による反力を受け持つマウント部と、エンジンから被駆動部材に至る動力伝達経路に接続された動力装置とを有する振動抑制装置において、エンジンの始動時にマウント部の変位量を判断する変位量判断手段(ステップS3,S4,S5)と、変位量判断手段(ステップS3,S4,S5)により判断されたマウント部の変位量に基づいて、動力装置のトルクを制御するトルク制御手段(ステップS6)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの振動が車体に伝達されることを抑制することのできる、振動抑制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には駆動力源が搭載されており、その駆動力源のトルクが車輪に伝達されるように構成されており、車輪に伝達されるトルクを、要求駆動力に基づいて制御するように構成されている。このように、車両に搭載された駆動力源を制御する技術の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両は、駆動力源としてのエンジンを有しており、そのエンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に、動力分配統合機構が設けられている。この動力分配統合機構は、シングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、動力分配統合機構は、同軸上に配置されたサンギヤおよびリングギヤと、サンギヤおよびリングギヤに噛合されたピニオンギヤを、自転かつ公転可能に支持したキャリヤとを有している。そして、サンギヤには第1モータが動力伝達可能に接続され、キャリヤにはエンジンが動力伝達可能に接続されている。
【0003】
さらに、リングギヤにはリングギヤ軸が一体回転するように連結されており、そのリングギヤ軸には、減速ギヤを介在させて第2モータが動力伝達可能に接続されている。さらにまた、リングギヤ軸にはデファレンシャルギヤを介在させて駆動輪が動力伝達可能に接続されている。前記第1モータおよび第2モータは、発電機として駆動することができるとともに、電動機として駆動することができるものである。また、第1モータおよび第2モータにはインバータを介在させてバッテリが接続されている。さらに、第1モータおよび第2モータおよびエンジンを制御するハイブリッド用電子制御ユニットが設けられており、そのハイブリッド用電子制御ユニットに入力される信号に基づいて、エンジンおよび第1モータおよび第2モータが制御される。具体的には、停止している内燃機関を始動する始動指示がなされた場合は、第1モータのトルクで内燃機関をクランキングするとともに、燃料噴射をおこなって燃焼させ、さらに、内燃機関で完爆したか否かを判定する。さらに、第1モータで内燃機関をクランキングするときに、リングギヤ軸に反力として作用する反力トルクをキャンセルするためのキャンセルトルクを求める。また、車速およびアクセル開度に基づいて、内燃機関の要求トルクが求められている。
【0004】
そして、内燃機関では始動時にトルク脈動が生じるため、要求トルクが零に近いときに、エンジンのトルク変動やトルク脈動が生じると、トルクの符号が反転して振動を発生させる要因となる。そこで、反力トルクとキャンセルトルクとの和が、要求トルクの符号と同じ方向となるように、キャンセルトルクを設定することにより、リングギヤ軸に作用するトルクの反転を抑制している。このキャンセルトルクを第2モータを制御して出力することにより、内燃機関の始動時におけるリングギヤ軸の振動を抑制している。
【0005】
【特許文献1】特開2005−184999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両にエンジンを搭載する場合、マウント部を介在させて車体に取り付けられている。このマウント部は、ゴム材料を主体として構成されており、出力軸の振動でエンジン自体が振動した場合、その振動をマウント部のバネ力により吸収して、振動が車体に伝達されることを抑制している。このため、経時変化によりマウント部の剛性が低下して変位量が増加すると、エンジンの振動が車体に伝達される可能性がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された車両の制御装置においては、エンジンと車体との間に介在されるマウント部の変位量については考慮がなされておらず、エンジンの始動時における振動が車体に伝達される虞があった。
