説明

振動支援型の経皮的な薬剤の送達法および系

角質層を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺するために適合した複数の微小突起(またはそのアレイ)を含む微小突起部材(または系)を有する送達系、生物学的に活性な薬剤を有する製剤、および振動誘導デバイスを含んでなる、生物学的に活性な薬剤を経皮的に送達する装置および方法。1つの態様では、生物学的に活性な薬剤は、微小突起部材に適用される生物適合性コーティングに含まれる。さらなる態様では、送達系は、患者の皮膚に適用された後に微小突起部材上に配置される薬剤を含有するヒドロゲル製剤を有するゲルパックを含む。代替的な態様では、生物学的に活性な薬剤はコーティングおよびヒドロゲル製剤の両方に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連分野
本出願は、2004年1月9日に出願された特許文献1の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、一般的には経皮的な薬剤の送達系および方法に関する。より詳細には本発明は、振動支援型(frequency assisted)の経皮的な薬剤の送達法および系に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
活性な薬剤(または薬剤)は、最も普通には経口的に、または注射を介して投与される。不幸なことに、多くの活性な薬剤は血流に入る前に吸収されないか、または悪影響を受けるので経口的に投与された時、完全に非効果的であるか、または根本的に低下した効力を有し、したがって望まれる活性を保有しない。一方で、薬剤の血流への直接注射は、投与中に薬剤が修飾されないことは確実であるが、難しく、不便であり、痛く、しかも場合により患者のよくないコンプライアンスを生じる不快な手順である。
【0003】
代わりに、経皮的送達はそうしなければ皮下注射もしくは静脈内注入を介して、または経口的に送達される必要がある活性な生物学的に活性な薬剤、特にワクチンの投与法を提供する。経皮的なワクチンの送達は、これらの両分野に改善を提供する。経口的送達と比べた時、経皮的送達は消化管の苛酷な環境を回避し、胃腸管による薬剤の代謝を迂回し、初回通過効果を下げ、そして消化および肝臓の酵素による不活性化の可能性を回避する。逆に、消化管は経皮的投与中にワクチンに供されない。
【0004】
「経皮的」という用語は、本明細書では皮膚層をわたる薬剤(例えば薬剤のような治療薬、またはワクチンのような免疫学的に活性な薬剤)の、外科用ナイフを用いた切開または皮下注射用針を用いた皮膚の穿刺のような、実質的な皮膚の切開または貫通無しに、薬剤を皮膚を通して局所組織または全身の循環系に送達することを指す。経皮的な薬剤の送達には、能動的拡散を介する送達ならびに電気(例えばイオン導入)および超音波(例えばフォノフォレシス(phonophoresis))のような外部のエネルギー源に基づく送達を含む。
【0005】
しかし皮膚は身体を外部の危険から遮断する物理的バリアであるだけでなく、免疫系の不可欠な部分でもある。皮膚の免疫機能は、生来の、および獲得した免疫機能の両方を持つ生きている表皮および真皮に存在する細胞性および体液性構成物の集合から生じ、集合的に皮膚の免疫系として知られている。
【0006】
皮膚の免疫系の最も重要な成分の1つはランゲルハンス細胞(LC)であり、これは生きている表皮に見いだされる専門化された抗原提示細胞である。LCは周辺細胞間にそれらの樹状突起を徹底的に分岐することにより、生きている表皮に半連続的なネットワークを形成する。LCの正常な機能は、抗原を検出し、捕らえ、そして提示して侵入している病原体に対する免疫応答を誘起することである。LCはエピクタニアス(epicutaneous)抗原をインターナライズし、局所の皮膚−排出リンパ節(skin−draining lymph node)に輸送し、そしてT細胞に対してプロセスした抗原を提示することによりその機能を果たす。
【0007】
皮膚の免疫系の効力は、皮膚を標的とした成功裏の、かつ安全なワクチン接種法の要因となる。皮膚の乱切による生の弱毒化された天然痘ワクチンを用いたワクチン接種は、致命的な天然痘疾患の世界的撲滅を成功裏に導いた。種々のワクチンの1/5〜1/10の標準的IM用量を使用した皮内注射は、多数ワクチンを用いた免疫応答の誘導に効果的である一方、低用量の狂犬病ワクチンは、皮内の適用に商業的に承認された。
【0008】
経皮的送達は、免疫器官として皮膚の機能を考慮すれば、ワクチン接種にも重要な利点を提供する。皮膚に入る病原体は高度に組織化され、そして種々のメカニズムを介して微生物を排除することができる多様な専門化された細胞群と直面する。表皮ランゲルハンス細胞は、有力な抗原提示細胞である。リンパ球および皮膚のマクロファージは真皮を通って浸透する。ケラチノサイトおよびランゲルハンス細胞は、免疫学的に活性な化合物の多様なアレイを発現するか、または生成するように誘導され得る。集合的にこれらの細胞は、最終的に本質的および特異的な免疫応答の両方を制御する複雑な連続する出来事を調整する。
【0009】
さらに非複製抗原(すなわち死菌ウイルス、バクテリア、サブユニットワクチン)が抗原提示細胞のエンドソーム経路に入ると考えられている。抗原はクラスII MHC分子と会合して細胞表面上で処理され、そして発現されて、CD4T細胞の活性化を導く。実験的証拠では、抗原の外的導入は、クラスI MHCと会合した細胞表面抗原の発現をほとんど誘導しないか、または誘導せず、非効果的なCD8T活性化をもたらすことを示す。一方、複製ワクチン(例えばポリオおよび天然痘ワクチンのような生きている弱毒化ウイルス)は、効果的な体液性および細胞性免疫応答を導き、そしてワクチンの中でも「ゴールドスタンダード」と考えられている。類似の広い免疫応答スペクトルが、DNAワクチンにより達成され得る。
【0010】
対照的に、サブユニットワクチンのようなポリペプチドに基づくワクチンおよび死菌ウイルスおよびバクテリアワクチンは、元の抗原提示がクラスII MHC経路を介して起こるので、主に体液性応答を誘導する。クラスI MHC経路を介してこれらのワクチンの提示を可能にする方法も、免疫応答スペクトルを広げるので大変価値がある。
【0011】
幾つかの報告では、可溶性タンパク質抗原が表面活性剤を用いて配合され、クラスI経路を介した抗原提示を導き、そして抗原−特異的なクラスI−拘束CTLを誘導できると示唆した(Raychaudhuri et al.,1992)。ピノソームの浸透溶解によるタンパク質抗原の導入も、クラスI抗原プロセッシング経路を導くことが証明された(Moore,et al)。超音波技術は高分子量分子をインビトロおよびインビボで細胞に導入するために使用され、そして特にDNAに基づく治療薬に使用されてきた。プラスミドDNAを用いた実験では、送達効率は超音波を使用した時に有意に上げることができることが明らかに証明された。
【0012】
しかし、クラスII MHC/HLA提示分子に加えて、クラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質の細胞発現を導く皮膚の抗原提示細胞(APC)へのタンパク質に基づくワクチン分子のインビボ細胞内超音波送達に関する文献はない。特にこの手段を達成するための超音波と組み合わせた微小突起アレイの使用に言及している文献はない。
【0013】
また、DNAワクチンを細胞内にインビボ送達し、そして続いてクラスII MHC/HLA提示分子に加えて、クラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質の細胞発現を達成するために、超音波と組み合わせた微小突起アレイの使用に言及している公開された文献はない。
【0014】
当該技術分野では周知であるように、経皮的な薬剤流動は皮膚の状態、薬剤分子のサイズおよび物理的/化学的特性、および皮膚をわたる濃度勾配に依存する。多くの薬剤に対する皮膚の低い透過性から、経皮的送達には応用に限界がある。例えば多くの場合で、従来の受動的な経皮経路を介する薬剤の流動には限界があるので、免疫学的に効果的ではない。この低い透過性は主に角質層(脂質二重層に囲まれたケラチン繊維(すなわちケラチノサイト)で満たされた平らな、死んだ細胞からなる最も外側の皮膚層)に起因する。この脂質二重層の高度に組織化された構造は、角質層に相対的な非透過性を付与する。
【0015】
受動的な経皮的拡散剤の流動を上げる1つ通例の方法には、皮膚の前処理または薬剤と皮膚の透過強化剤を同時に送達することが関与する。透過強化剤は薬剤が送達される体表面に適用された時、薬剤がそこを通る流動を強化する。しかし経皮的なタンパク質流動の強化におけるこれらの方法の効力は、それらのサイズ故に少なくとも大きなタンパク質では限定的である。
【0016】
また経皮的に送達される薬剤の量を強化するために、最も外側の皮膚層を機械的に貫通または破壊して、これにより皮膚への通路を作成する多くの技術および系が開発された。具体的説明は皮膚の乱切デバイスまたはスカリファイヤーであり、これらは典型的には皮膚に適用して皮膚を掻くか、または適用領域に小さい切れ目を入れる複数の歯または針を提供する。ワクチンは特許文献2に開示されているように皮膚に局所的に適用されるか、または特許文献3、4および5に開示されているようにスカリファイヤーの歯に適用された湿潤液体として適用される。
【0017】
患者の免疫感作を行うために皮膚に送達される必要があるのは、大変わずかな量のワクチンなので、スカリファイヤーは一部、皮内ワクチン送達に提案されてきた。さらに送達されるワクチンの量は、過剰な量でも満足な免疫感作を達成するので特に重要ではない。
【0018】
ワクチンのような活性な薬剤を送達するためにスカリファイヤーを使用することに付随する主な欠点は、経皮的な薬剤の流動および生じる送達された投薬用量を測定することの難しさである。また穿刺に対して逸れ、そして抵抗する皮膚の弾性、変形性および弾力性により、小さい穿刺要素は皮膚への貫通で皮膚に均一に貫通せず、かつ/または薬剤の液体コーティングはふき取られてしまうことが多い。
【0019】
経皮的な薬剤の送達を強化するために、小さい皮膚を穿刺する要素を採用する他の系および装置は、引用により全部、本明細書に引用する特許文献6、7、8、9、10および11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24に開示されている。
【0020】
開示された系および装置は、皮膚の最外層(すなわち角質層)を穿刺するために種々の形状およびサイズの穿刺要素を採用する。これらの参考文献に開示されている穿刺要素は、一般にパッドまたはシートのような薄く平らな部材から垂直に延びている。これらのデバイスの穿刺要素の中には大変小さいものもあり、幾つかはわずか約25〜400ミクロンの微小突起長およびわずか約5〜50ミクロンの微小突起厚を有する。これらの小さい穿刺/切開要素はそれらを通る経皮的な薬剤の送達を強化するために、対応して小さいマイクロスリット/マイクロカットを角質層に作る。
【0021】
さらに開示された系は典型的には薬剤を保持するためのリザーバー、およびまたデバイス自体の中空歯によるような、角質層を通ってリザーバーから薬剤を輸送する送達系も含む。そのようなデバイスの1例は、特許文献25に開示され、これは液体の薬剤リザーバーを有する。しかしリザーバーは小さい筒状の要素を通って皮膚に液体の薬剤を押し出すために加圧化されなければならない。そのようなデバイスの欠点には、加圧化可能な液体リザーバーに加わる複雑さおよび経費、および圧で駆動する送達系の存在による複雑さがある。
【0022】
特許文献26(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているように、送達される活性な薬剤を物理的なリザーバーに含む代わりに、微小突起上に被覆して有することも可能である。これは別個の物理的リザーバーの必要性、およびリザーバー用に薬剤製剤または組成物を特別に開発する必要性を排除する。
【0023】
そのような被覆された微小突起系の欠点は、コーティング厚が増すと角質層を貫通する微小突起(およびそのアレイ)の能力が下がるので、送達される活性な薬剤の最大量に限界がある点である。さらに厚いコーティングを上に配する微小突起で角質層を効果的に貫通するために、アプリケーターの打撃エネルギーは上昇しなければならず、これは打撃による耐えられない感覚を生じる。さらなる欠点は、それらがボーラス型の薬剤の送達プロファイルに限定される点である。
【0024】
また能動輸送系は、角質層を通る薬剤の流動を強化するために採用されてきた。経皮的な薬剤の送達のための1つのそのような系は、「電気輸送」と呼ばれる。この系は電位を使用し、これが角質層を通る薬剤の輸送を援助する電流の適用を生じる。
【0025】
さらに通常「フォノフォレシス」と呼ばれている能動輸送系は、超音波(すなわち音波)を角質層の通る薬剤の輸送の援助に使用する。具体例は、特許文献27および28に開示されている系である。
【0026】