【0008】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、エンジンを支持するマウント部の変位量が変化した場合でも、エンジンの振動が車体に伝達されることを抑制可能な振動抑制装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、被駆動部材に伝達する動力を出力するエンジンと、このエンジンと車体との間に介在され、かつ、前記エンジンの振動時の反力を受け持つマウント部と、前記エンジンから前記被駆動部材に至る動力伝達経路に接続された動力装置とを有する振動抑制装置において、前記エンジンの始動時に前記マウント部の変位量を判断する変位量判断手段と、この変位量判断手段により判断された前記マウント部の変位量に基づいて、前記エンジンの始動時における前記動力装置のトルクを制御するトルク制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は請求項1の構成に加えて、前記トルク制御手段は、前記マウント部の変位量が相対的に大きいほど、前記動力装置のトルクを相対的に低くする手段を含むことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記変位量判断手段は、前記エンジンの始動時における振動加速度を判断し、その振動加速度の判断結果に基づいて前記マウント部の変位量を間接的に判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記変位量判断手段は、前記エンジンの始動時にそのエンジンの出力軸の回転中心となる軸線の周囲における振動加速度を判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3の構成に加えて、前記変位量判断手段は、前記動力装置の回転数の変化、またはエンジン回転数の変化に基づいて、前記振動加速度を判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの構成に加えて、前記被駆動部材が車両の車輪であり、前記動力装置のトルクを前記車輪に伝達し、かつ、前記エンジンが停止しているときに、そのエンジンを始動させる条件が成立したか否かを判断する始動判断手段を有し、前記変位量判断手段は、前記始動判断手段により前記エンジンを始動させる条件が成立した場合に、前記マウント部で受け持つ反力を判断する手段を含むことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの構成に加えて、前記エンジンから被駆動部材に至る動力伝達経路に、差動回転可能な3個の回転要素を有する動力分配装置が設けられており、この動力分配装置は、入力要素および反力要素および出力要素を有しており、前記入力要素が前記エンジンに動力伝達可能に接続され、前記出力要素が前記被駆動部材に動力伝達可能に接続されており、前記反力要素に反力受け持ち装置が接続されており、前記反力受け持ち装置の回転数を制御して、前記入力要素と前記出力要素との間における変速比を無段階に変更する制御をおこなうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、エンジンの始動時に、エンジンを支持するマウント部の変位量に基づいて動力装置のトルクを制御することにより、マウント部で受け持つ反力を低減して、エンジンの振動が車体に伝達されることを抑制できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、マウント部の変位量が相対的に大きくなることにともない、動力装置のトルクが相対的に低く制御される。したがって、マウント部の変位量が増加するほど、マウント部で受け持つ反力を低減できる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、エンジンの始動時における振動加速度を判断し、その振動加速度の判断結果に基づいて、マウント部の変位量を間接的に判断することができる。したがって、マウント部の変位量を一層確実に判断できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる他に、エンジンの始動時に、軸線の周囲における振動加速度を判断する。したがって、振動加速度を一層確実に判断できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる他に、動力装置の回転数の変化、またはエンジン回転数の変化に基づいて、振動加速度を判断することができ、振動加速度を一層確実に判断できる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、動力装置のトルクを車輪に伝達し、かつ、エンジンが停止しているときに、そのエンジンを始動させる条件が成立した場合に、マウント部で受け持つ反力を判断する。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、反力受け持ち装置の回転数を制御して、入力要素と出力要素との間における変速比を無段階に変更する制御をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明は車両に用いられるものであり、被駆動部材には車輪の他、駆動力源から車輪に至る動力伝達経路に設けられるトルク伝達要素、具体的には、回転軸、歯車、プーリ、ベルト、スプロケット、チェーン、ディスク、ローラなどが含まれる。そして、内燃機関の動力が車輪に伝達されて、駆動力が生じる。前記車両は、地上を走行する走行体であり、車両には乗用車、運搬車、トラック、バスなどが含まれる。また、車体は、車両の一部を構成する補強部材であり、フレームの無いフレームレス構造、またはフレームがあるモノコック構造のいずれでもよい。前記エンジンは、燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置であり、出力軸が軸線を中心として回転する。このエンジンとしては内燃機関、具体的には、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、LPGエンジンなど用いることが可能である。
【0024】
この発明における動力装置は、被駆動部材に伝達する動力を発生する動力装置であり、動力装置には、電動機および油圧モータが含まれる。ここで、電動機としては、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電機エネルギに変換する回生機能とを兼備したモータジェネレータを用いることができる。さらに、この発明における動力分配装置は、差動回転可能な3個の回転要素を備えており、動力分配装置としては、遊星機構、具体的には遊星歯車機構、遊星ローラ機構を用いることが可能である。遊星歯車機構は、歯車同士の噛み合い力により動力伝達をおこなう伝動装置である。遊星歯車機構は、シングルピニオン型の遊星歯車機構、またはダブルピニオン型の遊星歯車機構のいずれでもよい。遊星ローラ機構は、作動油のせん断力を用いて動力伝達をおこなうトラクション伝動装置である。
【0025】
この発明における反力受け持ち装置は、エンジントルクを動力分配装置の出力要素に伝達する場合に反力を受け持つ装置であり、また、動力分配装置は、変速比を無段階に変更可能な無段変速機である。この発明における反力受け持ち装置としては、電動機または油圧モータを用いることが可能である。ここで、電動機としては、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電機エネルギに変換する回生機能とを兼備したモータジェネレータを用いることができる。この発明におけるマウント部は、車体とエンジンとの間に介在されており、エンジンの振動が車体に伝達されることを抑制する機能を有する。このマウント部はエンジンの反力を受け持つものであり、経時変化により変位量が変化する。さらに、この発明で判断されるマウント部の変位量は、経時変化によるものの他に、使用環境、例えば、温度変化、走行距離の変化、個体差に基づくものあってもよい。すなわち、時間以外のパラメータによりマウント部の変位量が変化する場合も、この発明で判断されるマウント部の変位量に含まれる。
【0026】
図2は、この発明の振動抑制装置を有する車両1の概念図である。図2に示された車両1は、駆動力源としてのエンジン2を有している。このエンジン2は、車輪3に伝達する動力を発生する動力装置であり、燃焼室に燃料を供給するとともに、その燃料を燃焼させて熱エネルギを発生させ、その熱エネルギをピストンの往復運動に変換し、そのピストンの往復運動をクランクシャフト2Aの回転運動に変換して出力する構成を有する。前記エンジン2は、吸気装置、排気装置、燃料噴射装置、点火装置などを有する公知のものである。そして、エンジン2は、吸入空気量、燃料噴射量、点火時期などを制御することにより、エンジン出力、すなわち、エンジン回転数およびエンジントルクを制御することが可能である。
【0027】
つぎに、エンジン2を支持する機構について説明する。車両1の進行方向(矢印A1に沿った方向)で前部にはエンジンルームが形成されており、そのエンジンルーム内にエンジン2が配置されている。このエンジン2は車体4により支持されている。この車体4は、フレームがあるフレーム型の車体、またはフレームが無いモノコック型の車体のいずれでもよい。そして、図3に示すように、エンジン2はマウント部5を介在させて車体4で支持されている。このマウント部5は、エンジンマウンティングブラケットおよびエンジンマウンティングインシュレータなどの部品により構成されている。エンジンマウンティングブラケットは金属材料により構成されており、エンジンマウンティングインシュレータはゴム材料を主体として構成されている。このマウント部5は、エンジン2の振動が車体4に伝達されることを抑制する部品であり、エンジンマウンティングインシュレータに使用されるゴム材料としては、天然ゴム(NR)またはブチルゴム(IIR)または天然ゴムとスチレンブタジェンゴムとを複合したゴムなどが挙げられる。
【0028】
この実施例では、エンジン2のクランクシャフト2Aは、軸線B1を中心として回転可能に支持されている。この実施例では、図3に示すように、軸線B1を中心としてクランクシャフト2Aが時計方向に回転する。この軸線B1は車両1の左右方向、つまり、幅方向に沿って配置されている。つまり、エンジン2は横置きされている。そして、この実施例では、車両1の前後方向で異なる位置に、マウント部5が複数個、実施例では2個が配置されている。より具体的には、軸線B1よりも前方に1個のマウント部5が配置され、軸線B1よりも後方に1個のマウント部5が配置されている。このようにして、エンジンは2個のマウント部5により、軸線B1とほぼ垂直な平面内で揺動可能に支持されている。言い換えれば、エンジンマウンティングインシュレータが弾性変形可能な範囲で、エンジン2が軸線B1の周囲でローリング運動が可能に支持されている。