特許文献27では、局所的および皮下の送達賦形剤としてガス充填微小球を含む能動系を開示する。微小球は薬剤をカプセル化し、そして患者に注射または他の方法で投与するために作成される。次いで超音波エネルギーが微小球を破壊して薬剤を放出するために使用される。
【0027】
微小球に適用される超音波は、0.5MHzから10MHzの範囲の周波数を有する。しかしこの周波数の範囲は、皮膚の細胞に空洞化効果を生じるため使用するには限界があることが示され、これは典型的な微小球のサイズよりも大変大きかった。
【0028】
特許文献28は、さらに能動系を開示する。記載された系には、膜を通って生体分子を送達または抽出するために超音波エネルギーを利用する「微小針アレイ」を含む。記載された系の主要な欠点は、活性な薬剤を送達するこの微小針の使用である。特許文献28はさらに、被覆した微小突起を介したワクチンまたは他の生物学的に活性な薬剤の送達を教示も示唆もしていない。
【0029】
特許文献29は、別の能動的な系を開示する。記載した系は同様に活性な薬剤を送達するための微小針を使用する。前記の超音波系とは異なり、特許文献29は皮膚への微小針の貫通を強化するために、微小針を振動させるために適合した振動系を使用する。
【0030】
当該技術分野では周知なように、微小針には多くの不利益および欠点が伴う。中でも欠点は、微小針系の複雑さ、およびリザーバー、ポンプ、バルブ、作動器等のようなさらなる部品および/または系の必要性である。
【0031】
したがって、送達される生物学的に活性な薬剤を含む生物適合性コーティングを有する微小突起およびそのアレイを採用する振動支援型(frequency assisted)の薬剤送達系を提供することが望ましい。
【0032】
さらに本発明の目的は、従来技術の薬剤の送達系に伴う前述の欠点および不利益を実質的に減らすか、または排除する振動支援型の経皮的な薬剤の送達方法および系を提供することである。
【0033】
さらに本発明の目的は、少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含む生物適合性コーティングで被覆された微小突起を含む振動支援型の経皮的な薬剤の送達方法および系を提供することである。
【0034】
さらに本発明の目的は、微小突起を介して送達するために少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤のヒドロゲルリザーバーを含む振動支援型の経皮的な薬剤の送達方法および系を提供することである。
【0035】
さらに本発明の目的は、DNAおよび通例のワクチンの細胞の取り込みを上げる振動支援型の経皮的な薬剤の送達方法および系を提供することである。
[参考文献]
【0036】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/535,275号明細書
【特許文献2】米国特許第5,487,726号明細書
【特許文献3】米国特許第4,453,926号明細書
【特許文献4】米国特許第4,109,655号明細書
【特許文献5】米国特許第3,136,314号明細書
【特許文献6】米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献7】米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献8】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献9】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献10】再発効第25,637号明細書
【特許文献11】国際公開第96/37155号パンフレット
【特許文献12】国際公開第96/37256号パンフレット
【特許文献13】国際公開第96/17648号パンフレット
【特許文献14】国際公開第97/03718号パンフレット
【特許文献15】国際公開第98/11937号パンフレット
【特許文献16】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献17】国際公開第97/48440号パンフレット
【特許文献18】国際公開第97/48441号パンフレット
【特許文献19】国際公開第97/48442号パンフレット
【特許文献20】国際公開第98/00193号パンフレット
【特許文献21】国際公開第99/64580号パンフレット
【特許文献22】国際公開第98/28037号パンフレット
【特許文献23】国際公開第98/29298号パンフレット
【特許文献24】国際公開第98/29365号パンフレット
【特許文献25】国際公開第93/17754号パンフレット
【特許文献26】米国特許出願10/045,842号明細書
【特許文献27】米国特許第5,733,572号明細書
【特許文献28】特許公開番号2002/0099356A1
【発明の開示】
【0037】
発明の要約
上記の目的および言及する目的に従い、そして以下から明らかになるように、生物学的に活性な薬剤を個体に経皮的に送達する送達系は、角質層を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺するために適合した複数の微小突起を有する微小突起部材、生物学的に活性な薬剤の製剤、および微小突起部材と協同して高周波数の振動を生じるように適合した振動誘導デバイスを含んでなる。
【0038】
本発明の好適な態様では、振動誘導デバイスが約10〜400μmの範囲で微小突起部材の微小突起の実質的に一軸の振動を生じる。
【0039】
あるいは振動誘導デバイスは微小突起部材の微小突起の実質的に横断する振動を生じるように適合されている。
【0040】
本発明の別の態様では、振動誘導デバイスは微小突起部材の微小突起の実質的に環状の振動を生じるように適合されている。
【0041】
本発明の好適な態様では、振動誘導デバイスが200Hz〜100kHzの範囲の高周波数の振動を提供する。
【0042】
さらなる態様では、系はさらに生物学的に活性な薬剤の経皮的送達を強化するための超音波デバイスを含む。好ましくは超音波デバイスは約20kHz〜10MHzの範囲の周波数を有する音波を提供する。
【0043】
本発明の1つの態様では、微小突起部材が少なくとも約10個の微小突起/cmの微小突起密度、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する。
【0044】
1つの態様では、微小突起部材はステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、またはポリマー性物質のような類似の生物適合性物質から構成されている。
【0045】
別の態様では、微小突起部材はポリマーのような非伝導性物質から構成されている。あるいは微小突起部材はParylene(商標)のような非伝導性物質で被覆され得る。
【0046】
本発明の1つの態様では、生物学的に活性な薬剤はワクチン、抗原性薬剤または免疫学的に活性な薬剤を含んでなる。ワクチンにはウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含むことができる。
【0047】
適切な抗原性薬剤には、限定するわけではないがタンパク質、多糖結合体、オリゴ糖およびリポタンパク質の状態の抗原を含む。これらのサブユニットワクチンには、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTアクシンス(recombinant PT accince)−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、S、Pre−S2、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)およびコレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)を含む。
【0048】
全ウイルスまたはバクテリアには、限定するわけではないがサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水疱帯状疱疹のような弱毒化または死菌ウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAのストレプトコッカス、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体、およびコレラ菌のような弱毒化または死菌バクテリア、およびそれらの混合物を含む。
【0049】
さらに抗原性の薬剤を含む通常利用可能なワクチンには、限定するわけではないがインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンがある。
【0050】
核酸を含んでなるワクチンには、限定するわけではないがスーパーコイルプラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;バクテリア人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳類人工染色体のような単鎖核酸および二本鎖核酸;および例えばmRNAのようなRNA分子を含む。核酸のサイズは、最高数千キロベースまでであることができる。加えて、本発明の特定の態様では、核酸をタンパク質様の薬剤とカップリングすることができ、または例えばホスホロチオエート部分のように1もしくは複数の化学的修飾を含むことができる。核酸のコード配列は免疫応答を望む抗原に対する配列を含んでなる。さらにDNAの場合、プロモーターおよびポリアデニル化配列もワクチン構築物中に包含される。コードされ得る抗原には、感染性疾患、病原体ならびにガン抗原のすべての抗原性成分を含む。このような核酸は、例えば感染性疾患、ガン、アレルギー、自己免疫および炎症疾患の分野で見いだされる。
【0051】
ワクチン抗原と共に適切な免疫応答増強アジュバントは、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類のグルカン、b−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマイヌリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−a−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(b1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C59H108N6O19PNa−3H2O(MTP)、Murametide、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH3、Pleuran、b−グルカン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1b163−171ペプチド)、およびトレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を含む。またアジュバントにはDNAオリゴヌクレオチド、例えばCpG含有オリゴヌクレオチドを含む。さらにさらにIL−18、IL−2、1L−12、IL−15、IL−4、IL10、ガンマインターフェロンのような免疫応答性リンホカイン、およびNFカッパB調節シグナル伝達タンパク質をコードする核酸配列を使用することができる。
【0052】
あるいは製剤は他の生物学的に活性な薬剤を含んでなる。適切な活性な薬剤には、限定するわけではないが黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナファレリン(napfarelin)、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH))、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニンインヒビター、サイモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組換え)、TGF−ベータ、ホンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルディン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリサルフェート、オリゴヌクレオチドおよびホルミビルセン(formivirsen)のようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ445167、RWJ−671818、フェンタニル、レミフェノタニル、スフェノタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、およびそれらの混合物を含む。
【0053】
本発明の1つの態様では、製剤は少なくとも微小突起上に配置された生物適合性コーティングを含んでなる。
【0054】