【0029】
つぎに、エンジン2から車輪3に至る動力伝達経路の構成を説明する。この動力伝達経路には、動力分配装置6および減速機7およびデファレンシャル8が設けられている。これらの動力分配装置6および減速機7およびデファレンシャル8はケーシング(図示せず)の内部に設けられている。まず、動力分配装置6は、エンジン2の動力をモータ・ジェネレータ9,10または車輪3に分配することの可能な装置である。この動力分配装置6は、相互に差動回転可能な3つの回転要素を有する。具体的に説明すると、動力分配装置6は、シングルピニオン型の遊星歯車機構を主体として構成されている。すなわち、動力分配装置6は、外歯歯車であるサンギヤ11と、内歯歯車であるリングギヤ12とを同軸上に配置するとともに、サンギヤ11およびリングギヤ12に噛合する複数のピニオンギヤ13を設け、その複数のピニオンギヤ13を自転・公転可能に支持するキャリヤ14を有している。そして、動力分配装置6の入力要素であるキャリヤ14が、インプットシャフト15に動力伝達可能に接続され、反力要素であるサンギヤ11が、モータ・ジェネレータ9のロータ16に接続され、出力要素であるリングギヤ12が、コネクティングドラム17に接続されている。モータ・ジェネレータ9のステータ18は、ケーシングに固定されている。
【0030】
前記インプットシャフト15は軸線B1を中心として回転可能に支持されており、クランクシャフト2Aとインプットシャフト15とが、ダンパ機構19を介在させて動力伝達可能に接続されている。このダンパ機構19は、エンジントルクの変動を吸収もしくは緩和する機構である。また、モータ・ジェネレータ10のロータ20がコネクティングドラム17と動力伝達可能に接続されている。なお、モータ・ジェネレータ10のステータ21はケーシングに固定されている。前記モータ・ジェネレータ9,10としては、例えば、三相交流型のモータ・ジェネレータを用いることができ、そのモータ・ジェネレータ9,10には、インバータ22を介在させて蓄電装置23が接続されている。この蓄電装置23は放電および充電をおこなうことの可能な二次電池であり、蓄電装置23としてはバッテリまたはキャパシタを用いることができる。
【0031】
また、蓄電装置23に加えて、燃料電池を設けることも可能である。燃料電池は、酸素と水素とを反応させて起電力を生じる発電機である。そして、モータ・ジェネレータ9,10に電力を供給すると、モータ・ジェネレータ9,10が電動機として駆動され、モータ・ジェネレータ9,10を発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置23に充電することも可能である。そして、動力分配装置6においては、モータ・ジェネレータ9の回転数を制御することにより、キャリヤ14とリングギヤ12との間の変速比を無段階に制御することが可能である。つまり、動力分配装置6は無段変速機としての機能を兼備している。さらに、コネクティングドラム17の動力が減速機7を経由してデファレンシャル8に伝達される構成である。この減速機7は、歯車伝動装置、巻き掛け伝動装置などにより構成されている。デファレンシャル8にはドライブシャフト24が動力伝達可能に接続されており、そのドライブシャフト24に車輪3が動力伝達可能に接続されている。
【0032】
つぎに、車両1の制御系統を説明すると、車両1に搭載されたシステムを制御するコントローラとして電子制御装置25が設けられている。この電子制御装置25は、車速、加速要求、減速要求、エンジン回転数およびエンジントルク、モータ・ジェネレータ9,10の回転数およびトルク、蓄電装置23の充電量(SOC:state of charge)、エンジン2を冷却する冷却水の温度、エンジン2の潤滑系統に供給される潤滑油の温度、車両1の周囲の外気温度、車両1が走行する路面の勾配、車両1の前後方向における加速度、車両1が走行可能であるか否かなどのパラメータを、各種のセンサおよびスイッチの信号から判断する。前記の加速要求は、アクセルペダルの踏み込み量、つまり、アクセル開度に基づいて判断可能である。
【0033】
さらに、車両1が走行可能であるか否かは、エンジン2の制御条件およびモータ・ジェネレータ9の制御条件から判断される。例えば、エンジン2に燃料を供給し、かつ、エンジン2をモータ・ジェネレータ9のトルクでクランキングさせて始動させ、かつ、エンジン2を自律回転させる、という一連の制御を実行可能である場合は、車両1が走行可能であると判断されて、レディオン(Ready-On)の信号が発生する。また、電子制御装置25には、エンジン2の運転および停止を制御するデータおよびマップ、エンジン2を運転させる場合のエンジントルクおよび回転数を制御するデータおよびマップ、さらにはモータ・ジェネレータ9,10の力行制御・回生制御・停止を制御するためのデータおよびマップ、モータ・ジェネレータトルクおよび回転数を制御するためのデータおよびマップが記憶されている。
【0034】
つぎに、車両1の制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、エンジン始動モード中であるか否か、つまり、エンジン2を始動させる条件が成立しているか否かが判断される(ステップS1)。前記のように、電子制御装置25には、エンジン2およびモータ・ジェネレータ10の運転および停止を制御するマップおよびデータが記憶されている。例えば、車速およびアクセル開度に基づいて車両1における要求駆動力が求められ、その要求駆動力に基づいて総合目標パワーを求め、その目標パワーから、エンジン2の運転および停止、さらにはエンジン2を運転する場合の目標パワーが求められ、モータ・ジェネレータ10の運転および停止、さらには、モータ・ジェネレータ10を電動機として駆動する場合の目標パワーが求められる。また、エンジン2の目標パワーおよびモータ・ジェネレータ10の目標パワーを制御するにあたり、エンジン2の燃費が最適となるように、最適燃費線を定めたマップが電子制御装置25に記憶されている。このマップでは、エンジン2の実パワーを目標パワーに近づけるに際して、エンジン2の運転状態が最適燃費線に沿ったものとなるように、目標エンジントルクおよび目標エンジン回転数が定められている。
【0035】
ステップS1では、これらのマップおよびデータを用いて、エンジン2を始動する条件が成立しているか否かが判断される。例えば、車両1の発進時、または軽負荷走行時などのように、車速が相対的に低く、かつ、アクセル開度が相対的に少ない条件では、エンジン2の燃費が相対的に低くなる可能性があるため、モータ・ジェネレータ10のトルクを車輪3に伝達して駆動力を発生させるモード、つまり、電気自動車モードが選択される。この電気自動車モードを継続する場合は、ステップS1で否定的に判断されて、リターンされる。なお、電気自動車モードが選択されている場合は、エンジン2においては燃料の供給が停止され、かつ、クランクシャフト2Aも停止している。さらに、モータ・ジェネレータ9は逆回転(空転)している。
【0036】
これに対して、電気自動車モードが選択されて車両1が走行している際に、蓄電装置23の充電量が低下したこと、または、アクセル開度が増加したこと、または、エンジン2を始動させることを想定した時の燃費が相対的に良好な領域であること、のうち少なくとも1つの事項が検知された場合は、停止しているエンジン2を始動させる条件が成立し、ステップS1で肯定的に判断される。このように、エンジン2を始動させる条件が成立した場合は、モータ・ジェネレータ10のトルクをエンジン2のクランクシャフト2Aに伝達して、エンジン2をクランキングさせるとともに、エンジン2に燃料を供給する制御がおこなわれ、かつ、その燃料の燃焼によりエンジン2が自律回転する。このように、エンジン2をクランキングさせるとき、逆回転しているモータ・ジェネレータ9を回生制御することで、クランキングトルクが発生し、そのクランキングトルクの反力は、モータ・ジェネレータ10が受け持つ。
【0037】
このようにエンジン2を始動させる場合、クランクシャフト2Aのトルク変動が発生し、その振動がマウント部5を経由して、車体4に伝達される可能性がある。この実施例では、ステップS1で肯定的に判断されて、エンジン2を始動させるときに、エンジン2の振動が車体4に伝達されることを抑制するために、振動抑制制御をおこなうことが可能である。この実施例で説明する振動抑制制御は、マウント部5の変位量に基づいてモータ・ジェネレータ10のトルクを制御することにより、エンジン2の始動時における振動が、車体4に伝達されることを抑制している。
【0038】
そこで、前記のステップS1で肯定的に判断された場合は、振動抑制制御をおこなうための前提条件が成立しているか否かが判断される(ステップS2)。この前提条件は、マウント部5のバネ定数が変化する環境では、振動抑制制御をおこなわないために定められている。前提条件は複数あり、いずれか1つの前提条件を選択してもよいし、複数の前提条件を用いてもよい。例えば、エンジン2の潤滑油または冷却水の温度が、予め定められた所定温度以上である場合は、燃料の燃焼状態が良好であり、エンジントルクの変動幅が相対的に小さいので、前提条件が成立と判断される。これに対して、エンジン2の潤滑油または冷却水の温度が、予め定められた所定温度未満である場合は、燃料の燃焼状態が不安定となり、エンジントルクの変動幅が相対的に大きくなるため、前提条件は不成立と判断される。
【0039】
また、前記したレディオンの信号が発生してから、所定時間が経過した場合は、燃料の燃焼状態が良好でエンジントルクの変動幅が相対的に小さいため、前提条件が成立と判断される。これに対して、前記したレディオンの信号が発生してから、所定時間が経過する前では、燃料の燃焼状態が不安定でエンジントルクの変動幅が相対的に大きいため、前提条件は不成立と判断される。さらに、外気温度が予め定められた温度以上である場合は、マウント部5のバネ力が相対的に大きくなるため、前提条件が成立と判断される。これに対して、外気温度が予め定められた温度未満である場合は、マウント部5のバネ力が相対的に小さくなるため、前提条件は不成立と判断される。さらにまた、車両1の前後方向における路面の勾配が、平坦路に対して予め定められた角度以下である場合は、2個のマウント部5に作用するエンジン2の荷重比が略均等であるため、前提条件が成立と判断される。これに対して、車両1の前後方向における路面の勾配が、平坦路に対して予め定められた角度を越えている場合は、2個のマウント部5に作用するエンジン2の荷重比がアンバランスになるため、前提条件は不成立と判断される。