固体のコーティングを形成するために微小突起部材に適用されたコーティング製剤は、生物学的適合性の担体に溶解され得るか、または担体に懸濁され得る少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を有する水性および非水性製剤を含んでなることができる。
【0055】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの表面活性剤を含み、これは両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。適切な表面活性剤の例には、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、ラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含む。
【0056】
本発明の1つの態様では、表面活性剤の濃度はコーティング溶液製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。
【0057】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤は少なくとも1つのポリマー性物質またはポリマーを含み、これは限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含んでなる。
【0058】
本発明の1つの態様では、両親媒性を表すポリマーの濃度は好ましくはコーティングの約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0059】
別の態様では、コーティング製剤は以下の群:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物等のポリマーから選択される親水性のポリマーを含む。
【0060】
好適な態様では、コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度は、コーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0061】
本発明の別の態様では、コーティング製剤は生物適合性担体を含み、これは限定するわけではないがヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含んでなることができる。
【0062】
好ましくはコーティング製剤中の生物適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。
【0063】
さらなる態様では、コーティング製剤は限定するわけではないが非還元糖、多糖、還元糖またはDNaseインヒビターを含んでなることができる安定化剤を含む。
【0064】
さらなる態様では、コーティング製剤は血管収縮薬を含み、これは限定するわけではないがアミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンおよびその混合物を含んでなることができる。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを含む。
【0065】
使用する場合、血管収縮薬の濃度は好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0066】
本発明のさらに別の態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター(pathway patency modulator)」を含み、これは限定するわけではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような)を含んでなることができる。
【0067】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの酸化防止剤を含み、これはクエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレン−ジニトリロ−四酢酸)のような封鎖剤、またはアスコルビン酸、メチオニンおよびアスコルビン酸ナトリウム等のようなフリーラジカルスカベンジャーであることができる。現在好適な酸化防止剤にはEDTAおよびメチオニンを含む。
【0068】
本発明の特定の態様では、コーティング製剤の粘度は低揮発性対イオンを加えることにより強化される。1つの態様では、薬剤が製剤のpHで正荷電を有し、そして粘度を強化する対イオンが2つの酸性pKaを有する酸を含んでなる。適切な酸にはマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラマル酸、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を含む。
【0069】
別の好適な態様は、対イオンの粘度強化混合物を対象とし、ここで薬剤は製剤のpHで正電荷を有し、そして対イオンの少なくとも1つは、少なくとも2つの酸性pKaを有する酸である。他の対イオンは1もしくは複数のpKaを持つ酸である。適切な酸の例には塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラマル酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリカルバリル酸およびエチレンジアミン四酢酸を含む。
【0070】
一般に、本発明の記載する態様では、対イオンの量が抗原性の薬剤の電荷り中和するべきである。そのような態様では、対イオンまたは対イオンの混合物は、製剤のpHで薬剤上に存在する電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離酸または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0071】
別の好適な態様では、薬剤は正電荷を有し、そして対イオンはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、グリコール酸および酢酸の群から選択される対イオンの粘度強化混合物である。好ましくは対イオンは約20〜200cpの範囲に粘度を達成するために製剤に加えられる。
【0072】
好適な態様では、粘度強化対イオンは、低揮発性弱酸のような酸性の対イオンである。低揮発性弱酸の対イオンは、少なくとも1つの酸性pKa、および約50℃よりも高い融点またはPatmで約170℃よりも高い沸点を与える。そのような酸の例には、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸がある。
【0073】
別の好適な態様では、対イオンは強酸である。強酸は約2より低い少なくとも1つのpKを与えると定義することができる。そのような酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0074】
別の好適な態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで対イオンの少なくとも1つが強酸であり、そして対イオンの少なくとも1つが低揮発性弱酸である。
【0075】
別の好適な態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで対イオンの少なくとも1つが強酸であり、そして対イオンの少なくとも1つが高揮発性を有する弱酸である。揮発性弱酸の対イオンは、約2よりも高い少なくとも1つのpKaを与え、および約50℃よりも低い融点またはPatmで約170℃よりも低い沸点を与える。そのような酸の例には、酢酸、プロピオン酢酸、ペンタン酸等がある。
【0076】
好ましくは酸性の対イオンは製剤のpHで抗原性の薬剤上に存在する正電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離酸または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0077】
本発明のさらに他の態様では、特に抗原性薬剤が負電荷を有する場合、コーティング製剤は低揮発性の塩基性対イオンをさらに含んでなる。
【0078】
好適な態様では、コーティング製剤は低揮発性弱塩基の対イオンを含んでなる。低揮発性弱塩基は、少なくとも1つの塩基性pKa、および約50℃よりも高い融点またはPatmで約170℃よりも高い沸点を与える。そのような塩基の例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンがある。
【0079】
別の態様では低揮発性対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび少なくとも2つの塩基性pKaを与える塩基性の両イオンを含んでなり、ここで塩基性pKaの数は酸性pkAの数よりも多い。そのような化合物の例には、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンがある。
【0080】
さらに別の態様では低揮発性対イオンは、約12より高い少なくとも1つのpKaを与える強塩基を含んでなる。そのような塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0081】
他の好適な態様は、強塩基および低い揮発性を有する弱塩基を含んでなる塩基性対イオンの混合物を含んでなる。あるいは適切な対イオンは、強塩基および高い揮発性を有する弱塩基を含む。高揮発性塩基は、約12より低い少なくとも1つのpKa、および約50℃よりも低い融点またはPatmで約170℃よりも低い沸点を与える。そのような塩基の例には、アンモニアおよびモルホリンがある。
【0082】
好ましくは塩基性の対イオンは、製剤のpHで抗原性の薬剤上に存在する負電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離塩基または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0083】
好ましくはコーティング製剤は約500センチポイズ未満、そして3センチポイズより高い粘度を有する。
【0084】
本発明の1つの態様では、コーティング厚は微小突起の表面から測定した時、25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0085】
本発明の別の観点では、製剤はゲルパックに包含され得るヒドロゲルを含んでなる。
【0086】
相応して、本発明の特定の態様ではヒドロゲル製剤は少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含む。好ましくは薬剤は、限定するわけではないがウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含む前記ワクチンの1つ、および他の前記の生物学的に活性な薬剤を含んでなる。
【0087】
ヒドロゲル製剤は、好ましくは高分子量のポリマー網を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0088】
本発明の好適な態様では、ポリマー網が限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含んでなる。
【0089】
ヒドロゲル製剤は好ましくは、両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であり得る1つの表面活性剤を含む。
【0090】
本発明の1つの態様では、表面活性剤はラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含んでなることができる。
【0091】
別の態様に従い、ヒドロゲル製剤は両親媒性を有するポリマー性物質またはポリマー含み、これは限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0092】
本発明のさらなる態様では、ヒドロゲル製剤が少なくとも1つの経路開通性モジュレーターを含み、これは限定するわけではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAのような)を含んでなることができる。
【0093】
本発明のさらに別の態様では、ヒドロゲル製剤が少なくとも1つの血管収縮薬を含み、これは限定するわけではないがエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含んでなることができる。
【0094】
ゲルパック態様のさらなる観点では、生物学的に活性な薬剤はゲルパック中のヒドロゲル製剤および微小突起部材に適用される生物適合性コーティング中に含まれることができる。
【0095】