【0040】
つまり、実施例では、車両1の前後方向に沿って2個のマウント部5が配置されており、かつ、軸線B1が車両1の幅方向に沿って配置されているため、車両1の前後方向における路面の勾配から、マウント部5の変位量を判断し、その判断結果に基づいて前提条件の成立および不成立を判断している。このように、前提条件が不成立である場合は、マウント部5の変位量に基づいてモータ・ジェネレータ10のトルクを制御しても、エンジン2を始動する時の振動が車体4に伝達されることを抑制できないため、ステップS2で否定的に判断された場合は、振動抑制制御をおこなうことなくスタートに戻る。
【0041】
一方、ステップS2で肯定的に判断された場合は、車両1の前後方向における加速度(前後G)を計測し、かつ、ハイパスフィルタ処理をおこなう(ステップS3)。ステップS3のハイパスフィルタ処理は、予め定めた所定値以上の前後加速度を抽出し、予め定めた所定値未満の前後加速度は除外する処理である。つまり、予め定めた所定値以上の前後加速度は、エンジン2の始動による振動で生じたものとして取り扱っている。これに対して、予め定めた所定値未満の前後加速度は、車両1の発進に伴う加速度であるため除外する。なお、モータ・ジェネレータ10のトルクにより車両1が走行することにより生じている加速度(DC成分)の変化を除外することが可能であれば、ステップS3でハイパスフィルタ処理をおこなわなくてもよい。
【0042】
そして、ステップS3についでおこなわれるステップS4では、抽出されている前後加速度のうちの最大値を算出する。さらに、前後加速度の最大値が、予め電子制御装置25に記憶されている所定値を越えているか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5の判断に用いる所定値は、固定値でもよいし、車速に対応させて所定値を変更するマップを用意してもよい。例えば、車速が相対的に高いほど、所定値を相対的に大きくする特性のマップを用意できる。また、実際の車両1毎の加速度の感度を所期学習しておき、その学習値を用いて所定値を決定してもよい。上記のステップS3,S4,S5の処理は、車両1で生じる前後方向の加速度から、マウント部5の変位量を間接的に判断するステップである。
【0043】
つぎに、マウント部5のバネ力と変位量(撓み量)との関係を、図4の線図に基づいて説明する。図4では、横軸に変位量が示され、縦軸にバネ力が示されている。ここで、バネ力が大きいほど、マウント部5の変位量は大きくなる。また、変位量が所定量以下である場合のバネ力の変化特性と、変位量が所定量を越えた場合のバネ力の変化特性とは異なる。具体的には、変位量が所定量以下である場合のバネ力の変化勾配よりも、変位量が所定量を越えた場合のバネ力の変化勾配の方が急勾配である。さらに、経時変化により、マウント部5の特性は、破線で示すように変化する。具体的には、反力が一定でも変位量が増加する。これはストッパ領域と呼ばれ、エンジン2の振動が車体4に伝達されやすくなる。
【0044】
そして、ステップS5で否定的に判断された場合は、振動抑制制御をおこなうことなくスタートに戻る。これに対して、ステップS5で肯定的に判断された場合は、エンジン2の始動により生じる振動が、マウント部5を経由して車体4に伝達される可能性があるため、ステップS6で振動抑制制御をおこない、スタートに戻る。
【0045】
このステップS6でおこなう振動抑制制御は、エンジン2の始動時に生じる振動を抑制するために、モータ・ジェネレータ10で発生するトルクの値を、マウント部5の変位量に基づいて調整する制御である。具体的には、エンジン2の始動時に、マウント部5の変位量が相対的に大きくなるほど、モータ・ジェネレータ10のトルクを相対的に低くする。より具体的に説明すると、エンジン2の始動時には、モータ・ジェネレータ10のトルクを、所定値(しきい値)から上昇させる処理、つまり、レート処理をおこなう。そこで、マウント部5の変位量が増加するほど、レート処理を開始する基準となる所定値を低下させる制御である。また、エンジンマウンティングインシュレータのゴム材料の劣化の進行程度が多くなるほど、上記の所定値を累積的に低下させる制御をおこなうこともできる。
【0046】
つぎに、図1のフローチャートに対応するタイムチャートの一例を図5に示す。図5において、時刻t1以前には、アクセル開度が略一定であり、かつ、モータ・ジェネレータ10のトルクが略一定、例えば、トルクtg1に制御されている。具体的には、要求駆動力に対応するモータ・ジェネレータ10の目標パワーに基づいて、トルクtg1が求められている。また、時刻t1以前では、エンジン始動モードがOFFされており、かつ、エンジン回転数は零である。さらに、車速が略一定であるため、前後方向の加速度(前後G)は零である。
【0047】
そして、時刻t1でアクセル開度が増加して、エンジン始動モードがONされると、モータ・ジェネレータ9のトルクによりエンジン2のクランキングが開始されて、エンジン回転数が上昇を開始するとともに、モータ・ジェネレータ10のトルクが、トルクtg1からトルクtg2まで増加される。このトルクtg2が、ステップS6で求めた所定値である。また、時刻t1から時刻t2の間、モータ・ジェネレータ10のトルクは、実線で示すようにトルクtg2に維持される。このように、エンジン2の始動が開始されると、エンジントルクの変動が車体に伝達されて、前後方向の加速度が実線で示すように変化する。そして、時刻t2でエンジン始動モードがOFFされる。
【0048】
この時刻t2以降は、モータ・ジェネレータ10のトルクを、予め定められた勾配で上昇させる処理、つまり、レート処理がおこなわれる。この予め定められた勾配は、実験またはシミュレーションによって得られた値であり、電子制御装置25に記憶されている。そして、時刻t3以降はアクセル開度が略一定に保持されており、この時刻t3以降もエンジン回転数および車速は上昇している。また、時刻t3以降は前後方向の加速度も略一定となっている。さらに、時刻t3以降はモータ・ジェネレータ10のトルクも略一定に制御されている。
【0049】
図5のタイムチャートに破線で示されたモータ・ジェネレータのトルク、および破線で示された前後方向の加速度は、比較例の制御に相当する。比較例とは、マウント部のゴム材料の変位量に関わりなく、エンジンの始動時に、モータ・ジェネレータのトルクを一律に増加させる制御である。この比較例では、モータ・ジェネレータのトルクでレート処理を開始する基準となる所定値が、トルクtg3で表されている。つまり、実施例および比較例共に、時刻t1以前のトルクtg1は同じであるが、実施例で用いるトルクtg2はトルクtg3よりも低いことが明らかである。そして、エンジンの始動時にモータ・ジェネレータのトルクが、実施例のトルクtg2よりも高い比較例のトルクtg3に制御されると、車両1の前後方向における加速度は破線で示すように変化する。
【0050】
具体的には、時刻t1から時刻t3の間において、前後方向における加速度の変化幅は、実施例よりも比較例の方が広くなることが明らかである。なお、比較例のモータ・ジェネレータのトルクは時刻t2以降も上昇し、時刻t3以降のある時点で実施例と略一致している。上記のように、この実施例では、経時変化によるマウント部5の変位量の特性に基づいて、エンジン2の始動時にモータ・ジェネレータ10のトルクを制御している。より具体的には、モータ・ジェネレータ10のトルクを低下させることで、エンジン2の始動時にマウント部5で受け持つ反力を低減させて、車体4に振動が伝達されることを抑制している。すなわち、エンジン2の振動が車体4に伝達される感度を低減できる。
【0051】
なお、上記の説明では、車両1の前後方向における加速度を用いて、モータ・ジェネレータ10のトルクを制御しているが、他のパラメータを用いてモータ・ジェネレータ10のトルクを制御することもできる。要は、エンジン2の始動時における振動加速度を判定し、その判定結果に基づいて、モータ・ジェネレータ10のトルクを制御すればよい。例えば、ステップS3で、モータ・ジェネレータ10の回転数の変化量、またはエンジン回転数の変化量を求め、ステップS4で、モータ・ジェネレータ10の回転数の変化量の最大値、またはエンジン回転数の変化量の最大値を求め、ステップS5では、モータ・ジェネレータ10の回転数の変化量の最大値が所定値を越えているか否か、またはエンジン回転数の変化量の最大値が所定値を越えているか否かの判断をおこない、そのステップS5で肯定的に判断された場合はステップS6に進み、そのステップS5で否定的に判断された場合にリターンする処理をおこなうことができる。
【0052】
また、図2に示す車両1では、エンジン2のクランクシャフト2Aの回転中心である軸線B1が、車両1の幅方向に沿って設けられており、かつ、2個のマウント部5が車両1の前後方向に設けられているため、ステップS3,S4,S5では、車両1の前後方向における加速度を用いているが、エンジンのクランクシャフトの軸線が車両の前後方向に配置されており、かつ、車両の左右方向にマウント部が複数配置されたレイアウトの場合は、ステップS3,S4,S5で、車両の前後方向の加速度に代えて、車両の左右方向の加速度を用いて、マウント部の変位量を間接的に判断し、その判断結果に基づいてモータ・ジェネレータのトルクを制御すればよい。さらに、エンジンを支持するマウント部が、車両の上下方向、つまり重力の作用方向に複数設けられている場合は、ステップS3,S4,S5で車両の上下方向における加速度を用いることも可能である。
【0053】