本発明の1つの態様に従い、生物学的に活性な薬剤(ヒドロゲル製剤に含まれるか、または微小突起部材上の生物適合性コーティングに含まれるか、またはその両方)を送達する方法は、微小突起部材を好ましくは作動器を介して哺乳動物の皮膚に適用し、そして振動誘導デバイスを操作して微小突起を角質層に貫通し易くすることを含んでなる。好ましくは振動誘導デバイスは、約200Hz〜100kHzの範囲の高周波数振動を生成する。
【0096】
特定の態様では振動誘導デバイスは微小突起部材に包含されている。あるいは振動誘導デバイスは、微小突起部材が哺乳動物の皮膚に適用された後に、微小突起部材上に配置される別個のデバイスを含んでなる。
【0097】
本発明の方法は、振動誘導デバイスを用いて微小突起に実質的に一軸の振動、実質的に横断する、または実質的に環状の振動を生じて、角質層を通る微小突起の貫通を促進することを含んでなる。
【0098】
本発明のさらなる態様は、超音波デバイスを提供し、そして微小突起部材を適用した後に該超音波デバイスからのエネルギーを伝達して生物学的に活性な薬剤の送達を促進することを含んでなる。このましくはこれは約20kHz〜10MHzの範囲で周波数デバイスからエネルギーを伝達することを含んでなる。
発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明はそのままの特定の例示される材料、方法および構造に限定されず、もちろん変動し得ると理解される。すなわち本明細書に記載するものに類似または均等な多くの材料および方法を本発明の実施に使用することができるが、好適な材料および方法を本明細書に記載する。
【0099】
また本明細書で使用する用語は本発明の特定の態様を記載する目的のみのためであり、そして限定を意図するものではないと理解される。
【0100】
他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が関係する分野の当業者に通常に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0101】
さらに本明細書に引用するすべての刊行物、特許および特許出願は、今までもこれからも参照により全部、本明細書に編入する。
【0102】
最後に本明細書および添付する特許請求の範囲で使用するように、単数形“a”、“an“および“the”は、内容が明らかにそれ以外を示す場合を除き、複数形を含む。すなわち例えば「活性な薬剤」は、2以上のそのような薬剤を含み、「微小突起」は2以上のそのような微小突起等を含む。
定義
本明細書で使用する用語「経皮的」は局所もしくは全身治療のために、薬剤の皮膚への、かつ/または皮膚を介した送達を意味する。
【0103】
本明細書で使用する用語「経皮的流動(transdermal flux)」は、経皮的送達の速度を意味する。
【0104】
本明細書で使用する用語「同時送達(co−delivering)」は、補助的な薬剤(1もしくは複数)が、薬剤の送達前に、薬剤の経皮的流動前および最中に、薬剤の経皮的流動中に、薬剤の経皮的流動中および後に、かつ/または薬剤の経皮的流動後に経皮的に投与されることを意味する。さらに2以上の免疫学的に活性な薬剤を、コーティングおよび/またはヒドロゲル製剤に配合してもよく、生物学的に活性な物質の同時送達をもたらす。
【0105】
本明細書で使用する用語「生物学的に活性な薬剤」は、治療に有効な量で投与する時、薬理学的に効果的な活性な薬剤また薬剤を含有する物質または混合物の組成物を指す。そのような活性な薬剤の例には限定するわけではないが低分子量化合物、ポリペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、核酸および多糖を含む。
【0106】
「生物学的に活性な薬剤」のさらなる例には、限定するわけではないが黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナファレリン(napfarelin)、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH))、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニンインヒビター、サイモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組換え)、TGF−ベータ、ホンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルディン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリサルフェート、オリゴヌクレオチドおよびホルミビルセン(formivirsen)のようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ445167、RWJ−671818、フェンタニル、レミフェノタニル、スフェノタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、およびそれらの混合物を含む。
【0107】
本明細書で使用する用語「生物学的に活性な薬剤」は、「ワクチン」または抗原のような他の免疫学的に活性な薬剤を含む物質または混合物の組成物を指し、これは免疫学的に有効な量で投与された時、有益な免疫応答を誘起することができる。そのような薬剤の例には、限定するわけではないがウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含む。
【0108】
本発明に使用することができる適切な抗原性薬剤には、限定するわけではないがタンパク質、多糖結合体、オリゴ糖、リポタンパク質の状態の抗原を含む。これらのサブユニットワクチンには、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTアクシンス−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)およびコレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)を含む。
【0109】
全ウイルスまたはバクテリアには、限定するわけではないがサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水疱帯状疱疹ウイルスのような弱毒化または死菌ウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAの連鎖球菌、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体およびコレラ菌のような弱毒化または死菌バクテリア、ならびにその混合物を含む。
【0110】
また抗原性の薬剤を含有する市販されている多数のワクチンも本発明に用途を有し、それらには限定するわけではないがインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む。
【0111】
本発明の方法に従い送達できる核酸を含んでなるワクチンには、限定するわけではないが例えばスーパーコイルプラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;バクテリア人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳類人工染色体のような一本鎖および二本鎖核酸;および例えばmRNAのようなRNA分子を含む。核酸のサイズは、最高数千キロベースまでであることができる。加えて、本発明の特定の態様では、核酸をタンパク質様の薬剤とカップリングすることができ、または例えばホスホロチオエート部分のように1もしくは複数の化学的修飾を含むことができる。核酸のコード配列は免疫応答を望む抗原に対する配列を含んでなる。さらにDNAの場合、プロモーターおよびポリアデニル化配列もワクチン構築物中に包含される。コードされ得る抗原には、感染性疾患、病原体ならびにガン抗原のすべての抗原性成分を含む。このような核酸は、例えば感染性疾患、ガン、アレルギー、自己免疫および炎症疾患の分野で見いだされる。
【0112】
ワクチン抗原と共に含んでなることができる適切な免疫応答増強アジュバントには、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類のグルカン、b−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマイヌリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−a−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(b1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−−L−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C59H108N6O19PNa−3H2O(MTP)、Murametide、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH3、Pleuran、b−グルカン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1b163−171ペプチド)、トレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を含む。またアジュバントは、例えばCpG含有オリゴヌクレオチドのようなDNAオリゴヌクレオチドを含む。さらにIL−18、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL10、ガンマインターフェロンのような免疫調節リンホカインおよびNFカッパB調節シグナル伝達タンパク質をコードするような核酸配列を使用することができる。
【0113】
記載する生物学的に活性な薬剤は、遊離塩基、酸、荷電した、もしくは非荷電の分子、分子複合体または製薬学的に許容され得る塩の成分のような種々の形態であることができる。さらに身体のpH、酵素等により容易に加水分解される活性な薬剤の単純な誘導体(エーテル、エステル、アミド等のような)を使用することができる。
【0114】
1より多くの生物学的に活性な薬剤を、本発明の薬剤源、リザーバーおよび/またはコーティングに包含することができ、そして用語「活性な薬剤」の使用は2以上のそのような活性な薬剤または薬剤の使用を排除しないと理解すべきである。
【0115】
本明細書で使用する「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な率」とは、生物学的に活性な薬剤が、免疫学的に活性な薬剤であることを意味し、そして所望の免疫学的な、しばしば有益な結果を刺激または開始するために必要な免疫学的に活性な薬剤の量または率を指す。本発明のヒドロゲル製剤およびコーティング中に使用する免疫学的に活性な薬剤の量は、所望する免疫学的結果を達成するために必要な活性な薬剤の量を送達するために必要な量である。実際には、これは送達される特定の免疫学的に活性な薬剤、送達部位ならびに皮膚組織へ活性な薬剤を送達するための溶解および放出動力学に依存して広く変動するだろう。
【0116】
本明細書で使用する用語「微小突起」は、生きている動物、特に哺乳動物、そしてさらに具体的にはヒトの皮膚の角質層を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺または切開するために適合された穿刺要素を指す。
【0117】
本発明の1つの態様では、穿刺要素は1000ミクロン未満の突起長を有する。さらなる態様では、穿刺要素は500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。微小突起は典型的には約5〜50ミクロンの幅および厚さを有する。微小突起は針、中空針、刃、ピン、パンチおよびそれらの組み合わせのような種々の形状に形成することができる。
【0118】
本明細書で使用する用語「微小突起部材」は、一般に角質層を穿刺するためにアレイに配列された複数の微小突起を含んでなる微小突起アレイを意味する。微小突起部材は、薄いシートから複数の微小突起をエッチングまたは穴空けし、そしてシートの平面から微小突起をホールディングまたは曲げて、図2に示すような形状を形成することにより形成することができる。また微小突起部材は、引用により全部、本明細書に編入する米国特許第6,050,988号明細書に開示されているような各片(1もしくは複数)の縁に沿って微小突起を有する1もしくは複数の片を形成することによるように、他の既知の様式で形成することもできる。
【0119】
本明細書で使用する用語「周波数支援型」とは、一般に治療薬(荷電した、非荷電の、またはその混合物)、特にワクチンの体表(皮膚、粘膜または爪のような)を介した送達を指し、ここで送達は微小突起部材および/またはその微小突起アレイに振動を生じる高周波数の適用により、少なくとも一部は誘導または補助される。
【0120】