ここで、この実施例で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、車輪3およびデファレンシャル8および減速機7が、この発明における被駆動部材に相当し、モータ・ジェネレータ10が、この発明の動力装置に相当し、動力分配装置6が、この発明の動力分配装置に相当し、サンギヤ11が、この発明の反力要素に相当し、キャリヤ14が、この発明の入力要素に相当し、リングギヤ12およびコネクティングドラム17が、この発明の出力要素に相当し、モータ・ジェネレータ9が、この発明の反力受け持ち装置に相当し、クランクシャフト2Aが、この発明の出力軸に相当する。また、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS3,S4,S5が、この発明の変位量判断手段に相当し、ステップS6が、この発明のトルク制御手段に相当し、ステップS1が、この発明の始動判断手段に相当する。なお、この発明の対象は、図2に示されたパワートレーンを有する車両に限定されるものではない。例えば、エンジントルクが前輪に伝達される二輪駆動車、エンジントルクが後輪に伝達される二輪駆動車、エンジントルクが前輪および後輪に伝達される四輪駆動車のいずれにも適用可能である。また、エンジンの搭載位置は、車両の走行方向における車体の前部に限られるものではなく、車体の中央部または車体の後部であっても、この発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の制御例を示すフローチャートである。
【図2】図1の制御例を実行可能な車両の構成を示す概念図である。
【図3】図2に示された車両において、エンジンの搭載構造を示す図である。
【図4】図2および図3に示されたマウント部の反力特性を示す線図である。
【図5】図1の制御例に対応するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
【0055】
1…車両、 2…エンジン、 2A…クランクシャフト、 3…車輪、 4…車体、 6…動力分配装置、 11…サンギヤ、 14…キャリヤ、 12…リングギヤ、 17…コネクティングドラム、 9,10…モータ・ジェネレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部材に伝達する動力を出力するエンジンと、このエンジンと車体との間に介在され、かつ、前記エンジンの振動時の反力を受け持つマウント部と、前記エンジンから前記被駆動部材に至る動力伝達経路に接続された動力装置とを有する振動抑制装置において、
前記エンジンの始動時に前記マウント部の変位量を判断する変位量判断手段と、
この変位量判断手段により判断された前記マウント部の変位量に基づいて、前記エンジンの始動時における前記動力装置のトルクを制御するトルク制御手段と
を備えていることを特徴とする振動抑制装置。
【請求項2】
前記トルク制御手段は、前記マウント部の変位量が相対的に大きいほど、前記動力装置のトルクを相対的に低くする手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の振動抑制装置。
【請求項3】
前記変位量判断手段は、前記エンジンの始動時における振動加速度を判断し、その振動加速度の判断結果に基づいて前記マウント部の変位量を間接的に判断する手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の振動抑制装置。
【請求項4】
前記変位量判断手段は、前記エンジンの始動時にそのエンジンの出力軸の回転中心となる軸線の周囲における振動加速度を判断する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の振動抑制装置。
【請求項5】
前記変位量判断手段は、前記動力装置の回転数の変化、またはエンジン回転数の変化に基づいて、前記振動加速度を判断する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の振動抑制装置。
【請求項6】
前記被駆動部材が車両の車輪であり、
前記動力装置のトルクを前記車輪に伝達し、かつ、前記エンジンが停止しているときに、そのエンジンを始動させる条件が成立したか否かを判断する始動判断手段を有し、
前記変位量判断手段は、前記始動判断手段により前記エンジンを始動させる条件が成立した場合に、前記マウント部で受け持つ反力を判断する手段を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の振動抑制装置。
【請求項7】
前記エンジンから被駆動部材に至る動力伝達経路に、差動回転可能な3個の回転要素を有する動力分配装置が設けられており、この動力分配装置は、入力要素および反力要素および出力要素を有しており、前記入力要素が前記エンジンに動力伝達可能に接続され、前記出力要素が前記被駆動部材に動力伝達可能に接続されており、前記反力要素に反力受け持ち装置が接続されており、
前記反力受け持ち装置の回転数を制御して、前記入力要素と前記出力要素との間における変速比を無段階に変更する制御をおこなうことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の振動抑制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−257130(P2009−257130A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105008(P2008−105008)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】