上に示したように、本発明は一般に(i)角質層を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺するために適合した複数の微小突起(またはそのアレイ)を有する微小突起部材(または系)、および(ii)生物学的に活性な薬剤の経皮的送達のための振動誘導デバイスを含んでなる。
【0121】
1つの態様では、微小突起はワクチンのような少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を上に含むコーティングを有する。皮膚の角質層を穿刺すると、薬剤を含有するコーティングが体液(細胞内流体および間質流体のような細胞外流体)により溶解され、そして全身的治療のために皮膚に放出される(すなわちボーラス送達)。本明細書で詳細に検討するように、微小突起部材を適用した後、微小突起部材はとりわけ薬剤の流動を強化するために振動誘導デバイスを介した高周波にかけられる。
【0122】
ここで図1を参照にして、本発明に従い使用することができる例示的な振動誘導デバイスの概略的説明を示す。図1Aで具体的に説明するように、振動誘導デバイス10は一般に裏材12、薄いフィルムのコンデンサー系(および付随する回路)のようなエネルギー源14、およびセラミック製の圧電性振動子のような薄いフィルムの振動子16を含む。好ましくは裏材12は患者の皮膚に振動デバイス10を接着し易くするための皮膚接着リングまたはタブ(示さず)を含む。
【0123】
好適な態様では、振動誘導デバイス10、20は、200Hz〜100kHzの範囲の高周波数振動を提供する。
【0124】
好ましくは振動誘導デバイス10、20は、実質的に一軸の振動を微小突起の長軸方向に、約10〜400μmの範囲の結合している微小突起部材(例えば30)に生じる。
【0125】
別の態様では、振動誘導デバイス10、20は、結合している微小突起部材(例えば30)の実質的に横断する振動を生じる。そのような横断する振動は、微小突起の切断作用を促進することができる。
【0126】
別の代替的態様では、振動誘導デバイス10、20は、結合している微小突起部材(例えば30)の実質的に環状の振動を生じる。そのような環状の振動は、微小突起の切断作用を促進することができる。
【0127】
代替的態様では、系はさらに生物学的に活性な薬剤の送達を促進するために超音波デバイスを含んでなる。好ましくは超音波デバイスは、約20kHz〜10MHzの範囲の周波数を有する音波を生じる。
【0128】
当業者には明白であるように、微小突起部材(例えば30)に高周波数の振動を誘導するために、種々の振動誘導デバイスを本発明の範囲内で使用することができる。
【0129】
本発明に従い、振動誘導デバイス10、20は薬剤の流動を強化するために種々の微小突起部材および系を使用することができる。ここで図2を参照にして、本発明で使用するための微小突起部材30の1態様を示す。ここで図2で説明するように、微小突起部材30は複数の微小突起34を有する微小突起アレイ32を含む。微小突起34は好ましくは記載する態様では開口38を含むシート36から実質的に90゜の角度で延びる。
【0130】
本発明に従い、シート36はシート36用の裏材40を含む送達パッチに包含されてもよく、そしてさらに皮膚にパッチを付けるための接着剤16を含んでもよい(図4を参照にされたい)。この態様では、微小突起34は薄い金属シート36から複数の微小突起34をエッチングまたは穴空けし、そしてシート36の平面から微小突起34を曲げることにより形成することができる。
【0131】
本発明の1つの態様では、微小突起部材30は少なくとも約10個の微小突起/cm2、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cm2の範囲の微小突起密度を有する。好ましくは薬剤が通る単位面積あたりの開口数は、少なくとも約10個の開口/cm2、そして約2000個の開口/cm2未満である。
【0132】
示したように、微小突起34は好ましくは1000ミクロン未満の突起長を有する。1つの態様では、微小突起34は500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。また微小突起34は、約5〜50ミクロンの幅および厚さを有することが好ましい。
【0133】
微小突起部材30は、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、またはポリマー性物質のような類似の生物適合性物質から製造することができる。好ましくは微小突起部材30はチタンで製造されている。
【0134】
本発明に従い、微小突起部材30はポリマーのような非伝導性物質から構成されている。あるいは微小突起部材はParylene(商標)のような非伝導性物質で被覆され得る。
【0135】
本発明で使用することができる微小突起部材は、限定するわけではないが引用により全部本明細書に編入する米国特許第6,083,196号、同第6,050,988号および同第6,091,975号明細書に開示されている部材を含む。
【0136】
本発明で使用することができる他の微小突起部材は、引用により全部本明細書に編入する米国特許第5,879,326号明細書に開示されているようなシリコンチップエッチング技術を使用してシリコンをエッチングすることにより、またはエッチングしたマイクロ−モールドを使用してプラスチックを成形することにより形成される部材を含む。
【0137】
本発明に従い、送達される生物学的に活性な薬剤は、ゲルパックリザーバー(以下に詳細に検討する)に配置されたヒドロゲル製剤に含まれるか、微小突起部材30上に配置された生物適合性コーティング中に含まれるか、またはヒドロゲル製剤および生物適合性コーティングの両方に含まれることができる。
【0138】
ここで図3を参照にして、生物適合性コーティング35を含む微小突起34を有する微小突起部材30を示す。本発明に従い、コーティング35は一部または完全に各微小突起34を被覆することができる。例えばコーティング35は微小突起34上の乾燥パターンコーティングであることができる。またコーティング35は、微小突起34が形成される前または後に適用することができる。
【0139】
本発明に従い、コーティング35は種々の既知の方法により微小突起34に適用することができる。好ましくはコーティングは皮膚を穿刺する微小突起部材30または微小突起34の一部分にのみ適用される(例えばチップ39)。
【0140】
1つのそのようなコーティング法は、浸漬コーティングを含んでなる。浸漬コーティングは、微小突起34をコーティング溶液に部分的に、または全部浸すことにより微小突起を被覆する手段として説明することができる。部分的な浸漬技術の使用により、コーティング35を微小突起34のチップ39にのみ限定することが可能である。
【0141】
さらなるコーティング法は、同様にコーティング35を微小突起34のチップ39に限定する回転コーティングメカニズムを採用する回転コーティングを含んでなる。回転コーティング法は、米国特許出願第10/099,604号明細書(公開番号2002/0132054)に開示されている(これは引用により全部、本明細書に編入する)。
【0142】
記載した出願で詳細に検討されているように、開示された回転コーティング法は皮膚を穿刺する間に微小突起34から容易に動かされない滑らかなコーティングを提供する。この微小突起チップコーティングの滑らかな横断面を図3Aでさらに具体的に説明する。
【0143】
本発明に従い、微小突起34はさらに開口部(示さず)、溝(示さず)、表面の不規則性(irregularity)(示さず)または類似の修飾のような、コーティング35の容量を受ける、かつ/または強化するために適合した手段を含むことができ、ここでこの手段はより多くの量のコーティングが沈積できる上昇した表面積を提供する。
【0144】
本発明の方法の範囲内で使用することができる別のコーティング法は、噴霧コーティングを含んでなる。本発明に従い、噴霧コーティングはコーティング組成物のエーロゾル懸濁液の形成を包含することができる。1つの態様では、約10〜200ピコリットルの液滴サイズを有するエーロゾル懸濁液が微小突起10上に噴霧され、次いで乾燥される。
【0145】
パターンコーティングも微小突起34を被覆するために使用することができる。パターンコーティングは、微小突起表面に沈積する液体を配置するための分配システムを使用して適用することができる。沈積する液体の量は、好ましくは0.1から20ナノリットル/微小突起の範囲である。適切な正確な計量液体分配器の例は、米国特許第5,916,524号、同第5,743,960号、同第5,741,554号および同第5,738,728号明細書に開示され、これらは引用により全部、本明細書に編入する。
【0146】
また微小突起コーティング製剤または溶液は、既知のソレノイドバルブディスペンサー、任意の流体移動手段および一般には電場の使用により制御される配置手段を使用したインクジェット技術を使用して適用することもできる。印刷工業からの他の液体分配技術、または当該技術分野で知られている類似の液体分配技術を、本発明のパターンコーティングを適用するために使用することができる。
【0147】
示したように、本発明の1つの態様に従い、固体コーティングを形成するために微小突起部材30に適用するコーティング製剤は、少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を有する水性および非水性の製剤を含んでなることができる。本発明に従い、生物学的に活性な薬剤は生物適合性担体に溶解されるか、または担体に懸濁され得る。
【0148】
本発明に従い、コーティング製剤は好ましくは少なくとも1つの湿潤剤を含む。当該技術分野で周知であるように、湿潤剤は一般には両親媒性分子として記載される。湿潤剤を含有する溶液が疎水性物質に適用される時、分子の疎水性基は疎水性物質に結合し、一方、分子の親水性表面は水と接触している。その結果、物質の疎水性面は浸潤剤の疎水性基では被覆されず、溶媒による湿潤化ができるようにする。湿潤剤は表面活性剤ならびに両親媒性を表すポリマーを含む。
【0149】
本発明の1態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの表面活性剤を含む。本発明に従い、表面活性剤(1もしくは複数)は、両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。表面活性剤の例にはラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、ラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含む。最も好適な表面活性剤には、Tween20、Tween80およびSDSを含む。
【0150】
好ましくは表面活性剤の濃度は、コーティング溶液製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。
【0151】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤は両親媒性を有する少なくとも1つのポリマー性材料またはポリマーを含む。記載したポリマーの例には、限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを含む。
【0152】
本発明の1つの態様では、両親媒性を表すポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約0.1〜5重量%の範囲である。
【0153】
当業者には明白であるように、記載した湿潤剤は別個に、または組み合わせて使用することができる。
【0154】
本発明に従い、コーティング製剤はさらに親水性ポリマーを含むことができる。好ましくは親水性ポリマーは以下の群から選択される:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物等のポリマー。当該技術分野では周知であるように、記載したポリマーは粘度を上昇させる。
【0155】
コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約0.1〜5重量%の範囲である。
【0156】
本発明に従い、コーティング製剤は同時係属中の米国特許出願第10/127,108号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような生物適合性担体をさらに含むことができる。生物適合性担体の例には、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含む。
【0157】
好ましくはコーティング製剤中の生物適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約10〜40重量%の範囲である。
【0158】
本発明のコーティングは、同時係属中の米国特許出願第10/674,626号および同第60/514,433号明細書(これらは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような血管収縮薬をさらに含むことができる。記載する同時係属出願に説明されているように、血管収縮薬は微小突起部材の適用中、および後の出血を制御するために使用される。好適な血管収縮薬には限定するわけではないが、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を含む。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリンを含む。
【0159】
使用する場合には、血管収縮薬の濃度は、好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0160】
本発明のさらに別の態様では、コーティング製剤が同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター」を含む。同時係属出願に説明されているように、経路開通性モジュレーターは皮膚の自然な治癒プロセスを防止、または減少させ、これにより微小突起部材アレイにより角質層に形成された経路またはマイクロスリットの閉鎖を防止する。経路開通性モジュレーターの例には限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)を含む。
【0161】
同時係属出願に定義するような用語「経路開通性モジュレーター」には抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような)をさらに含む。
【0162】
本発明の特定の態様では、生物学的に活性な薬剤を含有するコーティング製剤の粘性および安定性が、低揮発性対イオンを加えることにより強化される。1つの態様では、薬剤は製剤のpHで正荷電を有し、そして粘度強化対イオンは少なくとも2つの酸性pKaを有する酸を含んでなる。適切な酸にはマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラマル酸、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を含む。
【0163】
別の好適な態様は、対イオンの粘度強化混合物を対象とし、ここで薬剤は製剤のpHで正電荷を有し、そして対イオンの少なくとも1つは、少なくとも2つの酸性pKaを有する酸である。他の対イオンは1もしくは複数のpKaを持つ酸である。適切な酸の例には塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラマル酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリカルバリル酸およびエチレンジアミン四酢酸を含む。
【0164】
一般に、本発明の記載する態様では、対イオンの量が抗原性の薬剤の電荷を中和するべきである。そのような態様では、対イオンまたは対イオンの混合物は、製剤のpHで薬剤上に存在する電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離酸または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0165】
1つの好適な態様では、薬剤は正電荷を有し、そして対イオンはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、グリコール酸および酢酸の群から選択される対イオンの粘度強化混合物である。好ましくは対イオンは約20〜200cpの範囲の粘度を達成するために製剤に加えられる。
【0166】
好適な態様では、粘度強化対イオンは、低揮発性弱酸のような酸性の対イオンである。低揮発性弱酸の対イオンは、少なくとも1つの酸性pKa、および約50℃よりも高い融点またはPatmで約170℃よりも高い沸点を与える。そのような酸の例には、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマル酸がある。
【0167】
別の好適な態様では、対イオンは強酸である。強酸は約2より低い少なくとも1つのpKをを与えると定義することができる。そのような酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0168】
別の好適な態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで対イオンの少なくとも1つが強酸であり、そして対イオンの少なくとも1つが低揮発性弱酸である。
【0169】
別の好適な態様は対イオンの混合物を対象とし、ここで対イオンの少なくとも1つが強酸であり、そして対イオンの少なくとも1つが高揮発性を有する弱酸である。揮発性弱酸の対イオンは、約2よりも高い少なくとも1つのpKa、および約50℃よりも低い融点またはPatmで約170℃よりも低い沸点を与える。そのような酸の例には、酢酸、プロピオン酢酸、ペンタン酸等がある。
【0170】
酸性の対イオンは製剤のpHで薬剤上に存在する正電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離酸または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0171】
本発明のさらに他の態様では、特に抗原性薬剤が負電荷を有する場合、コーティング製剤は低揮発性の塩基性対イオンを含んでなる。
【0172】
好適な態様では、コーティング製剤は低揮発性弱塩基の対イオンを含んでなる。低揮発性弱塩基は、少なくとも1つの塩基性pKa、および約50℃よりも高い融点またはPatmで約170℃よりも高い沸点を与える。そのような塩基の例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンがある。
【0173】
別の態様では低揮発性対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび少なくとも2つの塩基性pKaを与える塩基性の両イオンを含んでなり、ここで塩基性pKaの数は酸性pkAの数よりも多い。そのような化合物の例には、ヒスチジン、リシンおよびアルギニンがある。
【0174】
さらに別の態様では低揮発性対イオンは、約12より高い少なくとも1つのpKaを与える強塩基を含んでなる。そのような塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム。水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0175】
他の好適な態様は、強塩基および低い揮発性を有する弱塩基を含んでなる塩基性対イオンの混合物を含んでなる。あるいは適切な対イオンは、強塩基および高い揮発性を有する弱塩基を含む。高揮発性塩基は、約12より低い少なくとも1つの塩基性pKa、および約50℃よりも低い融点またはPatmで約170℃よりも低い沸点を与える。そのような塩基の例には、アンモニアおよびモルホリンがある。
【0176】
好ましくは塩基性の対イオンは、製剤のpHで抗原性の薬剤上に存在する負電荷を中和するために必要な量で存在する。過剰な対イオン(遊離塩基または塩として)は、pHを調整し、そして十分な緩衝能を提供するために製剤に加えることができる。
【0177】
低揮発性の対イオンの使用に関するさらなる検討は、引用により全部、本明細書に編入する2003年6月30日に出願された米国特許出願第60/484,020号明細書、および2003年6月30日に出願された60/484,020号明細書に見いだすことができる。
【0178】
本発明に従い、コーティング製剤はエタノール、クロロホルム、エーテル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の非水性溶媒、色素、顔料、不活性充填剤、浸透強化剤、賦形剤および当該技術分野で知られている製薬学的生成物または経皮的デバイスに通例の他の成分も含むことができる。
【0179】
他の既知の製剤補助物質も、それらがコーティング製剤に必要な溶解性および粘性、および乾燥したコーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼさない限り、コーティング製剤に加えることができる。
【0180】
好ましくはコーティング製剤は、各微小突起10を効果的に被覆するために、約500センチポイズ未満そして3センチポイズより大きな粘度を有する。より好ましくは、コーティング製剤は約3〜200センチポイズの範囲の粘度を有する。
【0181】
本発明に従い、所望するコーティング厚はシートの単位面積あたりの微小突起の密度、およびコーティング組成物の粘度および濃度、ならびに選択するコーティング法に依存する。好ましくはコーティング厚は50ミクロン未満である。
【0182】
1つの態様では、コーティング厚は微小突起表面から測定した時、25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。さらに一層好ましくは、コーティング厚は約1から10ミクロンの範囲である。
【0183】
すべての場合で、コーティングが適用された後、コーティング製剤は種々の手段により微小突起10上で乾燥される。本発明の好適な態様では、被覆された部材5は周囲の室温条件で乾燥される。しかし種々の温度および湿度レベルを使用して、コーティング製剤を微小突起上で乾燥させることができる。加えて、被覆した部材5は加熱され、凍結乾燥され(lyophilized)、凍結乾燥され(freez dried)、あるいは類似の技術を使用してコーティングから水を除去することができる。
【0184】
ここで図5および6を参照にして、貯蔵および適用について(本発明の1つの態様に従い)、微小突起部材30は好ましくは、同時係属中の米国特許出願第09/976,762号明細書(公開番号2002/0091357、これは引用により全部、本明細書に編入する)に詳細に記載されているように、接着タブ31により保持リング50中に掛けられている。
【0185】
微小突起部材30を保持リング50に配置した後、微小突起部材30は患者の皮膚に適用される。好ましくは微小突起部材30は、同時係属中の米国特許出願第09/976,798号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような打撃アプリケーターを使用して皮膚に適用される。
【0186】
ここで図7および8を参照にして、本発明の範囲内で使用することができるさらなる微小突起(または送達)系を示す。図7および8で具体的に説明するように、系60にはゲルパック62、および図2に示す微小突起部材30のような微小突起部材を有する微小突起アッセンブリー70を含む。
【0187】
本発明に従い、ゲルパック62は予め定めた量のヒドロゲル製剤68を中に受けるように適合された、中心に配置されたリザーバーまたは開口66を有するハウジングまたはリング64を含む。図7で具体的に説明するように、リング64はさらにリング64の外側平面に配置された裏材65を含む。好ましくは裏材65はヒドロゲル製剤に不透過性である。
【0188】
好適な態様では、ゲルパック60はさらに通例の接着剤を介してゲルパックリング64の外面に接着された剥がせる剥離ライナー69を含む。以下で詳細に説明するように、剥離ライナー69はゲルパック60を適用する(または噛み合わせる)微小突起アッセンブリー70に適用する前に取り出される。
【0189】
ここで図8を参照にして、微小突起アッセンブリー70は裏材膜リング72および同様の微小突起アレイ32を含む。微小突起アッセンブリーはさらに皮膚接着リング74を含む。
【0190】
さらに具体的に説明したゲルパック60および微小突起アッセンブリー70、ならびに本発明の範囲内で使用することができるそれらのさらなる態様の詳細は、同時係属出願第60/514,387号明細書に説明されている(これは引用により全部、本明細書に編入する)。
【0191】
上に示したように、本発明の少なくとも1つの態様では、ヒドロゲル製剤はワクチンのような少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含む。本発明の別の態様では、ヒドロゲル製剤には生物学的に活性な薬剤が無く、すなわち単なる水和メカニズムである。
【0192】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤に生物学的に活性な薬剤が無い場合、活性な薬剤は上記のように微小突起アレイ32上に被覆されるか、または同時係属出願第60/514,387号明細書に記載されているように微小突起アレイ32の皮膚側上、またはアレイ32の頂面上の固体フィルムに国際公開第98/28037号パンフレット(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているように含まれるか、いずれかである。
【0193】
同時係属出願で検討しているように、固体フィルムは典型的には生物学的に活性な薬剤、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックのようなポリマー性物質、グリセロール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような可塑剤、Tween20もしくはTween80のような表面活性剤、および水、イソプロパノールまたはエタノールのような揮発性溶媒からなる液体配合物を注型することにより作られる。注型、続いて溶媒を蒸発させた後、固体フィルムが生成される。
【0194】
本発明のヒドロゲル製剤は、水に基づくヒドロゲルであることが好ましい。ヒドロゲルはそれらの高い水分含量および生物適合性から好適な製剤である。
【0195】
当該技術分野では周知であるように、ヒドロゲルは水に膨潤する高分子量のポリマー網である。適切なポリマー網の例には限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含む。最も好適なポリマー性物質はセルロース誘導体である。これらのポリマーは、異なる平均分子量を有し、したがって異なる流動学的特性を表す種々の等級で得ることができる。
【0196】
好ましくはポリマー性物質の濃度はヒドロゲル製剤の約0.5〜40重量%の範囲である。
【0197】
本発明のヒドロゲル製剤は、製剤が十分な湿潤特性を表すことを確実にするために十分な表面活性を有することが好ましく、これは製剤と微小突起アレイ32と皮膚、および場合により固体フィルムとの間の最適な接触を確立するために重要である。
【0198】
本発明に従い、十分な湿潤特性は、ヒドロゲル製剤に湿潤剤を包含させることにより達成される。場合により湿潤剤は固体フィルムにも包含させることができる。
【0199】
好ましくは湿潤剤には少なくとも1つの表面活性剤を含む。本発明に従い、表面活性剤(1もしくは複数)は、両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であり得る。表面活性剤の例にははラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのような他のソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含む。最も好適な表面活性剤は、Tween20およびTween80およびSDSを含む。
【0200】
好ましくは湿潤剤は両親媒性を有するポリマー性物質またはポリマーも含む。記載したポリマーの例には限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含む。
【0201】
好ましくは表面活性剤の濃度は、ヒドロゲル製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。両親媒性を表すポリマーの濃度は、好ましくはヒドロゲル製剤の約0.5〜40重量%の範囲である。
【0202】
当業者には明白であるように、記載の湿潤剤は別個に、または組み合わせて使用することができる。
【0203】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤は同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書に開示されているようなに少なくとも1つの経路開通性モジュレーターを同様に含むことができる。上に示したように経路開通性モジュレーターは限定するわけではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAのような)を含んでなることができる。
【0204】
ヒドロゲル製剤はさらに少なくとも1つの血管収縮薬を含むことができる。適切な血管収縮薬には限定するわけではないがエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含む。
【0205】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤はエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の非水性溶媒、色素、顔料、不活性充填剤、浸透強化剤、賦形剤および当該技術分野で知られている製薬学的生成物または経皮的デバイスに通例の他の成分も含むことができる。
【0206】
本発明のヒドロゲル製剤は十分な粘性を現すので、製剤はゲルパック60に含まれることができ、適用工程中にその完全性を維持し、そして十分に流動性であるので、微小突起アッセンブリーの開口を通り、そして皮膚の経路に流れることができる。
【0207】
ニュートン特性を現すヒドロゲル製剤には、ヒドロゲル製剤の粘度は25℃で測定した時に好ましくは約2〜30ポイズ(P)の範囲である。剪断減粘性ヒドロゲル製剤については、25℃で測定した粘度は好ましくはそれぞれ667/sおよび2667/sの剪断速度で1.5〜30Pの範囲でまたは0.5および10Pある。膨張性の製剤については、25℃で測定した粘度は好ましくは667/sの剪断速度で約1.5−30Pの範囲である。
【0208】
示したように、本発明の少なくとも1つの態様では、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つのワクチンを含む。好ましくはワクチンは前記ワクチンの1つを含んでなる。
【0209】
本発明に従い、ヒドロゲル製剤が前記のワクチンの1つを含む場合、ワクチンは飽和以上で、または飽和未満の濃度で存在することができる。微小突起系に使用されるワクチンの量は、所望する結果を達成するために治療に有効な量のワクチンを送達するために必要な量である。実際にはこれは、特定のワクチン、送達部位、状態の重篤度、および所望する治療効果に依存して広く変動するだろう。すなわち方法に含めるワクチンの治療に有効な量について、特定範囲を定めることは現実的ではない。
【0210】
本発明の1つの態様では、ワクチンの濃度はヒドロゲル製剤の少なくとも約1〜40重量%の範囲である。
【0211】
本発明の1つの態様に従い、貯蔵および応用に関して、微小突起アッセンブリーは図5および6に示すように同様に保持器50にかけられていることが好ましい。微小突起アッセンブリー70が保持器50に配置された後、微小突起アッセンブリー70は患者の皮膚に適用される。好ましくは微小突起アッセンブリー70は、同時係属中の米国特許出願第09/976,798号明細書に開示されているような打撃アプリケーターを使用して同様に患者の皮膚に適用される。
【0212】
微小突起アッセンブリー70を適用した後、剥離ライナー69がゲルパックから取り外される。次いでゲルパック60は微小突起アッセンブリー70に置かれ、これによりヒドロゲル製剤68がゲルパック60から微小突起アレイ32中の開口38を通って放出され、微小突起34により形成された角質層のマイクロスリットを通り、微小突起34の外面を下り、そして角質層を通して局所または全身の治療を行う。
【0213】
ここで図9を参照にして、本発明の範囲内で使用することができる微小突起系80の別の態様を示す。図9で具体的に説明するように、系は上に記載し、そして図7および8に示す微小突起部材70およびゲルパック80を含んでなる一体型のユニットを含んでなる。
【0214】
本発明の1つの態様に従い、生物学的に活性な薬剤(ヒドロゲル製剤に含まれるか、微小突起部材上の生物適合性コーティング中に含まれるか、または両方)の送達法は、被覆された微小突起部材(例えば70)を、作動器を介して最初に患者の皮膚に適用する工程を含んでなり、ここで微小突起34が角質層を穿刺する。次いで振動誘導デバイス10が、適用した微小突起部材上に配置され、そして200Hz〜100kHzの範囲の周波数が適用される。
【0215】
微小突起部材が振動誘導デバイス20に包含される代替的な態様では、振動誘導デバイス20は送達部位に近い患者の皮膚上に配置され、これにより微小突起が角質層を穿刺し、そして200Hz〜100kHzの範囲の周波数が適用される。
【0216】
好ましくは微小突起34は約10〜400μmの範囲で振動し、より好ましくは。
【0217】
本発明の1つの態様では、微小突起部材は図3に説明するように、少なくとも1つの生物学的に活性な薬剤を含む、上に配置された生物学的コーティングを有する微小突起アレイ34を含む。
【0218】
さらなる態様では、微小突起部材は図9で具体的に説明するように、微小突起アレイ/ゲルパックアッセンブリー80を含んでなり、ここでゲルパック60は、薬剤を含有するヒドロゲル製剤を含む。
【0219】
代替的態様では生物学的に活性な薬剤は、ゲルパック60中のヒドロゲル製剤に含まれ、および微小突起部材に適用される生物適合性コーティング中に含まれる。
【0220】
前述の記載から、当業者は本発明がとりわけ生物学的に活性な薬剤を患者の角質層へ、そしてそこを通した経皮的流動を強化する効果的および効率的手段を提供することを容易に確認できる。
【0221】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、当業者は本発明を種々の用途および条件に適合させるための様々な変化および修飾を行うことができる。このように、これらの変化および修飾は添付する特許請求の範囲の均等物の完全な範囲内に、正しく、公平にあり、そしてそれを意図している。
【0222】
さらなる特徴および利点は、添付する図面で具体的に説明するように以下のおよび本発明の好適な態様のより詳細な記載から明らかになり、そして図面中、符号は一般に図面を通して同じ部分または要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】図1Aは、本発明に従い生物学的に活性な薬剤を経皮的に送達するための振動誘導デバイスの1態様の概略説明であり; 図1Bは、本発明に従い生物学的に活性な薬剤を経皮的に送達するための微小突起部材を有する振動誘導デバイスの1態様の概略説明である。
【図2】微小突起部材の1例の部分の透視図である。
【図3】図3は、本発明に従い、微小突起上に蓄積されたコーティングを有する図2に示す微小突起部材の透視図であり; 図3Aは、本発明に従い、図3の線2A−2Aに沿って取った1つの微小突起の断面図である。
【図4】接着裏材を有する微小突起部材の側面断面図である。
【図5】中に配置された微小突起部材を有する保持器の側面断面図である。
【図6】図6に示す保持器の透視図である。
【図7】微小突起系のゲルパックの1態様の分解透視図である。
【図8】図7に示すゲルパックと併せて使用する微小突起アッセンブリーの1態様の分解透視図である。
【図9】微小突起系の別の態様の透視図である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な薬剤を個体に送達する送達系であって:
複数の角質層穿刺微小突起を有する微小突起部材;
該生物学的に活性な薬剤を有する製剤;および
微小突起部材と協同して高周波数の振動を生じるように適合した振動誘導デバイス
を含んでなる上記の系。
【請求項2】
上記の振動誘導デバイスが実質的に一軸の振動を生じる請求項1に記載の系。
【請求項3】
上記の振動誘導デバイスが約10〜400μmの範囲で上記微小突起部材の振動を生じる、請求項2に記載の系。
【請求項4】
上記の振動誘導デバイスが実質的に横断する振動を生じる請求項1に記載の系。
【請求項5】
上記の振動誘導デバイスが実質的に環状の振動を生じる請求項1に記載の系。
【請求項6】
上記の振動誘導デバイスが約200Hz〜100kHzの範囲の高周波数の振動を提供する請求項1に記載の系。
【請求項7】
上記の振動誘導デバイスが、上記個体に超音波エネルギーを提供するために適合した超音波デバイスを含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項8】
上記超音波デバイスが約20kHz〜10MHzの範囲の周波数を有する音波を生じる請求項7に記載の系。
【請求項9】
上記微小突起部材が少なくとも約10個の微小突起/cmの微小突起密度を有する請求項1に記載の系。
【請求項10】
上記微小突起部材が少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの微小突起密度を有する請求項1に記載の系。
【請求項11】
上記微小突起が少なくとも約500ミクロン未満の深さまで角質層を穿刺するために適合されている、請求項1に記載の系。
【請求項12】
上記の生物学的に活性な薬剤がタンパク質、多糖結合体、オリゴ糖、リポタンパク質、サブユニットワクチン、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTアクシンス−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)、全ウイルス、バクテリア、弱毒化もしくは死菌ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、水疱帯状疱疹、弱毒化もしくは死菌バクテリア、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAのストレプトコッカス、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体、コレラ菌、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸、単鎖核酸および二本鎖核酸、スーパーコイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、バクテリア人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、哺乳類人工染色体およびRNA分子からなる群から選択される免疫学的に活性な薬剤を含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項13】
上記製剤が免疫学的に増強するアジュバントを含む請求項12に記載の系。
【請求項14】
上記アジュバントが、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類のグルカン、b−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマインスリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−a−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(b1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C59H108N6O19PNa−3H2O(MTP)、Murametide、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH3、Pleuran、b−グルカン、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1b163−171ペプチド)、トレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15、DNAオリゴヌクレオチド、CpG含有オリゴヌクレオチド、ガンマインターフェロン、NFカッパB調節シグナル伝達タンパク質、熱ショックタンパク質(HSP)、GTP−GDP、Loxoribine、MPL(商標)、MurapalmitineおよびTheramide(商標)からなる群から選択される、請求項13に記載の系。
【請求項15】
上記の生物学的に活性な薬剤が、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナファレリン、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH))、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン、(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTH類似体、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インシュリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固インヒビター)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン(尿性卵胞性刺激ホルモン(FSH)およびLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランスインヒビター、BNP、VEGF、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿ホルモンアゴニスト、ブラジキニンアンタゴニスト、セレデース、CSI’s、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチドサプレッサー、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよびアゴニスト、副甲状腺ホルモンアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニンインヒビター、サイモシンアルファ−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレシンアンタゴニスト類似体、アルファ−1アンチトリプシン(組換え)、TGF−ベータ、ホンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルディン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサンポリサルフェート、オリゴヌクレオチドおよびホルミビルセンのようなオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ445167、RWJ−671818、フェンタニル、レミフェノタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項16】
上記製剤が上記微小突起の少なくとも1つの上に配置されたコーティングを含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項17】
上記製剤が表面活性剤を含む請求項16に記載の系。
【請求項18】
上記表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタン誘導体、ソルビタンラウレート、アルコキシル化アルコールおよびラウレス−4からなる群から選択される、請求項17に記載の系。
【請求項19】
上記製剤が両親媒性ポリマーを含む請求項18に記載の系。
【請求項20】
上記両親媒性ポリマーが、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)およびプルロニックからなる群から選択される、請求項19に記載の系。
【請求項21】
上記製剤が親水性ポリマーを含む請求項16に記載の系。
【請求項22】
上記親水性ポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物からなる群から選択される、請求項21に記載の系。
【請求項23】
上記製剤が生物適合性担体を含む請求項16に記載の系。
【請求項24】
上記生物適合性ポリマーが、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースからなる群から選択される請求項23に記載の系。
【請求項25】
上記製剤が血管収縮薬を含む請求項16に記載の系。
【請求項26】
上記血管収縮薬がエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンからなる群から選択される、請求項25に記載の系。
【請求項27】
上記製剤が経路開通性モジュレーターを含む請求項16に記載の系。
【請求項28】
上記経路開通性モジュレーターが、浸透剤、塩化ナトリウム、両イオン性化合物、アミノ酸、抗炎症剤、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、抗凝固剤、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAからなる群から選択される請求項27に記載の系。
【請求項29】
上記製剤が酸化防止剤を含む請求項16に記載の系。
【請求項30】
上記酸化防止剤がクエン酸ナトリウム、クエン酸、エチレン−ジニトロ−四酢酸(EDTA)、アスコルビン酸、メチオニンおよびアスコルビン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項29に記載の系。
【請求項31】
上記製剤がさらに低揮発性対イオンを含む請求項16に記載の系。
【請求項32】
上記低揮発性対イオンがマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラマル酸、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の系。
【請求項33】
上記低揮発性対イオンがモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアおよびモルホリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の系。
【請求項34】
上記コーティングが約500センチポイズ未満、そして3センチポイズより高い粘度を有する、請求項16に記載の系。
【請求項35】
上記コーティングが約25ミクロン未満の厚さを有する請求項16に記載の系。
【請求項36】
上記の製剤がヒドロゲルを含んでなる請求項1に記載の系。
【請求項37】
上記ヒドロゲルが高分子量のポリマー網を含んでなる請求項36に記載の系。
【請求項38】
上記高分子量ポリマー網が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックからなる群から選択される、請求項37に記載の系。
【請求項39】
上記製剤が表面活性剤を含む請求項36に記載の系。
【請求項40】
上記表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタン誘導体、ソルビタンラウレート、アルコキシル化アルコールおよびラウレス−4からなる群から選択される、請求項39に記載の系。
【請求項41】
上記製剤が両親媒性ポリマー含む請求項36に記載の系。
【請求項42】
上記両親媒性ポリマーが、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)およびプルロニックからなる群から選択される、請求項41に記載の系。
【請求項43】
上記製剤が経路開通性モジュレーターを含む請求項36に記載の系。
【請求項44】
上記経路開通性モジュレーターが、浸透剤、塩化ナトリウム、両イオン性化合物、アミノ酸、抗炎症剤、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、抗凝固剤、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAからなる群から選択される請求項43に記載の系。
【請求項45】
上記製剤が血管収縮薬を含む請求項36に記載の系。
【請求項46】
上記血管収縮薬がエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンからなる群から選択される、請求項45に記載の系。
【請求項47】
生物学的に活性な薬剤を個体に経皮的に送達する方法であって;
複数の角質層穿刺微小突起を有する微小突起部材、生物学的に活性な該薬剤を有する製剤、および微小突起部材と協同して高い周波数の振動を生じるように適合した振動誘導デバイスを持つ系を準備し;
該微小突起部材を該個体の所望の位置に適用し;そして
該振動誘導デバイスを作動させて該微小突起の該個体への貫通を促進する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項48】
上記の振動誘導デバイスを作動させる工程が、該微小突起の実質的に一軸の振動を生じる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
上記の振動誘導デバイスを作動させる工程が、約10〜400μmの範囲で該微小突起の実質的に一軸の振動を生じる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
上記の振動誘導デバイスを作動させる工程が、該微小突起の実質的に横断する振動を生じる、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
上記の振動誘導デバイスを作動させる工程が、該微小突起の実質的に環状の振動を生じる、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
上記振動誘導デバイスの上記作動工程が、約200Hz〜100kHzの範囲で該微小突起の高周波数の振動を生じる請求項48に記載の方法。
【請求項53】
上記の振動誘導デバイスが上記微小突起に超音波エネルギーを伝達するために適合した超音波デバイスを含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
上記超音波デバイスが約20kHz〜10MHzの範囲の周波数を有する音波を生じる、請求項53に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−519446(P2007−519446A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549239(P2006−549239)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/034923
【国際公開番号】WO2005/069758
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】